ツォルマリア星系のパルディステル、共立機構最高評議会のドームに、星雲の光が柔らかく差し込んでいた。シナリスIVでの歓迎セレモニーが成功裡に終わり、共立の評議会室は新たな展望への期待に満ちていた。
メレザ・レクネール常任最高議長は、議長席からホログラフィックディスプレイを眺めていた。そこには、シナリスIVのエメラルド盆地のエネルギー鉱脈が脈動する映像が映し出され、共立の巡航艦50隻が軌道上で整然と並ぶ姿が重なっていた。
メレザは静かに口を開いた。
「シナリスIVの開拓は、共立の未来を切り開く礎となるでしょう。エルニウスの技術は賞賛に値しますが、我々の使命は秩序と繁栄を共に築くこと。全面的な支援を通じて、シナリス星系を協力の象徴にしましょう」
彼女の声には、3500年以上の経験に裏打ちされた確信が宿っていた。
アリシア・レムナント中将が頷き、軍事と外交のバランスを意識した提案を述べた。
「シナリスIVのエネルギー鉱脈は、共立のエネルギー網拡張に革命をもたらす可能性があります。開拓事業への支援として、技術者チームと資源採掘ドローンを追加配備し、エメラルド盆地の初期インフラ構築を加速させましょう。監視体制は維持しつつ、共立の誠意を明確に示すため、巡航艦の配備を最小限に調整します。」
彼女はホログラフィックマップを操作し、エメラルド盆地の鉱脈分布を拡大。
「極地の安定地盤に建設する開拓基地は、共立の技術力と秩序を体現する設計にすべきです」
カイル・トレント博士が技術的視点を加えた。
「エメラルド盆地のクリスタル脈は、共立の既存技術で採掘可能ですが、エネルギー輸送効率の最適化には新たな枠組みが必要です。エルニウスの技術とのシナジーを模索する前に、共立のエネルギー網をシナリスIVに拡張する試験運用を提案します。これにより、開拓の基盤を固め、協力の信頼性を高められます」
彼はディスプレイにシナリスIVの地質データを投影し、「初期採掘施設は、環境への影響を最小限に抑え、持続可能な設計を優先します」と付け加えた。
リナ・ハルツェルが外交的展望を補足した。
「シナリス星系での成功は、共立とエルニウスの長期的な関係の第一歩です。次のステップとして、エルニウスに共立各国を巡る視察を提案しましょう。
航空宇宙都市パルディステル、セクター・イドゥニアの
中心星域、
オクシレイン大衆自由国、その他の文化都市を訪れ、共立の多様性と統率力を体感してもらうのです。これにより、新たな主権組織の設立議論を円滑に進め、シナリス星系を中核とした協力の枠組みを構築できます」
彼女はホログラムに
共立世界の星図を広げ、各地の特徴を強調した。
「共立の歴史とビジョンを共有することで、信頼の基盤をさらに強固にしましょう」
メレザは星々に視線を向け、穏やかに言った。
「シナリスIVの輝きは、共立の誠意と技術の結晶です。開拓事業への全面支援を通じて、エルニウスとの協力を深め、新たな主権組織の可能性を探りましょう。私の航海日誌には、異なる文明が星々を繋いだ記録が刻まれています。過去の教訓を胸に、焦らず、誠実に進むことが肝要です」
彼女は一瞬、
新秩序世界大戦の記憶を遡り、技術統合のリスクを思い出したが、すぐに未来への決意を固めた。「アリシア、シナリスIVの開拓支援を統括し、共立の技術者と資源を迅速に展開してください。リナ、共立各国への視察プログラムを準備し、共立の多様性と秩序を伝えなさい」
評議会室には、静かな決意が響き合っていた。シナリスIVのエメラルド盆地が新たな希望の光を放つ中、共立は開拓事業への全面支援と、新たな主権組織の議論を通じて、星々の未来を切り開く準備を進めていた。メレザは窓辺に立ち、ツォルマリアの星雲を見上げた。
「シナリス星系は、共立の統率力と協力の象徴となる。誠意を持って、未来を共に築こう……」
最終更新:2025年06月14日 12:59