―数か月後―
共立機構側との協議が無事に終わり、
ピースギアと共立機構の共同本部:シナリス本部が完成した。
アンドロイドの量産体制が整備され、採掘・建設・管理のほとんどが自動化されているとはいえ、
やはり**意思決定に必要な「最低限の民主主義の人員」**は必要だった。
そこで提案されたのが――
星間記録子《スターデータリーフ》を使い、故・茨波綾音の記憶・人格データの復元である。
……
綾音「うーーーんとっ……ここは?」
再起動されたばかりの彼女は、光の差す静かな施設内で目を覚ました。
イズモ「落ち着いて聞いてね。端的に言うと――ピースギア本部も、ほかの支部も、全部滅んだ」
「……で、なんとか避難して再建した。本部は立て直したけど、まだ人手が足りないのさ」
柔らかい声で、しかし現実を丁寧に伝える。
綾音「え……?」
イズモ「まあ、正直こっちも全部わかってるわけじゃない。KAEDEの“魔改造コピー”とかも出てきて命からがらだったしなぁ……」
「今は共立機構っていう、なんかピースギアにすげー似た組織があって、そこに助けられたって感じ」
「とりあえず、慣れるのが先。頑張ってね」
照れくさそうに、けれどしっかりと声をかける。
KAEDEも、彼女なりに優しく――けれどどこか“演技めいた笑顔”を浮かべながら、
そっと綾音の手を取って、
「支えるから。これからよろしくね……」
と小声でささやき、記録子の端末を手渡した。
こうして――
ピースギア再起動の物語が、本格的に幕を開けたのだった。
場所は変わって、シナリス星系・第5惑星の上空。
ここで、2隻のアリス級艦がランデブーしていた。
この艦は、エルニウスに続き追加で3隻量産されたうちの2隻。
いずれも自動航行・作業が可能な完全無人艦だが、今回は探査員が乗り込み、
生命に関わる水源調査・鉱脈調査を実施中。
1隻はアリス級3番艦「エレス・ニア」。
もう1隻はエルニウスからの指示を受け、武器開発および技術伝達任務にあたっている。
また同時に、シナリスIVの宇宙港で補給中であった。
イズモとKAEDEは次なる任務――
第6惑星への探査準備に取り掛かっていた。
イズモ「一旦情報確認ののちに、離陸予定まで待機ってことで」
KAEDE「了解~」
モニターを操作しながら、いつもの軽い調子で返す。
そこへ共立機構からの通信。
KAEDE「そういえば、共立機構から“そろそろ国家巡りしない?”って言われてたよ」
イズモ「そういえばw」
思い出したように苦笑いする。
KAEDE「無視しちゃマズイんじゃ?」
イズモ「まあな。とりあえず向こうの日程で行くか。探査はもう自動化されてるし、俺ら手持ち無沙汰だしなぁ」
KAEDE「じゃあ、決まりということで」
こうして――
数日後、シナリスIVを出港。
イズモたちは新たな星の国家との交流、そして銀河を越えた対話に向けて動き出すのだった。
最終更新:2025年06月27日 20:27