巡りゆく星たちの中で > ツォルマリア星域連合直轄領・花と星の語らい

メルバ・ラムティスの星間交流広場は、ツォルマリア星連の星雲光に浴し、まるで光の波に揺蕩うようにきらめいていた。広場の中央では、双螺旋のモニュメントが緩やかに回転し、共立機構とツォルマリア星域連合の絆をさりげなく物語っていた。数日前、この広場で開かれた会談は、シナリス星系のクェーサー研究と星間技術の共有を巡る活発な議論の場だった。ピースギアの気楽で飾らない姿勢が、堅苦しい議場にそよ風のような軽やかさをもたらし、参加者たちの心に温かな余韻を刻んでいた。

会談から数日後の黄昏、ナスーラ・ヴィ・ラッフィーアの私邸の庭園は、ヴァラノルカの柔らかな夕陽に染まり、鮮やかな輝きを放っていた。ハーブと花々がそよ風に揺れ、甘やかな香りが漂う中、ささやかな茶会が開かれていた。テーブルにはナスーラの手作りハーブティーが湯気を立て、香ばしいスパイスパンが彩りを添えていた。メレザ・レクネールは穏やかな笑みを浮かべ、ティーカップを手に、花々が星雲の光に溶け合う様子に目を細めていた。

『ピースギアの皆さん、ほんと気取らない感じが良かったわね』

ナスーラがカップを手に、温かな口調で言った。

『シナリスのクェーサー研究の話、データや技術の話なのに、まるで友達同士で雑談するみたいに進めてくるところ、なんだか親しみやすかったわ。ツォルマリアの企業連盟も、あの気楽なノリを取り入れたら、もっとスムーズに事が進むかもしれないわね』

メレザは静かに頷き、星雲の光を見上げる。

『ええ、彼らのカジュアルな進め方は、共立の評議会室でも新鮮でした。シナリスの調査データをポータル技術でサッと送ってくるあの感じ…まるで星々の距離を気軽に飛び越えるみたいで、なんだかほっこりしますよね。あのラフさが、堅苦しい会議を和らげてくれる気がします』

ナスーラは笑いながら、スパイススープをテーブルに運んだ。湯気の香りが庭に広がり、温かな空気を一層引き立てた。

『ほんとよ。ピースギアの皆さんがシナリスでやってる調査、データはしっかりしてるのに、どこか「まあ、なんとかなるでしょ」って雰囲気があるわよね。クェーサーの話も、まるで新しい遊びを見つけたみたいに楽しそうに話してたのが印象的だった。ツォルマリアの技術者たちも、あの気楽さに刺激を受けて、クェーサーと私たちの鉱物加工技術を気軽に試してみたくなるんじゃないかしら』

メレザはティーカップを置き、柔らかく続けた。

『ピースギアの自動化技術やデータ共有のスピード感、共立の転移術式と合わせたら面白いことができそうです。彼らの「とりあえずやってみるか」みたいな姿勢、なんだか信頼できるんですよね。シナリスの調査基地でハーブを育ててる話も、気負わずやってるのが伝わってきて、微笑ましいなと思いました』

ナスーラは庭の花壇を指し、目を細める。花々が黄昏の光に揺れる姿が、まるで星々のささやきを映しているようだった。

『そうそう、シナリスの基地にこのハーブの種を送ったら、彼らなら適当に土にまいて、意外と立派な庭になりそうよね。ピースギアの皆さんのその…なんていうか、気楽に未来を切り開く感じ、ツォルマリアの若い世代にも分けてあげたいわ。次の会合では、もっとカジュアルにアイデアを出し合って、星々の繋がりを広げたいわね』

メレザは微笑み、庭の花々を眺めた。花弁に映る星雲の光が、彼女の穏やかな瞳にきらめいた。

『いいアイデアですね。ピースギアのラフな姿勢に、ヴァラノルカの温かさを加えたら、星々の絆がもっと自然に、でもしっかり繋がる気がします。共立の平和への願いも、そんな気楽な雰囲気の中で育つと、もっと身近なものになるかもしれません』

ナスーラが新たなティーポットを手に、笑顔で言った。ポットの湯気が庭の空気に溶け、温かな香りが広がる。

『じゃあ、次はもっと気楽な雰囲気で、ピースギアの皆さんとこの庭で茶会ね。星々の未来も、堅苦しくなく、気軽に語れたらいいわよね』

メレザはカップを掲げ、静かに答えた。

『その通りです、ナスーラさん。ピースギアの皆さんの気楽な魅力に、共立とツォルマリアの心を重ねて、星々を繋ぐ未来を描きましょう。この庭のような、温かくて自由な場所で』

星雲の光が庭園に降り注ぎ、ハーブの香りがそよ風に舞う中、ナスーラとメレザの会話は、ピースギアのラフで親しみやすい魅力への好意と、星間協力へのささやかな期待に満ちていた。メルバ・ラムティスの夜空は、まるで二人の温かな願いを映すように輝き、ツォルマリアと共立の絆は、気楽で自由な未来への一歩を軽やかに踏み出していた。
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最終更新:2025年06月16日 07:02