巡りゆく星たちの中で > 外交

会談後。
静けさの戻った執務室にて――

イズモ「にしてもさっきの会談、いい刺激になったなぁ」
椅子にもたれながら、遠くを見るように言葉を漏らす。

KAEDE「ほんとね」
端末の電源を落としながら相づちを打つ。

イズモ「一国の女王って感じだったよなぁ。気品にあふれてて、落ち着いた雰囲気で……それに比べて、うちらちょっとはっちゃけすぎた気がしないでもない」
苦笑しつつ肩をすくめる。

KAEDE「うん、まあそれはないわよ」
軽く笑って、机に肘をつきながら言った。
「どんなテンションでも、あそことどう繋がっていくかは――あなたに任せるわ」

イズモ「せやな」
頷きながらも、その表情はどこか考え込んでいる様子だった。

そんな会話を交わしながら、二人は執務室で次の計画を練っていた。

イズモ「とりあえず、探査結果を確認っと」

ホログラフィックモニターに表示されたデータにはこうあった。

―生命居住可能領域内で、現段階で定住可能とされるのは「シナリスIV」のみ―

イズモ「水も一応あるにはあるけど……温度が激しかったり、惑星の中央部にしか存在しないとかだとなぁ」
画面を指でなぞりながら、やや眉をひそめて言った。

KAEDE「そうね」
彼女もまた資料を読みながら、穏やかに返す。

その時――イズモがふと立ち止まり、口を開く。

イズモ「少しいい?」
真剣な口調にKAEDEが顔を上げる。

KAEDEは机越しに立ち上がり、向かいのソファへと腰を下ろす。
それを見たイズモもソファに腰掛け、軽く頭をかきながら、何か言いたげな様子である。

そして、ゆっくりと切り出した。

イズモ「今回、各国巡るじゃない?」
その言葉にKAEDEは静かに頷く。

そして一枚の紙を取り出した。それには、共立機構が提示した各国の名称と基本情報が書かれていた。

イズモはその紙を机越しに覗き込み、ふむふむと目を走らせた。

KAEDE「これが渡航要請を出してきた国々のリストよ。共立機構がうまく調整してくれたみたい」

イズモ「なるほどねぇ……」
思案するように呟きながらも、やはり何か考え込んでいるようだ。

イズモ「とりあえず、この星はもう行くとして……」

KAEDE「でも、これ全部巡るってなるとかなり時間かかるわよ?」
やや心配そうな声で告げる。

KAEDE「まあ、確かにそれでも……この星の資源は魅力的だし」
そう言って、ふと笑みを見せる。

イズモ「とりあえず、現実的に考えて、この恒星系内だけに絞ったほうがよくないかな?」

モニターには5か国の情報が表示されていた。

KAEDE「そうね」
しばし考え込んだ後、静かに同意する。

そして、その後――

その5か国への渡航計画を正式に共立機構側に提出。
KAEDEと共立機構を交えた調整会議が行われ、
いよいよスケジュールの策定が始まった。

イズモとKAEDE。
2人の旅は、再び動き出す。

最終更新:2025年06月27日 20:29