巡りゆく星たちの中で > 感情の花

数日後、ピースギアの中継回廊に新しい緊急修理依頼が飛び込んできた。
配線盤の再調整と応急配備だった。
ユナとカナタはふたりで現場に向かうことになった。

ユナ「……暗いね、ここ。センサーも、うまく反応してない……」

カナタ「大丈夫。僕がライト持ってる。ほら、手、つないで行こうか?」

ユナ「……う、うん……」

暗闇の中、カナタの手は温かく、少しだけ強く握ってくれた。
そのぬくもりに、ユナの中の不安が少しずつ消えていく。

作業は難航したが、ふたりで声をかけ合い、何とか完了させることができた。

ユナ「……やった……ちゃんと、光った……」

カナタ「ユナが丁寧に配線してくれたからだよ。僕、けっこう雑だから助かった」

ユナ「……ううん……わたし、カナタがいたから……落ち着いてできた……」

一瞬の沈黙。

カナタ「……ねえ、ユナ。ひとつ、聞いてもいい?」

ユナ「……なに、かな……?」

カナタ「もし、僕が遠くに行くことになったら……ユナは、どうする?」

ユナの瞳がわずかに揺れた。

ユナ「……そんなの……いや……かも……」

カナタ「……実はね、今、別の拠点から要請が来てるんだ。けど、まだ返事してない」

ユナ「……どうして?」

カナタ「ここに、大事な人がいるから。……ユナ、君がいるから」

ユナの頬に熱が広がった。

ユナ「……わたしも……カナタがいないと……きっと、また、こわくなる……」

カナタ「じゃあ……僕、残るよ。ユナと一緒に、ここで頑張る」

ユナは黙って、でも強く頷いた。
ふたりはその場で見つめ合い、やがてそっと抱き合った。

ユナ「……わたし、いつか……カナタを守れるくらい、強くなりたい……」

カナタ「ううん、ユナはもう強いよ。僕は、そんなユナが……大好きだ」

ユナの目に涙が滲む。
それは悲しみではなく、胸の奥に咲いた温かな感情の花だった。

その日、ピースギアの上空にまたひとつ、流れ星が落ちた。
ふたりの願いを乗せて、静かに宇宙を横切っていった。

最終更新:2025年07月26日 08:53