プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

KAERU04

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pfantasy

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『アヂヂヂヂッ!!』
声の方向を見ると、先ほど魔物に突っ込んでいった二人が燃えていた。
どうやら、飛び火したらしい。
『アチッ! アチッ!!』
その場で転がりまわっていると、やがて炎が消えた。
『殺す気か!? コラァ!!』
武道家と思われる方が、リーダー格に詰め寄る。
『ごめんごめん。 思わず必要な手順飛ばしちゃった。』
『ったく、思わず、で殺されたら堪らんっちゅうねん。』
もう一方のナイトの方も既に起き上がり、剣についた不気味な色の液体を拭っている。
どうやら、彼らは相当タフらしい。
先ほどまで弓矢を扱っていた人間は、魔物がいた位置に歩み寄り、そこに落ちている矢を拾い出す。
だが、既に全部真っ黒に焼けていた。
『矢って、使い捨てなのに高いんだもんなァ』
そんな言葉が聞こえてくる。
『メモリ割り当ては行わないし、オブジェクトの選択手順は飛ばすし、後処理全部省略しやがって。』
『だから、ごめんってば。』
少し離れたところではまだ、続いていた。
『大丈夫?』
突然間近に声が掛かる。
『え?』
前を見ると、弓矢を扱っていた人間ヨモギ(だったっけ?)が立っていた。
『なんだか、見慣れない格好をしているけれど・・・何処の人?』
怪訝な顔をされる。
こっちから見ると、そっちの方が変な格好なのだが・・・。
冒険モノの映画とかで、よく見かけそうな格好だ。
向こうの剣士も、鎧兜とまぁ、いかにもな格好をしているし。
言い合っている二人も、動きやすそうな軽装に、ローブ姿。
本当にRPGみたいな格好である。

返答せずに居ると、さらに聞かれる。
『おーい、聞いてる?  って言うか、言葉わかる?』
『あ、ああ。 大丈夫。』
木の根元に座り込んだまま答える。
『んなら、ちゃんと答えてよ。 何処の人?』
また聞かれる。
『え・・・いや、何処って・・・日本・・・。』
『は? 何処?それ。』
間髪居れずにそんな返答が来た。
『何処って・・・日本は日本・・・日本国だけれど。』
考え込む動作をされる。
どうも、よく判らない。
なぜ、考え込む必要があるんだ?
思い付かないらしく、他の三人を呼ぶ。
『おーい、ちょっと来てー!』
呼ばれて各々の作業を中止し、近づいてくる。
『どしたの?』
剣士が聞く。
『ねぇ、日本ってトコロしってる?』
ヨモギの問いに思わず突っ込む。
『おいおい・・・なんで知らないねん。 ってか、日本語で話してるのに。』
ヨモギがこっちを見て、言う。
『これは、全国共通公用語。 ルート歴256年に決まったことよ。 何?その日本語って。』
知らない単語が飛び出す。
(全国共通公用語? ルート歴? なんじゃそら。)
そう言いたかったが、言葉は出ず、ただ口をぱくぱくさせるしか出来なかった。
『こりゃ、相当混乱してるな。  お前が後処理しないから、こいつのメモリが変になったんじゃないのか?』
さっきからリーダー格と言い合っていた軽装な男が再びリーダー格に突っかかる。
『後処理しないからって、こんな影響がでるか!』
リーダー格のローブ姿の男が反論すると、直ぐにこっちに向き直る。

『そういえば、自己紹介がまだだったなぁ。 俺はマコト。 魔法使いで一応このメンバーのリーダーだ。』
隣に居る軽装な男が次に喋りだす。
『ヒイラギ。 細かいことが嫌いだし、喧嘩が好きだから武道家やってる。』
なぜか、職業まで丁寧に入れている。
ついで女性陣に移る。
『ウチはヨモギ。 弓手をやってるわ。』
『オレは、マサキ。 見て判るとおり、剣士。』
一人称にオレを使っているけれど、マサキもちゃんと女性だ。
四人の視線がいっせいに注がれる。
つまりボクの番だ。
『えっと、ボクはKAERU。 プログラマーなんだけれど・・・わかるかなぁ。』
明らかに世界観の違うココで、プログラマーといって判って貰えるか疑問だ。
『プログラマー・・・? 初めて聞く職業だなぁ。 ソレって格闘系?魔術系?特殊系? どこのギルドに所属してるの?』
マコトに聞かれる。
『いや、ギルドって言われても・・・。』
答えようが無い。
プログラミングは別に格闘でも、魔術でもないし・・・。
『ねぇ、マコト。 ソレくらいにしてあげれば?、困ってるじゃない。 さらに混乱させてもしょうがないでしょう。』
ずっと無言だったマサキが口を空けた。
そのまま、四人はなにやら相談を始めた。
ボクはまだ足腰が立たない。
情けないことに、未だに腰が抜けたままだ。

とりあえず付近を見渡す。
はるか遠くまで続く深い森。
手入れなんて全くされていない、見事な森だ。
木々は相当高い上、日光を遮り、森の中には光がほとんど届いていない。
何本かの光の筋が地面に垂直に突き刺さっている為、太陽がほぼ真上に位置するのが判る。
そんな環境だからか、下草は殆ど見当たらない。
今ボクの座っているトコロの下は苔むしている。
おそらく、ここら辺一帯、みんなそんな感じなのだろう。

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