目を覚ます。
茶色の木の天井が見える。
(ふぅ・・・どうやら夢から覚めたらしい。)
(自分の部屋の茶色の・・・・茶色だったか・・?)
目を見開く。
そこにあるのは、確かに茶色の木の天井。
だが、自分の部屋の天井は壁紙の白の色だ。
上半身を勢いよく起こす。
額に乗せていたと思われる湿った布が落ちる。
『今度は、何処だろう。』
独り言が洩れる。
付近を見渡すが、誰も居ない。
部屋は、六畳といったところか。
真中に長方形の机があり、その周りに六脚の椅子と思われる木が置かれている。
壁も、天井も全て木で出来ている。
壁にはガラスの窓と扉がある。
部屋の中を徘徊していると、扉を隔てた隣の部屋から声が聞こえてきた。
『あれは、どう見ても魔法だよなぁ。』
マコトの声か・・・どこか興奮気味だ。
『でも、あいつはソレを否定したぞ。』
ヒイラギの声だ。
『たしか、プログラマーと言っていたし。』
これは、ヨモギの声だ。
『うーん、嘘でもついているのかなぁ? それとも魔法使いの上級職で、プログラマーなんてのあったか?』
『いや、そんな職業は聴いたことが無いよ。 それは、ヴィシーの魔術組合所属の貴方が良く判ってるでしょう。』
マコトの声が、ヨモギにあっさりと否定される。
『そういえば・・・ファイヤーウォールって叫んでいたけれど、普通はどんな魔法なんだ?』
『魔法の名前は誰でも好きに付けることができるさ。 でも、大体のヤツはその名前から効果が想像できるものにする。』
ヒイラギの疑問にマコトが答えていく。
『そうしないと覚えにくいしねぇ。』
ヨモギの声がソレも重なる。
茶色の木の天井が見える。
(ふぅ・・・どうやら夢から覚めたらしい。)
(自分の部屋の茶色の・・・・茶色だったか・・?)
目を見開く。
そこにあるのは、確かに茶色の木の天井。
だが、自分の部屋の天井は壁紙の白の色だ。
上半身を勢いよく起こす。
額に乗せていたと思われる湿った布が落ちる。
『今度は、何処だろう。』
独り言が洩れる。
付近を見渡すが、誰も居ない。
部屋は、六畳といったところか。
真中に長方形の机があり、その周りに六脚の椅子と思われる木が置かれている。
壁も、天井も全て木で出来ている。
壁にはガラスの窓と扉がある。
部屋の中を徘徊していると、扉を隔てた隣の部屋から声が聞こえてきた。
『あれは、どう見ても魔法だよなぁ。』
マコトの声か・・・どこか興奮気味だ。
『でも、あいつはソレを否定したぞ。』
ヒイラギの声だ。
『たしか、プログラマーと言っていたし。』
これは、ヨモギの声だ。
『うーん、嘘でもついているのかなぁ? それとも魔法使いの上級職で、プログラマーなんてのあったか?』
『いや、そんな職業は聴いたことが無いよ。 それは、ヴィシーの魔術組合所属の貴方が良く判ってるでしょう。』
マコトの声が、ヨモギにあっさりと否定される。
『そういえば・・・ファイヤーウォールって叫んでいたけれど、普通はどんな魔法なんだ?』
『魔法の名前は誰でも好きに付けることができるさ。 でも、大体のヤツはその名前から効果が想像できるものにする。』
ヒイラギの疑問にマコトが答えていく。
『そうしないと覚えにくいしねぇ。』
ヨモギの声がソレも重なる。
『んで、ファイヤーウォールという魔法名だが・・・本来は施設防御の魔法だ。』
『ふんふん。』
ヒイラギが相打ちを打ち、ヨモギの声がそれに続く。。
『防火壁の意味を持ち合わせているものね。』
『そう。 魔物が施設攻撃に際して炎の魔法で攻撃する頃に初期が出てきた、高度施設防御魔法の一種だ。 炎による攻撃を防御するという意味で防火壁・ファイヤーウォールの名前が付いて、その後幾多の改良を経て攻撃ならほぼ全般的に防げるようになった。』
なにやら長台詞がマコトの声に乗って届く。
『だが、この魔法を使うには複数の攻撃方法を理解し、ソレを的確に防ぐ手段を知っていなければならないわけだ。』
『全部をシャットアウトするのではダメなの?』
ヨモギの声だ。
『全部はダメだ。 空気までシャットアウトするようにしたら、大変なことになる。 防火壁内の限られた空気だけでは直ぐに苦しくなってしまう。 だから、必要なものだけをシャットアウトするようにするんだ。』
マコトの声に、ボクも思わず納得する。
そして、ココまで聞いて思う。
(ココの世界のファイヤーウォールの考え方と、僕の世界のファイヤーウォールの考え方って、凄く似てるなぁ。)
『そして、その魔法をコイツは使ったと。』
現実に戻される。
いつのまにか扉が開き、目の前にヒイラギが居る。
『あ・・・っと。』
『ほれ、こっちに来い。 とりあえずコレでも食べろ。』
そのまま席まで連れて行かれる。
そこにあるのは様々な野菜の煮込まれたスープだ。
どうやら彼らは食事の最中だったらしい。
声は聞こえなかったが、ちゃんとマサキも席についていた。
ただ、静かに聞いているだけらしい。
『んで、続きは?』
ヒイラギが続きを促す。
『ああ、この魔法は施設防御という性質上、かなり巨大なものになる。』
『魔法の効果範囲が大きいからなの?』
ヨモギの疑問にマコトが答える。
『それもある。 施設一つを丸々包み込む魔法だから、効果範囲は他の魔法に比べて巨大だし。 それ以外にもさっき説明した通り、多数の攻撃種類を防ぐ必要から複数属性の多層構造の魔法になるんだ。』
『ふーん。』
ヨモギがそれに相槌を打つ。
『ふんふん。』
ヒイラギが相打ちを打ち、ヨモギの声がそれに続く。。
『防火壁の意味を持ち合わせているものね。』
『そう。 魔物が施設攻撃に際して炎の魔法で攻撃する頃に初期が出てきた、高度施設防御魔法の一種だ。 炎による攻撃を防御するという意味で防火壁・ファイヤーウォールの名前が付いて、その後幾多の改良を経て攻撃ならほぼ全般的に防げるようになった。』
なにやら長台詞がマコトの声に乗って届く。
『だが、この魔法を使うには複数の攻撃方法を理解し、ソレを的確に防ぐ手段を知っていなければならないわけだ。』
『全部をシャットアウトするのではダメなの?』
ヨモギの声だ。
『全部はダメだ。 空気までシャットアウトするようにしたら、大変なことになる。 防火壁内の限られた空気だけでは直ぐに苦しくなってしまう。 だから、必要なものだけをシャットアウトするようにするんだ。』
マコトの声に、ボクも思わず納得する。
そして、ココまで聞いて思う。
(ココの世界のファイヤーウォールの考え方と、僕の世界のファイヤーウォールの考え方って、凄く似てるなぁ。)
『そして、その魔法をコイツは使ったと。』
現実に戻される。
いつのまにか扉が開き、目の前にヒイラギが居る。
『あ・・・っと。』
『ほれ、こっちに来い。 とりあえずコレでも食べろ。』
そのまま席まで連れて行かれる。
そこにあるのは様々な野菜の煮込まれたスープだ。
どうやら彼らは食事の最中だったらしい。
声は聞こえなかったが、ちゃんとマサキも席についていた。
ただ、静かに聞いているだけらしい。
『んで、続きは?』
ヒイラギが続きを促す。
『ああ、この魔法は施設防御という性質上、かなり巨大なものになる。』
『魔法の効果範囲が大きいからなの?』
ヨモギの疑問にマコトが答える。
『それもある。 施設一つを丸々包み込む魔法だから、効果範囲は他の魔法に比べて巨大だし。 それ以外にもさっき説明した通り、多数の攻撃種類を防ぐ必要から複数属性の多層構造の魔法になるんだ。』
『ふーん。』
ヨモギがそれに相槌を打つ。
『あれ・・? でも複数の属性って、相反する属性の魔法では打ち消しあうんだろう?』
ヒイラギがさらに疑問を投げかける。
『だから、一つの属性魔法と属性魔法の間に、無属性魔法を挟み込むんだ。 無属性魔法はどの属性魔法とも競合を起こさない特徴を生かすわけだ。』
『そして、それらの属性魔法はもちろん一つの魔法だ。』
『ふんふん。』
ヒイラギと、ヨモギ、ソレとボクが相槌を打つ。
『あ、やっぱり気づかないか。』
マコトが言う。
『何に?』
それに答える様に、ヒイラギが言う。
『効果範囲の広い魔法を複数回、しかも同時に使用するわけだ。 効果範囲は見た目よりも、その属性の層の分だけ乗算した広さになる。 つまり、とても人間一人の魔法能力だけでは対応しきれない訳なのだが。』
『ま、実際に使う場合には、施設中央の巨大水晶にその魔法を展開して、俺ら魔法使いはその水晶に魔力を注ぎつづけるわけだ。』
そこで全員の視線がボクに注がれる。
思わずスープに伸ばしかけていたスプーンが止まる。
『え・・・?』
『ちなみに俺はこのレベル3の魔力杖に魔法の殆どを展開している。』
マコトが腰から短い杖を取り出して見せる。
『ウチは、魔法道具屋で買ったこの水晶ネックレスに予め魔法が入れてあるの。 ソレを発動させるだけだから、殆ど魔力は使わないわ。』
ヨモギのほうは、首から下げたネックレスを取り外し、机の上に置く。
『入っている魔法はリカバリといって、状態を元に戻すことが出来るの。』
言い回しが、少し気になったので、そこを少し探ってみる。
『元に戻すって事は、病気とかは回復できないの?』
ヨモギでは無く、マコトが答える。
『毒や麻痺を取り除くというのは聞いたこと有るけれど、病気を治すのは魔法では不可能だ。』
(外的要因は元に戻せるけれど、内的要因は無理って事か・・・。)
そんなことを思いつつ、もう一個気になったことを聞いてみる。
『死人を生き返らせることって出来るの?』
そう問いかけをすると、場が静まり返る。
『死ぬということは、この世界からその人というオブジェクトが削除されることだ。 一度削除されたオブジェクトは再生不可能だ。』
マコトが静かに答え、また再び部屋が静寂に包まれる。
ヒイラギがさらに疑問を投げかける。
『だから、一つの属性魔法と属性魔法の間に、無属性魔法を挟み込むんだ。 無属性魔法はどの属性魔法とも競合を起こさない特徴を生かすわけだ。』
『そして、それらの属性魔法はもちろん一つの魔法だ。』
『ふんふん。』
ヒイラギと、ヨモギ、ソレとボクが相槌を打つ。
『あ、やっぱり気づかないか。』
マコトが言う。
『何に?』
それに答える様に、ヒイラギが言う。
『効果範囲の広い魔法を複数回、しかも同時に使用するわけだ。 効果範囲は見た目よりも、その属性の層の分だけ乗算した広さになる。 つまり、とても人間一人の魔法能力だけでは対応しきれない訳なのだが。』
『ま、実際に使う場合には、施設中央の巨大水晶にその魔法を展開して、俺ら魔法使いはその水晶に魔力を注ぎつづけるわけだ。』
そこで全員の視線がボクに注がれる。
思わずスープに伸ばしかけていたスプーンが止まる。
『え・・・?』
『ちなみに俺はこのレベル3の魔力杖に魔法の殆どを展開している。』
マコトが腰から短い杖を取り出して見せる。
『ウチは、魔法道具屋で買ったこの水晶ネックレスに予め魔法が入れてあるの。 ソレを発動させるだけだから、殆ど魔力は使わないわ。』
ヨモギのほうは、首から下げたネックレスを取り外し、机の上に置く。
『入っている魔法はリカバリといって、状態を元に戻すことが出来るの。』
言い回しが、少し気になったので、そこを少し探ってみる。
『元に戻すって事は、病気とかは回復できないの?』
ヨモギでは無く、マコトが答える。
『毒や麻痺を取り除くというのは聞いたこと有るけれど、病気を治すのは魔法では不可能だ。』
(外的要因は元に戻せるけれど、内的要因は無理って事か・・・。)
そんなことを思いつつ、もう一個気になったことを聞いてみる。
『死人を生き返らせることって出来るの?』
そう問いかけをすると、場が静まり返る。
『死ぬということは、この世界からその人というオブジェクトが削除されることだ。 一度削除されたオブジェクトは再生不可能だ。』
マコトが静かに答え、また再び部屋が静寂に包まれる。