プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

KAERU08

最終更新:

pfantasy

- view
だれでも歓迎! 編集

体が強く揺さぶられる。
『カエル、起きなさい。』
意識の遠くから声がする。
(あれ・・・?ボク一人暮らしなのに、何で起こしてくれる人が居るんだろう?)
そんなことを思いつつ、瞼がゆっくりと開く。
目の前にはヨモギの顔。
『うお!?』
思わず思いっきり後づ去る。
が、後ろには壁。
「ゴッ!」
鈍い音と共に動きが止まる。
『ったー!』
そのままベットの上でのた打ち回る。
『目は覚めた?』
ヨモギが聞いてきた。
『そりゃあもう、ばっちり目覚めたよ。』
後頭部がズキズキ痛む。
『そう、じゃあ直ぐに支度して。 出発するわよ。』
心なしかヨモギの表情が硬い。
窓際まで歩き外を見やると、明らかに朝とは言いがたい暗さだ。
星が爛々と輝いている。
『あれ・・・? 朝?』
問い掛けた先には既に誰も居なかった。
開け放たれた扉の向こうからは人が慌しく動く気配がする。
とりあえず、支度をすることにする。
といっても持ち物も少ないので、ズボンをはいて上着を羽織りバッグを持って終了だ。
そのまま、隣の居間に移動する。
マコトが机に陣取り、必死に書き物をしている。
ヨモギは部屋を走り回り色々な物を袋に詰め込んでいる。
マサキもヨモギと同様だ。
別の部屋からいくつかの物を持ってきて袋に詰め込んでいる。

ヒイラギの姿は見えない。
部屋の入り口で行き場を失っていると、マコトに呼ばれる。
『カエル、やっと起きたか。 とりあえず、ココに座ってろ。』
マコトが指した先は、昨日僕の座った席だ。
『はい。』
昨日とは極端に違う雰囲気の中、そう返事をしてその席に座る。
目の前には、いろんな文字列の書かれた紙。
結構枚数が多い。
マコトはそんな中必死に何かを書いている。
と、ペンを走らせるのを止める。
『マサキ、コレを頼む。』
そういうと、物を詰め込んでいた手を止め、近寄ってくる。
『何処に飛ばすの?』
マサキが紙を受け取った先から折り畳みながら聞く。
『コレは、ヴィシーの魔術組合。』
『コレは、統合作戦本部。』
『コレは、第2大隊作戦司令室。』
『コレは、第3騎士団団長。』
そう言い、全部で四枚の紙を渡す。
『全部ハヤブサで頼む。』
マコトがそう付け足す。
『はい。』
そう返事をすると、駆け足で隣の部屋へ行ってしまった。
『さっきのは?』
マコトに聞くと、再び走らせていたペンを止め、こっちを向く。
『伝書だ。』
あっさり答え、再びペンを走らせた。
(いや、んなもん見りゃ判るっちゅうねん。)
そう言いたいのをぐっと押さえる。
そして口をついで出たのは別の台詞。

『何でこんな時間に出発するの?』
早朝といっていたのに、まだ空が白んですら居ない。
『ん? ああそうか、まだ言ってないのか。』
マコトがペンを止め、紙をまとめ始める。
『外に森が見えただろう? 昨日居たのはあの森なんだが。』
マコトがココからは見えない森を指差しながら言う。
『うん。 丘の下の森だよね。』
ボクは実際には見えない森の方向を見ながら言う。
『そう。 そこの森の中の魔物の動きが不穏だ。』
思わず表情が固まる。
『不穏?』
マコトに、そう聞き返すことしか出来ない。
『耳を澄ませば判るんだが。』
そう言われて耳を澄ませる。
「オォォーーン・・・  ズズゥン・・・」
部屋の中で人が動く音にまぎれて、微かに異質な音が聞こえる。
『聞こえたろ? ココ暫くは静かな森だったんだけれど、ついさっきになって急にこうなったんだ。』
そうマコトが喋り終わる頃、上から音がする。
「ゴトッ」
マコトが上も見ずに言う。
『屋根のヒイラギが動いたか。 そろそろ潮時かな?』
先ほど手紙を持っていたマサキが戻ってくる。
『ハヤブサで全通出したわ。 残ったハヤブサ、鳩、鷹、トンビは全羽開放。』
報告口調だ。
『あいよ、ご苦労さん。』
マコトがそれを受ける。
ヨモギの方を見やると、こっちも終わったようだ。
『当面最低限必要そうなものは全部詰めたわ。』
四つと、少量の荷物の山がある。
『カエル、貴方はその袋にコレを入れて頂戴。』
その少量の山を指し、ヨモギが言った。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー