プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

KAERU09

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『はい。』
そう答えながら、早速荷物を詰め始める。
その間に、ヨモギはに持つを確認に渡していく。
荷物は少量の水、乾燥食料、薬草か何か、宝石類(おそらく魔法道具)だった。
それらを詰めて、ふたを閉める。
立ち上がると、マコトがポケットから丸い琥珀色の石を取り出す。
琥珀色というか、琥珀だった。
周囲を一本のV字の筋が走っている。
『マサキ、頼む。』
短くマコトが喋る。
すると、マサキが抜刀する。
そしてその琥珀に対して剣を構える。
『フッ!』
短く呼吸すると、V字の筋に剣を振り下ろす。
「ビシッ!」
短い音と共に、琥珀は真っ二つに割れた。
半球の琥珀が二つ机の上に転がる。
マコトが、そのうち一つを拾い再びポケットに収めた。
残った一つはそのままだ。
『こっちはいいの?』
ボクがそうマコトに問う。
『ああ、これはココに置いておかなきゃダメだ。』
マコトが答えつつ、部屋の中央に吊るされたランプに手を伸ばす。
息を吹きかけて火を消すのかと思ったら、ランプの中に手を伸ばした。
そして取り出すと、そこには一つの宝石。
『ソレは?』
ボクが思わず聞く。
『これは、ムーンスーン。 魔力を込めると発光する石だ。 何処の家庭でも明かりとして使われている。』
マコトがそう簡単に説明すると、その石を両手で包み念を込める。
すると、その石が発光を止める。
そのままその石をバッグに詰める。

『よし、行こう。』
マサキが扉に手を掛ける。
その後ろにヨモギ、マコト、ボクの順だ。
と、マコトが勢い良く壁を叩く。
「ドンッ!」
すると、屋根から返事が返ってくる。
「ドンッ!」
その返事を待っていたかのようにマサキが扉を開けた。
先に広がるのは夜の帳。
丁度新月らしく月は無い。
全員が外に出ると、マコトがゆっくりと扉を閉める。
少し離れて小屋の全体を眺め見る。
まるで、ログハウスだ。
全部が全部木で出来ている。
『こら、離れるな。』
屋根の上から声がする。
「スタッ」
続いてボクから少し離れたい地に着地音がする。
そのほうを見ると、ヒイラギが居た。
小屋から少し離れたはずなのに、どうやら飛んできたらしい。
視線をマコト達のほうに戻す。
まだ扉の前にいた。
『やっぱり惜しいなぁ。』
ヒイラギがそう言いながらマコト達に近づく。
『そうね、こんな形でも苦労して作ったもんね。』
ヨモギがそう答える。
マサキは無言で小屋の壁に手を当てている。
今までずっと小屋の扉に手を掛けていたマコトが振り払うように一気に振り返る。
『撤退!』
そして、そう力強く宣言すると、全員顔つきが厳しいものに変わる。
『カエル来い! 行くぞ!』

ヒイラギが僕の手を取り早足で丘を下りだす。
先頭はマサキ。
二番手はマサキ、次いでヒイラギと手を引かれているボク、シンガリはマコトだ。
一列で丘を下る。
暫くそうして下ると、一つの大きな岩が見える。
その後ろに全員身を潜めた。
マコトが岩の陰から小屋の方角を伺っているようだ。
ボクもソレに習って見てみる。
『頭を出しすぎるなよ。』
そう、マコトに言われ、頭を適正な位置まで戻される。
丁度小屋が岩の影ぎりぎりに見える位置だ。
小屋の周りに何かが蠢いている。
遠めで見る限り、二本足らしいが、身長が小屋と同じくらいある。
他に、巨大なミミズのような体も見える。
さらに、小屋の屋根の上にも何体か乗っかっているようだ。
『ギリギリセーフってか。』
ヒイラギが付近を警戒しながらそう言った。
マコトがバッグから先ほど半分に割った琥珀を取り出す。
そして岩陰から勢い良く飛び出す。
両手を組んで前に出し、琥珀を目の前にかざす。
そして目を閉じて何か喋りだした。
組んでいた手を離し、手を左右に離していくと同時に位置を下げていく。
琥珀はというと・・・宙に浮いている。
Mr.マリックも顔負けだ。
フワフワと、多少上下に揺れながら、確かに琥珀は宙に浮いていた。
マコトの足元から風が巻き起こり始める。
マコトの足元を見やると、光の魔法円が浮かび上がる。
『ヒュゥ! やるぅ。』
ヨモギがソレを見ながら言った。
『あの琥珀は、二つでセットになっているんだ。』
突然真横でマサキが説明を始めた。

『球である間は魔力を蓄えつづけ、崩壊、つまり二つに割られると魔力の放出を始めるの。』
『マコトは今、その魔力を使って魔法を使っているの。 だから、あんな高等な魔法が使えるの。』
『あと、もう一つの意味がある。』
その説明にヒイラギが付け加える。
『琥珀にはお互いを呼応しあう性質があってな、ああいう風に二つに割られると、片方の石ともう片方の石が呼び合うんだ。』
『さっき片方を小屋の中に置いてきたと思うけれど、ココで魔法を放つと、魔法はその石に向かって行くんだ。』
ヒイラギが語り終わる。
『まだ足りないわね。』
ヨモギがさらに付け加えた。
『ここにある片割れと、もう一方の片割れは同じ魔力を発しているわ。』
『ココで魔法を発動させると向こうの石も呼応して魔法の発動状態に陥るの。』
『でも、実際に魔法はこっちでしか発動していないから、向こうの魔法はとても不安定な状態でその場を維持する。』
『そして、こっちの魔法が向こうの石の近くに行くと、同じ魔力から構成されている向こうの魔法が発火する。』
『魔法は放出されつづけて、発動前段階で蓄積されていたから、発火の瞬間の魔法の威力は凄まじいモノになるわ。』
ヨモギがそう言い終わり、小屋の方角に視線を向ける。
マコトはまだ魔法詠唱を続けている。
『長い再帰ループだなぁ、おい。 終了条件付け忘れたか?』
ヒイラギが言う。
その言葉に目を見開く。
『再帰ループ!?』
思わず叫ぶ。
と、その口を押さえつけられる。
『叫ぶな、馬鹿。』
口をふさがれたままでは声で返事が出来ないので、頷く。
『ああ、そうだ。 再帰ループといって、同じ詠唱を何度も繰り返すんだ。 タダのループと似てるけれど。』
まさか、こんな所で再帰ループなんて言葉を耳にするとは思わなかった。
明らかに縁遠いと思っていたのに。
そうふけっていると、マコトが動き出す。
『お、行くか。』
ヒイラギの声に合わせるようにマコトが大きく足を開く。

マコトが一気に叫ぶ。
すると巨大な火柱が渦を巻きながら小屋のほうに向かっていった。
小屋のほうは、淡い光を放ちだす。
『あれが、発動前段階の魔力。 綺麗だわ。』
ヨモギが見とれている。
そして、魔法が小屋に達する。
「ドドォォオオオン!!!」
小屋の付近一帯を巨大な炎の塊が襲い、上空高くまで火柱が立つ。
ココまで強烈な熱気と、強い地響きが伝わってくる。
空を見ると、付近の雲が炎の光を映し出している。
そして、その火は一瞬で消えた。
今まで小屋の有った付近は完全に焼け野原だ。
小屋の有った形跡すら判らない。
『よし、コレで法は順守した。 行こう。』
マコトが先立って歩き出す。
それに続いて皆が歩き出す。
さっきと違って早足ではなく、普通に歩き出した。

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