『ねぇ、前に言っていた”法を順守した”ってなぁに?』
かれこれ数日間歩いた後になって聞いてみた。
『ああ、あれは”戦時非常対策法”っちゅう法で定められた手順にあるんだ。』
マコトが静かに答える。
『一応我々は最前線哨戒部隊だからな。』
ヒイラギが自慢げに後ろでのたまっている。
『戦時非常対策法 第6条 戦争不可避の事態の対策 第3項目 最前線基地の対処』
マコトがまるで目の前の条文を読み上げるかのようにスラスラと喋る。
『最前線基地で戦争不可避の事態を察知した場合、その報を火急に知らせた後、最前線基地を抹消。』
『あらゆる情報を抹消した後、その場を退去せよ。 ルート暦512年に定まったことだ。』
どうしても気になったことを聞いてみる。
『そのルート暦って、なに?』
さすがに驚かれる。
『・・・お前は一体何なんだ。 なんで公用暦を知らんのだ。』
マコトに逆に聞かれた。
『いや、何でって言われても・・・ボクは太陽暦と太陰暦しか知らないし。』
またマコトに首を傾げられた。
『太陽暦に、太陰暦ねぇ・・・。 まぁ聞いた限りでは太陽の動きを取り入れた暦になっているんだろうが。』
まだ悩みどころがあるらしい。
『なぁ、太陽暦と太陰暦って知ってるか?』
マコトが他の三人に聞いている。
『知らん。』
あっさりと、しかも聞き間違い様の無い答えが返ってきた。
マコトがシゲシゲと眺めてくる。
『その服装といい、何も知らんことといい・・・。』
ヨモギが横から口が割り込ませてきた。
『ねぇ、随分前に書物で読んだことがあるんだけれど。』
全員の視線がヨモギに注がれる。
かれこれ数日間歩いた後になって聞いてみた。
『ああ、あれは”戦時非常対策法”っちゅう法で定められた手順にあるんだ。』
マコトが静かに答える。
『一応我々は最前線哨戒部隊だからな。』
ヒイラギが自慢げに後ろでのたまっている。
『戦時非常対策法 第6条 戦争不可避の事態の対策 第3項目 最前線基地の対処』
マコトがまるで目の前の条文を読み上げるかのようにスラスラと喋る。
『最前線基地で戦争不可避の事態を察知した場合、その報を火急に知らせた後、最前線基地を抹消。』
『あらゆる情報を抹消した後、その場を退去せよ。 ルート暦512年に定まったことだ。』
どうしても気になったことを聞いてみる。
『そのルート暦って、なに?』
さすがに驚かれる。
『・・・お前は一体何なんだ。 なんで公用暦を知らんのだ。』
マコトに逆に聞かれた。
『いや、何でって言われても・・・ボクは太陽暦と太陰暦しか知らないし。』
またマコトに首を傾げられた。
『太陽暦に、太陰暦ねぇ・・・。 まぁ聞いた限りでは太陽の動きを取り入れた暦になっているんだろうが。』
まだ悩みどころがあるらしい。
『なぁ、太陽暦と太陰暦って知ってるか?』
マコトが他の三人に聞いている。
『知らん。』
あっさりと、しかも聞き間違い様の無い答えが返ってきた。
マコトがシゲシゲと眺めてくる。
『その服装といい、何も知らんことといい・・・。』
ヨモギが横から口が割り込ませてきた。
『ねぇ、随分前に書物で読んだことがあるんだけれど。』
全員の視線がヨモギに注がれる。
『この人って、異世界の人間じゃない? この変な服装、書物に書かれているモノと同じだし、高度な魔法も書物にかかれている伝承と同じだわ。』
今度はボクに視線が注がれる。
『ふぅむ。 なるほどなぁ。 確かに異世界っぽい雰囲気だ。』
(その異世界っぽい雰囲気って言うのが、どういう基準なのか聞きたい・・・。)
ヒイラギに抗議の視線を向けながらそう思った。
『それは良いとして・・・。 いま、そのルート暦とやらで何年なの?』
ついでに聞いてみる。
『ああ、今は確か・・・ルート暦4090年だっけか?』
『違うわよ。 4096年よ。』
ヒイラギの答えに、マサキが突っ込みを入れている。
『ヨ・・・ヨンセンネンですか。』
さすがに少し驚く。
『ソレにしては、あんまり文明が発達していないような。』
思わずそんな言葉が口を出た。
咄嗟に失礼かと思い口を塞ぐが、もう遅い。
マコトの顔色を伺う。
特に変化は無い。
『まぁ、過去に何度も我々は滅びかけているからなぁ。』
マコトがそんなことを言う。
『丁度いいからこの世界の歴史を簡単に教えてやるよ。』
『最初は、120年。 まだ我々の人類が統一した動きを見せぬ頃、シ・ヨーなる軍勢が襲撃してきた。』
『力押しするタイプの魔物が中心で、世界各国を端から順に潰していった。』
『国家機構は見事に全滅して、残ったのは宿場町や小さな村だけになった。』
マコトが言葉を切る。
『そのあと、そのシ・ヨーとかいうのはどうしたんだ?』
ボクがそこで問いかけをする。
マコトがこっちを見て答えた。
『消えた。』
『消えたって・・・そんな。』
『まぁ、黙って聞いてろって。』
今度はボクに視線が注がれる。
『ふぅむ。 なるほどなぁ。 確かに異世界っぽい雰囲気だ。』
(その異世界っぽい雰囲気って言うのが、どういう基準なのか聞きたい・・・。)
ヒイラギに抗議の視線を向けながらそう思った。
『それは良いとして・・・。 いま、そのルート暦とやらで何年なの?』
ついでに聞いてみる。
『ああ、今は確か・・・ルート暦4090年だっけか?』
『違うわよ。 4096年よ。』
ヒイラギの答えに、マサキが突っ込みを入れている。
『ヨ・・・ヨンセンネンですか。』
さすがに少し驚く。
『ソレにしては、あんまり文明が発達していないような。』
思わずそんな言葉が口を出た。
咄嗟に失礼かと思い口を塞ぐが、もう遅い。
マコトの顔色を伺う。
特に変化は無い。
『まぁ、過去に何度も我々は滅びかけているからなぁ。』
マコトがそんなことを言う。
『丁度いいからこの世界の歴史を簡単に教えてやるよ。』
『最初は、120年。 まだ我々の人類が統一した動きを見せぬ頃、シ・ヨーなる軍勢が襲撃してきた。』
『力押しするタイプの魔物が中心で、世界各国を端から順に潰していった。』
『国家機構は見事に全滅して、残ったのは宿場町や小さな村だけになった。』
マコトが言葉を切る。
『そのあと、そのシ・ヨーとかいうのはどうしたんだ?』
ボクがそこで問いかけをする。
マコトがこっちを見て答えた。
『消えた。』
『消えたって・・・そんな。』
『まぁ、黙って聞いてろって。』
マコトに制され、再びマコトは語り始めた。
『その後、一年に渡って人類はシ・ヨーに脅え続けた。 ところがシ・ヨーは最後の国家を潰してからすっかり姿を眩ませて、出てこなかった。』
『その後、五年で残った人類は統一への動きを進めた。 そのときに作った国家がア・センブリだ。』
『三年で国家基盤を整えて、そのときに作られたのがこの公用通貨”ビット”だ。』
そういって、懐から小さな棒状の金属と円盤状の金属を取り出し、そのうち棒状の金属を掲げた。
『もっとも、国家といっても村の集まりみたいなもので、今とは比べ物にならないくらい貧相なものだがな。』
マコトが説明を続ける。
『敵対国家の無いア・センブリはその後ゆっくりと発展を続けた。 シ・ヨーが何時襲ってくるか判らぬ中で軍隊の整備も進めた。』
『100年も立つと、別の土地ではシーという国家も出てきた。』
『それ以外にもいくつかの小さな国が出来てきてな、再び人類がこの土地を支配し始めたわけだ。』
『それから暫くたった256年。 シ・ヨーの脅威から人類全員が共同で取り組むために、公用法という、条約が全国で結ばれた。』
『そのときに取り決められたのが、今使っている言葉の公用語、暦の公用暦、通貨の公用通貨、情報のやり取り公用通信などだ。』
『それぞれに、そのとき最も広く使われていたモノが採用された。 暦も、ルート暦という名称に改められた。』
『通貨には、そのときの小麦取引組合の定めていた一袋の価格、8ビットを1バイトとする通貨単位が加えられた。』
そこでまたボクが話の腰を折る。
『なんで小麦なんだ?』
ヨモギがその問いに答えてくれた。
『小麦は人類の多くの人にとって主食。 その小麦の取引を容易にするのが通貨単位追加の目的ね。』
『そういうことだ。』
マコトが相槌を打ち話を続けた。
『その後、人類は強烈な発展を続けた。 今は失いし特殊技術も持ち合わせていたと文献にはある。』
また、ボクが腰を折る。
『特殊技術?』
『地面の下に眠る特殊な燃える液体を使って動く機械類の事ね。』
マサキが僕の前を歩きながら言った。
マコトがそれに続く。
『その後、一年に渡って人類はシ・ヨーに脅え続けた。 ところがシ・ヨーは最後の国家を潰してからすっかり姿を眩ませて、出てこなかった。』
『その後、五年で残った人類は統一への動きを進めた。 そのときに作った国家がア・センブリだ。』
『三年で国家基盤を整えて、そのときに作られたのがこの公用通貨”ビット”だ。』
そういって、懐から小さな棒状の金属と円盤状の金属を取り出し、そのうち棒状の金属を掲げた。
『もっとも、国家といっても村の集まりみたいなもので、今とは比べ物にならないくらい貧相なものだがな。』
マコトが説明を続ける。
『敵対国家の無いア・センブリはその後ゆっくりと発展を続けた。 シ・ヨーが何時襲ってくるか判らぬ中で軍隊の整備も進めた。』
『100年も立つと、別の土地ではシーという国家も出てきた。』
『それ以外にもいくつかの小さな国が出来てきてな、再び人類がこの土地を支配し始めたわけだ。』
『それから暫くたった256年。 シ・ヨーの脅威から人類全員が共同で取り組むために、公用法という、条約が全国で結ばれた。』
『そのときに取り決められたのが、今使っている言葉の公用語、暦の公用暦、通貨の公用通貨、情報のやり取り公用通信などだ。』
『それぞれに、そのとき最も広く使われていたモノが採用された。 暦も、ルート暦という名称に改められた。』
『通貨には、そのときの小麦取引組合の定めていた一袋の価格、8ビットを1バイトとする通貨単位が加えられた。』
そこでまたボクが話の腰を折る。
『なんで小麦なんだ?』
ヨモギがその問いに答えてくれた。
『小麦は人類の多くの人にとって主食。 その小麦の取引を容易にするのが通貨単位追加の目的ね。』
『そういうことだ。』
マコトが相槌を打ち話を続けた。
『その後、人類は強烈な発展を続けた。 今は失いし特殊技術も持ち合わせていたと文献にはある。』
また、ボクが腰を折る。
『特殊技術?』
『地面の下に眠る特殊な燃える液体を使って動く機械類の事ね。』
マサキが僕の前を歩きながら言った。
マコトがそれに続く。