プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

KAERU11

最終更新:

pfantasy

- view
だれでも歓迎! 編集

『そうだ。 内燃機関という方法で強力な力と、速さが出せるらしい。 その力を使って空を飛ぶことも出来ると読んだことがある。』
聞き覚えのある単語が出てきた。
そして何より、その効果で思い当たる節がある。
『ああ、石油とエンジンの事ね。』
そう言うと、ヨモギが驚いた顔でこっちを見た。
『へぇ。 そんな失われし技術しってるの?』
『えと・・・まぁ。』
詳しい方法とかは知らないので、言葉を濁しておく。
するとマコトが説明を続けた。
『まぁそんな時代が二千年ほど続いた。 歴史書に出てくる栄光の二千年だ。』
そこでいったん言葉を切った。
『この頃の人類はさっきも言ったように非常に高い工業能力があって、軍隊も高度化した。』
『人口は数億人を数えたという。』
『もはや、過去に襲ってきた魔物のことも伝説・神話になった頃だった。』
『ルート暦2300年4月22日 午前5時52分20秒 ヴィ・ルスが突如として出現。』
『コイツは非常に厄介でな。 特に数が多いんだ。 そりゃあもう、恐ろしくなるくらいにな。』
『出現した時には、数は1200体の魔物で、各国政府も数日中に片がつくと睨んでいたらしい。』
『4月23日 正午 一番近かったシー国は軍勢を集めた。 残っている書籍によると一万から集まったらしいな。』
『そして23日 午後8時 闇に乗じて戦闘を開始・・・というのが残されている。』
マコトが懐から小さな本を取り出した。
覗き込むといろいろメモが書いてある。
『えっと。 この時の記録はシー国には残されていないんだが、別の国の軍事記録にこれに関する記述がある。』
『シー国軍勢一万が戦闘を開始した時点で魔物の数は27万。 戦力差は歴然。 シー国軍は一晩で消えた。』
『シー国に伝わる恐怖の一夜ね。』
マサキがそれに補足する。
『そう。 そして各国は恐れ直ちに対応を練るがもう遅い。 次の日の時点で既に数が100万を超えた。』
『その後一週間で国は全滅。 人類も数万人にまで減らされた。 技術書物を中心に、殆どの書物が消えた。』
『人類は築き上げた文明を一挙に失ったんだ。』

『もはや希望も失った人類に一つの希望が輝く。 ノー・トンという学者がヴィ・ルスの魔物軍に対して効果のある薬を開発したんだ。』
『数万まで減らされた人類は、残された希望をこの薬に頼った。 大量に複製して魔物軍に投入したところ、その効き目は絶大で、一気に形勢は逆転した。』
『一年ほど人類と魔物の攻防が繰り広げられ、辛うじて人類は勝利した。 このときの人口は一万を切っていたという。』
『ルート暦2310年には各国のそれぞれあった所に再び国を築き始めた。』
『文献から法律も復活させ、条約もそのまま適用されるようになった。』
『工業技術など、多くのものを失ったが、何とか人類は再び息を吹き返したんだ。』
『この後もたまにヴィ・ルスの魔物軍が襲ってくるが、ノー・トン博士の研究所が中心になったヴィ・ルス対応組織が直ぐに対処を打つので人類壊滅には至らなくなった。』
『次に魔物が大規模に襲来したのは、2560年。 ようやく基盤が整いつつあった人類にバ・グの軍勢が襲ってきた。』
ここでヨモギが口を突っ込んでくる。
『ねぇ、そのバ・グなんだけれど、今のバ・グと何か違うの?』
『いや、殆ど違いは無いと思う。 んで、こいつらは、数が少ないんだがしつこくてな。』
マコトはそのまま続けた。
『ねぇ宿泊地が見えてきたよ。』
今度はマサキが話を折った。
『おお、見えてきたか。』
マコトの顔が明るくなる。
マサキの見る先には、確かに人工建築物が見える。
今晩は、どうやら宿屋で眠ることが出来そうだ。
『んで、話の続きは?』
『ああ、ココから先の話は簡単なんだ。』
咳払いをしながら続きを話し始めた。
『最初の、そのバ・グの軍勢は、剣で何とか退けたんだが、人類は魔法技術の衰えを痛感したらしいんだ。』
ヨモギが再び口を突っ込んできた。
『バ・グの魔物は魔法を中心に来るからね。』
そのままマコトが続ける。
『ルート暦2700年には、消え去ったと思われていたシ・ヨーの軍が出現してきたんだ。』
『余りにも時間が開き過ぎているのと、ヴィ・ルスの攻撃でシ・ヨーの情報はほぼ全て失われていた為、相当苦戦したらしい。』

『2800年に、シ・ヨーが再び消えるまでなんとか堪え凌いだものの、人類の発展はコレでまた遅れたわけだ。』
『その後、ルート暦3000から、4000年までは、不定期的に、シ・ヨーの軍隊と、バ・グの軍隊が交互に襲ってくるようになった。』
『恐怖の1000年間と呼ばれる期間だ。』
マコトが他の三人に振り返りながら説明している。
『同時には襲ってこないんだ?』
そのマコトに問い掛ける。
『ああ、どうも、このシ・ヨー、バ・グ、ヴィ・ルスの三つの勢力はお互いに覇権争いをしているらしくてな、同時に襲ってくることは有り得なかったんだが。』
また、微妙な言い回しだ。
『何で過去形なんだよ・・・。』
そう文句を言うと、ヨモギが説明してくる。
『今までは、同じ土地に同じ派閥の魔物がいることが有り得なかったんだけれど。 貴方を見つけたあの森、あそこには二種類の魔物が居たわ。』
思い当たった。
最初にボクが部屋の鍵を捻じ込んだ魔物は、明らかに力を主体にした攻撃法の魔物。
一方、その後に襲ってきた魔物は、魔法で襲ってきた。
思いをはせて居ると、ヨモギが説明してきた。
『そう。 貴方が最初に襲われていたのがトロール。 シ・ヨーに所属する魔物よ。』
『一方、その後に魔法を放ったのはバ・グの所属のドルイド。 もっとも、後に襲ってきた魔物集団のほうが一番の問題なんだけれどね。』
『魔物集団には、ドルイド2体に、弓使い3体、ミドルトロール4体の混成部隊。 両方の派閥の魔物が居たのよ。』
『それってつまり・・・?』
ボクが聞く。
『バ・グと、シ・ヨーが結託、または同盟を結んだ可能性が高いの。』
『今まで有り得なかった事だけに、どういう事態になるのか・・・。』
ヨモギが短く、そう締めくくった。
前を見るともう町が目の前だ。
『あれ・・・?』
先に走っていったヒイラギが声を挙げる。
『ねぇ、誰も居ないんだけれど。』
マコトの顔が一瞬青ざめたように見えた。
だが、いまは澄ました顔だ。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
ウィキ募集バナー