プログラマーがファンタジー世界に召還されますた(非公式まとめ)

KAERU12

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『まぁ、ココはあの森から一番近い宿場町だからなぁ。 おそらく退避命令が出たんだろう。』
『ねぇ、じゃあ宿はどうするのよ。』
マサキがマコトに向けて言う。
『勝手に泊まったれ。 どうせ誰も居ないし、大丈夫だろ。』
マコトはサラリと言った。
『オイオイ。』
ヒイラギが何か言いたげだ。
『大丈夫だって。 ちゃんとお金も置いていくし。 ココの宿のオバちゃん優しいし。』
そう言いながら、ズンズン町へと進んで行く。
それに付いて皆進んでいった。
本当に誰も居ない。
露天と思われる店も全て閉じてるし、入り口の開いている家が一軒も見当たらなかった。
『ここだ、ここだ。』
マコトが一軒の大きめの家の正面で止まった。
家の軒先に掲げられた看板にベットのマークが描かれている。
『RPGと同じやね。』
思わずそう独り言が漏れる。
と、閉じられた扉に貼り付けられた手紙に目が止まる。
『コレは?』
マコトに聞いてみる。
『オレも、さっきからコレが気になっていたんだ。』
そう言いながら、それを取り外し読み始める。
『オレ宛だな、コレは。 宿屋のオバちゃんからだ。 えっと・・・。』
マコトは手紙を読み始めた。
『ははっ。 ここに来ることが判っているらしいな。 勝手に泊まって良いとさ。』
直ぐ横にいたヨモギに手紙を手渡した。
『ちょっと待ってろ。 中から開けてくる。』
マコトはそう残し、家の横に回りこむ。
隣の家との狭い隙間に入り込み、壁伝いに登り始めた。
『よっと。』

そう掛け声を発すると、二回の窓を開けて中に入っていった。
暫く待つと、家の扉が開く。
『お待たせ。』
中からマコトが出てくる。
『随分手馴れてるわね。』
マサキが冗談交じりに笑いながら、そう問い掛けた。
『まぁな。 毎日の練習の成果だ。』
マコトも笑いながら答えている。
『まったく、どういう練習なんだか。』
ヨモギがそう言いながら中へ入っていった。
皆もそれに続く。
入って直ぐの位置に二回へと上る階段と、カウンタがあった。
皆、そのまま二回へと登って行った。
ボクもそれに続く。
扉が六つあるので、六部屋あることが判る。
『んじゃあ、全員一部屋・・・。』
マサキが何時の間にか抜刀して、剣をマコトに向けている。
『・・・は冗談として全員バラバラに寝るのも、今の状況を鑑みると危険だ。』
マコトから冷や汗が垂れている。
『男組と、女組で一部屋づつね。』
マサキは剣を収め、部屋の一つに入っていく。
ヨモギもそれに続く。
『ちっ。』
そうヒイラギが冗談交じりに笑いながら舌を鳴らす。
『死にたくは無いだろう?』
マコトが半分笑い、そう答えながら彼女達の正面の部屋に入っていく。
なかなか大きめの部屋だ。
ベットは四つ有る。

大き目の窓が三つあり、外が見えた。
そろそろ日が沈みそうな頃合である。
背負っていたバッグを置き、マコトが部屋を出た。
『そろそろご飯にしようぜー。』
そう声をかけると、向かいの扉が開き、ヨモギが顔を出した。
『あいよ。』
そう答えると扉を一度閉め、再び開いた。
今度はマサキも一緒に出てきた。
ヨモギを先頭に一階に降り、何の迷いも無く厨房へと入っていく。
僕らは、その隣の食堂と思しき部屋へと入り、適当な席についた。
『さてと、これからだが。』
そうマコトは仕切りだした。
『ハヤブサはもう既にヴィシーに事態を知らせ、この近辺はおそらく厳戒態勢に入っていることだろう。』
『ハヤブサには超特急便で行ってもらったから半日で着いて、そこから折り返し便で宿場町・衛星都市に行くまで更に半日だ。』
『それから町の撤収まで2,3日。』
『ココに来るまでで、八日掛かっているから、まぁ三日前にはこの町はスッカラカンだった計算な訳だ。』
そんな説明をしてくる。
『で? これからどうするんだ?』
ヒイラギがマコトに問うている。
『明日、この町を出て、22番通りを進む。』
『何で22番通りなんだ? 最短距離は21番通りだろう。』
ヒイラギが再び聞く。
『最短ルートは、魔物が後ろから追跡してくる形になる可能性が高い。 オチオチ寝てることも出来ないなんてのは嫌だし、こいつもいるしな。』
マコトがこっちを見ながら言う。
『22番通りは道が狭いけれど、宿場町が多いし、旅をしやすいからな。』
色々話しているうちに、料理が出てきた。
質素だが、ここ数日の保存食を考えるとご馳走に近い。
『お、美味そうやね。』

ヒイラギが早速料理に手をつけ始めた。
『オバちゃん準備良すぎよ。 もう。』
ヨモギがそんな愚痴をこぼしている。
『今すぐにでも再開できるくらい、色々揃ってたわ。』
ヨモギも席につき、料理に手を伸ばす。
『いただきます。』
ボクも料理に手を伸ばし、食し始めた。
『んでだ、ヴィシーまでは、ココから大体一ヶ月くらいだ。』
マコトがさっきの話を続けた。
『ブッ!』
思わず料理を吹き出しそうになる。
『一月!?』
マコトに向く。
『ああ、そうだ。 ココからヴィシーまで、昼間にだけ歩いたとして一月くらい掛かるだろう。 お前も居るし、そうはや歩きも出来ないしな。』
マコトは相変わらず料理に手を伸ばしている。
『うん・・・。』
そう言われると、言葉の返し様が無い。
ボクも再び料理に手を伸ばし始めた。
食べ終わると、再び二階の部屋に戻った。
夜の帳が下りている。
空には月が昇っていた。
『ホレ、寝るぞ。 明日も距離歩くからなー。』
ボクはマコトのその声を聞いて、床に着いた。

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