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あねくろ@臨時まとめ
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あねくろ@臨時まとめ

やっぱり帰りたい

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だれでも歓迎! 編集
(前回画面から回想)
【背景変更:学校の廊下】
【BGM:日常用かしのしの用】

「うんせ……わっせ……」
職員室へと向かう廊下を、志乃はフラフラと歩いていた。
両手にはどっさりと抱えられたノートだのプリントだのの山。
「よいしょ、よいしょ……」
わざわざお約束的な声を上げながら、よたよたと階段を上る。
「ん……あれは?」
たまたま廊下を通りがかった舞人は、よたよたと階段を上る危なっかしい人影を視界に捕らえ、足を止めた。
見慣れた短めのツインテールの頭。
「有栖川さん?」
「ふぇっ、や、八神君……わったっ!?」 【EF:シェイク】
「うお!?」
声に反応して振り返ろうとした志乃が、階段の上でバランスを崩す。
その体が、前後に大きくふらふらと揺れ動く。
(こ、これはいいまるちwwwww)
だが、事態はそんなことをいっている場合ではない。
「危なぁぁぁい!!」
内心ではそんなことを考えつつ、舞人はわれに返って階段に向かってダッシュした。
だが、
「よ、っと……とっとっと、たっ!」
「あらーっ!? アダモステッ!!」 【EF:シェイク】
志乃は器用に体を操り、階段の上で絶妙なバランスをとってみせた。
落ちかけていたのが嘘のように、その足はしっかりと段を踏んでいた。
「あっ、八神君だいじょうぶ!?」
反面、助けにいったつもりが落ちてくるはずの志乃が落ちてこず、勢い余ってすっころび、階段に激突する舞人。
「あ、あはははは……だいじょーぶだいじょーぶ」
デコを真っ赤に腫らしながら強がる。
めっぽう痛かったが、どうにか涙はこらえることが出来た。
「そ、それより有栖川さん。どしたの、その荷物」
「あ、これ? ちょっと職員室に用事があったんだけど、ついでだからって提出するノートとかプリント頼まれちゃって」
「全部をか?」
「うん」
「……おいおい、こんなにたくさん女の子ひとりに任すなんてさすがの俺でも引くわ」
舞人は内心、これを押し付けたクラスメイトたちにドン引きしながら、半ば強引にそのノートを奪い去った。
「あっ……」
「せっかくだし手伝うよ」
「で、でも……」
「いいから」
そういって舞人は職員室に向かって歩き始める。
(うはwwwエロゲかギャルゲのイベントみたいだなwwww)
きわめて一般の生徒を装っているが、内面はどうしようもないオタの舞人。
ついついそんな考えがよぎってしまう。
「や、八神君……」
「なっ、なな、なんだ?」
追いついてきた志乃が、控えめに声をかけてくる。
顔にニヤケが出てしまったのか。内心を見透かされているのではないかと思い、思わずどもる舞人。
「あ、ありがと……」
だが、志乃の口から出てきたのは、ささやかな感謝の言葉だった。
「……な、なに。気にするなよ」
「ううん、本当にありがと。こうして気遣ってくれたこと、あんまりないから……」
にっこりと微笑を浮かべたあと、わずかにその笑顔が曇る。
「い、意外だな……有栖川さん、なんかみんなから優しくされそうなイメージがあるのに」
「そうでもないんだよ……いろいろ、頼られることはあるんだけれどね。あっ、もちろんイヤじゃないんだけど」
そういって再び微笑むが、お礼を述べたときの笑顔とは天と地ほどの差があるように感じられた。
そこへ、クラスメイトの女子が通りかかった。
「あっ、しのしの職員室行くの?」
「し、しのしのって言わないでよー……」
「いいじゃん、可愛いんだし。それよか、職員室いくなら古文の先生に宿題の期限待ってくれるように頼んできてくれない?」
女子生徒は悪びれる様子もなく、手を合わせて小悪魔チックな愛らしい笑を浮かべてお願いした。
舞人にはそれが小悪魔的どころか、面倒ごとを志乃に押し付けようとする悪魔の微笑みのように思えてくる。
「お、おい……そんなこと自分で……」
「………うん、いいよ」
だが、舞人が女子生徒に言い返すより早く、志乃はこくんと頷いていた。
「さんきゅー! 助かった! しのしのだと、先生もお願い聞いてくれるしね~」
そういって、女子生徒はぱたぱたと廊下を走って消えていった。
再び職員室へと向けて歩き出す志乃を、舞人は慌てて追った。
「有栖川さん、いいのかあんなこと……ああいうのこそ、自分で言うべきだろ……」
いつも宿題提出が遅れるどころか、やりもしないことが多い自分のことを棚にあげて、女子生徒の態度に憤然とする舞人。
「うん、いいの……。みんなの役に立てれば嬉しいし」
そういって微笑む顔も、やはりどこか寂しげだった。
「……イヤならちゃんとイヤって言わないとダメだぞ?」
「ありがと……でも、本当にイヤじゃないから、大丈夫だよ」
「……なら、いいんだけど」
それきり無言になってしまう二人。
職員室までは、まだだいぶ距離があった。
「……そ、そういえば、しのしのって」
「っ! やっ、やだぁ、そう呼ばないでよぅー!」
「有栖川さんのあだ名? なんか、似合ってるね」
何か会話が欲しくて必死に探して振ってみた話題だったが、思いのほか食いつきはよかったようだ。
顔を真っ赤にして反論してくる志乃。
「まぁまぁ。いつまでも苗字で呼ぶってのもなんだし、これからはこう呼ぶことにしよう」
「ご、強引だよぅ、八神君……」
「ほら、しのしのも八神君なんて他人行儀だぞ。名前で呼んでくれたって俺はかまわないぞ」
「だ、だからしのしのって……」
「早くいかないと休み時間終わっちゃうぞ、しのしの」
そういって笑いながら職員室に向けて走り始める舞人。
志乃はしばらく何か言いたげな顔でうなっていたが、やがて観念して小走りで舞人の後を追い始めた。
「ま、待ってよー……ま、舞人くん……」


(回想終了)


「……ん」
まぶしい朝の日差しが降り注ぎ、志乃はうっすらと目を開けた。
知らない天井――ではない。
まだ頭のエンジンはかかりきっていないが、昨夜のことくらいはすぐに思い出せた。
ここは、魔法や魔王が現実する異世界フォスタリア。
魔術大国ルネーニの王城の客室のベッド。
「……やっぱり夢じゃないよね」
志乃の聡明な頭脳は、寝起きながらに状況を完璧に把握し、非現実な現象も真摯に受け止めていた。
「……あれ……そういえば舞人……」
何の因果か、自分よりも先にこの世界へ召喚されていた舞人の姿を探す。
彼の存在が、志乃がどうにか冷静を保てた要因のひとつでもあった。

ぶにっ。

「ぶに……?」
「ああん……」
ベッドに手をついたはずなのに、不可思議な感触。
そして、悩ましげな声。
志乃の視線が手元へ移動し、
「ま、まままま、まいとぉぉ!?」
自分の隣でぐっすり眠りこける舞人の姿を視認した。
「そ、そそそっ、そんなぁぁ、まだ早いよぅ、舞人っ!!」

どぎゃああっ!!【EF:シェイク】

「くえっしょんあっとみーっ!?」
何をトチ狂った勘違いをしたのか、志乃は真っ赤になって舞人を突き落とした。
頭からモロに床にダイブした舞人は、悲鳴をあげてそのまま意識を闇へと沈めていく。
「ああっ、ま、まいとぉー!」
それから、自分が舞人に想像以上のダメージを与えてしまったらしいことを知り、慌てて介抱する。

………
……
…

「う~~ん……なんでこんなに頭が痛いんだろう?」
「あ、あはは……き、気のせいじゃないかなぁ?」
咄嗟にごまかす志乃。
舞人はしきりに首をかしげていたが、やがて気にするのをやめた。
その折、コンコンとノックの音。 【SE:ノック】
「あっ、はーい」
「おはようございます、勇者様。シノ様」
戸口で恭しくお辞儀をしたのは、メガネをかけたメイドだった。
確か名前はメイといったはずである。
「お、おはようございます」
つられてぺこぺこと頭を下げる志乃。
舞人はすでに慣れているらしく、軽く手で挨拶を送る。
メイは笑顔を浮かべ、それに答えるとさくっと本題を切り出した。
「朝食のご用意が出来ています。ルネ様もお待ちです、どうぞこちらへ」


(暗転)


「どうですか、お二人とも?」
メイに案内されたのは、舞人がフォスタリアに召喚されてすぐの頃、ルネからこの世界について教えられたときのテラスだった。
日当たり、風通し、景色のどれをとってもすばらしい。
「うん、美味だ美味」
「美味しいです」
さも当たり前といった風に並べられた朝食をがっつく舞人と、恐縮する志乃。
まるで対照的だが、朝食が美味しかったのは二人とも同じようだ。
「落ち着きましたか?」
「ええ、ありがとうございます……」
朝食が終わると、メイ特性の紅茶を出された。
現実世界とは違った葉を使っているのか、嗅いだことの無い香りと味だったが、こちらもなかなか美味しい。
気持ちが落ち着いてきたところで、志乃は思い切って切り出した。
「あ、あの……王様」
「ルネで結構ですよ、シノさん」
「は、はい……えと、ルネさん」
「なんでしょう?」
ルネは紅茶を一口含み、微笑む。
「……わたしたちを、元の世界に返してくれませんか?」
「ちょっ、おい志乃!?」
やはり紅茶を飲みながら思いっきり寛いでいた舞人は、志乃の言葉に紅茶を噴き出した。
慌てて志乃の口をふさぐ。
「おまっ、そんな堂々といってどうする!? 俺は仮にも勇者なんだぞ、そう易々と返してくれるわけ……!!」
志乃の口をふさぎながら、その耳元でささやく。
しかし志乃は、やんわりと、それでいて力強意思を持って舞人の手をどかした。
「お願いします、ルネさん……あなた方の世界の現状はわかります。……ですけど!」
「………」
志乃の必死の訴えを、ルネは黙って聞くだけだった。
何かを思案しているようにも思える。
その間、舞人は生きた心地がしなかった。
(おいおいおい……ルネには秘密にしとこうと思った矢先にこれかよ……沈黙がこえぇぇ!)
その思いを見透かしたように、ルネの瞳が開かれ、舞人を直視する。
「……勇者様も、やはり元の世界へ帰りたいですか?」
真剣な表情。
「……お、俺は」
「舞人……」
口ごもる舞人を不安げな瞳で見つめる志乃。
二つの瞳に射られる舞人。
ルネの刺すような真剣なそれと、志乃の捨て犬のようなそれを交互に見やる。

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