以下のSSは第二期大戦中に各参加者から本スレに投稿されたものとなります。
本戦チャットログの流れと合わせて楽しまれる事をお勧めします。
本戦チャットログの流れと合わせて楽しまれる事をお勧めします。
徳川清山 ◆828cMSHADE 氏作 :2009/04/25(土)
――国内 某所――
カツカツカツ・・・
甲高く靴音をあげながら歩く眼鏡の男。
彼は張り紙をする事よりもわかりやすく、自らの感情を表に出していた。
そう、彼は苛立っていたのだ。
甲高く靴音をあげながら歩く眼鏡の男。
彼は張り紙をする事よりもわかりやすく、自らの感情を表に出していた。
そう、彼は苛立っていたのだ。
扉の前に立ち、主の許可も問わずに扉を開けた。
「どういうことなんですか、これは!」
手にした書類をデスクに叩き付け、目の前の椅子に深く腰掛けた主の答えを待つ。
「まぁまぁそう苛立つな、三島君。ローズティでもどうかね?」
問い掛けられた眼帯の男は詫びる様子もなく、手にしたカップを薦める。
「私はそういった類の物には興味がありません。それよりも、私が聞きたいことは3つあります!
一つ、あなたは直前の試験の為にてん…カブトを呼ぶと言ったはずだ!しかし実際には現れなかった!
二つ、あの場に呼ばれたのは私も知らされていないライダーがあの場にはいた!何なんですか、あの赤いライダーは!
そして最後の三つ!あのヴィジョンはなんですか!?」
一つ、あなたは直前の試験の為にてん…カブトを呼ぶと言ったはずだ!しかし実際には現れなかった!
二つ、あの場に呼ばれたのは私も知らされていないライダーがあの場にはいた!何なんですか、あの赤いライダーは!
そして最後の三つ!あのヴィジョンはなんですか!?」
「ふむ…まず一つめ。カブトは呼べたらいいなぁ、という程度だ。期待させてすまなかったな。
三つめ、あれは桜井侑斗君をあの場で焚きつけるためのちょっとしたプレゼントだ。本物は今頃コーヒーでも淹れてるんじゃないかな」
三つめ、あれは桜井侑斗君をあの場で焚きつけるためのちょっとしたプレゼントだ。本物は今頃コーヒーでも淹れてるんじゃないかな」
眼帯の男の回答に三島は舌打ちをしつつも強引に自らを納得させた。
「では、二つのめのあの赤いライダーは!?」
「あれは…気にするな。我々の技術はあの赤いライダーの大本の技術を流用している部分が多々にある。
それが彼を呼び寄せてしまった原因だろう。だが彼の舞台はここではない事だけは言い切れる。早々に退場してもらうさ」
それが彼を呼び寄せてしまった原因だろう。だが彼の舞台はここではない事だけは言い切れる。早々に退場してもらうさ」
眼帯の男は言うだけ言うと立ち上がり、窓辺から見える景色に目を細めた。
「私の『夢』の為に…何人か呼ぶ必要があるのは事実…だが、そこに私の意思を介入させては意味がないのだ。
私自身誰が呼ばれるのかわからない、それくらいが面白い」
私自身誰が呼ばれるのかわからない、それくらいが面白い」
「面白い、ですか。それなら貴方がわざわざ持ち帰ったサンプルが強奪された事については?」
「サンプル…あぁ?白いアギトの事かね?気にするな、所詮は不完全。黒い方さえあればいいのだよ…ま、それもただの駒にすぎないがね」
話は終りとでも告げるように眼帯の男は手にしたローズティを楽しみ始めた。
三島も既に言うべき事は無いのか、或いは言っても無駄と考えたか…眼帯の男の部屋を抜ける。
三島も既に言うべき事は無いのか、或いは言っても無駄と考えたか…眼帯の男の部屋を抜ける。
そして男の部屋には静けさが戻り、手にしたローズティから温もりが消え去った頃――
「そろそろ、始めようか」
指を一つ鳴らし、部屋の影から一人の男がゆっくりと現れる。
「君達の協力には素直に感謝している。ゆえに心苦しい…君にくだらん掃除係を頼むのは」
「気にするな、これも偉大なるショッカーのためだ。そのためなら俺は何でもしよう」
眼帯の男…徳川はその言葉に口を緩ませ、男の胸にバラを一輪差し込んだ。
「折角のチャンスを生かせない愚かな参加者の『首切り』の仕事…君に任せる」
――――ライダー大戦・第2期――――
―――― 1st ステージ ――――
『交わる刃』
キックホッパー ◆YVjPJigR06 氏作 :2009/04/25(土)
季節は7月に差し掛かっていたが、時期に関わらず雪原に包まれるこの地方は、今日も木々の合間からしんしんと細い雪が降り続く。
静寂が支配し、人の往来の全く感じられない林の中を、男が一人歩いていた。
ろくな荷物や防寒具も纏っていないその男は、よく見ると背に人を背負いながら重い足取りを刻んでいる。
背負われた男は長い道中の中そこかしこに雪が積もっていたが、身動きひとつ取らずそれを払おうともしない。背負った男も、動かぬ相方を気にかける様子はなかった。
男達の無言の雪中行軍はしばらく続いたが、やがて林を抜け、開けた場所に出た所で止まった。
静寂が支配し、人の往来の全く感じられない林の中を、男が一人歩いていた。
ろくな荷物や防寒具も纏っていないその男は、よく見ると背に人を背負いながら重い足取りを刻んでいる。
背負われた男は長い道中の中そこかしこに雪が積もっていたが、身動きひとつ取らずそれを払おうともしない。背負った男も、動かぬ相方を気にかける様子はなかった。
男達の無言の雪中行軍はしばらく続いたが、やがて林を抜け、開けた場所に出た所で止まった。
眼前に広がる光景に、男…矢車 想は深く息を漏らし、背中の相方を雪上に降ろす。
崩れるように隣に座り込み、矢車は力なく横たわる男を肩を抱いて起こした。
崩れるように隣に座り込み、矢車は力なく横たわる男を肩を抱いて起こした。
「相棒…あれが俺達の求めた光だ」
矢車が眩しそうに見つめるのは、煌々と輝く太陽だった。
時間は深夜だったが、夜空は浮かぶ太陽に照らされ、そうと知らねば昼とあまり変わりない。
闇の中でも掴める光、白夜。夜の住人をも照らすという太陽を求め、矢車とその義弟であり相棒、影山 瞬は遠い故郷の地を旅立ち、今ようやくそれに邂逅したのだ。
時間は深夜だったが、夜空は浮かぶ太陽に照らされ、そうと知らねば昼とあまり変わりない。
闇の中でも掴める光、白夜。夜の住人をも照らすという太陽を求め、矢車とその義弟であり相棒、影山 瞬は遠い故郷の地を旅立ち、今ようやくそれに邂逅したのだ。
もっとも、矢車が支える影山は白夜を前にしても相変わらず動きを見せることはない。
動くわけがない。死んでいるのだから。
矢車は、瞼を開ける事のない影山の髪から雪を払ってやった。
動くわけがない。死んでいるのだから。
矢車は、瞼を開ける事のない影山の髪から雪を払ってやった。
「感じるか?この光を。お前も喜べよ…」
応えることのない相手に声をかけながら、矢車の瞼も徐々に落ちそうになっていた。
雪の冷気と重みに体力を奪われつつ、人一人担いでここまで歩いてきたのだ。
苦行の終わりと共に押し寄せてきた疲労の波は、闇の住人となり果てたとはいえ、
かつてZECTでエリート部隊の隊長を務めた男の強靭な体力を持ってしても耐えがたい、甘い死の眠りに誘っていた。
雪の冷気と重みに体力を奪われつつ、人一人担いでここまで歩いてきたのだ。
苦行の終わりと共に押し寄せてきた疲労の波は、闇の住人となり果てたとはいえ、
かつてZECTでエリート部隊の隊長を務めた男の強靭な体力を持ってしても耐えがたい、甘い死の眠りに誘っていた。
だが、幾日も想いを馳せたこの光はしかと見た。
隣には苦楽を共にした弟も居る。彼がこの先に望むものなど、何があるだろう?
影山を抱えたまま、矢車の意識は疲労感と小さな満足感に浸りながらまどろんでいった。
隣には苦楽を共にした弟も居る。彼がこの先に望むものなど、何があるだろう?
影山を抱えたまま、矢車の意識は疲労感と小さな満足感に浸りながらまどろんでいった。
―突如、風が吹きすさんで木々が軋み、静寂に包まれていた世界が崩される。
薄明で彩られていた空は異世界に放り込まれたように暗くなり、空は太陽を邪魔するように広がった怪しげな魔法陣に占められた。
矢車が瞼を開くと、内側に闇を湛えた魔法陣から、この場に居る二人…生きている一人、に向けてであろう、何者かの声が流れ出る。
薄明で彩られていた空は異世界に放り込まれたように暗くなり、空は太陽を邪魔するように広がった怪しげな魔法陣に占められた。
矢車が瞼を開くと、内側に闇を湛えた魔法陣から、この場に居る二人…生きている一人、に向けてであろう、何者かの声が流れ出る。
力を持った君達
君達はその力で或いは何かを護るために戦っただろう
だが世界は君達の為に何をした?報いの無い世界に嫌気が差していないだろうか? …――
君達はその力で或いは何かを護るために戦っただろう
だが世界は君達の為に何をした?報いの無い世界に嫌気が差していないだろうか? …――
――…
意識を現実に引き戻した矢車は、一瞬で変わり果てた光景をもう一度見渡してから、弟を雪原へと横たえた。
声の止んだ魔法陣を見上げると、手を胸元にかざす。
意識を現実に引き戻した矢車は、一瞬で変わり果てた光景をもう一度見渡してから、弟を雪原へと横たえた。
声の止んだ魔法陣を見上げると、手を胸元にかざす。
「笑ったな?」
その手の中に、嬉々としてバッタ型の機械…彼のもう一人の相棒、ホッパーゼクターが何処からか飛び込んでくる。
「俺達の安息を…笑ったな」
腰のベルトの中央部を開き、ホッパーゼクターを滑り込ませる。
「―変身」
――Henshin――
――Change Kick-Hopper――
――Change Kick-Hopper――
瞬間的に形成された緑の装甲に包まれると、矢車は大きく溜息をつき、影山を一瞥した。
「…相棒…。どうやら、俺の行く先にはまだ闇が待っているらしい…
お前は先に光を掴んでいろ。後から行く」
お前は先に光を掴んでいろ。後から行く」
スーツによって視力を強化された視線を空の魔方陣に向ける。
その複眼の奥の瞳には、ここしばらく彼があまり表していなかった感情が宿っていた。
それを激怒と人は呼ぶ。
その複眼の奥の瞳には、ここしばらく彼があまり表していなかった感情が宿っていた。
それを激怒と人は呼ぶ。
「ライダージャンプ」
――Rider Jump――
――Rider Jump――
跳躍した緑の戦士は、魔方陣の闇の中へと一直線に吸い込まれていった。
草加デルタ ◆hMwrrnad.U 氏作 :2009/04/25(土)
「どういうことなんだ・・・!」
雅人は困惑していた。
啓太郎から怪物の出現を聞きつけ、現地に向かうと
何故かそこにいたのはオルフェノクとは異質な、節足動物を擬人化したような怪物だった。
対処のため、カイザに変身しようとした刹那
その怪物の呼び出した黒い魔方陣のようなものに吸い込まれて意識を失い
目を覚ましたときには見知らぬ土地に彼は放り出されていた
何故かそこにいたのはオルフェノクとは異質な、節足動物を擬人化したような怪物だった。
対処のため、カイザに変身しようとした刹那
その怪物の呼び出した黒い魔方陣のようなものに吸い込まれて意識を失い
目を覚ましたときには見知らぬ土地に彼は放り出されていた
それは、この地球(ほし)のものではないかのように異質で、生気を感じさせない灰色の大地
理解しがたい体験が次々と襲い掛かり、とやかく考えるより先に激しい違和感と不快感を覚えていた彼は
足元に、唯一見慣れた物体があることを確認した
理解しがたい体験が次々と襲い掛かり、とやかく考えるより先に激しい違和感と不快感を覚えていた彼は
足元に、唯一見慣れた物体があることを確認した
「これは・・・スマートブレイン製のツールボックスか」
彼は早速それを開けてみる。しかし、中に入っていたのはカイザギアではなく、白いギアであった。
彼は早速それを開けてみる。しかし、中に入っていたのはカイザギアではなく、白いギアであった。
デルタギア。スマートブレインのライダーズシステムの中でも、最初期に実用化されたモノで、最も高い出力を持つライダー、デルタに変身できるギアである。
確かに、雅人はこれを一時期所有していた。
しかし、今は彼と同じ、元流星塾の三原修二が所有しているはずだ。 それも、自分が渡したのだ。それがなぜこんなところに・・・?
確かに、雅人はこれを一時期所有していた。
しかし、今は彼と同じ、元流星塾の三原修二が所有しているはずだ。 それも、自分が渡したのだ。それがなぜこんなところに・・・?
そう考えながらボックスを物色していると、手紙のようなものを見つけた。ツールボックスを開けたときのように、考えるより先に手紙を開封する何よりも情報が必要だ。
序文は、そのギアを使用してこの世界に集ったほかの戦士たちと戦えという内容であった
雅人には、いまいちその目的が理解できなかった。この世界の謎についての説明があるわけでもない
従って、あまり積極的に参加する気にもならなかったが、手紙を読み進めていると
序文は、そのギアを使用してこの世界に集ったほかの戦士たちと戦えという内容であった
雅人には、いまいちその目的が理解できなかった。この世界の謎についての説明があるわけでもない
従って、あまり積極的に参加する気にもならなかったが、手紙を読み進めていると
『君達はその力で或いは何かを護るために戦っただろう 』
この文面を見たとき、彼はこの世界に来て考えていなかった真理のことを強く思い始めていた。
この文面を見たとき、彼はこの世界に来て考えていなかった真理のことを強く思い始めていた。
そして、彼の目に、自らの心に大きく響く一文が映るのであった。
『せめて一度くらいは戦いの果ての報いがあってもいいではないか? 』
『せめて一度くらいは戦いの果ての報いがあってもいいではないか? 』
雅人の中で何かが弾けた。その旨の中に、もはやこの世界への違和感も不快感も無い。
何故なら、それを上書きするような、炎より激しい欲望と使命感が彼を染め上げたからだ。
デルタフォンを持ち、強く握り締め、彼は吼える。
何故なら、それを上書きするような、炎より激しい欲望と使命感が彼を染め上げたからだ。
デルタフォンを持ち、強く握り締め、彼は吼える。
「真理を守れるのは、俺だけだ・・・!真理は、俺だけを見ていればいいんだよ!!」
心の底では、真理は自分のことを「愛している」わけではないのがわかっていた。
だが、それでも、他の誰かに真理を奪われるわけにはいかない。 弱かった俺を助けてくれた、掛け替えの無い人を。
その存在を心の支えとして、これまで戦ってきたのだから。そして、これからも・・・
そんな気持ちをこめて、雅人は強く叫んだのであった。
だが、それでも、他の誰かに真理を奪われるわけにはいかない。 弱かった俺を助けてくれた、掛け替えの無い人を。
その存在を心の支えとして、これまで戦ってきたのだから。そして、これからも・・・
そんな気持ちをこめて、雅人は強く叫んだのであった。
ベルトを巻き・・・雅人は再び咆哮する。
「変身!!」
【STANDING BY.】 【COMPLETE!】 無機質な電子音声が雅人の強い意志に答え、その姿を鎧に包む
「変身!!」
【STANDING BY.】 【COMPLETE!】 無機質な電子音声が雅人の強い意志に答え、その姿を鎧に包む
「本当は使い慣れたカイザが良かったが、大きな問題は無いな」
落ち着き払い、つぶやく姿は、今度はいつもの彼と変わらなく見える。しかし、その瞳にはいつになく激しい勇気を湛えていた。
それが正しいものであるかは誰にもわからない。だが、どんな手段を使っても雅人は勝利のために動き続けるだろう。
落ち着き払い、つぶやく姿は、今度はいつもの彼と変わらなく見える。しかし、その瞳にはいつになく激しい勇気を湛えていた。
それが正しいものであるかは誰にもわからない。だが、どんな手段を使っても雅人は勝利のために動き続けるだろう。
間口アギト ◆Xapq6MpaXw 氏作 :2009/04/25(土)
序章 ~灯火~
黒い空間に光の輪が一つ現れ、そしてやがて異型の天使へと姿を変える。
そして天使の前には、かつて敗れ去ったもう一人のアギト――間口正一が横たわっていた。
異型の天使――ドッグロードが手をかざすと間口の姿は銀と白のアギトの物へと変わる。
だが傷だらけの装甲と力の象徴たるクロスボーンに亀裂を走らせたその姿はまさに敗者としか言い様が無かった。
ドッグロードは瞑想する。まるで何かを思い出すかのように。
そして天使の前には、かつて敗れ去ったもう一人のアギト――間口正一が横たわっていた。
異型の天使――ドッグロードが手をかざすと間口の姿は銀と白のアギトの物へと変わる。
だが傷だらけの装甲と力の象徴たるクロスボーンに亀裂を走らせたその姿はまさに敗者としか言い様が無かった。
ドッグロードは瞑想する。まるで何かを思い出すかのように。
我々の怒りは当然であった。我が子を蹂躙され、我々より愛されていると思えば怒らないはずが無い。
だがそれも人が死を恐れた故であった。獣もまた獣を食らう。人はただ"勝者"であっただけなのだ。
今でも人により我が子である獣達は蹂躙されている。だが己の愚かさを自覚し、それを善しとしない人もいる。
ならば人はまだテオスにより愛されるだろう。罪が裁かれる時は今で無い。
だがそれも人が死を恐れた故であった。獣もまた獣を食らう。人はただ"勝者"であっただけなのだ。
今でも人により我が子である獣達は蹂躙されている。だが己の愚かさを自覚し、それを善しとしない人もいる。
ならば人はまだテオスにより愛されるだろう。罪が裁かれる時は今で無い。
「アギト……」
そして我々が争ったせいで火が撒かれた。我々が屈辱に耐えればアギトもギルスも生まれなかった。
そうすればテオスも進化した者達を人と受け入れていたのかもしれない。
多くの世界を渡り、我々――ロードのいない世界を見てきたが、人は力を手に入れようとも人で無くなる事はなかった。
その姿を何に変えようとも人は人であった。ならばアギトも人のまま生きる事は可能では無いのか。
そうすればテオスも進化した者達を人と受け入れていたのかもしれない。
多くの世界を渡り、我々――ロードのいない世界を見てきたが、人は力を手に入れようとも人で無くなる事はなかった。
その姿を何に変えようとも人は人であった。ならばアギトも人のまま生きる事は可能では無いのか。
目を開き、ドッグロードは間口正一を見下ろす。
拠り所であった居場所を亡くし、本来ならばアギトとして断罪されるべき者。
しかしドッグロードは思う。我が子の死を悲んだのならばこのアギトもまた、人として生きれると。
ならば導こう。例えその考えが間違ったものだとしても。
拠り所であった居場所を亡くし、本来ならばアギトとして断罪されるべき者。
しかしドッグロードは思う。我が子の死を悲んだのならばこのアギトもまた、人として生きれると。
ならば導こう。例えその考えが間違ったものだとしても。
「……次の試練は前のものよりも過酷である」
予知能力のないドッグロードには結末はわからない。テオスの意思があるかも理解できない。
故にこの試練には力を貸すことが出来る。試練には天使による補佐が必要だ。
故にこの試練には力を貸すことが出来る。試練には天使による補佐が必要だ。
「契約だ。アギトよ」
ドッグロードの頭上に光輪が現れ、それから溢れ出した光が間口正一を包み込んだ。
その光が消えると同時にドッグロードはその姿を消した。
ドッグロードの頭上に光輪が現れ、それから溢れ出した光が間口正一を包み込んだ。
その光が消えると同時にドッグロードはその姿を消した。
そして次に光の球が闇から浮き出す。間口正一へと近づくとそれは白い服を纏った青年の姿へとなった。
「もしかしたらカニスが消滅し、それに絶望した君が人の敵となった未来もあったかもしれない」
「もしかしたらカニスが消滅し、それに絶望した君が人の敵となった未来もあったかもしれない」
白い青年――プロメスは間口正一に触れようとするが見えない力に弾かれてそれは叶わない。
「そして闇の力による進化をしていたかもしれない。死より蘇り、新たな存在の序曲として」
プロメスの力による進化は望めない。光の――アギトの力を持つ彼であったが、同時に闇の力に覚醒する可能性もあった。
故にロードと契約することもできた。もし光と闇の均衡が崩れれば間口正一は力に耐え切れない。
故にロードと契約することもできた。もし光と闇の均衡が崩れれば間口正一は力に耐え切れない。
「私が手を貸すことが出来ない。光のアギトも今回の試練には存在しない」
プロメスの手の甲にある紋章が輝き、光が闇の空間に溢れる。
そして光の中から数々の戦士が現れ、そして消えていく。
「鎧を纏い戦う者、ルデスのアギト、死を背負い戦う者、鎧を纏ったヒドロゾア、そして君が招かれた」
そして光の中から数々の戦士が現れ、そして消えていく。
「鎧を纏い戦う者、ルデスのアギト、死を背負い戦う者、鎧を纏ったヒドロゾア、そして君が招かれた」
そして光は消えて再び世界が闇へと戻る。
「混ざり合う世界の未来は誰にもわからない。この戦いに勝つには君自身が進化するしかない」
「混ざり合う世界の未来は誰にもわからない。この戦いに勝つには君自身が進化するしかない」
最後にプロメスが手をかざすとその先にいた間口正一は魔方陣へと吸い込まれてこの空間から消えた。
「君が生き残り、試練に打ち勝つ事が出来れば。その時は……」
「君が生き残り、試練に打ち勝つ事が出来れば。その時は……」
そう言い掛けてプロメスは光の球へと姿を戻す。そして闇が崩れ、その先にいた"光輝"へと向かっていく。
その先にあるのは闇を沈め、平和になったあとの世界。人とアギトが共存できる道を探し続ける世界。
間口正一がその世界へと到るのかはわからない。その結果は"神"ですらもわからない物なのだから。
その先にあるのは闇を沈め、平和になったあとの世界。人とアギトが共存できる道を探し続ける世界。
間口正一がその世界へと到るのかはわからない。その結果は"神"ですらもわからない物なのだから。
草加デルタ ◆hMwrrnad.U 氏作 :2009/04/28(火)
戻ってきた雅人は真っ先に時間を確認した。 飛ばされたときから、まだ10分程度しかたっていない。
さっきまで白い戦士と戦っていたことが嘘のように、街はいつもどおりに息づいている。
しかし、空は墨をたらしたような雲に染め上げられ、まるでこれからの壮絶な戦いを暗示しているようだった。
戻ってきた雅人は真っ先に時間を確認した。 飛ばされたときから、まだ10分程度しかたっていない。
さっきまで白い戦士と戦っていたことが嘘のように、街はいつもどおりに息づいている。
しかし、空は墨をたらしたような雲に染め上げられ、まるでこれからの壮絶な戦いを暗示しているようだった。
雅人が帰ってきたとき、西洋洗濯舗 菊池では、やはり呆れるほどいつもどおりの光景が広がっていた。
また、真理は買い出しに行っているようだ。
無駄な混乱を招かないために、オルフェノクは手際よく倒してきたと雅人は話す。 勿論ウソだ。
雅人が「疲れたので少し一人で休みたいなぁ」と語ると、
一応は納得した様子で「・・・わかった。洗濯物があれば出しておいてね」と微妙な間を置きつつも啓太郎が答えた。
また、真理は買い出しに行っているようだ。
無駄な混乱を招かないために、オルフェノクは手際よく倒してきたと雅人は話す。 勿論ウソだ。
雅人が「疲れたので少し一人で休みたいなぁ」と語ると、
一応は納得した様子で「・・・わかった。洗濯物があれば出しておいてね」と微妙な間を置きつつも啓太郎が答えた。
さて・・・と。雅人は自室でつぶやいた。
あの場所にいたときは混乱と興奮のせいで考えなかった疑問が噴水のごとく湧き上がっていく。
なぜデルタギアがあるのか。
あの場所にいたときは混乱と興奮のせいで考えなかった疑問が噴水のごとく湧き上がっていく。
なぜデルタギアがあるのか。
今、雅人の持っているベルトはカイザのものだ。
さらに、三原に連絡を取ると、怪訝そうな声を出しながらもこの1日の間デルタギアは確かに手元にあったと言う返答が帰してくれた。
どうやら、あのデルタギアは性能に遜色のない「複製品」なのではないかという推測が雅人の中で強まってきた。
確証はないが、あんな非現実的なことを次々と起こしてみせる「主催者」とやらだ。こんな芸当ができてもおかしくはない。 味な真似を、と雅人は毒づく。
さらに、三原に連絡を取ると、怪訝そうな声を出しながらもこの1日の間デルタギアは確かに手元にあったと言う返答が帰してくれた。
どうやら、あのデルタギアは性能に遜色のない「複製品」なのではないかという推測が雅人の中で強まってきた。
確証はないが、あんな非現実的なことを次々と起こしてみせる「主催者」とやらだ。こんな芸当ができてもおかしくはない。 味な真似を、と雅人は毒づく。
それに、あの世界の空気も奇妙だ。落ち着いてみてから考えると
確かに秘めていた欲望にひっかかる内容であったとはいえ、あそこまですぐに信用すると言うのはいつもの俺には考えられない。
あの世界には人の闘争本能に関係する何かがあるに違いない。雅人はそう考えたのであった。
だが、雅人はこうも考えていた。戦士たちの戦いによって主催者が何をしたいのかはわからないが
凄まじい力を持った存在なのは確かだ。 その謎に迫っていけば、どうあろうと俺の夢を叶える力が手に入るだろう、と。
「よくよく考えれば、面白くなってきてるじゃないか。次の相手は、どんなヤツかなぁ?」 雅人はどこか楽しそうに自分に語りかけた。
先の黒い雲は大粒の雨を降らせはじめ、ボトンボトンと地面が鳴るが、彼には勇壮な音楽のようにも聞こえていた。
確かに秘めていた欲望にひっかかる内容であったとはいえ、あそこまですぐに信用すると言うのはいつもの俺には考えられない。
あの世界には人の闘争本能に関係する何かがあるに違いない。雅人はそう考えたのであった。
だが、雅人はこうも考えていた。戦士たちの戦いによって主催者が何をしたいのかはわからないが
凄まじい力を持った存在なのは確かだ。 その謎に迫っていけば、どうあろうと俺の夢を叶える力が手に入るだろう、と。
「よくよく考えれば、面白くなってきてるじゃないか。次の相手は、どんなヤツかなぁ?」 雅人はどこか楽しそうに自分に語りかけた。
先の黒い雲は大粒の雨を降らせはじめ、ボトンボトンと地面が鳴るが、彼には勇壮な音楽のようにも聞こえていた。
そのころ、また別の世界にある、9つの青い星とひとつの大きく禍々しい星が映し出された洞窟。
白い服を着た青年が、雅人に巧や木場、さらに見知らぬ男の姿を
そして眼帯をつけた、狼のように鋭く狡猾な視線を持った壮年の男の姿を見つめていた。
その姿は、心なしかやつれ、力なく見えた
。
「分かたれたはずの9つの世界が、今度はその力と言う形で集結しようとしています。
そして、そのために集められた戦士は血塗られた道へ今まさに入らんとしている・・・」
白い服を着た青年が、雅人に巧や木場、さらに見知らぬ男の姿を
そして眼帯をつけた、狼のように鋭く狡猾な視線を持った壮年の男の姿を見つめていた。
その姿は、心なしかやつれ、力なく見えた
。
「分かたれたはずの9つの世界が、今度はその力と言う形で集結しようとしています。
そして、そのために集められた戦士は血塗られた道へ今まさに入らんとしている・・・」
深い憂いを秘めた表情で、青年は現状を確認するかのようにつぶやく。
「人が、私たちを超えるには、真に強い魂を持つことが必要です また、力の集う世界にもアギトが、そしてそれとは異質なモノを持つ子らがいる。
それ故に、その力を持ったものを、闇へと向かわせる訳にはいかない・・・!」
青年は、その力を振り絞り9つの星に向け放つと、深刻な顔で再び思案をはじめた。
それ故に、その力を持ったものを、闇へと向かわせる訳にはいかない・・・!」
青年は、その力を振り絞り9つの星に向け放つと、深刻な顔で再び思案をはじめた。
人々の知らない、途方もなく巨大な力が絡み合い、
物語を動かす歯車は、運命を加速させるように回り始めていた。
物語を動かす歯車は、運命を加速させるように回り始めていた。
徳川清山 ◆828cMSHADE 氏作 :2009/05/07(木)
眼鏡を掛けた男性がパネルを操作すると駆動音が鳴り始めた。
眼鏡を掛けた男性がパネルを操作すると駆動音が鳴り始めた。
「経過は順調です。既に12名脱落しました」
何の感情も込めずに彼――三島は隣に立つ壮年の男性に淡々と伝える。
「結構じゃないか…世紀王や神を目指したネオ生命体が早くも脱落した事は少々意外だったがね。
私の予想を軽く外してくれる、実に素晴らしい」
私の予想を軽く外してくれる、実に素晴らしい」
壮年の男性――徳川は口元に笑みを浮かべながら答えた。
徳川の態度を気にもせず三島は報告を続ける。
徳川の態度を気にもせず三島は報告を続ける。
簡単な報告を済ませた所で目の前の扉がゆっくりと開き、二人は中へと入り込んだ。
三島がパネルを操作し、扉が閉まり二人を乗せてエレベーターは徐々に降下していく。
三島がパネルを操作し、扉が閉まり二人を乗せてエレベーターは徐々に降下していく。
降下する静寂。不意に徳川がその静寂を破る。
「ところで、だ。君に一つ忠告しておこう。一人の参加者だけにあれこれと助力するのはやめたまえ。
あくまでも彼らの立場は平等なのだ。例えただの人間だろうと巨大な怪物だろうとね」
あくまでも彼らの立場は平等なのだ。例えただの人間だろうと巨大な怪物だろうとね」
眼帯に隠されていない片目が鈍く光り、隣に立つ三島を睨みつける。
「…あぁ、芝浦ですか。彼には確かにゲームの扇動役を頼みました。その為に必要な情報と少々の兵力を与えた事も事実です。
ですが、それだけの事です。彼とはゲームの開始直前以外で接触したのは一度だけ。以降の接触は一切していませんし、今後もしませんよ」
ですが、それだけの事です。彼とはゲームの開始直前以外で接触したのは一度だけ。以降の接触は一切していませんし、今後もしませんよ」
やましい事など一つもないとばかりに言い放ち、眼鏡を指でクイッとあげた。
いい機会とばかりに手元のケースから書類を取り出し、徳川へと渡す。
「こちらはその芝浦が持ってきたG-3、G-4計画の書類です。まぁ我々には必要ない技術だとは思いますが」
徳川は少し読み…書類の一部を床へと捨てる。
「G-4計画…こんなものは所詮高価な玩具だ。人を使い捨てにしている時点で論外だよ。
だが、G3-X、これは評価したい。G-4のように不安定な超能力者を使用せず、純粋な科学の力で構成されている。
AIの問題はあるがオートフィット機能で誰でも着装できるという点も素晴らしい。
…もしももう少し早く私が『夢』を持つのが早ければ、或いは戦力の一つとして揃えていたかもしれん」
だが、G3-X、これは評価したい。G-4のように不安定な超能力者を使用せず、純粋な科学の力で構成されている。
AIの問題はあるがオートフィット機能で誰でも着装できるという点も素晴らしい。
…もしももう少し早く私が『夢』を持つのが早ければ、或いは戦力の一つとして揃えていたかもしれん」
ため息を一つ吐き、残りの書類も床へと放り捨てた。
「所詮『たられば』だ。今では人間の兵力を集めるならライオトルーパーやゼクトルーパーの方が選ばれる。『改造』という選択肢を除けば…だがね」
「その改造ですが…私は不安です。いえ、ただの人間を改造するのなら何も心配はしませんがなんといっても相手は…」
三島の不安を徳川は低い声で笑い飛ばす。
「問題ない、シェードの技術力は今までの全ての組織の集大成と言っても過言ではない。どんなに強靭な身体や精神を持とうとも…逃れられんよ」
降下は徐々に緩やかになり…そして停止。
開かれた扉を通りながら ただ、と徳川は話を続ける。
開かれた扉を通りながら ただ、と徳川は話を続ける。
「ただ、私としては今回に限り不完全な改造の方が好ましいかもしれないとも考えているよ。
どこかで意識が残っているやもしれぬ『彼ら』を相手に参加者達がどう戦うのか興味が尽きん」
どこかで意識が残っているやもしれぬ『彼ら』を相手に参加者達がどう戦うのか興味が尽きん」
細い通路を歩き、一つの扉を開けると中にいた研究員らしき人物が二人に敬礼する。
「改造はどの程度済んでいる?」
「ハッ!サンプルのうち二人は既に改造が完了しております!一人は脳組織も完全に、もう一人は指示通り脳組織には手を加えていません!
現在残りの一人の改造を継続中です!ですがそれももうじき終了致します!」
「ハッ!サンプルのうち二人は既に改造が完了しております!一人は脳組織も完全に、もう一人は指示通り脳組織には手を加えていません!
現在残りの一人の改造を継続中です!ですがそれももうじき終了致します!」
研究員の報告にうんうんと感心しながら徳川は十字架のような機械に磔にされている青年の前へと歩を進める。
頭を垂れた青年は改造手術の影響なのか酷くやつれ、身体の各所には火傷や機械のような物が露出していた。
だが何よりも目を引くのは腰に出現したままの金色のベルトだろうか。金の光りには赤や青も時折混じっていた。
青年は近づく人の気配に気付いたのかゆっくりと目を開き、眼前の人物と目を合わせる。
頭を垂れた青年は改造手術の影響なのか酷くやつれ、身体の各所には火傷や機械のような物が露出していた。
だが何よりも目を引くのは腰に出現したままの金色のベルトだろうか。金の光りには赤や青も時折混じっていた。
青年は近づく人の気配に気付いたのかゆっくりと目を開き、眼前の人物と目を合わせる。
「ふふ、御機嫌いかがかな?津上翔一君」
名前を呼ばれたからだろうか、或いは眼前の人間がいかなる人物か即座にわかったからか。
それとも単なる改造の影響なのだろうか。青年、津上翔一は獣のような声を挙げながら暴れだす。
徳川を下がらせつつ、護るように三島が前に出る。拘束を引き千切った津上が雄叫びをあげながら三島へと飛び掛る。
それとも単なる改造の影響なのだろうか。青年、津上翔一は獣のような声を挙げながら暴れだす。
徳川を下がらせつつ、護るように三島が前に出る。拘束を引き千切った津上が雄叫びをあげながら三島へと飛び掛る。
「所詮は獣か!」
緑色の節足動物のような姿へと変貌した三島が津上を受け止め、電気を帯びた触手を首や腰元に巻きつける。
「いやいや、恐らくは彼は本能で私がどういう人物か悟ったのだろう。まったく、仮面ライダーというものは本当に尊敬に値するよ!」
電撃を流され始めた津上の悲鳴と徳川の笑いが部屋の中で木霊する――
「実にいい趣味をしていらっしゃる…」
部屋の影からスーツを着込んだ男が小さく呟いた。
「おぉ、須藤君!どうだね、言葉どおり生まれ変わった気分は!」
「サイテー、ですね。確かに今の私は最強に近いかもしれません。ですが不完全…」
破棄捨てるように須藤が言い放つ。
「そう!今の君は所詮不完全!定期的に血液を交換しなければやがてリジェクションが起こり、君は死ぬだろう!
引き換えだよ須藤君!君がしっかりと働いてくれれば君をナノマシンによって再改造する事を約束しよう!
さぁ、そろそろ君達の出番なのだよ、頑張りたまえ!」
引き換えだよ須藤君!君がしっかりと働いてくれれば君をナノマシンによって再改造する事を約束しよう!
さぁ、そろそろ君達の出番なのだよ、頑張りたまえ!」
「本当に、いい趣味をしてらっしゃる。いきますかヒビキさん」
首を2、3度振り、オレンジ色のカードデッキを懐に仕舞いこんだ須藤は近くにいたヒビキという男を連れて部屋を後にした。
二人が部屋を出るのを見届けたグリラスワームは電撃から津上を解放し、ふとした疑問を口に出す。
二人が部屋を出るのを見届けたグリラスワームは電撃から津上を解放し、ふとした疑問を口に出す。
「シザースに響鬼、アギト…予定ではあと一人いるはずでは?」
「その為の、俺か」
「その為の、俺か」
地獄から響くような低音の声がグリラスワームの身体を震わせる。
徳川はまるで恋人を迎えるかのような笑顔で声の主に話しかける。
徳川はまるで恋人を迎えるかのような笑顔で声の主に話しかける。
「そう、その為に貴方を呼んだ。偉大な勇者ドクトルG。全てのライダーを倒す事ができたならば我々シェードは貴方の支配下となろう。
再びデストロンを再興しても構わないし、ショッカーと合流しても一向に構わない」
再びデストロンを再興しても構わないし、ショッカーと合流しても一向に構わない」
「俺の知るショッカーとは、違うショッカーだ…だがまぁいいだろう」
巨大な斧と盾を手に、マントを翻しながらドクトルGも同じように部屋を去る。
部屋を抜け出し、時空の歪をくぐりながらドクトルGの中で複雑な思いが浮かび上がる。
(V3がいない事は残念だが…他にも期待できる仮面ラーイダがいる事を信じ奴らとは手を組んだ。
だが…改造手術に簡単に屈服する者、命惜しさに戦う者。あんな奴らまで仮面ラーイダと呼ばれているのか?
他の奴も同じような仮面ラーイダばかりなら…俺は…)
だが…改造手術に簡単に屈服する者、命惜しさに戦う者。あんな奴らまで仮面ラーイダと呼ばれているのか?
他の奴も同じような仮面ラーイダばかりなら…俺は…)
――この世に今一度の生を受けた死の世界の住人が、それぞれの思惑を胸に戦場を駆け抜ける――
―――― 2nd ステージ ――――
『蘇る戦士』
サガ ◆SAGAcxslXY 氏作 :2009/05/09(土)
「成る程、これが異世界の技術の成果ですか……」
素晴らしい成果だ。時空の歪みに埋もれた裏切り者の屍ひとつ差し出すだけで
これほどの貴重な研究データが手に入るとは、喜びを通り越して空恐ろしいほどだった。
「成る程、これが異世界の技術の成果ですか……」
素晴らしい成果だ。時空の歪みに埋もれた裏切り者の屍ひとつ差し出すだけで
これほどの貴重な研究データが手に入るとは、喜びを通り越して空恐ろしいほどだった。
「我々シェードは契約には忠実ですよ……この世界の人間はどうだか知りませんがね」
「ところで、先日の注文の品の件についてですが……」
「ところで、先日の注文の品の件についてですが……」
「勿論既に完成していますよ。太牙様の注意を貴方がたがひきつけて下さったお陰で随分捗りました」
海が見える教会の大聖堂――渡と太牙、そして深央の運命を悲劇へと導いた場所にビショップはいた。
その傍らに漆黒の棺を携えて。
その傍らに漆黒の棺を携えて。
「何分急ごしらえなので、今はまだ意識もなく大した力もない人形ですがね……」
儀式的に棺にかしずき、うやうやしく棺の蓋を外す。
中には蒼く美しい甲殻に覆われたファンガイアの女性の遺体が横たわっていた。
「美しい……白雪姫か、あるいは眠れる森の美女―といったところかな」
シェードの使者は計器を取り出し、パールシェルファンガイアの骸を検分しながらそう漏らした。
――悪い冗談だ。
ビショップの目の前に横たわる少女は、先代のキングもろとも破滅したかつてのクイーンと同様に
ファンガイアの法と秩序を護る立場にありながらいくつもの禁忌を犯した大罪人である。
ビショップの目の前に横たわる少女は、先代のキングもろとも破滅したかつてのクイーンと同様に
ファンガイアの法と秩序を護る立場にありながらいくつもの禁忌を犯した大罪人である。
「その女は好きなようにしてくれて構いませんよ。王子様はもう来ないでしょうから」
紅渡。
憎んでも憎みきれない先代キングの仇紅音也と、罪を裁かれたかつてのクイーン、真夜の間に生まれた悪魔の子。
彼はライダー大戦の終結後キバの世界には還らず、シェードの監視下にあるどの世界のどの時間にも存在していなかった。
憎んでも憎みきれない先代キングの仇紅音也と、罪を裁かれたかつてのクイーン、真夜の間に生まれた悪魔の子。
彼はライダー大戦の終結後キバの世界には還らず、シェードの監視下にあるどの世界のどの時間にも存在していなかった。
また、「今より少し前の時間の現代のイクサ」が消滅したことにより、本来この時間に居ないはずのビショップも
シェードの介入により完全に復活。キバの世界の歴史は本来の路線から外れ、別の分岐点が創られ始めていた。
シェードの介入により完全に復活。キバの世界の歴史は本来の路線から外れ、別の分岐点が創られ始めていた。
(…あとは、あの男さえ消えてくれれば)
ビショップの瞳は邪悪な光を宿し、爛々と輝いていた。
ビショップの瞳は邪悪な光を宿し、爛々と輝いていた。
「…その癖も相変わらずか。いい加減直して欲しいものだがな」
魔力を帯びた鎖で縛られた篭の中から壮年の男性の声が聞こえた。
魔力を帯びた鎖で縛られた篭の中から壮年の男性の声が聞こえた。
「何とでも言え。あの御方のお気持ちを理解できなかった貴様に指図される謂れはない」
瞳に邪悪な輝きを宿したまま、ビショップは籠を覗き込み囁く。
「この処置も、同じキングに仕えるものとしてせめて最期までキングのお役に立てるよう
私なりに考え抜いた結果なのです。キング復活の礎となる名誉、立派に果たして下さい」
「あン?何言ってんだお前。キングは太牙じゃねーのか!?」
「太牙様もこの女と同様所詮は人間の世界で育った卑しき者…先代には遠く及びません」
「てンめえ、渡の女と兄ちゃんに何てこと言いやがる!!トサカに来たぜ!!」
慇懃無礼を絵に描いたビショップの態度についキバットバットⅢ世の声色は本来のものに戻ってしまった。
瞳に邪悪な輝きを宿したまま、ビショップは籠を覗き込み囁く。
「この処置も、同じキングに仕えるものとしてせめて最期までキングのお役に立てるよう
私なりに考え抜いた結果なのです。キング復活の礎となる名誉、立派に果たして下さい」
「あン?何言ってんだお前。キングは太牙じゃねーのか!?」
「太牙様もこの女と同様所詮は人間の世界で育った卑しき者…先代には遠く及びません」
「てンめえ、渡の女と兄ちゃんに何てこと言いやがる!!トサカに来たぜ!!」
慇懃無礼を絵に描いたビショップの態度についキバットバットⅢ世の声色は本来のものに戻ってしまった。
「貴様、キバットバットⅡ世ではないな!?」
ビショップの青白い顔に焦りの色が浮かぶ。
「…っとと……ふ、ふん。その疑り深さも直ってないか。部下に嫌われる上司の典型的なパターン……であるな」
「誤魔化されるか!貴様は何者だ!」
「なな何を言うか。このつぶらな瞳!このセクスィーな牙!この引き締まった逞しい翼!どう見てもキバット族の英雄キバットバットⅡ世そのものであろう!」
Ⅲ世の入った籠を抱えるビショップの青白い顔には怒りと驚愕の感情がはっきりと浮かんでいる。
「貴様は、まさか……!!」
ビショップは大声を上げたが、その叫びは最期まで発されることはなかった。
ビショップの青白い顔に焦りの色が浮かぶ。
「…っとと……ふ、ふん。その疑り深さも直ってないか。部下に嫌われる上司の典型的なパターン……であるな」
「誤魔化されるか!貴様は何者だ!」
「なな何を言うか。このつぶらな瞳!このセクスィーな牙!この引き締まった逞しい翼!どう見てもキバット族の英雄キバットバットⅡ世そのものであろう!」
Ⅲ世の入った籠を抱えるビショップの青白い顔には怒りと驚愕の感情がはっきりと浮かんでいる。
「貴様は、まさか……!!」
ビショップは大声を上げたが、その叫びは最期まで発されることはなかった。
パールシェルファンガイアの遺体を検分していたシェードの研究員達がネイティブワームの姿に戻ったまま悉く斃れていたからである。
「瞳と翼は我譲りだが、牙に関しては我の方が断然上だ。さすがに顔見知りの眼は誤魔化しきれなかったな」
もう一羽の黒いキバット族は余裕の笑みを浮かべながら優雅に羽ばたき、教会の入り口に立つ喪服の青年の手に噛み付いた。
「ヒィッ!あ、貴方は!」
「まさかお前がこんなに客まで呼んで深央を盛大に弔ってくれるとは思わなかったよ。
俺も喪に服してライフエナジーを一切絶ってきた甲斐があったというものだ」
俺も喪に服してライフエナジーを一切絶ってきた甲斐があったというものだ」
登太牙の腹部には、身に纏った喪服と溶け合うような漆黒のベルトが巻かれていた。
「…変身」
ビショップの眼前に立つ紅と黒の凛々しい鎧姿。
それはかつてファンガイアの精鋭達を統率して世界の夜を我が物とし、
疫病を撒き散らし、聖職者を堕落させ、中世に恐怖と混乱の長い暗黒時代を齎し
レジェンドルガの王さえも滅ぼしたキングの纏った鎧、『闇のキバ』。
ビショップの眼前に立つ紅と黒の凛々しい鎧姿。
それはかつてファンガイアの精鋭達を統率して世界の夜を我が物とし、
疫病を撒き散らし、聖職者を堕落させ、中世に恐怖と混乱の長い暗黒時代を齎し
レジェンドルガの王さえも滅ぼしたキングの纏った鎧、『闇のキバ』。
「お前に、王の判決を言い渡す…」
太牙が手を翳すとたちまち闇の紋章がビショップの足元に浮かび、
抗うことのできない圧倒的な魔皇力が彼の全身を貫く。
太牙が悠然とした所作でフエッスルをⅡ世の口に運ぶ僅かな時間を、
ビショップには永遠のように長く感じていた。
太牙が手を翳すとたちまち闇の紋章がビショップの足元に浮かび、
抗うことのできない圧倒的な魔皇力が彼の全身を貫く。
太牙が悠然とした所作でフエッスルをⅡ世の口に運ぶ僅かな時間を、
ビショップには永遠のように長く感じていた。
「ビショップ、封印!!」
ビショップはファンガイアの力を総てフエッスルに吸い上げられ、力なく地に膝を着いた。
ビショップはファンガイアの力を総てフエッスルに吸い上げられ、力なく地に膝を着いた。
「深央の死を汚した貴様には死さえ生温い。この22年間貴様が呪い、罵り続けてきた母さんと同じ闇を見るがいい」
太牙はそう告げると、ビショップには一瞥もくれず深央のもとに寄り添った。
「済まなかったな。俺の力が足りなかったせいで怖い思いをさせてしまった」
眠るように横たわる深央に躊躇うことなく跪く闇夜の王の双眸は深い愛情だけが浮かぶ。
「もう心配することはない。俺がまたあいつの所まで連れて行ってやる。
…今度は俺とあいつのどっちを選ぶかゆっくり悩んでいいぞ。約束する」
深央の頬を優しく撫で、太牙はもう一本のフエッスルをⅡ世に咥えさせた。
眠るように横たわる深央に躊躇うことなく跪く闇夜の王の双眸は深い愛情だけが浮かぶ。
「もう心配することはない。俺がまたあいつの所まで連れて行ってやる。
…今度は俺とあいつのどっちを選ぶかゆっくり悩んでいいぞ。約束する」
深央の頬を優しく撫で、太牙はもう一本のフエッスルをⅡ世に咥えさせた。
「クイーン、封印!!」
深央の躯が無数の輝く珠となり、フエッスルに吸い込まれていく。
深央の躯が無数の輝く珠となり、フエッスルに吸い込まれていく。
「さあ行こうか。人とファンガイアの未来のために」
太牙はベルトを外して闇のキバを脱ぎ、バイクに跨って魔法陣の彼方へ消えていった。
太牙はベルトを外して闇のキバを脱ぎ、バイクに跨って魔法陣の彼方へ消えていった。
なお、忘れられたキバットバットⅢ世はサガークがしっかり鍵を外して助けた。
徳川清山 ◆828cMSHADE 氏作 :2009/05/17(日)
ピンと弾かれたコインがゆっくりと宙を舞う――
ピンと弾かれたコインがゆっくりと宙を舞う――
彼は全ての戦いを見てきた。身体が疼くほどの激戦も数多くあった。
それでも彼は順番を守る。ある意味で彼はその『掟』に縛られているのかもしれない。
だが遂に、時は来た。
それでも彼は順番を守る。ある意味で彼はその『掟』に縛られているのかもしれない。
だが遂に、時は来た。
落下するコインを受け止め、握り締める。
唾をつけた獲物が一人脱落してしまったのは気がかりだが…獲物はまだいる。
白いアギト、そして青い空駆けるバイクを操る蝙蝠の騎士。
他にも魅力的な戦士はいる、しかし目をつけた二人が彼の『ゲゲル』に特に相応しいのは事実だ。
唾をつけた獲物が一人脱落してしまったのは気がかりだが…獲物はまだいる。
白いアギト、そして青い空駆けるバイクを操る蝙蝠の騎士。
他にも魅力的な戦士はいる、しかし目をつけた二人が彼の『ゲゲル』に特に相応しいのは事実だ。
自ら追うべきか、それとも追われるのを待つか。拳を開き、コインの目を確かめる。
出た目は裏。追われるのはハンターである彼にはあまりにも似合わない、だがそれでもいいと思えた。
出た目は裏。追われるのはハンターである彼にはあまりにも似合わない、だがそれでもいいと思えた。
「悪くは、ない。たまには、な…」
愛車と共に彼は走り出す。願わくば、彼の『ゲゲル』に相応しい相手が現れることを期待して。
人気の無いバーでテーブルの上のカクテルが寂しく揺れる――
彼は全ての戦いを見てきた。少しは面白そうな戦士もいた。
それでも彼は手を出さない。最強を決めるには相手があまりにも未熟すぎたのだ。
だが遂に、時は来た。
それでも彼は手を出さない。最強を決めるには相手があまりにも未熟すぎたのだ。
だが遂に、時は来た。
グラスにそっと触れると音も無く灰となり、カクテルを口にする事はできなかった。
灰の山に異形の鬼や彼の見慣れた赤い電飾の戦士がうっすらと重なる。
彼らだけではない、他の戦士も充分に実力が蓄えられ、誰が相手でも彼は楽しめるだろう。
灰の山に異形の鬼や彼の見慣れた赤い電飾の戦士がうっすらと重なる。
彼らだけではない、他の戦士も充分に実力が蓄えられ、誰が相手でも彼は楽しめるだろう。
それでも彼らは弱者だ、強者は追わず、じっくりと待てば良い。
一人でも、二人でも何人がかりだろうと彼は相手に出来る絶対の自信があった。
一人でも、二人でも何人がかりだろうと彼は相手に出来る絶対の自信があった。
「楽しめるよね、きっと…ふふふ。鬼さんこちら、手のなる方へ…ふふふ」
ゆっくりと手を叩き、無人のバーに青年の笑いが木霊する。
人々が穏やかに過ごす喫茶店、その中に彼はいた――
彼は全ての戦いを見てきた。自分と同属である男の敗北する瞬間も、ただ見ていた。
しかしそれもここまで。たまには身体を動かすのも悪くはないだろう。
だがそれとは別に…
しかしそれもここまで。たまには身体を動かすのも悪くはないだろう。
だがそれとは別に…
携帯に繋がれたパソコンの画面に不可思議な模様が映し出される。
難解な文字が次々と流れ出し、向かい合う青年の顔が綻ぶ。
彼は純粋に楽しみたいのだ。獲物が慌てふためく姿を彼は楽しみたいのだ。
難解な文字が次々と流れ出し、向かい合う青年の顔が綻ぶ。
彼は純粋に楽しみたいのだ。獲物が慌てふためく姿を彼は楽しみたいのだ。
彼は所詮第三者。ただ見てみたいのだ、参加者達と組織との戦いを。
その戦いの果てにあるであろう世界の破滅、その切っ掛けの為にほんの少しだけ剣を振るう。
その戦いの果てにあるであろう世界の破滅、その切っ掛けの為にほんの少しだけ剣を振るう。
「早くきてほしいなぁ、時間置いちゃうと折角のネタが冷めちゃうかもしんないし」
運ばれてきたコーヒーに口をつけ、王は不敵に笑う。
――純粋に楽しむ。彼らには彼らのゲームがある――
―――― 3rd ステージ ――――
『ゲームの行方』
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