以下のSSは第三期大戦中に各参加者から本スレに投稿されたものとなります。
本戦チャットログの流れと合わせて楽しまれる事をお勧めします。
本戦チャットログの流れと合わせて楽しまれる事をお勧めします。
神崎士郎 ◆VKQ1xhlIyo 氏作 :2009/07/01(水)
静寂に支配された地下の一室。
若干青みを帯びた無機質な壁に囲まれたその部屋に聞こえるのは私の息遣いのみ。
辺りを漂うひんやりとした空気に思わず背筋がゾクッとした。
若干青みを帯びた無機質な壁に囲まれたその部屋に聞こえるのは私の息遣いのみ。
辺りを漂うひんやりとした空気に思わず背筋がゾクッとした。
―――― 私は何故ここにいるのだろう ――――
ふとそんな疑問が頭をよぎったが、何事もなかったかのようにすぐに消え失せる。
そう、やるべきことは決まっている。
私は目の前に置かれた奇妙な面に手を伸ばした。
そう、やるべきことは決まっている。
私は目の前に置かれた奇妙な面に手を伸ばした。
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「 NEW GENERATION プロジェクト志願者の諸君…まずは採用おめでとう」
男の渋い声が耳に飛び込んでくる。
男の渋い声が耳に飛び込んでくる。
全身に古めかしい装甲を身につけた私は同じように装甲を纏った人々と一緒の部屋に集められていた。
「…これから諸君には数多もの試練が待ち受けていることだろう。しかし、このプロジェクトが成功した暁には、功労者たる諸君には如何なる望みでも叶えることが出来る」
「…これから諸君には数多もの試練が待ち受けていることだろう。しかし、このプロジェクトが成功した暁には、功労者たる諸君には如何なる望みでも叶えることが出来る」
…そうだ。だから私はここに来たんだ。
必ずプロジェクトを成功させてみせる。そして望みを…
必ずプロジェクトを成功させてみせる。そして望みを…
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装甲を纏った者が皆出ていき、男が一人残っていた一室にコツンコツンと足音が響く。女性特有の軽い音だ。
「鬼の鎧の装着者30名…計画は順調のようね…神崎君?」
「ああ、奴らは捨て駒。せいぜい戦闘データを集めてもらわないとな…」
「ああ、奴らは捨て駒。せいぜい戦闘データを集めてもらわないとな…」
装着者の集団を鼓舞していた青年、神崎士郎は冷徹に言い張った。
その瞳はぼんやりとどこか遠くを見ているようでもある。
その瞳はぼんやりとどこか遠くを見ているようでもある。
「しかし、いったいあなたは何を企んでいるんだ?」
「…さぁね?」
「…さぁね?」
神崎の問い掛けを微笑みながら軽く流す美しい女性。
彼女の名前は――深海里沙――
彼女の名前は――深海里沙――
―――― 1st ステージ ――――
『回り始めた歯車』
カブト ◆9RZECTZqZE 氏作 :2009/07/01(水)
天高く聳え立つ巨大な塔。長い年月を見守ってきた凱旋門。歴史ある建造物が多いこの異国は食物にも長けている。
前菜から始まりスープ、魚、肉と色鮮やかに変化していくコースは人々の舌を魅了して止まない。
そんな異国へ一人の男が日本からやってきた。男の目的は歴史に感慨にふける為でもワインや料理に舌鼓を打つことでもない。
たった一つの食材の為に、男は遥遥やってきたのだ…
前菜から始まりスープ、魚、肉と色鮮やかに変化していくコースは人々の舌を魅了して止まない。
そんな異国へ一人の男が日本からやってきた。男の目的は歴史に感慨にふける為でもワインや料理に舌鼓を打つことでもない。
たった一つの食材の為に、男は遥遥やってきたのだ…
『仮面ライダー大戦・第3期』――天道総司――「日食」
紺色の作務衣に身を包み、カランコロンと下駄を鳴らしながら脇に抱え込んだボールを大切に運ぶ男。
異国どころか日本でも浮きかねない姿の彼こそ、天の道を往き、総てを司る男…天道総司である。
彼がわざわざ仕入れたボールの中身は…豆腐である。やったね
眼鏡をかけた異国の中年男性と多少のやり取りを終え、彼は再びカランコロンと歩き出す。
異国どころか日本でも浮きかねない姿の彼こそ、天の道を往き、総てを司る男…天道総司である。
彼がわざわざ仕入れたボールの中身は…豆腐である。やったね
眼鏡をかけた異国の中年男性と多少のやり取りを終え、彼は再びカランコロンと歩き出す。
下駄の音を止めたのは人々の悲鳴であった。天道が振り向くとさきほど別れたばかりの男性が怪物に襲われていた。
巨大な角と胸に刻まれた髑髏の紋章。茶色の装甲が太陽の光に照らされ、妖しく輝いていた。
巨大な角と胸に刻まれた髑髏の紋章。茶色の装甲が太陽の光に照らされ、妖しく輝いていた。
「ネイティブ、いやワームか…剣の呼び掛けに応じなかった野良か。…全ての命は等しく平等だ。
だが、他者に害を及ぼすのなら容赦はしない」
だが、他者に害を及ぼすのなら容赦はしない」
左手にボールを抱えたまま、天道はゆっくりと右手を空へとかざす。どこからともかく飛来してきたカブトゼクターがその手に収まった。
「変身!」
――Henshin――
天道の身体が銀色の重厚な装甲に包まれる。
カブトの出現に気付いた怪物、フォロキセラワームは男性を放り捨て脱兎の如く逃げ出した。
当然カブトもその後を追う。だがこの時点でカブトは違和感を感じとっていた。
「変身!」
――Henshin――
天道の身体が銀色の重厚な装甲に包まれる。
カブトの出現に気付いた怪物、フォロキセラワームは男性を放り捨て脱兎の如く逃げ出した。
当然カブトもその後を追う。だがこの時点でカブトは違和感を感じとっていた。
(本気で逃げるならクロックアップをすればいいだけの話…だが奴は通常のまま逃げている。
追跡させる為、か。罠だな…罠を仕掛けるならただの野良のワームでは済まなそうだな)
追跡させる為、か。罠だな…罠を仕掛けるならただの野良のワームでは済まなそうだな)
左手に抱えたボールから水を一滴も零さずカブトはワームを追う。
通り過ぎていく怪物と見慣れぬ銀色の戦士に異国の人々は戸惑い、慌てふためきながら逃げ出していく。
通り過ぎていく怪物と見慣れぬ銀色の戦士に異国の人々は戸惑い、慌てふためきながら逃げ出していく。
巨大なオベリスクが立てられた広場まで来た所でワームは速度を落とし、背後へと顔を向ける。
ここまでカブトが追って来れた事を確認すると口元を歪め、立ち止まった。
ワームが立ち止まった事を確認し、カブトも追跡を止める。
ここまでカブトが追って来れた事を確認すると口元を歪め、立ち止まった。
ワームが立ち止まった事を確認し、カブトも追跡を止める。
「よくぞここまで着いてきてくれたなぁ、カァブトォ…」
両手を広げ、出迎えるような仕草を見せるワーム。
「単独ではないな…お前の後ろには誰がいるのか、教えてもらおうか」
相変わらずボールを抱えたまま円を描くようにワームと対峙し、出方を窺うカブト。
「知る必要はない。何故なら貴様はここで死ぬからなぁっ!」
ワームがクロックアップしたと同時にカブトはボールを上空へ放り投げ、防御の体勢を取る。
ダース分は打ち込まれた打撃をマスクドフォームの堅牢な装甲でガードし、衝撃を利用してワームと距離をとった。
上空から落ちてきたボールをキャッチし、次いで落ちてきた豆腐もしっかりとボールで受け止める。
ダース分は打ち込まれた打撃をマスクドフォームの堅牢な装甲でガードし、衝撃を利用してワームと距離をとった。
上空から落ちてきたボールをキャッチし、次いで落ちてきた豆腐もしっかりとボールで受け止める。
「俺は世界そのもの、世界がある限り俺はある。キャストオフ」
――cast off――
――cast off――
ゼクターホーンを起こし、銀色の装甲が一気に弾け飛ぶ。太陽のように赤い装甲を露出し、額の角が起き上がる。
――Change Beetle――
――Change Beetle――
『カブト、キャストオフしました!』
『焦るな、チャンスはそうは無い…一度で決めるぞ!』
『焦るな、チャンスはそうは無い…一度で決めるぞ!』
先ほどと同じようにお互いに警戒しながら、出方を窺うカブトとワーム。
不意にカブトがボールを上空へと放り投げ、左腰のスラップスイッチを叩く。
不意にカブトがボールを上空へと放り投げ、左腰のスラップスイッチを叩く。
「クロックアップ」
――clock up――
――clock up――
カブトとワームがクロックアップし、世界を置いて超高速のバトルへと突入する。
『カブトのタキオン粒子の増幅を確認!クロックアップします!』
『よし、クロックダウンシステム起動だ!』
『よし、クロックダウンシステム起動だ!』
離れた所で戦況を見守っていた兵がシステムを起動させる。
広場の中央にそびえ立つオベリスクの頂点から青白い電撃が蓄えられ、赤い残像に向けて放出される。
広場の中央にそびえ立つオベリスクの頂点から青白い電撃が蓄えられ、赤い残像に向けて放出される。
電撃によって吹き飛ばされたカブトのクロックアップが強制的に解除され、体表を電撃がバチバチと走った。
吹き飛ばされたカブトを確認したワームが姿を現し、甲高い笑い声をあげる。
吹き飛ばされたカブトを確認したワームが姿を現し、甲高い笑い声をあげる。
「あっはっはっは!やったぞ、成功だ!カァブトォ、貴様のクロックアップは封じられた!貴様はもうお終いだな!」
ワームの言葉を受け、確認するかのようにスラップスイッチを叩くカブト。しかしその身体がクロックアップする事はない。
「無駄だ無駄だ!クロックアップできないお前等この俺の敵ではない!」
ワーム再びクロックアップをしたならば、マスクドフォームの装甲がない今のカブトには耐えることも避ける事もできないだろう。
しかしそんな状況にも関わらずカブトは立ち上がりゆっくりと右手を天へと掲げる。
「おばあちゃんが言っていた。一つの食材を一つの調理法だけで極めたと思うな。一つの食材には無限の可能性が秘められている…ってな。
クロックアップを封じた程度で俺に勝てる、そう思い込んだお前は既に負けている…」
「ほざけ!我々の邪魔なんだよ貴様は!ここで死ね!」
クロックアップを封じた程度で俺に勝てる、そう思い込んだお前は既に負けている…」
「ほざけ!我々の邪魔なんだよ貴様は!ここで死ね!」
ワームがクロックアップし、カブトへと突撃する。カブトは天へと向けた右手をベルトに当て…
――one two three――
「ライダー…キック」
――Rider Kick――
――one two three――
「ライダー…キック」
――Rider Kick――
タキオン粒子が右足へと集中し、回し蹴りを放つ。
「馬鹿め!カウンターを決めようとしても無駄だ!」
クロックアップしたワームにはカブトの全ての挙動がスローに見える。ゆっくりと身体を捻り、ゆっくりと右足が振り抜かれようとしている。
ワームはライダーキックを回り込むように回避し、無防備なカブトの背後を狙う
「もらっ…た…!?」
ワームはライダーキックを回り込むように回避し、無防備なカブトの背後を狙う
「もらっ…た…!?」
背後から襲おうとしたワームの腹部に痛烈な痛みが走る。見れば腹部にはクナイガンが深々と突き刺さっていた。
緑の体液が流れ出すと同時に予想外のダメージによりクロックアップが解除される。
緑の体液が流れ出すと同時に予想外のダメージによりクロックアップが解除される。
空振りしたライダーキックを気にもせず、わかっているかのようにカブトは振り向く。
当然のようにワームが腹部を押さえ、膝をついていた。
当然のようにワームが腹部を押さえ、膝をついていた。
「ライダーキックを避けようとお前は背後に回るだろうと読んでいた。ライダーキックの動きはクナイガンを背後に向けて投げる事と
投げられたクナイガンを隠すための囮を兼ねていた…」
「何故、何故俺が背後に回るとわかったのだ!?」
投げられたクナイガンを隠すための囮を兼ねていた…」
「何故、何故俺が背後に回るとわかったのだ!?」
「簡単な話だ
君の後ろに黒い影ってな…悪い奴ほど背後に回る」
カブトの答えを聞くのを最期にワームは力尽き、地に伏せた。
ワームの最期を一瞥し、カブトはオベリスクへと歩を進める。
ワームの最期を一瞥し、カブトはオベリスクへと歩を進める。
「既に手は加えられてしまっている。…悪く思うな」
――one two three――
「ライダー…キック」
――Rider Kick――
――one two three――
「ライダー…キック」
――Rider Kick――
タキオン粒子をまとった右足でオベリスクを一撃で蹴り砕く。
崩壊する瓦礫の中に何かしらの機械が混ざっていた。
機械もキックで破壊し、腰のスラップスイッチを叩くが、反応はない。
崩壊する瓦礫の中に何かしらの機械が混ざっていた。
機械もキックで破壊し、腰のスラップスイッチを叩くが、反応はない。
「無駄…だ…」
事切れたはずのワームが息を吹き返したのか途切れ途切れに喋りだす。
「カブト…のタキ…オン粒子のデー…タは完全に把握された…。このオベリスク…だけではない。
数多くの…クロックダウンシステムが…常に、貴様のクロックアップを封じている…
貴様は…遅かれ速かれ…終りなんだよ…ざまぁ、みろ…」
数多くの…クロックダウンシステムが…常に、貴様のクロックアップを封じている…
貴様は…遅かれ速かれ…終りなんだよ…ざまぁ、みろ…」
末期の言葉と共に完全に意識が落ちたワームはそのまま緑色の液体へと変わっていった。
残されたカブトは、上空から落ちてきたボールと豆腐を左手で受け止め、広場を後にする。
カブトの変身を解いた天道は力強く歩みを進める。
残されたカブトは、上空から落ちてきたボールと豆腐を左手で受け止め、広場を後にする。
カブトの変身を解いた天道は力強く歩みを進める。
「数多くのクロックダウンシステム…?ならば全てを破壊するまでだ。太陽を例え一部だろうと、いつまでも隠しとおせるとは思うな…」
クロックアップを封じられた天道、彼は再び最速の一秒を刻む事ができるのであろうか…
デルタ ◆lyq1rcHa6w 氏作:2009/07/01(水)
静まり返った廊下をコツコツと軽い足音が反響する。
廊下の隅で直立不動の姿勢を維持していた軍服の男は、曲がり角から歩いてきた女性の姿を視界に入れると
一層背筋を伸ばして敬礼を行った。
女性――深海里沙は男に軽く敬礼を返すと、奥の扉のロックパネルにナンバーを入力していく。
重々しい音を立てて左右に開いた扉を抜けると、その奥は暗闇に支配されていた。
闇を気にせず深海は先に進むと、奥にあった更にもう1枚のパネルに別のナンバーを再度入力する。
分厚い扉が開くと同時に、隙間から僅かな光がこぼれ出てくる。
歩を進めた深海は、部屋の中を見るとクスリと笑みをこぼし、扉脇にあった明かりのスイッチを入れようと手を伸ばし―…
―…中の人物に気を遣い、声をかけるだけに留めた。
廊下の隅で直立不動の姿勢を維持していた軍服の男は、曲がり角から歩いてきた女性の姿を視界に入れると
一層背筋を伸ばして敬礼を行った。
女性――深海里沙は男に軽く敬礼を返すと、奥の扉のロックパネルにナンバーを入力していく。
重々しい音を立てて左右に開いた扉を抜けると、その奥は暗闇に支配されていた。
闇を気にせず深海は先に進むと、奥にあった更にもう1枚のパネルに別のナンバーを再度入力する。
分厚い扉が開くと同時に、隙間から僅かな光がこぼれ出てくる。
歩を進めた深海は、部屋の中を見るとクスリと笑みをこぼし、扉脇にあった明かりのスイッチを入れようと手を伸ばし―…
―…中の人物に気を遣い、声をかけるだけに留めた。
「明かりぐらいつけたらどうかしら?視力が落ちるわよ」
四方を鉄の壁に囲まれ暗闇に支配された部屋の中には、ノイズだけを映し出すTVが1台、僅かな光源として鎮座していた。
その近くの壁際に深海の目的の人影が1つ、膝を抱えるようにして蹲っている。
まさか来訪者に気付いていないわけでもないだろうが、扉が開け放たれても人影はみじろぎする事すらせず、TVの白い光に身を晒している。
そんな様子を気にかける事もなく、笑みを浮かべて深海は声を投げかけた。
その近くの壁際に深海の目的の人影が1つ、膝を抱えるようにして蹲っている。
まさか来訪者に気付いていないわけでもないだろうが、扉が開け放たれても人影はみじろぎする事すらせず、TVの白い光に身を晒している。
そんな様子を気にかける事もなく、笑みを浮かべて深海は声を投げかけた。
「闘いが始まったわ。最終的には26人だったかしら?…あなたが参加してくれれば、なんだけれど」
その言葉に僅かに人影の肩が震えるが、それ以上の動きは無い。
しばらく無言の静寂が場を支配するが、深海はわざとらしく溜息をついてみせ、言葉を続けた。
しばらく無言の静寂が場を支配するが、深海はわざとらしく溜息をついてみせ、言葉を続けた。
「今回の戦いは乾巧くんを再度招待したの」
たったそれだけの言葉が魔法だったかのように、人影は顔を上げた。
TVの光が顔を照らしだし、初対面の時よりややこけた印象を思わせる顔が闇に浮かび上がる。
その瞳には怯えを交えながらも疑問符が浮かんでおり、声を発さなくともそれ以上に感情を現していた。
―どうして。何故―
TVの光が顔を照らしだし、初対面の時よりややこけた印象を思わせる顔が闇に浮かび上がる。
その瞳には怯えを交えながらも疑問符が浮かんでおり、声を発さなくともそれ以上に感情を現していた。
―どうして。何故―
「そのTVの映像で見たと思うけれど、乾くんは1度目も、そして2度目もあのゲームの中で命を落とした。
彼が死ぬ事により運命は狂い、彼の存在していた世界はオルフェノクに蹂躙され、滅びの道を迎える。
あなたが拒否して参加しないのは仕方ないけれど、あなたが参加しない事で3度目も乾くんはしくじるかもしれない。
今回死ぬ乾くんは、どの並行世界の乾くんでしょうね?今度こそあなたの世界の彼?」
彼が死ぬ事により運命は狂い、彼の存在していた世界はオルフェノクに蹂躙され、滅びの道を迎える。
あなたが拒否して参加しないのは仕方ないけれど、あなたが参加しない事で3度目も乾くんはしくじるかもしれない。
今回死ぬ乾くんは、どの並行世界の乾くんでしょうね?今度こそあなたの世界の彼?」
目を伏せて黙る人影に対しどこか楽しそうな調子で、深海の独白のような言葉は続く。
「他の参加者は、殆どが今まで無慈悲に化物を駆除してきた連中…得体の知れない改造人間やら、化け物との混血やら、まともな連中は居ないわ。
そんな連中がどう見ても真っ当な生物には見えないオルフェノクを―…乾くんのような存在を認めると思う?
正体を知り次第、「正義」の名の下、始末するでしょうね。仮面ライダーって、そういう人達の事よ」
そんな連中がどう見ても真っ当な生物には見えないオルフェノクを―…乾くんのような存在を認めると思う?
正体を知り次第、「正義」の名の下、始末するでしょうね。仮面ライダーって、そういう人達の事よ」
床に数滴の液体がこぼれおちる。
人影が何を思い、何に涙したのかは深海には興味がなかったが、懐柔の為にほんの少しだけ悲しげに表情を緩ませてみせる。
”自分は情のある人間で、あなたには心底同情するわ。ごめんなさい。”…なんて雰囲気はどうかしら。
人影が何を思い、何に涙したのかは深海には興味がなかったが、懐柔の為にほんの少しだけ悲しげに表情を緩ませてみせる。
”自分は情のある人間で、あなたには心底同情するわ。ごめんなさい。”…なんて雰囲気はどうかしら。
「…何も悲しむ事はないじゃない。あなたが助けてあげればいいのよ。
彼の障害になる者を全てあなたが排除してあげればいいの。
彼と共に勝ち残れば、あなたも、彼も、それどころか今まで滅んだ他の世界でさえ、私達は救ってあげる事が出来る。
そうすれば乾巧くんは本来の世界の通り、光をもたらす救世主になれるわ…」
彼の障害になる者を全てあなたが排除してあげればいいの。
彼と共に勝ち残れば、あなたも、彼も、それどころか今まで滅んだ他の世界でさえ、私達は救ってあげる事が出来る。
そうすれば乾巧くんは本来の世界の通り、光をもたらす救世主になれるわ…」
それに、と区切って深海は相手の様子を伺った。
頬を伝う涙がTV画面の発光を反射しきらめく。ほんの僅か、深海はその様を見詰めた。
他人の泣き顔っていつ見ても滑稽。
頬を伝う涙がTV画面の発光を反射しきらめく。ほんの僅か、深海はその様を見詰めた。
他人の泣き顔っていつ見ても滑稽。
「仮にあなたが命を落としても、それまでにあなたが参加者を減らせられれば、それだけ乾くんが勝ち残る可能性は上がる。
彼さえ生き残れば世界は救われる。あなたは…私達が助けなければ命を落としていた事だし、きっともうそれだけの覚悟はあるでしょう?」
彼さえ生き残れば世界は救われる。あなたは…私達が助けなければ命を落としていた事だし、きっともうそれだけの覚悟はあるでしょう?」
返事はない。
せいぜい悩むといい。結論は1つしかない。
他に縋るものが見つからなければ、それがどんな非情な手段でも、人間は何かで妥協し、自らを納得させて選ばざるを得ない。
本当に愚か。でも、だからこそ遂行できるこのゲームで、私の目的が達成出来るというもの。
せいぜい悩むといい。結論は1つしかない。
他に縋るものが見つからなければ、それがどんな非情な手段でも、人間は何かで妥協し、自らを納得させて選ばざるを得ない。
本当に愚か。でも、だからこそ遂行できるこのゲームで、私の目的が達成出来るというもの。
それまで右手に持っていたスーツケースを、深海は蹲る影の足元にそっと置いた。
「これを使って闘って。使い方を教える必要は無いわよね?…これを最も使いこなしたあなたには」
俯いたまま、影はまだケースに手を伸ばさない。
放っておいてもいずれ手に取る事は目に見えていたが、あえて甘言を紡いだ。
放っておいてもいずれ手に取る事は目に見えていたが、あえて甘言を紡いだ。
「…それは前回の闘いの跡から、私が手を回して回収した物なのよ。
オリジナルをシェードがコピーしたもので、本来は草加雅人に預けられたんだけれど、彼が死んだ後は
前回の乾巧が用いた物。…あなたが使ってやれば、散っていった彼らへの弔い合戦にもなると思って。
私からの餞別よ。受けとってくれる?」
オリジナルをシェードがコピーしたもので、本来は草加雅人に預けられたんだけれど、彼が死んだ後は
前回の乾巧が用いた物。…あなたが使ってやれば、散っていった彼らへの弔い合戦にもなると思って。
私からの餞別よ。受けとってくれる?」
思った通りおずおずと手を伸ばしたのを見て、深海は頑張って、と声をかけてから踵を返して部屋を出た。
後は焚き付ける必要もない。最早歯車は回りだした。
気にする事があるとすれば、この駒がどれだけ戦況を上手く掻き回してくれるかどうかだけだ。
背負ったものの為に戦う…その後押しが、残酷な殺し合いをも助長してくれるはず。
今まであの神崎士朗が主催してきたライダーバトルの参加者がそうであったように。
後は焚き付ける必要もない。最早歯車は回りだした。
気にする事があるとすれば、この駒がどれだけ戦況を上手く掻き回してくれるかどうかだけだ。
背負ったものの為に戦う…その後押しが、残酷な殺し合いをも助長してくれるはず。
今まであの神崎士朗が主催してきたライダーバトルの参加者がそうであったように。
「サンプル№23がゲームに参加する。通してあげなさい」
再度敬礼を返した軍服の男に会釈し、薄い笑みを浮かべたまま、
振り返りもせず深海は長い廊下を歩み去っていった。
振り返りもせず深海は長い廊下を歩み去っていった。
ブレイド ◆fWWJ2m/Noo 氏作 :2009/07/02(木)
仮面ライダー大戦3期 剣崎一真「運命のカード」
全てのアンデッドは封印され、世界は救われたはずだった―
(それなのに、目の前で起きた光景は何だったんだ?)
街を歩きながら思い返す。この前の出来事が嘘のように平穏だ。
見たこともない仮面ライダーとの戦い。
緑色のカードを操るライダー、そして赤い閃光を放ち変身した未知のライダー。
4年前、ジョーカーアッデッドである相川始を封印し彼の戦いは終わったはずだった。
しかし、1枚の招待状が彼の運命を変えた。
同時に渡されたブレイバックル。
「全てのライダーを倒せ」。受け入れることの出来ない言葉。
最初から剣崎の答えは決まっていた。「この戦いを止める」と。
街を歩きながら思い返す。この前の出来事が嘘のように平穏だ。
見たこともない仮面ライダーとの戦い。
緑色のカードを操るライダー、そして赤い閃光を放ち変身した未知のライダー。
4年前、ジョーカーアッデッドである相川始を封印し彼の戦いは終わったはずだった。
しかし、1枚の招待状が彼の運命を変えた。
同時に渡されたブレイバックル。
「全てのライダーを倒せ」。受け入れることの出来ない言葉。
最初から剣崎の答えは決まっていた。「この戦いを止める」と。
未知のライダーに出会った時、鏡の中で微笑んだコートの男。
「戦え、戦え…」呪詛のように繰り返すその言葉に、剣崎はただ狂気を感じるしかなかった。
「戦え、戦え…」呪詛のように繰り返すその言葉に、剣崎はただ狂気を感じるしかなかった。
―数日後
街を歩く剣崎に、再びあの男の言葉が響く。
「戦え…戦え…」
ショーウインドーの中、車のサイドミラー。あらゆる鏡の中から
男の姿と声が木霊する。
「俺は…人を殺す為にライダーになったんじゃない。戦えない、全ての人を
守る為にライダーになったんだ!」
「戦え…戦え…」
ショーウインドーの中、車のサイドミラー。あらゆる鏡の中から
男の姿と声が木霊する。
「俺は…人を殺す為にライダーになったんじゃない。戦えない、全ての人を
守る為にライダーになったんだ!」
鏡の中の男を見据え、ただ思うことは1つ。
こんな戦いは必ず叩き潰す、と。
こんな戦いは必ず叩き潰す、と。
運命の切り札はただ1つ。
神崎士郎 ◆VKQ1xhlIyo 氏作:2009/07/15(水)
「……以上です」
「なかなか興味深い結果ね」
深海はそう言うと、机の上に並べられた書類に目を通した。
「まさかカブトが脱落するかとひやひやしたけど…杞憂だったようね」
「なかなか興味深い結果ね」
深海はそう言うと、机の上に並べられた書類に目を通した。
「まさかカブトが脱落するかとひやひやしたけど…杞憂だったようね」
「所詮、鬼の鎧は量産品。彼らなら参加者たちとも善戦してくれると思うわ…」
机の上には赤、紫、青、黒。四者四様の兵隊の写真が並ぶ。
机の上には赤、紫、青、黒。四者四様の兵隊の写真が並ぶ。
「天才、小沢澄子発明の対未確認生命体戦闘用強化外骨及び強化外筋…流石にどれも素晴らしい出来ね」
「俺にはあのG3の設計者と同じ人物がこれらを作ったようには思えないがな」
「俺にはあのG3の設計者と同じ人物がこれらを作ったようには思えないがな」
神崎がぼそりと言葉を洩らす。その言葉の端からは隠しきれない真意が垣間見えた。
それに気づいた深海は口元に軽い笑みを浮かべる。
それに気づいた深海は口元に軽い笑みを浮かべる。
「出来レースの駒しか作ったことがない天才は可哀想ね。自分の欲求に忠実に動けないもの…」
「……そうかな」
図星を突かれたのか。神崎は一瞬言葉を失ったが、すぐに反論を始めた。
「……そうかな」
図星を突かれたのか。神崎は一瞬言葉を失ったが、すぐに反論を始めた。
「目的を達成するためには必要なものだけ作り、利用する。欲求に従い無駄なものまで生み出してしまうのは効率的なことではない…そんなことよりチケットの準備は出来てるのか?」
「ええ、"LIFE"、"BIRTH"、"DESTRUCTION"。3枚どれも問題ないわ…」
「ええ、"LIFE"、"BIRTH"、"DESTRUCTION"。3枚どれも問題ないわ…」
深海はあくまでも微笑みながら机から立ち上がった。
「さあ…新たなる闘いの始まりよ!」
「さあ…新たなる闘いの始まりよ!」
―――― 2nd ステージ ――――
『それぞれの闘い――From 1 to 4――』
神崎士郎 ◆VKQ1xhlIyo 氏作:2009/08/03(月)
「…Gシリーズは予想以上だったな」
「小沢澄子は確かに天才ね…おかげで最高のデータが得られたわ!」
「小沢澄子は確かに天才ね…おかげで最高のデータが得られたわ!」
深海は机の上に並べられたバックル、カードデッキ、ベルトに優しく微笑む。
「指示通りに多少いじったが…性能は保証しないぞ?」
「大丈夫。小沢澄子がそうであったように、あなたもまた天才。私はあなたを信頼しますよ…」
深海は微笑みを神崎へと移す。
「指示通りに多少いじったが…性能は保証しないぞ?」
「大丈夫。小沢澄子がそうであったように、あなたもまた天才。私はあなたを信頼しますよ…」
深海は微笑みを神崎へと移す。
「どうだか…今度の装着員は大丈夫だろうな? まあ、Gシリーズのような負荷は掛からないようにしたつもりだが…」
「大丈夫…とびっきり元気な装着員を用意してあるわ…」
「大丈夫…とびっきり元気な装着員を用意してあるわ…」
深海はまた別な資料に目を移す。
「とびっきり元気よ…"人間"以上にね…」
「とびっきり元気よ…"人間"以上にね…」
……………………………………………………………………………………
「これがグレイブの新たな力…」
神崎より手渡されたバックルに志村は邪な笑みを隠すことが出来ない。
神崎より手渡されたバックルに志村は邪な笑みを隠すことが出来ない。
これまでの大戦では数奇な運命を辿ってきた志村。
一度目は邪神と共に消滅し、また別の時間軸より参戦した二度目は呆気なく封印された。
その封印を神崎によって解かれた志村の目的は一つ。今度こそ頂点に立つ。
……………………………………………………………………………………
「神崎もなかなか良いものをくれるじゃねえか…」
浅倉が見つめる一枚のカード"サバイブ 疾風"。ミラーライダーに更なる力を与える強化カード。
より研ぎ澄まされた牙を携える蛇の狙いは言うまでもない。
全ての参加者が自らの毒にのたうち回るのを見物するのみ。
……………………………………………………………………………………
「あの男の技術…ただものじゃないな…」
端正な顔立ちをした男のそばを機械仕掛けの飛蝗が飛び回る。
"影山瞬"、闇の世界の住人である彼は光を求めるも叶わず、兄の優しい介抱でその命を終えた筈だった。
しかし、目を覚ましたときに彼は神崎という男の下にいた。
彼が言うにはこれが光を得られるラストチャンス。
「…もう一度光を!」
掲げた手の中に時空を超えてやって来た究極の甲虫の力が収まる。
野望、欲望、策謀、無謀…混沌渦巻く新時代が今、幕を開ける。
―――― 3rd ステージ ――――
『新世代―― NEW GENERATION ――』
神崎士郎 ◆VKQ1xhlIyo 氏作:2009/09/05(土)
いつものようにとある一室で向かい合う一組の男女。
「神崎君、これまでの結果をどう思う?」
「俺には相変わらずあなたの目的が分からない…」
「神崎君、これまでの結果をどう思う?」
「俺には相変わらずあなたの目的が分からない…」
「目的? 決まっているでしょ。勝ち残った最強のライダーの力を利用すること。勿論あなたにもそれ相応の見返りを…」
「違うな…俺も始めはそう思っていた。だが、今あなたの思惑はちっとも見えてこない」
重く低い声が部屋に響き、神崎は鋭い視線を深海へと向ける。
「違うな…俺も始めはそう思っていた。だが、今あなたの思惑はちっとも見えてこない」
重く低い声が部屋に響き、神崎は鋭い視線を深海へと向ける。
「何故この殺し合いを始めた? 何故俺を甦らせた!?」
力強く握り締めた拳を深海の座る机に叩きつけ、神崎は深海を睨みつける。
力強く握り締めた拳を深海の座る机に叩きつけ、神崎は深海を睨みつける。
「俺にも教えてくれないかな…あんたらの目的?」
響き渡る声に併せて空間が歪み、漆黒のバッタが姿を現す。
「見つけたぞ。神崎士郎に…深海里沙!」
響き渡る声に併せて空間が歪み、漆黒のバッタが姿を現す。
「見つけたぞ。神崎士郎に…深海里沙!」
「仕方ないわね。教えてあげるわ…」
詰め寄ってくる男二人に何やら意味深な笑みを返す。
「…必要だったのよ。色々とデータがね。でも、それも終わり…」
そう言うと、深海は懐から何かボタンの付いたリモコンのようなものを取り出す。
詰め寄ってくる男二人に何やら意味深な笑みを返す。
「…必要だったのよ。色々とデータがね。でも、それも終わり…」
そう言うと、深海は懐から何かボタンの付いたリモコンのようなものを取り出す。
「何だ…と…」
神崎は抗おうとするが徐々にその動きが鈍くなり、遂にはその場に倒れ込んだ。
「おい、神崎!? 深海…な…に…を……」
パンチホッパーも力無くその場に崩れ落ちる。
神崎は抗おうとするが徐々にその動きが鈍くなり、遂にはその場に倒れ込んだ。
「おい、神崎!? 深海…な…に…を……」
パンチホッパーも力無くその場に崩れ落ちる。
「流石、最新AI"Rチップ"…死人さえここまで完璧に動かせるなんてね」
深海はリモコンを手の中で遊ばせ、今や砂と化した二人の亡骸に目を落とす。
深海はリモコンを手の中で遊ばせ、今や砂と化した二人の亡骸に目を落とす。
「既に死んでいる筈のあなたたちがもう一度生きられただけでも感謝しなさい…」
深海は机の上に置かれた最後の書類に視線を移す。
深海は机の上に置かれた最後の書類に視線を移す。
「さて、もう充分テストは終わったわ。そろそろ勝ち残っている参加者の方々にも退場してもらわないと…」
深海の手にした書類に書かれていた名前は二つ。
深海の手にした書類に書かれていた名前は二つ。
その一つは" NEW GENERATION 0"。
「…いよいよ最終兵器の御披露目ね!」
まるで子供のような笑みを浮かべる深海は自らの背後のカーテンを開いた。
まるで子供のような笑みを浮かべる深海は自らの背後のカーテンを開いた。
そこに立つ巨大水槽。泡が充満する培養液の中に眠るのは純白の悪魔…
―――― FINAL ステージ ――――
『最終兵器零号』
裁鬼 ◆.SIonoT/6U 氏作:2009/10/11(日)
佐伯 栄が再び目を開いた時、最初に瞳に移ったのは殺風景な病室の天井だった。
それからすぐに石割が彼の視界に飛び込んできた。いきなり泣き付かれ、何が起こっているのかわからない。
そんな表情を浮かべていたが、すぐに状況は理解できた。
自分は闘いに敗れ、それでいて生きていたという事が。
それからすぐに石割が彼の視界に飛び込んできた。いきなり泣き付かれ、何が起こっているのかわからない。
そんな表情を浮かべていたが、すぐに状況は理解できた。
自分は闘いに敗れ、それでいて生きていたという事が。
G3-Xとの戦闘の後、傷ついた裁鬼の身体はバンキの元へと運ばれた。
まだ息があると確認した石割がそうするのが得策であると判断した為だった。
バンキの住むマンションで家主に驚いた顔に迎えられながら佐伯は延命処置を施された。
まだ息があると確認した石割がそうするのが得策であると判断した為だった。
バンキの住むマンションで家主に驚いた顔に迎えられながら佐伯は延命処置を施された。
弦の鬼は他の鬼と比べて深手を負う事が多い。
接近戦を余儀なくされる戦闘スタイル、ヤマアラシなどの攻撃に長けた魔化魍が相手である事がその原因だ。
それ故に、彼らは他の鬼よりも治癒に関する知識を持ち合わせている。
それは薬草による応急処置の様な物から気功を用いた蘇生法まで様々である。
そしてバンキ、石割は師である裁鬼から呪術を教わっていた。
一歩間違えば最悪暴走状態となり、救うどころかその手で倒さなければならなくなる。
危険な賭け。だがそれでも、傷ついた裁鬼を救うにはこれしか方法がなかった。
二人は意を決し、夜通しで術を執り行った。
接近戦を余儀なくされる戦闘スタイル、ヤマアラシなどの攻撃に長けた魔化魍が相手である事がその原因だ。
それ故に、彼らは他の鬼よりも治癒に関する知識を持ち合わせている。
それは薬草による応急処置の様な物から気功を用いた蘇生法まで様々である。
そしてバンキ、石割は師である裁鬼から呪術を教わっていた。
一歩間違えば最悪暴走状態となり、救うどころかその手で倒さなければならなくなる。
危険な賭け。だがそれでも、傷ついた裁鬼を救うにはこれしか方法がなかった。
二人は意を決し、夜通しで術を執り行った。
結果、裁鬼は一命を取りとめ、驚異的な回復力を見せた。
リハビリも順調に進み、鬼としての職場復帰も間近という時、彼が現れた。
リハビリも順調に進み、鬼としての職場復帰も間近という時、彼が現れた。
「佐伯 栄。いや、仮面ライダー裁鬼」
白服の青年が佐伯の視界に入った瞬間、世界が暗転した。
傍らには様々な武装を積んだバイクが残っている。だが、他の物は全てが消え失せていた。
暗いオーロラの様なものが絶えず波打つ空間、その景色は幻想的だが何所か気味の悪いものだった。
「誰だ?」
「貴方を再び戦いに行かせるのは心苦しい。敗北して尚、生きてこの世に舞い戻った貴方を」
青年は佐伯の問いには応えず、顔色一つ変えずに言葉を並べていく。
「だが貴方しかいないのです。僕では彼女達に干渉することはできない」
青年の顔に僅かに陰りが映りこむ。その表情は悔しさや歯がゆさと言うより、ただ申し訳ない。
そう考えているように佐伯には思えた。青年の真意を探ろうと次の言葉を静かに待つ佐伯。
「だから、貴方にはもう一度戦っていただきたい。無礼は承知の上です、それでも僕は貴方の力が必要だ」
佐伯は静かに目を閉じたまま応えない。だが、カッと目を見開くとその重い口を開いた。
白服の青年が佐伯の視界に入った瞬間、世界が暗転した。
傍らには様々な武装を積んだバイクが残っている。だが、他の物は全てが消え失せていた。
暗いオーロラの様なものが絶えず波打つ空間、その景色は幻想的だが何所か気味の悪いものだった。
「誰だ?」
「貴方を再び戦いに行かせるのは心苦しい。敗北して尚、生きてこの世に舞い戻った貴方を」
青年は佐伯の問いには応えず、顔色一つ変えずに言葉を並べていく。
「だが貴方しかいないのです。僕では彼女達に干渉することはできない」
青年の顔に僅かに陰りが映りこむ。その表情は悔しさや歯がゆさと言うより、ただ申し訳ない。
そう考えているように佐伯には思えた。青年の真意を探ろうと次の言葉を静かに待つ佐伯。
「だから、貴方にはもう一度戦っていただきたい。無礼は承知の上です、それでも僕は貴方の力が必要だ」
佐伯は静かに目を閉じたまま応えない。だが、カッと目を見開くとその重い口を開いた。
「いいだろう。お前が誰とか、相手が何とかはこの際気にしない。俺が出来る事は戦う事だけだしな」
佐伯、いや戦士の目をした裁鬼は青年に優しく笑いかける。
その想いに応えるため、青年も静かに微笑を浮かべた。
佐伯、いや戦士の目をした裁鬼は青年に優しく笑いかける。
その想いに応えるため、青年も静かに微笑を浮かべた。
「僕が空間を渡るゲートを作ります。僕にはそこまでしか出来ませんが、貴方ならそれを越える事が出来ます」
青年が手を翳すとオーロラの一点が歪み、小さな黒い点が生まれた。
点といってもちょうど人一人が通り抜けられるぐらいの大きさはある。
「一つだけ伝えておきます」
青年が裁鬼の方を見つめる。その顔にはもう先ほどの笑顔は見られなかった。
「この戦いを引き起こした元凶は恐ろしい存在。ですが、貴方には仲間がいます。共に戦う、仲間が」
「仲間か。いい言葉、だな。……お前さんも俺の仲間なのか」
青年は裁鬼の言葉には応えない。躊躇いがちに下を向いているだけだった。
「まぁいいさ。それじゃ、行ってくる」
青年が手を翳すとオーロラの一点が歪み、小さな黒い点が生まれた。
点といってもちょうど人一人が通り抜けられるぐらいの大きさはある。
「一つだけ伝えておきます」
青年が裁鬼の方を見つめる。その顔にはもう先ほどの笑顔は見られなかった。
「この戦いを引き起こした元凶は恐ろしい存在。ですが、貴方には仲間がいます。共に戦う、仲間が」
「仲間か。いい言葉、だな。……お前さんも俺の仲間なのか」
青年は裁鬼の言葉には応えない。躊躇いがちに下を向いているだけだった。
「まぁいいさ。それじゃ、行ってくる」
ゲートを潜り、裁鬼の姿はすぐに消え失せた。
ただ一人残された青年は顔を上げて呟いた。
「こんな事、僕が言う資格は無いかもしれない。……それでも、気をつけて」
ただ一人残された青年は顔を上げて呟いた。
「こんな事、僕が言う資格は無いかもしれない。……それでも、気をつけて」
一参加者 氏作:2009/12/07(月)
『終章 それぞれの思いを胸に』
巨大水槽から零号が飛立った直後。深海は愛おしそうにある物を手にしていた。
それは名刺ケース大の箱型の何か。中央には紅い宝玉を連想させる模様が描かれている。
「もうすぐ……全てが整う。新たなる生命の誕生……」
それは名刺ケース大の箱型の何か。中央には紅い宝玉を連想させる模様が描かれている。
「もうすぐ……全てが整う。新たなる生命の誕生……」
「そいつはどうかな」
「誰!?」
深海が声を上げた方向、一人の青年が銃を構えて立っていた。
青年の名は海東 大樹。世界を又に駆ける世紀の大怪盗。
「リバルのカードデッキか。そいつは珍しいお宝だね。是非とも頂きたい物だ」
「何故ここがわかったの?」
深海の額から汗が滴る。同時に眉間の皺が強くなった。
海東はそんな彼女の様子を楽しむように話してみせた。
「親切な人たちがいてね。ちょっと道案内してもらったのさ」
「あいつらね……」
深海の脳裏にある集団が過ぎる。自身の駒として揃えた者たち。
実力はあるが、性格に一癖も二癖もある面々であり使用の際には難儀した。
そんな彼らももう深海の元にはいない。神崎 士郎を始末した前後に忽然と姿を消したのだ。
今ならわかる。彼らは自分に反旗を翻したのだと。目の前に海東 大樹がいる事が何よりの証明だった。
「誰!?」
深海が声を上げた方向、一人の青年が銃を構えて立っていた。
青年の名は海東 大樹。世界を又に駆ける世紀の大怪盗。
「リバルのカードデッキか。そいつは珍しいお宝だね。是非とも頂きたい物だ」
「何故ここがわかったの?」
深海の額から汗が滴る。同時に眉間の皺が強くなった。
海東はそんな彼女の様子を楽しむように話してみせた。
「親切な人たちがいてね。ちょっと道案内してもらったのさ」
「あいつらね……」
深海の脳裏にある集団が過ぎる。自身の駒として揃えた者たち。
実力はあるが、性格に一癖も二癖もある面々であり使用の際には難儀した。
そんな彼らももう深海の元にはいない。神崎 士郎を始末した前後に忽然と姿を消したのだ。
今ならわかる。彼らは自分に反旗を翻したのだと。目の前に海東 大樹がいる事が何よりの証明だった。
「世界の命運に興味は無いけど、僕の仲間達がこうしろって言ってる気がしてね。
それに、通りすがりの正義の味方というのも案外悪くない」
海東の言葉に深海は嘲笑した。
「仲間……? そんな物、いないじゃない。ここにいるのはアンタ一人、仲間なんていやしない!」
その時、海東の背後で微かに影が動いた。
それに、通りすがりの正義の味方というのも案外悪くない」
海東の言葉に深海は嘲笑した。
「仲間……? そんな物、いないじゃない。ここにいるのはアンタ一人、仲間なんていやしない!」
その時、海東の背後で微かに影が動いた。
「"傍にいない時は、もっと傍にいてくれる"」
女性の声が響く。清楚で、それでいて凛とした意志を感じさせる声。
「貴方は……」
深海はしばし唖然とした。もっとも予想が出来た人物。同時に予想したくなかった人物。
「天道さんの言葉です。今の私達は、あの人達と一緒にいます」
木村 沙耶。今回の戦いでジョーカーとしての役割を期待し、密かに育てていた小さな芽。
それは天道 総司という太陽に照らされ、また多くの参加者の心に触れる事で立派に成長した。
深海が思い描いていた、真逆の方向に。
「私はもう貴方の思い通りにはならない。人と人が分かり合える世界、それを作る為に戦う!」
女性の声が響く。清楚で、それでいて凛とした意志を感じさせる声。
「貴方は……」
深海はしばし唖然とした。もっとも予想が出来た人物。同時に予想したくなかった人物。
「天道さんの言葉です。今の私達は、あの人達と一緒にいます」
木村 沙耶。今回の戦いでジョーカーとしての役割を期待し、密かに育てていた小さな芽。
それは天道 総司という太陽に照らされ、また多くの参加者の心に触れる事で立派に成長した。
深海が思い描いていた、真逆の方向に。
「私はもう貴方の思い通りにはならない。人と人が分かり合える世界、それを作る為に戦う!」
「小娘が、調子付いて……。いいわ、思い知らせてあげる。リバルの恐ろしさ、その力の全てを!」
深海が手にしたカードデッキを掲げる。その動作を受け、デッキが妖しく輝く。
銀色のベルトが装着され、深海は満面の笑みで呟いた。
「変身」
カードデッキがバックル部に装填され、深海の姿は変化する。
胸の中央に紅い宝玉を備えた漆黒のライダーシステム、オルタナティブ・リバル。
深海が手にしたカードデッキを掲げる。その動作を受け、デッキが妖しく輝く。
銀色のベルトが装着され、深海は満面の笑みで呟いた。
「変身」
カードデッキがバックル部に装填され、深海の姿は変化する。
胸の中央に紅い宝玉を備えた漆黒のライダーシステム、オルタナティブ・リバル。
深海の変身を受けて、海東が素早くディエンドライバーを回す。
それに呼応して沙耶もデルタギアを取り出す。
彼らの眼差しは確かな決意が浮かび上がっていた。そして目の前の敵ではなく、戦いのその先へと向けられていた。
「僕らの旅の終着点は、こんな場所じゃない。終らせないさ、旅も、世界も!」
「私達の心は、絶対に貴方に負けない! 人が、心を忘れない限り!」
二人の言葉に深海は反射的に言葉を発していた。
「貴方達、何者……?」
それに呼応して沙耶もデルタギアを取り出す。
彼らの眼差しは確かな決意が浮かび上がっていた。そして目の前の敵ではなく、戦いのその先へと向けられていた。
「僕らの旅の終着点は、こんな場所じゃない。終らせないさ、旅も、世界も!」
「私達の心は、絶対に貴方に負けない! 人が、心を忘れない限り!」
二人の言葉に深海は反射的に言葉を発していた。
「貴方達、何者……?」
「決まっているだろう、通りすがりの!」
「仮面ライダーです!」
「変身!」
ディエンドライバーが天を撃ち抜き、三色の光が交差しあう。
デルタギアを中心にし、白きフォトンブラッドが眩き光を放つ。
色取り取りの輝きが研究室を包み込み、二人の仮面ライダー、ディエンドとデルタが姿を現した。
多くのライダー達の思いと共に。
「仮面ライダーです!」
「変身!」
ディエンドライバーが天を撃ち抜き、三色の光が交差しあう。
デルタギアを中心にし、白きフォトンブラッドが眩き光を放つ。
色取り取りの輝きが研究室を包み込み、二人の仮面ライダー、ディエンドとデルタが姿を現した。
多くのライダー達の思いと共に。
「私の計画の邪魔は誰にもさせない。消えなさい、私の眼前から!」
リバルが胸の宝玉に一枚のカードをスラッシュする。
独特の機械音声が響き、何体ものモンスターが生み出されていく。
何もない無から有を生み出す力、BIRTHの力。
「ここは僕に任せてもらおうか」
ディエンドが素早く二枚のカードを取り出す。
「ATTACK RIDE! ILLUSION! BLAST!」
機械音と共にディエンドの姿が5人に分裂し、その全てが銃撃する。
容赦ない光弾の嵐により瞬く間にモンスターの軍勢は全滅した。
リバルが胸の宝玉に一枚のカードをスラッシュする。
独特の機械音声が響き、何体ものモンスターが生み出されていく。
何もない無から有を生み出す力、BIRTHの力。
「ここは僕に任せてもらおうか」
ディエンドが素早く二枚のカードを取り出す。
「ATTACK RIDE! ILLUSION! BLAST!」
機械音と共にディエンドの姿が5人に分裂し、その全てが銃撃する。
容赦ない光弾の嵐により瞬く間にモンスターの軍勢は全滅した。
「リバルの力はこんなものじゃないわ」
リバルはまた一枚カードを引き抜くと、同じ様に胸へと通す。
鏡が割れるような音が響き渡り、ディエンドの方へと衝撃波が走る。
分身は消え、ディエンド本体も幾らかのダメージで後方へと弾かれる。
ならば、とデルタが前へと躍り出る。手にしたデルタムーバーに素早く囁くと青白い光弾を何発も放つ。
その射撃は正確無比でリバルの発する破壊の衝撃波も消し去った。
「今です、海東さん」
「ああ」
ディエンドが一枚のカードをセットする。赤い装甲に青き瞳のライダーのカード。
彼らがもっとも頼りに思う、太陽の神の二つ名を持つ仮面ライダー。
「KAMEN RIDE! KABUTO!」
リバルはまた一枚カードを引き抜くと、同じ様に胸へと通す。
鏡が割れるような音が響き渡り、ディエンドの方へと衝撃波が走る。
分身は消え、ディエンド本体も幾らかのダメージで後方へと弾かれる。
ならば、とデルタが前へと躍り出る。手にしたデルタムーバーに素早く囁くと青白い光弾を何発も放つ。
その射撃は正確無比でリバルの発する破壊の衝撃波も消し去った。
「今です、海東さん」
「ああ」
ディエンドが一枚のカードをセットする。赤い装甲に青き瞳のライダーのカード。
彼らがもっとも頼りに思う、太陽の神の二つ名を持つ仮面ライダー。
「KAMEN RIDE! KABUTO!」
ディエンドとデルタの間に割って入るようにしてカブトは出現した。
その佇まいは何も語らなかったが、全てを理解しているように二人には思えた。
駆け出すカブトを援護するように二人のライダーが射撃を行う。
リバルは巨大な剣を生み出し、迫るカブトに応戦するが深海の戦闘経験が仇となったのだろうか。
明らかに押され、あっという間に壁際まで追い込まれていた。
その佇まいは何も語らなかったが、全てを理解しているように二人には思えた。
駆け出すカブトを援護するように二人のライダーが射撃を行う。
リバルは巨大な剣を生み出し、迫るカブトに応戦するが深海の戦闘経験が仇となったのだろうか。
明らかに押され、あっという間に壁際まで追い込まれていた。
「こんな、はずじゃ、リバルは!」
「終わりにしよう!」
ディエンドが力強く言い放つ。その手には最後を飾る一枚のカードが握られていた。
「ATTACK RIDE! CROSS ATTACK!」
カブトが腰のカブトゼクターを素早く操作する。瞬く間に右足にタキオン粒子が集中し、電撃が迸る。
そして、リバルの背後に回りこむと強烈な回し蹴りを決めた。
リバルの身体は宙を舞い、ディエンド達の方へと向かっていく。
その最中に青の楔が勢いよく撃ち付けられた。
フォトンブラッドできたその楔はリバルの身体を空中に張り付けし、動きを完全に封じていた。
デルタがディエンドの方を顧みる。ディエンドは無言でゆっくりと頷いた。
それを合図に二人は最後の締めにかかった。
デルタは跳躍し、右の足を真っ直ぐに宙の楔へ、リバルへと向けていく。
ディエンドはディエンドライバーを静かに構え、その引き金を引く。
デルタがリバルに必殺の蹴りを決め、その身体をすり抜けた瞬間、強大なエネルギーの激流が押し寄せ、リバルは再び壁へと打ちつけられた。
「終わりにしよう!」
ディエンドが力強く言い放つ。その手には最後を飾る一枚のカードが握られていた。
「ATTACK RIDE! CROSS ATTACK!」
カブトが腰のカブトゼクターを素早く操作する。瞬く間に右足にタキオン粒子が集中し、電撃が迸る。
そして、リバルの背後に回りこむと強烈な回し蹴りを決めた。
リバルの身体は宙を舞い、ディエンド達の方へと向かっていく。
その最中に青の楔が勢いよく撃ち付けられた。
フォトンブラッドできたその楔はリバルの身体を空中に張り付けし、動きを完全に封じていた。
デルタがディエンドの方を顧みる。ディエンドは無言でゆっくりと頷いた。
それを合図に二人は最後の締めにかかった。
デルタは跳躍し、右の足を真っ直ぐに宙の楔へ、リバルへと向けていく。
ディエンドはディエンドライバーを静かに構え、その引き金を引く。
デルタがリバルに必殺の蹴りを決め、その身体をすり抜けた瞬間、強大なエネルギーの激流が押し寄せ、リバルは再び壁へと打ちつけられた。
カブトが、二人のライダーの方をじっと見つめる。
彼はやはり何事も話さなかったが、二人には確かな思いが伝わっていた。
召喚時間の限界が来るまで、カブトの瞳は二人を捉えて離さなかった。
彼はやはり何事も話さなかったが、二人には確かな思いが伝わっていた。
召喚時間の限界が来るまで、カブトの瞳は二人を捉えて離さなかった。
先程の衝撃で吹き飛んだのだろうか。リバルのデッキはバックルを離れ、その姿は元の深海 理沙に戻っていた。
ディエンドも海東に戻ると深海の元へと足を進めていった。
途中でリバルデッキを回収する事も忘れずに。
ディエンドも海東に戻ると深海の元へと足を進めていった。
途中でリバルデッキを回収する事も忘れずに。
「僕はアンタがどうなっても知ったこっちゃ無いけど。一応聞きたい事もあるしね、しかるべき場所に行ってもらうよ」
既に意識を失っている深海を背負う海東。人一人を背負っている割には彼はいつも通りの佇まいだった。
「大丈夫ですか、海東さん」
「ああ、心配は無用だ。それよりご苦労さま。悪いね、付き合ってもらって」
海東の言葉に沙耶は大きく首を横へと振った。
「悪いだなんて。寧ろ私の方がお礼を言うべきです。ありがとうございました」
「よしたまえ、そういうのは慣れてないんだ」
照れくさそうにそっぽを向く海東。そんな彼の姿を見、沙耶はクスクスと笑った。
既に意識を失っている深海を背負う海東。人一人を背負っている割には彼はいつも通りの佇まいだった。
「大丈夫ですか、海東さん」
「ああ、心配は無用だ。それよりご苦労さま。悪いね、付き合ってもらって」
海東の言葉に沙耶は大きく首を横へと振った。
「悪いだなんて。寧ろ私の方がお礼を言うべきです。ありがとうございました」
「よしたまえ、そういうのは慣れてないんだ」
照れくさそうにそっぽを向く海東。そんな彼の姿を見、沙耶はクスクスと笑った。
――関東刑務所前。
「さてと。僕の目的は果たした。そろそろお別れだね」
「そうですね。ですが、一つ気がかりな事が」
少し暗い顔をしてみせる沙耶。
「なんだい? リバルのデッキなら、僕が責任を持って保管しておくけど」
「それは問題ないんですけど。あの時、あの場所に巨大な水槽がありましたよね?
あの中には、一体何が入っていたんでしょう……」
その質問も想定内、と言った顔で海東は返事をしてみせた。
「協力者の皆から聞き出しておいたよ。あの中には通称"零号"が入っていたそうだ。
あの様子じゃ、既に出撃した後みたいだったけどね」
「それじゃあもしかしたら誰かが……それと戦っているかもしれないって事ですか。もしかしたら、天道さんが……」
「佐野君もね。連絡に応じなかったって事は、可能性は高いと思う」
沙耶の顔が青ざめる。だがそんな彼女をなだめる様、海東は優しく言い聞かせた。
「彼らなら大丈夫さ。"傍にいない時は、もっと傍にいる"。だろ?」
それを聞いた沙耶の顔はパァっと明るくなった。
「そうですね、私も信じています。あの人たちなら、きっと無事だって――」
見上げた青空は何所までも青く、澄み渡っていた。
「さてと。僕の目的は果たした。そろそろお別れだね」
「そうですね。ですが、一つ気がかりな事が」
少し暗い顔をしてみせる沙耶。
「なんだい? リバルのデッキなら、僕が責任を持って保管しておくけど」
「それは問題ないんですけど。あの時、あの場所に巨大な水槽がありましたよね?
あの中には、一体何が入っていたんでしょう……」
その質問も想定内、と言った顔で海東は返事をしてみせた。
「協力者の皆から聞き出しておいたよ。あの中には通称"零号"が入っていたそうだ。
あの様子じゃ、既に出撃した後みたいだったけどね」
「それじゃあもしかしたら誰かが……それと戦っているかもしれないって事ですか。もしかしたら、天道さんが……」
「佐野君もね。連絡に応じなかったって事は、可能性は高いと思う」
沙耶の顔が青ざめる。だがそんな彼女をなだめる様、海東は優しく言い聞かせた。
「彼らなら大丈夫さ。"傍にいない時は、もっと傍にいる"。だろ?」
それを聞いた沙耶の顔はパァっと明るくなった。
「そうですね、私も信じています。あの人たちなら、きっと無事だって――」
見上げた青空は何所までも青く、澄み渡っていた。