37-640「佐々木さん改造計画~悪戯な小悪魔・女豹の佐々木さん~」

「た、た、橘さん!これは一体、何!?」
私は彼女の鞄からパサッと落ちた物体を見てパニックに陥ってしまった。
ここまでの精神的動揺というのはここの所の私の記憶の中にはあまり存在しない。
多少の事では揺らぐ事のない人間だと自覚していたのだが… 

「下着なのです」 

そんな笑顔であっさり返されても困る…そもそも橘さんは何故、鞄の中に下着を入れてるの?
しかも現在のあなたの立場は一応のところは一高校生にしか過ぎないのでしょう?
それをこんな… 

「可愛かったので買ったのです。これは今、一番のお気に入りなのです♪」 

胸の前で下着を広げながら微笑む友人…私は人付き合いを間違えたのであろうか?
同世代の女性として、また友人として忠告と疑問がある。
さすがに『真っ赤なレースのTバック』は少し派手だとか可愛いという範疇を超えているよ。
あまりに挑発的過ぎやしない?どこでどう使うの?こんなもの。
それに制服やスカートだと接地面が少な過ぎてスースーして落ち着かないのでは? 
「そんな事ないのです。履き慣れれば…」 
履き慣れれば?と言う事は橘さん、もしかして今も? 

「はい、最近はいつもTバックオンリーなのです!今日はピンクなのです♪」 

何なのよ?このツインテール。
見た目と裏腹に怪物だったと言う訳ね。 
「何故、Tバックオンリーなの?」 
私も一応、女であるから女性としての不可避な生理的現象からの保護と
肉体補正用、常識的な服装として下着を着用してはいるが、
あくまでそれは一般的な女子高生の観点から見て外れる事はなく、
不自然ではないものをチョイスしている。
ほんの少しの遊び心程度でたまに、本当にたま~に
服飾面のワンポイントくらいは付加させる事はあるけれども…。 

「女の子は豹なのです!獣であるべきなのです!」
よく分からないよ、橘さん。
「ちょっと失礼するのです…」
「ちょ、ちょっと!!何するの!?橘さん!?」
何故、スカートめくりなんか!?どこのガキ大将なの!?
さすがの私もそんな事をされたら恥ずかしいの!!
「う~ん…駄目なのです、佐々木さん」
何が?
「全く色気とセクシーさが足りないのです」
大きなお世話…
「そんなんじゃ彼のハートは射止められないのです」
下着で射止められてしまうような不埒なハートなら熨斗付けて送り返すわ!
「佐々木さんもTバック履いてみるのです!一度履いたらもう他のは履けなくなるのです!」
Tバックにはそんな麻薬的魅力が潜んでいるの?やはり危険だわ…
「佐々木さんはちゃんと勝負下着持ってます?」
勝負下着?な、何を下着で勝負する事があるんだい!?意味が分からない!
「そんなカマトトぶっても駄目なのです…持ってないなら今から買いに行くのです!
良い下着屋さん、知ってますから!」
要らない!!必要ない!!そんなものを手に入れるくらいなら『世界を改変する力』を
無理矢理、持たされる方がまだマシ!! 

連れて来られてしまった…橘さんに催促されて不可抗力であった事は否めないが
まさか自分が『黒のスケスケレースのTバック』なんてものを手にする日が来るとは
これまで考えもしなかったよ。
「さぁ!佐々木さん、履いてみて!」
うぅ…やっぱり無理だよ、私には。
「佐々木さんは分かってないのです。
男の子は女の子から迫るとすぐにコロッと行っちゃったりする単純な生き物なのです。
佐々木さんは素材は最高!!少しアレンジを加えるだけであっという間に
悪戯な小悪魔系に大変身なのです…くっくっくっ」
橘さん、そんな変な笑い方しながら妙な事を吹き込まないで!
「キョンさんもこういうの好きかもしれませんよ?」
そんなはずはない!キョンの部屋はあさり尽くしているから知っている!
「それは女の子の前でそんな部分は出さないのです…これを履いて少し強引にでも迫れば
彼も興奮して佐々木さんの魅力と誘惑には打ち勝てないのです!」
一回だけだからね!?一回上から重ね合わせてみるだけだから!! 

買ってしまった…店員と橘さんに乗せられて下着を履き替えてまで…
だんだん私が壊れていってる気がするよ…
「これで佐々木さんの魅力は七割増なのです」
その分、大事な何かを七割失ったよ…
「や、やはり落ち着かない…何かが足りない気がする」
「だ・か・ら♪その足りない部分を彼に埋めてもらうのです!!
女の子は男の子が飛び込んでこれるよう余地を残してわざと隙を作って誘い込むのです!!」
隙と言うか隙間だらけだよ、今の私は。 

「あ、もしもし。キョンさんですか~?今、佐々木さんと一緒にいるのですが、
今、時間大丈夫ですか?佐々木さんがですね…」
「な、何を電話しているの!?止めて!!」
「はい♪佐々木さん、キョンさんが換わって欲しいそうです」
覚えてなさい、このトンチキ超能力者!!
「すまない、キョン。橘さんが勝手に電話しただけで僕は別に何の用事も無いんだ」
「そ、そうか…」
ん?
「どうしたんだい?キョン、風邪でも引いた?随分と声が上擦っているようだが?」
「いや…まぁ、そりゃあ…なぁ…」
「くっくっ、僕と電話で話すのが今更、緊張するとでも言うのかい?」
「確かに少し…いや、かなり緊張してるな。佐々木、まさかお前の勝負下着が
『黒のスケスケレースのTバック』だったとは思いも寄らなかったよ…
お前が勝負下着を持ってるって事自体も驚きだったが…」

た、た、橘ぁぁぁぁあああぁぁあぁああ~~~~~~~~~~~!!!!!!!!!!!


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最終更新:2011年11月12日 03:43
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