議事録
○安倍内閣総理大臣 憲法について、考え方の一つとして、いわば国家権力を縛るものだという考え方はありますが、しかし、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、今まさに憲法というのは、日本という国の形、そして理想と未来を語るものではないか、このように思います。
「憲法は理想と未来を語るもの」という発言は、ほかに憲法施行70周年記念式典や2019年の安倍内閣総理大臣年頭記者会見などで同種の発言が見られる。
東京弁護士会の声明
立憲主義について「王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方だ」とも述べたが、この発言は、主権者国民の人権擁護を至高の価値として、人権侵害の危険を持つ権力の発動を制約するために憲法を制定し、主権者国民が権力に憲法を守らせることとした近代立憲主義に対する無理解を示すものである。
実際、第二次大戦前のドイツは、当時もっとも民主的といわれたワイマール憲法の下にある国民主権国家であったが、選挙で誕生したナチス政権の憲法を無視した暴走により、ユダヤ人虐殺等の未曾有の人権侵害を引き起こした。このように、権力が暴走して国民の人権を侵害することは過去の歴史ではなく、今まさに世界各地でも生じていることである。憲法と立憲主義は、そのような権力の暴走を抑制する最重要の機構として、その意義は今も全く失われていない。
報道
第二次安倍政権発足以降、とくに安倍政権に批判的なメディアによって散発的に報じられている。
- 「考え方の一つとして、いわば国家権力を縛るものだという考え方がある。しかし、それは王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、いま憲法というのは日本という国の形、理想と未来を、そして目標を語るものではないかと思う」(講談社コラム)
- 「憲法について、考え方の一つとして、いわば国家権力を縛るものだという考え方はありますが、しかし、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方」(Yahooニュース)
- 「国家権力を縛るものだという考え方はあるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であって、今まさに憲法というのは、日本という国の形、そして理想と未来を語るものではないか」(適菜 収)
- 「国家権力を縛るものだという考え方はあるが、それはかつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方だ。憲法は日本という国の形、理想と未来を語るもの」(赤旗)
- 「憲法は国家権力を縛るものだという考え方は、かつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方であり、今の時代には絶対的なものではない」(照屋寛徳君(社民)の憲法審査会答弁)
- 「憲法とは権力をしばるもの」という素朴でわかりやすい理解に対し、「かつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考えだ」(東京新聞)
- 「国家権力を縛るという考え方は、かつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方である」(大平喜信君(共産)の憲法審査会答弁)
- 「憲法は国家権力を縛るものだという考えは,かつて王権が絶対権力を持っていた時代の主流の考えだ」(岩波『科学』)
- 「王権が絶対権力を持っていた時代の主流的な考え方だ」(東京弁護士会)
いわばまさに、考え方の一つとして、国会答弁そのままでは長すぎという考え方はありますが、しかし、弁護士会の要約は短すぎであって、今まさに岩波科学の要約を記事タイトルにさせていただきました。記事タイトルは語録の形、そして理想と未来を語るものではないか、このように思います。