イントロダクション

 それは現か幻か……現代に存在する「人を超えた者」達。
 人であり、鬼であり、吸血鬼であり……
 何かが違う彼らは社会に溶け込みつつも、それを否定するように
 戦い、時には隠れ、その闇の均衡を保つ。
 裏の世界で集まりつつある彼ら、そして集まらずともつながりつつある彼ら。
 彼らの“繋がり”それは、『BBN』≪ブラック・ブラック・ネットワーク≫と呼ばれた。


テーブルトークRPGとは

 テーブルトーク・ロールプレイングゲーム…略してテーブルトークRPGとは、どんなものでしょうか。
 とりあえず、ロールプレイングゲーム…RPGについては、ご存知の方も多いでしょう。「自分の分身となる主人公を操って、空想の世界でさまざまな冒険をするゲーム」として、コンピュータ・ゲームではジャンルの一つとして定着しています。
 言ってみれば、RPGは「自分以外の人生を体験するゲーム」です。現在いるこの世界ではない、どこか別の場所にいるあなた。本来のものとは全く異なる姿形をしているあなた。現実では到底あり得ない体験をするあなた……。そんな「今とは違うあなた」を、ゲームという形で、擬似的に体験させてくれるのが、RPGなのです。

 ロールプレイという言葉を直訳すると「役割を演じる」という意味になりますが、この役割とはまさに「今とは違うあなた」に他なりません。そして、実際に演技をする人たちのことを『プレイヤー(PL)』、そしてプレイヤーたちが演じる分身や、ゲームの世界に登場する人物や動物、怪物たちを『キャラクター』と呼びます。さらに一般では、キャラクターのなかでもプレイヤーの分身のことを、特に『プレイヤーキャラクター(PC)』と呼びます。

 コンピュータRPGでは、あなたの『プレイヤーキャラクター』が生きる世界や、そこで起きる様々な出来事は、その世界の法則…つまりルールと共に、すべてゲーム製作者が決定します。コンピュータはゲームの進行にあわせて、製作者の決めたとおりに、敵である怪物や味方になる人物を登場させたり、用意されたストーリーを進めたりするのです。これは、コンピュータがすることですから、ルールから外れた行動は望めません。製作者の手間や量的限界などの事情によって、ストーリーも一本道になりがちです。その世界であなたが出会う人物や困難、感動的なエピソードは、すでにほぼ決められたものなのです。

 このコンピュータRPGの前身にあたるものが、現在テーブルトークRPGと呼ばれているものです。前身というくらいですから、当然テーブルトークRPGのほうが長い歴史を持っています。

 さて、そのテーブルトークRPG、コンピュータRPGとどこが違うのでしょうか。まず挙げられるのは、『プレイヤー』が必ずしも1人ではない、ということです。コンピュータRPGはもともと1人で遊ぶために作り出されたものですが、テーブルトークRPGの場合はむしろ、数人の仲間と遊ぶほうが楽しめます。自分と仲間の『プレイヤーキャラクター』たちで協力して、様々な困難に立ち向かう。その楽しさは、何物にも換え難いものになるでしょう。

 そして最も大きな違いは、コンピュータRPGでコンピュータがするべき仕事を人間がする、ということです。その役目を負う人は、プレイヤーに対して『ゲームマスター(GM)』と呼ばれます。
 テーブルトークRPGにも、決められたルールがあります。GMはルールを通してプレイヤーキャラクターの行動を管理しつつ、他のすべてのキャラクターを演じて、プレイヤーとコミュニケーションをとることでストーリーを進めていくのです。
 たとえば、こんな風に。

PL:…で、その隣の席に座っている男って、どんな格好してる?
GM:そうだな…体格のがっちりした、若い男性だ。身なりからすると裕福ではない感じ。
PL:じゃあ、ちょっと話しかけてみようか…「よう兄弟!景気はどうだい?」ってね。
GM:了解、そうすると彼は……

 GMの用意する世界で、プレイヤーキャラクターは想像力の許す限り自由に活躍できます。世界を管理するのが人間ですから、コンピュータと違って、キャラクターのどんな行動にも対応できます。GMがストーリーを提供してくれる限りは、何度でも繰り返し遊べますし、マンネリにもなりません。またプレイヤーキャラクターの行動によって、GMの提供するストーリーはいくらでも変化していきます。この柔軟なところこそが、テーブルトークRPGの特徴であり、長所なのです。

 難しそうだと思うかもしれませんが、とにかく臆せずに何度か遊んでみてください。最初は戸惑うことも多いでしょう。でも、テーブルトークRPGはやってみて初めて面白さが分かるゲームだとよく言われます。きっと実際に遊んでみれば、すぐにその面白さが分かるはずです。

原作「ブラック・ブラック・ネットワーク」について

 本作は、『ブラック・ブラック・ネットワーク』という、一連の競作小説作品を原作として製作されたTRPGです。
 このルールブックには、ゲームを遊ぶために必要な情報はひととおり紹介されています。原作にからむ背景設定なども、最低限そろっているので、原作を読んでいなくても問題ありません。

 でも、もしあなたが原作世界の設定などについてより深く知りたいと思ったなら、原作の小説作品群を読んでみることをお勧めします。そうすれば、ゲーム中のできごとを具体的にイメージするにも役立つでしょう。

ルールブックの内容について

 本作の内容は、大きく3つに分かれています。ルール部分、資料部分、そして各種のデータを含むその他の部分です。

 ルール部分は、まずプレイヤーキャラクターの作成から始まる「人物セクション」、それから基本的なゲームの進め方を説明する「行動セクション」があります。いずれもゲームの根幹部分なので、まずこのあたりを理解していくのが第一歩だといえるでしょう。
 別にルール全てを記憶しようとする必要はありません。わからなくなったら、いつでもルールブックを見ればいいのです。まずは気楽に、解説にしたがってキャラクターを作ったりしながら読み進めてみてください。

 本作はごらんの通りなかなか分厚いシロモノですが、遊ぶために理解しなければならない事柄は、じつはあまり多くありません。ページのほとんどの部分は、付属的な資料やデータなどに割かれています。
 資料として入っているのは、ゲームの舞台になる架空世界の情報と、その架空世界に登場する怪物やアイテム、そしてキャラクターたちが駆使する特殊な能力としての「技能」の説明です。

 さて、本作がどんなものかは、だいたい分かってもらえたでしょうか。
 長々しい前置きはこれくらいにして、実際に中身に触れてみましょう。そのために必要なものもいくつかありますが、まずは興味と意欲さえあれば十分です。

タグ:

+ タグ編集
  • タグ:
最終更新:2009年12月11日 20:49