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静止の世界と冬の白 その三

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shinatuki

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 「狭い・・・・・・何でこんなに狭いんだクソッ!」
 「我慢して、自然の洞窟なんだから。あともう少しすれば・・・・つくわ。」
狭い通路を通って、2人は目的地に向かう。
その狭さにギアッチョは氷の鎧を解かなくてはならないほど、狭かった。
荷物も全てこの狭い通路の入り口に置いておくしかなかった。
先行していたレティが、ピタッと動きを止める。
 「・・・ついたわ。」
ギアッチョはそうレティに言われ、息を潜め、足音を立てないようにする。
そして、2人は通路から出た。

「!!」

レティが、無数の明りをその空間に放つと、ギアッチョは思わず息を呑んだ。
そこは、巨大な地底湖だった。
あちこちから水が流れており、上からも水が滴っている。
湖の周囲には長い時間をかけて滴り落ちた水によって作られたであろうクレーターの集合体ような形の地面に全て水が満ちている。
レティの青白い光を受けて、そこは非常に神秘的な雰囲気に満ちていた。
 「・・・・・・本当だったら、冬のうちにここを全て凍らせて夏に備えるんだけど・・・・。あいつが全部、溶かしてしまったのよ。
  ここはこの山の霊脈の力の中心だから、奴はここを占領して、力を手にしているの。」
ざわり・・・・と空間が揺れた。
 『誰だ!!』
それは、若い男の声だった。
周囲の『力』が視認できるほどに集約し、光の玉となる。
さらに、その玉が巨大な地底湖の中心に集まり、人の形となる。
そして、たちまちその形は精細になっていき、最終的には肩にプロテクターをつけた、バンダナで髪を逆立てさせた青年になった。
 『ティッツァには・・・・・、手出しはさせねぇ!!クラッシュ!!』
次の瞬間、ギアッチョとレティは背後に気配を感じ、飛び去る。
レティは周囲に冷気の塊を精製し、ギアッチョはスタンドを発動し氷の鎧を身にまとう。
 「凍りつきなさい!!」
レティが白い光線をいくつも発射し、そこから弾幕がばら撒かれる。
スペルカードルールなのではない、本気の攻撃である。
弾が着弾したところは、次々の凍りつく。
だが、その襲ってきた敵は見当たらない。
 「レティ!!」
ギアッチョが滑走し、レティを抱える。
 「つっ?!」
レティの足の一部が、何かに食いちぎられたように引き裂かれる。
そして、レティがいた地点の岩が、ガコンと噛み砕かれたように割れた。
 「な・・・何が起こってるの?!」
 「やっぱり見えてねぇのか・・、あいつはスタンドだ!!」
そう言ってギアッチョはレティを抱えたまま、高速で滑走する。
ギアッチョの目には、鮫と機械の間のようなスタンドが、レティを噛み砕かんと迫っているのが見えていた。

 『逃がすかぁっ!!』
敵のスタンドはレティの凍らせた水溜りの氷を噛み砕き、その中にもぐる。
そして、ギアッチョの左から敵スタンドが迫る。
 「左から来やがる!!」
 「任せて!」
次の瞬間、レティが足元の水溜りの一つに巨大な弾幕を放つ。
それは巨大な水柱となり、たちまち凍りつく。
敵スタンドはギアッチョではなく、氷柱に噛み付き、その隙にギアッチョはその場を離れる。
 『氷使いのスタンド・・・・・、やっぱり暗殺チームか・・っ!!』
 「何っ!?」
青年の言葉に、ギアッチョは思わず動きを止める。
こいつは、自分の事を知っている?
 「ギアッチョ・・・?」
レティが不思議そうにギアッチョの顔を見る。
 「レティ、俺はこいつと少し話をする。弾幕であいつを警戒させる事はできるか?」
 「・・・分かったわ。」
そう言って、レティはギアッチョと自分の周囲を回るように白いレーザーを幾重にも放つ。
もし、敵のスタンドが接近すれば、すぐに分かるだろう。
 『任務に失敗した俺達を・・・・ボスの命令で・・・始末しにきたな・・!!」』
 「お・・おい、待て。お前、パッショーネの構成員なのか?」
 『とぼけるな!』
男が怒鳴る。
 『娘をさらったブチャラティ達を始末できなかったから・・ヴェネツィアから逃がしたから・・・。
  俺達を殺しに来たんだろう?!混乱させようたってそうはさせねぇぞ!!』
 (・・・・多分、こいつは俺が死んだ後にブチャラティ達と戦ったのか、クソッ!リゾットからあの後の詳しい話を聞いておくんだったぜ。)
ギアッチョは心の中で悪態をつきながら、敵を観察する。
死神となった彼の眼には、男の後ろに弱弱しく揺らめく、もう一つの魂が映った。
 (あの魂が、『ティッツァ』か。よっぽど大切な相手・・・恋人かなんかか?どんな人間がよく分からなくなってる・・・早く回収しないと、マジで消滅するぞ。
  つっても死んでいる自覚ねぇみたいだし、記憶が混乱するくらいあいつ自身も弱っているな。)
ギアッチョは念のため、説得を試みる。
 「勘違いするな!俺達はもうパッショーネに属してはねぇ!別の組織に属している!
  今回は上司に言われて、お前達を保護するつもりで来た!俺らの組織はスタンド使いを欲していて、パッショーネと敵対している。」
ギアッチョは、嘘を交えて敵に説明する。
 「大人しくついてきてくれれば、お前の相棒も助けてやれるし、待遇も良くする!!」
 『そんな事・・・・信じられるか!!』
次の瞬間、レティのレーザーの一つが弾けた。
 「ちっ!!」
ギアッチョは姿勢を低くし、滑走し、敵の攻撃を避ける。
 「・・・・・知り合い?」
レティがギアッチョに問いかける。
 「と、言うかどうやら同じ組織の人間だったらしい。所属は違うがな!」
ギアッチョは滑走しながら、敵から離れる。
そして必死に記憶の中から敵の姿を探そうとする。
ポルポの葬式、組織のパーティ、幹部の娘の結婚式・・・・・・・・。
その間にも敵は水溜りから襲ってくるが、レティが先ほどと同じように氷柱を作ったり、弾幕で目くらましをしてギアッチョをサポートする。
そして、ようやく合致する人物を見つけた。
それは彼がヴェネツィアに向かう前、ジョルノ達を倒した後、もしかしたら戦う事になるかもしれないと言ってリゾットに渡された、ボスの親衛隊の資料だった。
 「思い出したッ・・・・!!奴は・・・『スクアーロ』だッ!!」
 「スクアーロ?」
 「あぁ、そして奴のスタンドは・・・『クラッシュ』。能力は・・・・。」
ギアッチョの目に、敵スタンドが飛び出してくる。
 「水の中を・・瞬間移動することだっ!!」
本来ならば、それほど攻撃力のないスタンドだが、霊脈の中心にいることによりブーストされているのかその攻撃はかなりの威力を持っていた。
噛み付かれれば、防御力に優れたスタンドを纏ったギアッチョはともかく、レティは一たまりもないだろう。
クラッシュが、その巨大な口を開いた。
ギアッチョは躊躇うことなくクラッシュの口の中に向かって、思い切り拳を突っ込む。
 「ホワイトアルバムッ!!」
そして、スタンドを発動させ、クラッシュに冷気による攻撃を喰らわせた。
クラッシュは攻撃を受け、全身から血を噴出しながら吹き飛び、壁に衝突した。
 『グアァッ!!』
スタンドがダメージを受けた事により、スクアーロ本体にもダメージが行く。
肉体ではなく魂のみのせいか、スタンドからのフィードバックが激しいらしく、スクアーロはひざを突いた。
 「やったか?!」
 「・・・・いいえ、よく見なさい。」
会心の攻撃が当たったことに興奮しているギアッチョとは正反対にレティは、冷静に敵を見据えていた。
 『負けられない・・・・ティッツァは・・・俺の為に・・・。』
スクアーロの傷が、まるでビデオの逆再生のように、塞がっていく。
それと、シンクロしてクラッシュの傷も塞がっていく。
 「何だとっ・・・!!」
 「あの、後ろの魂のせいね。」
そう言ってレティは、スクアーロの後ろの魂を指差した。
スクアーロとは反対にその魂は、一段と弱弱しくなっていた。
 「あの魂が、スクアーロって子に自分の『力』を与えているのよ。」
 「何っ・・?!あんなに弱っているのにか?!」
 「それだけあの2人の絆が強いんでしょう、お互い、何があっても守ると言う・・・『覚悟』が・・・。
  でも、今回はそれが裏目に出てしまっているのね・・・・。」
レティが悲しそうな顔で、二つの魂を見つめる。
 「多分、私達が攻撃すればするほど、あの後ろの魂は彼を助けようとして、自分の『力』を失う。そして、消滅してしまうでしょうね・・・・。」
 「くそっ・・・・!ということはあいつらを無力化してから封印してつれてくのは無理か!」
そう言って、ギアッチョは懐から二枚の木で出来た札を取り出す。
これは映姫特性の魂を閉じ込める為の札である。
もし素直に連れて帰れなかった場合、これに封じ込めて連れて来いとのことである。
 「HP減らさずに、状態異常にも出来ずにボール投げて敵を捕まえられるかよ!!クソッ!クソッ!」
ギアッチョは悪態を付きながら、札を構えるが、どうみても敵に接近出来そうにない。
これは直接、魂に触れなければ封印できないのだ。
しかも敵は湖のど真ん中にいる。そこはクラッシュの独壇場である。
 「せめてあいつのいる湖を凍らせれれば・・・・・。」
しかし、ギアッチョのスタンドに、湖を底まで全て凍らせるほどの範囲力はない。
 「・・・・・・・湖を全て凍らせればいいのね?」
そう言って、レティはギアッチョの腕の中からふわり、と宙に舞う。
 「レティ?!」
ギアッチョの声を無視して、レティは空に舞い上がり静かに目を閉じる。
レティの力が、白く発光するほどに高まっていく。
すると、どんどん辺りの気温が下がり、水たまりが次々凍りついていく。
表面だけではなく、溜まった水は完璧に、巨大な一つの氷になった。
 『なっ・・・・!!戻れクラッシュ!!』
スクアーロは動きを封じられないため、大急ぎでスタンドを水の中に戻す。
 「ギアッチョ!!走って!!」
レティの声に、ギアッチョはすぐさま駆け出す。
ギアッチョはスタンドを駆使し、周囲の水分が凝結させ、まるで網のように洞窟の中に氷の通路が張り巡らせながら滑走する。
氷の通路はレティの力により気温の低くなった洞窟内では、ギアッチョのスタンドの有効範囲から外れても溶けることはない。
ギアッチョは氷の通路をを複雑に作り上げながら、スクアーロに捕らわれないように縦横無尽に移動し、徐々に距離を詰める。
スクアーロがギアッチョに翻弄されている間にも、レティの力はさらに増していき、湖を凍らせる。
 『クラッシュ!!あの女を殺れ!!』
スクアーロは行動を制限される前に、レティを始末しようと決めた。
自分の足元の巨大な湖から、まるで鯨のような大きさのクラッシュを出現させる。
そして、クラッシュはレティを飲み込まんと氷の通路を砕きながら飛び掛った。

だが、次の瞬間、クラッシュの動きが止まる。

 「・・・・・馬鹿ね、そんなに身体が大きいと攻撃が当たるに決まっているじゃない。」

冷酷に、レティは告げる。

 「絶対零度は、全てをとめる。」

ギアッチョが、静かに告げた。

 「そして、あなたはその絶対零度の弾幕の牢屋に、自らを押し込んだのよ。」

氷の通路は、クラッシュから逃れるために作ったのではない。
ギアッチョのホワイト・アルバムは、触れているものの温度を下げる事が可能であり、その氷は、通常の氷よりもはるかに硬度がある。
レティの前に張り巡らせた通路は、気温を下げているレティの近くにあるせいか、さらにその硬度を増していた。
そしてギアッチョが走り回ることで氷の強度を調整し、一部をもろい氷で、一部を強固な氷で作り上げることにより、氷の通路は、クラッシュの動きを封じるための罠となったのだ。
 『こんなもの!!』
クラッシュは、必死にもがき、その氷の網から逃げようとする。
レティは冷たい瞳で、その様子を見ていた。
 「アンデュレイションレイ。」
レティの放つ螺旋状にうねった寒波が、洞窟を覆う。
そして、完璧に地底湖の全ては氷になった。
 『あっ・・・・・。』
スクアーロの表情が、絶望に染まる。
もう、この氷の網を破壊したとしても、自分のクラッシュの、移動する場所はない。
陸に打ち上げられた魚そのものとして、滑稽に跳ね回るしかないだろう。
 「残念だったな。」
ギアッチョが、凍った湖の上を、歩いていく。
その姿は、まさしく『死神』といった様相だった。
 『い・・・イヤだ!ティッツァ!!ティッツァ!!』
それでもスクアーロは必死にティッツァーノの魂を守ろうと、足掻く。
 「・・・・・ったく、久々に本当に殺しの任務をしてる気分だ。」
そう言って、ギアッチョは札をスクアーロの目の前に突きつける。
 「・・・・・・・あばよ。」

 『ティッツアァァァァァァァ!!』

悲痛なスクアーロの悲鳴が、凍りついた地底湖に響いた。

「あ・・・・・・っ。」
レティが、ふらり、と倒れこむ。
 「レティ!!」
ギアッチョはスクアーロとティッツァーノの魂を封印した札を放り投げ、その場から飛行する。
レティはなんとかゆっくりと宙から降りる。
ギアッチョは空中で、レティを受け止めた。
 「あら・・・・、うまく飛べたじゃない・・・。でも折角封印した札を投げ捨ててどうするのよ・・・、早く拾ってきなさい。」
 「それどころじゃねぇだろ!!」
ギアッチョはゆっくり地面に降り、ホワイトアルバムの出力を上げ、レティを冷やそうとする。
 「駄目よ・・・・、これは『暑さ』で弱ってるんじゃなくて、純粋にもう力が残ってないんだもの・・・・・。
  ふふっ・・・・、ギアッチョに元気にしてもらったせいで、はしゃぎすぎたかしら・・・・・。」
そう言ってレティは、はかなく笑った。
 「お前・・・、どうなるんだよ!?」
 「・・・・・そうねぇ、信仰も失ってしまった私が、まだこんな暑いときに無理に力を使ったら・・・やっぱり消滅かしら?」
 「っ!!」
ギアッチョの顔が、悲壮な色に染まる。
 「俺のせいか・・・?俺があいつをもっとうまく仕留められてれば・・・・。」
 「あら、あの作戦は私が勝手にやったのに・・・・・ギアッチョがうまく合わせてくれただけじゃない。
  ギアッチョにはなーんにも責任はないわ・・・、私が勝手に調子に乗ったんだから・・・・・・・。」
そう言ってレティは手を、ギアッチョの頬に伸ばす。
 「ねぇ、その鎧を解いて・・・。これじゃあ触れないわ。」
ギアッチョは、スタンドを解除した。
ギアッチョの頬に、冷たいレティの手が触れる。
 「ねぇ?チルノをよろしくね。多分、私に会えないって分かったらあの子泣いちゃうから・・・・そう。
  あなたが代わりにチルノと遊んであげて・・・・。私はちょっと野暮用で遠くに行くから・・・しばらく会えないって・・・。」
 「・・・・・やなこった。」
ギアッチョは、はっきりレティに言った。
 「お前、妖怪なんだろ?だったら・・・・・俺を喰えばいいじゃねぇか。」
その言葉に、レティは目を見開く。
 「だ・・・・駄目よ!!確かにあなたを食べれば力は回復するかもしれないけど・・・・・!!」
 「殺しが嫌なら腕でも足でも好きなところを食えばいいじゃねぇか。それくらいなら人間死なねぇしよ。」
慌てるレティに、ギアッチョは何でもないと言うように告げる。
 「そ・・・そこまで言うなら・・・・・・もっと別の方法があるけど・・・・・。」
 「何だ?!早く言え!!」
おずおずと言い出したレティに、ギアッチョはズイッと詰め寄る。
 「お・・・落ち着いて・・・・・・・あのね・・・・・。」
そう言って、レティはギアッチョにその方法を説明し始めた。

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