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くろがねの君主と歴史の聖獣 その十二

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匿名ユーザー

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「はぁっ・・・・はぁっ・・・・・!!」
ギアッチョは必死に空を飛んでいた。
地上を逃げていては、おそらくバオーに掴まるだろう。
幸い、自分は曲がれないが飛ぶ速度は早い。
スタンドパワーが切れた以上、これ以上戦闘を続けるわけにはいなかった。
そして、しばらく飛んだ後、そこで止まり後ろを振り返る。
「ま・・・撒けたか・・・・?」
息も絶え絶えになりながら、ギアッチョは言う。
こんな風に空を飛ぶのは、ギアッチョにとって滅多にない。
弾幕勝負などほとんどする機会はなかったし、訓練でも被弾ばかりしていた。
「くそっ・・・・・、他の奴らは大丈夫か・・・・?」
もはやスタンドパワーを失った彼は、ただの青年である。足手まといでしかない。
「せめて多少の・・・・・・・・・。」
息を落ち着けさせた所で、ギアッチョはスタンドを出そうと精神を集中させる。
スタンドと精神はリンクする。先ほどまでは余裕がなかったが、落ち着いたので多少は回復しているはずだ。
「ホワイトアルバ・・・・・・・っ?!」
ギアッチョは気配を感じ後ろを振り向く。
次の瞬間、ギアッチョの横を、三日月型の刃が通り過ぎていった。
「・・・・っ!!やっぱり撒けなかったか!!」
ギアッチョがそうぼやく。
おそらく、バオーは地上から自分の匂いを辿ってきたのだろう。
攻撃があたらない、と言うことはまだ明確な場所
「ホワイトアルバムが装着できれば・・・・・クソッ!!」
毒づくが、ギアッチョにはどうしようもない。
ソルベのスタンドパワーが切れた今、今は仲間との連絡手段もないのだ。
彼に出来る事は、この場から一刻も早く逃げ出すことだ。
ふたたび、ギアッチョは空を全力で飛行する。
調節が苦手な彼が飛ぶ姿は、さながら弾丸のようである。
だが、弾丸は何かに当たるまで、止まることはない。
「ぐあっ!!」
「きゃっ!!」
そして、ギアッチョは空中で見事に何かにぶつかってしまった。
「っ!!」
敵かと思い、ギアッチョはすぐに体制を立て直す。
だが、その相手は、突然ギアッチョに抱きついてきた。
「うわっ!!」
「ギアッチョ!!無事でよかった!!」
そう叫ぶのは、聞きなれた女性の声。
彼にぶつかったのは、チルノ達を連れて非難していたはずのレティだった。
「レティ!どうしたんだよ?!」
ギアッチョは驚いて、腕の中のレティに話しかける。
すると、レティは目に涙を浮かべながら言う。
「だって・・・・スタンドパワーが切れたから・・・・・・。」
どうやらレティはギアッチョのスタンドパワーがきれたのを感じて、飛んできたらしい。
「馬鹿!!あぶねぇのは分かってるだろう!!」
「うるさい!!あなたの方が心配よ!!今はただの人間なんだから!!」
怒るギアッチョに、負けじとレティも言い返す。
ギアッチョの胸板を、ぽかぽかと殴る。
「お・・おい!!こんな事してる場合じゃねえんだよ!!」
「うるさい!うるさい!」
そんなやり取りをするレティをギアッチョを、チルノと大妖精はどきどきしながら見ていた。
「本当に・・・!そんな場合じゃねえっつってんだろ!!」
ギアッチョは乱暴に、ドンッとレティを突き放した。
「きゃっ!!」
ソレを見て、大妖精とチルノはギアッチョに突っかかろうとする。
「お前!レティに何すんだ!!」
チルノはレティを庇う様に立ちふさがり、大妖精はよろけたレティを支える。
だが、ギアッチョはふんっとその様子を鼻で笑い、振り返りもせずに下に下りていった。
「何だあいつ!!」
チルノは冷たいギアッチョの態度に憤る。
「レティさん、大丈夫ですか?」
突き飛ばされたレティを、大妖精が気遣った。
「私は大丈夫・・・、それより早くギアッチョを追いかけなくちゃ・・・・。」
「レティ!あんな奴ほっとけばいいのよ!」
それでもギアッチョを追おうとするレティを、チルノは止める。
だが、レティはチルノの声を聞こうとはしない。
「駄目!!」
そう叫んで、レティはチルノと大妖精の静止を振り切り、ギアッチョを追う。
「待ってください!!」
「どうしてレティ!!」
二人も慌てて、レティを追う。
「二人とも・・・、どうしてギアッチョが、私たちに一度も背中を一度も見せなかったか分かる?」
「え・・・・・?」
レティは苦々しげに、顔をゆがめる。
(もうっ・・!!私の馬鹿!!冷静にしていればすぐに分かったじゃない!ギアッチョが何かから逃げてるって事・・!!)
つまり、自分達はギアッチョの逃走の邪魔をしてしまったのだ。
そして、ギアッチョは決してこちらに背中を向けなかった。
「お願い・・・!!間に合って・・・!!」
そう言って、レティは必死に森の中に入っていったギアッチョの気配を探った。

「あぁ・・・、クソッ!!こんな所で終わりかよ・・・・。」
そうぼやいて、ギアッチョは地面に降りる。
その背中には、三日月型の刃が、ざっくりと刺さっていた。
幸い、肺にも脊椎にも当たっていないが、治療しないと致命傷な事には間違いない。
「あの時とどっちがマシだって話だな・・・・・。」
ギアッチョは、自分が死ぬ寸前の事を思い出す。
あの時はスタンドパワーも切れておらず、なおかつ相手もただのスタンド使いである。
「あー、あっちの方が断然マシだな・・・クソッ、まあ、お前ほどじゃねえだろうけどなぁ、ジェラー。」
そう言って、ギアッチョは目の前に立っている、バオーに話しかけた。
化け物が何を考えているか分からないが、何故かまだ、止めを刺されずにいる。
もしかしたら、ジェラートが精一杯抵抗してくれているのかもしれない。
「こーゆータイミングで、誰か助けに来てくんねーかなー・・・・。まぁ無理・・・・。」
ギアッチョがぼやいた瞬間、空から大量に巨大なツララが落ちてきた。
バオーはそれを避けるため、ギアッチョから距離をとる。
だが、次の瞬間、バオーの上にちょっとした建物ほどもある巨大な氷の塊が落ちてきた。
「大丈夫か?!ギアッチョ!!」
そう言って草むらから飛び出してきたのは、ホルマジオだった。
「なっ・・・・ホルマジオ!!チルノ達と合流しやがったのか?」
「・・はぁ?ちげえよ・・・、アレは・・・・。」
キエーーーッと声を上げて、ギアッチョの前に降り立ったのは、自分達を散々な目に合わせた鳥だった。
「ペットショップ?!」
思わずギアッチョは、大きな声を上げてしまう。
「俺もいるぜー。」
そう言って、ペットショップの背中から、ぴょこっと猫が顔を出す。
「ドルチ?!何やってんだてめぇ!!」
予想外の展開に、ギアッチョはただただ驚くばかりである。
「いやいや、ペットショップが突然家に来て、『闘争の匂いがする、だが俺は夜は目が効かん、手伝え。』とか言ってこうやって無理やり駆り出されたってわけだ。」
そう言って、ドルチはニャアと鳴く。
「まあこうやってあんたらが助かったから、俺としては結果オーライ何だが・・。
何だかよく分からないが、どうやら自分は助かったらしい。
ギアッチョは安堵の息をつく。
「っ?!」
だが、緊張が解けた瞬間、一気に鋭い痛みが背中を襲う。
「ぐうっ・・・!?」
「おい!急に動くな!!」
そう言ってホルマジオは、ギアッチョの背中を見る。
「おいおい・・・、こりゃ相当深く刺さってるぞ・・・。抜いたら血が出ちまうから、そのまましばらく我慢するんだな。」
「マジかよ・・・・。」
今更、痛みに思考が追いついてきた。
「とにかくソルベを探してとっとと・・・・・。」
次の瞬間、ピシィッと、何かに罅が入ったような音が聞こえた。
振り返ると、バオーを押しつぶした氷塊に、罅が入っている。
「・・・やべぇ!!逃げろ!」
そう言うなり、ホルマジオはギアッチョに肩を貸し、逃げ出す。
一方、ペットショップとドルチは空高く舞い上がり、様子を見る。
「クア?」
ペットショップが、様子を報告するようドルチに促がす。
「あぁ、氷塊に罅がどんどん入っている。多分、割ってでてくるんじゃねえか?」
ドルチの報告に、ペットショップは頷く。
そして、彼の後ろに同じように羽ばたくは、骨の怪異のヴィジョン、ホルス神である。
ペットショップの周囲に、次から次へと先ほどと同じくらい巨大な氷の塊が現れる。
次の瞬間、バオーを閉じ込めていた氷が割れる。
間着かずに、ペットショップは氷の塊を地面目掛けて発射した。
木々をなぎ倒し、巨大な氷の塊が次から次へと落ちていく。
だが、ペットショップは容赦なく、氷の塊を発射する。
気がつくと、周囲は氷の塊で埋め尽くされていた。
木々は無残にも押しつぶされてしまい、氷が解けたあとはまるで戦場のあとのようだろう。
「まあ、こんだけやりゃあ奴さんも逃げるのに時間が掛かるな・・・・・。むしろ他の奴らがだいじょうぶなのか・・・?」
この惨事に、ドルチは呆れにも近い感情を覚える。
一方、ペットショップは何処か得意げな表情だ。
「こんだけやればすぐにここで何かあったか分かるだろうし・・・そろそろ帰ろうぜ?」
いい加減疲れたのか、ドルチがそうペットショップに言う。
ペットショップも気が済んだのか、暗殺チーム邸に飛んでいこうと旋回する。
次の瞬間、ペットショップの翼を、何か針のような物が貫いた。
「ギャッ?!」
「ペットショップ?!」
ボッと言う音が聞こえたかと思うと、その針は翼に突き刺さったまま、燃え出した。
「ギッ!!」
ペットショップは針を凍らせ、とっさに全身が燃え上がることを防いだが、そのまま落下していってしまう。
「お・・・・おい!!!!」
ドルチが慌てるが、どうにもならない。
ペットショップも必死にバランスを整え、落下速度を落とそうとするがどうにもならない。
このままでは、氷に激突してしまう。
「ちぃっ!!」
舌打ちして、ドルチはひらりとペットショップの背中から降りた。
ペットショップの首根っこを掴み、空中でくるんくるんと回転する。
そして、足の爪を立て、なんとか氷の上に着地することに成功した。
だが、何本か足の爪がやられたのか、足元の氷が赤く染まっていた。
「はぁ・・はぁ・・・・・。」
思わぬ急展開に、ドルチは荒く息をつく。
どうにかして生き残れたが、このあとが問題だ。
そう思いながら、彼は別の氷塊の上に佇む、バオーの姿を見た。
どうやら先ほどの針は、こいつの仕業らしい。
「あの化け物みたいなペットショップがやられるなんて・・・・清く正しい猫の俺にどうしろってんだよ?!」
どう考えても、勝てるはずがない。
「くそっ・・・!!」
見逃してくれればありがたいが、そうも行かないらしい。
こちらにどんどん近づいてくるバオー。
出来れば逃げたいが、負傷して移動できないペットショップを見捨てるわけにも行かない。
「あぁ!随分とお猫好しになったもんだ!!」
悪態をつきながらも、動けないペットショップをかばうようにドルチはバオーを威嚇する。
意味など無いと分かっていても、彼はその行為をやめる気はなかった。
そんな彼の前に、突然、風が巻き起こった。
「ふむ、猫ながらも中々でござるな。」
「何だと!お前!猫を舐めるなよ!!」
そう言ってドルチの前に立ったのは、黒の耳と二つの尻尾を持つ少女。
さらに、白い耳と尻尾を持つ少女が、巨大な剣でバオーに切りかかっていた。
「橙・・・!」
「大丈夫か?逃げるぞ!!」
そう言って橙は、ドルチとペットショップを抱える。
「任せたぞ犬天狗!!」
「犬ではござらん!白狼だ!!」
橙は二匹を抱えて、その場から離れる。
一方、椛はバオーと退治していた。
彼女の鼻は、目の前の怪異がジェラートであることを証明していた。
「ジェラート殿!!目を醒ましてくだされ!!」
椛が語りかけるが、バオーは容赦なく両腕についた刃を振り下ろす。
それを椛は、盾で受け止める。
「ふっ!!」
そしてバオーのわき腹を狙い、刀を薙ぐ。
だが、その剣はバオーの肌を傷つけるだけで決定的な攻撃にはならない。
「くっ!!」
舌打ちをしながら、椛は後ろに跳び、バオーから距離をとる。
バオーも椛を強敵と見ているのか、むやみに追撃をしようとはしなかった。
(何と言う強度だ・・・。片腕ではとても・・・・・。)
そして椛は冷静に、現在の状況を見極める。
足元が氷なのは障害にはなりえない、彼女は普段からすべりやすい滝の近くの警備をしており、そこで鍛錬を積んでいるからだ。
純粋に問題なのは敵だ。
おそらく報告を受けてきた妖怪が目の前のアレなら、多少の対策は考えてあるが・・・。
そして、椛は様子見のために弾幕を放つ。
渦潮のような青い弾幕が、バオーに襲い掛かる。
だが、バオーは見事に弾幕の間を潜り、椛に接近をする。
(よし・・・、距離をとれば・・・?!)
椛がそう思った瞬間、バオーの頭部から椛に向かって何かが発射された。
獣の反射神経で、椛はとっさに盾でそれを防御する。
河童の技術で作られた特殊素材の盾が、いとも簡単に貫かれる。
完璧に貫通はしなかったが、それでもその針が恐るべき強度を持っており、かなりの速度で放たれたことがわかる。
そして椛がその針に触れると、その針は一気にボウッと燃え上がった。
(これは・・・・、受け損ねたら仕舞いか・・・。しかしあの肌を貫こうとするなら両手で刀を構えなければ・・・・。)
椛が考えあぐねていると、突然肩に、ふわりと青い蝶が舞い降りる。
それは椛には見えなかったが、何かの気配が現れたことを、椛は感じ取っていた。
『よぉ椛!妖怪が妖怪退治か?!』
突然耳元で聞こえたソルベの声に、椛は驚く。
「ソルベ殿?!一体どこに・・・・。」
『あぁ、お前らが戦っているのが見えるとこまで来てるんだが・・・。このバタフライも最後の一匹でなぁ、正直真正面から戦える状態じゃない。』
椛は弾幕を放ち、バオーを牽制しながらソルベと会話する。
『だが、一応そっちに頼りになる奴が向かってるからな。そいつに指示をしてやってくれ。』
次の瞬間、バオーの乗っていた氷塊が、赤い光りで真っ二つに切り裂かれた。
バオーはとっさに、すぐ一つ向こうの氷塊に飛び移る。
「あー!!逃がした!!」
『フランドール、それではジェラートを殺してしまいます。』
そう話すのは、光り輝く宝石のような羽を羽ばたかせる少女に、その背に背負うのは異形の赤子。
満月を背景に、二人は無邪気な笑みを浮かべる。
その姿に、椛は驚愕する。
「な・・・・悪魔の妹?!フランドール・スカーレット?!」
「いえす!あいあむ!!」
椛の言葉に、フランはビシッとポーズを決める。
『自分はメローネのスタンド、ベイビィフェイスです。以後お見知りおきを。』
「あ、これはどうもご丁寧に。拙者は犬走 椛でござる。」
丁寧なベイビィ・フェイスの言葉に椛も思わず返す。
『知っています、以前ジェラートと戦っている所を見ていましたから・・・・。』
「それはそれは、失礼いたした。」
『いえ、気にしないでください。』
「ちょっと!!何話してるのよ!!」
フランドールの言葉に、二人は戦闘中であったことを思い出し、ハッとする。
フランはその強烈な弾幕で、バオーを見事に抑え込んでいた。
「あれをやっつけるんでしょ?あんたはどうするつもりだったの?」
フランは、先ほどまで戦闘していた椛に話を聞く。
「あぁ・・・、接近できればおそらく致命傷を与えられるんだが・・・・。」
「殺しちゃ駄目なんでしょ?!」
「無論だ!!拙者とてジェラート殿を殺すつもりはない・・・。だが、奴の動きを止める術を思いつかないのだ・・・。」
そう言って椛は歯軋りをする。
「ベイビィ・フェイス、あいつバラバラに出来る?」
フランは今度は、ベイビィ・フェイスに尋ねる。
『そうですね・・・・、自分の能力は直接触れなければならないので、やはり難しいです。』
おそらく、近づいて攻撃できたとしても相手をバラバラにするまでに彼はやられてしまうだろう。
『それだったら安心してくれていいぜ。』
「「「うわっ!!」」」
突然聞こえてきたソルベの声に、三人は思わず叫ぶ。
『人の事忘れんなよ、いくらベイビィフェイス以外に姿が見えないとはいえ・・・。』
「びっくりしたー・・・・。」
「す・・すまないソルベ殿?それで?何か策でも?」
ドキドキする心臓を押さえながら、フランと椛はソルベに問いかける。
『まあな、バオーはまだ氷の上にいるんだろ?』
「うん、今は私と椛の弾幕で抑えこんでるよ。」
ソレを聞いて、ソルベは満足したらしい。
『じゃあ丁度いい、スタンドパワーも弾薬もないなら、身体一つで勝負だからな。』
バタフライ越しに、ソルベが笑ったのを三人は感じる。
「何か手段があるの?」
『あぁ、ナイスポジションだ。バオーを今の場所から、動かないようにしておいてくれ!!
 そうそう!あとフランドールの嬢ちゃんは飛んだままでいる事!いいな?!』
そう言って、青白い蝶は風に乗って消えていった。
「今の場所・・・かぁ。このまま弾幕だと避けてるうちに移動しちゃうよね?」
「ならば拙者が再び白兵戦を挑むでござる。フランドール殿は弾幕を放ちつつあいつの飛ばす針を破壊してくだされ。ベイビィ・フェイス殿は拙者の援護を。」
そう言うなり、椛は弾幕を放つのを止め、まっすぐバオーの方へ跳ぶ。
慌ててベイビィ・フェイスも、その背中に飛び乗った。
椛は盾を捨て、両手で刀を構える。
「防御のサポートを頼む!!」
『了解しました。』
そう二人が会話した後には、既に椛はバオーの目前に迫っていた。
「はぁぁぁぁっ!!」
思いっきり振りかぶった刀に体重をのせ、バオーに振りかざす。
バオーはそれを、右手で受け止めようとする。
「?!」
だが、予想以上に威力があったのか、あわてて両腕で刀を受け止めた。
そのままバオーと椛は、つばぜり合いする形となる。
しかし僅かにバオーの力が上だったか、椛はその攻撃を弾かれることとなった。
そこに、バオーの好きが出来る。
『はぁっ!!』
ベイビィ・フェイスがバオーに向かって拳を振り下ろす。
だが、ベイビィ・フェイスに向かってバオーの頭部から、針が飛んできた。
「させないっ!!」
次の瞬間、弾幕の檻を作っていたフランが、針をその視界におさめる。
拳を開き、握る。
「キュッとして・・ドカーン!!」
ベイビィ・フェイスに届く前に、その針は粉々になって風に飛んでいった。「おー、やってるやってる。」
ソルベは大量の氷塊がならぶ、森の一角までやってきていた。
氷はちょうどいい具合に溶け出し、表面は水に包まれている。
そして、ソルベは足音も立てずに、バオー達が戦っている氷塊の元へくる。
「はーっ・・・・。」
一つ、息をついてから、ソルベは拳を構える。
それはまるで、中国拳法のような構えだった。
そしてその体制のまま、ソルベは奇妙な呼吸を始める。
たった一秒の間に、十回も呼吸をするのだ。
ソルベの身体の中に、膨大なエネルギーが溜まりつつあった。
紅魔館の門番がみたら、驚いただろう。何と膨大な量の陽の気だ、と。

「いまだ!椛!飛べ!!」

下から聞こえてきたソルベの言葉に、ベイビィ・フェイスは椛の背に飛び移り、椛は空へと舞い上がる。
そして、椛が飛び上がった瞬間、ソルベは拳を氷塊へと突き上げた。
「オーバードライブッ!!」
膨大な量の陽の気・・・・波紋が氷の表面の水を流れる。


そして、それは氷の上に立っていた、バオーへと伝わる。
「?!?!?!?!?!」
全身に走る不可解な電流に、バオーはもがく。


だが、ソルベは容赦なく、波紋を氷に流し続ける。
「ジェラート!!しっかりしろ!!」
そう叫んで、ソルベはさらに水に波紋を流し込む。

「あ・・・・・・・・・・が・・・・。」
バオーが、声を発した。
次の瞬間、長く伸びた髪の毛は短くなり、腕に着いた刃は消えうせる。
額の赤い複眼状の触覚は引っ込み、肌は硬いそれから、やわらかい人間の肌へと戻っていく。
「・・・・つぁっ!!」
ソルベが声を上げて、氷から手を離す。
「はーっ・・・はーっ・・・、ちくしょー・・・、久々にやったからうまくいったか・・・・?」
荒い息をつきながら、ソルベは氷の上をみる。
すると、上にいる人影が、倒れるのが見えた。
「ジェラート!!」
ソルベは疲労した身体に鞭打って、飛翔する。
そして、倒れこんだジェラートを何とか腕の中に収めた。
元の姿に戻ったジェラートはバオーになることでエネルギーを使ったのか、疲労した様子でソルベの腕の中で眠っていた。
その様子を、フランたちは空の上から見ていた。
ソルベは三人に手を振り、もう大丈夫だと告げる。
ゆっくりと、椛とフランが降りてくる。
「ソルベ殿・・、ジェラート殿は・・・?」
「平気だ、気を失ってるだけだ。」
そういいながら、ソルベはジェラートの頭を撫でる。
「じゃあ、私メローネとチルノちゃん達のところ言ってくる!!」
「あぁ、ついでに他の奴らも呼んできてくれ。多分ここの近くにいると思うから。」
「分かった!!行こう、ベイビィ・フェイス。」
『はい、フランドール。』
フランドールに呼ばれ、ベイビィ・フェイスは彼女の背中に飛び移る。
そして、メローネとチルノ達を探しに、二人は森の中へと消えていった。
「あー、もう駄目だ。本当に一匹もバタフライだせねーし、久々に波紋使ったから節々痛いし・・・・。」
そういいながら、ソルベは巨大な氷の上に座る。
椛もその隣に座り、ジェラートの顔を覗き込む。
「ジェラート殿が起きたら真っ先に謝らねば・・・・・・。」
椛は耳と尻尾を垂らしながら、落ち込んだ様子で呟く。
「あー、是非ともそうしてくれ。でも、出来たらでいいぜ。」
「?」
以前とはまったく違うソルベの反応に、椛は小首をかしげる。
その椛の仕草に、ソルベは笑いを浮かべる。
「あんたも知ってるだろうが、こいつの感覚は獣以上だ。あんな状態になっても、ちゃーんとあんたが自分の為に何をしてくれたか分かってるのさ。」
ソルベの言葉に、再び椛はジェラートの顔を見る。
その顔は、どこか幸せそうな寝顔だった。

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