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くろがねの君主と歴史の聖獣 その十三

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暗い闇の中、血の匂いがその狭い空間に広がっていた。
「ハァッ・・・・ハァッ・・・・・。」
リゾットは荒い息をつきながら、その空間に立っていた。
彼の身体はあちこちが食いちぎられており、骨が見えかけている部分さえある。
身体に対するダメージはほとんどないが、四肢はボロボロだった。
立てるのが不思議な程、彼はダメージを喰らっていた。
(暗殺者失格だな・・・・、仕留められないとは・・・。いや、むしろ人としては失格の方がいいのか・・・・?)
ぼんやりとした頭でリゾットは思考する。
(それにしても・・・、紫達はまだか・・?)
少なくとも、自分が気を失う前には来て欲しい、とリゾットは思う。
『クッ・・・、まだ死なんのか・・・・。』
だが、妖怪もリゾットの攻撃に消耗しているのか、霞のようなその姿は、消えかかっている。
「どうした化け物・・・・、もう仕舞いか・・・・・?」
そう言って、リゾットはニヤリと笑う。
既に余裕などないのだが、不思議とリゾットの心は落ち着いていた。
その様子に、反対に妖怪の心に焦りが生まれる。
まるで自分に言い聞かせるように妖怪はリゾットに告げた。
『抜かせ・・・、既に貴様は満身創痍・・・。このまま放っておいても死ぬだろう。
 私は呼吸は必要にない上、貴様が死んだらその肉体を喰らえば多少は回復する。味は不味いだがな。』
そう言って、クックックッと妖怪は笑う。
だが、リゾットはその様子を、鼻で笑った。
「ふん・・・・、そんな事を言えるのは貴様が幻想郷を知らないからだ。」
『何?』
リゾットは妖怪に返すかのように、フッと再び笑う。
「いいか?ここでは『異変を起こした妖怪は、人間に退治される。』それがここのルールだ。」
『何を言う、人間ごときに俺が倒せると思うか?』
それを聞いて、リゾットの瞳が妖怪を捉える。
その目には、瀕死とは思えない意志が見て取れた。
「倒せるさ。人間は、神も自然も滅ぼすんだ、化け物なんて滅ぼすのは簡単だろう?」
『馬鹿にしおって・・・・・・。』
どうやら、目の前の妖怪は自分に留めを指すことを決めたらしい。
リゾットもまっすぐ妖怪を見返す。
『うおぉぉぉぉぉぉぉぉ!!』
だが、次の瞬間、リゾットが作った鉄の扉が破壊された。

氷の塊から降り、椛、ソルベ、ジェラートは地面で休んでいた。
二人はよほど疲れたのか、地面に寝転がり寝ている。
「?!」
突然、カッとジェラートの目が突然開く。
そして、ガバッと勢いよく起き上がった。
「ぐあっ?!」
おきがった拍子にジェラートの頭が、彼を抱きかかえていたソルベの顎に突撃する。
そして、キョロキョロと、辺りを見渡す。
ドンッとソルベを突き飛ばし、立ち上がった。
「ジェラート殿?!」
驚いた椛が、叫ぶがジェラートはそれを意に介さず辺りを見渡し続ける。
「聞こえる・・・・、匂う・・・・・・。」
そして、辺りを見渡す代わりに自分の掌を見つめた。
「戻った・・・・、全部!!全部!!」
そう言って、ジェラートははしゃぐ。
椛はその様子を呆然と見ており、ソルベはジェラートに手荒く扱われてのびている。
「あ・・・あの、ジェラート殿?戻ったとは・・・?」
すると、ようやく椛に気づいたのか、ジェラートはそちらの方を向いた。
「戻ったんだよ!!俺のスタンドが!!戻ってきたんだ!!」
そう言ってジェラートは満面の笑みを浮かべながら、椛に抱きつく。
「な!!ジェラート殿っ!!」
思わず、椛は大慌てして取り乱す。
ジェラートはそのまま椛を抱きかかえ、くるくると回り始めた。
「あはははははっ!!やったぁっ!!やったぁっ!!」
騒ぐジェラートに、おろおろとする椛。
そんな五月蝿さに、ソルベも目を覚ました。
「ジェラート!!気がついて・・・・。」
「ソルベ!!あれ出して!!」
心配するソルべに、ジェラートは椛を抱きかかえたまま、詰め寄る。
「は・・・・?」
「あれだよあれ!持ってるんでしょ?!」
ジェラートに物凄い勢いで迫られて、ソルベは彼に指定された物を胸のポケットから取り出した。
「ほ・・・ほらよ・・・。」
ソルベの手から放り投げられたのは、携帯音楽プレイヤーだった。
ジェラートは椛を地面に下ろし、それを受け取り、弄る。
「よし・・・、よし・・・!!いける!!」
そのジェラートの様子をソルベはしばらくぼうっと見ていたが、ハッとしてすぐに気を持ち直す。
「お・・・・、おい、まさか・・・・・!!」
「うん!スタンドが・・・・『サウンド・ガーデン』が戻ってきたんだ!!」
「バオーは?」
「落ち着いてる・・・・・、全然制御出来てる・・・・・。」
そう言って、ジェラートは満足げに、自分の手のひらを眺める。
「・・・・じゃあ、今の全員の状況も分かるか?」
「任せといて!!」
次の瞬間、ジェラートは高く高く跳躍し、そのまま森の木のてっ辺に掴まる。
「な・・・・・っ、ソルベ殿・・・・?ジェラート殿のあれは・・・?」
空を飛ぶ能力を使っている訳ではない、あれは純粋な運動能力だ。
それを聞いて、ソルベは椛に説明を始めた。

「・・・・元々、ジェラートはバオーの為に作られた人間だ。 
 つまり、ジェラートの身体とバオーの相性は、一寸の狂いも無くぴったりだった。
 だが、俺とジェラートがこの肉体を与えられたとき、ほんの僅かな差異が生まれた。
 どんな方法で俺達を生き返らせたかしらねぇが、その時、バオーも一緒によみがえった。
 だが、その時ジェラートとバオーの身体に僅かな違いが生まれた。
 それによって、相性が大きく変動しちまったんだ。
 まぁ、それと『殺し』をしてなかったストレスも、あって制御できなかったんだ。
 もちろん、今までも制御できなかった事はある、だが奴のスタンドで制御できたんだ。
 今回は、万々歳だな。どういう理屈かわかんねえがスタンドも復活したし、いいだろ。」

長い説明に疲れたのか、ソルベはごろんっと地面に寝転がった。
一方、ジェラートは木の上に居た。
彼は感じ取る、その鋭敏な感覚で、仲間達の状態を。
「プロシュートとペッシは・・・・動いてないけど心臓の音・・・寝てるのかな?
 ギアッチョは血の流れが少し弱い・・・・でも大丈夫っぽいな。近くにホルマジオと・・・この止まった空気みたいなのはレティ?
 イルーゾォは・・・・相当重症みたいだけど・・・近くに誰かいるな?小柄な・・・女の子二人?アリスちゃんと魔理沙ちゃんだなぁ。
仲間達の状態をジェラートは『匂い』で感じ取る。
そして、まったく行方の分からないリゾットの居場所を、感じ取ろうとする。
だが、リゾットの気配は感じ取れない。この世界から、リゾットがすっぱり切り取られたようだった。
「・・・あからさまだな。」
しかしジェラートは気づいた。はっきりと分かる。
一部分だけ、すっぽりと『匂い』の分からない地域があるのだ。
視覚でも見えるし、嗅覚も、聴覚でもそこの部分は感じ取れるが・・・バオーの特殊な感覚は誤魔化せない。
「ソルベ!!リゾットのいる場所が分かった!!」
木の上から、ジェラートはソルべに叫ぶ。
それを聞いて、ソルベは飛び起きる。
「何処だ?!」
「それが・・・・方向はわかるんだけど、具体的な位置は・・・・・・。」
すると、椛が会話に入ってくる。
「ジェラート殿、それはどちらの方向でござるか?」
「あっちの方!!」
そう言ってジェラートは、指で気配が遮断された方向を指す。
「そうでござるか、ところでそれは幻術の類かどうか、分かるでござるか?」
椛の言葉に、ジェラートはしばらくんーっと考え込んだあと、首を振った。
「何ていうか・・・・、俺は詳しくないけど多分他の感覚は違和感がなかったから・・・何ていうか、そこがよく分かんなくなる奴じゃない?
 そこに行こうとか、そこにたまたま入っちゃうと、自然と外に出ちゃう感じだと思う。」
必死に無い語彙から、自分が感じ取った感覚を、ジェラートは説明しようとする。
だが、何となく椛は理解したらしい。
頷いて身体を浮かせ、空高く舞い上がった。
「ならば拙者の能力ならば・・・・・。」
椛は瞳を閉じ、精神を集中させる。
千里をも見渡す、彼女の能力が発揮される。
冷たい風が、彼女のほおを流れていった。

その風に促がされるように、カッと椛は瞼を開く。

彼女の視界は、森の木々を潜り、川を飛び越し、はるか彼方にたどり着く。
「あちらの方向で・・・・相当な数の人間の子供を隠せる場所・・・・。」
椛は風の速さで、周囲の様子を探っていく。
すると、森の中の目立たない位置にある洞窟を見つけた。
その中は暗く、視界で中の状況を捉えるのは難しいだろう。
「おそらく・・・・、ここだな。」
見当をつけ、椛はふわり、と地面に降りたった。
そして、椛はずっこけた。
「ソルベー、みんなの居場所分かったんだからスタンドで連絡してよー。」
「だーかーらー、駄目だって。誰かさんのせいでてこずって、スタンドパワーぜーんぶ使いきっちまったからな。」
「何だよー、それくらしか役に立たないのにさー。」
いきなり、二人はイチャついていたからだ。
「ソルベ殿!ジェラート殿!!」
椛はその二人の様子に、思わず叫んでしまう。
すると平然としてジェラートと答えた。
「心配しなくても大丈夫だよ、全員ボロボロだけど無事だから。」
「しかし・・・・・・。」
不満げな椛に、ジェラートは笑いかける。
「さっきね、全員の近くで変な風に空気が揺れたのを感じたんだ。真っ二つに割れて、突然別の空気がなだれ込む動き。」
椛はジェラートの言葉に小首をかしげた。

「イルーゾォ・・・ッ!!イルーゾォ!!」
自分を呼ぶ声と、上から落ちてくる雫に、イルーゾォはゆっくりと目を開いた。
そこには、見慣れた顔が、見慣れない表情でイルーゾォの顔を見ていた。
「アリス・・・・?何泣いてんだよ?」
瞳をぎゅっと閉じて、顔をくしゃくしゃにして泣いていたアリスは、その声にハッとして目を開ける。
「イルーゾォ?!気づいたの?!」
「大丈夫か?!」
気づかなかったが、魔理沙もいたらしい。
アリスと共に、イルーゾォの顔を覗き込んでいた。
「あぁ・・、俺気を失っちまったのか・・・・。」
そう言ってイルーゾォは起き上がろうとする・・・・が。
「ぐぅっ?!」
身体に走る鋭い痛みに、イルーゾォは悲鳴をあげた。
「動かないで!!腕が一本なくなってるし、血もたくさん無くなってるのよ!!」
アリスは泣いたまま、起き上がろうとするイルーゾォを抑える。
「傷口は一応薬を塗っておいたぜ。まぁ、私の薬だから永琳ほどの効果はないがな。」
そう言われてイルーゾォは自分の身体を見ると、血まみれだった上着は脱がされ、包帯などで治療されていた。
「ほら、あとこれを飲んでくれ。」
そう言って魔理沙は、丸薬と水の入った水筒を見せる。
「これ何だ?」
「霧雨印の増血剤だ。ほら、飲ませてやるから口を開け。」
魔理沙はそう言って、無理やりイルーゾォに薬を飲ませる。
「ん・・・んぅっ!!」
それを何とか飲み込み、イルーゾォは息をつく。
「う・・・・苦い・・・・な・・・。」
そう言って、イルーゾォは顔をしかめる。
「我慢しなさい!!馬鹿!!」
アリスは涙を堪えながら、イルーゾォを叱る。
だが、再び、顔をくしゃくしゃにして、泣き出した。
「もう・・・っ!!何やってんのよへタレのくせに!人間のくせに!イルーゾォの癖に!!」
泣きながら、アリスはイルーゾォの胸のぽかぽかと殴る。
「ちょ・・・アリス怪我人に・・・・・・。」
「うるさいわね馬鹿!!もう黙ってなさい!!」
「あ・・アリス!落ち着けよ!!イルーゾォマジでやばいって!!」
すっかり騒いでいる三人は、気づかなかった。
背後に迫る、空間に出来たスキマに。

ブオンと奇妙な音が、空気を振るわせる。
ジェラート達の頭の上には、リボンで結んだ奇妙な空間の切れ目が現れた。
「「「「「うわぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」」」
するとそこから、ぼとぼとっと大量の人間が落ちてくる。
下の方にはたいした怪我をしていない面々が、上の方には大怪我をした面々が。
スキマから現れたのは、暗殺チームとその他の面々だった。
「あ、皆来たー。」
のんびりとした調子でジェラートが落ちてきた一同に言う。
「お・・・おめぇ・・・・・・、紫・・・。集めてくれたのはいいがもう少し優しく落とせ!!」
一番下に下敷きなったプロシュートが、呻きながらスキマを開いた諜報人を呼ぶ。
「我が侭言わないで頂戴!私だって大変なんだから!!」
そう言って、一同が出てきたから隙間から、紫のドレスを風になびかせた、八雲紫が現れた。
しかしその髪はボサボサであり、ドレスの裾も汚れている。
その姿は普段の余裕に満ちた彼女からは想像できないものだった。
「はぁ・・・、結界を破るのだけでもうヘトヘトよ・・・。」
そう言って、紫は深いため息をつく。
その顔からは、疲労が見て取れた。
「ほら、あなた達も組み体操してないで降りなさい。」
そう言って紫は、積み重なった一同を、怪我した面々はそーっと、大した傷の無い面々をぽいっと降ろしていく。
「イルーゾォ!!ギアッチョ!!」
ジェラートは慌てて、重症の二人の元へ走っていく。
その際、思いっきりソルベを突き飛ばした時は気になっていないようだ。
「ごめん!!本当にごめん!!」
そして、その二人の前で頭を大地に撃ちつけるように、思いっきり土下座した。
その様子を見て、ギアッチョはイラついたように、イルーゾォは暗い瞳でジェラートを見る。
「まったくだぜ!!ったく・・・・・。まぁ、首に鉄がブッ指すよりマシだがな。」
「ドロドロに解かされるよりはマシだけどな・・・・、お前腕一本だぞ?臓器がどれくらいか相場は知ってんだろ?だったら腕一本てさぁ・・・。」
燃え盛る炎のようなギアッチョの怒りと底なし沼のようなイルーゾォの怒りをぶつけられてすっかり萎縮していた。
ジェラートは思いっきり萎縮してしまい、幽香に睨まれたリグルのようになっている。多分お嬢様のガードみたいな感じで萎縮してる。
「ったく・・・、大したことねえだろ腕の一本や二本。」
「兄貴・・・、そんなこと言えるのは兄貴だけですぜ。」
そんな二人の様子を見てため息をつくプロシュートに、ペッシがため息をつく。

「なっ!こーゆー時俺のスタンドは役立つんだよ!!」
「むぅ・・・、まぁ認めざるを得ないな・・・。」
ホルマジオは、嬉しそうにメローネに話しかける。
自分がほとんど無傷だったのを、メローネに自慢しているらしい。
「ふあぁぁ・・・・、いっぱい動いたから眠くなっちゃった・・・・・。」
フランはふわぁ、と大きなあくびをする。
「そろそろ朝だしね。・・・・皆無事で良かったわ・・・・・。」
レティはギアッチョが無事で安心したのか、ニコニコとしている。
「あたいお腹すいた・・・。」
「わたしも・・・。」
チルノと大妖精は、食べれるはずだったおやつにありつけず、お腹が空いてしまったようだ。
ほのぼのとした空気が、一同の間に流れる。
「「「何和んでるかぁぁぁぁぁぁぁ!!」」」
次の瞬間、ほのぼのとしていた一同に弾幕が降りかかる。
「「「「のうわぁぁぁぁぁぁぁぁっ!!」」」」
それらの弾幕をかするもの、あたるもの、安置の場所にとっとと非難する物、あっという間に辺りは弾幕地獄になった。
それは開きっぱなしだったスキマから飛び出てきた藍と早苗、それに慧音の弾幕だった。
「何やってるんですか!!まだリゾットが戦っているんですよ?!」
「リゾットさん、きっと今頃大変な事に・・・・・敵の妖怪に変な事されるとか!!」
「リゾットが死んでしまったら私の生徒達も悲しむ!!何より私が・・・・・。」
行き成り飛び出てきた三人はがぁーっと一同に捲し上げる。
弾幕を喰らってさらに、ボロボロだった一同はさらにボロボロになった。
「そ・・・そうでござる!!リゾット殿が現在何処にいるか、目星がついたでござるよ!!」
椛はスクッと立ち上がり、叫ぶ。
弾幕を避け切れなかったため、先ほどよりもかなりボロボロになってしまっていて恰好がつかないが。
「あら、居場所なんてもう分かってるわよ。」
あっさりと紫に言われてコケッと思わず椛はずっこける。
せっかくカッコよく決めたのに、やはり大妖怪には敵わないようだ。
「ただ、その結界がひどく強力なのよ・・・・・・。力の大半を使い果たした私がその結界を打ち砕くのでは遅すぎ・・・・。」
そう紫が言おうとした瞬間。


「・・・・・?あんた達、こんな所に大集合して何やってんのよ?」

はるか上空から、一同に声がかけられる。
闇の中で存在を主張する、赤と白の衣装。
その髪は夜より黒く、重力に捕らわれることなく、ふわりふわりと浮いている。
「霊夢!!」
魔理沙は思わず、その友人の名前を呼んだ。
「・・・・何だか見かけない顔ばかりね・・・・。」
少し機嫌悪そうにそんな事をいいながら、博麗の巫女はふわりと地面に降り立った。
背中には、なにやら重そうな物を背負っている。
よく見ると、上にかけられた黒い布から、銀色の髪が見えている。
「リゾット!!」
その正体にいち早く気づいたソルベが、霊夢に駆け寄った。
他の動けるチームの面々もリゾットの元に大急ぎで駆け寄る。
「わりぃな嬢ちゃん・・・、そいつはうちの身内だ。手間掛けさせたな。」
「そうなの?じゃあ早く連れ帰りなさい。大怪我してたから、一応応急処置はしたわ。」
謝るソルベに、霊夢は淡々とした様子でリゾットを渡す。
「メローネ!運ぶぞ!!」
「りょーかい。」
そう言って、メローネとソルベは、そぉっとリゾットを運ぶ。
よく見ると、霊夢の服には、包帯かた染み出たリゾットの血がついていた。
「悪いな・・・、服は弁償させてもらうわ。」
ホルマジオが、霊夢に謝る。
すると、霊夢はませた様子でそれに答える。
「別にいいわよ。どうせまた霖之助さんに作ってもらえばいいんだから。」
霊夢はそう言うなりふんわりと再び空を飛ぶ。
「あら、もう行くの?」
紫は、宙に浮いた霊夢に声をかける。
「まぁね、今回の異変の結界は厄介だったけど、妖怪自体は大したこと無かったわ。・・・・・そうだ、あんたに渡そうと思ってたのよ。」
そう言って霊夢は、紫に小瓶を放り投げた。
紫は少し慌てた様子で、その小瓶を受け取る。
その小瓶には、蓋の部分を覆うようにお札が貼られていた。
「今回の異変の妖怪。私じゃ退治しきれないから、封印しておいたの。あんたに任せるわ。」
そして霊夢はんーっと伸びをし、あくびをする。
「あー・・、まったく。もうそろそろ夜が明けちゃうじゃない・・・。てこずらせてくれたわ。じゃあね。紫。」
それだけ言い残して、そのまま霊夢は、博麗神社へと帰ってしまった。

すると、リゾットの治療をしていた魔理沙が、ふと呟いた。
「・・・なーんかさ。」
その言葉に、治療の手伝いをしていたホルマジオが答える。
「どうしたよ?」
魔理沙ははぁっとため息をついた。
「事情は分からないけどよ、この怪我から見てリゾットの大将、相当ねばって戦ったんだと思うぜ。
 なのに霊夢にあっさり手柄奪われちゃうのは・・・・・何かなぁ・・・・?」
魔理沙の不満げな言葉に、同じようにリゾットを治療していた早苗が頷く。
「そうです!!リゾットさん一生懸命に頑張ったのに・・・・・。」
「おいおいおい・・・・、早苗。てめえは何にも分かってねぇなぁ。」
そんな早苗に、プロシュートが声をかけてきた。
紫にスキマで出してもらったのか、お気に入りの煙草を吸いながら、早苗を見下ろしている。
「こいつはな、任務を成功させる為なら命張れる男だ。こいつだけじゃない俺達は全員そうだ。」
そう言って、プロシュートは煙を吐く。
「リゾットは、多分相手と自分の能力の相性が悪いと自覚した瞬間、時間を稼ぐことを決めたんだろうな。
 腕がもげようが、足が取れようが・・・・・どんなにみっともなくとも、時間を稼ぐ。
 そうすりゃ誰かが、確実にそこへ来てくれる状況だったからな。それが任務を果たすのに一番確実だ。
 そう判断したから、こいつはこんな怪我をしてんだ。哀れまれる理由はねえよ。」
プロシュートの言葉に、魔理沙は神妙な、早苗は複雑そうな顔をする。
「ま、何はともあれ、これで・・・・全部解決ってことか?」
藍に治療の術をかけられながら、ギアッチョが疲れたため息をつく。
その傍では、レティが心配そうに治療の様子を見ていた。
「・・・・事後処理を考えなければな。」
憂鬱そうに、普段結界の管理をしている藍が答える。
「大丈夫です藍様!私もお手伝いします!!」
橙はペットショップとドルチの治療をしながら、胸を張りながら藍に言った。
「・・・妖怪の山も、揺れそうですな・・・・。」
おそらく、当事者として自分に待ち受けているであろう後々の事を考えて、椛も憂鬱そうな顔をする。
「俺、絶対映姫さまに怒られるよ・・・・。頑張ったつもりけど多分絶対一人くらい殺しちゃってるし・・・・・。
 しばらく地獄行きかな・・・?それとも・・・・・・・・。」
「ジェラートは大丈夫だろ・・・、不可抗力だし。それより俺達の方が・・・。」
ジェラートは怒り狂った映姫を想像しビクビクと怯え、ペッシこれから待ち受けるであろう説教に頭を抱えた。

「もう!!今度心配させたらあんたを蝋人形にするわよ!!」
「分かってる・・分かってるって・・・・。」
まだ泣きながら怒っているアリスの頭を、イルーゾォは困ったような顔をしながら撫でつづける。
「メローネ・・・、眠くなっちゃった・・・・。」
「あたいも・・・・眠い・・・。」
「チルノちゃん、フランちゃん・・・寝たら迷惑・・・・でも・・私も眠い・・・。」
「寝ちゃいなよ。家には俺達がちゃんと送っていくからさ。ベイビィ・フェイス、日傘。」
『はい、メローネ。』
うとうとしているフラン達に身体を預けられて、メローネは苦笑する。
ベイビィ・フェイスは朝日が昇ってきたときの為に、フラン用の日傘に変身する。
「はぁー、疲れた!!色々ありすぎてすっげぇ疲れた!!」
おそらく今日一番色々としたであろうソルベは、疲れを誤魔化すように叫ぶ。
「私は一足先に人里に戻らせてもらう。皆が心配しているだろうからな。」
慧音は、紫にそう告げた。
既に日が昇り始めたせいか、彼女の角と尻尾はなくなっていた。
「あら・・・、リゾットが心配じゃないの?」
「・・・・・意地悪なことを言わないうな。」
ニヤニヤしながら言う紫を、慧音は恨めしそうに見る。
そして、そのまま何かを振り切るように、一気に人里の方向へと飛び立った。
「ま、今日は働きついでに全員スキマで送ってあげるわ。それくらいはまだ出来るからね。」
紫の言葉に、一同が歓声を上げる。
既に、空は白み始めていた。

そんなばら色になる空を背景に、一同を見ている二人の影。
「あややややや・・・・・、随分大変みたいだったですねぇ。」
「そうね。」
その影は、天狗の新聞記者 射命丸文と、厄神 鍵山雛だった。
「さて、私は行くわ。」
くるり、と一回点して雛は空に浮く。
「いいんですか?」
「いいのよ。彼らは厄・・穢れの塊のようだから、少し気になっていたのだけど心配なさそうだわ。
 だったら私の役目は、あの妖怪に触れて厄を受け取ってしまった子供達の厄を引き受ける事。」
そう言って、厄神はくるりくるりと舞うように、人間の里の方へと飛んでいった。
一人になり、素の口調に戻り、文はため息をつく。
「はぁ・・、私も多分事後処理で厄介なことになるわね。」
だが、彼女は笑った。
「ま、それでもこの大スクープは独り占めだからいいか。」
文は笑いながら、パシャッとシャッターを切る。
その写真には、ボロボロになった一同の和やかな時間が閉じ込められた。

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