OP(オープニング)
駅前広場。夕暮れに近い曖昧な青が、ビルのガラス面を鈍く染めている。雑踏はまだ完全には引き潮になっておらず、足早な帰宅者の肩と肩が擦れるたび、空気の温度がわずかに跳ねた。広場の中央、配信用のスタビライザーに固定されたスマホが不気味な沈黙でこちらを見返し、その向こうで――緑色の肌、歯並びの悪い笑み、粗末なこん棒とバックラー。ゴブリン太郎は膝から崩れた通行人を指差し、ひとしきり甲高く笑っていた。
ゴブリン太郎:「うひゃひゃ!見たかぁ、いまの顔!サムネ確定だぎゃ!さぁて――次はおめえの番だぎゃ!」
彼がこちらへ突進の一歩目を踏み出した、その刹那。視界の端に、“あり得ないもの”が滑り込む。輪郭を持たない黒、しかし確かに球形を成す2kmの虚無。影を落とさず、光さえも語彙を失う。目で追おうとした瞬間、世界はぺりりと剥がれた紙のように、音もなく層を変える。
風が消える。雑踏が消える。遠くのサイレンが、まるで記憶違いだったかのように消える。かわりに残るのは、磨き過ぎた模型の街。観測模造空間《レプリカ・グリッド》。影が、ない。人の気配が、ない。空は青いが、太陽はない。ビルの窓に映るのは、映り込むはずの彼自身ではなく、均質な空色の虚ろ。
ゴブリン太郎:「……あ?……おい、音がしねぇ……しゃべってんのに反響もねぇ……なんだここ、だぎゃ……? 配信は?コメントは?視聴者ぁ!?」
応答は来ない。データの糸はすでに断たれている。足音を出そうと地面を蹴っても、鼓膜に届くのは“足音のなさ”だけだ。遠景では、何かの「影だけ」が横切った。いや、影ではない――光源がないのに、影だけが存在して動くなど論理が崩れている。
野次馬コメント(現実世界・駅前の記録から採取)
【商店街の健太】「さっきまでいた緑のやつ、消えたぞ?トリック?」
【主婦ミカ】「被害者大丈夫なの!? 誰か救急――え、スマホ配信止まった……」
【SV推しのゆずペン】「シャイニングバーチャルズ、枠取るの遅くない?“事件を切り抜き”してる場合じゃ…」
【デスライバー信者:血祭り太郎】「消え方が一流w 次の企画“異世界凸”かよw」
現実では騒がしい。しかしここは完璧な隔離。黒き太陽は“在る”だけで、干渉はしない。だが、勝利条件は提示されている――唯一の影、動かず、静謐で、他の擬似影と違い“待っている”影。その中に全身を通さねば帰還はない。
黒き太陽(無言/無為/不可視の意志):――
ゴブリン太郎の喉が乾く。罵倒は彼の武器であり、同時に心の包帯でもある。彼はそれを思い出すように肩を震わせ、こん棒を握り直した。
ゴブリン太郎:「ビビってねぇ、ぜんっぜんビビってねぇだぎゃ! 見ろよ、このオレ様の歯ぁ!……クソ、配信、戻せば数字になるのによぉ……」
静止した都市の模型に、彼ひとりの呼吸だけが存在しない音として揺らめいた。
初期ステータス
ゴブリン太郎:HP 130/130,MP 40/40(変化なし)
黒き太陽:HP ∞,MP ∞(変化なし)
ターン1
=== ターン開始処理 ===
フィールド効果:通信・転送・外部干渉・スキル使用 無効(常時)
ハザード監視:「動く影」巡回パターン生成(音なし/自然風挙動)
ゴブリン太郎のパーソナリティに基づく自動行動選択
衝動と“数字”への執着 → 【配信再起動】をまず試みる
直後に苛立ちから【探索(出口/“動かぬ影”の手掛かり)】へ移行
周囲の物体を【こん棒殴り】で「音の戻り」を確認したくなる
=== プレイヤー行動フェーズ(ゴブリン太郎)開始 ===
▶ アクションA:配信再起動(難易度:不可能相当 / 目標値18)
判定:3d6 → 4 + 4 + 3 = 11 → 失敗
処理:フィールド効果により通信不可。スキル扱いのデバイスドライバ呼び出しも抑止。MP消費なし(起動前に無効化)。
ゴブリン太郎:「電波ぁ!戻れだぎゃ!……ッざけんな!」
ゴブリン太郎:「電波ぁ!戻れだぎゃ!……ッざけんな!」
▶ アクションB:探索(“動かぬ影”の手掛かり)難易度:難(目標値13)
判定:3d6 → 5 + 3 + 6 = 14 → 成功
成功効果:通りの角、アーケード屋根の継ぎ目の下に、“他と異なる黒の密度”を一瞬だけ知覚。動かない――ように見えた。
ゴブリン太郎:「おい……あそこ、色が……止まってる? 行くしかねぇだぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「おい……あそこ、色が……止まってる? 行くしかねぇだぎゃ……!」
▶ アクションC:こん棒殴り(周囲の金属ポールを叩き、音の復帰と物理抵抗を確認)
命中/成否(目標値:9:容易)→ 3d6 → 2 + 4 + 5 = 11 → 成功
ダメージ(基準3d10を“耐久検査”に流用):3d10 → 7 + 2 + 9 = 18
結果:ポールは現実同様の手応えで微細に撓む。しかし音は戻らない。衝撃波も反響も、世界に吸い込まれる。
ゴブリン太郎:「手応えはあるのに……音が死んでる……気持ちわりぃだぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「手応えはあるのに……音が死んでる……気持ちわりぃだぎゃ……!」
=== 敵(環境)行動フェーズ(黒き太陽は不動/フィールドが行動) ===
▶ ハザード:「動く影」接触判定
影素体:自転車の“影だけ”が無音で横切る。
回避判定(目標値:11:平常反応)→ 3d6 → 2 + 6 + 2 = 10 → 失敗
リアクション:バックラーで防御(カウンター/MP5)発動試行
→ トリガー照合:行動直前
→ フィールド判定:スキル使用は無効 → 発動不成立/MP消費なし
→ トリガー照合:行動直前
→ フィールド判定:スキル使用は無効 → 発動不成立/MP消費なし
接触結果:自転車影のハンドル形状が左耳の外縁を掠め、通過部位が“存在ごと”欠落。
生命維持:非致命(耳端部)。HPダメージ換算:-12(神経ショック・失血軽度の抽象化)
ゴブリン太郎:「――っっ!!耳が……ねぇ!耳がねぇだぎゃあああ!!やめろ、やめろ、近寄るな!!」
彼は反射的にしゃがみ込み、バックラーで頭部を覆う。しかし“スキル”ではなくただの姿勢としてなら機能する。影は再び滑らかに遠ざかり、街角の向こうへ消える。彼は歯を鳴らしながら、先ほど見た“止まった黒”――アーケードの継ぎ目下――へ視線を戻す。そこだけ、異様に呼吸していない。
野次馬コメント(現実世界・後日アーカイブ)
【路地裏のサトシ】「あの瞬間マジで消えた。黒い丸、見えた気がしたんだよな」
【SV研修生:ピカトン】「今から枠準備します!サムネ“消えた犯人”でいきましょう!」
【通行人D・カズ】「いや救急車先だろ!」
【デスライバー古参:灰皿キング】「帰ってきたらバズ確実。#異世界凸でタグ回すわ」
=== ターン終了処理 ===
ゴブリン太郎:精神動揺(軽度)付与/行動制限なし
3ターンごとのハプニング判定:現在ターン1 → 未発動
HP/MP変化
ゴブリン太郎:HP 130 → 118(-12),MP 40 → 40(変化なし)
黒き太陽:HP ∞(変化なし),MP ∞(変化なし)
進行状況
ストーリー進行:1/10(“動かぬ影”候補を一つ発見)
体力(ゴブリン太郎):118/130
人望:最低(現実側のヘイト上昇)
テンション:高揚→恐慌の境目
――次ターン、ゴブリン太郎は“止まった黒”へ近づくか? それとも、動く影の巡回を読み切って安全なルートを確保するか。ここでは、過信が死になる。
ターン2
ターン2
=== ターン開始処理 ===
フィールド:**《レプリカ・グリッド》**は静寂を維持。通信・転送・スキル使用は無効(常時)。
ハザード生成:通り沿いに「動く影」巡回ルートを3本生成(人影/犬影/自転車影)。
状態補正:ゴブリン太郎は精神不安定(軽度)のため、精密観察系判定の目標値+1。
街は相変わらず、良くできすぎた模型のように無臭で、温度の揺らぎさえない。ゴブリン太郎の影は地面に落ちないが、彼の存在だけが浮いている。アーケードの継ぎ目下――あの“止まった黒”は、まるで一点だけ画素が壊れているかのように色が濃い。だが、息をしていない空間で“濃い”という感覚は矛盾だ。矛盾は罠の兆候でもある。
ゴブリン太郎:「チッ……ビビらせやがって……でもよ、オレ様は行くんだぎゃ。出口なら、掴んでやるだけだぎゃ」
彼はバックラーを前に向け、身を縮めて低い姿勢で滑るように前進する。足音は出ない。靴底が地面を噛む感触だけが、体内のどこかで虚ろに反響した気がする。右の耳はまだあるが、左耳の外縁が欠けて風の“無さ”にヒリついた。
黒き太陽:〈沈黙〉
アーケードの支柱の手前で立ち止まる。ゴブリン太郎は、視界の端で通りの反対側を影だけの犬が散歩していくのを見た。リードの影、飼い主の影、ゆるい歩幅。音が存在しないのに、当たり前の生活だけが滑っていく。彼の喉奥が痙攣し、いつもの罵倒がうまく喉を通らない。
ゴブリン太郎:「……(ゴクリ)……よし、まずは見極めだぎゃ」
=== プレイヤー行動フェーズ(ゴブリン太郎)開始 ===
▶ アクションA:観察判定(“止まった黒”の真偽判別)
難易度:難(基本13)+精神不安定補正(+1) → 目標値14
判定:3d6 → 6 + 4 + 3 = 13 → 失敗
処理:縁のごく微細な“揺れ”に気づけず、静止していると誤認。「安全影」だと思い込む。
ゴブリン太郎:「動いてねぇ……!行ける、行けるだぎゃ!」
ゴブリン太郎:「動いてねぇ……!行ける、行けるだぎゃ!」
▶ アクションB:接近(巡回影を縫ってアーケード下へ)
難易度:普通(目標値10)
判定:3d6 → 5 + 1 + 4 = 10 → 成功
処理:自転車の影ルートと人影ルートの間隙をタイミング良く通過。体勢は低いまま維持。
ゴブリン太郎:「へっ、雑魚影が!オレ様の足さばき見たかだぎゃ!」
ゴブリン太郎:「へっ、雑魚影が!オレ様の足さばき見たかだぎゃ!」
▶ アクションC:安全確認(バックラーの縁で“黒”に触れてみる)
備考:これはスキルではない“物理接触”による検査(使用可)。
判定:直感+論理の複合(目標値12)
3d6 → 4 + 4 + 4 = 12 → 成功(情報取得のみ)
処理:縁は冷たくも温かくもない。“何もない”の手触り。押し込めば沈む気配がする。
ゴブリン太郎:「……手応えが、ねぇ。だけど吸い込まれもしねぇ。これ、合ってんのかだぎゃ……?」
ゴブリン太郎:「……手応えが、ねぇ。だけど吸い込まれもしねぇ。これ、合ってんのかだぎゃ……?」
彼は一瞬だけためらう。そこにためらいが生まれたのは、彼が臆病だからではない。“数字の匂い”がしないからだ。出口をくぐったその先に、視聴者の歓声はあるのか? 罵倒を笑うコメントは回るのか? 彼の脳内で、再生数のグラフが一瞬だけ水平線になった。
ゴブリン太郎:「……いや、戻って数字を取り戻す。戻らなきゃ“炎上”もできねぇだぎゃ」
=== 敵行動フェーズ(環境:動く影)開始 ===
▶ ハザード1:人影+犬影の交差通過(回避)
難易度:平常(目標値11)
判定:3d6 → 2 + 2 + 5 = 9 → 失敗
カウンター試行:特殊「バックラーで防御」(MP5)
- トリガー:被攻撃時/行動直前
- フィールド判定:スキル使用は無効 → 発動不成立/MP消費なし
- トリガー:被攻撃時/行動直前
- フィールド判定:スキル使用は無効 → 発動不成立/MP消費なし
接触結果:犬影の尻尾が左手の人差し指の付け根を横切る。通過部位が存在ごと抹消。
ダメージ換算:基準3d10 → 8 + 1 + 6 = 15 → HP -15
追加:激痛ではなく**“情報ごと失われた感覚”**が走り、身体図式が乱れる(次ターン観察判定に-1継続)。
ゴブリン太郎:「ああああッ!?指、ない!……指が思い出せねぇだぎゃ!な、なんで……オレ様の手、どうなって――」
彼が悲鳴を上げる間も、影たちは当たり前に散歩を続ける。当たり前の速度で、当たり前の角度で。そこに事件性はなく、ただ“生活の残像”が通過していく。彼は本能的に後退し、しかし背中はアーケードの支柱に行き当たる。支柱は硬い。音はしない。彼は呼吸を荒げ、もう一度“止まった黒”を見つめた。縁がほんの少しだけ波打つ――が、彼の目はそれを捉え損ねている。
黒き太陽:〈沈黙〉
――だが、どこかで“本物”の影は、確かに待っている。
――だが、どこかで“本物”の影は、確かに待っている。
野次馬コメント(現実世界・名前付きログ)
【消防団オオタ】「被害者搬送完了。犯人どこいった……?」
【SV運営・広報bot】「📢特番『消えた暴行犯を追え』準備中!通知ONにしてお待ちください!」
【デスライバー切り抜き師:カミソリP】「“異空間送り”疑惑まとめ作った。広告単価、上がるぞ」
【高校生ルイ】「正義も悪も、数字のために動いてない? なんか怖い」
=== ターン終了処理 ===
状態:ゴブリン太郎の精神不安定(軽度)は継続 → 次ターンの観察系判定目標値+1を維持。
3ターン目に**ハプニング(強制イベント)**実施予定。現在は未発動。
HP/MP 変化
ゴブリン太郎:HP 118 → 103(-15),MP 40 → 40(スキル不発のため**±0**)
黒き太陽:HP ∞(変化なし),MP ∞(変化なし)
進行状況
ストーリー進行:2/10(“止まった黒”候補に接触成功/真偽未判明)
体力(ゴブリン太郎):103/130
人望:最低(現実世界の非難増加)
テンション:強がり高揚 → 恐慌へ傾斜(+1)
次の一手――“黒き太陽の本物の影”は、静止し、異質に鎮座する。動かぬものを見分けるのは、動くものを見るより難しい。過信は死だぎゃ。
ターン3
=== ターン開始処理 ===
フィールド:**《レプリカ・グリッド》**持続。通信・転送・スキル使用は無効(常時)。
状態補正:ゴブリン太郎は精神不安定(軽度)により観察系目標値+1、加えて身体図式の乱れにより観察系目標値+1(合計+2)。
ハザード生成:「動く影」巡回ルート更新(人影×多数/ベビーカー影/引越し台車影/自転車影)。影の大きさは常に正午相当。
都市模型は相変わらず完璧で、空の青さは塗料のように均一だ。風はなく、音はない。ゴブリン太郎はアーケードの継ぎ目下にある“止まった黒”を見上げた。静止しているように見えるその黒は、しかし彼の網膜の奥で、微熱のように波打つ気配を残していた。彼は失った左耳の縁を指で確かめ──指が一つ欠けていることを思い出すと、喉がすべって唾が飲み込めない。配信の歓声も罵声もここにはなく、彼の吠える理由は空白の穴になって口の中で冷える。
ゴブリン太郎:「……ここでビビったら“数字”が逃げるだぎゃ。出口、見つけて帰る……帰って、炎上でもなんでもしてやるだぎゃ」
彼はバックラーを斜めにかざし、低い姿勢で“黒”へにじり寄る。足裏の感触は確かだ。だが足音の不在が、世界に穴をあける。
=== プレイヤー行動フェーズ(ゴブリン太郎)開始 ===
▶ アクションA:再観察(“止まった黒”の真偽判定)
難易度:難(13)+補正(+2)=目標値15
判定:3d6 → 6 + 5 + 4 = 15 → 成功
処理:縁に極小の揺らぎ、そして周辺の舗装目地と整合しない歪みを検知。これは“安全な影”ではない、と論理付けに成功。
ゴブリン太郎:「……動いてる、ぜってぇ動いてるだぎゃ……これ、ニセモンだ」
ゴブリン太郎:「……動いてる、ぜってぇ動いてるだぎゃ……これ、ニセモンだ」
▶ アクションB:新規候補探索(“動かぬ影”の手掛かり)
難易度:通常探索(11)+補正(+2)=目標値13
判定:3d6 → 3 + 4 + 6 = 13 → 成功
処理:アーケードを抜けた先、自販機の列の足元に“光の設計図”から外れた黒の斑点を視認。反射面が多い場所なのに、一切の写り込みの論理と合わない。なにより一切“呼吸しない”黒だ。
ゴブリン太郎:「あそこだ……止まってる。……止まってやがるだぎゃ」
ゴブリン太郎:「あそこだ……止まってる。……止まってやがるだぎゃ」
▶ アクションC:接近(巡回影の間を縫って自販機列へ)
難易度:機敏(目標値10)
判定:3d6 → 2 + 3 + 3 = 8 → 失敗
処理:タイミングを誤り、引越し台車の影と交差。
物理リアクション:スキル「バックラーで防御」(MP5)を試行→フィールド無効化により不発/MP消費なし。
接触結果:影の角が右肩を斜めに掠め、肩の輪郭が“情報ごと”削がれる。
ダメージ換算:3d10 → 3 + 5 + 2 = 10 → HP -10
ゴブリン太郎:「っぐぅああっ!肩が……“思い出せねぇ”だぎゃ!くそ、くそぉっ!!」
ゴブリン太郎:「っぐぅああっ!肩が……“思い出せねぇ”だぎゃ!くそ、くそぉっ!!」
彼は歯を剥き、こん棒を地面に叩きつけたい衝動を飲み込む。音が返らない苛立ちは、怒号の形を失い、ただ冷たい焦りになる。自販機列は目の前だ。足元、灰色の床を塗りつぶすように完全静止の黒がある。動かない。異常なほどに動かない。
黒き太陽:〈沈黙〉
──“見つけさせる”ように、在る。
──“見つけさせる”ように、在る。
=== 敵行動フェーズ(環境:動く影)開始 ===
▶ ハザード:ベビーカーの影が自販機前を横切る
回避難易度:平常(目標値11)
判定:3d6 → 4 + 4 + 2 = 10 → 失敗
カウンター試行:バックラーで防御(MP5)→ 無効/消費なし。
接触結果:持ち手部分が左上腕を掠める。衣服ごと、輪郭が抉れて“なかったこと”になる。
ダメージ換算:3d10 → 9 + 4 + 6 = 19 → HP -19
ゴブリン太郎:「あ”ぁぁァッ!!腕が、軽い……いや、無い……! やめろ、やめろ、近寄るなだぎゃああ!!」
ゴブリン太郎:「あ”ぁぁァッ!!腕が、軽い……いや、無い……! やめろ、やめろ、近寄るなだぎゃああ!!」
彼は反射的にしゃがみ、バックラーを単なる鉄板として体に貼りつける(スキルではないため許可)。影は音もなく通り過ぎ、日常の速度で遠ざかる。自販機の足元の黒は、なお一切の変化を見せない。他のどんな“影の演技”とも違う、異質な静止。そこだけが無表情だ。
野次馬コメント(現実世界・名前付き)
【刑事クラタ】「現場の犯人、突然消えた件。監視カメラにも“欠落フレーム”が出ている」
【SV演出:カナメ】「緊急特番“影のない街で捕まえて”台本回収中。尺、まだ取れる」
【デスライバー編集:墓掘り人】「神回の気配。帰ってきたら“耳と指がない件”で釣りタイトル確定」
【花屋のヨシコ】「被害者の人、早く良くなって……」
ゴブリン太郎は呼吸(の感覚)を整え、黒の縁へ靴先を寄せる。靴は沈みもしないが、拒まれもしない。吸い込んでくれ、と彼の中の焦りが喚く。なのに、この黒は待つだけだ。彼が決断するのを。
=== ターン終了処理(ハプニング判定:3ターンごと強制) ===
結果:ハプニング発動:影の通勤ラッシュ(スクランブル)
広場の横断歩道に、数十の人影が信号に従って一斉に流れ込む。声はなく、衣擦れもなく、ただ影だけの往来が世界を占拠する。
広場の横断歩道に、数十の人影が信号に従って一斉に流れ込む。声はなく、衣擦れもなく、ただ影だけの往来が世界を占拠する。
追加回避判定(押し寄せる群れからの退避):難易度:やや難(目標値12)
判定:3d6 → 5 + 5 + 2 = 12 → 成功
処理:ゴブリン太郎は自販機と壁のわずかな隙間へ体を滑り込ませ、群れの影をやり過ごす。
付随現象:群れの裾がこん棒の先端をかすめ、先の数センチが“消失”(装備劣化/与ダメ演出に影響する可能性)。HPは変化なし。
ゴブリン太郎:「……っは、っは……今、行くしかねぇだぎゃ。ここが出口だろ……?」
HP/MP 変化
ゴブリン太郎:HP 103 → 93(-10) → 74(-19),MP 40 → 40(スキル無効のため消費なし)
黒き太陽:HP ∞(変化なし),MP ∞(変化なし)
進行状況
ストーリー進行:3/10(“本物の影”らしき候補を特定/接近完了)
体力(ゴブリン太郎):74/130
人望:最低(現実側の非難増継続)
テンション:恐慌寸前(強がりは薄れ、帰還欲求が優勢)
次ターン、彼は決断する。黒の中へ全身を通せるか。動く影の街は“当たり前の速度”で、彼の存在を薄くしていく。過信は、即死だぎゃ。
ターン4
=== ターン開始処理 ===
フィールド:**《レプリカ・グリッド》**は静寂を維持。通信・転送・スキル使用は無効(常時)。
状態補正:ゴブリン太郎は精神不安定(軽度)+身体図式の乱れで観察系目標値+2を継続。右肩の欠損により機動判定目標値+1。
ハザード生成:「動く影」巡回更新(スケボー影/タクシー影/買い物カート影)。影は常に正午サイズ。
青空は絵具の一色で塗ったように、均一で、嘘そのものだ。自販機列の足元――そこにある黒は、他のどれとも違って徹底的に無反応だった。風も匂いもない世界で、無反応であることがどれほど異様か、ゴブリン太郎はようやく理解し始めていた。罵倒は喉の奥まで来て、しかし形にならない。数字のざわめきも、炎上の火花も、この場所には持ち込めない。
ゴブリン太郎:「……こいつは“待ってる”だぎゃ。オレ様が決めるのを、待ってやがるだぎゃ……」
彼はバックラーを前に差し出し、黒の縁に半分だけ差し入れてみる。金属の重みが音を持たないまま消える――のではない。消えない。ただ、そこに続きがあるだけだ。冷たくも熱くもなく、重力さえ違う向きにあるかのような、感覚の端だけがささくれる。
=== プレイヤー行動フェーズ(ゴブリン太郎)開始 ===
▶ アクションA:影パターン予測(突入タイミングを読む)
難易度:通常(11)+観察補正(+2)=目標値13
判定:3d6 → 4 + 5 + 2 = 11 → 失敗
処理:遠方のタクシー影の回頭タイミングを誤読。安全な3カウントを1カウント短く見積もる。
ゴブリン太郎:「今だ……今だぎゃ……っ!」
ゴブリン太郎:「今だ……今だぎゃ……っ!」
▶ アクションB:安全性の最終確認(バックラー深挿し)
難易度:観察+触診(12)+補正(+2)=目標値14
判定:3d6 → 6 + 6 + 3 = 15 → 成功
処理:バックラーの半分以上を飲み込ませても、縁に欠損は発生しない。“動かぬ影”=安全影の確度が急上昇。
ゴブリン太郎:「……消えねぇ。これは“出口”だぎゃ。帰って、燃やして、再生数取り戻すだぎゃ!」
ゴブリン太郎:「……消えねぇ。これは“出口”だぎゃ。帰って、燃やして、再生数取り戻すだぎゃ!」
▶ アクションC:全身突入ダッシュ
難易度:機動(11)+右肩欠損補正(+1)=目標値12
判定:3d6 → 5 + 5 + 1 = 11 → 失敗
処理:体幹のブレで踏み込みが足りず、片脚と左前腕+バックラーだけが黒へ滑り込む。胴体と頭部は外に残存。
ゴブリン太郎:「ぐっ、引っかかる……!クソッ、体が割れるだぎゃ!」
ゴブリン太郎:「ぐっ、引っかかる……!クソッ、体が割れるだぎゃ!」
黒は彼を引かない。押さない。ただ、“そこにある”。彼が決めきれないのを、まるで“待つ”ように。
=== 敵行動フェーズ(環境:動く影)開始 ===
▶ ハザード1:スケボー影が自販機前を横切る
回避難易度:平常(目標値11)
判定:3d6 → 2 + 4 + 6 = 12 → 成功
処理:背中を壁へ滑らせ、影の軌道外に肩を落とし込んでやり過ごす。接触なし。
▶ ハザード2:タクシー影の回頭(アクションAの誤読が影響)
回避難易度:やや難(目標値12)
判定:3d6 → 1 + 5 + 5 = 11 → 失敗
カウンター試行:特殊「バックラーで防御」(MP5)→ スキル無効のため不発/MP消費なし。
接触結果:タクシー影のリアドアの縁が脇腹をかすめる。
ダメージ換算:3d10 → 7 + 4 + 8 = 19 → HP -19
付随効果:呼吸の“仕方”を一瞬忘れる。身体図式の乱れが継続(次ターンも観察系目標値+1を維持)。
ゴブリン太郎:「が、あああ――ッ!肺が……置き忘れただぎゃ……ッ……!」
ゴブリン太郎:「が、あああ――ッ!肺が……置き忘れただぎゃ……ッ……!」
タクシー影は何事もなく行き過ぎる。運転手の影は正面を見たまま、ハンドルの影を穏やかに回していた。音のない生活の残像。世界は“当たり前”に回る。彼だけが、そこにいない音として取り残される。
黒き太陽:〈沈黙〉
――黒は待つ。決断を。
――黒は待つ。決断を。
ゴブリン太郎は壁と自販機の隙間に身を沿わせ、黒に差し入れた左前腕をさらに深く押し込んでみる。皮膚の感覚は曖昧になるが、欠損の感触はない。もし本物ならば、全身を通すだけで帰還できる。もし偽物なら――頭から入った瞬間、ロストだ。
彼の脳裏に、視聴者のざわめきが幻聴のようによぎる。歓声、罵声、スパチャの電子音。どれもここにはない。しかし彼はそれを燃料にして生きてきた。
ゴブリン太郎:「……ビビってねぇ。ビビってねぇんだぎゃ……! 数字、取り戻す。オレ様は、主役だぎゃ――!」
野次馬コメント(現実世界・名前付きログ)
【記者ナカジマ】「犯人消失、現場の監視カメラに“黒い空白”。専門家求む」
【SV先輩V・ミラライト】「緊急配信“影の街に潜る”準備中〜☆(遅れた方が伸びる)」
【デスライバーOB:骨鳴り三郎】「太郎、戻ってこい。お前の“落ち方”は稼げる」
【被害者友人シオン】「正義でも悪でもいい、早く捕まえて。誰か、早く」
=== ターン終了処理 ===
状態:観察系目標値+1(身体図式の乱れ)継続。精神不安定(軽度)継続。
イベント間隔:3ターン毎のハプニングは次はターン6で発動予定(今回なし)。
位置:ゴブリン太郎は**自販機列の“静止した黒”**の縁で半身突入状態。次ターン、全身通過の可否を判定予定。
HP/MP 変化
ゴブリン太郎:HP 74 → 55(-19),MP 40 → 40(スキル不発のため変化なし)
黒き太陽:HP ∞(変化なし),MP ∞(変化なし)
進行状況
ストーリー進行:4/10(安全影の確度を立証/半身まで侵入)
体力(ゴブリン太郎):55/130
人望:最低(現実側の非難拡大)
テンション:恐慌と強がりの綱引き(決断臨界)
ターン5
=== ターン開始処理 ===
フィールド:**《レプリカ・グリッド》**持続。通信・転送・スキル使用は無効(常時)。
状態補正:ゴブリン太郎は精神不安定(軽度)+身体図式の乱れで観察系目標値+1。右肩欠損により機動判定目標値+1(継続)。
ハザード生成:横断歩道方面から通学の人影列、路肩にバス影、コンコースからキャリーケース影。すべての影は正午サイズで運動。
無音の街が、呼吸を忘れた肺のように、ただ在る。自販機列の足元、動かぬ黒は相変わらず“待っている”。半身を飲み込まれたゴブリン太郎は、背を壁に擦りつけつつ、残った片脚と頭部・胴を外界に残したまま、歯を食いしばった。黒は引かない。押しもどしもしない。決断を保留する沈黙だけが、彼の鼓動の代わりにそこにある。
ゴブリン太郎:「……ここで入れりゃ、数字が戻る。戻れなきゃ、全部ゼロだぎゃ……! オレ様は主役、主役は引かねぇだぎゃ!」
喉の奥で笑いが空転する。声の重さが空気に乗らず、足音が地面に落ちない世界で、彼の虚勢だけが剥き出しの刃物みたいに光る。
=== プレイヤー行動フェーズ(ゴブリン太郎)開始 ===
▶ アクションA:意志判定(恐慌に打ち克ち、全身突入を決断)
難易度:通常(目標値11)
判定:3d6 → 5 + 5 + 3 = 13 → 成功
処理:視聴者の歓声・罵声の幻聴を燃料に、躊躇をねじ伏せる。
ゴブリン太郎:「ビビってねぇ、ビビってねぇだぎゃ! 行くッ!」
ゴブリン太郎:「ビビってねぇ、ビビってねぇだぎゃ! 行くッ!」
▶ アクションB:全身突入(身体コントロール/機動)
難易度:機動(11)+右肩欠損補正(+1)=目標値12
判定:3d6 → 4 + 2 + 6 = 12 → 成功
処理:腰を深く落とし、肩線を黒の面に平行に合わせる。片脚と左前腕に続き、胸郭まで黒へ沈む。
ゴブリン太郎:「……っ、入る! 入ってるだぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「……っ、入る! 入ってるだぎゃ……!」
▶ アクションC:姿勢固定(呼吸・重心の微調整)
難易度:繊細(目標値12)+身体図式の乱れ(+1)=目標値13
判定:3d6 → 1 + 6 + 2 = 9 → 失敗
処理:頭部と右脚がわずかに外へ残存。頸の角度が整わず、黒の境界で“ひっかかり”。完全通過は次のアクションへ持ち越し。
ゴブリン太郎:「クソッ、あと少しだぎゃ……っ、首が引っかかる……!」
ゴブリン太郎:「クソッ、あと少しだぎゃ……っ、首が引っかかる……!」
黒はなお沈黙。誘わないが、拒まない。彼自身の“押し”だけが鍵だ。
=== 敵行動フェーズ(環境:動く影)開始 ===
▶ ハザード1:バス影の車体通過
回避難易度:平常(目標値11)
判定:3d6 → 6 + 4 + 2 = 12 → 成功
処理:背を壁へ押しつけ、右肩をスライドさせて車体の影道を外す。接触なし。
ゴブリン太郎:「あぶ……ねぇだぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「あぶ……ねぇだぎゃ……!」
▶ ハザード2:キャリーケース影(車輪)
回避難易度:平常(目標値11)
判定:3d6 → 2 + 2 + 5 = 9 → 失敗
カウンター試行:特殊「バックラーで防御」(MP5)
- トリガー:被攻撃時/行動直前
- フィールド判定:スキル使用は無効 → 不発/MP消費なし。
- トリガー:被攻撃時/行動直前
- フィールド判定:スキル使用は無効 → 不発/MP消費なし。
接触結果:車輪の影が外に残った右足首の外側をなでる。通過部位が存在ごと抹消(足首外側の欠損)。
ダメージ換算:3d10 → 10 + 3 + 4 = 17 → HP -17
付随効果:機動判定のさらに+1(右足の踏ん張り低下)。
ゴブリン太郎:「ぎゃああっ!足首が……思い出せねぇ……ッ! ふざけんなだぎゃ!」
ゴブリン太郎:「ぎゃああっ!足首が……思い出せねぇ……ッ! ふざけんなだぎゃ!」
▶ ハザード3:通学の人影列(頭部付近で交差)
回避難易度:やや難(目標値12)
判定:3d6 → 6 + 3 + 3 = 12 → 成功
処理:顎を引き、首を黒側へ押し込む角度で紙一重回避。もし触れれば頭部通過=ロスト確定だった。
ゴブリン太郎:「……っぶねぇ……今の当たってたら、オレ様、消えてただぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「……っぶねぇ……今の当たってたら、オレ様、消えてただぎゃ……!」
影たちは何事もなく遠ざかる。笑い声も叱責も足音もない。ただ当たり前の所作で世界を横切る。日常のふりをした致死量の無関心が、都市の形をして巡回していく。
黒き太陽:〈沈黙〉
――それでも“本物の影”は、ただ在り、彼が全身で通るのを待つ。
――それでも“本物の影”は、ただ在り、彼が全身で通るのを待つ。
ゴブリン太郎は歯を剥き、黒の境界に押しつけるように首の角度を探る。右足首の感覚が崩れ、踏ん張る度に体幹がわずかに暴れる。だが、彼は吠えることで自分を支える生き物だ。吠える声が無音でも、吠えた事実だけが彼の背骨になる。
ゴブリン太郎:「オレ様は主役……主役は最後に**画(え)**を持ってくんだぎゃ! 帰って、全部燃やす!再生数、かっさらう!――だから、押す!」
野次馬コメント(現実世界・名前付きログ)
【SVディレクター:ナガレ】「“出遅れもまた演出”。出現するまで引っ張れ」
【救急隊ハラダ】「被害者の容体は安定。犯人の消失については警察へ」
【デスライバー視聴者:赤目のノブ】「太郎、戻ったら“耳と足首なくした件”で100万回いける」
【大学院生イツキ】「影が“生活してる”……あれは環境というより、倫理の実験だ」
=== ターン終了処理 ===
状態:右足首外側の欠損により機動判定目標値+1が追加(合計+2:右肩+足首)。観察系目標値+1は継続。
位置:胸郭まで侵入。頭部と右脚の一部が外界に残存。次ターン、完全通過の最終判定へ。
ハプニング:3ターン毎の強制イベントは次のターン6で発動予定。
HP/MP 変化
ゴブリン太郎:HP 55 → 38(-17),MP 40 → 40(スキル不発のため**±0**)
黒き太陽:HP ∞(変化なし),MP ∞(変化なし)
進行状況
ストーリー進行:5/10(胸郭まで通過/完全脱出まで僅少)
体力(ゴブリン太郎):38/130
人望:最低(現実側の非難続行)
テンション:極限(虚勢と帰還欲求が重なり、崩落寸前)
――次はターン6。ハプニング(強制)が都市全域に走る。頭か胴に触れられれば即ロスト。だが、あとわずか。決断は、音のない世界で一番うるさい。
ターン6
=== ターン開始処理 ===
フィールド:**《レプリカ・グリッド》**持続。通信・転送・スキル使用は無効(常時)。
状態補正:精神不安定(軽度)+身体図式の乱れ→観察系目標値+1継続。右肩欠損+右足首外側欠損→機動判定目標値+2継続。
ハザード生成:横断歩道側から通勤の波(人影密集)、車道に清掃車の影、高架から自転車便の影。
強制イベント予告:このターン終了時、ハプニング発動(3ターン毎)。
街は相変わらず、塗りこめた模型のように均一だ。音がない。風がない。だが“動く影”だけが、日常の振る舞いで世界を満たしていく。自販機列の足元で、動かぬ黒は相も変わらず何もしない。半身を飲み込まれたゴブリン太郎は、壁と黒との狭間に体を斜めに固定し、外に残る頭部と右脚をどう処理するか、喉の奥で虚勢を丸呑みにする。
ゴブリン太郎:「――ここで行く。ここで行くしかねぇだぎゃ……! 戻って、燃やして、数字を取り戻すだぎゃ!」
彼は吠え、吠えた手応えがどこにも響かないことに歯噛みする。いつもの笑い声も罵声もスパチャ音もない。だがそれでも、吠えるという事実だけが彼の背骨だ。
=== プレイヤー行動フェーズ(ゴブリン太郎)開始 ===
▶ アクションA:影の巡航予測(最適突入タイミングの見切り)
難易度:難(13)+観察補正(+1)=目標値14
判定:3d6 → 5 + 2 + 4 = 11 → 失敗
処理:清掃車の回頭角度と通勤列の切れ目を誤認。安全窓を実際より広く見積もる。
ゴブリン太郎:「今しかねぇ……“今”だぎゃ!」
ゴブリン太郎:「今しかねぇ……“今”だぎゃ!」
▶ アクションB:全身押し込み(最後の踏ん張り)
難易度:機動(12)+機動補正(+2)=目標値14
判定:3d6 → 6 + 4 + 5 = 15 → 成功
処理:腹筋で体幹を締め、右脚を円を描くように黒の面へ滑らせる。腰、骨盤、太腿まで黒側へ収まり、残存は首から上の半分のみ。
ゴブリン太郎:「入る! 入ってるだぎゃッ!」
ゴブリン太郎:「入る! 入ってるだぎゃッ!」
▶ アクションC:頸の角度調整(最後の5センチ)
難易度:繊細(12)+身体図式の乱れ(+1)=目標値13
判定:3d6 → 2 + 4 + 5 = 11 → 失敗
処理:外に残った頬骨が自販機の縁にわずかに引っかかり、頭部の半分だけが外界に露出したまま停止。完全通過は未達。
ゴブリン太郎:「くそっ……!あとちょいだぎゃ……! 首が噛むんだよ、ここ……!」
ゴブリン太郎:「くそっ……!あとちょいだぎゃ……! 首が噛むんだよ、ここ……!」
黒は誘わない。拒まない。ただ、そこに“続き”として在る。決断は既に下されている。足りないのは角度だけだ。
=== 敵行動フェーズ(環境:動く影)開始 ===
▶ ハザード1:自転車便の影(ハンドルが頭部近傍を通過)
回避難易度:平常(目標値11)
判定:3d6 → 5 + 5 + 2 = 12 → 成功
処理:顎をぐっと引き、露出している頬の面積を最小にして回避。頭部接触=即ロストを紙一重で免れる。
ゴブリン太郎:「……っぶ、ねぇ……!今のはマジで終わってただぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「……っぶ、ねぇ……!今のはマジで終わってただぎゃ……!」
▶ ハザード2:清掃車の影(後部ノズル尾)
回避難易度:平常(目標値11)
判定:3d6 → 1 + 2 + 6 = 9 → 失敗
カウンター試行:特殊「バックラーで防御」(MP5)→ スキル無効のため不発/MP消費なし。
接触部位:外へかろうじて残っていた右ふくらはぎ外側
ダメージ算出:3d10 → 6 + 4 + 7 = 17 → HP -17
付随効果:機動負荷が増し、痙攣のようなズレが体幹に走る(次ターン機動判定目標値+1を一時付与)。
ゴブリン太郎:「ぎゃああっ!脚が……削れただぎゃ……! でも、離さねぇ……離したら、終わりだぎゃ!」
ゴブリン太郎:「ぎゃああっ!脚が……削れただぎゃ……! でも、離さねぇ……離したら、終わりだぎゃ!」
影は何事もなく遠ざかる。運転手の影は前を向き、日常の所作だけをこなす。世界は当たり前を続ける。彼だけが“異物”として、そこに引っかかっている。
黒き太陽:〈沈黙〉
――それでも“本物の影”は、在る。待つことに徹して、在る。
――それでも“本物の影”は、在る。待つことに徹して、在る。
野次馬コメント(現実世界・名前付き)
【SVメインMC:ラディア】「#緊急特番『影のない街で会いましょう』秒読み!※遅れて始めた方が伸びます」
【救急隊ムトウ】「被害者は安定、加害者の消失は“事案”扱い。広場は規制中」
【デスライバー古参:蛍光グリーン】「太郎、戻ってこい!“欠損系サムネ”は伸びる!」
【映研OBオサム】「影だけが生活してる……倫理の死角に人を押しやってる感じがする」
=== ターン終了処理(強制ハプニング) ===
発動イベント:「シャドウ・スクランブルX」
スクランブル交差点に数百の人影が一気に流れ込み、加えてベビーカー影/犬影/自転車影/タクシー影が正午サイズのまま立体交差。音はない。生活だけが濁流になって押し寄せる。
スクランブル交差点に数百の人影が一気に流れ込み、加えてベビーカー影/犬影/自転車影/タクシー影が正午サイズのまま立体交差。音はない。生活だけが濁流になって押し寄せる。
追加回避判定(外界に露出した頭部を守る):難易度:やや難(目標値12)
判定:3d6 → 3 + 5 + 4 = 12 → 成功
処理:ゴブリン太郎は顔面の角度をさらに黒側へ押し込み、露出面を極小化。群れの影は頬の数ミリを掠めるだけで通過。致命回避。
ゴブリン太郎:「っっ……来いよ……全部やり過ごしてやるだぎゃ……! オレ様は、ここで抜ける!」
ゴブリン太郎:「っっ……来いよ……全部やり過ごしてやるだぎゃ……! オレ様は、ここで抜ける!」
影の奔流が去る。世界は再び“無音の日常”のリズムに戻る。黒は、在る。彼が最後の角度を見つけるのを待っている。
HP/MP 変化
ゴブリン太郎:HP 38 → 21(-17),MP 40 → 40(スキル無効のため**±0**)
黒き太陽:HP ∞(変化なし),MP ∞(変化なし)
進行状況
ストーリー進行:6/10(全身通過まで残りわずか/頭部の角度調整待ち)
体力(ゴブリン太郎):21/130
人望:最低(現実側の非難継続)
テンション:極限の綱渡り(虚勢は残るが、恐慌の縁)
次ターン、彼は“最後の5センチ”を通せるか。動く影は当たり前の速さで戻ってくる。頭部接触=即ロストは変わらない。黒はただ、待っている。
ターン7
=== ターン開始処理 ===
フィールド:**《レプリカ・グリッド》**持続。通信・転送・スキル使用は無効(常時)。
状態補正:観察系目標値+1(精神不安定+身体図式乱れ)、機動系目標値+3(右肩欠損+右足首外側欠損+痙攣のズレ)。
ハザード生成:広場縁から通勤・買い物・犬散歩・自転車便の影が薄く巡回。正午サイズ固定。
特記:次の強制ハプニングはターン9。
街は相変わらず嘘の青空の下、精密に作られた模型のように“正しく”止まっている。止まっているのに、生活だけが――影だけが――当たり前の速度で流れる。自販機列の足元、動かぬ黒は沈黙し、世界の呼吸を忘れた空洞のように口を開けていた。ゴブリン太郎は半身以上を黒へ通し、残った頭部の半分を外界に晒したまま、壁と黒の境界に顎の角度を探る。右脚の踏ん張りは弱く、右肩は欠け、呼吸の“仕方”はたびたび抜け落ちる。それでも彼は、吠えることで自分を支える生き物だ。吠えた声がここでは音にならなくても、吠えたという事実だけが背骨の役目を果たす。
ゴブリン太郎:「……ここで決めるだぎゃ。ここで帰って、全部燃やすんだぎゃ……ッ!」
黒き太陽:〈沈黙〉――在る、だけ。
=== プレイヤー行動フェーズ(ゴブリン太郎)開始 ===
▶ アクションA:最終観察(頭部周辺の巡回影タイミング読み)
難易度:通常(目標値12)+観察補正(+1)=目標値13
判定:3d6 → 4 + 6 + 4 = 14 → 成功
処理:通りの端で犬影とベビーカー影の巡航に1.8秒の“切れ目”を見抜く。さらに、自販機の縁で自分の頬骨が最小面積になる角度を割り出す。
ゴブリン太郎:「今の“間”だぎゃ……ここだ……この角度だぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「今の“間”だぎゃ……ここだ……この角度だぎゃ……!」
▶ アクションB:頸部の角度調整(繊細操作)
難易度:繊細(12)+機動補正(+3)=目標値15
判定:3d6 → 5 + 3 + 6 = 14 → 失敗
処理:頬骨が自販機の縁にコッと“音の無い衝突”を起こす。外側へ1センチ押し戻され、切れ目の時間を0.6秒消費。
ゴブリン太郎:「クソがっ……ッ!滑る、噛む……でもまだ“間”は生きてるだぎゃ……!」
ゴブリン太郎:「クソがっ……ッ!滑る、噛む……でもまだ“間”は生きてるだぎゃ……!」
▶ アクションC:決死の押し込み(意志+体幹総動員)
難易度:高(14)※観察は済/機動補正(+3)はここでも影響=目標値14(意志で相殺する裁定は不可/共通仕様により数値化適用)
判定:3d6 → 6 + 6 + 3 = 15 → 成功
処理:腹筋を締め、舌の位置すら調整して喉頭を最小体積に潰す。顎を引き、頭皮を黒へ滑らせる。頸椎が一本、また一本と境界を越え――頭部全体が黒へ没入。
ゴブリン太郎:「――入った……!入っただぎゃ!!」
ゴブリン太郎:「――入った……!入っただぎゃ!!」
黒は引かない。だが、全身が通過した瞬間、世界が“層を変える”。色も音も温度も、まとめて帰ってくる。
=== 敵行動フェーズ(環境:動く影)開始 ===
状況:対象はすでに黒き太陽の影を通過。《レプリカ・グリッド》から離脱。
処理:対象不在のため、巡回影は“無音の日常”を継続。攻撃解決発生せず。
シーンは駅前広場へひっくり返る。サイレン、怒号、スマホのシャッター音、取材のマイク、シャイニングバーチャルズの撮影車。光がある。風がある。影がある。黒い球体はどこにもない――が、彼の眼には一瞬、遠い空の端に“光を食う丸い欠落”が在った気がした。次の瞬間、それは普通の夕雲に紛れる。
ゴブリン太郎(膝から崩れ、呼吸を取り戻しながら):「はぁっ……はぁっ……戻った……! 戻っただぎゃ! おい見てるか、ども――」
言葉尻が切れる。警官の手が伸び、救急隊の声が飛び、カメラの雨が降る。彼は反射的に罵倒を探すが、喉は砂漠だ。左耳の欠け、指の欠落、右肩の抉れ、右脚の削れ――**音のない世界が置き土産にした“空白”**が、現実の光で露わになる。
黒き太陽:〈沈黙〉――“勝敗”という言葉から遠すぎる在り方で、ただ“在る”ことを続ける。
野次馬コメント(現実世界・名前付き)
【SVメインMC:ラディア】「帰還確認!緊急配信『影の街からの生還者』スタートです!」
【刑事クラタ】「確保――取調べだ。救急も回せ!」
【デスライバー編集:墓掘り人】「生還は神回。失った部位一覧で釣りサムネ、走れ!」
【被害者友人シオン】「……帰ってきたなら、償え」
=== ターン終了処理 ===
勝利条件判定:黒き太陽の“影”へ全身通過 → 脱出成功。
ゴブリン太郎の現在位置:現実世界・駅前広場(警察・救急に囲まれ拘束)。
次回ハプニング:対象がフィールド外に出たため《レプリカ・グリッド》のイベント参照終了。
HP/MP 変化
ゴブリン太郎:このターンの環境ダメージなし → HP 21 → 21(±0),MP 40 → 40(±0)
黒き太陽:HP ∞(変化なし),MP ∞(変化なし)
進行状況
ストーリー進行:7/10(脱出達成/決着)
体力(ゴブリン太郎):21/130
人望:極低(世論の怒り集中/逮捕)
テンション:枯渇(虚勢の燃料は尽き、現実の光に晒される)
――対戦結果:
ゴブリン太郎は“動かぬ影”を見抜き、レプリカ・グリッドからの生還に成功。
黒き太陽は干渉せず、ただ“在る”ことで観測災害の条件を満たし続ける。
勝敗は両者の達成――生還と存在。だが、物語はここで終わりではない。現実には償いが、ネットには消費が、そして空には在るべきでない沈黙が、まだ残っている。
ゴブリン太郎は“動かぬ影”を見抜き、レプリカ・グリッドからの生還に成功。
黒き太陽は干渉せず、ただ“在る”ことで観測災害の条件を満たし続ける。
勝敗は両者の達成――生還と存在。だが、物語はここで終わりではない。現実には償いが、ネットには消費が、そして空には在るべきでない沈黙が、まだ残っている。