鯵ダハーカ
分類:三頭魚竜型存在
生態:海洋生物(内部構造はほぼ魚類)
出現個体:陸上進出個体
会話能力:なし
分類:三頭魚竜型存在
生態:海洋生物(内部構造はほぼ魚類)
出現個体:陸上進出個体
会話能力:なし
■ 概要
3頭、3口、6眼を持つ4.3mの竜型存在。
ただし、その本質は竜というよりもほぼ魚類であり、呼吸機構は完全な鰓呼吸に依存している。
頭部は三つあるが、いずれも竜らしい頭部ではなく鯵そのものに近い形状をしている。
背に備わる大きな構造は一見すると翼のように見えるが、実際には羽ではなく背鰭であり、飛行能力は存在しない。見た目は立派だが、空を飛ぶための機能は持たない。
腕は胸鰭、足は腹鰭が変化したものであり、この部位は非常に発達している。
鰭由来でありながら、陸上でも体を支え、攻撃動作を行えるだけの強靭さを有している。
本来であれば水中で戦うべき海洋生物だが、この個体は何故か陸上に進出してきている。
環境適応としては明らかに不利であり、本来の性能を発揮できない状況で戦っている。
つまり、強力ではあるが、環境選択を完全に間違えた存在である。
知能は低くはないが、本能優位であり、判断はかなり雑。
そのため、陸上という不利な戦場に自ら現れてしまう程度にはアホの子である。
蛇足ではあるが、のそのそと歩いているのではない、鯵ダハーカにとっては全力疾走なのだ。
3頭、3口、6眼を持つ4.3mの竜型存在。
ただし、その本質は竜というよりもほぼ魚類であり、呼吸機構は完全な鰓呼吸に依存している。
頭部は三つあるが、いずれも竜らしい頭部ではなく鯵そのものに近い形状をしている。
背に備わる大きな構造は一見すると翼のように見えるが、実際には羽ではなく背鰭であり、飛行能力は存在しない。見た目は立派だが、空を飛ぶための機能は持たない。
腕は胸鰭、足は腹鰭が変化したものであり、この部位は非常に発達している。
鰭由来でありながら、陸上でも体を支え、攻撃動作を行えるだけの強靭さを有している。
本来であれば水中で戦うべき海洋生物だが、この個体は何故か陸上に進出してきている。
環境適応としては明らかに不利であり、本来の性能を発揮できない状況で戦っている。
つまり、強力ではあるが、環境選択を完全に間違えた存在である。
知能は低くはないが、本能優位であり、判断はかなり雑。
そのため、陸上という不利な戦場に自ら現れてしまう程度にはアホの子である。
蛇足ではあるが、のそのそと歩いているのではない、鯵ダハーカにとっては全力疾走なのだ。
■ 生態的特徴
鯵ダハーカは海洋生物であり、鰓の状態が戦闘能力を大きく左右する。
このため、陸上では時間経過とともに鰓の乾燥が進み、各種行動に悪影響が発生する。
また、水であれば何でもよいわけではなく、鰓は非常に繊細であるため、接触する水の質によっては回復どころか逆に弱体化する。
鯵ダハーカは海洋生物であり、鰓の状態が戦闘能力を大きく左右する。
このため、陸上では時間経過とともに鰓の乾燥が進み、各種行動に悪影響が発生する。
また、水であれば何でもよいわけではなく、鰓は非常に繊細であるため、接触する水の質によっては回復どころか逆に弱体化する。
■ コアギミック
《鰓乾燥度》
このボスは、水が供給されない状態が続くと鰓の乾燥度が上昇する。
乾燥度が進むほど、攻撃にはマイナス補正がかかる。
これは単なる演出ではなく、鯵ダハーカの戦闘能力そのものに直結する弱点である。
本来は水中で活動することを前提とした体であるため、陸上での長期戦そのものが鯵ダハーカにとって不利となる。
乾燥が進行するほど、呼吸は乱れ、行動精度は低下し、攻撃動作の鋭さや安定性も失われていく。
特にブレス系攻撃や跳躍攻撃のような大技ほど、鰓への負担が大きく、乾燥の影響を強く受ける。
《鰓乾燥度》
このボスは、水が供給されない状態が続くと鰓の乾燥度が上昇する。
乾燥度が進むほど、攻撃にはマイナス補正がかかる。
これは単なる演出ではなく、鯵ダハーカの戦闘能力そのものに直結する弱点である。
本来は水中で活動することを前提とした体であるため、陸上での長期戦そのものが鯵ダハーカにとって不利となる。
乾燥が進行するほど、呼吸は乱れ、行動精度は低下し、攻撃動作の鋭さや安定性も失われていく。
特にブレス系攻撃や跳躍攻撃のような大技ほど、鰓への負担が大きく、乾燥の影響を強く受ける。
■ 鰓状態段階
【潤沢】
十分な自然水が供給されている状態。
本来の呼吸効率を維持できており、攻撃動作に淀みが無い。
各攻撃の精度と威力が安定し、ブレス系攻撃も正常な出力で使用可能。
【低下】
乾燥が始まった状態。
まだ大きく動けるが、徐々に呼吸効率が悪化し始めている。
攻撃精度に軽いマイナス補正が発生し、行動後の隙もわずかに大きくなる。
【乾燥進行】
明確に乾燥の悪影響が出ている状態。
攻撃全般にマイナス補正が発生し、特に水圧を扱う技の出力が不安定になる。
動作の勢いはあるが雑になり、体勢の崩れや無駄な力みも目立つようになる。
【重度乾燥】
鰓機能がかなり損なわれている状態。
攻撃精度、攻撃威力、行動安定性の全てに大きなマイナス補正がかかる。
ブレスの制御も大きく乱れ、強引な行動を取るほど自分の首を絞める。
跳躍後や大技後の隙も非常に大きい。
【窒息寸前】
鰓機能が限界に近い状態。
通常の攻撃動作すら鈍くなり、ブレス系統はまともに扱えない。
攻撃性能は著しく低下し、生存本能に従って水を求める挙動が強くなる。
ここまで乾燥が進行すると、ボスとしての脅威は大きく落ちる。
【潤沢】
十分な自然水が供給されている状態。
本来の呼吸効率を維持できており、攻撃動作に淀みが無い。
各攻撃の精度と威力が安定し、ブレス系攻撃も正常な出力で使用可能。
【低下】
乾燥が始まった状態。
まだ大きく動けるが、徐々に呼吸効率が悪化し始めている。
攻撃精度に軽いマイナス補正が発生し、行動後の隙もわずかに大きくなる。
【乾燥進行】
明確に乾燥の悪影響が出ている状態。
攻撃全般にマイナス補正が発生し、特に水圧を扱う技の出力が不安定になる。
動作の勢いはあるが雑になり、体勢の崩れや無駄な力みも目立つようになる。
【重度乾燥】
鰓機能がかなり損なわれている状態。
攻撃精度、攻撃威力、行動安定性の全てに大きなマイナス補正がかかる。
ブレスの制御も大きく乱れ、強引な行動を取るほど自分の首を絞める。
跳躍後や大技後の隙も非常に大きい。
【窒息寸前】
鰓機能が限界に近い状態。
通常の攻撃動作すら鈍くなり、ブレス系統はまともに扱えない。
攻撃性能は著しく低下し、生存本能に従って水を求める挙動が強くなる。
ここまで乾燥が進行すると、ボスとしての脅威は大きく落ちる。
■ 環境相性
◎ 有効な水
海水
淡水
大量の自然水
放水設備
豪雨などの継続的な自然水供給
これらは鰓にとって有効であり、乾燥の進行を抑える、あるいは状態を改善する要因となる。
◎ 有効な水
海水
淡水
大量の自然水
放水設備
豪雨などの継続的な自然水供給
これらは鰓にとって有効であり、乾燥の進行を抑える、あるいは状態を改善する要因となる。
× 塩素が含まれるプール
塩素が含まれるプールでは弱体化する。
見た目には水であっても、鰓にとっては適した環境ではなく、呼吸器官への刺激となる。
そのため、回復どころか状態悪化を招く。
つまり、鯵ダハーカは塩素濃度の濃いプールには逃げられない。
水場に見えても安全地帯にはならない。
塩素が含まれるプールでは弱体化する。
見た目には水であっても、鰓にとっては適した環境ではなく、呼吸器官への刺激となる。
そのため、回復どころか状態悪化を招く。
つまり、鯵ダハーカは塩素濃度の濃いプールには逃げられない。
水場に見えても安全地帯にはならない。
× 汚水・下水
汚水も鰓が詰まってしまうため対応できない。
泥、汚れ、不純物などが鰓に絡むことで、呼吸効率がさらに悪化する。
したがって、鯵ダハーカは下水にも逃げられない。
一見すると水路や汚水区域は逃げ場に見えるが、実際には自滅に近い行動になる。
× 乾燥した陸上環境
水供給がない限り、時間経過で不利になる。
砂塵や熱気が強い場所では、乾燥の進行はさらに早まる。
汚水も鰓が詰まってしまうため対応できない。
泥、汚れ、不純物などが鰓に絡むことで、呼吸効率がさらに悪化する。
したがって、鯵ダハーカは下水にも逃げられない。
一見すると水路や汚水区域は逃げ場に見えるが、実際には自滅に近い行動になる。
× 乾燥した陸上環境
水供給がない限り、時間経過で不利になる。
砂塵や熱気が強い場所では、乾燥の進行はさらに早まる。
■ 行動傾向
本来は水中で戦うべき存在だが、アホなので陸上で戦う
水を求める本能はあるが、何が安全な水かを正しく判断できない
プールや下水のような「水っぽい場所」に引き寄せられる可能性はあるが、そこは実際には適応不能な環境である
鰓の状態が悪化しても、攻撃を優先しがち
不利な状況でも強引に大技を使用しようとする
つまり、強いが環境判断が甘く、自分の弱点を自分で踏みにいくタイプのボスである。
本来は水中で戦うべき存在だが、アホなので陸上で戦う
水を求める本能はあるが、何が安全な水かを正しく判断できない
プールや下水のような「水っぽい場所」に引き寄せられる可能性はあるが、そこは実際には適応不能な環境である
鰓の状態が悪化しても、攻撃を優先しがち
不利な状況でも強引に大技を使用しようとする
つまり、強いが環境判断が甘く、自分の弱点を自分で踏みにいくタイプのボスである。
■ 通常攻撃
切り裂く
胸鰭(腕)の鉤爪のような先端で金属すら切り裂く爪擊。
胸鰭が進化した腕部の先端は、単なる鰭ではなく、鉤爪のように鋭く変化している。
そのため、近距離では魚類由来とは思えない切断力を発揮し、肉体だけでなく金属すら切り裂く。
陸上でも使用可能であり、もっとも扱いやすい攻撃の一つ。
ただし乾燥が進むほど腕の踏ん張りや振り抜きの精度が落ち、切断力そのものよりも命中の鋭さに影響が出やすい。
切り裂く
胸鰭(腕)の鉤爪のような先端で金属すら切り裂く爪擊。
胸鰭が進化した腕部の先端は、単なる鰭ではなく、鉤爪のように鋭く変化している。
そのため、近距離では魚類由来とは思えない切断力を発揮し、肉体だけでなく金属すら切り裂く。
陸上でも使用可能であり、もっとも扱いやすい攻撃の一つ。
ただし乾燥が進むほど腕の踏ん張りや振り抜きの精度が落ち、切断力そのものよりも命中の鋭さに影響が出やすい。
尻尾払い
尻尾で薙ぐように殴打する。
巨大な尾部を横殴りに振るい、周囲をまとめて薙ぎ払う攻撃。
切断ではなく、質量と勢いで叩き潰すような打撃に近い。
水中であれば水圧も加わってさらに危険だが、陸上では純粋な体重と筋力による強引な薙ぎ払いとなる。
それでも大型の相手や複数の対象をまとめて吹き飛ばせるだけの破壊力はあり、見た目以上に重い一撃になる。
乾燥が進むほど、振り切った後の体勢維持が難しくなる。
尻尾で薙ぐように殴打する。
巨大な尾部を横殴りに振るい、周囲をまとめて薙ぎ払う攻撃。
切断ではなく、質量と勢いで叩き潰すような打撃に近い。
水中であれば水圧も加わってさらに危険だが、陸上では純粋な体重と筋力による強引な薙ぎ払いとなる。
それでも大型の相手や複数の対象をまとめて吹き飛ばせるだけの破壊力はあり、見た目以上に重い一撃になる。
乾燥が進むほど、振り切った後の体勢維持が難しくなる。
■ 攻撃スキル
アクアブレス
大型バスすら吹き飛ばす高圧の水流。
口部から高圧の水流を一気に噴射する攻撃。
単なる放水ではなく、衝撃そのもので対象を吹き飛ばすレベルの圧力を持っており、大型バスすら吹き飛ばすほどの威力を誇る。
直線的な制圧力に優れ、障害物越しや距離を取った相手への牽制にも使える。
本来は水中でこそ真価を発揮する技だが、陸上でも十分に危険であり、まともに受ければ重機や車両であっても大きく弾かれる。
ただし、鰓の乾燥が進んでいる状態では水流の圧縮や放出が不安定になり、威力や精度に悪影響が出る。
アクアブレス
大型バスすら吹き飛ばす高圧の水流。
口部から高圧の水流を一気に噴射する攻撃。
単なる放水ではなく、衝撃そのもので対象を吹き飛ばすレベルの圧力を持っており、大型バスすら吹き飛ばすほどの威力を誇る。
直線的な制圧力に優れ、障害物越しや距離を取った相手への牽制にも使える。
本来は水中でこそ真価を発揮する技だが、陸上でも十分に危険であり、まともに受ければ重機や車両であっても大きく弾かれる。
ただし、鰓の乾燥が進んでいる状態では水流の圧縮や放出が不安定になり、威力や精度に悪影響が出る。
タタキクラッシュ
高く跳躍し、上空から踏みつける。
中確率でスタン。
巨体でありながら高く跳躍し、標的の上空から一気に踏みつける攻撃。
落下の質量、脚部の圧力、着地衝撃が合わさるため、直撃した相手には非常に大きな負荷がかかる。
さらに、踏みつけそのものだけでなく、着地時の衝撃によって周囲の足場や体勢も乱しやすく、相手をその場で硬直させる可能性がある。
そのため、この攻撃には中確率でスタンの追加効果が発生する。
ただし、跳躍から着地までの動作は大きく、陸上では特に着地後の隙が生まれやすい。
また、乾燥が進んだ状態で使用すると、着地後の呼吸負荷がより重くなる。
高く跳躍し、上空から踏みつける。
中確率でスタン。
巨体でありながら高く跳躍し、標的の上空から一気に踏みつける攻撃。
落下の質量、脚部の圧力、着地衝撃が合わさるため、直撃した相手には非常に大きな負荷がかかる。
さらに、踏みつけそのものだけでなく、着地時の衝撃によって周囲の足場や体勢も乱しやすく、相手をその場で硬直させる可能性がある。
そのため、この攻撃には中確率でスタンの追加効果が発生する。
ただし、跳躍から着地までの動作は大きく、陸上では特に着地後の隙が生まれやすい。
また、乾燥が進んだ状態で使用すると、着地後の呼吸負荷がより重くなる。
■ 必殺技
トリニティ・ブラスト・シーフォース
3頭の口から発射される、超高圧縮された水のブレス。
半径数キロ先まで両断可能な水圧カッターのようなもの。
鯵ダハーカ最大の決定打。
三つの頭が同時に口を開き、それぞれから放たれる水圧を一点に収束させることで、単なる放水ではなく「切断する水」にまで昇華させた必殺ブレスである。
その威力は極めて高く、単純な衝撃で吹き飛ばすのではなく、超高圧縮された水流が水圧カッターのように対象を両断する。
射程も長く、半径数キロ先まで両断可能な規模を持つため、建造物、地形、大型兵器などに対しても極めて危険。
本来は海中や十分な水供給のある環境でこそ最大の性能を発揮する技であり、鯵ダハーカの本来の恐ろしさを象徴する攻撃である。
ただし、この技は鰓への負担も非常に大きい。
陸上では特に乾燥状態の影響を受けやすく、鰓湿潤度が低下しているほど威力・精度・安定性にマイナス補正がかかる。
無理に使用した場合、狙いが甘くなったり、放射後に大きな隙を晒したりする。
それでもなお、まともに成立した場合の破壊力は別格であり、陸上戦であっても最重要警戒対象となる。
トリニティ・ブラスト・シーフォース
3頭の口から発射される、超高圧縮された水のブレス。
半径数キロ先まで両断可能な水圧カッターのようなもの。
鯵ダハーカ最大の決定打。
三つの頭が同時に口を開き、それぞれから放たれる水圧を一点に収束させることで、単なる放水ではなく「切断する水」にまで昇華させた必殺ブレスである。
その威力は極めて高く、単純な衝撃で吹き飛ばすのではなく、超高圧縮された水流が水圧カッターのように対象を両断する。
射程も長く、半径数キロ先まで両断可能な規模を持つため、建造物、地形、大型兵器などに対しても極めて危険。
本来は海中や十分な水供給のある環境でこそ最大の性能を発揮する技であり、鯵ダハーカの本来の恐ろしさを象徴する攻撃である。
ただし、この技は鰓への負担も非常に大きい。
陸上では特に乾燥状態の影響を受けやすく、鰓湿潤度が低下しているほど威力・精度・安定性にマイナス補正がかかる。
無理に使用した場合、狙いが甘くなったり、放射後に大きな隙を晒したりする。
それでもなお、まともに成立した場合の破壊力は別格であり、陸上戦であっても最重要警戒対象となる。
事件導入:
夜明けを過ぎたばかりの漁港。
朝の魚市場は、今日も威勢のいい声と、潮の匂いと、フォークリフトの音でせわしなく動いていた。
「イワシこっち運べー!」
「そっちの発泡箱どけろー!」
「マグロ入るぞマグロー!」
そんな、どこにでもある活気ある朝の風景。
……のはずだった。
最初に異変に気づいたのは、岸壁で作業していた若い漁師だった。
「……なんだあれ」
海面が、不自然に盛り上がっている。
大きい。とにかく大きい。
波を押しのけるように、ぬらり、と三つの影が浮かび上がる。
竜のような巨体。
三本の首。
六つの目。
だが――頭が全部、鯵である。
「えっ、なにあれ」 「竜!?」 「いや鯵だろ!?」 「でもデカすぎるだろ!!」
三頭六眼の巨体は、のそのそと岸壁へ這い上がった。
背には翼のように見える大きな背鰭。だが飛ばない。
胸鰭から変化した腕でコンクリートを掻き、腹鰭由来の脚で重たく地面を踏みしめる。
どう見ても異常。
どう見ても怪獣。
なのに動きだけは妙に魚っぽい。
そしてその異形は、咆哮するでもなく、破壊の快楽に酔うでもなく、ただまっすぐ市場へ向かった。
ダンボールが潰れる。
発泡スチロール箱が吹き飛ぶ。
積み上げられた籠がなぎ倒される。
通路を塞いでいた台車が、尻尾の一振りで横転する。
「うわーっ! 入ってきた!!」
「逃げろ逃げろ逃げろ!!」
「なんで市場に来るんだよあいつ!!」
答えは単純だった。
魚である。
海に生きるものは、総じて魚やプランクトンを食う。
では鯵ダハーカは何を食うのか。
当然、魚である。
だが、そこには鯵ダハーカなりのこだわりがあった。
貝には目もくれない。
高級魚にも興味がない。
マグロなどどうでもいい。
カニや海老? そんなものは要らない。
口に入りづらい大物も、殻が硬いものも、消化に悪そうなものも全部いらない。
欲しいのは――
イワシ。
小ぶりのイカ。
一口でいけそうな魚。
その三つの頭は、明らかに獲物を吟味していた。
「なんでだよ!! マグロの方が高いだろ!!」
と叫んだ市場の職員の悲鳴も虚しく、鯵ダハーカは大量のイワシ箱へ一直線。
鼻先で箱をひっくり返し、散らばった魚をばくばくと食い始める。
安い魚だけを狙って。
食いやすい魚だけを狙って。
妙に手慣れた動きで。
厄介なのは、こいつが最近学習してしまったことだ。
「人間が釣ったやつを横取りした方が、海で自力で追うより楽だし、いっぱい食べられる」
という、最低にして最悪の事実を覚えてしまったのである。
結果、鯵ダハーカは海で狩りをするよりも、漁港と市場を襲うようになった。
食欲に忠実。
発想は完全にアホ。
だが、巨体と怪力と三つの口のせいで被害はまったく笑えない。
市場の中央で、鯵ダハーカが三つの口をぱくぱくと動かす。
足元には潰れた箱。
転がる氷。
散乱するイワシ。
逃げ惑う人々。
そして、魚を取り尽くした三つの頭が、次の獲物を探して一斉に持ち上がった。
市場の奥。
冷蔵倉庫。
加工場。
さらにその先の市街地へ続く搬入口。
もしこのまま好き放題に食い進めれば、被害は市場だけでは済まない。
しかも追い詰められれば、三つの口から放たれる超高圧縮水流――
《トリニティ・ブラスト・シーフォース》
によって、港ごと一直線に切り裂かれかねない。
朝どれを狙う、三頭魚竜の大暴走。
エラが乾くまでは止まらない!!
アホと強さの大渋滞!!その名は鯵ダハーカ!!
夜明けを過ぎたばかりの漁港。
朝の魚市場は、今日も威勢のいい声と、潮の匂いと、フォークリフトの音でせわしなく動いていた。
「イワシこっち運べー!」
「そっちの発泡箱どけろー!」
「マグロ入るぞマグロー!」
そんな、どこにでもある活気ある朝の風景。
……のはずだった。
最初に異変に気づいたのは、岸壁で作業していた若い漁師だった。
「……なんだあれ」
海面が、不自然に盛り上がっている。
大きい。とにかく大きい。
波を押しのけるように、ぬらり、と三つの影が浮かび上がる。
竜のような巨体。
三本の首。
六つの目。
だが――頭が全部、鯵である。
「えっ、なにあれ」 「竜!?」 「いや鯵だろ!?」 「でもデカすぎるだろ!!」
三頭六眼の巨体は、のそのそと岸壁へ這い上がった。
背には翼のように見える大きな背鰭。だが飛ばない。
胸鰭から変化した腕でコンクリートを掻き、腹鰭由来の脚で重たく地面を踏みしめる。
どう見ても異常。
どう見ても怪獣。
なのに動きだけは妙に魚っぽい。
そしてその異形は、咆哮するでもなく、破壊の快楽に酔うでもなく、ただまっすぐ市場へ向かった。
ダンボールが潰れる。
発泡スチロール箱が吹き飛ぶ。
積み上げられた籠がなぎ倒される。
通路を塞いでいた台車が、尻尾の一振りで横転する。
「うわーっ! 入ってきた!!」
「逃げろ逃げろ逃げろ!!」
「なんで市場に来るんだよあいつ!!」
答えは単純だった。
魚である。
海に生きるものは、総じて魚やプランクトンを食う。
では鯵ダハーカは何を食うのか。
当然、魚である。
だが、そこには鯵ダハーカなりのこだわりがあった。
貝には目もくれない。
高級魚にも興味がない。
マグロなどどうでもいい。
カニや海老? そんなものは要らない。
口に入りづらい大物も、殻が硬いものも、消化に悪そうなものも全部いらない。
欲しいのは――
イワシ。
小ぶりのイカ。
一口でいけそうな魚。
その三つの頭は、明らかに獲物を吟味していた。
「なんでだよ!! マグロの方が高いだろ!!」
と叫んだ市場の職員の悲鳴も虚しく、鯵ダハーカは大量のイワシ箱へ一直線。
鼻先で箱をひっくり返し、散らばった魚をばくばくと食い始める。
安い魚だけを狙って。
食いやすい魚だけを狙って。
妙に手慣れた動きで。
厄介なのは、こいつが最近学習してしまったことだ。
「人間が釣ったやつを横取りした方が、海で自力で追うより楽だし、いっぱい食べられる」
という、最低にして最悪の事実を覚えてしまったのである。
結果、鯵ダハーカは海で狩りをするよりも、漁港と市場を襲うようになった。
食欲に忠実。
発想は完全にアホ。
だが、巨体と怪力と三つの口のせいで被害はまったく笑えない。
市場の中央で、鯵ダハーカが三つの口をぱくぱくと動かす。
足元には潰れた箱。
転がる氷。
散乱するイワシ。
逃げ惑う人々。
そして、魚を取り尽くした三つの頭が、次の獲物を探して一斉に持ち上がった。
市場の奥。
冷蔵倉庫。
加工場。
さらにその先の市街地へ続く搬入口。
もしこのまま好き放題に食い進めれば、被害は市場だけでは済まない。
しかも追い詰められれば、三つの口から放たれる超高圧縮水流――
《トリニティ・ブラスト・シーフォース》
によって、港ごと一直線に切り裂かれかねない。
朝どれを狙う、三頭魚竜の大暴走。
エラが乾くまでは止まらない!!
アホと強さの大渋滞!!その名は鯵ダハーカ!!