『これで私が諸君らに与える力の程を理解できたことだろう。
力ある者よ!我を恐れよ!
力なき者よ!我を求めよ!
このバトルロワイヤルは、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが裁定する!
私は会場内のテレビ局で待っている。
諸君らの賢明な決断を期待する』
力ある者よ!我を恐れよ!
力なき者よ!我を求めよ!
このバトルロワイヤルは、ルルーシュ・ヴィ・ブリタニアが裁定する!
私は会場内のテレビ局で待っている。
諸君らの賢明な決断を期待する』
仰々しさと言う言葉を、可視化したような映像が、会場中に流れる。
それは勿論、勇者だったこの男にも届いていた。
それは勿論、勇者だったこの男にも届いていた。
(くだらないな……)
届いていただけだ。その映像に関して、これと言った感情を抱くことは無い。
あえて言うなら、うるさくて不快、ぐらいだ。
従うか抗うか、そう問われても、どちらをするつもりもなかった。
どちらかと言えば従い、邪魔する者を殺すぐらいだが、誰彼構わず殺したくてたまらないという訳ではない。
ローラ姫を殺したのは、自分が勇者であることを捨てるための、通過儀礼のようなものだ。
むしろ彼としては、せっかく手に入れた自由を楽しみたいと考えている。
その上で、主催者からの言葉はノイズだった。
あえて言うなら、うるさくて不快、ぐらいだ。
従うか抗うか、そう問われても、どちらをするつもりもなかった。
どちらかと言えば従い、邪魔する者を殺すぐらいだが、誰彼構わず殺したくてたまらないという訳ではない。
ローラ姫を殺したのは、自分が勇者であることを捨てるための、通過儀礼のようなものだ。
むしろ彼としては、せっかく手に入れた自由を楽しみたいと考えている。
その上で、主催者からの言葉はノイズだった。
(ところで、これはどちらの『俺』を指している?)
名簿もどうでもよかったが、予想もしていない誰かが参加していることも鑑みて、一応確認してみることにした。
現に自分がもう1人いること自体が大概予想できないことだ。さらに1人か2人自分がいてもおかしくない。
もしかすれば竜王やその配下のような、魔の者が参加していることも考えられた。
だが、アレフの予想に反して。過去の知り合いはいなかった。
知っている名前は、すでに殺したローラ姫と、自分の名前だけ。
現に自分がもう1人いること自体が大概予想できないことだ。さらに1人か2人自分がいてもおかしくない。
もしかすれば竜王やその配下のような、魔の者が参加していることも考えられた。
だが、アレフの予想に反して。過去の知り合いはいなかった。
知っている名前は、すでに殺したローラ姫と、自分の名前だけ。
ただ気になったのは、ここに書いてある『勇者アレフ』が、誰のことを指しているのかということだ。
2人の自分が参加しているというのだから、名簿に『アレフ』が2人書いてあってもおかしくはない。
まとめて記載されている節も考えられなくはないが、それならそれでアスラン・ザラという名前が2つある件と矛盾している。
2人の自分が参加しているというのだから、名簿に『アレフ』が2人書いてあってもおかしくはない。
まとめて記載されている節も考えられなくはないが、それならそれでアスラン・ザラという名前が2つある件と矛盾している。
(“勇者”アレフだというなら、奴の方か?ならば俺の名は此方の方か…)
アレフとローラが名簿の隣同士にあることから、同じ世界から参加した者が、名簿に固まって纏められているのは分かった。
件の2人のアスランは離れた場所に記載されていたが、それはもう考えないことにした。なんか片方“?”がついてるし。
ローラ姫の下に記載されてあった、『やみのせんし』と言う名前に視線を置く。
件の2人のアスランは離れた場所に記載されていたが、それはもう考えないことにした。なんか片方“?”がついてるし。
ローラ姫の下に記載されてあった、『やみのせんし』と言う名前に視線を置く。
(名前ですらない、ひどい名だな。まあ『先生』のように役職らしき名前はあるが…)
名簿にそこまでの期待をしても仕方がない。
話が逸れるが、先祖である勇者ロトは、自分とは異なり冒険に仲間がいたらしい。
ただ仲間がいたことしか、彼は知らない。名前や役職、どのような性格の持ち主か、そういったことは文献には正確に記されてなかった。
名簿にしろ記録にしろ、名前を記した媒体など、所詮はどの世界も適当に出来ている。その程度のものだと割り切った。
話が逸れるが、先祖である勇者ロトは、自分とは異なり冒険に仲間がいたらしい。
ただ仲間がいたことしか、彼は知らない。名前や役職、どのような性格の持ち主か、そういったことは文献には正確に記されてなかった。
名簿にしろ記録にしろ、名前を記した媒体など、所詮はどの世界も適当に出来ている。その程度のものだと割り切った。
(最早どうでもいいことか。)
勇者であることを捨てられた。
その証明になったことが、彼に高揚感をもたらした。
その証明になったことが、彼に高揚感をもたらした。
(さて。この辺りには誰もいないみたいだが、どうするかだな……)
優勝を目指すが、全力で殺しを行うつもりはない。
参加者がここまで多い殺し合いだというなら猶更だ。
1対1の戦いに引けを取るつもりはないが、さすがに100人以上を皆殺しにするには骨が折れる。
だが、それをしないとすると、何をすればいいのか。
ラルス16世からはした金と粗末な道具を渡されて以降、常に自分の目の前には課せられた課題があった。
鬱陶しいと思っていたそれも、無くなってしまえば、どうすれば良いのか分からなくなる。
魔物たちさながらに、破壊を楽しもうにも、ここまで広大な会場だとそれも一苦労だ。
参加者がここまで多い殺し合いだというなら猶更だ。
1対1の戦いに引けを取るつもりはないが、さすがに100人以上を皆殺しにするには骨が折れる。
だが、それをしないとすると、何をすればいいのか。
ラルス16世からはした金と粗末な道具を渡されて以降、常に自分の目の前には課せられた課題があった。
鬱陶しいと思っていたそれも、無くなってしまえば、どうすれば良いのか分からなくなる。
魔物たちさながらに、破壊を楽しもうにも、ここまで広大な会場だとそれも一苦労だ。
(そうだ。もう一つ俺を縛っていたモノを壊すとするか。)
辺りをもう一度確認し、誰もいないと分かると、すぐに兜を外した。
「ギラ」
2本の角が生えた兜を地面に投げ捨てると、炎の魔法を放つ。
彼のトレードマークとなっていた頭装備は、白銀の炎に包まれ、すぐに燃えてなくなった。
鎧、脛あて、小手なども同じように燃やされていく。
愛する者、名前、そして元の格好と、彼を勇者付けた物が次々と消えていく。いや、消されていくと言った方が正解か。
本当はロトの防具を壊したかったが、この場にないのなら仕方がない。
彼のトレードマークとなっていた頭装備は、白銀の炎に包まれ、すぐに燃えてなくなった。
鎧、脛あて、小手なども同じように燃やされていく。
愛する者、名前、そして元の格好と、彼を勇者付けた物が次々と消えていく。いや、消されていくと言った方が正解か。
本当はロトの防具を壊したかったが、この場にないのなら仕方がない。
(なんともあっけない…ラダトームの奴ら、仮にも魔王を倒してもらおうとする人間に、よくこんなものを渡したな。)
ラダトームは元々、地方の町や村に比べても、売られている武具がお粗末なものばかりだった。
だが、その中でも彼がつけていた鎧は、布の服と大差ない防御力しか無かった。
そのまま鎧の下にあった山吹色のボディスーツも脱ぎ、鍛えた肉体が露わになる。
最後の下着も脱ぎ捨てようと思ったが、さすがにそこまではしなかった。
だが、その中でも彼がつけていた鎧は、布の服と大差ない防御力しか無かった。
そのまま鎧の下にあった山吹色のボディスーツも脱ぎ、鍛えた肉体が露わになる。
最後の下着も脱ぎ捨てようと思ったが、さすがにそこまではしなかった。
(最低限の下着ぐらいは捨てないでおくべきか。
身の守りが上がる下着が支給されていればな……ついでに敵からの魔法の耐性が上がったり…
あるわけないかそんな都合の良い物)
身の守りが上がる下着が支給されていればな……ついでに敵からの魔法の耐性が上がったり…
あるわけないかそんな都合の良い物)
自分を自分付ける防具を燃やしたのは良い。
別に文字通り裸一貫で戦うつもりはないので、別の防具は無いのかと支給品を漁ってみる。
最初に出てきた道具が破壊の剣で、それを出してからは確認を怠っていた。
支給品袋をひっくり返すと、出てきたのは一つの覆面、そしてグローブとマントのついたボディスーツのようなもの。
どちらも金色をベースとしており、マントと覆面にはイナズマを模した赤いラインが走っている。
別に文字通り裸一貫で戦うつもりはないので、別の防具は無いのかと支給品を漁ってみる。
最初に出てきた道具が破壊の剣で、それを出してからは確認を怠っていた。
支給品袋をひっくり返すと、出てきたのは一つの覆面、そしてグローブとマントのついたボディスーツのようなもの。
どちらも金色をベースとしており、マントと覆面にはイナズマを模した赤いラインが走っている。
(稲妻…勇者の雷と何か関係あるのか?)
雷と言うのは、彼の世界にとっては正義のシンボルだった。彼の先祖ロトが雷の魔法を使っていたという伝承がある。
尤も、彼が使えたのはベギラマという、その雷に似せた炎と閃光の魔法だったので、半信半疑だったが。
何にせよ、彼にとって見慣れたデザインではなかった。だが、アレフガルドと縁を切った機に、着けてみるのも一興かと考えた。
その前に、支給品に付いてある説明書を読む。
尤も、彼が使えたのはベギラマという、その雷に似せた炎と閃光の魔法だったので、半信半疑だったが。
何にせよ、彼にとって見慣れたデザインではなかった。だが、アレフガルドと縁を切った機に、着けてみるのも一興かと考えた。
その前に、支給品に付いてある説明書を読む。
(…呪血の忍者兄弟(にんじゃブラザーズ)弟、邪樹右龍の忍装束?呪われていないよな?)
支給品名に『邪』やら『龍』やら『呪血』やら不吉な文字が書かれていたため、呪われている装備なのかと訝しむ。
彼にとって、呪いのベルトや、死の首飾りといった呪われた装備をつけてしまうことは、死活問題に繋がる。
もし彼に解呪魔法を使えたら、あるいはそれが使える仲間が同行していれば変わったかもしれないが、どちらも無かった。
万が一その状態で敵に負ければ、城に戻され、『しんでしまうとはなさけない』と詰られた挙句、呪われし者として追い出される。
どこへ行けば呪いを解けるのか分からないこの世界なら、猶更警戒しなければならない。
最初に見つけた破壊の剣も呪われているが、『魔族の王のような、悪に与する者は金縛りに遭わずに使える』と書かれていたため、装備することを選べた。
だが、全く分からない支給品が、ハズレの支給品という可能性も十分にある。
彼にとって、呪いのベルトや、死の首飾りといった呪われた装備をつけてしまうことは、死活問題に繋がる。
もし彼に解呪魔法を使えたら、あるいはそれが使える仲間が同行していれば変わったかもしれないが、どちらも無かった。
万が一その状態で敵に負ければ、城に戻され、『しんでしまうとはなさけない』と詰られた挙句、呪われし者として追い出される。
どこへ行けば呪いを解けるのか分からないこの世界なら、猶更警戒しなければならない。
最初に見つけた破壊の剣も呪われているが、『魔族の王のような、悪に与する者は金縛りに遭わずに使える』と書かれていたため、装備することを選べた。
だが、全く分からない支給品が、ハズレの支給品という可能性も十分にある。
(……呪いはかけられていないのか。しかし『忍者』とは何だ?)
最初に彼が思い至ったのは、勇者ロトの仲間だ。
彼は文献で読んだだけだが、ロトには仲間がいたというだけで、どのような仲間がいたのかは終ぞ分からなかった。
ある文献では勇者の仲間に、戦士、僧侶、魔法使いの3人がいたと記されていた。
しかし、別の文献には武道家、賢者、遊び人の3人全く違う職業の仲間がいたと記されていた。
最近になって、怪物たちを手なずけた『魔物使い』が仲間にいたという記録が、発見されたらしい。
そもそも勇者の性別さえ不確定なもので、確実に伝わっている内容は、異世界からやってきた勇者ロトが魔王を倒し、アレフガルドに光を取り戻したことぐらいだ。
話が逸れたが、『忍者』とやらが勇者ロトの仲間の職業であっても、おかしくはない。
彼は文献で読んだだけだが、ロトには仲間がいたというだけで、どのような仲間がいたのかは終ぞ分からなかった。
ある文献では勇者の仲間に、戦士、僧侶、魔法使いの3人がいたと記されていた。
しかし、別の文献には武道家、賢者、遊び人の3人全く違う職業の仲間がいたと記されていた。
最近になって、怪物たちを手なずけた『魔物使い』が仲間にいたという記録が、発見されたらしい。
そもそも勇者の性別さえ不確定なもので、確実に伝わっている内容は、異世界からやってきた勇者ロトが魔王を倒し、アレフガルドに光を取り戻したことぐらいだ。
話が逸れたが、『忍者』とやらが勇者ロトの仲間の職業であっても、おかしくはない。
(考えても仕方ないか…もしかすれば、この世界で会えるかもしれん。)
忍装束に袖を通してみると、すぐに分かった。
この装備は、極めて戦い向きであると。冒険の途中に様々な防具を身に着けた彼が理解するのに、時間はさほど要さなかった。
頑丈さはロトの鎧や魔法の鎧に劣るが、頑丈な生地で出来ており、その上何も着けていないかのように動きやすい。
おまけに伸縮性もあり、最初見た時は大きすぎたかと思ったが、こうして着てみればそれほど違和感を覚えない。
最初はイロモノかと思ったが、明らかに芝居用の衣装ではなく、戦う者に適した作りになっている。
邪樹右龍という忍者も、相応の力を持った者だと考えるのが妥当だ。
もし戦うとするなら、それなりに手間がかかる相手かもしれない。
どの道、殺すか別の参加者に殺されるのだから関係ないが。
この装備は、極めて戦い向きであると。冒険の途中に様々な防具を身に着けた彼が理解するのに、時間はさほど要さなかった。
頑丈さはロトの鎧や魔法の鎧に劣るが、頑丈な生地で出来ており、その上何も着けていないかのように動きやすい。
おまけに伸縮性もあり、最初見た時は大きすぎたかと思ったが、こうして着てみればそれほど違和感を覚えない。
最初はイロモノかと思ったが、明らかに芝居用の衣装ではなく、戦う者に適した作りになっている。
邪樹右龍という忍者も、相応の力を持った者だと考えるのが妥当だ。
もし戦うとするなら、それなりに手間がかかる相手かもしれない。
どの道、殺すか別の参加者に殺されるのだから関係ないが。
(さて。折角新しい防具も手に入ったし。そろそろ行くか。ついでに拠点も欲しい。)
姿を変え、勇者だった何かは行く。
勇者だった煤を残して。
勇者だった煤を残して。
【エリアD-6/9月2日午前6時】
【やみのせんし@ドラゴンクエスト】
状態:高揚感 『忍者』に興味(小)
服装:邪樹右龍の忍装束姿(覆面+マント)
装備:はかいの剣@ドラゴンクエストIII 邪樹右龍の忍装束@忍者と極道
令呪:残り三画
道具:なし
思考
基本:当然殺し合いに乗る
01:とにかく壊すことを楽しむ。しかし、どこから壊すべきか
02:まずは拠点を探すか。悪の道に進むというのなら、小さい物でも居城がなければ味気ない。
03:忍者?聞いたことの無い名前だが、恐らく強い者なのだろうな。
参戦時期:竜王の誘いに乗った後
状態:高揚感 『忍者』に興味(小)
服装:邪樹右龍の忍装束姿(覆面+マント)
装備:はかいの剣@ドラゴンクエストIII 邪樹右龍の忍装束@忍者と極道
令呪:残り三画
道具:なし
思考
基本:当然殺し合いに乗る
01:とにかく壊すことを楽しむ。しかし、どこから壊すべきか
02:まずは拠点を探すか。悪の道に進むというのなら、小さい物でも居城がなければ味気ない。
03:忍者?聞いたことの無い名前だが、恐らく強い者なのだろうな。
参戦時期:竜王の誘いに乗った後
【支給品紹介】
- 邪樹右龍の忍装束@忍者と極道
やみのせんしに支給された服。帝都八忍の1人、邪樹右龍が極道との戦いの際に着こなす衣装(コスチューム)
稲妻模様の赤い線(ライン)が走った金色の覆面と、米漫画(アメコミ)のヒーローを彷彿とさせる赤マント、黒いグローブと金のボディスーツが印象的
これを着ていた邪樹右龍は、帝都八忍の中でも一番の巨体の持ち主だが、装束特有の伸縮性もあり、他の者が着けるのにも問題はない。
大柄なキャラの装備を小柄なキャラが使いまわせるのはRPGではよくあることだしな。
稲妻模様の赤い線(ライン)が走った金色の覆面と、米漫画(アメコミ)のヒーローを彷彿とさせる赤マント、黒いグローブと金のボディスーツが印象的
これを着ていた邪樹右龍は、帝都八忍の中でも一番の巨体の持ち主だが、装束特有の伸縮性もあり、他の者が着けるのにも問題はない。
大柄なキャラの装備を小柄なキャラが使いまわせるのはRPGではよくあることだしな。
033:立ってアタシのヒーロー | 投下順 | 035:■を為す女ー外道賛歌 |
時系列順 | 040:信-Lost Essence- | |
候補作090:一体誰が、それを正史と呼んだ? | やみのせんし | 038:セカイ ノ ハンブン |