31代目スレ 2010/4/7
ルサイケは珍しく走っていた。
ルサイケはあんまり走るのが得意じゃない。息がはーはーと乱れる。それでも走らない
といけないのだ。
なぜかというと、
ルサイケんちでやってる神社で封印されていた
ラルヴァがまた逃げ出
したからだ。ラルヴァを放置しておくと、
OG町のショタっ子が赤毛になって恥ずかしい
セリフを連発することになる。だからなんだよっていわれると、うぅんっと首をかしげざ
るを得ないけど、とにかくルサイケはケイサル神社の一人娘としてラルヴァの野望は
絶対阻止の構えなのだ。
「うわぁぁぁっ!」
路地の向こうから叫び声が聞こえた。ルサイケは慌てて曲がり角を曲がった。
でも、次の瞬間聞こえてきたのはラルヴァの絶叫だった。
『我が精神支配をはね除けるとは、お主、何者だ!?』
「おれは紗駆! 稲葉駆の息子だぁっ!」
ラルヴァの精神体と対峙していたのは、10歳前後の男の子だった。まだ肌寒いというの
に半袖半ズボンで、肩の上に身長ほどもある大きな剣を担いでいた。女の子みたいな顔を
しているわりに、ほっぺや膝小僧には活発そうな向こう傷があった。
「ラルヴァめ! 何回蘇ったって、このおれが封印してやるぞ、確実にな!」
『ファファファファファ、愚かなり稲葉の血族!』
取り憑けないと判断したのか、ラルヴァはすいっと上空に上がってその場を立ち去ろう
とする。
「あっ、くそっ!」
紗駆くんは、さすがに空を飛ぶことは出来ないらしい。悔しそうにラルヴァの姿を見上げる。
やれやれ、しょうがないなあ。ルサイケは両手でむんっと印を結んだ、ルサイケ忍法
の発動だ。
ひゅ~どろどろどろ。ルサイケは三面六臂のルサイケ精神体となって空に昇った。
『ぬぅっ、ケイサルの分身めっ!』
ルサイケは6本の腕でもってラルヴァの両手両足を捕らえた。さらに脚を伸ばして
首をロックする。アルティメット・ルサイケバスターの完成だ。
ばしぃん。完璧に決まったバスター技を返すことなんて出来るはずがない。ラルヴァ
精神体が真っ逆さまに地面に激突する。
ルサイケはまたむにゃむにゃと呪文を唱えてラルヴァをケイサル神社に封印した。
「すっげー」
紗駆くんが口をあんぐり開けて感心していた。
「お姉ちゃん、なんていうの?」
ルサイケだよ、と答えると、紗駆くんは「ルサイケお姉ちゃん」と口にしながら
何度も頷いた。
ルサイケは、またOG町に変な子供が増えたなあと思った。
ゼラド「あれ、ルサイケちゃん、その子、誰?」
ルサイケ「・・・・・・」
紗駆「おれは稲葉紗駆! 稲葉駆の息子だ!」
ゼラド「へえ、稲葉さんの」
紗駆「そして、ルサイケお姉ちゃんの弟子だぁー!」
ゼラド「へえ、そうなんだ」
ルサイケ「・・・・・・」ブンブン
紗駆「ルサイケお姉ちゃんに弟子入りして、
『アルティメットルサイケバスター』を会得するんだ、確実にな!」
ゼラド「それは偉いねえ」
ルサイケ「・・・・・・」
紗駆「『アルティメットルサイケバスター』は腕が6本ないとダメだから?
腕2本だと、ただのアルティメットスカーバスターになる?
お姉ちゃん、そんなこといわないでよ」
ルサイケ「・・・・・・」ブンブン
ゼラド「それにしてもこの子、可愛いねえ、女の子みたいな顔してる!」
紗駆「やめろよ! おれは男だ、確実にな!」
ゼラド「うちのアオラなんて、すっかり可愛くなくなっちゃって」
紗駆「やめろよー、もふもふするなよー」
最終更新:2010年12月23日 13:51