31代目スレ 2010/5/2
【
アギラのたばこ屋さん】
アギラ「フェフェフェフェフェ、最近も稼いどるようじゃの」
マーズ「ひっひっひ、なーに、アギラばーさんのよーな金主さんがいるからよ」
アギラ「儲けさせてもらっとるんはこっちじゃ。感謝しとるよ」
マーズ「めっそーもねーや」
アギラ「じゃ、今回は4000万の入り用じゃったな」
マーズ「あいよ、ありがとさん」
アギラ「なーに、こっちも月2割の利息が入るからの」
マーズ「アギラばーさんにゃー、長生きしてもらわねーと」
アギラ「フェフェフェ、ああ、そうじゃ。マーズちゃんに見てもらいたいもんがあったんじゃ」
マーズ「不動産登記簿謄本と、権利書かい」
アギラ「OGゴルフ場に隣接する条件のいい土地じゃそうでな、
安う見ても8000万はくだらないそうじゃ」
マーズ「ふーん」
アギラ「この権利書をワシが4000万で買い取ったら、
2ヶ月後には5000万で買い戻すといわれたんじゃが」
マーズ「2ヶ月で1000万の儲けかい。なーんか、うさんくせーな」
アギラ「向こうのいうことには、登記簿謄本をよく見て欲しいそうじゃ。
現在は抹消されとるが、OG銀行から1億の抵当権が設定されとるじゃろ?
つまり銀行がこの土地で1億貸したっちゅうことじゃ」
マーズ「う~ん、銀行がねえ」
アギラ「お堅いOG銀行が認めとるんじゃ。これは安心じゃと思ったんじゃが」
マーズ「どーかしたのかい」
アギラ「2ヶ月で買い戻すといったのが、3ヶ月経っても音沙汰がないんじゃ」
マーズ「なーんか心配だな。
うっし、ちょっと行って土地の現物見てきてやんよ」
アギラ「すまんのう。この歳になると、遠出もキツいで」
【OGゴルフ場】
マーズ「う~ん、OGゴルフ場に隣接してるって話だったけど」
パーン
ミツハル「ナイッショ。見てたかい、寧々さん」
DS「・・・・・・」
マーズ「あっ、DS片手にコースまわってるキモいミツハルさんだ。おーい」
ミツハル「キモくない、キモくないぞ。
たしかに僕はラブプラス+片手に全国をまわり、DSステーションにアクセスして
ご当地ラブプラスの入手に余念がないけれど、断じてキモくないぞ。
愛だよ、愛。
ああ、寧々さん、どんな三次元女でも、君には1ピクセルも及ばないよ」
マーズ「おれDS出身だけど、そこまでDSに愛ソソげねーよ」
ミツハル「こんなところになんの用だい。
まさか君もゴルフないしラブプラス+をやるんじゃないだろうね」
マーズ「スポーツにもラブプラス+にもキョーミねーや。
ねーねーそれより、この登記簿謄本になる土地を探してるんだけどー」
ミツハル「なにいってるんだい、すぐそこにあるじゃないか」
マーズ「なんだぁ~!?」
ミツハル「そこの山の一角がそうだよ」
【アギラのたばこ屋さん】
マーズ「やられたぜアギラばーさん!
ありゃー、坪千円もしねー山林だーっ!」
アギラ「なんじゃって! あの土地には銀行が1億も抵当を付けておったんじゃよ?」
マーズ「銀行はカナラズしも土地の評価にあった金額を抵当権として設定するたぁー限らねーんだ。
たとえ二束三文の土地であっても、取り引きする会社に信用があったら、
銀行は1億でも2億でも貸すんだよーっ!」
アギラ「なんじゃって!?」
マーズ「銀行からしてみりゃー、カネを貸さねーことにゃー商売になんねーかんね。
だから抵当権設定金額は会社の信用度を測るモノサシにゃーなっけど、
土地そのものの評価にゃーなんねーんだ」
アギラ「じゃあ、ワシに土地を売りつけた会社が、それだけ信用あったということかの」
マーズ「や、そーとも限らねーよ。
たぶん、信用を持ってた会社の所有してた山林を二束三文で買ってきたんだ。
相手の欲しかったのは土地じゃない。
登記簿謄本に付いてた抵当権設定金額のアトなんだ。
抵当権が設定されてる土地は法務局で登記簿を片っ端から閲覧すりゃーわかることだからねー」
アギラ「そうするとワシは、この紙切れを4000万で買い取ったことになるのか」
マーズ「まー、そういうことになんね」
バンッ
アギラ「冗談じゃない! ワシとて、かつては悪の科学者と呼ばれたババアじゃ!
このまま泣き寝入りはせんぞ!」
マーズ「うっし、その意気だよ!」
アギラ「手伝ってくれるかの、マーズちゃん!」
マーズ「アタリキよ!」
【貸事務所】
マーズ「う~ん、さすがに、名刺にあった事務所はモヌケのカラかぁ~。
さぁ~て、どっから追い込みかけてやっか」
PuLuLuLuLuLu
マーズ「あいよ、こちらマーズ」
アギラ「マーズちゃん、大変なんじゃ!」
【アギラのたばこ屋さん】
デスブラック獣人ガルシア「申し訳ありませんでしたぁ~!」
アギラ「よくもまあ、ワシの前にヌケヌケと顔を出せたもんじゃな!」
デスブラック獣人ガルシア「何遍お詫びしても足りません!」
アギラ「そこで待っておれ! すぐにアースクレイドルに埋めてやる!」
デスブラック獣人ガルシア「待ってください、あの土地は、実は私も騙されたわけで」
アギラ「なんじゃと」
デスブラック獣人ガルシア「はい、銀行の抵当権が付いてたものだから、つい信じてしまって」
アギラ「では、二束三文の土地じゃと知らんでワシに売りつけたのか?」
デスブラック獣人ガルシア「ええ、事業の資金繰りに追われて、実際の土地を見る前に」
アギラ「調子のいいことを抜かすな、この詐欺師め!」
デスブラック獣人ガルシア「待ってください!
私が詐欺師なら、こうやってノコノコとアギラさんの前に出てくるでしょうか!?」
アギラ「ヌ?」
デスブラック獣人ガルシア「私は、アギラさんにおカネを返しに来たんです!」
アギラ「なんじゃとぉ~」
デスブラック獣人ガルシア「今度は間違いなく儲けられる土地をアギラさんにお売りします!」
アギラ「またワシに二束三文の土地を売りつけるつもりか!」
デスブラック獣人ガルシア「今度こそ、今度こそ大丈夫ですから!」
アギラ「フン、土地は、実際に見せてもらうぞい」
【駅前】
アギラ「ほう、駅から近いし、またとない一等地じゃ」
デスブラック獣人ガルシア「正味150坪、このへんは大体200万で取り引きされています」
アギラ「フム、そんなところじゃのう」
デスブラック獣人ガルシア「どうです、1坪100万、しめて1億5000万で」
アギラ「100万でエエのか!?」
デスブラック獣人ガルシア「4000万のお詫びです。
このたびはアギラさんにしこたま儲けていただきませんと」
アギラ「書類は?」
デスブラック獣人ガルシア「はい、権利書と所有者の印鑑証明、
それから所有者の白紙委任状です」
アギラ「フム、住所も坪数も合っておる。間違いはなさそうじゃ」
【アギラのタバコ屋さん】
マーズ「ふぇっ!? それで、土地買っちゃったの!?」
アギラ「フェフェフェフェ、4000万の損失じゃったが、
これでしめて1億1000万の儲けじゃ」
マーズ「でもアギラばーさん、どーやってデスブラック獣人ガルシアの居場所突き止めたの」
アギラ「フェフェフェ、あいつの方から出向いて来おったよ」
マーズ「う~ん」
アギラ「ほれ、書類は全部揃っとる。なんも心配なかろ?」
マーズ「土地の名義変更はしたのかい?」
アギラ「それは、これからするとこじゃが」
マーズ「なら、一緒に司法書士のとこに行ってもらおーか!」
【司法書士事務所】
司法書士「この土地は名義変更できませんよ」
アギラ「なんじゃと!?」
司法書士「この土地は既に別の第三者名義に変更されています」
アギラ「そんなバカな!
なら、この権利書に書いてある名義人とは違うヤツの持ち物になっとるということか!」
司法書士「そうです」
アギラ「それはおかしい! 権利書はここにあるんじゃぞ!
なんで別のヤツが名義変更が出来るんじゃ!」
マーズ「アギラばーさん、見事に引っかかっちまったよーだね」
アギラ「なんじゃと」
マーズ「実はねー、土地名義の変更は、権利書がなくても出来るんだよ」
アギラ「そんなバカな!」
マーズ「おなじ登記所に土地建物なんかの登記がある2名以上が保証し、
その保証書を申請書に添えるだけで権利書がなくても登記が出来るんだよ!
権利書なくしちゃうひともいるから、そのための法律なんだけどね」
司法書士「お気の毒ですが」
アギラ「そんな、ワシはどうしたらいいんじゃ」
マーズ「どーもこーも、おなじ詐欺師に2度も引っかかるなんざー、目も当てらんねーよ」
アギラ「そんな、そんな・・・・・・。
ワシは、ただ、昔アラドたちに迷惑かけたぶん、ゼラドたちにはカネを残そうと」
マーズ「う~」
アギラ「結局、欲の皮を突っ張らせすぎたワシがいかんのか」
マーズ「オイオイ、かつて新人類を作ろーとまでしたアギラばーさんが、なに弱音吐いてんだよ」
アギラ「フェッ?」
マーズ「アギラばーさんがおれの金主だってこたぁーみんな知ってんだ。
このまま引き下がったら、おれの名前がすたらぁー」
アギラ「でも、どうしたら」
マーズ「ゼニの花は赤いってこと、教えてらぁーっ!」
【ファミレス】
マーズ「いーかいばーさん、
2回引っかかったあんたは、すでにちょろいカモとしてマークされてらぁー。
つまり、デスブラック獣人ガルシアはカナラずまたばーさんとこに来る!」
アギラ「2回引っかけておいて、また来るというんか」
マーズ「あー、おなじカモからは骨の髄までしゃぶりつくすのが詐欺師だかんね」
アギラ「来たら、どうする」
マーズ「土地契約に絡めて、落としてやんよ」
アギラ「まさか! ヤツはプロの詐欺師じゃぞ!
土地契約絡みで沈めるなど・・・・・・!」
マーズ「おれのまわりで、二度とおなじことされちゃかなわねーや。
このおれのおっかなさを、たっぷり教えてやんねーとな!」
【アギラのたばこ屋さん】
デスブラック獣人ガルシア「先日はお世話になりました」
アギラ「ウム」
デスブラック獣人ガルシア「で、登記の方はもうお済みになりましたか?」
アギラ「いや、まだじゃが」
デスブラック獣人ガルシア「そうですか」
アギラ(よし、こやつ、まだワシが詐欺に気付いとらんと思っておるな)
アギラ「ところで、ワシの方からあんたに預かってもらいたい土地があるんじゃが」
デスブラック獣人ガルシア「は?」
アギラ「これが登記簿謄本じゃ。
OG学園そばの一等地、坪60万で700坪、総額4億2000万の土地なんじゃが」
デスブラック獣人ガルシア「しかし、この土地にはイスルギ銀行を債務者として
手形貸付契約による極度額が1億5000万と設定されていますね」
アギラ「そこじゃ。
その1億5000万が払えんばっかりに、この土地が競売にかけられそうになっとるんじゃ。
4億以上の土地を1億5000万で手放すバカはおらんじゃろう?
そこでじゃ、デスブラック獣人ガルシア、この土地、2億で買ってくれんじゃろうか」
デスブラック獣人ガルシア「2億?」
アギラ「4億以上の土地が2億で買えるんじゃぞ。
ワシの手元にも5000万のカネが残る。
悪い話じゃないじゃろう?」
デスブラック獣人ガルシア「ふぅむ」
アギラ「どうじゃろ」
デスブラック獣人ガルシア「では、土地を見せてもらいましょう」
【OG学園前】
デスブラック獣人ガルシア「ふむ、ここなら坪60万はしますね」
アギラ「では?」
デスブラック獣人ガルシア「銀行に電話してきます」
電話『その土地でしたら、たしかに1億5000万で競売の申立をしようとしております』
デスブラック獣人ガルシア「わかりました。土地は買わしてもらいます」
アギラ「本当かの!」
デスブラック獣人ガルシア「ただし、2億は銀行で抵当を抜くときに渡します。
その後も所有権の移転登記をするときにはアギラさんにいらしていただきますが、
よろしいですか?」
アギラ「ウ、ウム・・・・・・」
【銀行】
デスブラック獣人ガルシア「では、2億です」
アギラ「では、これが1億5000万の約束手形と、公正証書じゃ。
フェフェフェフェ、これで抵当が抜けて、銀行は競売申し立てを取り下げるそうじゃ」
デスブラック獣人ガルシア「たしかに」
アギラ「では、次は登記所じゃな」
【数日後、イスルギ銀行】
デスブラック獣人ガルシア「私の土地に3億の抵当権とはどういうことだ!」
ミツハル「どうもこうも、その書状に書いてあるとおりです」
デスブラック獣人ガルシア「バカな!
ここに1億5000万の約束手形も公正証書もあるんだぞ!
カネは払ったんだから抵当権は消えているはずじゃないか!」
ミツハル「いえ、その1億5000万とは別口で3億の約束手形があるんですよ。
そっちも払ってもらえないと、根抵当は消えませんよ」
デスブラック獣人ガルシア「登記簿には極度額1億5000万と書いてあるじゃないか!
それだけ払えば抵当権が消えるんじゃないのか!」
ミツハル「ははあ、そう誤解されるのは無理ないんですけどね。
極度額っていうのは債権額を表してるものじゃないんですよ。
将来、決算期が来て競売された場合に債権があっても、
その極度額の範囲でしか弁済を受けられないという意味なんですよね。
つまり、借金が極度額を上まわっている場合、
たとえ極度額だけ返してもらっても、それは土地の額が減るだけのことで、
抵当権は元のままで少しも変わりませんので」
デスブラック獣人ガルシア「そんな」
ミツハル「で、どうするんです? 3億払うんですか?
払えないんだったら、この土地、競売にまわさせてもらいますが」
デスブラック獣人ガルシア「そんな、バカな、私が、2億もむしり取られるなんて」
ミツハル「ははぁ、あははは、どうやらお宅、厄介なのに土地つかまされちゃったようですね。
悪いこといわないから、早くこの街からお逃げなさい。
でないと、骨までしゃぶられますよ」
デスブラック獣人ガルシア「ヒッ」
【アギラのたばこ屋さん】
アギラ「スマンのう、ワシのために」
マーズ「べっ、べつに、ばーさんのためじゃねーや。
おれのナワバリで勝手な真似されると、おれが困るってだけさっ」
アギラ「なにかお駄賃あげようね」
マーズ「だーかーらー! アギラばーさんはおれの金主なわけで!
この上なんかしてもらったとあっちゃー、
おれがレギュレイトおばーちゃんに叱ららぁー!」
アギラ「ほらっ、これじゃ。アオラが小さいころ使ってたものなんじゃが」
【マーズの事務所】
マーズ「屋根よーりーたーかーい」
ラーナ「あら、どうしたんですか、そのコイノボリ」
マーズ「べっつにー」
最終更新:2010年12月23日 13:54