ブラックウィドウ Black Widow / ナタリア"ナターシャ"・ロマノフ Natalia Romanova
初出:Tales of Suspense #52(1964年4月)
人種:人間(人為的な強化人間)、ソビエト連邦出身
概要
マーベル・ユニバースにおける世界最高のスパイであり、変装の名人。
1959年に
アイアンマンに対するヴィランとして初登場。ソ連のスパイで、このときはまさに「ウィドウ=未亡人」といったコスチュームだった。
やがてアメリカのヒーローとなり、フリーエージェントとして
S.H.I.E.L.D.や
アベンジャーズの任務を助けるようになる。
(BLACK WIDOW #1 2004年)
初期の任務
初登場時の任務は、ソ連を裏切った
クリムゾン・ダイナモを暗殺し、アイアンマンことトニー・スタークが発明した兵器を盗むことだった。
続いてTales of Suspense #57に登場。今度は弓の名人・
ホークアイをたぶらかし、またもトニーの発明を狙う。
1966年にはAvengers#29に登場。洗脳された上にコスチュームとハイテク兵器を与えられ、アベンジャーズに対抗する。しかし先にアベンジャーズの仲間となったホークアイへの愛情から洗脳が解けると、アメリカ合衆国に亡命しチームの協力者になった。こうしてスーパーヒロインとしての活動が始まる。
(初登場時のブラックウィドウ :Tales of Suspense #52、1964年)
オリジンと経歴
ナタリア"ナターシャ”ロマノフは1928年に生まれた。戦火に燃えるスターリングラードのビルで孤立していたところを、ソ連軍の兵士、イワン・ペトロビッチ・ベズクノフに救出される。1930年代の終わりにはソ連諜報部すなわちKGBのスパイとして訓練を受けはじめた。
その後、設定が変更され、彼女を訓練したのはイワンだけではなく、「レッドルーム」というKGBの施設ということになった。ここでナターシャは女潜伏スパイチームを養成するブラックウィドウ・プログラムの一員となる。
このとき、バイオテクノロジーとサイコテクノロジーによって強化され、若さを保つ体となった。ここではウィンターソルジャー(
キャプテン・アメリカの元相棒
バッキー)のトレーニングを受け、本当の職業を隠すためバレリーナの練習生をしていた。
ナターシャはソ連では有名なテストパイロットのアレク・ショスタコフと結婚した。結婚の数年後、KGBはロケットのテストでアレクの死を偽装し、ナターシャは文字通り「未亡人」となった。実はアレクは生きていて、秘密裏にスーパーソルジャー
レッドガーディアンとなった。ナターシャはレッドルームアカデミーでトレーニングを続け、最終的にブラック・ウィドウの名を受けた。
能力
訓練によって身につけた能力。諜報技術、世界レベルの体操選手並の身体能力、あらゆる格闘技、狙撃、兵器類の扱い。
バレリーナとしても一流である。
またソ連の科学者が開発した数々の武器、後にはS.H.I.E.L.D.が開発した武器類を両手首のリストバンドに仕込んでいる。
"Widow's Bite" 3万ボルトの電撃を放つ。
"Widow's line"フックつきロープ。
"Widow's Kiss"スプレー状の気絶ガス。
催涙ガスを仕込んだ小球。
ベルトにはディスク状のプラスティック爆弾を仕込んでいる。
コスチュームの指や足にはマイクロ吸盤を備え、壁や天井に張り付くことができる。
また肉体を強化されたため、老化や病気に耐性があり、人並み以上の回復力がある。
実写映画でのブラックウィドウ
映画では2010年公開の「
アイアンマン2」に登場。スカーレット・ヨハンソンが好演を見せた。
アメリカでも好評だったらしく、ブラックウィドウを主役とした単独スピンオフ作品も企画されている。
設定はS.H.I.E.L.D.所属のスパイで
ニック・フューリーの部下ということになっている。
2012年公開の
アベンジャーズではチームメンバーの一人として登場。
映画ではまだ描かれていない過去を匂わせる発言もみられた。
二代目ブラックウィドウ / エレーナ・ベロワ Yelena Belova
ソ連崩壊後のロシアで、初代ブラックウィドウのナターシャと同じ教師が訓練した。師のピョートル・ヴァジリヴィッヒ・スタロコフスキーが死去すると、ブラック・ウィドウとして活動を始めた。
初代は赤毛で、二代目は金髪。
ちなみに、現実世界には同名の毒蜘蛛”black widow spider”が存在する。和名はクロゴケグモで、ゴケ=後家(未亡人)であり、漢字で表記するならば黒後家、つまりブラックウィドウの直訳となっている。これは一時期日本での繁殖が確認されニュースにもなったセアカゴケグモと同類で、人を殺すほど強力な毒を持っている。交尾の後、カマキリのようにメスがオスを捕食するためこのような名で呼ばれている。
キャラクターのブラックウィドウのシンボルとしてカバーアートなどに描かれることもある。