これから先、訪れるであろう全て ◆ew5bR2RQj.
「ふぅ……山登りは疲れるねぇ」
ルパンの放った軽口が、草木が鬱蒼と生い茂る深夜の山に響き渡る。
会場の四分の一を占める山林部は、舗装されていない斜面に加え、
夜闇という視界の悪さがあり、二人の体力を確実に消耗させていた。
が、彼らは息一つ乱さず、数時間前から一定の速度を保ちながら進んでいた。
会場の四分の一を占める山林部は、舗装されていない斜面に加え、
夜闇という視界の悪さがあり、二人の体力を確実に消耗させていた。
が、彼らは息一つ乱さず、数時間前から一定の速度を保ちながら進んでいた。
(この程度の山道、俺様にとっては楽勝なのは当たり前だけどよぉ……この坊主もやるなぁ)
自らの前を進む月に視線を配りながら、心中でそう呟く。
ルパンの職業は世界を股にかける大泥棒であり、これよりも過酷な状況を何度も潜り抜けてきた。
むしろ深夜の山道程度で疲弊してしまうのであれば、とっくの昔に銭形警部によって監獄送りになっていただろう。
ルパンの職業は世界を股にかける大泥棒であり、これよりも過酷な状況を何度も潜り抜けてきた。
むしろ深夜の山道程度で疲弊してしまうのであれば、とっくの昔に銭形警部によって監獄送りになっていただろう。
しかし月はルパンとは違い、銃すらまともに握れない普通の人間なのだ。
標準より優れた運動能力を持つ男子高校生でも、数時間登山を続ければ確実に息を切らす。
にも関わらず、月は額に汗を浮かべるだけで、平然と歩き続けていた。
標準より優れた運動能力を持つ男子高校生でも、数時間登山を続ければ確実に息を切らす。
にも関わらず、月は額に汗を浮かべるだけで、平然と歩き続けていた。
(ただ歩くだけってのもつまらんなぁ、本当はかわいこちゃんと話したいけど……坊主で満足するしかねぇか
それに……そろそろアレの答えも聞いておかなきゃならんしな、答えはわかりきってるけど)
それに……そろそろアレの答えも聞いておかなきゃならんしな、答えはわかりきってるけど)
「お〜い坊主〜」
ルパンの間延びするような声を耳に受けた月は、前を向いたまま「なんですか?」と尋ねる。
「さっきの呼びかけのことなんだがよぉ……今のお前さんの態度が答えか?」
空気の抜けた風船から鋭利な刃物のような声色になったからか、月は立ち止まり振り返る。
「……あの呼びかけは信用できません、それなのにわざわざ会いに行く必要は無いでしょう」
「確かにあの呼びかけは罠かもしれねぇけどよぉ、ひょっとしたら本当に妹を探してほしかったのかもしれねぇんじゃねぇか?」
「だとしてもあれだけ大きな声で呼びかけたら、確実に殺人者も呼び寄せてしまう
もうすぐC−7は危険地帯になる可能性が高い、だから危険すぎます!」
「確かにあの呼びかけは罠かもしれねぇけどよぉ、ひょっとしたら本当に妹を探してほしかったのかもしれねぇんじゃねぇか?」
「だとしてもあれだけ大きな声で呼びかけたら、確実に殺人者も呼び寄せてしまう
もうすぐC−7は危険地帯になる可能性が高い、だから危険すぎます!」
二人の言う『あの呼びかけ』というのは、北条悟史が拡声器を使用して放った言葉。
妹である沙都子の探索を手伝ってほしい、という旨のものだ。
この呼びかけで問題になのは、悟史が自らの居場所を告知してしまったこと。
彼の思惑としては沙都子や他の友人との再会だったのだろうが、この呼びかけは公平に周囲の参加者の耳に届いてしまう。
これでは自らの居場所を殺人者に報告しているうえに、下手したら呼びかけに乗った友人達すらも危険に晒してしまっているのだ。
なるべく序盤のうちに参加者を殺害して荷物を奪えば、終盤になっても有利に物事を運ぶことができる。
北条悟史とその友人達は、殺人者にとってまさに絶好の獲物だった。
妹である沙都子の探索を手伝ってほしい、という旨のものだ。
この呼びかけで問題になのは、悟史が自らの居場所を告知してしまったこと。
彼の思惑としては沙都子や他の友人との再会だったのだろうが、この呼びかけは公平に周囲の参加者の耳に届いてしまう。
これでは自らの居場所を殺人者に報告しているうえに、下手したら呼びかけに乗った友人達すらも危険に晒してしまっているのだ。
なるべく序盤のうちに参加者を殺害して荷物を奪えば、終盤になっても有利に物事を運ぶことができる。
北条悟史とその友人達は、殺人者にとってまさに絶好の獲物だった。
「確かに悟史って小僧はやべぇかもしれねぇな、ここには危ない目をした奴らがうようよいやがるからなぁ」
ルパンはそう言って不敵な笑みを浮かべた後、こう付け加えた。
――――それでも俺は行く価値があると思うぜ、と。
――――それでも俺は行く価値があると思うぜ、と。
「一体何があるというんですか!? 北条悟史のいる場所に!?」
「まぁ落ち着けよ坊主、そんな大声出したら誰かに見つかっちまうかもしれねぇぜ」
「まぁ落ち着けよ坊主、そんな大声出したら誰かに見つかっちまうかもしれねぇぜ」
声が上ずっている月とは対照的に、ルパンは不自然なほど落ち着いている。
赤いロングジャケットに付着した木の葉を払い落とした後、乱れた襟元を整え、こう言った。
赤いロングジャケットに付着した木の葉を払い落とした後、乱れた襟元を整え、こう言った。
「あいつの元に行けば、カワイ子ちゃんに会えるかもしれねぇじゃねぇかよ」
「…………は?」
「…………は?」
背骨を抜かれたような感覚に陥る月、口を大きく開けたまま硬直している。
「可愛い子ちゃんって……まさか、ルパンさん……」
「なんだよお前、その年で女の子に興味が無いってのか? ひょっとしてお前さんゲイ……」
「違います! ですが今はこんなことを言ってる場合ではないでしょう!」
「おいおい、こんな時だからこそ女の子が必要なんだろうが」
「なんだよお前、その年で女の子に興味が無いってのか? ひょっとしてお前さんゲイ……」
「違います! ですが今はこんなことを言ってる場合ではないでしょう!」
「おいおい、こんな時だからこそ女の子が必要なんだろうが」
ルパンはデイパックから名簿を取り出し、無駄に素早い動きで月に近づく。
「坊主の言っていたレナに魅音、後は詩音だったかな……それに加えて沙都子ってのもいる
もしそいつらが暴漢に襲われてた時に、俺様が華麗に救出すればよぉ、キャーおじさまーな展開になるかもしれねぇぜ
レナって娘は名前が可愛いし、魅音に詩音は姉妹丼で両手に花だ
でも沙都子は年齢的にちょっと厳しそうだなぁ、とっつぁんにしょっ引かれちまう」
もしそいつらが暴漢に襲われてた時に、俺様が華麗に救出すればよぉ、キャーおじさまーな展開になるかもしれねぇぜ
レナって娘は名前が可愛いし、魅音に詩音は姉妹丼で両手に花だ
でも沙都子は年齢的にちょっと厳しそうだなぁ、とっつぁんにしょっ引かれちまう」
しまりの無い顔がさらにだらしなくなったルパンは、発言も相俟って完全に変質者だ。
月も冷や汗を浮かべながら、一歩ずつ距離を取り始めている。
月も冷や汗を浮かべながら、一歩ずつ距離を取り始めている。
「おいおい待てよ坊主〜、お前さんも一緒にハーレムを形成しようぜ〜」
「さっきから坊主坊主って……僕の名前は月です、それに男が二人居たらハーレムは成り立ちませんよ」
「こまけぇこたぁいいんだよ坊主、俺たちはもう二人で一人、兄弟みたいなもんだろ?」
「さっきから坊主坊主って……僕の名前は月です、それに男が二人居たらハーレムは成り立ちませんよ」
「こまけぇこたぁいいんだよ坊主、俺たちはもう二人で一人、兄弟みたいなもんだろ?」
離れていく月の傍に走って接近し、肩を回すルパン。
月はニヤケ面のルパンに露骨な嫌悪の視線を送った後、回された手を払い除けた。
月はニヤケ面のルパンに露骨な嫌悪の視線を送った後、回された手を払い除けた。
「とにかく僕はあの呼びかけには応えません、行きたければ一人で勝手に行ってください
そもそも貴方が勝手に僕の後を付いて来ただけですしね」
そもそも貴方が勝手に僕の後を付いて来ただけですしね」
そう告げた月は視線を目の前を伸びる山道に戻し、そのまま前進を開始する。
「お、おい! 待てよ、坊主〜! わぁったって、行かないから!」
すたすたと早足で前進する月の後を、慌てて追いかけるルパン。
そんな姿を後ろ目に見て、月はふと思った。
そんな姿を後ろ目に見て、月はふと思った。
実はルパンこそ、本当にゲイなのではないかと。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
(いや、だって……あれだけ女の子女の子言ってたのに結局諦めたし……)
飄々とした表情で背後を歩くルパンを尻目に、月は真剣に考察を開始する。
最も、内容は馬鹿らしいものだが。
最も、内容は馬鹿らしいものだが。
月の推測は完全な的外れであり、ルパンが少女達よりも月を優先した理由は二つある。
まず一つ目は月の所持する拳銃、M19コンバット・マグナム。
これはルパンの相棒である次元大介の愛銃であり、それを黙って見逃すほどルパンは薄情な人間ではなく、
いずれ回収して、次元と再会した時に返却するつもりでいた。
まず一つ目は月の所持する拳銃、M19コンバット・マグナム。
これはルパンの相棒である次元大介の愛銃であり、それを黙って見逃すほどルパンは薄情な人間ではなく、
いずれ回収して、次元と再会した時に返却するつもりでいた。
そして二つ目は夜神月の監視と保護、最初に対峙した時の彼の瞳には得体の知れない何かが潜んでいた。
万人を救う正義の使者へも、万人を裁く邪悪の化身にも変化しそうな何かが。
その何かにどの言葉を当て嵌めればいいのか、ルパンの知識を捻っても言葉が出てこない。
だが月が道を踏み外さないように、自分が監視しなければならないような。
使命感にも似たような感情が、ルパンの中に宿っていた。
万人を救う正義の使者へも、万人を裁く邪悪の化身にも変化しそうな何かが。
その何かにどの言葉を当て嵌めればいいのか、ルパンの知識を捻っても言葉が出てこない。
だが月が道を踏み外さないように、自分が監視しなければならないような。
使命感にも似たような感情が、ルパンの中に宿っていた。
それに次元の愛銃を取り返すには、彼を保護する必要も出てくるのだ。
平静を装っているものの、月は一般人であり修羅場など経験したことすらない。
故に動揺を完璧に隠すことは出来ず、発言や態度の節々にそれは見え隠れしていた。
ルパンの実力ならば、月が反撃する前に不意打ちを仕掛けて銃を強奪することも可能だっただろう。
しかしそうしてしまえば、彼が死ぬ確率は上昇してしまうのだ。
ルパンにとってそれは寝覚めの悪い出来事であったし、見殺しにするのは彼の良心が許さなかった。
平静を装っているものの、月は一般人であり修羅場など経験したことすらない。
故に動揺を完璧に隠すことは出来ず、発言や態度の節々にそれは見え隠れしていた。
ルパンの実力ならば、月が反撃する前に不意打ちを仕掛けて銃を強奪することも可能だっただろう。
しかしそうしてしまえば、彼が死ぬ確率は上昇してしまうのだ。
ルパンにとってそれは寝覚めの悪い出来事であったし、見殺しにするのは彼の良心が許さなかった。
(そんなわけ無いか、そうだったらとっくに狙われてるだろうし……)
「おい坊主、聞きてぇことがあるんだがいいか?」
「おい坊主、聞きてぇことがあるんだがいいか?」
「うわぁ!」
意識していない状態で突然声をかけられ、思わず情けない声を上げる月。
「な、なんだぁ? 突然そんな声を上げて……お化けでも見たのかい?」
「違います、少し考え事をしていただけですよ、で、なんですか?」
「違います、少し考え事をしていただけですよ、で、なんですか?」
大声を上げたことに羞恥心を覚えた月は、体裁を取り繕いながら返答する。
そんな月の心情を見抜いたルパンは、やれやれと肩を竦めた。
そんな月の心情を見抜いたルパンは、やれやれと肩を竦めた。
「いやぁ、お前さんはさっきC−7は危険だから行かないって言ったけどよ、何がそんなに怖ぇんだ?」
「怖いって……結果的にはそうなるか、僕はこれでも普通の高校生なんです」
「怖いって……結果的にはそうなるか、僕はこれでも普通の高校生なんです」
極度の負けず嫌いである月にとって、恐怖と言う感情は認めたくないものの一つであった。
だがルパンに指摘され、結果的に彼は恐怖を認めていたのだ。
彼の本質は負けず嫌いだが、やはり聡明であり恐怖を認める器量も持ち合わせているのである。
だがルパンに指摘され、結果的に彼は恐怖を認めていたのだ。
彼の本質は負けず嫌いだが、やはり聡明であり恐怖を認める器量も持ち合わせているのである。
「だから自分の命が狙われているこの状況が怖いんですよ、だからあえて危険地帯に踏み込む真似はしたくないんです」
「でもお前さんは自分に自信があるんだろ? それにいざとなったら俺様がなんとかしてやるよ」
「でもお前さんは自分に自信があるんだろ? それにいざとなったら俺様がなんとかしてやるよ」
ニヤッと白い歯を見せながら笑んだルパンは、長刀を掲げる。
正確にはこれは長刀ではなく、二本の小太刀が一本の鞘に収まっている代物だ。
正確にはこれは長刀ではなく、二本の小太刀が一本の鞘に収まっている代物だ。
「確かに自信が無いわけじゃないですけど、それでもルパンさんみたいな人種と出会ったら生き残れる自信はありません
それにルパンさんも僕を庇いながら戦っていては、満足に実力を発揮できないでしょう」
それにルパンさんも僕を庇いながら戦っていては、満足に実力を発揮できないでしょう」
こうは言ってみたものの、自信家のルパンには効果が薄いことは月も分かっていた。
それでもこの言葉を放ったのは、今の問答に特に意味が無いからだ。
仮にルパンの実力が月の予想を上回っていようと、彼は絶対に悟史の許に向かう気は無い。
とにかく今の彼の行動スタンスとしては、生き残ることなのである。
だからどんな発言が飛んでこようと、聞き流すつもりでいた。
それでもこの言葉を放ったのは、今の問答に特に意味が無いからだ。
仮にルパンの実力が月の予想を上回っていようと、彼は絶対に悟史の許に向かう気は無い。
とにかく今の彼の行動スタンスとしては、生き残ることなのである。
だからどんな発言が飛んでこようと、聞き流すつもりでいた。
「確かにそうかもしれねぇなぁ……魔法使いにでも出会っちまったらな」
再び背骨を抜かれるような感覚に陥る月。
魔法使い、こんな単語が飛び出てしまえば流石に無視するわけにはいかなかった。
魔法使い、こんな単語が飛び出てしまえば流石に無視するわけにはいかなかった。
「こんな時に冗談は止めてくれって何度も言ってるでしょう!」
怒りを露わにしながら、ルパンに捲くし立てる月。。
またルパンは嫌らしげに笑んでいるのかと、眉間に皺を寄せながら。
しかし彼は笑みを浮かべるどころか、最初に出会った時のような神妙な顔つきを見せていた。
またルパンは嫌らしげに笑んでいるのかと、眉間に皺を寄せながら。
しかし彼は笑みを浮かべるどころか、最初に出会った時のような神妙な顔つきを見せていた。
「冗談? 俺達はいきなりこんな場所に連れて来られたんだぜ? そんなこと出来るのは魔法くらいだろうがよぉ」
「発想が突飛しすぎですよ、なにかで気絶させられた時のショックで記憶が抜け落ちているとか……」
「俺たちが二人とも全く同じ症状に陥ったってのか? そいつぁちょっと都合が良すぎるぜ」
「でも現実、僕等は記憶が無いわけですし、魔法よりはよっぽどまともな結論だと僕は思いますよ」
「発想が突飛しすぎですよ、なにかで気絶させられた時のショックで記憶が抜け落ちているとか……」
「俺たちが二人とも全く同じ症状に陥ったってのか? そいつぁちょっと都合が良すぎるぜ」
「でも現実、僕等は記憶が無いわけですし、魔法よりはよっぽどまともな結論だと僕は思いますよ」
必死で反論する月だが、彼自身この状況の異常性については前から思考を張り巡らせている。
だからこそ自分の意見が相当苦しい事や、不可解な出来事が多い事にも気づいていた。
彼は下校時の校庭でノートを拾おうとした瞬間、この場に連行されているのだ。
反論が正しければ、気絶させられた後に拉致される姿は多くの人間に目撃されているはずである。
この状況下での拉致は困難だろうし、成功したとしても誘拐事件として警察へ通報されているだろう。
そもそも記憶が喪失にしては、拉致される直前の記憶があまりにも鮮明すぎるのである。
だからこそ自分の意見が相当苦しい事や、不可解な出来事が多い事にも気づいていた。
彼は下校時の校庭でノートを拾おうとした瞬間、この場に連行されているのだ。
反論が正しければ、気絶させられた後に拉致される姿は多くの人間に目撃されているはずである。
この状況下での拉致は困難だろうし、成功したとしても誘拐事件として警察へ通報されているだろう。
そもそも記憶が喪失にしては、拉致される直前の記憶があまりにも鮮明すぎるのである。
(まさか本当に魔法は……いや、有り得ない、そんなものが存在するはずが無い)
「それによぉ、最初にルルーシュって兄ちゃんが妙なことをやってたじゃねぇか
お前たちは死ね!なんて、まるで言ったら本当に死ぬみたいなことをよ」
お前たちは死ね!なんて、まるで言ったら本当に死ぬみたいなことをよ」
ルパンは左目を一瞬手で抑えた後、左方に伸ばして叫ぶ。
これは白い空間内でルルーシュが行った動作と全く同じ物。
それをルパンは、子供の様にはしゃぎながら演じていた。
これは白い空間内でルルーシュが行った動作と全く同じ物。
それをルパンは、子供の様にはしゃぎながら演じていた。
「はぁ……いいですか、ルパンさん。魔法なんて存在するのは漫画の世界だけなんですよ
例えば誰かの名前を書いたら死ぬノートととか、死ねと言ったら本当に死ぬ能力なんて存在しないんです、分かりますか?」
例えば誰かの名前を書いたら死ぬノートととか、死ねと言ったら本当に死ぬ能力なんて存在しないんです、分かりますか?」
諭すような口調で反論する月、その表情には僅かな疲労感が見え隠れしていた。
「……そうかい、お前さんには夢が無いんだな」
「もう夢を見ていられる年でも無いですからね」
「もう夢を見ていられる年でも無いですからね」
それっきり二人の間で会話は無くなり、山は静寂を取り戻した。
だがその静寂は長く続かない。
会話が無くなってからすぐか、しばらく経ってからか。
そんな小さな疑問を吹き飛ばすほどの破裂音が、辺り一帯に響き渡ったのだ。
会話が無くなってからすぐか、しばらく経ってからか。
そんな小さな疑問を吹き飛ばすほどの破裂音が、辺り一帯に響き渡ったのだ。
「な……」
歩みを止めた二人の視線は、揃って同じ方向を指している。
その先にあるのは煌々と揺らめく火柱と、靄のように暗闇を覆う黒煙。
火柱の影響で爆心地の一部が、まるで昼間のように照らされていた。
その先にあるのは煌々と揺らめく火柱と、靄のように暗闇を覆う黒煙。
火柱の影響で爆心地の一部が、まるで昼間のように照らされていた。
「誰がこんなことを……」
「ピュゥ〜、やるねぇ」
「ピュゥ〜、やるねぇ」
冷や汗を垂らしながら火柱を見つめる月。
対するルパンは、余裕を示すかのように口笛を吹いていた。
対するルパンは、余裕を示すかのように口笛を吹いていた。
(この人は……ッ!)
キッと目を鋭く細めた月は、隣に立つルパンを睨みつける。
しかしルパンは、火柱を眺めるばかりで振り向くことは無かった。
しかしルパンは、火柱を眺めるばかりで振り向くことは無かった。
(ルパンさんは悪くない、ここで当たったら八つ当たりだ……悪いのは爆発を起こした犯人だ
そうだ、悪いのはそいつだ、ああいうクズがいるから世の中腐っていくんだ)
そうだ、悪いのはそいつだ、ああいうクズがいるから世の中腐っていくんだ)
月は憎々しげに火柱を睨んでいる、正確にはその先にいる爆弾魔を。
(ここでもそうだ、私利私欲でどんどんと普通の人たちが死んでいってる……
ならば人を殺すような腐った連中は全員死ねばいい、そうだ、そうすれば世界は平和になる)
ならば人を殺すような腐った連中は全員死ねばいい、そうだ、そうすれば世界は平和になる)
この後も月は、消滅するまでずっと火柱を眺め続けていた。
隣で哀れむような視線を送るルパンに気付かずに。
隣で哀れむような視線を送るルパンに気付かずに。
「それじゃあ当初の予定通り、このまま展望台を目指します」
山頂に聳え立つ展望台を指差す月、中から光が漏洩しているおかげで麓からも確認することが出来る。
どうやら展望台は巨大な四角形であり、階数は多いようだ。
どうやら展望台は巨大な四角形であり、階数は多いようだ。
「あそこに行って何か見れればいいけどよぉ……無かったら骨折り損だぜ」
「何も無いことは無いでしょう、少なくともあそこで何があったかはわかるはずです」
「何も無いことは無いでしょう、少なくともあそこで何があったかはわかるはずです」
深夜の闇をさらに薄黒い煙が包むかつての爆心地を指差す月。
彼らは一通り情報を交換した後、どこを目指すかを考えた。
最初は月は一人で行動するつもりだったのだが、ルパンが勝手に付きまとってきた。
だから結果的に二人は一緒に行動することになったのだ。
彼らは一通り情報を交換した後、どこを目指すかを考えた。
最初は月は一人で行動するつもりだったのだが、ルパンが勝手に付きまとってきた。
だから結果的に二人は一緒に行動することになったのだ。
「それでも望遠鏡がショボかったらおしまいだけどな」
「その時はその時です、この辺の状況を確認するだけでも意味はあります」
「その時はその時です、この辺の状況を確認するだけでも意味はあります」
それでどこに向かうかを相談した際に、反映されたのが夜神月の意思。
彼の考えたバトルロワイアルを生き抜く方法とは、隠れること。
子供たちが行う鬼ごっこと同じように、無駄に動き回って鬼に発見されるよりは、
目立たない場所に隠れている方が効率的であり、体力の浪費も避けられるのだ。
彼の考えたバトルロワイアルを生き抜く方法とは、隠れること。
子供たちが行う鬼ごっこと同じように、無駄に動き回って鬼に発見されるよりは、
目立たない場所に隠れている方が効率的であり、体力の浪費も避けられるのだ。
かといって永遠に隠れているわけにもいかないのが、鬼ごっことは違うところだ。
殺人者に襲撃されたり、潜伏場所がV.V.の言う禁止エリアに抵触する可能性がある。
そのような事態に陥った場合は、否応なしに退避しなければならないのだ。
それにずっと隠れていると、周囲で起こった出来事に関する情報しか入手できなくなる。
六時間ごとに流れる定時放送である程度の情報は入手できるが、所詮はその程度。
もし不測の事態に陥り潜伏場所から離れることになった時、生存確率が大幅に下がってしまう。
殺人者に襲撃されたり、潜伏場所がV.V.の言う禁止エリアに抵触する可能性がある。
そのような事態に陥った場合は、否応なしに退避しなければならないのだ。
それにずっと隠れていると、周囲で起こった出来事に関する情報しか入手できなくなる。
六時間ごとに流れる定時放送である程度の情報は入手できるが、所詮はその程度。
もし不測の事態に陥り潜伏場所から離れることになった時、生存確率が大幅に下がってしまう。
(だから僕は展望台に向かうことにしたんだ、そうすることで――――)
潜伏しながら、情報を得ることが出来る。
情報と言うのは非常に重要な物で、時と場合によっては剣や銃よりも強力な武器と化すのだ。
誰かを観察し続けることで、危険人物か否かを見極めることが出来る。
危険人物と判明したら、観察し続けて武器や戦法を知ることができるし、
逆に安全な人物だった場合は、遭遇した場合に余計な警戒線を張らずに済む。
それにもし警察が救援に来てくれた場合、この展望台ならばすぐに気付くことが出来るのだ。
情報と言うのは非常に重要な物で、時と場合によっては剣や銃よりも強力な武器と化すのだ。
誰かを観察し続けることで、危険人物か否かを見極めることが出来る。
危険人物と判明したら、観察し続けて武器や戦法を知ることができるし、
逆に安全な人物だった場合は、遭遇した場合に余計な警戒線を張らずに済む。
それにもし警察が救援に来てくれた場合、この展望台ならばすぐに気付くことが出来るのだ。
(けれど、これの本当の目的は別にある)
月光を反射しながらほくそ笑む月。
彼の言うとおり、本当の目的とは別にあった。
彼の言うとおり、本当の目的とは別にあった。
それは、脱出を目論むグループと合流すること。
この場に誘拐されてきた人間の中では、彼のように無理矢理連れて来られた者も多い。
そう考えた彼は、他にも脱出を狙う人間がいるのではないか、という結論に辿り着いた。
同じく脱出を狙う彼としては、他の脱出を狙う同胞との出会いは願っても無いことだ。
脱出を狙う以上、まず最低でも首輪を外さなければならない。
彼は手先が器用だと自負していたものの、この首輪を無効化する自信は無かった。
自称大泥棒のルパンならば可能そうに見えるが、それでも準備が必要になるだろう。
となれば、支給品の集まりやすい大グループと接触する必要が出てくる。
人間というのは危機的状況下であれば、危険を孕んでいても必ず徒党を組むものだ。
中盤辺りになれば、いくつものグループが誕生しているだろう。
この場に誘拐されてきた人間の中では、彼のように無理矢理連れて来られた者も多い。
そう考えた彼は、他にも脱出を狙う人間がいるのではないか、という結論に辿り着いた。
同じく脱出を狙う彼としては、他の脱出を狙う同胞との出会いは願っても無いことだ。
脱出を狙う以上、まず最低でも首輪を外さなければならない。
彼は手先が器用だと自負していたものの、この首輪を無効化する自信は無かった。
自称大泥棒のルパンならば可能そうに見えるが、それでも準備が必要になるだろう。
となれば、支給品の集まりやすい大グループと接触する必要が出てくる。
人間というのは危機的状況下であれば、危険を孕んでいても必ず徒党を組むものだ。
中盤辺りになれば、いくつものグループが誕生しているだろう。
しかし、最初から合流を狙うのは間違いだ。
序盤から大グループに所属してしまうと、必然的に目立たざるを得なくなる。
他にもグループの人数が多ければ多いほど、トラブルの火種は増えていく。
もし危険人物が脱出派を装ってグループに侵入していた場合は、全滅も考えられるのだ。
こういった事態を避けるためにも、一人一人を入念に観察し吟味する必要があった。
そして確実に安全だと判明したグループがあったら、接触を図ればいい。
いきなり加入と言うのは難しいだろうが、ここで役立つのが大量に入手した情報だ。
これを提供することを条件に、グループに参加という流れに持ち込めば、
高確率かつ安全に、脱出を狙う大グループに参加することが出来るのだ。
序盤から大グループに所属してしまうと、必然的に目立たざるを得なくなる。
他にもグループの人数が多ければ多いほど、トラブルの火種は増えていく。
もし危険人物が脱出派を装ってグループに侵入していた場合は、全滅も考えられるのだ。
こういった事態を避けるためにも、一人一人を入念に観察し吟味する必要があった。
そして確実に安全だと判明したグループがあったら、接触を図ればいい。
いきなり加入と言うのは難しいだろうが、ここで役立つのが大量に入手した情報だ。
これを提供することを条件に、グループに参加という流れに持ち込めば、
高確率かつ安全に、脱出を狙う大グループに参加することが出来るのだ。
(だが……ここまで上手く行くとは考えない方がいい)
不測の事態と言うのは、いくらでも存在する。
そもそも望遠鏡では建物内は見えないし、展望台を離れる必要が出るかもしれない。
目論見通りに行くことなど、おそらく有り得ないだろう。
しかしそうした場合でも、今まで入手した情報は役立ってくるのだ。
そもそも望遠鏡では建物内は見えないし、展望台を離れる必要が出るかもしれない。
目論見通りに行くことなど、おそらく有り得ないだろう。
しかしそうした場合でも、今まで入手した情報は役立ってくるのだ。
(父さん達が来てくれれば一番いいが……)
理想としては警察がこの島を訪れ、自分達を救出してくれること。
次は終盤になって大グループと接触し、そのまま便乗脱出すること。
妥協案は情報を元に行動し、危険を孕んでいてもどこかのグループと接触することだろうか。
次は終盤になって大グループと接触し、そのまま便乗脱出すること。
妥協案は情報を元に行動し、危険を孕んでいてもどこかのグループと接触することだろうか。
とにかく今は情報収拾に専念したいというのが、月の思惑だった。
そのためにも早く登山を済ませて、展望台に到着したい。
そう考えた月は、再び山道を歩み始めた。
天下の大泥棒、ルパン三世と一緒に。
そのためにも早く登山を済ませて、展望台に到着したい。
そう考えた月は、再び山道を歩み始めた。
天下の大泥棒、ルパン三世と一緒に。
【一日目黎明/D−6 北西部の山地】
【ルパン三世@ルパン三世】
[装備]小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[支給品]支給品一式、確認済み支給品(0〜2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:主催者のお宝をいただく。
3:月を見張るため、彼に着いて行く。
4:月の持つM19コンバット・マグナムが欲しい。
5:悟史のこと(というより、他の女の子)のことが少しだけ気になる
[装備]小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[支給品]支給品一式、確認済み支給品(0〜2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:主催者のお宝をいただく。
3:月を見張るため、彼に着いて行く。
4:月の持つM19コンバット・マグナムが欲しい。
5:悟史のこと(というより、他の女の子)のことが少しだけ気になる
【夜神月@DEATH NOTE】
[装備]なし
[支給品]支給品一式、M19コンバット・マグナム(次元の愛銃)@ルパン三世 確認済み支給品(0〜2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:D−5にある展望台に向かう。
3:情報収集を行い、終盤になったら脱出目的のグループと接触する。
4:命を脅かすような行動方針はなるべく取りたくない。
5:ギアスのような特殊能力の存在を信じていない。
[装備]なし
[支給品]支給品一式、M19コンバット・マグナム(次元の愛銃)@ルパン三世 確認済み支給品(0〜2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:D−5にある展望台に向かう。
3:情報収集を行い、終盤になったら脱出目的のグループと接触する。
4:命を脅かすような行動方針はなるべく取りたくない。
5:ギアスのような特殊能力の存在を信じていない。
※1巻冒頭からの参加です。Lのことも知りません
※ルパンと情報交換を行ったため、ルパン勢の情報を入手しました。
ただしLと出会う前ですので、ルパンはLのことを知りません。
※ルパンと情報交換を行ったため、ルパン勢の情報を入手しました。
ただしLと出会う前ですので、ルパンはLのことを知りません。
【小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-】
四乃森蒼紫の愛刀。
一本の鞘に二本の小太刀を収納しているため、一本の長刀に見える。
四乃森蒼紫の愛刀。
一本の鞘に二本の小太刀を収納しているため、一本の長刀に見える。
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006:ライト・ライト | ルパン三世 | 062:接触 |
夜神月 |