ガラスの友情 ◆ew5bR2RQj.
「……私は」
轟くような爆発音が耳を貫き、ミハエルの意識は覚醒した。
靄の掛かった頭で音源を探ると、焦げ臭い匂いと熱が伝わってくる。
そこから推測する限り、付近で何かが炎上しているのが分かった。
靄の掛かった頭で音源を探ると、焦げ臭い匂いと熱が伝わってくる。
そこから推測する限り、付近で何かが炎上しているのが分かった。
「一体なにが……ぐうっ!」
身体を起き上がらせようとすると、激痛が彼を苛み始める。
激痛が走っているのは、左肩から腰までの箇所。
同志から賜った服が、鮮血で真っ赤に汚れていた。
激痛が走っているのは、左肩から腰までの箇所。
同志から賜った服が、鮮血で真っ赤に汚れていた。
(確か、私は……)
気絶する直前のことを思い出す。
そうして最初に思い出したのは、鬼のような形相のヴァンに自らが斬られる映像。
負傷した部分が、疼いたような気がした。
それを皮切りにして、気絶する直前の記憶が蘇り始める。
そして数秒もしないうちに、全ての記憶を取り戻した。
そうして最初に思い出したのは、鬼のような形相のヴァンに自らが斬られる映像。
負傷した部分が、疼いたような気がした。
それを皮切りにして、気絶する直前の記憶が蘇り始める。
そして数秒もしないうちに、全ての記憶を取り戻した。
(ヴァン……ッ!)
仇敵の顔を連想し、ミハエルの内に怒りが篭る。
同志の崇高な理想を、まるで理解しようとしない愚かな人間。
そんな男に負傷させられた事を考えると、嫌悪感で首を掻き毟りたくなる。
同志の崇高な理想を、まるで理解しようとしない愚かな人間。
そんな男に負傷させられた事を考えると、嫌悪感で首を掻き毟りたくなる。
(次は絶対に負けない!)
先ほどは身体能力の差で不覚を取った。
だがあと数分もすれば、ナイトのデッキの時間制限が解除される。
ライダーにさえ変身できれば、あの程度の男に不覚をとることはない。
負わされた傷も出血量や外見こそ派手だが、致命傷というわけではない。
適切な治療を施し、休養をとればすぐに復帰できるだろう。
だがあと数分もすれば、ナイトのデッキの時間制限が解除される。
ライダーにさえ変身できれば、あの程度の男に不覚をとることはない。
負わされた傷も出血量や外見こそ派手だが、致命傷というわけではない。
適切な治療を施し、休養をとればすぐに復帰できるだろう。
(そういえば東條さんは? まさかあの爆発に巻き込まれて……)
東條の安否が気になり、周囲を見渡すミハエル。
すると爆発が起こった方向から、東條が歩いてくるのが見えた。
顔は煤で汚れているが、目立った外傷は無い。
大切な友人が無事であったことに、ミハエルは安堵する。
自分の身が危険に晒されようと、自分を救ってくれた東條。
ヴァンの剣先が彼に向けられた時、銃を持つ彼を失いたくないという打算もあった。
だがそれ以上に、友人としての彼を失いたくない気持ちも強かったのだ。
結果的にミハエルは負傷してしまったが、それでも後悔はしていなかった。
すると爆発が起こった方向から、東條が歩いてくるのが見えた。
顔は煤で汚れているが、目立った外傷は無い。
大切な友人が無事であったことに、ミハエルは安堵する。
自分の身が危険に晒されようと、自分を救ってくれた東條。
ヴァンの剣先が彼に向けられた時、銃を持つ彼を失いたくないという打算もあった。
だがそれ以上に、友人としての彼を失いたくない気持ちも強かったのだ。
結果的にミハエルは負傷してしまったが、それでも後悔はしていなかった。
「東條さん……無事だったんですね」
「うん、この刀のおかげで助かったよ」
「うん、この刀のおかげで助かったよ」
ミハエルが笑みを漏らすと、東條も笑顔を返してくる。
彼の腕には、ヴァンが使っていた菊一文字則宗が握られていた。
彼の腕には、ヴァンが使っていた菊一文字則宗が握られていた。
「……そういうことですか」
日本刀の刀身に映る自身の顔を見て、ミハエルは東條の発言の意図を理解する。
一流の日本刀の刀身は、鏡面のように全ての物を映す。
鏡面とは、つまりミラーワールドの入り口。
東條は爆発の直前に刀身にカードを掲げ、デストワイルダーを召喚することで難を逃れたのだろう。
一流の日本刀の刀身は、鏡面のように全ての物を映す。
鏡面とは、つまりミラーワールドの入り口。
東條は爆発の直前に刀身にカードを掲げ、デストワイルダーを召喚することで難を逃れたのだろう。
「とりあえず無事でいてくれて安心しました」
「ありがとう、ミハエルくん」
「ありがとう、ミハエルくん」
まるでお茶会のような雰囲気で談笑する二人。
東條は顔や服が煤だらけで、ミハエルに至っては血塗れ。
外部の人間が見れば明らかに異質な状況だが、彼らには関係の無い話である。
東條は顔や服が煤だらけで、ミハエルに至っては血塗れ。
外部の人間が見れば明らかに異質な状況だが、彼らには関係の無い話である。
「あの……すいません、東條さん、ひとつお願いしてもいいですか?」
「なにかな?」
「見ての通り、私は負傷してしまった」
「なにかな?」
「見ての通り、私は負傷してしまった」
彼の状態を改めて確認するが、見るに耐えない状態だ。
服の切断面からは赤黒い傷口が見え隠れし、吹き出した血液が地面へと染み込んでいる。
こうして会話が出来ているのが、不思議なくらいであろう。
服の切断面からは赤黒い傷口が見え隠れし、吹き出した血液が地面へと染み込んでいる。
こうして会話が出来ているのが、不思議なくらいであろう。
「だから治療をお願いしたいのですが……」
現状でミハエルが唯一頼れる存在は、目の前にいる東條だけだ。
友好的な関係を築いているから、快く治療を請け負ってくれる。
そんな思惑が彼にはあった。
友好的な関係を築いているから、快く治療を請け負ってくれる。
そんな思惑が彼にはあった。
「東條さん?」
だが先ほどから、東條の様子がおかしいのだ。
正確にはミハエルが負傷したことを告げ、東條がその傷を見た時から。
ミハエルと視線を合わそうとせず、口を開こうとしない。
纏っている陰気な雰囲気は、言いようのない不気味さを漂わせていた。
正確にはミハエルが負傷したことを告げ、東條がその傷を見た時から。
ミハエルと視線を合わそうとせず、口を開こうとしない。
纏っている陰気な雰囲気は、言いようのない不気味さを漂わせていた。
「あの、東條さ――――」
「ごめん、ミハエルくん」
「ごめん、ミハエルくん」
返答がないことを不審に感じ、首を傾げるミハエル。
その瞬間、東條が何故か謝罪の言葉を告げたのだ。
その瞬間、東條が何故か謝罪の言葉を告げたのだ。
――――ミハエルに向けて銃を構えながら。
「東條さん、何を……」
「ごめん、本当にごめん。でも君は大切な人だから、僕がこの手でとどめを刺さなきゃいけないんだ」
「ごめん、本当にごめん。でも君は大切な人だから、僕がこの手でとどめを刺さなきゃいけないんだ」
絶句するミハエル。
最初は冗談だと思った。
しかし言葉と共に近付いてくる銃口を見て、次第にそう思えなくなってくる。
東條が本気で自分を殺すつもりだと気づいた時には、悪寒が止まらなくなっていた。
最初は冗談だと思った。
しかし言葉と共に近付いてくる銃口を見て、次第にそう思えなくなってくる。
東條が本気で自分を殺すつもりだと気づいた時には、悪寒が止まらなくなっていた。
「や、やめてください、東條さん!」
銃口を向ける東條に抵抗を試みるが、ヴァンに負わされた傷に遮られる。
身体を起き上がらせようとするが、全身に力が入らなかった。
身体を起き上がらせようとするが、全身に力が入らなかった。
「そんな傷で誰かに会ったら今度は殺されちゃうよ、それじゃ駄目なんだ
君は僕がとどめを刺さないと。そうしなきゃ僕は英雄になれないから……」
君は僕がとどめを刺さないと。そうしなきゃ僕は英雄になれないから……」
唯一動かせる右腕を伸ばすが、東條に容易く弾かれてしまう。
そのまま片手で地面に押さえつけられ、ミハエルの抵抗は呆気なく終わる。
かつて東條は大切な人間の一人であった佐野満に、とどめを刺せず逃してしまった経験があった。
故に彼は、大切な人間にとどめを刺すことに固執しているのだ。
最もミハエルには関係のない話だし、知る由もないのだが。
そのまま片手で地面に押さえつけられ、ミハエルの抵抗は呆気なく終わる。
かつて東條は大切な人間の一人であった佐野満に、とどめを刺せず逃してしまった経験があった。
故に彼は、大切な人間にとどめを刺すことに固執しているのだ。
最もミハエルには関係のない話だし、知る由もないのだが。
「まだ私は動ける! だから殺さないでください!」
「違うよ、ミハエルくん。殺すんじゃなくて救うんだ、君が言ったんじゃないか」
「違うよ、ミハエルくん。殺すんじゃなくて救うんだ、君が言ったんじゃないか」
確かにミハエルの傷は浅く、治療をすればまた活動を再開できる。
だが、今は動くことができなかった。
だが、今は動くことができなかった。
「君のおかげで、僕は香川先生の言葉の真の意味を理解することができた」
「そんなことをしたら、私が死んでしまう!」
「君がいたから、僕はやっと英雄になる本当の方法が分かったんだ」
「東條さん! 東條さん!」
「そんなことをしたら、私が死んでしまう!」
「君がいたから、僕はやっと英雄になる本当の方法が分かったんだ」
「東條さん! 東條さん!」
会話がまるで通じていない。
一方的に喋る東條と、必死で説得しようとするミハエル。
先ほどまで同じ道を歩いていた二人が、道をすれ違えている。
一方的に喋る東條と、必死で説得しようとするミハエル。
先ほどまで同じ道を歩いていた二人が、道をすれ違えている。
(どうすれば……私は一体どうすれば……)
自分にはまだ、大勢の人間を救う義務がある。
だからここで殺されるわけにはいかない。
恐怖に支配されつつある頭を回転させ、この窮地を脱する方法を考える。
ナイトのデッキは、変身制限で使えない。
仕込み杖は、東條を庇う際に折れてしまった。
だからここで殺されるわけにはいかない。
恐怖に支配されつつある頭を回転させ、この窮地を脱する方法を考える。
ナイトのデッキは、変身制限で使えない。
仕込み杖は、東條を庇う際に折れてしまった。
(ファサリナさん!)
ファサリナの三節棍は、手の届かない場所に落ちている。
(同志!)
同志のカギ爪は、デイパックの中。
ミハエルに、抵抗手段は残されていなかった。
「ありがとう、ミハエルくん」
ついに銃口が眉間に合わさり、冷たい感触が彼を襲う。
恐怖から瞳孔が見開き、拒否しようとしても銃が視界に入ってくる。
間近で見て、銃口と弾装に血液が付着しているのが分かった。
付着してから大分経過しているのか、血液は黒に変色しどす黒い。
この血液は東條が最初に救った少女、北条沙都子のものだ。
恐怖から瞳孔が見開き、拒否しようとしても銃が視界に入ってくる。
間近で見て、銃口と弾装に血液が付着しているのが分かった。
付着してから大分経過しているのか、血液は黒に変色しどす黒い。
この血液は東條が最初に救った少女、北条沙都子のものだ。
「僕は君のことを絶対に忘れない、だから君は僕の中で永遠に生き続けるんだ」
途中から東條は涙を流し始め、声も涙声になってくる。
彼の流した涙が、ミハエルの頬に零れ落ちた。
彼の流した涙が、ミハエルの頬に零れ落ちた。
「皆と一緒に同じ夢を見よう、僕が英雄になって、他の人達を救う夢を!」
「まだ、私にはやることがあるんだ! だからやめ――――」
「まだ、私にはやることがあるんだ! だからやめ――――」
そう、彼が言い切る直前。
ぱぁん、と火薬の弾ける音が響き渡る。
ぱぁん、と火薬の弾ける音が響き渡る。
次の瞬間、ミハエルの視界は急速に色褪せ、そして何も映らなくなっていた。
☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆ ☆
「ミハエルくん! ミハエルくん!」
東條は号泣しながら、ミハエルの身体を抱きしめる。
だがその身体に、もう魂は宿っていない。
彼の額には穴が開き、そこからドロドロと真っ赤な液体が流れ落ちている。
流れ落ちた液体は水溜りのようになり、そこには血液以外の固形物も沈んでいた。
正常な人間であれば、嘔吐すらしかねない光景。
だが東條はそれを愛しそうに抱きしめ、穏やかな笑みを浮かべていた。
だがその身体に、もう魂は宿っていない。
彼の額には穴が開き、そこからドロドロと真っ赤な液体が流れ落ちている。
流れ落ちた液体は水溜りのようになり、そこには血液以外の固形物も沈んでいた。
正常な人間であれば、嘔吐すらしかねない光景。
だが東條はそれを愛しそうに抱きしめ、穏やかな笑みを浮かべていた。
「これで君も救われた、これから君は僕の中で生きていくんだ」
ミハエルの死体を地面に降ろし、胸の前で手を合わせる東條。
ミハエル・ギャレットという人間は、肉体的には死んでしまった。
だがその魂は彼の中で永遠に生き続け、英雄である彼を支え続けるのだ。
彼だけではない、彼の胸の中には北条沙都子やその兄である北条悟史。
インペラーに変身していた男性に、ミハエルが出会った柊かがみという少女。
他にも大勢の人間が彼を支えているのだ。
ミハエル・ギャレットという人間は、肉体的には死んでしまった。
だがその魂は彼の中で永遠に生き続け、英雄である彼を支え続けるのだ。
彼だけではない、彼の胸の中には北条沙都子やその兄である北条悟史。
インペラーに変身していた男性に、ミハエルが出会った柊かがみという少女。
他にも大勢の人間が彼を支えているのだ。
「先生、僕はまた英雄に近付きました」
彼は胸の中にいる香川へと語りかける。
その口調や態度に、迷いは一欠片も存在しない。
瞳には強い意志が宿り、煌々と輝く朝日を見つめていた。
崇高な理想を、英雄になるという夢を胸に抱き。
その口調や態度に、迷いは一欠片も存在しない。
瞳には強い意志が宿り、煌々と輝く朝日を見つめていた。
崇高な理想を、英雄になるという夢を胸に抱き。
東條悟は、道を踏み違え続ける。
【ミハエル・ギャレット@ガン×ソード 死亡】
【一日目 朝/F-2 道】
【東條悟@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]:レイ・ラングレンの銃(70/100)@ガン×ソード、菊一文字則宗@るろうに剣心
[支給品]:支給品一式×3、タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
フライングボード@ヴィオラートのアトリエ、ファサリナの三節棍@ガン×ソード
カギ爪@ガン×ソード、レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、確認済み支給品(0~2)
[状態]:疲労(大)、全身打撲
[思考・行動]
0:全ての人を『救う』ことにベストを尽くして英雄になる。
※TV本編死亡後よりの参戦です
【東條悟@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]:レイ・ラングレンの銃(70/100)@ガン×ソード、菊一文字則宗@るろうに剣心
[支給品]:支給品一式×3、タイガのデッキ@仮面ライダー龍騎、ナイトのデッキ@仮面ライダー龍騎
フライングボード@ヴィオラートのアトリエ、ファサリナの三節棍@ガン×ソード
カギ爪@ガン×ソード、レイ・ラングレンの銃の予備弾倉(60/60)@ガン×ソード、確認済み支給品(0~2)
[状態]:疲労(大)、全身打撲
[思考・行動]
0:全ての人を『救う』ことにベストを尽くして英雄になる。
※TV本編死亡後よりの参戦です
【ファサリナの三節棍@ガン×ソード】
ファサリナが愛用している三節棍。
ヴァンの蛮刀と同様の素材を使用しているため、布のような形状にもなれる。
ファサリナが愛用している三節棍。
ヴァンの蛮刀と同様の素材を使用しているため、布のような形状にもなれる。
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