接触 ◆YYVYMNVZTk
月とルパン、二人は展望台に到着し、即座に周囲の安全を確認。周りには誰もいないようだ。
月明かりに照らされた展望台の姿は、麓から確認した通りの四階建て鉄筋コンクリート造り。
全階に渡って明かりが灯ったままなのは、元からの仕様のようである。
慎重に、しかし鈍重さは微塵も感じさせずに二人は玄関口から内部へと入っていく。
入ってすぐに二人を出迎えたのは施設内部の地図だった。
各階の見取り図に記されたところによると、ここは単なる展望台ではなく、レストランや温泉なども兼ね備えた、総合型宿泊施設……であるらしい。
月明かりに照らされた展望台の姿は、麓から確認した通りの四階建て鉄筋コンクリート造り。
全階に渡って明かりが灯ったままなのは、元からの仕様のようである。
慎重に、しかし鈍重さは微塵も感じさせずに二人は玄関口から内部へと入っていく。
入ってすぐに二人を出迎えたのは施設内部の地図だった。
各階の見取り図に記されたところによると、ここは単なる展望台ではなく、レストランや温泉なども兼ね備えた、総合型宿泊施設……であるらしい。
「温泉かぁ~。カワイコちゃんとのラッキースケベがあったりして……グシシ」
下卑た笑いを浮かべるルパンを無視し、月は目的の望遠鏡――展望スペースが最上階に設置されていることを確認する。
念のため他の施設についても、大まかな位置と機能を頭の中に入れておくのは忘れない。
特に職員用事務室や厨房などは、有用なものが残されている可能性も高い。
まずは展望台にて周囲の状況を把握することを優先すべきだが、その後には施設全体の探索も忘れずに行おうと目下の方針を定め、月とルパンは最上階へと移動する。
望遠鏡がコイン投入型のものではなく、常時無料開放されているものだったことは幸いであった。
常日頃ならいざ知らず、着の身着のまま連れて来られた両者ともに小銭の一つも持ってはいない。
殺し合いの状況下で数枚の貨幣のために家捜しをするというのもナンセンスな話だ。
だが、いくら今宵の月が煌々と輝いていても島の全景を眺めるにはあまりにも心細い光量である。
念のため他の施設についても、大まかな位置と機能を頭の中に入れておくのは忘れない。
特に職員用事務室や厨房などは、有用なものが残されている可能性も高い。
まずは展望台にて周囲の状況を把握することを優先すべきだが、その後には施設全体の探索も忘れずに行おうと目下の方針を定め、月とルパンは最上階へと移動する。
望遠鏡がコイン投入型のものではなく、常時無料開放されているものだったことは幸いであった。
常日頃ならいざ知らず、着の身着のまま連れて来られた両者ともに小銭の一つも持ってはいない。
殺し合いの状況下で数枚の貨幣のために家捜しをするというのもナンセンスな話だ。
だが、いくら今宵の月が煌々と輝いていても島の全景を眺めるにはあまりにも心細い光量である。
「どうやら……まだ早すぎたようですね」
レンズ越しに映る景色はやはり黒一色のままであり、人探しどころか支給された地図と実際の施設分布を見比べることさえもままならない。
おおまかな島の形は地図と一致するようだが、地図上に書かれた施設名――図書館や病院、ホテルといった建築物が表記通りに存在するのかまでは確認することも出来ず。
二人の出した結論は、日が昇るまでこの場所で待機し、明るくなってから再び島の全景を確認した上でこれからの行動方針を固めるべきだという至極無難なものだった。
おおまかな島の形は地図と一致するようだが、地図上に書かれた施設名――図書館や病院、ホテルといった建築物が表記通りに存在するのかまでは確認することも出来ず。
二人の出した結論は、日が昇るまでこの場所で待機し、明るくなってから再び島の全景を確認した上でこれからの行動方針を固めるべきだという至極無難なものだった。
「それまでは気楽に待つしかないなぁ。ま、ただ待つってのも暇だ。
ここいらでちょっくら、更なる相互理解……と洒落込むのはどうだい?」
ここいらでちょっくら、更なる相互理解……と洒落込むのはどうだい?」
ともすれば着る者のセンスを疑われる、見目にも派手な赤いスーツをさらりと着こなす大泥棒は展望台備え付けのベンチに腰を下ろし、傍らの少年に声を掛ける。
ぽんぽん、と自身の隣、空席のベンチを手で叩く素振りをし、月にも座るように促す。
特に断る必要もないと判断した月は、誘われるままにルパンの隣に座り、山登りの疲れを吐き出すように大きく息をついた。
足元のおぼつかない山中を深夜に歩きまわった肉体的疲労と、いつ自らの命を狙われてもおかしくないという極度の緊張からくる精神的疲労。
その二つは月が自覚しない内に大きく彼の体力を削っている。
ルパンが休息を兼ねた雑談を持ちかけたのは、月の表情に疲れが色濃くにじんでいたからだ。
疲労は精神を擦り減らす。磨り減った精神は簡単にバランスを崩してしまうということを、ルパンは経験として知っているのだ。
死線を幾度もくぐり抜けたルパンは、己の直感が時に何よりも鋭敏な危険感知器になりうると自負している。
初見で感じた月の危険性は、この数時間の同行を経ても未だ払拭されないまま――ならばそれが暴走しないうちに、月の負担を少しでも軽くしてやるのが、己の仕事というものだろう。
ぽんぽん、と自身の隣、空席のベンチを手で叩く素振りをし、月にも座るように促す。
特に断る必要もないと判断した月は、誘われるままにルパンの隣に座り、山登りの疲れを吐き出すように大きく息をついた。
足元のおぼつかない山中を深夜に歩きまわった肉体的疲労と、いつ自らの命を狙われてもおかしくないという極度の緊張からくる精神的疲労。
その二つは月が自覚しない内に大きく彼の体力を削っている。
ルパンが休息を兼ねた雑談を持ちかけたのは、月の表情に疲れが色濃くにじんでいたからだ。
疲労は精神を擦り減らす。磨り減った精神は簡単にバランスを崩してしまうということを、ルパンは経験として知っているのだ。
死線を幾度もくぐり抜けたルパンは、己の直感が時に何よりも鋭敏な危険感知器になりうると自負している。
初見で感じた月の危険性は、この数時間の同行を経ても未だ払拭されないまま――ならばそれが暴走しないうちに、月の負担を少しでも軽くしてやるのが、己の仕事というものだろう。
「で、だ。坊主……まずはお前ぇに聞いておきたいことがあるんだがよ」
「何ですか?」
「ズバリ! ……コレはいるかい?」
「何ですか?」
「ズバリ! ……コレはいるかい?」
そう言って、小指をクイクイと動かすルパン。
指し示すのは月の女性関係。突然恋人はいるのかと聞かれ、それでも狼狽することなく月は答える。
指し示すのは月の女性関係。突然恋人はいるのかと聞かれ、それでも狼狽することなく月は答える。
「年相応に……と答えておきましょう」
「あぁー、そりゃあそうだろうな。そ~んな男前じゃ、周りの女の子が放っておかないだろうしなぁ~
まったく、羨ましい話だぜぇ。そんな若いのに女を取っ換え引っ換えたぁ、良い御身分ですこと」
「年相応に……と言ったでしょう。そんな奔放な付き合いはしていませんよ」
「おっ、若いのに良い心がけだねぇ。そうそう、若い時から女遊びなんか覚えちゃあろくな大人になれないぜ?
時には慎ましく……しかし時には大胆にいくのが、遊びにおいても人生においても大事なことだからな」
「あぁー、そりゃあそうだろうな。そ~んな男前じゃ、周りの女の子が放っておかないだろうしなぁ~
まったく、羨ましい話だぜぇ。そんな若いのに女を取っ換え引っ換えたぁ、良い御身分ですこと」
「年相応に……と言ったでしょう。そんな奔放な付き合いはしていませんよ」
「おっ、若いのに良い心がけだねぇ。そうそう、若い時から女遊びなんか覚えちゃあろくな大人になれないぜ?
時には慎ましく……しかし時には大胆にいくのが、遊びにおいても人生においても大事なことだからな」
ニヤリと笑い自らの経験則を語るルパンには、未だ若輩者に過ぎない月が持たない、豊富な人生経験に裏打ちされた自信というものがあった。
それでいて、嫌味がない。世間には年上だというだけで驕り高ぶる大人が少なからずいる。いや、それらが大半と言ってもいいかもしれない。
だがルパンは、己の価値観を絶対としながらも月の言葉をただ否定するだけではなく、まずは受け入れ、そして柔軟に対応している。
下品なネタの連発と特徴的な喋り方は個人の好き嫌いが別れる点だろうが、月個人としてはルパンは気持ちのいい人間だと評価していた。
少なくとも、今までの人生の中で触れたことのない人種であることは確かだ。
それでいて、嫌味がない。世間には年上だというだけで驕り高ぶる大人が少なからずいる。いや、それらが大半と言ってもいいかもしれない。
だがルパンは、己の価値観を絶対としながらも月の言葉をただ否定するだけではなく、まずは受け入れ、そして柔軟に対応している。
下品なネタの連発と特徴的な喋り方は個人の好き嫌いが別れる点だろうが、月個人としてはルパンは気持ちのいい人間だと評価していた。
少なくとも、今までの人生の中で触れたことのない人種であることは確かだ。
「分かりました、覚えておきますよ」
「よーしよし、そのくらい物分りが良ければ可愛がる甲斐もあるってモンだ」
「……さっきから、女性関係について聞いてきたり、可愛がってやるだのと発言の一部に作為的な何かを感じるんですが……」
「そ~いつぁ気のせいってやつさぁ」
「よーしよし、そのくらい物分りが良ければ可愛がる甲斐もあるってモンだ」
「……さっきから、女性関係について聞いてきたり、可愛がってやるだのと発言の一部に作為的な何かを感じるんですが……」
「そ~いつぁ気のせいってやつさぁ」
もしかしてこの人は、性癖もまた、月が接したことのない人種なのではないのか……?
そんな、とても口に出せたものではない疑念と一抹の不安を抱える月。
月の懸念を知ってか知らずか、ルパンは突如立ち上がり、大仰に両手を広げる。
そんな、とても口に出せたものではない疑念と一抹の不安を抱える月。
月の懸念を知ってか知らずか、ルパンは突如立ち上がり、大仰に両手を広げる。
「帰りを待ってくれているカワイコちゃんがいる……そんなら、こんなところからはさっさとおさらばといこうぜぇ?」
全く不満が無いわけではない。気に入らないところも多々ある。
だが、この男ならば或いは、と思わせる何かを持っている。
――最初に出会えたのがこの人で良かったと、素直にそう思える。
出来れば、次に会う人物もまた、このような好人物であれば――ドンッ!
だが、この男ならば或いは、と思わせる何かを持っている。
――最初に出会えたのがこの人で良かったと、素直にそう思える。
出来れば、次に会う人物もまた、このような好人物であれば――ドンッ!
「え?」
月の思考を遮るように、地鳴りが響く。地震? いや、違う。
これは――“何かが地面を叩く”音だ。
初めは、聞き間違いかと思えるほど小さな音。だがそれは次第に大きく、そして近くなってくる。
これは――“何かが地面を叩く”音だ。
初めは、聞き間違いかと思えるほど小さな音。だがそれは次第に大きく、そして近くなってくる。
「坊主、こいつは――!」
「――下へ!」
「――下へ!」
音の正体に気付き、ルパンと月が対処のために階下へと向かおうとした、その瞬間。
衝撃音が展望台のすぐ傍で響き、一瞬の空白ののち――天井が、崩壊した。
衝撃音が展望台のすぐ傍で響き、一瞬の空白ののち――天井が、崩壊した。
「……こいつぁおでれーた。まぁさかこぉんなヤツとも殺し合いをしなくちゃいけないだなんてよぉ」
口調こそ、いつもの軽いもの。だが声音からは緊迫、緊張の空気が溢れている。
突然の乱入者は、右手に金属装甲のような、手甲に類似した何かを装着している。
指先から肩口まで覆うその色は金。そして、背面部には翼とも刃ともつかぬ三枚の赤。
恐ろしいのは、その手甲を除くと武装らしい武装は見あたらないことだ。
つまりこの男は、その身一つで四階建ての建物よりも高く跳び、そして鉄筋コンクリートで作られた壁を容易くぶち抜いたということ。
年の頃は月とそう変わらない。月のほうがやや大人びているといったくらいか。
だが、纏う雰囲気は月のそれとは正反対と言えよう。
無造作に伸びた髪。薄汚れ、所々破けたままのジャケット。その全てが、荒々しい。
男は装備していたゴーグルを乱雑に外し、理知という言葉とはかけ離れた、まるで獣のような眼光をルパンと月の二人に向ける。
数秒の睨み合いの後、乱入者は口を開いた。
突然の乱入者は、右手に金属装甲のような、手甲に類似した何かを装着している。
指先から肩口まで覆うその色は金。そして、背面部には翼とも刃ともつかぬ三枚の赤。
恐ろしいのは、その手甲を除くと武装らしい武装は見あたらないことだ。
つまりこの男は、その身一つで四階建ての建物よりも高く跳び、そして鉄筋コンクリートで作られた壁を容易くぶち抜いたということ。
年の頃は月とそう変わらない。月のほうがやや大人びているといったくらいか。
だが、纏う雰囲気は月のそれとは正反対と言えよう。
無造作に伸びた髪。薄汚れ、所々破けたままのジャケット。その全てが、荒々しい。
男は装備していたゴーグルを乱雑に外し、理知という言葉とはかけ離れた、まるで獣のような眼光をルパンと月の二人に向ける。
数秒の睨み合いの後、乱入者は口を開いた。
「あんたら……かなみって女の子を見なかったか?」
ルパンと月は顔を見合わせる。ここに連れてこられてから遭遇したのは互いに一人だけ。
その他の参加者といえば、例の呼び掛けを行っていた北条悟史の声を辛うじて知っているだけだ。
無論、元からの知り合いなどでもない。
首を横に振り、質問への答えとする。
その他の参加者といえば、例の呼び掛けを行っていた北条悟史の声を辛うじて知っているだけだ。
無論、元からの知り合いなどでもない。
首を横に振り、質問への答えとする。
「そうか……邪魔したな」
返答を確認するやいなや、男は踵を返し、望遠鏡へと歩を進めレンズを覗き込む。
まだ日が昇るまでに時間がある。月たちと同様に、男もまた満足出来る結果は得られなかったようだ。
まだ日が昇るまでに時間がある。月たちと同様に、男もまた満足出来る結果は得られなかったようだ。
「おーいおいおい、いきなり派手な登場をしてくれちゃったじゃないの。
挨拶もなしってぇのは、少しばかり礼儀がなっちゃいないんじゃないかぁ?」
挨拶もなしってぇのは、少しばかり礼儀がなっちゃいないんじゃないかぁ?」
二人をまるで空気か何かのように扱う男に対し、ルパンは気圧されることなく言葉を投げる。
男は振り向き、再度二人を睨みつける。
男は振り向き、再度二人を睨みつける。
「……カズマ。シェルブリットのカズマだ」
「カズマねぇ。俺様の名前はルパン三世。ちょ~っとは名の知れた有名人だと自分では思ってるんだが……俺の名前に聞き覚えはあるかい?」
「ねぇな。……かなみに会ったら、カズマが探していたと伝えてくれ。何があっても、必ず迎えに行く。待ってろってな」
「かなみちゃんねぇ。了解だ。……で、カワイイのかぁ? カワイイってんなら、俺様がんば……」
「もしかなみに手を出してみろ。そしたらその時は――この俺の自慢の拳で、思い切りぶん殴ってやる」
「カズマねぇ。俺様の名前はルパン三世。ちょ~っとは名の知れた有名人だと自分では思ってるんだが……俺の名前に聞き覚えはあるかい?」
「ねぇな。……かなみに会ったら、カズマが探していたと伝えてくれ。何があっても、必ず迎えに行く。待ってろってな」
「かなみちゃんねぇ。了解だ。……で、カワイイのかぁ? カワイイってんなら、俺様がんば……」
「もしかなみに手を出してみろ。そしたらその時は――この俺の自慢の拳で、思い切りぶん殴ってやる」
はははははと笑いながら、冗談だと冷や汗を流すルパン。
その様子を眺め、ひとまずは突然戦闘になることもないだろうと月もまた口を開いた。
その様子を眺め、ひとまずは突然戦闘になることもないだろうと月もまた口を開いた。
「夜神月です。僕はこの殺し合いに乗るつもりはない――」
「月……だと?」
「月……だと?」
月が名前を言った途端、カズマが月を見る目が、明らかに変わる。
友好の方ではなく、その逆。視線に込もるのは敵意だ。
カズマはジャケットのポケットに手を突っ込むと、一枚の紙を取り出した。
折りたたまれたそれを開き、黙ったまま読み進めていく。
読み終えると再び小さく畳み、ポケットの中へ。
つかつかと、月の方へ歩み寄っていく。
友好の方ではなく、その逆。視線に込もるのは敵意だ。
カズマはジャケットのポケットに手を突っ込むと、一枚の紙を取り出した。
折りたたまれたそれを開き、黙ったまま読み進めていく。
読み終えると再び小さく畳み、ポケットの中へ。
つかつかと、月の方へ歩み寄っていく。
「悪いがあんたのことは信用出来ねぇ」
「……? それは一体どういうことなんだ」
「凶悪殺人犯キラ――聞き覚えあるだろ?」
「……? それは一体どういうことなんだ」
「凶悪殺人犯キラ――聞き覚えあるだろ?」
カズマの真剣な顔を見るに、適当に法螺を吹いているわけではないだろう。
だが……キラなどという名前は、今までに聞いたことのないもの。
名簿の中にもそのような名前の人物はいなかったはずだ。
だが……キラなどという名前は、今までに聞いたことのないもの。
名簿の中にもそのような名前の人物はいなかったはずだ。
「……いいえ。その、キラという名前は誰から?」
対してカズマは、何も言わずにメモの下半分――夜神月に関する記述部分を破り取り、月とルパンの二人に渡す。
「ふっふ~ん。確かに坊主の格好やらなんやら、俺が聞いたもんとも一致するなぁ~
……この、キラに関することを除けば、なんだが」
「……事実無根の中傷です」
「そうばっさりと切り捨てるにしちゃあ、その他の部分が詳し過ぎる。坊主、これを書いたやつに心当たりは?」
「先程も話したように、名簿を見る限り僕の知り合いはここにはいません。だから……僕を知る人間も、いないはずなんですが……」
……この、キラに関することを除けば、なんだが」
「……事実無根の中傷です」
「そうばっさりと切り捨てるにしちゃあ、その他の部分が詳し過ぎる。坊主、これを書いたやつに心当たりは?」
「先程も話したように、名簿を見る限り僕の知り合いはここにはいません。だから……僕を知る人間も、いないはずなんですが……」
とは言っても――夜神月は全国模試一位の常連であり、父は警察庁幹部と、一般よりかは多少知名度のある人間であると自覚している。
月のほうが知らずとも、向こうが一方的に知っている可能性もゼロだとは言い切れない。
だが、たとえ月の風貌や経歴を知っていたとしても――月が世間を騒がせる連続殺人事件の犯人などと、よくもまぁぬけぬけと書けたものだ。
月のほうが知らずとも、向こうが一方的に知っている可能性もゼロだとは言い切れない。
だが、たとえ月の風貌や経歴を知っていたとしても――月が世間を騒がせる連続殺人事件の犯人などと、よくもまぁぬけぬけと書けたものだ。
「これを書いた人物について教えてくれないか? 僕はキラなんかじゃない……これは完全な誤解だ」
「嘘をつくヤツ、言い逃れをするヤツはみんなそう言うのさ。月さんよぉ、あんたがキラじゃないって証拠はあるのかい?」
「……証拠はない。僕と、そのメモを書いた人物と、どちらが信用出来るのか君に選んでもらうしかないな」
「嘘をつくヤツ、言い逃れをするヤツはみんなそう言うのさ。月さんよぉ、あんたがキラじゃないって証拠はあるのかい?」
「……証拠はない。僕と、そのメモを書いた人物と、どちらが信用出来るのか君に選んでもらうしかないな」
しばらく考え込むカズマ。そして、とある可能性に気付き、それを口にする。
「そういえば……あいつが持っていた変な機械。アレに俺たちのことが書いてあったはず……」
「――! それについて詳しく教えてくれないか!?」
「――! それについて詳しく教えてくれないか!?」
カズマは話す。このメモを書いた男――Lが持っていた手のひら大の機械には、ここにいる人間の名前と、その詳細データが入っていたようだと。
「つっても、俺も実際に中身を見たわけじゃないからどこまで書いてたのかは分からねぇがな……
だが、あいつはアレを使って、俺とその知り合いを言い当てた。そのくらいのことは出来るってことだ」
「つまり僕に関する情報も、その機械から手に入れた可能性があると……そういうことなんだね?」
「難しいことは分かんねぇよ。これ以上は俺に聞かれても困るぜ」
「もう一つだけ。その人物の名前は?」
「……『L』だ」
だが、あいつはアレを使って、俺とその知り合いを言い当てた。そのくらいのことは出来るってことだ」
「つまり僕に関する情報も、その機械から手に入れた可能性があると……そういうことなんだね?」
「難しいことは分かんねぇよ。これ以上は俺に聞かれても困るぜ」
「もう一つだけ。その人物の名前は?」
「……『L』だ」
ここまでに得た情報から――月は、一つの仮説を立てる。
全ては月を貶めるための、Lの策略なのではないだろうか?
何故そんなことをするのか……それは、盤上の混乱を狙ってのことだろう。
ここに集められた人間は、その殆どが互いの素性を知らない。
当然、初見の人間をすぐに信用することは出来ない。何せここで行われているのは殺し合いなのだ。
相手の言葉を下手に信じてしまえば、寝首を掻かれてお陀仏だなんてことも十分にありえるのだ。
そんな中、危険人物の情報を手に入れれば人はどうするだろうか?
接触を回避するにしろ、積極的に排除するにしろ……情報を流された者にしてみればたまったものではない。
無論、嘘八百を並べ立てたところでその誤情報をそっくりそのまま信用する人間ばかりではないだろう。
だが、Lに支給されたという詳細データがあれば、真実の中にそっと嘘を紛れ込ませることも難しくない。
その先にあるのは――疑心暗鬼の蔓延る、誤解と策謀渦巻く陰惨な殺し合い。
そして、情報を流すだけに留めておけば――L自身が殺し合いに参加する必要はない。
いうなれば、扇動型プレイヤーといったところだろう。
何故月がその対象として選ばれたのか。
恐らくは、その詳細データから他参加者との繋がりが細い者をピックアップした際に、候補として挙がったのではないだろうか。
以上の推測を、月はルパンとカズマの両者に話す。
全ては月を貶めるための、Lの策略なのではないだろうか?
何故そんなことをするのか……それは、盤上の混乱を狙ってのことだろう。
ここに集められた人間は、その殆どが互いの素性を知らない。
当然、初見の人間をすぐに信用することは出来ない。何せここで行われているのは殺し合いなのだ。
相手の言葉を下手に信じてしまえば、寝首を掻かれてお陀仏だなんてことも十分にありえるのだ。
そんな中、危険人物の情報を手に入れれば人はどうするだろうか?
接触を回避するにしろ、積極的に排除するにしろ……情報を流された者にしてみればたまったものではない。
無論、嘘八百を並べ立てたところでその誤情報をそっくりそのまま信用する人間ばかりではないだろう。
だが、Lに支給されたという詳細データがあれば、真実の中にそっと嘘を紛れ込ませることも難しくない。
その先にあるのは――疑心暗鬼の蔓延る、誤解と策謀渦巻く陰惨な殺し合い。
そして、情報を流すだけに留めておけば――L自身が殺し合いに参加する必要はない。
いうなれば、扇動型プレイヤーといったところだろう。
何故月がその対象として選ばれたのか。
恐らくは、その詳細データから他参加者との繋がりが細い者をピックアップした際に、候補として挙がったのではないだろうか。
以上の推測を、月はルパンとカズマの両者に話す。
「成程ねぇ……坊主の考えも十分に有り得そうではあるなぁ~」
「確かに、あのLって野郎も何考えてるのか分からねぇ薄気味悪い奴だったが……
だからといって、はいそうですかとあんたのことを信用するわけにもいかねぇな」
「僕だって、今すぐに信用してもらえるとは思っていない。でも、誤解をそのまま広められても困る。
結局は君に判断してもらうことになるけれど……出来る事ならば、僕が凶悪殺人犯だなんて言いふらすことはやめてくれないか?」
「確かに、あのLって野郎も何考えてるのか分からねぇ薄気味悪い奴だったが……
だからといって、はいそうですかとあんたのことを信用するわけにもいかねぇな」
「僕だって、今すぐに信用してもらえるとは思っていない。でも、誤解をそのまま広められても困る。
結局は君に判断してもらうことになるけれど……出来る事ならば、僕が凶悪殺人犯だなんて言いふらすことはやめてくれないか?」
月の言葉に、カズマはしばし考え込む。
理屈は分かる。しかし……どこか納得がいかない。
それが一体何なのかは分からないが、思考のさらに奥、本能に近いレベルで何かが引っかかるのだ。
恐らくは、馬鹿な自分ではいくら考えたところで答えは出ないのだろう。
すぐに考えることをやめ、月とルパンに背を向ける。
理屈は分かる。しかし……どこか納得がいかない。
それが一体何なのかは分からないが、思考のさらに奥、本能に近いレベルで何かが引っかかるのだ。
恐らくは、馬鹿な自分ではいくら考えたところで答えは出ないのだろう。
すぐに考えることをやめ、月とルパンに背を向ける。
「あんたが悪人か善人かだなんてどっちだとしても俺には関係ない話だ。
――だけどそれは、Lのヤツも一緒だ。今は何が正しいのか、俺には分からねぇ。
だったら俺は進む。進み続ける。今の俺が何よりも優先するのは――かなみを見つけることだ!」
「ま~ったく、会話になりやしねぇ。ま、坊主については俺の方からもよろしく頼む。
パートナーが殺人鬼だなんて噂が広まっちゃあ、カワイコちゃんたちもみ~んな俺たちから逃げちまうからな~
その代わりと言っちゃあなんだが、かなみちゃんの行きそうな場所についてちょいと心当たりがあるんだが」
――だけどそれは、Lのヤツも一緒だ。今は何が正しいのか、俺には分からねぇ。
だったら俺は進む。進み続ける。今の俺が何よりも優先するのは――かなみを見つけることだ!」
「ま~ったく、会話になりやしねぇ。ま、坊主については俺の方からもよろしく頼む。
パートナーが殺人鬼だなんて噂が広まっちゃあ、カワイコちゃんたちもみ~んな俺たちから逃げちまうからな~
その代わりと言っちゃあなんだが、かなみちゃんの行きそうな場所についてちょいと心当たりがあるんだが」
ルパンの言葉に、カズマはぴくりと眉を動かす。
「お~っとっと、そう慌てるなって。慌てるなんとかは貰いが少ない……って言うだろ?
まずは約束してくれ。坊主が危険人物だなんて噂を流すことはやめるってな」
「……分かった。それで、かなみは!」
「俺たちがここにくる前に、とある呼び掛けを聞いた。それをやったのは北条悟史。呼び掛けの対象は妹である北条沙都子と友人たち……
場所はC-7だったが、あの調子じゃあその周りのエリアにも丸々聞こえてるだろうなぁ。
あれじゃあ探してる奴だけじゃなく、色んな奴を呼び寄せちまう……もしかなみちゃんが聞いてたとして、悟史のところに向かうのかは知らねぇが……」
「……! ありがとよ」
まずは約束してくれ。坊主が危険人物だなんて噂を流すことはやめるってな」
「……分かった。それで、かなみは!」
「俺たちがここにくる前に、とある呼び掛けを聞いた。それをやったのは北条悟史。呼び掛けの対象は妹である北条沙都子と友人たち……
場所はC-7だったが、あの調子じゃあその周りのエリアにも丸々聞こえてるだろうなぁ。
あれじゃあ探してる奴だけじゃなく、色んな奴を呼び寄せちまう……もしかなみちゃんが聞いてたとして、悟史のところに向かうのかは知らねぇが……」
「……! ありがとよ」
「待ってろよ、かなみ……!」
変質化した右腕――シェルブリットを地に撃ちつけ、反動で飛翔。
カズマは目指す、真っ直ぐに。邪魔は全て、この拳で払いのけ――家族を、愛する少女を守るために。
カズマは目指す、真っ直ぐに。邪魔は全て、この拳で払いのけ――家族を、愛する少女を守るために。
【一日目早朝/D-5展望台付近】
【カズマ@スクライド(アニメ)】
[装備]シェルブリット第一形態、暗視ゴーグル
[支給品]支給品一式、タバサの杖@ゼロの使い魔、おはぎ@ひぐらしのなく頃に、Lのメモ
[状態]健康
[思考・行動]
1:何が何でもかなみを見つけ出す
2:他は後だ後
【カズマ@スクライド(アニメ)】
[装備]シェルブリット第一形態、暗視ゴーグル
[支給品]支給品一式、タバサの杖@ゼロの使い魔、おはぎ@ひぐらしのなく頃に、Lのメモ
[状態]健康
[思考・行動]
1:何が何でもかなみを見つけ出す
2:他は後だ後
[備考]
カズマは衝撃のファーストブリッドを撃った状態です。
Lのメモには右京、みなみの知り合いの名前と簡単な特徴が書いてあります。夜神月について記述された部分は破られました。
カズマは衝撃のファーストブリッドを撃った状態です。
Lのメモには右京、みなみの知り合いの名前と簡単な特徴が書いてあります。夜神月について記述された部分は破られました。
「ふぃ~。いきなり天井をぶち破られたときは焦ったが、どうにかなって良かったなぁ~」
大きく息をつき、ルパンは月の方へと向き変える。
月の額にはうっすらと汗がにじんでいる。それは緊張から来たものか、不安に対してなのか。
月の額にはうっすらと汗がにじんでいる。それは緊張から来たものか、不安に対してなのか。
「このメモ……あなたはどう思いますか、ルパンさん」
その手にはカズマの残したメモ用紙の半切れが握られていた。
月自身はそれが嘘っぱちだと分かる――が、出会って数時間のルパンが月とこのメモと、どちらを信用するのか。
もし月がルパンの立場ならば……この状況でどちらを信じるべきか判断は出来ない。
ならば少しでも危険から遠ざかるべく、月とL、その両方から距離を取ろうとするだろう。
月自身はそれが嘘っぱちだと分かる――が、出会って数時間のルパンが月とこのメモと、どちらを信用するのか。
もし月がルパンの立場ならば……この状況でどちらを信じるべきか判断は出来ない。
ならば少しでも危険から遠ざかるべく、月とL、その両方から距離を取ろうとするだろう。
「まぁだ俺にゃあ分からないなぁ。だから……坊主がどんな人間か見極めるまでは仲良くやらせてもらうつもりだぜ」
「……僕は、このメモの通り人を人とも思わない殺人鬼かもしれないんですよ?
それでも一緒にいようって言うんですか?」
「坊主は違うと言ってるじゃあねぇか。それに俺様、坊主如きに殺されるつもりはないしなぁ。
それに坊主から貰いたいもんもある。そのマグナムだ」
「……僕は、このメモの通り人を人とも思わない殺人鬼かもしれないんですよ?
それでも一緒にいようって言うんですか?」
「坊主は違うと言ってるじゃあねぇか。それに俺様、坊主如きに殺されるつもりはないしなぁ。
それに坊主から貰いたいもんもある。そのマグナムだ」
言って、ルパンは視線で月の手に握られた相棒の愛銃を指し示す。
もしこれが先程カズマに向けられていたならば、事態はもう少しややこしくなっていただろう。
もしこれが先程カズマに向けられていたならば、事態はもう少しややこしくなっていただろう。
「そいつは俺の相棒のもんでよぉ。出来る事なら会って渡してやりたいのさ」
「……僕も、ルパンさんが一緒にいてくれるのなら心強いです。
もしルパンさんの相棒――次元さんでしったけ――と会えたなら、このマグナムを渡しても良いかもしれない。
でも……ルパンさんがどうしてここまで尽くしてくれるのか、僕には分からない」
「ああ~、そんなの簡単だ。坊主、ちょっとこっちに来てみろ」
「……僕も、ルパンさんが一緒にいてくれるのなら心強いです。
もしルパンさんの相棒――次元さんでしったけ――と会えたなら、このマグナムを渡しても良いかもしれない。
でも……ルパンさんがどうしてここまで尽くしてくれるのか、僕には分からない」
「ああ~、そんなの簡単だ。坊主、ちょっとこっちに来てみろ」
それで疑問が解けるのならば、とルパンに近づく月。
そしてルパンは――月の、月自身のマグナムをむんずと握りしめた。
そしてルパンは――月の、月自身のマグナムをむんずと握りしめた。
「おーおーおー、え~らく縮こまっちゃってこりゃ。色男がそんなんじゃあ彼女が泣いちゃうぜ。
男はな、女を泣かせれるくらいのモンを持ってなくちゃあ」
「な、な……! いきなり何をするんですかっ!?」
男はな、女を泣かせれるくらいのモンを持ってなくちゃあ」
「な、な……! いきなり何をするんですかっ!?」
咄嗟に振り解こうとするも、そのまま肩を掴まれる。
唇の位置を意識せざるを得ないほど近い位置にルパンの顔があった。
唇の位置を意識せざるを得ないほど近い位置にルパンの顔があった。
「いくら口で強がっていてもな、体は正直だ。こんなになっちまってるやつを放っておくほど……」
「顔が……近いですっ! 台詞がいちいち卑猥ですっ!」
「ハッハッハ、そいつぁ失礼。俺だって野郎の股ぐらなんて握りたくないのによ、坊主がやけにしつこいから……」
「だからそんな言い方はやめてくれと言ってるでしょうが!」
「で、答えだがな。坊主みてぇに怖がっている奴を一人にするほど俺は人でなしじゃないってことさ。それじゃあ満足出来ないかい?」
「顔が……近いですっ! 台詞がいちいち卑猥ですっ!」
「ハッハッハ、そいつぁ失礼。俺だって野郎の股ぐらなんて握りたくないのによ、坊主がやけにしつこいから……」
「だからそんな言い方はやめてくれと言ってるでしょうが!」
「で、答えだがな。坊主みてぇに怖がっている奴を一人にするほど俺は人でなしじゃないってことさ。それじゃあ満足出来ないかい?」
ようやく月にも理解出来た。
ルパンは純粋な善意から、自分と同行しているのだと。
なにか裏があるのではないか、計算した上での同行なのではないかと疑っていた自分が恥ずかしくなる。
ルパンは純粋な善意から、自分と同行しているのだと。
なにか裏があるのではないか、計算した上での同行なのではないかと疑っていた自分が恥ずかしくなる。
「……すいません。そして、ありがとうございます」
「なーに、分かってくれりゃあいいさ」
「なーに、分かってくれりゃあいいさ」
浮かんだ感謝を素直に言葉にした。
……もうすぐ日が昇る。日が昇れば、展望台から島の全景を確かめることも出来るだろう。
そして……最初の放送が流れる時間だ。
死者の名が呼ばれることになる――そう言っていた。
ルパンもカズマも、無闇に人を殺すような人間ではない。接した時間、話した時間は短かったが、それくらいは分かる。
だが、連れてこられた人間全てがルパンやカズマのような人間であるとは思えない。
自分が生き抜くために他者に危害を加える者も、少なからずいるだろう。
もしそんな人間と出会ったとしたら――自分は一体、どうする?
……もうすぐ日が昇る。日が昇れば、展望台から島の全景を確かめることも出来るだろう。
そして……最初の放送が流れる時間だ。
死者の名が呼ばれることになる――そう言っていた。
ルパンもカズマも、無闇に人を殺すような人間ではない。接した時間、話した時間は短かったが、それくらいは分かる。
だが、連れてこられた人間全てがルパンやカズマのような人間であるとは思えない。
自分が生き抜くために他者に危害を加える者も、少なからずいるだろう。
もしそんな人間と出会ったとしたら――自分は一体、どうする?
「L……か」
自分を陥れようとした人物の名を呟く。
Lは、この殺し合いに乗っているのだろうか?
Lは、この殺し合いに乗っているのだろうか?
(もしそうだったとしたら……L、お前は相手を間違えた)
奇しくも、Lと月の基本行動方針は情報を武器にすると言う点で軸を同じくする。
そして、月はこの情報戦において後れを取るつもりなどさらさら無い。
Lが策謀渦巻く頭脳戦を仕掛けてくるのならば、同じ土俵に立った上で完璧に打ちのめす自信さえある。
幸いにして、心強い味方もいる。
少しばかり、いや、かなり……その性癖については、注意しておかなければいけないような気がするのだが。
登山による発汗で、制服の中は随分と蒸れている。
出来れば展望台備え付けの温泉にでも入ってゆっくり汗を流しておきたいところだが……ルパンと一緒に入るのは止めておいた方が良いだろう。
そして、月はこの情報戦において後れを取るつもりなどさらさら無い。
Lが策謀渦巻く頭脳戦を仕掛けてくるのならば、同じ土俵に立った上で完璧に打ちのめす自信さえある。
幸いにして、心強い味方もいる。
少しばかり、いや、かなり……その性癖については、注意しておかなければいけないような気がするのだが。
登山による発汗で、制服の中は随分と蒸れている。
出来れば展望台備え付けの温泉にでも入ってゆっくり汗を流しておきたいところだが……ルパンと一緒に入るのは止めておいた方が良いだろう。
(父さんたちが助けに来るまでただ待つだなんて悠長なことは言ってられない……
僕たちの手でこの殺し合いを止め、脱出する……出来る出来ないじゃない、やるしかないんだ)
僕たちの手でこの殺し合いを止め、脱出する……出来る出来ないじゃない、やるしかないんだ)
これを宿命と言わず、何といえば良いだろう。
夜神月とL。人類最高の頭脳を持つ二人の宿命の炎は――今ここに、再び燃え上がる。
夜神月とL。人類最高の頭脳を持つ二人の宿命の炎は――今ここに、再び燃え上がる。
【一日目早朝/D-5 展望台】
【夜神月@DEATH NOTE】
[装備]なし
[支給品]支給品一式、M19コンバット・マグナム(次元の愛銃)@ルパン三世 確認済み支給品(0~2)、月に関するメモ
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:Lに注意する。ルパンについても(性的な意味で)警戒。
3:情報収集を行い、終盤になったら脱出目的のグループと接触する。
4:命を脅かすような行動方針はなるべく取りたくない。
5:ギアスのような特殊能力の存在を信じていない。だが、カズマの身体能力は……?
[装備]なし
[支給品]支給品一式、M19コンバット・マグナム(次元の愛銃)@ルパン三世 確認済み支給品(0~2)、月に関するメモ
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:Lに注意する。ルパンについても(性的な意味で)警戒。
3:情報収集を行い、終盤になったら脱出目的のグループと接触する。
4:命を脅かすような行動方針はなるべく取りたくない。
5:ギアスのような特殊能力の存在を信じていない。だが、カズマの身体能力は……?
(まったく……どうせ触るんならボインちゃんが良かったのに、な~にが悲しくて♂なんて握らなきゃいけないんだか)
エンガチョエンガチョと握った右手をズボンの尻ではたくルパン。
ルパンが愛するのはボンキュッボンな美女であって、月のような優男ではないのだ。
ルパンが愛するのはボンキュッボンな美女であって、月のような優男ではないのだ。
(それにしても、坊主が殺人鬼ね……)
カズマが残したメモ――ルパンはそれを信じてはいない。
確かに月には、何時暴走してもおかしくない危うさがある。だがそれは、あくまで可能性がある――という話だ。
今現在の月が極悪非道の凶悪殺人鬼だなんて言われても、すんなりと受け入れることは出来ない。
本当の悪党というものは、こんな状況下であろうと怯えた素振りなど見せはしない。
ルパン自身が超一流の悪党だからこそ分かる。月はメモの指すキラなどではない。
ならばこのメモを書いたというLの狙いは、月が唱えた仮説の通り殺し合いの加速なのだろうか。
それもまた、どこか的を外した考えであるように思える。
何か……足りない。この違和感を繋ぐ糸口があるはずなのだ。
確かに月には、何時暴走してもおかしくない危うさがある。だがそれは、あくまで可能性がある――という話だ。
今現在の月が極悪非道の凶悪殺人鬼だなんて言われても、すんなりと受け入れることは出来ない。
本当の悪党というものは、こんな状況下であろうと怯えた素振りなど見せはしない。
ルパン自身が超一流の悪党だからこそ分かる。月はメモの指すキラなどではない。
ならばこのメモを書いたというLの狙いは、月が唱えた仮説の通り殺し合いの加速なのだろうか。
それもまた、どこか的を外した考えであるように思える。
何か……足りない。この違和感を繋ぐ糸口があるはずなのだ。
(ええい、こんな時だってのに頭が働かねぇ)
いずれにせよ決まっているのは、このまま月の行く末を見守る必要があるということ。
機会があれば直接Lを問い質してやりたいものだが、そう上手く遭遇できるかは分からない。
殺し合いが始まってからの経過時間から考えるに、そう遠くない場所にいる可能性が高いが、不用意にLを探して山道を歩きまわるのは危険だろう。
機会があれば直接Lを問い質してやりたいものだが、そう上手く遭遇できるかは分からない。
殺し合いが始まってからの経過時間から考えるに、そう遠くない場所にいる可能性が高いが、不用意にLを探して山道を歩きまわるのは危険だろう。
(あの調子なら、北条悟史の方はカズマに任せても良さそうだが……呼び掛けからもう三時間は過ぎてる。
間に合えばいいんだが……)
間に合えばいいんだが……)
大泥棒の悩みの種は尽きず――夜は白み始めた。
間もなく、最初の放送が流れる。
間もなく、最初の放送が流れる。
【ルパン三世@ルパン三世】
[装備]小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[支給品]支給品一式、確認済み支給品(0~2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:主催者のお宝をいただく。
3:月を見張るため、彼に着いて行く。
4:月の持つM19コンバット・マグナムが欲しい。
5:悟史(というより、他の女の子)のことが少しだけ気になる。
[装備]小太刀二刀流@るろうに剣心-明治剣客浪漫譚-
[支給品]支給品一式、確認済み支給品(0~2)
[状態]健康
[思考・行動]
1:仲間を募りゲームを脱出する。
2:主催者のお宝をいただく。
3:月を見張るため、彼に着いて行く。
4:月の持つM19コンバット・マグナムが欲しい。
5:悟史(というより、他の女の子)のことが少しだけ気になる。
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053:神経質な者、単細胞な者 | カズマ | 081:光を求めて影は |
048:これから先、訪れるであろう全て | ルパン三世 | 095:絶望キネマ |
夜神月 |