反逆 する 者たち ◆1aQTY.tC/A
その山小屋は、林の中のちょっとした広間に建てられていた。
大きめのコテージといった外観の二階建てであり、二十人程度の宿泊が可能な様に設計されている。
しかし今、この小屋を利用している人物はいない。 常駐する管理人や登山客などは誰一人として存在しない。
ただ、凄惨な殺し合いへの参加を強制させられた者が放り込まれているだけだった。
大きめのコテージといった外観の二階建てであり、二十人程度の宿泊が可能な様に設計されている。
しかし今、この小屋を利用している人物はいない。 常駐する管理人や登山客などは誰一人として存在しない。
ただ、凄惨な殺し合いへの参加を強制させられた者が放り込まれているだけだった。
「くそっ! 何が起こっているというんだ……!?」
閑散とした食堂で、学生服を着た一人の少年が呟く。
少年の名はルルーシュ・ランペルージ。 本当の名を、ルルーシュ・ヴィ・ヴリタニアという。
かつては神聖ブリタニア帝国の第十一皇子であり、今は日本──エリア11にあるアッシュフォード学園に通う平凡な学生。 そして、ブリタニアに反逆するテロリスト集団「黒の騎士団」を率いるゼロの正体でもある。
彼は今、(当然のことではあるが)焦燥と狼狽の渦中にあった。 ナナリーが作る特区日本と袂を分かち、中華連邦の政権そのものを覆す作戦を実行し、反ブリタニア戦力の足場を固め、ようやく日本への帰路に着いたのがつい先日のことだ。
それが今、こうして呆気なく敵の手の内に囚われている。 ブリタニアを崩壊させる為の様々な積み重ねが、全て無に帰したと言っても過言ではない状況だった。
(いいや、まだだ! この程度で諦められるか!)
しかしどのような苦境に陥ろうと、ルルーシュは勝たねばならない。 真実を暴き出すために。 彼が望む世界を創りあげるために。
(たとえその道が血に塗れていようとも……!)
閑散とした食堂で、学生服を着た一人の少年が呟く。
少年の名はルルーシュ・ランペルージ。 本当の名を、ルルーシュ・ヴィ・ヴリタニアという。
かつては神聖ブリタニア帝国の第十一皇子であり、今は日本──エリア11にあるアッシュフォード学園に通う平凡な学生。 そして、ブリタニアに反逆するテロリスト集団「黒の騎士団」を率いるゼロの正体でもある。
彼は今、(当然のことではあるが)焦燥と狼狽の渦中にあった。 ナナリーが作る特区日本と袂を分かち、中華連邦の政権そのものを覆す作戦を実行し、反ブリタニア戦力の足場を固め、ようやく日本への帰路に着いたのがつい先日のことだ。
それが今、こうして呆気なく敵の手の内に囚われている。 ブリタニアを崩壊させる為の様々な積み重ねが、全て無に帰したと言っても過言ではない状況だった。
(いいや、まだだ! この程度で諦められるか!)
しかしどのような苦境に陥ろうと、ルルーシュは勝たねばならない。 真実を暴き出すために。 彼が望む世界を創りあげるために。
(たとえその道が血に塗れていようとも……!)
決意と共に、深呼吸をひとつ。
頭のスイッチを切り替える。 自分の身に起こったことと周囲で起こったことを思い出し、冷静に現状を把握する。
(俺を始末する為にわざわざこんな茶番を仕組んだのか? 或いはブリタニアに反抗した者を集めての悪趣味なショー、という可能性もある)
傍らに置いてあったデイバッグの中身を確認する。 すぐに出てきた物は、V.V.が言うところの"バトルロワイアル"の参加者名簿だった。
「やはりスザクが…… しかもオレンジまで。 生きていたとはな」
自分がこうしている以上、C.C.やロロ、咲世子が同じく囚われているというのはまだ解かる。 しかしブリタニアの軍人である枢木スザクとジェレミア・ゴットバルトの名前が記されているという事実は、ルルーシュに軽い困惑を与えていた。
(あの場にいた人間は一様に戸惑っている様子だった。 これがブリタニアが仕組んだものであるとすれば、奴等まで巻き込まれている理由は何だ?)
もっともブリタニアという悪辣な国のことを考えると、忠誠を誓う軍人があっさり切り捨てられるというのも有り得る話。 そうだとすれば嘲笑ってやりたくなるが、二人ともルルーシュに強い恨みを持っているので、自ら手を下す為に志願したという可能性も無くはない。
(まあ、現時点では情報が少なすぎる。 保留か)
考えられる様々な可能性を等しく頭の内に留めておき、それ以外の名前を確認する。
名簿の上では、他にルルーシュが知っている人物はいない。 名前のみで判断すると多くは日本人であり、その中に二割ほどブリタニアかEUの人間らしき名が混じっている。 しかし中には、どうにも判別し難いものもあった。
(多くはフルネームなのに、一部はおそらくファーストネームのみが記載されている。 この三世というのは明らかに名前とは思えないが…… シャドームーンやLなど、これはコードネームの類じゃないのか? 水銀燈やなんとか石というのも、日本人にしては変わった名だ)
記名の形式が統一されておらず、本名なのかどうか判らない名が多過ぎる名簿。 疑いだせばキリが無く、少なくともルルーシュの知る五人がバトルロワイアルに参加させられている事だけは確かだと思うことにした。
(俺を始末する為にわざわざこんな茶番を仕組んだのか? 或いはブリタニアに反抗した者を集めての悪趣味なショー、という可能性もある)
傍らに置いてあったデイバッグの中身を確認する。 すぐに出てきた物は、V.V.が言うところの"バトルロワイアル"の参加者名簿だった。
「やはりスザクが…… しかもオレンジまで。 生きていたとはな」
自分がこうしている以上、C.C.やロロ、咲世子が同じく囚われているというのはまだ解かる。 しかしブリタニアの軍人である枢木スザクとジェレミア・ゴットバルトの名前が記されているという事実は、ルルーシュに軽い困惑を与えていた。
(あの場にいた人間は一様に戸惑っている様子だった。 これがブリタニアが仕組んだものであるとすれば、奴等まで巻き込まれている理由は何だ?)
もっともブリタニアという悪辣な国のことを考えると、忠誠を誓う軍人があっさり切り捨てられるというのも有り得る話。 そうだとすれば嘲笑ってやりたくなるが、二人ともルルーシュに強い恨みを持っているので、自ら手を下す為に志願したという可能性も無くはない。
(まあ、現時点では情報が少なすぎる。 保留か)
考えられる様々な可能性を等しく頭の内に留めておき、それ以外の名前を確認する。
名簿の上では、他にルルーシュが知っている人物はいない。 名前のみで判断すると多くは日本人であり、その中に二割ほどブリタニアかEUの人間らしき名が混じっている。 しかし中には、どうにも判別し難いものもあった。
(多くはフルネームなのに、一部はおそらくファーストネームのみが記載されている。 この三世というのは明らかに名前とは思えないが…… シャドームーンやLなど、これはコードネームの類じゃないのか? 水銀燈やなんとか石というのも、日本人にしては変わった名だ)
記名の形式が統一されておらず、本名なのかどうか判らない名が多過ぎる名簿。 疑いだせばキリが無く、少なくともルルーシュの知る五人がバトルロワイアルに参加させられている事だけは確かだと思うことにした。
さらにバッグを探ると、出てきたのは拳銃だった。 ルルーシュが今まで手にしたことの無い、初めて見る型のものだ。
本体と別に弾倉が二つ入っており、やや手間取りながら弾を出してみると、一つにつき十三発入るようになっていた。
「殺し合いの為の武器ということか? つまらん真似をしてくれる……」
悪態をつきながらも弾倉を挿入、初弾を装填し、軽く狙いを定めてみる。 重量や大きさの点でも使いづらいという訳はなく、問題無く使用出来そうだった。 しかし……
(妙な違和感があるな。 本当に見たことの無い銃だ。 まさか精巧に造られた玩具ということはないだろうな)
一般に銃と呼ばれる兵器、ルルーシュが今まで使用してきた拳銃とは、何かが違う。 いざという時に撃てないでは困るので試射をしたいところだが、銃声によって好ましくない人間を呼んでしまう可能性もあった。
(いや、誰が来ようとも俺にはギアスがある。 今後の為にも、不安は払拭しておくべきだ)
そう判断し、ルルーシュは食堂を出た。 毛布か何かがあれば、消音しながら撃つことも出来るかも知れない。 それ以外にも何かしら利用できる物があることを期待して、物置というプレートが貼ってある扉を開く。
本体と別に弾倉が二つ入っており、やや手間取りながら弾を出してみると、一つにつき十三発入るようになっていた。
「殺し合いの為の武器ということか? つまらん真似をしてくれる……」
悪態をつきながらも弾倉を挿入、初弾を装填し、軽く狙いを定めてみる。 重量や大きさの点でも使いづらいという訳はなく、問題無く使用出来そうだった。 しかし……
(妙な違和感があるな。 本当に見たことの無い銃だ。 まさか精巧に造られた玩具ということはないだろうな)
一般に銃と呼ばれる兵器、ルルーシュが今まで使用してきた拳銃とは、何かが違う。 いざという時に撃てないでは困るので試射をしたいところだが、銃声によって好ましくない人間を呼んでしまう可能性もあった。
(いや、誰が来ようとも俺にはギアスがある。 今後の為にも、不安は払拭しておくべきだ)
そう判断し、ルルーシュは食堂を出た。 毛布か何かがあれば、消音しながら撃つことも出来るかも知れない。 それ以外にも何かしら利用できる物があることを期待して、物置というプレートが貼ってある扉を開く。
そこに、人がいた。
咄嗟にルルーシュは銃を向けた。
「誰だ!」
「ひっ!」
誰何への応えは、小さな悲鳴。
薄汚れた物置の隅に蹲っていたのは、学生服らしきものを着た一人の少女だった。 そうすれば全ての危機から身を守れるかのように、頭を抱えて何も見ないようにしている。
「う、撃たないで撃たないで!」
その声も姿も、余りに弱々しい。 相手を油断させる為の演技という訳でもなく、ルルーシュに対する本物の恐怖に身を震わせているようだ。
とりあえず危険度は低いと見てよかった。 ルルーシュは銃を下ろし、少女に可能な限り優しげな言葉をかける。
「すまなかった、撃つ気はない。 こんな状況だから慌てて銃を向けてしまった。 そちらが何もしないなら、こちらも何もしない」
「やだ、やだ、死にたくないよお姉ちゃんこなちゃんゆきちゃんみなみちゃん助けて、助けて」
少女はルルーシュの声を聞いていなかった。 こちらを見ようともせず、誰かの名を呼びながら助けを請うている。
「大丈夫だ、安心しろ。 何もする気はない、落ち着いて話そう」
「やだよやだよなんでなんでゆたかちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃん──」
言葉は届かない。 この世の中の全てを恐れ、外部からの情報を遮断しようとしているかの様だ。
舌打ち一つしたルルーシュは、彼女の傍に支給品であろうデイバッグが置いてあることを確認する。 震え続ける少女を横目に、それを自分の足元に寄せた。
(さて)
このままでは会話も出来ない。 ルルーシュは意を決して左目のコンタクトレンズを外し、ぐいと少女の腕を掴んだ。
「や、いやああぁあぁっ!!」
少女はますます混乱し、闇雲に手足を振り回した。
「くそっ、暴れるな! 俺の目を見ろ!」
思った以上に手こずりながらも、ルルーシュは何とか少女を床に押さえつけることが出来た。 それでも頑なに閉じられる目蓋を、指で無理矢理に開かせる。
僅かな隙を逃さず、ルルーシュの目の紅い紋様が輝く。 絶対命令権、ギアスが発動する。
「冷静になれ!」
相手の意思も思想も踏み躙る紅い光が、少女の眼から脳内へと浸透してゆく。 ただ一つの命令が、彼女の内に深く刻み込まれる。
「……うん」
先程までの恐慌が嘘だったかの様に、少女はきょとんとした顔で頷いた。 その目はギアスをかけられた者特有の色を見せている。
(ギアスは効くようだな。 だとすれば、あの兵士達全員が何らかのギアス対策をしていたということか?)
そんな思考が一瞬だけルルーシュの脳裏を過ぎるが、今はひとまず目の前の少女への対応だ。
「誰だ!」
「ひっ!」
誰何への応えは、小さな悲鳴。
薄汚れた物置の隅に蹲っていたのは、学生服らしきものを着た一人の少女だった。 そうすれば全ての危機から身を守れるかのように、頭を抱えて何も見ないようにしている。
「う、撃たないで撃たないで!」
その声も姿も、余りに弱々しい。 相手を油断させる為の演技という訳でもなく、ルルーシュに対する本物の恐怖に身を震わせているようだ。
とりあえず危険度は低いと見てよかった。 ルルーシュは銃を下ろし、少女に可能な限り優しげな言葉をかける。
「すまなかった、撃つ気はない。 こんな状況だから慌てて銃を向けてしまった。 そちらが何もしないなら、こちらも何もしない」
「やだ、やだ、死にたくないよお姉ちゃんこなちゃんゆきちゃんみなみちゃん助けて、助けて」
少女はルルーシュの声を聞いていなかった。 こちらを見ようともせず、誰かの名を呼びながら助けを請うている。
「大丈夫だ、安心しろ。 何もする気はない、落ち着いて話そう」
「やだよやだよなんでなんでゆたかちゃんおねえちゃんおねえちゃんおねえちゃん──」
言葉は届かない。 この世の中の全てを恐れ、外部からの情報を遮断しようとしているかの様だ。
舌打ち一つしたルルーシュは、彼女の傍に支給品であろうデイバッグが置いてあることを確認する。 震え続ける少女を横目に、それを自分の足元に寄せた。
(さて)
このままでは会話も出来ない。 ルルーシュは意を決して左目のコンタクトレンズを外し、ぐいと少女の腕を掴んだ。
「や、いやああぁあぁっ!!」
少女はますます混乱し、闇雲に手足を振り回した。
「くそっ、暴れるな! 俺の目を見ろ!」
思った以上に手こずりながらも、ルルーシュは何とか少女を床に押さえつけることが出来た。 それでも頑なに閉じられる目蓋を、指で無理矢理に開かせる。
僅かな隙を逃さず、ルルーシュの目の紅い紋様が輝く。 絶対命令権、ギアスが発動する。
「冷静になれ!」
相手の意思も思想も踏み躙る紅い光が、少女の眼から脳内へと浸透してゆく。 ただ一つの命令が、彼女の内に深く刻み込まれる。
「……うん」
先程までの恐慌が嘘だったかの様に、少女はきょとんとした顔で頷いた。 その目はギアスをかけられた者特有の色を見せている。
(ギアスは効くようだな。 だとすれば、あの兵士達全員が何らかのギアス対策をしていたということか?)
そんな思考が一瞬だけルルーシュの脳裏を過ぎるが、今はひとまず目の前の少女への対応だ。
「そうだよね、泣いたって何にもならないよね」
「ああ、そうだ」
ルルーシュが少女を解放すると、本人の意識とは無関係に"冷静になった"彼女は、服の汚れを掃いながら立ち上がった。
やや曖昧なギアスではあったが、少女の中から先程までの恐怖は取り除かれている様だ。 もっと重要な命令の為にとっておくべきかとも考えたが、ギアスが使用可能かどうかの判断と、その効果の程を測るためのテストの意味合いもあった。
ルルーシュは二、三歩後ずさり、少女との間に距離を置く。 彼女が"冷静"になった結果、こちらを排除しとうと攻撃してくる可能性もあった。 その為に武器が入っているかも知れないデイバッグを確保しておいたのだ。
銃口を向けはしないが、それでもすぐに発砲できるよう態勢を整えながら、ルルーシュは少女を注視する。
程無く彼女の口から飛び出したのは、
「初めまして、柊つかさです」
満面の笑顔を添えた挨拶だった。
「あ、ああ。 俺はルルーシュ・ランペルージだ」
やや気勢を削がれつつ、ルルーシュも応じる。
「じゃあ、あの、えっと、ランペルージ君は殺し合い、するの?」
つかさと名乗った少女は、一切の怯えも動揺もなく、日常の中の平凡な質問であるかの様にそう尋ねた。
「ルルーシュで構わない。 そうだな、俺の命を狙う者がいるなら防衛力の行使を躊躇うつもりはない。 その結果、相手が死ぬことになっても」
「う~ん……」
つかさは何かを考える様な仕草で俯いている。 構わずルルーシュは続けた。
「ただ積極的に殺し合いを進めていれば、それこそV.V.達の思う壷だ。 だからまずは、この首輪を外すために行動したい。 俺達の命を握るこれさえなければ、連中に従う必要もなくなる」
「うん、そっか、そうだよね。 私もそうしたいなあ。 ゆたかちゃんは残念だったけど、お姉ちゃんやこなちゃん、ゆきちゃん、みなみちゃんまで死んじゃったら大変だもん」
「なら問題無い。 俺達は互いに協力できる。 このバトルロワイアルとやらに反逆し、俺と、君の友人達を連れて脱出しよう」
「反逆かあ…… うん、そうだね、一緒に協力しよ、えっと、ルルーシュ君」
つかさは無垢な笑顔をルルーシュに向けている。 あれだけ怯えていた割に、初対面のルルーシュを警戒したり疑ったりすることは無いらしい。
平時ではその様子も微笑ましく見られるが、今はおよそ平時とは程遠い状況だ。 ギアスで"冷静に"なってもこの調子では、面倒が起こった時に役に立つかどうか疑わしい。
(邪魔になるようなら、さっさと切り捨てるか)
冷徹に、ルルーシュはそう思った。
「ああ、そうだ」
ルルーシュが少女を解放すると、本人の意識とは無関係に"冷静になった"彼女は、服の汚れを掃いながら立ち上がった。
やや曖昧なギアスではあったが、少女の中から先程までの恐怖は取り除かれている様だ。 もっと重要な命令の為にとっておくべきかとも考えたが、ギアスが使用可能かどうかの判断と、その効果の程を測るためのテストの意味合いもあった。
ルルーシュは二、三歩後ずさり、少女との間に距離を置く。 彼女が"冷静"になった結果、こちらを排除しとうと攻撃してくる可能性もあった。 その為に武器が入っているかも知れないデイバッグを確保しておいたのだ。
銃口を向けはしないが、それでもすぐに発砲できるよう態勢を整えながら、ルルーシュは少女を注視する。
程無く彼女の口から飛び出したのは、
「初めまして、柊つかさです」
満面の笑顔を添えた挨拶だった。
「あ、ああ。 俺はルルーシュ・ランペルージだ」
やや気勢を削がれつつ、ルルーシュも応じる。
「じゃあ、あの、えっと、ランペルージ君は殺し合い、するの?」
つかさと名乗った少女は、一切の怯えも動揺もなく、日常の中の平凡な質問であるかの様にそう尋ねた。
「ルルーシュで構わない。 そうだな、俺の命を狙う者がいるなら防衛力の行使を躊躇うつもりはない。 その結果、相手が死ぬことになっても」
「う~ん……」
つかさは何かを考える様な仕草で俯いている。 構わずルルーシュは続けた。
「ただ積極的に殺し合いを進めていれば、それこそV.V.達の思う壷だ。 だからまずは、この首輪を外すために行動したい。 俺達の命を握るこれさえなければ、連中に従う必要もなくなる」
「うん、そっか、そうだよね。 私もそうしたいなあ。 ゆたかちゃんは残念だったけど、お姉ちゃんやこなちゃん、ゆきちゃん、みなみちゃんまで死んじゃったら大変だもん」
「なら問題無い。 俺達は互いに協力できる。 このバトルロワイアルとやらに反逆し、俺と、君の友人達を連れて脱出しよう」
「反逆かあ…… うん、そうだね、一緒に協力しよ、えっと、ルルーシュ君」
つかさは無垢な笑顔をルルーシュに向けている。 あれだけ怯えていた割に、初対面のルルーシュを警戒したり疑ったりすることは無いらしい。
平時ではその様子も微笑ましく見られるが、今はおよそ平時とは程遠い状況だ。 ギアスで"冷静に"なってもこの調子では、面倒が起こった時に役に立つかどうか疑わしい。
(邪魔になるようなら、さっさと切り捨てるか)
冷徹に、ルルーシュはそう思った。
銃の試射は問題無く行われた。 登山客に宛がわれるのであろう二階の大部屋にベッドが幾つも置いてあり、毛布に包んで発砲することである程度の消音効果が得られた。
その後、二人は食堂に戻り情報交換を始めた。
情報と言っても、つかさがこの殺し合いに関して知っていることなど何も無く、ルルーシュが知る事が出来たのは参加者数人の人となり程度である。 それでも前後不覚な現状にあっては生き延びるための重要な鍵であると言えた。
ただしつかさが語るその内容は、ルルーシュに大きな困惑をもたらす事になった。
つかさは、神聖ブリタニア帝国の存在を知らないのである。
ルルーシュは当初、つかさを名誉ブリタニア人だと思っていた。 そうでなければ、日本人でありながら小奇麗な制服を着て学校に通うなどという生活は不可能である。 或いは、ナナリーが本土に残った日本人に対し生活改善の措置を取ったか。
しかしつかさが語る彼女の日常には、ブリタニアの存在を思わせる要素は欠片も無かった。 日本は他国に支配されることなく、つかさや友人達はごく当たり前に学生生活を楽しんでいるという。
(どういうことだ……?)
もっとも導き易い結論は、つかさが妄想と現実の区別がつかない少女だということだ。
しかしそれは、ギアスという超常の能力を知っているルルーシュにすれば余りにも安易な答えである。 彼自信、偽りの記憶を信じて過ごした経験がある故に。
(ギアスでこの女の記憶を書き換えているのか? だとすれば何の為に?)
疑念の材料は次々と増えてゆく。 幾通りもの結論を想定したところでその正否は確認しようがなく、先送りになる問題に苛立ちばかりがつのる。
情報と言っても、つかさがこの殺し合いに関して知っていることなど何も無く、ルルーシュが知る事が出来たのは参加者数人の人となり程度である。 それでも前後不覚な現状にあっては生き延びるための重要な鍵であると言えた。
ただしつかさが語るその内容は、ルルーシュに大きな困惑をもたらす事になった。
つかさは、神聖ブリタニア帝国の存在を知らないのである。
ルルーシュは当初、つかさを名誉ブリタニア人だと思っていた。 そうでなければ、日本人でありながら小奇麗な制服を着て学校に通うなどという生活は不可能である。 或いは、ナナリーが本土に残った日本人に対し生活改善の措置を取ったか。
しかしつかさが語る彼女の日常には、ブリタニアの存在を思わせる要素は欠片も無かった。 日本は他国に支配されることなく、つかさや友人達はごく当たり前に学生生活を楽しんでいるという。
(どういうことだ……?)
もっとも導き易い結論は、つかさが妄想と現実の区別がつかない少女だということだ。
しかしそれは、ギアスという超常の能力を知っているルルーシュにすれば余りにも安易な答えである。 彼自信、偽りの記憶を信じて過ごした経験がある故に。
(ギアスでこの女の記憶を書き換えているのか? だとすれば何の為に?)
疑念の材料は次々と増えてゆく。 幾通りもの結論を想定したところでその正否は確認しようがなく、先送りになる問題に苛立ちばかりがつのる。
実はルルーシュが銃に対して感じた違和感も、つかさの語る内容への疑念も、根は同じであった。
異世界。
ルルーシュとつかさはそれぞれ異なる"世界"に生きる人間であり、件の銃もまた、ルルーシュの"世界"には存在しない物。
この突拍子も無い答えに辿り着けぬのも、無理からぬ話だった。
異世界。
ルルーシュとつかさはそれぞれ異なる"世界"に生きる人間であり、件の銃もまた、ルルーシュの"世界"には存在しない物。
この突拍子も無い答えに辿り着けぬのも、無理からぬ話だった。
「ルルーシュ君は友達とかいないの?」
「あ、ああ。 いや、そうじゃなくてだな……」
とりあえずルルーシュの方は、C.C.、ロロ、咲世子のことを「友人」とだけ説明しておいた。 実際には(特にロロは)もっと複雑な関係ではあるが、わざわざそこまで語る必要性はどこにも無い。
つかさの様に悲喜交々の細かなエピソードを織り交ぜて紹介するのは時間の無駄としか考えられなかった。
「あ、ああ。 いや、そうじゃなくてだな……」
とりあえずルルーシュの方は、C.C.、ロロ、咲世子のことを「友人」とだけ説明しておいた。 実際には(特にロロは)もっと複雑な関係ではあるが、わざわざそこまで語る必要性はどこにも無い。
つかさの様に悲喜交々の細かなエピソードを織り交ぜて紹介するのは時間の無駄としか考えられなかった。
「じゃあ、どうするの? お姉ちゃんたちや、その、シーツーさんたちを探しに行くの?」
互いにある程度の話を終え、支給品の確認なども済んだのは一時間ほど後のことだった。 つかさの姉と友達自慢に多くの時間を取られたが、ルルーシュも気を取り直す。
「迂闊に動き回らないことだ。 この暗さでは、こちらを狙う者がいた場合に発見が遅れる」
屈辱的なことではあるが、身体能力について自慢できる点があるとは自分でも思っていない。 つかさが戦力になるとはとても思えず、移動においては最大限の安全策を取る必要があった。
そして山小屋がスタート地点であった事は不幸中の幸いと言ったところか。 完全に安心とは言えないが、いつ襲撃者と遭遇するかも知れない屋外より遥かにマシで、落ち着いて思索に耽ることも出来る。
「うん、そうだね── あ」
窓の外を見ていたつかさが振り向き、小さな声をあげた。 その視線はルルーシュではなく、その後方に向けられている。
ルルーシュの反応は素早かった。 ぱっ身を翻すと同時に銃口を正面に向ける。
互いにある程度の話を終え、支給品の確認なども済んだのは一時間ほど後のことだった。 つかさの姉と友達自慢に多くの時間を取られたが、ルルーシュも気を取り直す。
「迂闊に動き回らないことだ。 この暗さでは、こちらを狙う者がいた場合に発見が遅れる」
屈辱的なことではあるが、身体能力について自慢できる点があるとは自分でも思っていない。 つかさが戦力になるとはとても思えず、移動においては最大限の安全策を取る必要があった。
そして山小屋がスタート地点であった事は不幸中の幸いと言ったところか。 完全に安心とは言えないが、いつ襲撃者と遭遇するかも知れない屋外より遥かにマシで、落ち着いて思索に耽ることも出来る。
「うん、そうだね── あ」
窓の外を見ていたつかさが振り向き、小さな声をあげた。 その視線はルルーシュではなく、その後方に向けられている。
ルルーシュの反応は素早かった。 ぱっ身を翻すと同時に銃口を正面に向ける。
食堂の入り口に一人の男が立っていた。 ルルーシュとの距離は四メートルと開いておらず、一瞬肝が冷える思いを味わった。
(屋内が安全だと思った直後にこれか! 銃声のせいか!? 入って来る音を聞き逃したのか!? それとも何処かの部屋で息を潜めていたのか!? いや、落ち着け!)
想定外の事態に軽いパニックに陥りかけたが、理性を総動員して目の前の現実に対処する。
「何者だ!」
声が上擦っていたかも知れない。
「あぁ……?」
ルルーシュの誰何に対し、男はどこか気だるげな声を出す。
跳ねるような金髪。 毒々しい蛇柄の服。 ただそこに立っているだけで、男の全身からは凶暴な気配が溢れ出している。
「お前こそ誰だ」
質問を質問で返され顔をしかめつつも、ルルーシュはランペルージ姓の方を名乗った。
「それで、お前は」
「……浅倉だ」
名簿に載っていた名を思い出す。 アサクラ・タケシだったか。
対峙している人間の名を聞き、ルルーシュはようやく頭が冷えてきたのを自覚する。 隣で自分も名乗るべきか考えているつかさの姿が見えたことも一因かも知れない。
「浅倉。 お前は、このバトルロワイアルについて何か知っているのか」
「知るか、そんなもの」
「そうか」
男──浅倉の吐き捨てるような素っ気無い答えは、嘘や思惑の含みをまるで感じさせない。
「もう一つ訊く。 お前はこのバトルロワイアルでどう動くつもりだ?」
「あぁ?」
「あの子供の言っていたように、自分以外の数十人と殺し合いを演じるつもりか。 それとも、協力者を見つけるなりして脱出の方法を探るか」
「……ゴチャゴチャと五月蝿い奴だ」
愚問だと言う様に、浅倉はせせら笑った。
「戦えばいいんだよ、最後の一人になるまでな!」
自分に向けられている銃口など見えていないのか、ルルーシュに向けてずいと歩み出す。
想定外の事態に軽いパニックに陥りかけたが、理性を総動員して目の前の現実に対処する。
「何者だ!」
声が上擦っていたかも知れない。
「あぁ……?」
ルルーシュの誰何に対し、男はどこか気だるげな声を出す。
跳ねるような金髪。 毒々しい蛇柄の服。 ただそこに立っているだけで、男の全身からは凶暴な気配が溢れ出している。
「お前こそ誰だ」
質問を質問で返され顔をしかめつつも、ルルーシュはランペルージ姓の方を名乗った。
「それで、お前は」
「……浅倉だ」
名簿に載っていた名を思い出す。 アサクラ・タケシだったか。
対峙している人間の名を聞き、ルルーシュはようやく頭が冷えてきたのを自覚する。 隣で自分も名乗るべきか考えているつかさの姿が見えたことも一因かも知れない。
「浅倉。 お前は、このバトルロワイアルについて何か知っているのか」
「知るか、そんなもの」
「そうか」
男──浅倉の吐き捨てるような素っ気無い答えは、嘘や思惑の含みをまるで感じさせない。
「もう一つ訊く。 お前はこのバトルロワイアルでどう動くつもりだ?」
「あぁ?」
「あの子供の言っていたように、自分以外の数十人と殺し合いを演じるつもりか。 それとも、協力者を見つけるなりして脱出の方法を探るか」
「……ゴチャゴチャと五月蝿い奴だ」
愚問だと言う様に、浅倉はせせら笑った。
「戦えばいいんだよ、最後の一人になるまでな!」
自分に向けられている銃口など見えていないのか、ルルーシュに向けてずいと歩み出す。
コンタクトを外す動作は、素早く。
(フン、獣め)
ほんの短いやり取りだったが、浅倉という男を判断するには充分だった。
ルルーシュにとっては取るに足らぬ存在。 おそらくは志も目的も無く、ただ毎日を生きているだけの下らない人種。 こういう手合いは見下すか、餌をチラつかせ利用してやるかのどちらかだ。
そして、図々しくも黒の騎士団を率いるゼロに歯向かおうとしている、この浅倉にくれてやる言葉は一つだけだった。
(フン、獣め)
ほんの短いやり取りだったが、浅倉という男を判断するには充分だった。
ルルーシュにとっては取るに足らぬ存在。 おそらくは志も目的も無く、ただ毎日を生きているだけの下らない人種。 こういう手合いは見下すか、餌をチラつかせ利用してやるかのどちらかだ。
そして、図々しくも黒の騎士団を率いるゼロに歯向かおうとしている、この浅倉にくれてやる言葉は一つだけだった。
「跪け!」
一言、ただそれだけで良い。
次の瞬間、あと一歩でルルーシュに手が届く距離にいた浅倉は、がっくりと両膝を床に着いた。 傍から見ていれば、急に下半身から力が抜け切ったかの様にも思える。 浅倉はそのまま立ち上がろうともせず、ただルルーシュを睨み上げるだけだった。
次の瞬間、あと一歩でルルーシュに手が届く距離にいた浅倉は、がっくりと両膝を床に着いた。 傍から見ていれば、急に下半身から力が抜け切ったかの様にも思える。 浅倉はそのまま立ち上がろうともせず、ただルルーシュを睨み上げるだけだった。
これがギアスという能力だ。 相手を無力化するのに「死ね」などと命じる必要も無い。 跪けと言えば跪くし、動くなと言えば動かなくなる。 腕立て伏せをしろと言えばそうするのだ。
このバトルロワイアルにおいて、ルルーシュは余りにも圧倒的な能力を持っている。
このバトルロワイアルにおいて、ルルーシュは余りにも圧倒的な能力を持っている。
「この人、どうしちゃったの?」
つかさは浅倉の顔を不思議そうに覗き込みながら、ルルーシュに尋ねた。
「うるさい、黙ってろ……!」
浅倉は噛み付くような声をあげる。 その目には凶暴な光が宿っているが、膝を付いた姿勢を崩そうとはしない。 今の彼にとって、「跪く」という状態を維持することが何よりも優先すべきことなのだ。
「放っておこう。 どうやら何もする気はないようだ」
「お前……!」
ギアスに支配されながらもルルーシュへの敵意は失っていないらしい。 しかし敵意だけで人に害は及ぼせない。
もはや浅倉は、ギアスという強靭無比な鎖で繋がれた獣にすぎなかった。 つかさがすぐ傍で興味深げに眺めていても、噛み付くことさえ出来ない。
(誰かに殺されるまでそうしているがいい)
つかさの目が逸れているうちに、ルルーシュの顔に傲岸な笑みが浮かぶ。 彼がブリタニア皇族であると知る者ならばさもあらんと頷きそうな、遥かな高みから敗者を見下ろす嘲笑。
地に這い蹲り泥を啜って生きてきた浅倉の暗い視線が、その顔をじっと見据えた。
「さて、ここにいると鬱陶しそうだ。 別の部屋で今後のことを考えようか」
すぐに平素な顔を取り繕うと、ルルーシュはつかさの返事を待たずにデイバッグを担いで歩き出した。 無論、浅倉が持って来た分を回収することも忘れていない。
「あ、ルルーシュ君、待って」
つかさはちらちらと浅倉の様子を伺いながらルルーシュの後に続く。 浅倉は二人の姿が見えなくなった後も、食堂の入り口に刺す様な視線を向け続けていた。
つかさは浅倉の顔を不思議そうに覗き込みながら、ルルーシュに尋ねた。
「うるさい、黙ってろ……!」
浅倉は噛み付くような声をあげる。 その目には凶暴な光が宿っているが、膝を付いた姿勢を崩そうとはしない。 今の彼にとって、「跪く」という状態を維持することが何よりも優先すべきことなのだ。
「放っておこう。 どうやら何もする気はないようだ」
「お前……!」
ギアスに支配されながらもルルーシュへの敵意は失っていないらしい。 しかし敵意だけで人に害は及ぼせない。
もはや浅倉は、ギアスという強靭無比な鎖で繋がれた獣にすぎなかった。 つかさがすぐ傍で興味深げに眺めていても、噛み付くことさえ出来ない。
(誰かに殺されるまでそうしているがいい)
つかさの目が逸れているうちに、ルルーシュの顔に傲岸な笑みが浮かぶ。 彼がブリタニア皇族であると知る者ならばさもあらんと頷きそうな、遥かな高みから敗者を見下ろす嘲笑。
地に這い蹲り泥を啜って生きてきた浅倉の暗い視線が、その顔をじっと見据えた。
「さて、ここにいると鬱陶しそうだ。 別の部屋で今後のことを考えようか」
すぐに平素な顔を取り繕うと、ルルーシュはつかさの返事を待たずにデイバッグを担いで歩き出した。 無論、浅倉が持って来た分を回収することも忘れていない。
「あ、ルルーシュ君、待って」
つかさはちらちらと浅倉の様子を伺いながらルルーシュの後に続く。 浅倉は二人の姿が見えなくなった後も、食堂の入り口に刺す様な視線を向け続けていた。
「ルルーシュ君、さっき『ひざまずけ』って言ったよね。 それであの人は、その、ひざまずいちゃったんだよね?」
廊下を歩きながら、つかさは前を行くルルーシュに声をかけた。
「さあ、どうかな」
二人分のバッグが意外に軽いことにやや安堵しながら、ルルーシュは適当に答えた。 巧くはぐらかしたいところだが、明らかに敵意を持って接近して来た男が自分の指示に素直に従うなど、どう説明がつく状況でもない。
「ルルーシュ君、すごいね! 魔法使いみたい」
言い訳はつかず、つかさは少なくともルルーシュが浅倉に何かをしたことだけは確信したようだ。 素直に賞賛の言葉を贈ってくるが、ルルーシュとしては悩みの種が一つ増えたところだ。
ギアスという能力は出来る限り隠しておくべきものだ。 つかさはその人間性ゆえにルルーシュを信頼し切り、既に自分が"魔法"をかけられているなどと疑いもしていない。
しかし彼女は新しく協力関係になった人間にも、暢気にルルーシュの"魔法"を吹聴する可能性があった。
(この女はもう役に立ちそうにないな。 姉や友人と接触する時に名前を出せば充分といったところか。 面倒なことになる前に、いっそ──)
切り捨てる時期は意外に早そうだと、ルルーシュは思った。
廊下を歩きながら、つかさは前を行くルルーシュに声をかけた。
「さあ、どうかな」
二人分のバッグが意外に軽いことにやや安堵しながら、ルルーシュは適当に答えた。 巧くはぐらかしたいところだが、明らかに敵意を持って接近して来た男が自分の指示に素直に従うなど、どう説明がつく状況でもない。
「ルルーシュ君、すごいね! 魔法使いみたい」
言い訳はつかず、つかさは少なくともルルーシュが浅倉に何かをしたことだけは確信したようだ。 素直に賞賛の言葉を贈ってくるが、ルルーシュとしては悩みの種が一つ増えたところだ。
ギアスという能力は出来る限り隠しておくべきものだ。 つかさはその人間性ゆえにルルーシュを信頼し切り、既に自分が"魔法"をかけられているなどと疑いもしていない。
しかし彼女は新しく協力関係になった人間にも、暢気にルルーシュの"魔法"を吹聴する可能性があった。
(この女はもう役に立ちそうにないな。 姉や友人と接触する時に名前を出せば充分といったところか。 面倒なことになる前に、いっそ──)
切り捨てる時期は意外に早そうだと、ルルーシュは思った。
(すごいなあ、ルルーシュ君。 不思議な魔法が使えるんだ。 えーと、超能力、かな?)
柊つかさは先刻の出来事を何度も思い返していた。
ルルーシュの不思議な能力に対する、素直な感動の念が湧いてくる。 ただしそれは普段の彼女が持つであろう、様々な物事に対する感動よりは幾分か小さなものだった。
今のつかさにとって重要なのは、ルルーシュがそういう能力を有している事ではなく、その能力が自分やかがみ達の生存にどう活用できるのかということ。
(もっと詳しく聞いてみたいけど、ルルーシュ君はあんまり話したくなさそうだし……)
彼の能力について、もっと色々教えてほしいと思う。 何しろこれから協力していくのだから、お互い大事なことは知っておいた方がいい筈だ。
(まだちょっと安心できないかな、ぶいつう君と知り合いみたいだし。 映画とかでも、いちばん仲間っぽい人が敵と協力してたりするしね)
つかさは覚えている。 目の前にゆたかの首が転がって来た時のことも、今なら動揺もせずに思い起こせる。
(もし、ルルーシュ君が敵だったら──)
その先を考えることに、少し抵抗があった。 本来つかさが有している何かが、そんなはずないよ、と心のどこかで声を上げている。
しかし今の彼女は、余計な感情や雑念を排して思考を続けることが出来た。
(可哀想だけど、殺さないと駄目だよね。 そうしないと、そのルルーシュ君がお姉ちゃんやこなちゃんたちを殺しちゃうかも知れないもんね。 そんなの嫌だもん)
ルルーシュは、自分の身を守る為ならば相手を殺すことになっても仕方ないと言った。 つかさもその意見には頷ける。
今のつかさの中では、様々な事柄の優先順位がハッキリと決定していた。 かがみやこなた達の命は、それ以外の人間の命よりも明らかに重い。 だから、可哀想だとは思うけれども、軽い命を切り捨てていくのは仕方の無いことなのだ。
(なんだか頭が冴えてるなあ。 超KOOLって感じ。 今の私なら、お姉ちゃんにも勝てそう)
柊つかさは彼女の人生の中で、今までに無く"冷静"だった。
柊つかさは先刻の出来事を何度も思い返していた。
ルルーシュの不思議な能力に対する、素直な感動の念が湧いてくる。 ただしそれは普段の彼女が持つであろう、様々な物事に対する感動よりは幾分か小さなものだった。
今のつかさにとって重要なのは、ルルーシュがそういう能力を有している事ではなく、その能力が自分やかがみ達の生存にどう活用できるのかということ。
(もっと詳しく聞いてみたいけど、ルルーシュ君はあんまり話したくなさそうだし……)
彼の能力について、もっと色々教えてほしいと思う。 何しろこれから協力していくのだから、お互い大事なことは知っておいた方がいい筈だ。
(まだちょっと安心できないかな、ぶいつう君と知り合いみたいだし。 映画とかでも、いちばん仲間っぽい人が敵と協力してたりするしね)
つかさは覚えている。 目の前にゆたかの首が転がって来た時のことも、今なら動揺もせずに思い起こせる。
(もし、ルルーシュ君が敵だったら──)
その先を考えることに、少し抵抗があった。 本来つかさが有している何かが、そんなはずないよ、と心のどこかで声を上げている。
しかし今の彼女は、余計な感情や雑念を排して思考を続けることが出来た。
(可哀想だけど、殺さないと駄目だよね。 そうしないと、そのルルーシュ君がお姉ちゃんやこなちゃんたちを殺しちゃうかも知れないもんね。 そんなの嫌だもん)
ルルーシュは、自分の身を守る為ならば相手を殺すことになっても仕方ないと言った。 つかさもその意見には頷ける。
今のつかさの中では、様々な事柄の優先順位がハッキリと決定していた。 かがみやこなた達の命は、それ以外の人間の命よりも明らかに重い。 だから、可哀想だとは思うけれども、軽い命を切り捨てていくのは仕方の無いことなのだ。
(なんだか頭が冴えてるなあ。 超KOOLって感じ。 今の私なら、お姉ちゃんにも勝てそう)
柊つかさは彼女の人生の中で、今までに無く"冷静"だった。
一人残された浅倉威は、ひたすら「跪け」という命令に従い続けている。 僅かな身動ぎはあっても、膝を着いた姿勢を決して崩そうとはしない。
ルルーシュは彼が持って来たデイバッグを悠々と回収したが、その中にあった支給品が幾つか欠けている事実にまだ気付くことはないだろう。
一つは、食料として支給されたパン。 バトルロワイアルが開始されて間も無く、それはデイバッグから浅倉の胃袋へとスムーズに移動することになった。
そしてもう一つは、やはり開始早々デイバッグから抜き出して、ズボンのポケットに納められた紫のカードデッキ。 幾人ものライダーを屠ったその力は、今はまだ、誰にも使われることはない。
ギアスに支配された紅い目は、閑散とした食堂の虚空を見据えていた。
ルルーシュは彼が持って来たデイバッグを悠々と回収したが、その中にあった支給品が幾つか欠けている事実にまだ気付くことはないだろう。
一つは、食料として支給されたパン。 バトルロワイアルが開始されて間も無く、それはデイバッグから浅倉の胃袋へとスムーズに移動することになった。
そしてもう一つは、やはり開始早々デイバッグから抜き出して、ズボンのポケットに納められた紫のカードデッキ。 幾人ものライダーを屠ったその力は、今はまだ、誰にも使われることはない。
ギアスに支配された紅い目は、閑散とした食堂の虚空を見据えていた。
【一日目深夜/B-6 山小屋】
【ルルーシュ・ランペルージ@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[装備]FNブローニング・ハイパワー(13発)
[支給品]支給品一式、ランダム支給品(確認済み)(1~2) 、FNブローニング・ハイパワーのマガジン×1(13発)、浅倉の支給品一式、浅倉のランダム支給品(未確認)(1)
[状態]健康
[思考・行動]
1.つかさを切り捨てるべきかどうか考える
2.C.C.、咲世子、ロロと接触し、バトルロワイアルに反逆する
3.利用できる人間は利用する、敵には容赦しない
※参戦時期はR2の11話、日本に戻る直前
※ギアスの制限に気付いていません
※銃に違和感を覚えています
※つかさがギアスで記憶を改変されていると思っています
[装備]FNブローニング・ハイパワー(13発)
[支給品]支給品一式、ランダム支給品(確認済み)(1~2) 、FNブローニング・ハイパワーのマガジン×1(13発)、浅倉の支給品一式、浅倉のランダム支給品(未確認)(1)
[状態]健康
[思考・行動]
1.つかさを切り捨てるべきかどうか考える
2.C.C.、咲世子、ロロと接触し、バトルロワイアルに反逆する
3.利用できる人間は利用する、敵には容赦しない
※参戦時期はR2の11話、日本に戻る直前
※ギアスの制限に気付いていません
※銃に違和感を覚えています
※つかさがギアスで記憶を改変されていると思っています
【柊つかさ@らき☆すた】
[装備]なし
[支給品]支給品一式、ランダム支給品(確認済み)(1~3)
[状態]健康、ギアス「冷静になれ」継続中
[思考・行動]
1.かがみやこなた達と一緒に生き延びる
2.ルルーシュと一緒に行動する
3.かがみやこなた達以外の人間は殺すことになっても仕方がない
[装備]なし
[支給品]支給品一式、ランダム支給品(確認済み)(1~3)
[状態]健康、ギアス「冷静になれ」継続中
[思考・行動]
1.かがみやこなた達と一緒に生き延びる
2.ルルーシュと一緒に行動する
3.かがみやこなた達以外の人間は殺すことになっても仕方がない
【浅倉威@仮面ライダー龍騎】
[装備]なし
[支給品]王蛇のデッキ@仮面ライダー龍騎
[状態]健康、ギアス「跪け」継続中
[思考・行動]
1.跪く
[装備]なし
[支給品]王蛇のデッキ@仮面ライダー龍騎
[状態]健康、ギアス「跪け」継続中
[思考・行動]
1.跪く
時系列順で読む
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000:不幸の星・序章 | ルルーシュ・ランペルージ | 043:Be Cool! |
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