はぐれ者 ◆.WX8NmkbZ6
青かった空は橙に、そして濃い藍色へと移り変わる。
暗くなっていく景色の中で、照らされた雲の下部と家々の窓にだけ陽の色が取り残されていた。
日が沈み切るまでにまだ猶予はありそうだが、この会場は数時間と待たずに闇に覆われるだろう。
暗くなっていく景色の中で、照らされた雲の下部と家々の窓にだけ陽の色が取り残されていた。
日が沈み切るまでにまだ猶予はありそうだが、この会場は数時間と待たずに闇に覆われるだろう。
夜が近付く午後六時、三度目の放送が行われた。
そこで知らされた死者は十三名、生き残ったのは二十四名。
その事実にL、岩崎みなみ、上田次郎の三人は愕然とした。
殺し合いは加速している。
そしてLにとって更に衝撃的だったのは、一人の男の名だった。
そこで知らされた死者は十三名、生き残ったのは二十四名。
その事実にL、岩崎みなみ、上田次郎の三人は愕然とした。
殺し合いは加速している。
そしてLにとって更に衝撃的だったのは、一人の男の名だった。
(夜神月が、死んだ……)
カズマによれば、ルパン三世と行動を共にしていたという。
そのルパンも、死んだ。
(夜神月に殺された……?)
協力する素振りを見せながら信用を得、油断したところを殺害。
それはLがかつて経験した事であり、桐山が数時間前に行った事だ。
月が具体的にどのように行動していたのか知らなくても、想像してしまう。
そのルパンも、死んだ。
(夜神月に殺された……?)
協力する素振りを見せながら信用を得、油断したところを殺害。
それはLがかつて経験した事であり、桐山が数時間前に行った事だ。
月が具体的にどのように行動していたのか知らなくても、想像してしまう。
ルパンに限らず、月によって多くの人が死に至らしめられたのではないか。
Lの行動が、遅過ぎたが為に。
守れるはずだった命を、取り零してしまったのではないか。
キラの死によって死の連鎖が断ち切られたとしても、失われたものは戻らない。
Lの行動が、遅過ぎたが為に。
守れるはずだった命を、取り零してしまったのではないか。
キラの死によって死の連鎖が断ち切られたとしても、失われたものは戻らない。
「Lさん、大丈夫ですか……?」
「……ええ、行きましょう」
「……ええ、行きましょう」
みなみに促されてLは思考を中断する。
宿敵と言える相手の死に、自身の無力さに、思うところはある。
しかし今、それに囚われている時間はない。
宿敵と言える相手の死に、自身の無力さに、思うところはある。
しかし今、それに囚われている時間はない。
放送で知らされた通り、道に等間隔に配置された街頭が次々と灯る。
オレンジ色の陽光と白色の電光が混ざる中、三人は歩き出した。
オレンジ色の陽光と白色の電光が混ざる中、三人は歩き出した。
▽
霊安室からロビーに移動する途中……なんつったっけ、あいつ。
そうだ、城戸ってヤツに話しかけられた。
劉鳳を殺した、ってよ。
説明は下手くそだし、なに言ってんのかさっぱりわからなかったぜ。
ま……あの野郎が分かりやすい死に方をしやがった、そんだけの話だろ。
「託された」、だってよ……どーせそんなこったろうと思ってたぜ。
目に浮かぶんだよ、あの野郎のスカした顔が。
そうだ、城戸ってヤツに話しかけられた。
劉鳳を殺した、ってよ。
説明は下手くそだし、なに言ってんのかさっぱりわからなかったぜ。
ま……あの野郎が分かりやすい死に方をしやがった、そんだけの話だろ。
「託された」、だってよ……どーせそんなこったろうと思ってたぜ。
目に浮かぶんだよ、あの野郎のスカした顔が。
劉鳳の代わりに城戸を殴る……なんて気にはならねぇし。
殺したって聞かされたって、どうしようとも思わなかった。
「そうかよ」って返して、それで終わりだ。
殺したって聞かされたって、どうしようとも思わなかった。
「そうかよ」って返して、それで終わりだ。
慣れちまったんだよ。
痛ぇのも、裏切りも、別れも。
痛ぇのも、裏切りも、別れも。
――カズ君は悲しい、凄く悲しいよ!
――私泣くから、カズ君の分まで泣くから!
――私泣くから、カズ君の分まで泣くから!
そう言ってくれたヤツももういねぇしよ。
桐山にムカついて、腹の中が煮えくり返って――そのどっかで、冷めきってやがる。
あいつが……あいつらが死んで、もういろんなもんがどうでもよくなっちまったみてぇだ。
前にあいつが連れてかれた時はまわりにあるもんを殴って、壊して、叫んでたってのによ。
金を出せば何でもやるアルター使い、カズマ……それがこのザマだ、なっさけねぇ。
桐山にムカついて、腹の中が煮えくり返って――そのどっかで、冷めきってやがる。
あいつが……あいつらが死んで、もういろんなもんがどうでもよくなっちまったみてぇだ。
前にあいつが連れてかれた時はまわりにあるもんを殴って、壊して、叫んでたってのによ。
金を出せば何でもやるアルター使い、カズマ……それがこのザマだ、なっさけねぇ。
足が重てぇ。
腕が痛ぇ。
ソウジロウに斬られたせいだな……あー、痛ぇ。
痛ぇ痛ぇ……。
疲れちまって、ふらふらだ。
腕が痛ぇ。
ソウジロウに斬られたせいだな……あー、痛ぇ。
痛ぇ痛ぇ……。
疲れちまって、ふらふらだ。
けどよ。
だからって、俺の生き方が変わるわけじゃねぇ。
今までとなにも変わらねぇ。
気に入らねぇ野郎を、どうでもいいからって放って置くわけがねぇ。
だからって、俺の生き方が変わるわけじゃねぇ。
今までとなにも変わらねぇ。
気に入らねぇ野郎を、どうでもいいからって放って置くわけがねぇ。
「……いつまで見てんだよ」
どっからかは知らねぇが、見られてる。
気持ち悪ぃ眼だ。
暫く待ってみるが、何も言ってこねぇ。
それでも『いる』のははっきり分かったぜ……俺に喧嘩を売ろうとしてるヤツが、な。
気持ち悪ぃ眼だ。
暫く待ってみるが、何も言ってこねぇ。
それでも『いる』のははっきり分かったぜ……俺に喧嘩を売ろうとしてるヤツが、な。
「そっちが来ねぇんなら、こっちからやらせて貰うぜ」
辺りのもんをアルター化させる。
いつもの拳。
いつもの羽根。
これで兄貴譲りの技はいつでも撃てる。
まわりを手当たり次第に殴りゃ、嫌でも出てくるだろ。
いつもの拳。
いつもの羽根。
これで兄貴譲りの技はいつでも撃てる。
まわりを手当たり次第に殴りゃ、嫌でも出てくるだろ。
そうして腕を振りかぶって……止まる。
眼の端に、いつの間にか刀を持った桐山が立ってやがった。
眼の端に、いつの間にか刀を持った桐山が立ってやがった。
「会いたかったぜ……桐山ぁ……!!」
すぐさま背中を見せて走り出したヤツを追って、走る。
「逃がすかよ!」
桐山が逃げ込んだ建物に向かって突き進む。
誘われてることぐらい俺だってわかる。
それでも――正面から、打ち砕く。
「逃がすかよ!」
桐山が逃げ込んだ建物に向かって突き進む。
誘われてることぐらい俺だってわかる。
それでも――正面から、打ち砕く。
ドアが勝手に開こうとしたが、それを待たずに拳で叩き割ってこじ開けた。
「行くぜ……!」
そうして俺は、中へ乗り込んだ。
▽
桐山和雄はG-9での乱戦を終えてすぐ、積極的に参加者を殺していく道を選択した。
それは合理的な選択ではある。
桐山が殺し合いに乗った、その事を知っているのは警察署で生き残った岩崎みなみ、上田次郎、L、カズマ、城戸真司、翠星石、浅倉威の七人。
そして前回のプログラムで殺害した三村信史。
情報を広められた分を考えれば、十人以上に知られていると見ていいだろう。
生存者の二人に一人が桐山の危険人物と認識している事になり、集団に紛れ込むというこれまでの手法は容易ではない。
しかし桐山の決断は、合理的な思考に基づいていた訳ではない。
桐山が殺し合いに乗った、その事を知っているのは警察署で生き残った岩崎みなみ、上田次郎、L、カズマ、城戸真司、翠星石、浅倉威の七人。
そして前回のプログラムで殺害した三村信史。
情報を広められた分を考えれば、十人以上に知られていると見ていいだろう。
生存者の二人に一人が桐山の危険人物と認識している事になり、集団に紛れ込むというこれまでの手法は容易ではない。
しかし桐山の決断は、合理的な思考に基づいていた訳ではない。
コイントスでスタンスを決定する。
最初に出会った参加者のスタンスを真似る。
生きるか死ぬか、殺すか殺されるか、その状況下でどう動くかを偶然に任せる。
桐山はそれが出来てしまう程度に、感情を持たない。
自発的な願望や固有の価値基準を持たない。
『自分』を持たない。
だから今回の桐山の選択は結果的に合理的だっただけで、実際にはただの気紛れに近かった。
最初に出会った参加者のスタンスを真似る。
生きるか死ぬか、殺すか殺されるか、その状況下でどう動くかを偶然に任せる。
桐山はそれが出来てしまう程度に、感情を持たない。
自発的な願望や固有の価値基準を持たない。
『自分』を持たない。
だから今回の桐山の選択は結果的に合理的だっただけで、実際にはただの気紛れに近かった。
今までは集団に紛れて動いてきた。
だから今度は積極的に殺す。
それだけだった。
だから今度は積極的に殺す。
それだけだった。
そして最初の標的も、偶然発見した相手に定めた。
G-9の民家に身を隠しながら外を観察し、やがて通り掛かった少年――カズマ。
G-9の民家に身を隠しながら外を観察し、やがて通り掛かった少年――カズマ。
カズマは桐山にとって戦いやすい相手だ。
浅倉威との小競り合い。
瀬田宗次郎との戦闘。
目撃した二つの戦いで、カズマのおおよその手の内は知っている。
しかし同時に厄介なのは、カズマが桐山の知る参加者の中で最も強い部類に入る事だ。
更に、カズマは由詑かなみに執着している。
その目の前でかなみを殺したのだから、今頃憎悪で身を焦がしている事だろう。
今のカズマには桐山しか見えていない。
桐山が他の参加者と戦っている最中に乱入される可能性がある。
桐山は周囲に他の参加者がいない事を確認した上で、カズマの尾行を開始する。
浅倉威との小競り合い。
瀬田宗次郎との戦闘。
目撃した二つの戦いで、カズマのおおよその手の内は知っている。
しかし同時に厄介なのは、カズマが桐山の知る参加者の中で最も強い部類に入る事だ。
更に、カズマは由詑かなみに執着している。
その目の前でかなみを殺したのだから、今頃憎悪で身を焦がしている事だろう。
今のカズマには桐山しか見えていない。
桐山が他の参加者と戦っている最中に乱入される可能性がある。
桐山は周囲に他の参加者がいない事を確認した上で、カズマの尾行を開始する。
夢想正宗を納めた鞘を左手で支え、右手で柄を握る。
奇襲の機会を窺うが、状況はすぐには動かなかった。
何せ、縮地は奇襲には向かない。
縮地は確かに『速い』ものの、決して『静か』ではないからだ。
踏み出す足は強く、地面を叩くどころか抉っていく。
常人なら音が届いた時には死んでいるので問題ないが、相手はカズマだ。
瀬田宗次郎の瞬天殺を破っている。
仇を求め、神経を尖らせている。
変身していない状態でカズマに勝てるかと問われれば、桐山とて確証はない。
タイミングを誤れば、殺し損ねるだけならまだしもカウンターを受ける可能性さえある。
その拳を一撃でも生身の体で受ければひとたまりもない。
手負いとは言え危険性は高く見ておいた方がいい。
元より慢心と縁のない桐山は、更に警戒を強めた。
奇襲の機会を窺うが、状況はすぐには動かなかった。
何せ、縮地は奇襲には向かない。
縮地は確かに『速い』ものの、決して『静か』ではないからだ。
踏み出す足は強く、地面を叩くどころか抉っていく。
常人なら音が届いた時には死んでいるので問題ないが、相手はカズマだ。
瀬田宗次郎の瞬天殺を破っている。
仇を求め、神経を尖らせている。
変身していない状態でカズマに勝てるかと問われれば、桐山とて確証はない。
タイミングを誤れば、殺し損ねるだけならまだしもカウンターを受ける可能性さえある。
その拳を一撃でも生身の体で受ければひとたまりもない。
手負いとは言え危険性は高く見ておいた方がいい。
元より慢心と縁のない桐山は、更に警戒を強めた。
「……いつまで見てんだよ」
カズマが口を開いた。
はったりの可能性もある――桐山は動かない。
時間だけが過ぎていくが、先に痺れを切らしたのはカズマの方だった。
はったりの可能性もある――桐山は動かない。
時間だけが過ぎていくが、先に痺れを切らしたのはカズマの方だった。
「そっちが来ねぇんなら、こっちからやらせて貰うぜ」
カズマの周囲の物体が抉れる。
カズマの右腕が金の装甲に覆われ、背中に赤い三枚の羽根が現れた。
それを振りかぶり、すぐ横の民家の壁を殴り付けようとした――そこで桐山は、カズマの前に出る。
殴ってからでも良かったが、これも気紛れだ。
カズマの方から打って出ようと言うのなら、付き合うのも悪くはない。
カズマの右腕が金の装甲に覆われ、背中に赤い三枚の羽根が現れた。
それを振りかぶり、すぐ横の民家の壁を殴り付けようとした――そこで桐山は、カズマの前に出る。
殴ってからでも良かったが、これも気紛れだ。
カズマの方から打って出ようと言うのなら、付き合うのも悪くはない。
「会いたかったぜ……桐山ぁ……!!」
ただし正面から戦うつもりはない。
制限時間のあるカードデッキをすぐに使うつもりもない。
姿を見せた上で、カズマに背を向けて走り出した。
G-9での戦いの後に見繕っておいた、自身が優位に立てる地形へ誘導する。
制限時間のあるカードデッキをすぐに使うつもりもない。
姿を見せた上で、カズマに背を向けて走り出した。
G-9での戦いの後に見繕っておいた、自身が優位に立てる地形へ誘導する。
そこは大型ドラッグストアだった。
特に変わった物が置いてあるわけでも罠が仕掛けてあるわけでもない。
ただ二メートル程の間隔で商品棚が十列並んでいるだけの、普通の店だ。
桐山は店内の中央に位置する棚と棚の間の通路を駆け、カズマがそれを追う。
特に変わった物が置いてあるわけでも罠が仕掛けてあるわけでもない。
ただ二メートル程の間隔で商品棚が十列並んでいるだけの、普通の店だ。
桐山は店内の中央に位置する棚と棚の間の通路を駆け、カズマがそれを追う。
「衝撃のファーストブリットぉおおおおおおおおおおおッ!!!!!」
カズマの背の羽根のうちの一枚が消失し、爆発的な推進力をもって突っ込んでくる。
風が巻き起こり、左右の棚が道を開くようにしてぐらりと倒れ掛かる。
カズマが通路の中程に達するのを振り返って視認した桐山は、刀を鞘に収めたまま跳躍した。
「なッ……」
驚きの声を上げたのはカズマだ。
初撃が空振りに終わったせい、だけではない。
カズマの目に桐山の姿は映らず、周りの物体に次々と刻まれる足跡だけが見えているはずだ。
縮地の真価はこうした狭く足場の充実した場所でこそ発揮される。
桐山はそれによって、傾いた両脇の棚を蹴りながら天井まで上がった。
更に天井を蹴って隣の通路へ移動。
そして倒れてくる棚を一際強く蹴り、反対方向――カズマがいる方へ向かって倒す。
風が巻き起こり、左右の棚が道を開くようにしてぐらりと倒れ掛かる。
カズマが通路の中程に達するのを振り返って視認した桐山は、刀を鞘に収めたまま跳躍した。
「なッ……」
驚きの声を上げたのはカズマだ。
初撃が空振りに終わったせい、だけではない。
カズマの目に桐山の姿は映らず、周りの物体に次々と刻まれる足跡だけが見えているはずだ。
縮地の真価はこうした狭く足場の充実した場所でこそ発揮される。
桐山はそれによって、傾いた両脇の棚を蹴りながら天井まで上がった。
更に天井を蹴って隣の通路へ移動。
そして倒れてくる棚を一際強く蹴り、反対方向――カズマがいる方へ向かって倒す。
「うっとうしいマネしやがって……撃滅の、セカンドブリットオオォオオ――――!!!」
倒れて来る棚にカズマの拳が命中し、弾けるように飛ばされて桐山が立っていた通路を押し潰した。
それでも勢いは止まらず、次の棚へ、次の棚へと衝突を繰り返す。
同時にカズマの背の羽根から巻き起こった爆風で、反対側の棚も将棋倒しになっていく。
それでも勢いは止まらず、次の棚へ、次の棚へと衝突を繰り返す。
同時にカズマの背の羽根から巻き起こった爆風で、反対側の棚も将棋倒しになっていく。
全ての棚が吹き飛び倒れる轟音。
店内の左右の壁が棚の残骸に埋まり、拓けた中央にカズマが一人残された。
しかし桐山もまた健在である。
天井を足場にして駆け抜ける事で棚同士の間に挟まるのを逃れ、床へと着地した。
「ちょこまか逃げてんじゃねーよ、抹殺の――」
カズマの背の最後の羽根が消失する。
桐山に向けて拳を振り上げ、叫ぶ。
店内の左右の壁が棚の残骸に埋まり、拓けた中央にカズマが一人残された。
しかし桐山もまた健在である。
天井を足場にして駆け抜ける事で棚同士の間に挟まるのを逃れ、床へと着地した。
「ちょこまか逃げてんじゃねーよ、抹殺の――」
カズマの背の最後の羽根が消失する。
桐山に向けて拳を振り上げ、叫ぶ。
「ラストブリットォォオオォオオオオオオオオオオオオ!!!!」
カズマ自身が回転する勢いをも乗せたその拳圧だけで、最初の二撃で亀裂の入っていた床と天井の一部が崩れた。
しかし桐山はやはり刀を抜く事なく、縮地によって回避する。
カズマの拳は空を切り、桐山はそのまま距離を取った。
しかし桐山はやはり刀を抜く事なく、縮地によって回避する。
カズマの拳は空を切り、桐山はそのまま距離を取った。
羽根を全て失ったカズマは息を整えながら桐山を睨む。
ギラギラとした獣のような瞳を見ても、桐山は何も感じない。
「かなみ……ソウセイセキ、おっさん、それにソウジロウ。
全員てめーが殺ったんだな」
「そうだ」
「弱ぇヤツばっか殺しやがって……気分はどうだよ」
「特に何も」
「……気に入らねぇ」
カズマが拳を握り、高く掲げる。
「冷めた目で、こっち見てんじゃねぇ……!!!」
床が抉れ、カズマの右腕が消えた。
代わって光と共に橙と朱の腕が生成され、カズマは閉じていた右目を開く。
背中の一枚の大きな羽根が回転してカズマの体を浮かせ、風が辺りの粉塵を巻き上げる。
ギラギラとした獣のような瞳を見ても、桐山は何も感じない。
「かなみ……ソウセイセキ、おっさん、それにソウジロウ。
全員てめーが殺ったんだな」
「そうだ」
「弱ぇヤツばっか殺しやがって……気分はどうだよ」
「特に何も」
「……気に入らねぇ」
カズマが拳を握り、高く掲げる。
「冷めた目で、こっち見てんじゃねぇ……!!!」
床が抉れ、カズマの右腕が消えた。
代わって光と共に橙と朱の腕が生成され、カズマは閉じていた右目を開く。
背中の一枚の大きな羽根が回転してカズマの体を浮かせ、風が辺りの粉塵を巻き上げる。
「許せねぇんだよ、てめぇみてーなヤツが――――ッ!!!!!」
カズマが激昂し、桐山に向かって突進する。
対する桐山は横への縮地でそれを躱し、カズマの拳は床に叩き付けられた。
火薬が炸裂したかのような衝撃が床を走る。
破壊の波が拳の振り抜かれた方向へ押し寄せ、天井も壁も構わず突き崩した。
店の一角が砕け、暗くなり始めた空が見えた。
対する桐山は横への縮地でそれを躱し、カズマの拳は床に叩き付けられた。
火薬が炸裂したかのような衝撃が床を走る。
破壊の波が拳の振り抜かれた方向へ押し寄せ、天井も壁も構わず突き崩した。
店の一角が砕け、暗くなり始めた空が見えた。
「……やる気ねぇのか」
未だにカードデッキを出す気配を見せず、刀すら抜かない。
そんな桐山に対し、カズマは歯を軋ませて怒りを露わにした。
だがどれ程にカズマが叫んでも、桐山には何も届かない。
負傷し疲労したカズマの攻撃を確実に避け、少しずつ弱らせていくだけだ。
優勝する為に今後も戦い続けなければならない現状で、正面からカズマと殴り合わなければならない理由はない。
そんな桐山に対し、カズマは歯を軋ませて怒りを露わにした。
だがどれ程にカズマが叫んでも、桐山には何も届かない。
負傷し疲労したカズマの攻撃を確実に避け、少しずつ弱らせていくだけだ。
優勝する為に今後も戦い続けなければならない現状で、正面からカズマと殴り合わなければならない理由はない。
「チビどもを殺しても何も感じねぇ、俺とまともに戦う気もねぇ、やってるこたぁソウジロウの猿真似。
……てめーの中身はどこにあるってんだ」
……てめーの中身はどこにあるってんだ」
カズマが挑発じみた文言を並べようと、桐山は眉一つ動かさない。
「意地を見せてみろっつってんだよ、男の子ならよぉッ!!!」
桐山の中身は既に、失われて久しい。
「おぉおらああぁぁぁああああああああああああああああッ!!!!!!!」
羽根が更に回転の速度を上げ、風を生む。
そしてカズマ自身も回転しながら、桐山に向かって突っ込んできた。
「!!?」
カズマが息を飲む音が聴こえた。
カズマが拳を振り抜くよりも早く桐山が動き、拳の向かう前に桐山がいないと気付いたからだろう。
どんな威力の攻撃も当たらなければ無意味だ。
初速から最高の速さを発揮するその足運びで瞬く間にカズマの間合いを侵略。
拳の勢いを止められずに無防備を晒したカズマの背後に回る。
そして桐山はこの戦いで初めて、刀を抜いた。
「ぐぁあッ……」
カズマの背に一閃の傷が刻まれて血が零れる。
カズマは桐山に触れる事すら出来ないまま崩れ落ちた。
そしてカズマ自身も回転しながら、桐山に向かって突っ込んできた。
「!!?」
カズマが息を飲む音が聴こえた。
カズマが拳を振り抜くよりも早く桐山が動き、拳の向かう前に桐山がいないと気付いたからだろう。
どんな威力の攻撃も当たらなければ無意味だ。
初速から最高の速さを発揮するその足運びで瞬く間にカズマの間合いを侵略。
拳の勢いを止められずに無防備を晒したカズマの背後に回る。
そして桐山はこの戦いで初めて、刀を抜いた。
「ぐぁあッ……」
カズマの背に一閃の傷が刻まれて血が零れる。
カズマは桐山に触れる事すら出来ないまま崩れ落ちた。
▽
「起きてよカズくん」
声がする。
「とっとと起きろよ、カーズマくーん」
懐かしい声が響いてくる。
「ほら、行きましょカズマ」
目を開ければすぐそこにいるような、とても近い場所から聴こえる。
「おら、いつまで寝てんだカーズヤぁ」
目を開ければ、今ではもう手に入らないはずの景色が――
カズマは目を見開く。
これは夢だと、ただの夢だと知っている。
これは夢だと、ただの夢だと知っている。
ドシン、と拳を地面に押し当て、体を支える。
床を砕く勢いで出されたその拳で、倒れかけていたカズマは踏み止まった。
意識を失ったのは一瞬。
それが痛みや失血によってではなく、夢想正宗が持つ「相手を睡眠状態にする」という効果によって起きた事を、カズマは知らない。
制限によって弱まっていた効果がカズマの意思で破られた。
たったそれだけの事に、カズマは頓着しない。
ただ桐山を殴る為に前を睨む。
カズマが一度も桐山を殴らないまま、終わるはずがない。
床を砕く勢いで出されたその拳で、倒れかけていたカズマは踏み止まった。
意識を失ったのは一瞬。
それが痛みや失血によってではなく、夢想正宗が持つ「相手を睡眠状態にする」という効果によって起きた事を、カズマは知らない。
制限によって弱まっていた効果がカズマの意思で破られた。
たったそれだけの事に、カズマは頓着しない。
ただ桐山を殴る為に前を睨む。
カズマが一度も桐山を殴らないまま、終わるはずがない。
「オラァッ!!!」
二撃目を見舞おうとしていた桐山に、カズマは拳を横薙ぎに振るう。
桐山は後方に向かって跳んでそれを避け、距離を取った。
「調子くれてんじゃねーよ……今のだってソウジロウの真似だろ」
肩で息をし、失くさないようにと左腕に結び付けていたかなみのリボンを揺らす。
血が足りない、体力が残っていない。
しかし足も腕も、まだ動く。
二撃目を見舞おうとしていた桐山に、カズマは拳を横薙ぎに振るう。
桐山は後方に向かって跳んでそれを避け、距離を取った。
「調子くれてんじゃねーよ……今のだってソウジロウの真似だろ」
肩で息をし、失くさないようにと左腕に結び付けていたかなみのリボンを揺らす。
血が足りない、体力が残っていない。
しかし足も腕も、まだ動く。
「本気でかかって来いよ……正面からぶっ飛ばされるのが怖ぇのか!!?」
カズマの言葉に、桐山は黙ったままだった。
答えの代わりにデッキを取り出し、刀身にそれを翳す。
「へっ、やっとその気になったかよ」
桐山が腰に出現したバックルにデッキを挿入し、変身する。
無表情な顔は黒い仮面に隠された。
桐山は夢想正宗を鞘に収め、カズマと向かい合う。
答えの代わりにデッキを取り出し、刀身にそれを翳す。
「へっ、やっとその気になったかよ」
桐山が腰に出現したバックルにデッキを挿入し、変身する。
無表情な顔は黒い仮面に隠された。
桐山は夢想正宗を鞘に収め、カズマと向かい合う。
変身した桐山と相対しながら、カズマは気付いていた。
あの宿敵とは違う。
心底気に入らなかった、にも関わらず共闘するとなると頼もしく思えた、名を刻み合った相手。
劉鳳との戦いの中で感じた高揚感はここにはない。
桐山が変身したのも、単にカズマの攻撃が生身の肉体には一撃必殺に成り得るからだろう。
ただの保険としての変身。
カズマの宿敵である劉鳳がカズマの力に呼応して、共鳴するように絶影の真価を発揮させたのとは別なのだ。
胸を熱くさせる興奮はなく、ただただ虚しいだけだった。
あの宿敵とは違う。
心底気に入らなかった、にも関わらず共闘するとなると頼もしく思えた、名を刻み合った相手。
劉鳳との戦いの中で感じた高揚感はここにはない。
桐山が変身したのも、単にカズマの攻撃が生身の肉体には一撃必殺に成り得るからだろう。
ただの保険としての変身。
カズマの宿敵である劉鳳がカズマの力に呼応して、共鳴するように絶影の真価を発揮させたのとは別なのだ。
胸を熱くさせる興奮はなく、ただただ虚しいだけだった。
これは喧嘩ではなく殺し合いだ。
それをカズマは改めて思い知った。
それをカズマは改めて思い知った。
桐山が刀の収まった鞘を右手に持ち、左手でデッキからカードを抜く。
そして、右腕に装着した召喚器にカードを通した。
そして、右腕に装着した召喚器にカードを通した。
――ACCEL VENT――
女性の機械音声がカズマの耳に届いた時には、桐山の姿は消えていた。
高速移動を可能にするアクセルベントと縮地が組み合わさり、その姿はカズマの目には映らない。
カズマが如何に速さを武器とする相手との戦闘に慣れていようと、宗次郎の縮地よりも更に速い。
高速化した桐山が鞘を再び左手に持ち替え、カズマの間合いに踏み込むと共に抜刀する。
高速移動を可能にするアクセルベントと縮地が組み合わさり、その姿はカズマの目には映らない。
カズマが如何に速さを武器とする相手との戦闘に慣れていようと、宗次郎の縮地よりも更に速い。
高速化した桐山が鞘を再び左手に持ち替え、カズマの間合いに踏み込むと共に抜刀する。
瞬天殺。
カズマの首に熱が走り、血が噴き出す。
「っつぅ!!」
それでも首を飛ばされずに済んだのは、カズマが反射的に振り上げた拳で刃を弾いたからだ。
刀身が中程で折れる。
しかし桐山は即座に両手で振っていた柄を捨て、折れた刀身を右手で掴み取った。
更にアクセルベントの速度を保ったまま一度距離を取り、正面からカズマの胸を狙う。
「う、ぉおおおお!!!」
カズマが拳を振るう。
桐山は刀身を持たない左手でカズマの右腕を払った。
カズマの拳は最小限の動きと力で受け流され、軌道が逸れてしまう。
そして桐山が切っ先をカズマの心臓に向けるが、カズマは左腕で胸を庇っていた。
読んでいたと言うより、夢想正宗を折った一撃と同様の本能的な防御。
宗次郎が刺突によって一度狙われた箇所だからこそ、反応が間に合った。
桐山は防御を避けて切っ先を逸らし、カズマの腹に刀身を突き立てる。
「が……ッ」
刀は貫通し、カズマが血を吐いた。
「っつぅ!!」
それでも首を飛ばされずに済んだのは、カズマが反射的に振り上げた拳で刃を弾いたからだ。
刀身が中程で折れる。
しかし桐山は即座に両手で振っていた柄を捨て、折れた刀身を右手で掴み取った。
更にアクセルベントの速度を保ったまま一度距離を取り、正面からカズマの胸を狙う。
「う、ぉおおおお!!!」
カズマが拳を振るう。
桐山は刀身を持たない左手でカズマの右腕を払った。
カズマの拳は最小限の動きと力で受け流され、軌道が逸れてしまう。
そして桐山が切っ先をカズマの心臓に向けるが、カズマは左腕で胸を庇っていた。
読んでいたと言うより、夢想正宗を折った一撃と同様の本能的な防御。
宗次郎が刺突によって一度狙われた箇所だからこそ、反応が間に合った。
桐山は防御を避けて切っ先を逸らし、カズマの腹に刀身を突き立てる。
「が……ッ」
刀は貫通し、カズマが血を吐いた。
全身から力が抜けて体が傾く。
しかし腹から刀を抜こうとした桐山の手首を、掴む。
「逃がす、かよ……」
カズマの右手が、桐山の刀を握る手に食い込んだ。
使っていなかった左腕がかなみのリボンごと消失し、地面が抉れ、代わりに右腕と同じ装甲に包まれた腕が出現する。
「これで、やっと……てめーを殴れるってもんだ……」
桐山が空いた手でカズマの顔面を殴る。
額が割れて血を流し、それでも怯まずに桐山の拳を押し返した。
しかし腹から刀を抜こうとした桐山の手首を、掴む。
「逃がす、かよ……」
カズマの右手が、桐山の刀を握る手に食い込んだ。
使っていなかった左腕がかなみのリボンごと消失し、地面が抉れ、代わりに右腕と同じ装甲に包まれた腕が出現する。
「これで、やっと……てめーを殴れるってもんだ……」
桐山が空いた手でカズマの顔面を殴る。
額が割れて血を流し、それでも怯まずに桐山の拳を押し返した。
「効かねーよ……てめーの軽い拳なんざ……!!」
カズマが左の拳を握り、後方に向かって腕を弓のように引き絞る。
次の一撃の為の力を籠める。
かなみの遺した品をアルター化させた左の拳。
更に強く握り締め、狙いを定める。
桐山が繰り返し殴ろうと、カズマは一歩も退きはしない。
次の一撃の為の力を籠める。
かなみの遺した品をアルター化させた左の拳。
更に強く握り締め、狙いを定める。
桐山が繰り返し殴ろうと、カズマは一歩も退きはしない。
――かなみ、もしお前に何かあれば駆け付ける。
――世界中のどこからでもお前を助けに行く。
――世界中のどこからでもお前を助けに行く。
そう強く思っていた。
それなのに守れなかった、まだ幼かった少女への思いを拳に乗せる。
それなのに守れなかった、まだ幼かった少女への思いを拳に乗せる。
――負けないで、夢の中の貴方……私の貴方。
――貴方の決意が鈍ると、私も負けてしまいそうになります。
――だから負けないで下さい。
――私の貴方……負けないで!!
――貴方の決意が鈍ると、私も負けてしまいそうになります。
――だから負けないで下さい。
――私の貴方……負けないで!!
分かっている。
かなみの叫ぶような思いは、確かに胸に届いていた。
負けるわけねーだろと、独りごちる。
かなみの叫ぶような思いは、確かに胸に届いていた。
負けるわけねーだろと、独りごちる。
「行くぜ一発目――これが……」
かなみが復讐を、他人が傷付く事を望むはずがない。
けれどそれ以上に、かなみがカズマが負ける姿を望むはずがない。
ならばカズマは今まで通り、気に入らない相手を全力で殴るだけだ。
けれどそれ以上に、かなみがカズマが負ける姿を望むはずがない。
ならばカズマは今まで通り、気に入らない相手を全力で殴るだけだ。
「かなみの分だぁああああ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛あ゛ああアアアアアアアアアアアアッ!!!!」
桐山が振るおうとしていた左腕さえ弾き、弾丸のように突き進んだ拳が顔面を殴り抜く。
桐山の仮面に亀裂が走り、よろめいた。
それでもカズマは休む事なく左の拳を引いて振りかぶり、再び殴る。
腕で防御されても、カズマは防御ごと殴る。
蒼星石の分、右京の分、宗次郎の分――初めこそ殴った回数を数えていたが、そのうちにやめた。
「オラオラオラオラァアアアアアアアアアアアアっ!!!!!」
岩をも容易く砕く拳の連撃が桐山に降り掛かる。
途中から桐山の手を離し、両手で殴る。
既にアクセルベントの効果が切れた桐山に、反撃の隙を与えない。
桐山の仮面に亀裂が走り、よろめいた。
それでもカズマは休む事なく左の拳を引いて振りかぶり、再び殴る。
腕で防御されても、カズマは防御ごと殴る。
蒼星石の分、右京の分、宗次郎の分――初めこそ殴った回数を数えていたが、そのうちにやめた。
「オラオラオラオラァアアアアアアアアアアアアっ!!!!!」
岩をも容易く砕く拳の連撃が桐山に降り掛かる。
途中から桐山の手を離し、両手で殴る。
既にアクセルベントの効果が切れた桐山に、反撃の隙を与えない。
桐山の装甲全体に罅が入っていく。
カズマの息が切れて勢いが弱まると、桐山は防ぐ事をやめて反撃に移った。
夢想正宗の刺さった腹を穿つ一撃――しかしそこに、あるはずの刀身はない。
刀身は分解されて消失し、カズマの胴体を覆う装甲と化していた。
周囲の地面も、カズマが背負っていたデイパックも、次々に消えて行く。
装甲が脚を包み、羽根が尾のように長くたなびき、赤い髪が無造作に伸びる。
眼と口を除く顔までも装甲に覆われた、シェルブリットの最終形態。
カズマの息が切れて勢いが弱まると、桐山は防ぐ事をやめて反撃に移った。
夢想正宗の刺さった腹を穿つ一撃――しかしそこに、あるはずの刀身はない。
刀身は分解されて消失し、カズマの胴体を覆う装甲と化していた。
周囲の地面も、カズマが背負っていたデイパックも、次々に消えて行く。
装甲が脚を包み、羽根が尾のように長くたなびき、赤い髪が無造作に伸びる。
眼と口を除く顔までも装甲に覆われた、シェルブリットの最終形態。
「俺の自慢の拳……てめーの度肝を抜いてやるよ!!」
カズマの拳が振るわれるよりも早く、桐山は跳び退きながら一枚のカードをデッキから抜いた。
カズマはそれを止めようとしない。
桐山を正面から潰す為に、敢えてその動きを見逃した。
カズマはそれを止めようとしない。
桐山を正面から潰す為に、敢えてその動きを見逃した。
――SWORD VENT――
桐山が剣を振るう。
横薙ぎに襲い来る刃を、カズマは拳で受け止めた。
超振動波で相手を切り裂くはずの剣であっても、カズマの拳を切断する事は叶わない。
逆に刃に亀裂が走る。
桐山が一歩退いて剣の崩壊を防ぎ、代わりにカズマが前進した。
「おおおおおぉぉおぉ!!!!」
カズマが連打する拳は剣で受け流されるが、剣の亀裂は広がる一方。
桐山が縮地でカズマの背中を取って斬り掛っても、装甲は突破出来ない。
横薙ぎに襲い来る刃を、カズマは拳で受け止めた。
超振動波で相手を切り裂くはずの剣であっても、カズマの拳を切断する事は叶わない。
逆に刃に亀裂が走る。
桐山が一歩退いて剣の崩壊を防ぎ、代わりにカズマが前進した。
「おおおおおぉぉおぉ!!!!」
カズマが連打する拳は剣で受け流されるが、剣の亀裂は広がる一方。
桐山が縮地でカズマの背中を取って斬り掛っても、装甲は突破出来ない。
再び正面から振るわれた斬撃を、カズマは両拳で白刃取りをするようにして受け止めた。
カズマがそのまま力を加えると刀身が折れる。
残った柄も砕け散り、カズマは丸腰になった桐山の腹に拳を打ち込んだ。
カズマがそのまま力を加えると刀身が折れる。
残った柄も砕け散り、カズマは丸腰になった桐山の腹に拳を打ち込んだ。
殴られた勢いで桐山は地面に叩き付けられたが、平然と起き上がる様子からダメージは見て取れない。
しかし桐山は大きく後方に向かって跳んだ。
逃げようとしているのかと訝しむ、それ程の距離になってから桐山がカードをもう一枚抜く。
「……それがてめーの奥の手か」
それまでと空気が変わったのを感じ取り、カズマも跳びすさる。
「何が来ようと、正面からぶち抜く……俺の自慢の拳で!!!」
しかし桐山は大きく後方に向かって跳んだ。
逃げようとしているのかと訝しむ、それ程の距離になってから桐山がカードをもう一枚抜く。
「……それがてめーの奥の手か」
それまでと空気が変わったのを感じ取り、カズマも跳びすさる。
「何が来ようと、正面からぶち抜く……俺の自慢の拳で!!!」
――FINAL VENT――
召還機から女性の機械音声が漏れると、コオロギ型のモンスターが変形する。
二輪の乗り物に姿を変え、桐山が乗り込むとスピンを始めた。
カズマもそれを迎え撃つ為に走り出し、跳ぶ。
上空へ逃れて桐山の攻撃を避ける事も出来たが、カズマはそれをしない。
両の拳を前へと突き出す。
回転しながら進む桐山に、カズマが突進していく。
その勢いは、さながら隕石の如く。
二輪の乗り物に姿を変え、桐山が乗り込むとスピンを始めた。
カズマもそれを迎え撃つ為に走り出し、跳ぶ。
上空へ逃れて桐山の攻撃を避ける事も出来たが、カズマはそれをしない。
両の拳を前へと突き出す。
回転しながら進む桐山に、カズマが突進していく。
その勢いは、さながら隕石の如く。
「きぃいいりいいいやまああぁあああああああああああああッ!!!!!」
両者の衝突の瞬間、辺りの景色は一変した。
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| 134:それぞれの行く先 | 上田次郎 | 146:夢 |
| L | ||
| カズマ | ||
| 岩崎みなみ | ||
| 131:DEAD END(後編) | 桐山和雄 |