FINAL VENT - 戦わなければ生き残れない ◆ew5bR2RQj.
三度目となる死者を告げる放送が終わり、彼らに訪れたのは静寂だった。
アイゼル・ワイマール、石川五ェ門、園崎詩音。
彼らの死は既に知っていたが、それを改めて突き付けられる痛みは大きい。
それに加えてこなたの名を呼ばれたつかさの動揺は特に大きく、呆然としたように虚空を眺めていた。
アイゼル・ワイマール、石川五ェ門、園崎詩音。
彼らの死は既に知っていたが、それを改めて突き付けられる痛みは大きい。
それに加えてこなたの名を呼ばれたつかさの動揺は特に大きく、呆然としたように虚空を眺めていた。
「ふぅ……」
湿った雰囲気の中、深呼吸を始める北岡。
そうして心を落ち着かせ、真っ先に抱いたのはV.V.への嫌悪感だった。
バトルロワイアルが中盤になれば、自ずと参加者同士の関係も深まってくる。
実際にそうなっているし、過去の自分がそうだった。
このような場所に放り込まれなければ、五ェ門やつかさと知り合うことはなかっただろう。
だが、これは殺し合いだ。
どれだけ拒否しても、命を落とす者は出てくる。
そうして仲間を失った時、残された者が抱くのは悲しみだ。
つかさや、ジェレミアや、レナや、そして北岡自身が抱いてるのと同じように。
もしV.V.がそこまで考えていたとしたら、今まで出会ってきた人間の中でも最悪と断言できるだろう。
そうして心を落ち着かせ、真っ先に抱いたのはV.V.への嫌悪感だった。
バトルロワイアルが中盤になれば、自ずと参加者同士の関係も深まってくる。
実際にそうなっているし、過去の自分がそうだった。
このような場所に放り込まれなければ、五ェ門やつかさと知り合うことはなかっただろう。
だが、これは殺し合いだ。
どれだけ拒否しても、命を落とす者は出てくる。
そうして仲間を失った時、残された者が抱くのは悲しみだ。
つかさや、ジェレミアや、レナや、そして北岡自身が抱いてるのと同じように。
もしV.V.がそこまで考えていたとしたら、今まで出会ってきた人間の中でも最悪と断言できるだろう。
「よいしょっと」
だからこそ、立ち上がらなければならない。
「何処へ行く?」
「決まってるじゃない、浅倉を倒しにだよ」
「決まってるじゃない、浅倉を倒しにだよ」
不意に立ち上がった北岡に問うたのはジェレミア。
アイゼルの死を悲しんでいたように見えたが、さすがに切り替えは早いようだ。
アイゼルの死を悲しんでいたように見えたが、さすがに切り替えは早いようだ。
「なら、私も同行しよう、あやつには私も因縁が――――」
「悪いけど、お断りさせてもらうよ」
「悪いけど、お断りさせてもらうよ」
当然のように同行しようとするジェレミアを、北岡はたった一言で一蹴する。
「どういう了見だ、北岡」
「どういう了見も何も、とてもじゃないけど今のアンタを連れてくわけにはいかないよ」
「浅倉威はルルーシュ様の仇、貴様も知っているだろう
だから私の忠義に賭けて、あの男を討たなければならない!」
「どういう了見も何も、とてもじゃないけど今のアンタを連れてくわけにはいかないよ」
「浅倉威はルルーシュ様の仇、貴様も知っているだろう
だから私の忠義に賭けて、あの男を討たなければならない!」
乱暴に立ち上がり、語気を荒げながら捲し立てるジェレミア。
奥の方でつかさとレナが怯えているのが見える。
しかし北岡はそれを意に介することなく、まるで暴れる子供を見るかのように溜め息を吐いた。
奥の方でつかさとレナが怯えているのが見える。
しかし北岡はそれを意に介することなく、まるで暴れる子供を見るかのように溜め息を吐いた。
「はぁ、おたくさ、今の自分がどんな状態か分かってる?」
「なに……?」
「誰がどう見ても分かる、アンタはボロボロだ」
「なに……?」
「誰がどう見ても分かる、アンタはボロボロだ」
北岡に指摘され、ジェレミアはゆっくりと自分の身体を見回す。
高貴さを醸し出していた衣服は今や見る影もなく、ところどころに血が滲んでいる。
両腕に装備されていた長剣は折れ、生身の右半身は回復していても生々しい傷跡が散見していた。
だが、一番酷いのは顔だ。
主に先立たれ、仲間を失い、生き残ってしまった男。
おそらくは残された忠義だけを糧にして、彼は立ち続けているのだろう。
彼自身は決して見ることはできないが、その表情は今にも消えてしまいそうな程に憔悴しきっていた。
高貴さを醸し出していた衣服は今や見る影もなく、ところどころに血が滲んでいる。
両腕に装備されていた長剣は折れ、生身の右半身は回復していても生々しい傷跡が散見していた。
だが、一番酷いのは顔だ。
主に先立たれ、仲間を失い、生き残ってしまった男。
おそらくは残された忠義だけを糧にして、彼は立ち続けているのだろう。
彼自身は決して見ることはできないが、その表情は今にも消えてしまいそうな程に憔悴しきっていた。
「だが、私はルルーシュ様の仇を――――ぐぅっ……!」
北岡に掴みかかろうとするが、その前にジェレミアは膝を屈してしまう。
「そんなんじゃハッキリ言って足手まといなのよ」
「なん……だとぉ!」
「ジェレミアさん!」
「なん……だとぉ!」
「ジェレミアさん!」
必死で立ち上がろうとするが、ジェレミアの身体は持ち上がらない。
ここに来て、連戦による疲労が現れたのだ。
やがて近寄ってきたつかさとレナに竦められ、ジェレミアはその場に蹲る。
しかしその双眸は、訴えかけるように北岡を見続けていた。
ここに来て、連戦による疲労が現れたのだ。
やがて近寄ってきたつかさとレナに竦められ、ジェレミアはその場に蹲る。
しかしその双眸は、訴えかけるように北岡を見続けていた。
「俺なりに少し考えてみたんだけどさ」
「……?」
「……?」
ジェレミアが蹲ってから一分が経った頃か、唐突に北岡が言葉を紡ぎ出す。
「多分だけどさ、アンタのギアスキャンセラーはこの殺し合いを抜け出す鍵になる
つまりアンタは脱出の鍵になるかもしれないんだ、だからここで無駄死にさせる訳にはいかない」
つまりアンタは脱出の鍵になるかもしれないんだ、だからここで無駄死にさせる訳にはいかない」
V.V.はギアスに関わりのある人間で、人々を誘拐するのにもギアスが用いられている。
その唯一の対抗策がギアスキャンセラーであるなら、何が何でも守り抜かなければならない。
その唯一の対抗策がギアスキャンセラーであるなら、何が何でも守り抜かなければならない。
「それにさ、あいつがライダーになったのは実は俺に原因があるんだ」
連続殺人犯である浅倉の弁護士が選ばれる際、自分が売名目的で立候補した。
あらゆる手段を尽くして、死刑になるはずだった彼を懲役十年まで減刑させた。
それだけでも勲章ものだと思っていたが、無罪にできなかった自分を彼は逆恨みした。
そして獄中で神崎士郎に見込まれ、浅倉は仮面ライダーの一人となった。
もし自分が弁護していなかったら、とっくの昔に死刑が執行されていたかもしれない。
されていなかったとしても、自分を経由して神崎士郎が目をつけることはなかっただろう。
あらゆる手段を尽くして、死刑になるはずだった彼を懲役十年まで減刑させた。
それだけでも勲章ものだと思っていたが、無罪にできなかった自分を彼は逆恨みした。
そして獄中で神崎士郎に見込まれ、浅倉は仮面ライダーの一人となった。
もし自分が弁護していなかったら、とっくの昔に死刑が執行されていたかもしれない。
されていなかったとしても、自分を経由して神崎士郎が目をつけることはなかっただろう。
「だからさ、ルルーシュが死んだのも、つかさちゃんがあんなことしちゃったのも、元を辿れば俺に原因があるんだ」
「そんなことないです! そんな……そんなの滅茶苦茶です!」
「そんなことないです! そんな……そんなの滅茶苦茶です!」
真っ先に否定したのはつかさだった。
殺人者という重い枷を背負わされたにも関わらず、だ。
殺人者という重い枷を背負わされたにも関わらず、だ。
「確かに滅茶苦茶なこと言ってるかもしれない、でも俺に全く責任が無いわけでもないんだ」
「それは……でも……」
「だからさ、俺に責任を取らせてよ」
「それは……でも……」
「だからさ、俺に責任を取らせてよ」
頼み込むように言葉を紡いでいく北岡。
しどろもどろになるつかさだが、やがて観念したように口を結んだ。
しどろもどろになるつかさだが、やがて観念したように口を結んだ。
「浅倉との決着はつけて、必ず帰ってくる」
ジェレミアの目を見据えながら、凛とした声で北岡は宣言する。
「だから、こっちは任せてほしい」
北岡がそう言うと、ジェレミアは血塗れの右腕を見ながら逡巡し始める。
そうして数十秒が経過した後、深い溜め息を吐きながら。
そうして数十秒が経過した後、深い溜め息を吐きながら。
「分かった」
と、一言だけ告げた。
「本当は男を守るみたいでちょっと気に入らないんだけどね」
「開口一番にそれか、口の減らない男だ」
「開口一番にそれか、口の減らない男だ」
今度は呆れたように溜め息を吐くと、自身のデイパックからいくつかの支給品を取り出す。
「役に立つかは分からんが持っていけ」
それらを強引に押し付けると、ジェレミアはサッと背中を向けてしまう。
不器用なその背中に苦笑を浮かべつつ、北岡は受け取った品々をデイパックに仕舞いこむ。
不器用なその背中に苦笑を浮かべつつ、北岡は受け取った品々をデイパックに仕舞いこむ。
「あの、北岡さん」
そんな北岡に、今度はつかさが話し掛けてくる。
「あの……えっと……」
「……どうしたのよ?」
「……どうしたのよ?」
訝しげに彼女の表情を伺うと、居た堪れなくなったのか目を逸らしてしまう。
それでもしつこく追い続けると、不意に顔を近づけてきた。
それでもしつこく追い続けると、不意に顔を近づけてきた。
「わ、私も連れてってください!」
とてつもなく大きな声で、訳の分からないことを言い放った。
「つかさちゃん……さっきの話聞いてた?」
「聞いてましたけど……」
「足手まといは連れて行きたくないって言ったよね?」
「聞いてましたけど……」
「足手まといは連れて行きたくないって言ったよね?」
王蛇のデッキは複数のモンスターとの契約で強力に仕上がっている上、浅倉自身にも類稀な戦闘センスがある。
とてもではないが、足手まといを連れていては勝つことのできない相手だ。
とてもではないが、足手まといを連れていては勝つことのできない相手だ。
「でも……」
言葉に詰まっているが、譲る気はない様子である。
基本的に物腰柔らかいつかさだが、こういうところでは頑固なのだ。
常識で考えれば、彼女を連れて行く選択肢は有り得ない。
しかし、考慮すべき点が無いわけでもない。
自分が出ていってしまったら、ジェレミア一人にレナとつかさを押し付けることになる。
彼自身も疲弊しているため、危険人物の襲撃で全滅も有り得なくはない。
基本的に物腰柔らかいつかさだが、こういうところでは頑固なのだ。
常識で考えれば、彼女を連れて行く選択肢は有り得ない。
しかし、考慮すべき点が無いわけでもない。
自分が出ていってしまったら、ジェレミア一人にレナとつかさを押し付けることになる。
彼自身も疲弊しているため、危険人物の襲撃で全滅も有り得なくはない。
(それに、万が一――――)
「あの!」
二人の間に割って入ってきたのはレナだった。
その手には、妙に柄の長い竹箒が握られている。
その手には、妙に柄の長い竹箒が握られている。
「これ、持ってってください」
「はぁ? 何でこんなボロ臭いホウキを……」
「この箒は、空飛ぶホウキなんです」
「はぁ? 何でこんなボロ臭いホウキを……」
「この箒は、空飛ぶホウキなんです」
何を馬鹿なことを言ってるのよ。
そう言おうとして、北岡は言葉を呑み込む。
常識を越えた技術や道具が存在するこの世界ならば、空飛ぶホウキが存在していたとしても不思議ではない。
そう言おうとして、北岡は言葉を呑み込む。
常識を越えた技術や道具が存在するこの世界ならば、空飛ぶホウキが存在していたとしても不思議ではない。
「この箒なら歩くよりも速いですから、その浅倉って人のところに早く着けるはずです」
「そうなんだ……でもそれに三十の男が跨るのはなぁ……」
「そうなんだ……でもそれに三十の男が跨るのはなぁ……」
いくら便利とはいえ、三十路を迎えた男が箒に跨って空を飛ぶ姿は見苦しい。
桃井令子にでも見られたら、一生相手にされなくなるだろう。
桃井令子にでも見られたら、一生相手にされなくなるだろう。
「じゃあ柊さんに乗せてもらえばいいんじゃないですか?」
わざとらしく微笑みながら、レナはつかさの方を見た。
「え、わ、私が……!?」
「大丈夫です、初めての私でもすぐに運転できましたから」
「大丈夫です、初めての私でもすぐに運転できましたから」
押し付けるように箒を差し出すレナ。
「ちょっ、待ってよ! そうするくらいなら俺が運転するよ!」
「それは止めた方がいいかな。この箒、運転はとっても簡単だけど、結構体力使うんです
北岡さんって弁護士でしたよね? あんまり体力あるようには見えないけどなぁ……」
「それは止めた方がいいかな。この箒、運転はとっても簡単だけど、結構体力使うんです
北岡さんって弁護士でしたよね? あんまり体力あるようには見えないけどなぁ……」
閉口するしかなかった。
体力不足であることは北岡本人も自覚している。
箒を使用しないということも考えたが、これだけ便利な道具を使わない理由はない。
浅倉が移動している可能性もあるし、行き帰りの時間を短縮できるのは非常に大きいだろう。
しかし体力を消費した状態で勝てるほど、浅倉は簡単な相手ではない。
体力不足であることは北岡本人も自覚している。
箒を使用しないということも考えたが、これだけ便利な道具を使わない理由はない。
浅倉が移動している可能性もあるし、行き帰りの時間を短縮できるのは非常に大きいだろう。
しかし体力を消費した状態で勝てるほど、浅倉は簡単な相手ではない。
「つかさちゃん」
「は、はい!」
「つかさちゃんは、どうして付いて来たいの?」
「は、はい!」
「つかさちゃんは、どうして付いて来たいの?」
質問を投げた後、訪れたのは数秒の静寂。
つかさは辺りを見渡し、覚悟を決めたように北岡の目をすっと見据える。
つかさは辺りを見渡し、覚悟を決めたように北岡の目をすっと見据える。
「私……こっちに来てから何度もあの人に会ってるんです」
山小屋で一回、下山中に二回、病院で一回。
浅倉とは合計で四度も巡り合い、その度に様々な物を奪われていた。
浅倉とは合計で四度も巡り合い、その度に様々な物を奪われていた。
「もし決着を着けるなら、私も見届けたいんです
足手まといには絶対になりません、この箒で北岡さんをちゃんと送り届けます
だから、私も連れて行ってください」
足手まといには絶対になりません、この箒で北岡さんをちゃんと送り届けます
だから、私も連れて行ってください」
頭を下げるつかさ。
その仕草には可愛らしさが残っているものの、同時に清涼感のある張り詰めた気迫があった。
最初に出会った時の、ただ泣いていた少女とは違う。
様々な人の遺志を継ぎ、自らの為すべきことを見出した戦士の姿がそこにはあった。
その仕草には可愛らしさが残っているものの、同時に清涼感のある張り詰めた気迫があった。
最初に出会った時の、ただ泣いていた少女とは違う。
様々な人の遺志を継ぎ、自らの為すべきことを見出した戦士の姿がそこにはあった。
「分かった、むしろこっちからもお願いするよ、俺をあいつのところまで送り届けて欲しい」
「はい!」
「はい!」
凛とした顔から一転、つかさはこれ以上にないほど顔を綻ばせる。
余程嬉しかったのだろう。
これから浅倉と戦いに行くというのに、気が付いたら北岡も笑っていた。
余程嬉しかったのだろう。
これから浅倉と戦いに行くというのに、気が付いたら北岡も笑っていた。
「ジェレミアさん」
「……なんだ」
「……なんだ」
身体を反転させ、ソファーに腰掛けていたジェレミアの方を向くつかさ。
その手には、赤い液体の入った透明の容器が二つ握られていた。
その手には、赤い液体の入った透明の容器が二つ握られていた。
「予備のリフュールポットです、持っててください」
つかさがそれらを差し出すと、ジェレミアは無言で受け取る。
そして、たった一言だけ言葉を返した。
そして、たった一言だけ言葉を返した。
「行ってこい」
「……行ってきます」
「……行ってきます」
再び身体を返し、つかさは北岡の方へと向き直る。
その表情は、やはり覚悟を決めた戦士のものだった。
その表情は、やはり覚悟を決めた戦士のものだった。
「じゃあ、行ってくるよ」
目の前の扉を開け、北岡とつかさは一歩踏み出した。
☆ ☆ ☆
(思ってたよりも、ずっと便利かな)
空中から地上を見下ろしながら、北岡は思考に耽っていた。
最初は拒否感があったものの、いざ乗ってみるとこれほど便利なものはない。
歩いて行くよりもずっと速く、さらに他の人物と接触することもない。
乗り心地も悪くないため、初めての空中旅行はそれなりに快適なものだった。
しかし、女子高生に背後から抱きつく格好を取らざるをえないのはあまりにも情けない。
振り落とされないためには仕方がないのだが、三十路の男がそれをしている犯罪寸前だろう。
最初は拒否感があったものの、いざ乗ってみるとこれほど便利なものはない。
歩いて行くよりもずっと速く、さらに他の人物と接触することもない。
乗り心地も悪くないため、初めての空中旅行はそれなりに快適なものだった。
しかし、女子高生に背後から抱きつく格好を取らざるをえないのはあまりにも情けない。
振り落とされないためには仕方がないのだが、三十路の男がそれをしている犯罪寸前だろう。
「あの、北岡さん……」
北岡の悩みを他所に、前にいるつかさが話し掛けてくる。
背中を向けているため、表情を伺うことは叶わない。
だが、寂しげな声であった。
背中を向けているため、表情を伺うことは叶わない。
だが、寂しげな声であった。
「どうしたの?」
「はい、その……ロロさんのことなんですけど……」
「はい、その……ロロさんのことなんですけど……」
「やっぱり、ジェレミアさんが……ロロさんを……」
そこまで言って、つかさは言い淀む。
その先の言葉を想像するのは、あまりにも容易かった。
その先の言葉を想像するのは、あまりにも容易かった。
「……多分そうだと思うよ、ジェレミアがロロを”殺した”」
独白のように、北岡は呟く。
言い終わった瞬間、怯えるようにつかさが震えた。
言い終わった瞬間、怯えるようにつかさが震えた。
「つかさちゃん、この際だから言っておきたいことがあるんだ」
「な、なんですか……?」
「さっき俺は”決着を”付ける”とか”倒す”って言葉を使った
でも違う、俺は――――浅倉を殺すんだ」
「な、なんですか……?」
「さっき俺は”決着を”付ける”とか”倒す”って言葉を使った
でも違う、俺は――――浅倉を殺すんだ」
目の前にある背中がビクッと硬直する。
それでも怖気づくことなく、北岡は言葉を続けた。
それでも怖気づくことなく、北岡は言葉を続けた。
「あいつを生かしておくことで多くの命が奪われる、だから俺が責任をもって殺すんだ」
沈黙が訪れる。
覚悟していたことではあったが、やはり居心地が悪い。
しかし、これだけは絶対に言っておかなければならなかった。
浅倉を生きていることで、他の誰かの命が奪われる。
だから、誰かが殺さなければならない。
その役目を請け負うのは、かつてあの男を野放しにした自分である。
覚悟していたことではあったが、やはり居心地が悪い。
しかし、これだけは絶対に言っておかなければならなかった。
浅倉を生きていることで、他の誰かの命が奪われる。
だから、誰かが殺さなければならない。
その役目を請け負うのは、かつてあの男を野放しにした自分である。
「つかさちゃん、お願いがあるんだ」
「……なんですか?」
「浅倉の近くに来たら、つかさちゃんは遠くに逃げてほしい」
「え、でも……」
「ずっと遠くに逃げろってわけじゃないよ、あいつに見つからないように俺たちの戦いを見ていてほしいんだ
そしてもし俺が負けたら、すぐに逃げてジェレミア達にそれを知らせてほしい」
「……なんですか?」
「浅倉の近くに来たら、つかさちゃんは遠くに逃げてほしい」
「え、でも……」
「ずっと遠くに逃げろってわけじゃないよ、あいつに見つからないように俺たちの戦いを見ていてほしいんだ
そしてもし俺が負けたら、すぐに逃げてジェレミア達にそれを知らせてほしい」
あからさまに動揺するつかさ。
これこそが北岡が想定した万が一の際、彼女に頼みたいことだった。
これこそが北岡が想定した万が一の際、彼女に頼みたいことだった。
「俺だって負けるつもりはないよ、
でもあいつは強い、だから万が一の可能性も考えなきゃいけない」
でもあいつは強い、だから万が一の可能性も考えなきゃいけない」
自分が敗れた場合、浅倉は再び野放しになってしまう。
それを阻止するためには、誰かが自分たちの戦闘を見届けてそれを伝える必要があった。
それを阻止するためには、誰かが自分たちの戦闘を見届けてそれを伝える必要があった。
「やってくれるね?」
しばらく待つが、つかさからの返事はない。
顔を上げると、そこには数時間前に詩音と戦った教会の跡地が見えた。
あれから狭間がどうしたのか気になるが、空から確認するのは反則だろう。
それにあそこには、五ェ門の遺体がある。
顔を上げると、そこには数時間前に詩音と戦った教会の跡地が見えた。
あれから狭間がどうしたのか気になるが、空から確認するのは反則だろう。
それにあそこには、五ェ門の遺体がある。
「この辺でいいよ」
そう言うと、つかさはゆっくりと下降していく。
先程のやり取りが尾を引いているのか、やはり彼女が口を開くことはない。
先程のやり取りが尾を引いているのか、やはり彼女が口を開くことはない。
「ありがとね」
「……はい」
「……はい」
箒から降りる北岡。
地面を踏み締める感触を得て、やはり空よりも陸の方が性に合っていると思った。
地面を踏み締める感触を得て、やはり空よりも陸の方が性に合っていると思った。
「さてと、それじゃああいつを探しますか――――ッ!?」
ふと横を見ると、玄関扉が開いたままの民家が目に映った。
民家自体は珍しくないが、玄関扉が開きっぱなしの民家というのは有り得ない。
中に人が居ますよ、と告げているようなものだ。
襲撃者を気にしていないのか、それとも誘っているのか。
目を凝らしてみると、扉には蹴破ったような跡がある。
そして、廊下には泥と煤でできた足跡があった。
民家自体は珍しくないが、玄関扉が開きっぱなしの民家というのは有り得ない。
中に人が居ますよ、と告げているようなものだ。
襲撃者を気にしていないのか、それとも誘っているのか。
目を凝らしてみると、扉には蹴破ったような跡がある。
そして、廊下には泥と煤でできた足跡があった。
「……つかさちゃん逃げて、多分あいつはこの家にいる」
不思議と確信が持てた。
狭間から借りた探知機の情報とも矛盾はなく、今までずっと動き続けていたのならそろそろ休息が必要になるだろう。
スーツのポケットに手を入れ、その中にあるゾルダのデッキを強く握る。
狭間から借りた探知機の情報とも矛盾はなく、今までずっと動き続けていたのならそろそろ休息が必要になるだろう。
スーツのポケットに手を入れ、その中にあるゾルダのデッキを強く握る。
「……」
無言のまま立ち去っていくつかさ。
酷なことを言った自覚はあるが、これは必要な覚悟だ。
彼女の姿が見えなくなるまで待ち、目の前の民家に足を踏み入れる。
泥と煤でできた足跡は、民家の奥にある部屋まで伸びている。
雰囲気から察するに、どうやら台所のようだ。
酷なことを言った自覚はあるが、これは必要な覚悟だ。
彼女の姿が見えなくなるまで待ち、目の前の民家に足を踏み入れる。
泥と煤でできた足跡は、民家の奥にある部屋まで伸びている。
雰囲気から察するに、どうやら台所のようだ。
「……やっぱりお前か」
これは偶然なのか、はたまた運命なのか。
半開きになっていた扉を開けると、そこはまるで生活感のない部屋だった。
純白のテーブルクロスが掛けられた大きな食卓に、汚れが一切見当たらない冷蔵庫やキッチン。
その光景を例えるならば、見学会を開いている新居のようである。
だが、それを塗り潰すように泥と煤でできた足跡が乱れていた。
床にはいくつもの卵の殻が散乱し、大きなジョッキが転がっている。
そして、その中心に一人の男がいた。
蛇柄のジャケットを直接着込み、ボサボサの金髪を提げた男が。
元の世界で何度も殺し合い、この地でも二度の戦闘を行った男が。
半開きになっていた扉を開けると、そこはまるで生活感のない部屋だった。
純白のテーブルクロスが掛けられた大きな食卓に、汚れが一切見当たらない冷蔵庫やキッチン。
その光景を例えるならば、見学会を開いている新居のようである。
だが、それを塗り潰すように泥と煤でできた足跡が乱れていた。
床にはいくつもの卵の殻が散乱し、大きなジョッキが転がっている。
そして、その中心に一人の男がいた。
蛇柄のジャケットを直接着込み、ボサボサの金髪を提げた男が。
元の世界で何度も殺し合い、この地でも二度の戦闘を行った男が。
「ハハッ……まさかとは思ったが、やはり貴様か」
浅倉威だ。
直前まで寝転がっていたのか、浅倉は硬いフローリングの床に座り込んでいる。
だが、その双眼は肉食動物のようにギラギラと輝いていた。
直前まで寝転がっていたのか、浅倉は硬いフローリングの床に座り込んでいる。
だが、その双眼は肉食動物のようにギラギラと輝いていた。
「会いたかったぜぇ、北岡」
「できることなら、俺は会いたくなかったよ」
「できることなら、俺は会いたくなかったよ」
喉を鳴らす浅倉に対し、嫌味を叩き付ける北岡。
だが浅倉は意に介さぬといった様子で、けたけたと笑い続けている。
だが浅倉は意に介さぬといった様子で、けたけたと笑い続けている。
「どうした、戦いに来たのか」
気怠そうに起き上がり、ギロッと傍に設置されている窓を睨み付ける。
一切使用感のないその窓は、まるで鏡のように彼らの姿を映し出していた。
一切使用感のないその窓は、まるで鏡のように彼らの姿を映し出していた。
「ああ、そうだよ」
そう言い放ち、北岡はゾルダのデッキを取り出す。
「……お前」
「なんていうかさ、お前との付き合いも長かったよな」
「なんていうかさ、お前との付き合いも長かったよな」
最初の出会いは、浅倉を弁護するために赴いた拘置所の中。
その後も何度か裁判のために顔を合わせたが、この男とは生涯分かり合えないと悟った。
やがて弁護人を降りたが、次に出会う日はそう遠くなかった。
カードデッキを手にした浅倉は、恨み辛みを掲げながら自分の前に立ちはだかったのだ。
それから幾度となく鏡の向こうで戦ったが、一度としてその決着が着いたことはない。
その後も何度か裁判のために顔を合わせたが、この男とは生涯分かり合えないと悟った。
やがて弁護人を降りたが、次に出会う日はそう遠くなかった。
カードデッキを手にした浅倉は、恨み辛みを掲げながら自分の前に立ちはだかったのだ。
それから幾度となく鏡の向こうで戦ったが、一度としてその決着が着いたことはない。
「いや、長過ぎたんだ」
独白のように語りかける北岡。
浅倉の顔から、既に笑みは失せている。
浅倉の顔から、既に笑みは失せている。
「終わりにしよう」
窓に向けて、デッキを掲げる北岡。
すると鏡に映った自分の腰回りにVバックルが出現し、合わせるように現実世界の自分にもVバックルが巻かれる。
すると鏡に映った自分の腰回りにVバックルが出現し、合わせるように現実世界の自分にもVバックルが巻かれる。
「クク……ハハハハハハハハハハハハッ!」
変身の構えを取る北岡を見て、浅倉は心底愉快であると言いたげに高笑いをする。
「やってみろ」
そして、突き刺すように懐からデッキを取り出して掲げた。
「「変身!!」」
二つの声が交差する。
デッキがバックルの窪みに差し込まれ、鏡が割れるような音とともに二人の姿が光に包まれる。
次の瞬間、二人の戦士が対峙していた。
仮面ライダーゾルダと仮面ライダー王蛇。
弁護士と殺人鬼。
何処か似ているようで、根本的に異なる二人。
彼らの最終決戦が、今始まる。
デッキがバックルの窪みに差し込まれ、鏡が割れるような音とともに二人の姿が光に包まれる。
次の瞬間、二人の戦士が対峙していた。
仮面ライダーゾルダと仮面ライダー王蛇。
弁護士と殺人鬼。
何処か似ているようで、根本的に異なる二人。
彼らの最終決戦が、今始まる。
「フンッ!」
最初に動いたのは北岡だった。
馴れた手つきで腰のマグナバイザーを抜き、浅倉に銃口を向ける。
王蛇の最大のアドバンテージは、複数の契約から生み出される膨大な数のカード。
長期戦に持ち込まれた場合、確実に手札の差が現れる。
故に初手に選ぶ一手は、カードを装填させない程の猛攻。
ここでゾルダのアドバンテージが役に立つ。
このデッキはナイトやタイガのように、バイザー自体を武器として運用することができる。
つまり王蛇よりも一手早く動くことができるのだ。
馴れた手つきで腰のマグナバイザーを抜き、浅倉に銃口を向ける。
王蛇の最大のアドバンテージは、複数の契約から生み出される膨大な数のカード。
長期戦に持ち込まれた場合、確実に手札の差が現れる。
故に初手に選ぶ一手は、カードを装填させない程の猛攻。
ここでゾルダのアドバンテージが役に立つ。
このデッキはナイトやタイガのように、バイザー自体を武器として運用することができる。
つまり王蛇よりも一手早く動くことができるのだ。
「チィッ!」
ベノバイザーを振り回し、発射された弾丸を防ぐ浅倉。
だが、マグナバイザーは一分間で百二十発もの弾丸を放出する。
決定打には成り得ないが、無視できるダメージでもない。
狭い屋内では自由に逃げ回ることもできず、地の利はこちらにあった。
万が一突破された際の予備として、ギガランチャーのカードを用意してある。
完璧とはいえないが、それなりの上策を用意したつもりだった。
だが、マグナバイザーは一分間で百二十発もの弾丸を放出する。
決定打には成り得ないが、無視できるダメージでもない。
狭い屋内では自由に逃げ回ることもできず、地の利はこちらにあった。
万が一突破された際の予備として、ギガランチャーのカードを用意してある。
完璧とはいえないが、それなりの上策を用意したつもりだった。
「ッ!?」
だが、その思惑はすぐに崩される。
北岡の視界を、白い巨大な布が埋め尽くしたのだ。
一瞬混乱するが、すぐに正体がテーブルクロスであると気付く。
浅倉が投げ付けたのだろうが、気付いた時にはテーブルクロスは北岡の身体に覆い被さっていた。
北岡の視界を、白い巨大な布が埋め尽くしたのだ。
一瞬混乱するが、すぐに正体がテーブルクロスであると気付く。
浅倉が投げ付けたのだろうが、気付いた時にはテーブルクロスは北岡の身体に覆い被さっていた。
(まずい!)
これでは照準をつけることができず、浅倉の妨害ができない。
テーブルクロスを退けるよりも、カードの装填の方が早いだろう。
それを防ぐため、北岡は目の前にあった食卓を蹴り上げる。
だが、手応えがなかった。
重いものを蹴り上げたかのように、ピクリとも動かなかったのだ。
テーブルクロスを退けるよりも、カードの装填の方が早いだろう。
それを防ぐため、北岡は目の前にあった食卓を蹴り上げる。
だが、手応えがなかった。
重いものを蹴り上げたかのように、ピクリとも動かなかったのだ。
「ッ!」
テーブルクロスを剥ぎ取り、ようやくその理由を理解する。
ベノサーベルを構えた浅倉が、食卓の上に陣取っていたのだ。
ベノサーベルを構えた浅倉が、食卓の上に陣取っていたのだ。
「アアァァッ!!」
横薙ぎに繰り出された斬撃が、北岡の脇腹を直撃する。
斬ることよりも殴ることに特化したその一撃に、北岡は踏み止まることができない。
窓を突き破り、たった一撃で外にまで放り出されてしまった。
斬ることよりも殴ることに特化したその一撃に、北岡は踏み止まることができない。
窓を突き破り、たった一撃で外にまで放り出されてしまった。
「ガッ……!」
地面と激突し、短い悲鳴を漏らす北岡。
だが、マグナバイザーとカードだけは手放さなかった。
近づいてくる浅倉を見据えつつ、痛みの抜け切らない身体を立ち上げる。
そして、カードを装填した。
だが、マグナバイザーとカードだけは手放さなかった。
近づいてくる浅倉を見据えつつ、痛みの抜け切らない身体を立ち上げる。
そして、カードを装填した。
――――SHOOT VENT――――
マグナギガの両腕を模した巨大な一門砲が現れる。
両手でそれを支えながら、迫ってくる浅倉に砲口を向けた。
両手でそれを支えながら、迫ってくる浅倉に砲口を向けた。
「……」
一方で浅倉はベノサーベルを放り捨て、一枚のカードを取り出す。
その行動を訝しむ北岡だが、今はギガランチャーを発射する以外の手はない。
外さないように標的を見据え、引き金を引いた。
その行動を訝しむ北岡だが、今はギガランチャーを発射する以外の手はない。
外さないように標的を見据え、引き金を引いた。
――――STRIKE VENT――――
発射された砲弾は浅倉に命中し、一メートルほど後退させる。
だが、それだけだった。
浅倉の両腕に装着された巨大な篭手が、その衝撃をほとんど吸収していたのだ。
だが、それだけだった。
浅倉の両腕に装着された巨大な篭手が、その衝撃をほとんど吸収していたのだ。
「何でお前がそれを……!?」
その篭手は見覚えのあるものだった。
肘まで覆い尽くすような銀色に、刃のように鋭利な五本の爪。
それはかつて東條が愛用していた武器――――デストクローだった。
肘まで覆い尽くすような銀色に、刃のように鋭利な五本の爪。
それはかつて東條が愛用していた武器――――デストクローだった。
「ああ、これか?」
「まさかお前があいつを……」
「さぁな、そんなことはどうでもいい、戦え!」
「まさかお前があいつを……」
「さぁな、そんなことはどうでもいい、戦え!」
デストクローを振り上げ、浅倉は突進してくる。
その様相を例えるなら、さながら大口を開けた肉食獣のようだ。
その様相を例えるなら、さながら大口を開けた肉食獣のようだ。
(……)
迫ってくる浅倉を冷静に見据えながら、両手に力を込める北岡。
近場まで肉薄した浅倉は、思い切り右腕を振り被った。
近場まで肉薄した浅倉は、思い切り右腕を振り被った。
「ぐぅっ!?」
悲鳴が漏れる。
ただし、北岡ではなく浅倉のものだ。
呆然とした様子で、浅倉は脇腹の方に視線を移す。
そこにはギガランチャーの砲身が叩きこまれていた。
ただし、北岡ではなく浅倉のものだ。
呆然とした様子で、浅倉は脇腹の方に視線を移す。
そこにはギガランチャーの砲身が叩きこまれていた。
「動きが大振り過ぎる、そんなんじゃ甘いよ」
浅倉がデストクローを装備した時は面食らったが、見慣れてしまえば恐るるに足らない。
東條に比べて大振りであり、使い慣れていないのが一目瞭然であった。
呻きながら、たたらを踏む浅倉。
その腹に、ギガランチャーの砲口を合わせる。
東條に比べて大振りであり、使い慣れていないのが一目瞭然であった。
呻きながら、たたらを踏む浅倉。
その腹に、ギガランチャーの砲口を合わせる。
「ぐおおおあああぁぁぁぁッ!!」
至近距離から砲撃を受け、堪らず浅倉は吹き飛ばされる。
地面に落ちても勢いは収まらず、先程の民家に激突したことでようやく停止した。
地面に落ちても勢いは収まらず、先程の民家に激突したことでようやく停止した。
(二発目を……)
――――ADVENT――――
間髪入れずに二発目を狙おうとして、認証音に足を止める。
それと同時に、背後から風切り音が切り裂いた。
それと同時に、背後から風切り音が切り裂いた。
「キイイイィィィィィ――――ッ!」
エビルダイバーだった。
背後の民家にある窓から飛来し、目にも留まらぬ速度で体当たりを仕掛けてきたのだ。
重量のあるギガランチャーを持っているため初動が遅れ、それを避けることは適わない。
体当たりにより転倒し、ギガランチャーを手放してしまった。
背後の民家にある窓から飛来し、目にも留まらぬ速度で体当たりを仕掛けてきたのだ。
重量のあるギガランチャーを持っているため初動が遅れ、それを避けることは適わない。
体当たりにより転倒し、ギガランチャーを手放してしまった。
「クハハハハハハハハハハッ!」
投げ捨てたベノサーベルを拾い上げ、エビルダイバーと共に浅倉は走り出す。
先程の傷など無かったかのように、その走り方に淀みはない。
マグナバイザーで銃撃するが、ベノサーベルに呆気なく叩き落されてしまう。
新たな武器を出現させようと手を伸ばすが、急発進してきたエビルダイバーに妨害されてしまった。
そして、目の前に現れる浅倉。
叩きつけられるベノサーベルを横に躱し、再びマグナバイザーを構えようとする。
だが、そこには既に浅倉の左脚が迫っていた。
先程の傷など無かったかのように、その走り方に淀みはない。
マグナバイザーで銃撃するが、ベノサーベルに呆気なく叩き落されてしまう。
新たな武器を出現させようと手を伸ばすが、急発進してきたエビルダイバーに妨害されてしまった。
そして、目の前に現れる浅倉。
叩きつけられるベノサーベルを横に躱し、再びマグナバイザーを構えようとする。
だが、そこには既に浅倉の左脚が迫っていた。
「ぐっ……」
咄嗟に左腕で防ぐが、鈍い痛みが全身を駆け抜ける。
ベノサーベルの斬撃は囮で、本命は左脚による回し蹴りだったのだ。
蠢くように後退りながら、北岡は辛うじて距離を取り出す。
ベノサーベルの斬撃は囮で、本命は左脚による回し蹴りだったのだ。
蠢くように後退りながら、北岡は辛うじて距離を取り出す。
――――FINAL VENT――――
エビルダイバーが金切り声を上げる。
北岡が後退している隙に、浅倉は追撃用のファイナルベントを発動したのだ。
本来は各ライダーに一枚しか存在しないものだが、王蛇はそれを複数所持している。
故にこうして積極的に使用することができるのだ。
北岡が後退している隙に、浅倉は追撃用のファイナルベントを発動したのだ。
本来は各ライダーに一枚しか存在しないものだが、王蛇はそれを複数所持している。
故にこうして積極的に使用することができるのだ。
「ハハハハッ! 向こうに着いたら絵葉書でも送ってくれよ!」
高らかに叫ぶ浅倉。
エビルダイバーのファイナルベント――――ハイドベノンの本来のAPは5000だ。
しかし、先の戦いで仮面ライダーシザースの契約モンスターであったボルキャンサーを吸収している。
ボルキャンサーは大量の人間を捕食して能力を上昇させており、それを吸収したエビルダイバーも当然その恩恵を得ることができる。
つまり今のエビルダイバーは、以前とは比べ物にならない程の力を得ているのだ。
エビルダイバーのファイナルベント――――ハイドベノンの本来のAPは5000だ。
しかし、先の戦いで仮面ライダーシザースの契約モンスターであったボルキャンサーを吸収している。
ボルキャンサーは大量の人間を捕食して能力を上昇させており、それを吸収したエビルダイバーも当然その恩恵を得ることができる。
つまり今のエビルダイバーは、以前とは比べ物にならない程の力を得ているのだ。
「はぁっ!」
背後から急旋回してきたエビルダイバーに飛び乗り、浅倉は北岡の元へと向かう。
その速度は、一撃で北岡を葬り得るほどのものだった。
その速度は、一撃で北岡を葬り得るほどのものだった。
――――CONFINE VENT――――
「がっ!」
認証音が鳴り響き、忽然と姿を消すエビルダイバー。
その背に乗っていたため、浅倉は地面へと投げ出される。
エビルダイバーは超高速で突進していたため、浅倉の受ける衝撃は決して小さくない。
その背に乗っていたため、浅倉は地面へと投げ出される。
エビルダイバーは超高速で突進していたため、浅倉の受ける衝撃は決して小さくない。
「助かったよ、ここはお礼を言っておくべきかな」
彼が使用したのはコンファインベントのカード。
コンファインベントは相手が使用したカードを無効化する効力を持つ。
これによりファイナルベントが無効化され、エビルダイバーは姿を消したのだ。
非常に強力なカードだが、本来のゾルダのデッキには含まれていない。
これはジェレミアから渡された一品であり、元々はアイゼルに支給されていた物だ。
コンファインベントは相手が使用したカードを無効化する効力を持つ。
これによりファイナルベントが無効化され、エビルダイバーは姿を消したのだ。
非常に強力なカードだが、本来のゾルダのデッキには含まれていない。
これはジェレミアから渡された一品であり、元々はアイゼルに支給されていた物だ。
――――SHOOT VENT――――
「悪いな」
間髪入れずにギガキャノンを装備する。
二つの砲門から繰り出される砲撃は、起き上がったばかりの浅倉を再び宙へと吹き飛ばした。
ギガランチャーと比べ、ギガキャノンは威力が高い。
二十メートル以上も放物線を描いた後、バスケットボールのように地面に叩きつけられた。
二つの砲門から繰り出される砲撃は、起き上がったばかりの浅倉を再び宙へと吹き飛ばした。
ギガランチャーと比べ、ギガキャノンは威力が高い。
二十メートル以上も放物線を描いた後、バスケットボールのように地面に叩きつけられた。
「俺はメール派なんだ、それに地獄の住所なんか知らないよ」
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