FINAL VENT - What a Wonderful World

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FINAL VENT - What a Wonderful World  ◆ew5bR2RQj.



両肩の砲門から煙が漏れる。
視線の先にあるのは、右手を支えに片膝を着く浅倉の姿。
その背中は今にも朽ち果てそうで、手足は小刻みに震えている。
いくら浅倉と言えども、二度で負傷しないわけがないのだ。
だが、とどめを刺しておくに越したことはない。
ギガキャノンは連射が効かないのが欠点ため、外した場合は大きな隙を生んでしまう。
だからこそ慎重に狙いをつけ、傷だらけのその背中を北岡は見据える。

――――ADVENT――――

その一手は間違いであった。
発射しようとした瞬間、背後から巨大な大蛇――――ベノスネーカーが大口を開けて襲いかかってきたのだ。

「やっぱりテメェは間抜けだ、底抜けのな」

何事もなかったかのように立ち上がる浅倉。
彼は瀕死になどなっておらず、芝居を打って北岡を騙したのだ。
重症を負った振りをしながら、右手でベノバイザーを召喚。
背中で死角を作り、左手でデッキからカードを抜く。
単純ではあるものの、瀕死と誤解している相手には効果的な一手。
確かにギガキャノンは直撃したが、浅倉にとって多少の傷みはもはや起爆剤にしかならない。
相手に痛みつけられることで、より深く殺意や執念を燃やすのだ。

「くっ……」

もし即座に二発目を発射していれば、この事態は無かったかもしれない。
千載一遇の好機を逃したことを痛感する。
身体を反転させ、ベノスネーカーを砲撃しようとする北岡。
だがその脚を切り裂くような痛みが襲い掛かり、北岡は倒れ込んでしまった。
前を見ると、浅倉の手には赤紫色の鞭・エビルウィップが握られている。
先程の一撃はそれによるものだと気付くが、その時にはもう遅い。
背後にいるベノスネーカーの口から、猛毒の溶解液を吐き掛けられていた。

「ああああぁぁぁぁぁッ!」

焼け付くような激痛に悲鳴が漏れる。
溶解液は両肩のギガキャノンは一瞬で溶解し、さらに北岡の背中にまで降りかかる。
背中を守る鎧は溶け、スーツ越しに肉体を焼いた。

――――ADVENT――――

咆哮が空気を震わす。
白銀の猛虎――――デストワイルダーが増援に呼び出されたのだ。
ベノスネーカー、デストワイルダー、そして浅倉自身。
三体の猛獣が、同時に北岡へと牙を向く。
激痛に堪えながらガードベントを発動し、ギガアーマーを装備して守勢に回る。
これで凌げるとは思わないが、何もないよりはずっとマシだろう。
真っ先に迫ってきたのは、デストワイルダーの豪腕。
肉厚の盾を掲げ、払うように押し退ける。
次の攻撃は、ベノスネーカーによる二発目の溶解液。
先程の威力を鑑みるに、ギガアーマーでも防ぐことはできない。
大きく右に飛び、毒液を回避する。
じゅわりと嫌な音が鳴り、数秒前までいた地面が抉れた。

「ッ!」

エビルウィップの先端が目前まで伸びている。
北岡の動きを予知していたかのような、そんな攻撃だ。
咄嗟にギガアーマーをかち上げ、上底でエビルウィップを弾く。
そうして安堵した一瞬、腹部から背中にかけて重い衝撃が駆け抜けた。
仮面の下で、大量の血液を吐く。
浅倉の回し蹴りが、守りの薄くなった腹部に突き刺さったのだ。

「おおおぉぉぉッ!」

持ち上げていたギガアーマーを、まだ引き戻していなかった浅倉の脚目掛けて力任せに叩き落す。
くぐもった悲鳴を上げ、僅かによろめく浅倉。
すかさずギガアーマーを押し出し、よろめく浅倉をさらに押し飛ばす。

「ハハハハハハハハハハハハハハハ!!」

だが、浅倉から出たのは笑い声だった。
呼応するように、背後に控えた二体のモンスターが雄叫びを上げる。
ベノスネーカーが突進を仕掛け、頭部の横にある刃でギガアーマーに亀裂を入れていく。
その影から現れたデストワイルダーが爪を差し込み、ついにギガアーマーは破壊されてしまった。

「この!」

腕を振り上げるデストワイルダーに、マグナバイザーの連射を叩き込む。
堪らず後退していくが、今度はベノスネーカーが襲い掛かろうとする。
だが、銃口を向けるとぴたりと停止した。

「ハァ……ハァ……」

均衡が訪れる。
一旦戦いが止まると、思い出すように全身が痛み出した。
全身を蝕んでいる激痛は、過去に経験したことがない程のものだ。
今までの自分なら退散を考えていただろう。
そんな自嘲気味の思考が、北岡の心中を渦巻く。
しかし、この戦いだけは何があっても逃げる訳にはいかない。
次元、デルフリンガー、五ェ門、蒼嶋、ジェレミア、アイゼル、レナ、つかさ。
多くの者たちの手助けを受け、今の自分はここに立っている。
それに浅倉を倒すと約束したのだ。
命を賭してデッキを取り返してくれた五ェ門と、戦いの場を譲ってくれたジェレミアと、この場所まで送ってくれたつかさと。
これで尻尾を撒いて逃げるようなら、二度と彼らに顔向けすることはできない。

「最高だ、お前がそこまで本気で戦ってくれるとはなぁ、嬉しいぜぇ!」

空を仰ぎながら、浅倉は笑い声を上げる。
受けた傷は決して小さくないのに、まるでそれを感じさせないほど溌剌としていた。

「そういえばお前と一緒にいたあの女……あのウザかった女だ」
「……つかさちゃんのことか?」
「そう、そいつだ」
「つかさちゃんがどうかしたのか?」

突然の独白に対し、北岡は訝しげに問う。
すると浅倉は、思い出したようにけたけたと笑い出した。

「あの女と同じ服を着た女を殺した、俺が殺した! ハハハハハハハハハハハハハハハ!!」
「つかさちゃんと同じ服を着た女……まさか!?」

一人だけ心当たりがあった。
先程の放送で名前を呼ばれたつかさの友人・泉こなた
絶対的な確証があるわけではないが、可能性は高いだろう。

「俺を仲間だと勘違いして自分から殺されに来やがったんだ、心底愉快だったぜ……!」

下卑た笑いを浮かべながら、醜悪な言葉を口にする。
過去に腐るほど他者の悪事を耳にしてきたが、それでも燻るような不快感を覚えた。

――――ADVENT――――

デッキからカードを抜き、バイザーに装填する北岡。
すると浅倉の足下から轟音が鳴り響き、マグナギガが押し上がってくる。
それに巻き込まれないよう、二体のミラーモンスターと浅倉は後退していった。

「やっぱりお前は最低で最悪だよ」

目前にいる三体の敵に狙いを定め、両腕と両脚の兵器を起動するマグナギガ。
確かにマグナギガは非常に鈍足だが、決して動けないという訳ではない。
ファイナルベントを発動せずとも、自身の力のみで攻撃を行うことができるのだ。

――――FREEZE VENT――――

だが、その動きは不意に停止した。

「フンッ……だから甘いんだよ、お前」

まるで氷像のように微動だにしないマグナギガ。
北岡の手を読んでいたと言うかのように、仮面の下でせせら笑う浅倉。
フリーズベントは絶対零度の冷気を放ち、ミラーモンスターを瞬時に凍結させるカード。
凍結したモンスターは一切の行動を封じられ、格好の的になってしまう。

「行け! 奴を食い殺せ!」

目の前に餌をぶら下げられ、二体のミラーモンスターは唸り声を上げる。
いくらマグナギガの装甲が硬くても、無抵抗のままではすぐに食い殺されてしまうだろう。

「なんだこれは……!?」

――――無抵抗のままではの話だが。

北岡とマグナギガの周辺が白煙に包まれる。
フリーズベントが発動された瞬間、北岡はジェレミアから受け取った煙玉を投げたのだ。

「何をしている……行け」

狼狽するモンスター達に、底冷えするような低い声で命令する浅倉。
一瞬だけ戸惑うような素振りを見せるが、意を決したのか突入を開始するモンスター達。

「ギャアアアアァァァッ!!」

白煙の中から砲撃が発射される。。
二体のモンスターはその砲撃を全身に浴び、堪らず退散した。

「どういう……ことだぁ!?」

目の前で起きた光景が理解できずに地団駄を踏む浅倉。
そんな彼を嘲笑うかのように、白煙が引いて砲口から煙を噴くマグナギガが姿を現した。

「やっぱりフリーズベントか、読んでたよ」

浅倉がデストワイルダーと契約したことを知った時、真っ先に警戒したのはフリーズベントだった。
過去の戦いで東條にこれを使われ、窮地に陥ったことがある。
浅倉を倒すにはファイナルベントが必須であり、それを封じるフリーズベントの攻略は避け切れない課題だった。
そうして思考を巡らせていた際、唐突に浅倉が挑発を始める。
狡猾な浅倉のことだから必ずこの行動にも意味があると考え、辿り着いた答えがマグナギガの召喚だ。
既に二枚のシュートベントは消費し、残された飛び道具はマグナギガを介する物しかない。
浅倉の狙いが自分にマグナギガを召喚させ、フリーズベントを発動することだと気付いたのだ。

「生憎だけど、同じ手は二度も通用しない」

だから、逆にそれを利用してやることにした。
北岡の所持品の中には、味方の状態異常を回復する茶色の小瓶があったのだ。
元々は五ェ門の支給品であったが、密かに回収しておいたのである。
煙玉で隙を作り、茶色の小瓶でマグナギガの凍結を回復。
そして、油断している連中に砲撃を行う。
綱渡りな面があったのも否定はできないが、不思議と上手くいく自信はあった。

「北岡あああああああああああああああああああああああああッ!!!!」

ミラーモンスターのように咆哮を上げる浅倉。
手に持ったエビルウィップを、力任せに投げつける。

――――FINAL VENT――――

北岡がそれを躱すと同時に、ファイナルベントの発動を告げる電子音が鳴り響く。
真横に設置されたカーブミラーから出現するデストワイルダー。
豪腕を振り上げ、北岡に飛び掛る。
背後に飛んで避けようとするが、それよりもデストワイルダーの爪が腹部に突き刺さる方が速い。
力任せに北岡を押し倒し、そのままデストクローを構える王蛇の下へと引き摺り出す。
激痛が突き抜けるが、北岡は同時に安堵していた。
デストクローの時もそうだったが、浅倉はまだこの技を使い慣れていない。
うつ伏せに引き摺られていれば詰みだったが、今の自分は仰向けに引き摺られている。
つまり前回と同様、マグナバイザーでこの場を抜け出すことができる。

「グウゥッ!」

腹部に銃撃を受け、デストワイルダーは転倒する。
素早く立ち上がった北岡は、全速力でその場を離れた。

――――FINAL VENT――――

三度目の認証音。
両腕を広げて助走をつける浅倉と、併せるように背後を這うベノスネーカー。
何人ものライダーを葬った必殺技――――ベノクラッシュだ。
身体を仰け反らせるベノスネーカーに併せ、勢いよく跳び上がる浅倉。
そのまま宙返りを行い、ベノスネーカーが毒液を発射する。
それで加速をつけた浅倉は、地上にいる北岡へと飛び掛った。

(間に合った!)

全速力で逃げたものの、やはりファイナルベントには敵わない。
ベノクラッシュの落下点は、確実に今の自分がいる場所だ。
だからこそ、この場所に逃げたのである。
北岡が立っている場所は、最初に攻防を行った民家の前。
エビルダイバーの突進を受け、ギガランチャーを落としてしまった場所。
落ちていたギガランチャーを拾い上げ、盾のように掲げる。
砲撃できるのが最善だったが、それには間に合いそうにもなかった。

「ぐぅっ!」

ギガランチャー越しに襲い掛かる衝撃。
たった一発の蹴りだというのに、ダンプカーと衝突したと錯覚するような威力だ。
踏み止まろうとする北岡を、嘲笑うかのように押し戻していく。
盾代わりに利用したギガランチャーに、いくつもの亀裂が入っているのが見えた。

「ハハハハハハハハハハッ!」

二発目の蹴りが襲う。
強引に押し戻されたことで身体の軸が逸れ、足腰に力が入らなくなる。
ギガランチャーの亀裂は幾重にも重なり、次の瞬間には崩壊しそうなほどだ。

「死ね!」

三発目の蹴りでついに決壊した。
バランスを崩した北岡は大きく仰け反り、ギガランチャーは音を立てて崩れ落ちる。
次の蹴りが入れば、死は免れないだろう。
だが――――

「なに……ぐあああぁぁぁ!」

中に入っていた砲弾が暴発した。
爆炎と爆風が周辺を覆い、北岡と浅倉は同時に吹き飛ばされる。
ギガランチャーは広範囲攻撃に特化しているため、二人が吹き飛ばされる距離も小さくない。
互いに地面を転がりながら、悠に五十メートルは超える間合いを作り上げた。

――――FINAL VENT――――

立ち上がると同時にカードを装填する北岡。
爆発による激痛が身体を苛むが、ファイナルベントの直撃に比べれば大したことはない。
再び彼の前に姿を現すマグナギガ。
五十メートル以上もの距離があり、今の浅倉には隙がある。
エンド・オブ・ワールドを放つのに、これ以上の好機は無いだろう。
両腕を掲げながら、膝、胸、額と各所にある砲門を開いていくマグナギガ。
後はその背中にマグナバイザーを装填すれば全てが終わり――――

――――UNITE VENT――――

背後で悲鳴のような奇声が鳴り響いた。
振り返ると、そこに居たのは北岡の倍以上の大きさを持つ化け物。
王蛇と契約する三体のモンスターを分解し、歪に組み替えたような怪物。
融合のカードで生誕する最強の下僕。
獣帝・ジェノサイダー。

「ぐあぁ……ッ!」

ジェノサイダーは口内に液体を溜めながら、鎌首をもたげる。
回避を試みようとするが、それはもう間に合わない。
ジェノサイダーの口からエネルギー波が発射され、北岡の身体に降りかかる。
エネルギー波は瞬時に爆発し、北岡の身体は地面に叩き付けられた。

――――FINAL VENT――――

「クハハハハハハハハハッ! これで終わりだ!」

走りながらベノバイザーの蓋を閉じ、四枚目のファイナルベントを発動させる浅倉。
背後にいたジェノサイダーの腹部が脈動し、大口を開くかのように巨大な穴が出現する。
その穴は小型のブラックホールであり、一度吸い込まれたら二度と戻ってくることはできない。
ジェノサイダーのファイナルベント――――ドゥームズデイ。
王蛇が回転蹴りを繰り出し、その穴に相手を叩き込む技だ。

「くっ……あっ……」

急いで立ち上がるが、マグナバイザーが手元にない。
先程の爆撃で、遠くに飛んでいってしまったのだろう。
薄れゆく視界には、浅倉が錐揉み回転しながら蹴りを繰り出す姿が映る。
マグナバイザーが無ければ、エンド・オブ・ワールドを発動させることはできない。
もはや、打つ手はなかった。


   ☆ ☆ ☆


もしも彼らがバトルロワイアルに巻き込まれず、本来の歴史が進んでいた場合の話をしよう。
1月19日――――神崎優衣が二十回目の誕生日を迎える日。
タイムリミットであるその日、ゾルダと王蛇は戦っていた。
しかし、ゾルダの変身者は北岡ではない。
彼は最後に浅倉と決着を着けようとして、病魔に力尽きた。
代わりに浅倉と戦ったのは、彼の秘書を務めていた由良吾郎。
北岡の遺志を継いだ彼がゾルダに変身し、北岡が果たすことのできなかった決着を付けようとした。
だが、彼は負けた。
エンド・オブ・ワールドを放とうとするが、ジェノサイダーの妨害で失敗。
逆にドゥームズデイを発動され、マグナギガを失って敗北した。
本来の歴史で行われたはずの戦い。
たった今行われている戦い。
まるで鏡に映しているかのように、この二つの戦いは酷似していた。

「…………!」

だが、一つだけ違うことがあった。
今の北岡には、彼を支える仲間が大勢いる。

「……! ……!」

薄れゆく視界に、見覚えのある黄色のリボンが揺れる。
彼女の手には、マグナバイザーが握られていた。

「……ッ!」

蹴り込んでくる浅倉の姿が、すぐ傍にまで迫ってきている。
だが、それよりもマグナバイザーが装填される方が早かった。
ビーム砲、ミサイル、バズーカ、バルカン砲、レーザー、ロケット弾。
耳を劈くような駆動音と共に、それらが一斉に発射される。
蹴り込んできていた浅倉が避けれるはずもなく、この世に存在するありとあらゆる重火器の洗礼を浴びていく。
爆風により押し戻され、爆炎がその身体を焼き尽くす。
凄まじい衝撃にデッキは砕け散り、仮面ライダー王蛇は浅倉威の姿へと戻る。
それでも爆発は収まらず、爆炎と爆風は容赦なく生身の彼を呑み込む。
悲鳴すらも砲撃音に掻き消され、浅倉威という人間はこの世から跡形もなく消滅した。


   ☆ ☆ ☆


爆発の余波は収まり、その跡地が視界を埋める。
周辺にあった民家は全壊し、その残骸すらも残っていない。
まるで隕石でも落ちたかのように、焦げ付いた地面だけが広がっていた。

「つかさちゃん……」

立ち尽くすつかさ。
背を向けているため、彼女の表情を伺うことはできない。
だが、その手にはマグナバイザーが握られている。
最後の瞬間、エンド・オブ・ワールドを発動したのは彼女だった。
彼女の助力があったから、浅倉に勝つことができたのだ。

「ごめん……」

だが、それを喜ぶことなど出来るはずもない。
故意ではないといえ、彼女は他者の命を奪っている。
それを散々後悔していたことも、必死で償おうとしていたことも知っている。
誰かの命を奪うということを、彼女は誰よりも理解している。
その彼女に、浅倉を殺させた。
自分が負うはずだった責任を、年端もいかない少女に擦り付けたのだ。

「……謝らないで……ください」

震えるような声。
あまりにも弱々しく、そよ風でも掻き消えてしまいそうなほどに小さい。

「確かに誰かの命を奪うのはとっても怖いけど……でも……北岡さんが死んじゃう方がもっと怖かったから……だから!」

振り返ったつかさが、叫ぶように言葉を紡いでいく。
だが、その瞳は揺れていた。

ずっと、揺れ続けていた。

「……ごめん」

北岡は、ただ謝るしかなかった。


「グオオオオオオオオオオオオオオオオオォォォォォォォォォォォォォッ!!」


背後で咆哮が轟く。
振り向くと、そこにはジェノサイダーの姿があった。
契約者を失ったため、暴走を始めようとしているのだ。

「……」

項垂れるように前方を伺うと、そこには焦げ付いたデイパックが落ちている。
浅倉のデイパックだろう。
本来ならば消滅していてもおかしくないが、奇跡的に中身は無事だった。
拾い上げて、中身を確認する北岡。
すると見覚えのある一枚のカードが目に飛び込んできた。

「契約のカード……」

モンスターを強制的に従えさせることのできるカード。
これさえあれば、ジェノサイダーと契約を結ぶことができる。
北岡はそれを掲げようとして――――

――――あの女と同じ服を着た女を殺した、俺が殺した! ハハハハハハハハハハハハハハハ!

「そのカードって……」

様子を伺うように覗き込んでくるつかさ。
仮面に覆われているため表情を見られることはないが、それでも顔を逸らしてしまった。
ジェノサイダーは多くの人間を喰い殺している。
彼女の友人である泉こなたを始め、数え切れないほどの人間を殺しているのだろう。

「うん、これを使えばあいつと契約することができる」

そう言うと、北岡はふぅと息を吐く。

「でも、やめとくよ」

そして、手を降ろした。

「え、でも……」
「確かにあいつと契約すれば一気に強くなる、でもマグナギガだけでも手一杯なのに他の奴まで面倒見切れないよ」

ミラーモンスターは契約の見返りに餌を要求する。
もし一定期間以上それが無かった場合、モンスター達は契約者の牙を向く。
四体ものモンスターを維持するには、莫大な量の餌が必要になるだろう。
そもそも餌になるのがミラーモンスターか人間だけであり、この場で調達することは難しい。
いくらジェノサイダーが規格外の強さでも、いつ爆発するか分からない爆弾を抱える気はなかった。

(それにつかさちゃんの前で、こいつを使いたくない)

浅倉はこなたを殺したと言っていた。
どういった手段で殺したかは分からないが、最終的にはモンスターの餌にしたのだろう。
そんな怪物を親友だった彼女の前で使い続けることに、北岡は強い忌避感を覚えた。

「だから、あいつは倒す」

浅倉のデイパックから筒のように細長いものを取り出す、
先端が膨張するように膨らんでいて、手に取るとずっしりとした金属特有の重みが伝わってきた。
対戦車榴弾砲――――RPG-7。
射程は数百メートルにも及び、戦車すらも一撃で葬る強力な武器だ。
いくらミラーモンスターと言えど、これが直撃すれば一溜まりもないだろう。

「つかさちゃん、下がってて」

咆哮するジェノサイダーを見据えながらRPG-7を構える北岡。
変身していなければ持て余しそうな重さだと、仮面の下で自嘲した。

(これで……本当に終わりだ)

引き金を引く。
爆音と共に発射機の底から炎が噴射し、装填された弾頭が発射される。
迷うことなく前方へと推進していく弾頭。
鈍重なジェノサイダーに、それを避ける術はない。

「ギャアアアアアアアアアアアアアアアァァァァァァァァァァァァァァァッ!!!!」

弾頭が着弾し、爆発が起こる。
衝撃でジェノサイダーの身体に亀裂が走り、剥がれるように少しずつ欠けていく。
炎に包まれる巨躯、悲鳴に変わる咆哮。
白銀の両腕は砕け散り、赤紫の翼も崩壊する。
藻掻くように前進するが、すぐにその両脚も折れた。
そして――――

「――――ッ!!」

主人の後を追うかのように、ジェノサイダーは爆散した。

「……これでいいんだ」

ジェノサイダーの残骸から発生した三つの光球を吸収するマグナギガ。
それで満腹になったのか、満足そうに雄叫びを上げる。

(これで……終わったんだ)

激戦が終わり、目の前に広がっていたのは荒廃した市街。
民家も、道路も、標識も、街灯も、何もかもが破壊し尽くされた世界。
北岡はそれを目に焼き付けながら、ゆっくりと踵を返した。


【浅倉威@仮面ライダー龍騎 死亡】
【仮面ライダー王蛇&ジェノサイダー 破壊】

【一日目 夜/Fー9 西】
北岡秀一@仮面ライダー龍騎(実写)】
[装備]:レイの靴@ガン×ソード、ゾルダのデッキ@仮面ライダー龍騎@二時間変身不可
[所持品]:支給品一式×3(水×2とランタンを消費)、CONTRACTのカード@仮面ライダー龍騎、CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎
     FNブローニング・ハイパワー@現実(12/13) 、贄殿遮那@灼眼のシャナ、、RPG-7(0/1)@ひぐらしのなく頃に、榴弾×1
     デルフリンガーの残骸@ゼロの使い魔、発信機@DEATH NOTE、ルイズの眼球、背骨(一個ずつ)、確認済み支給品(0~2)(刀剣類がある場合は一つだけ)
[状態]疲労(大)、重症
[思考・行動]
0:元の民家に戻る。
1:つかさに対する罪悪感。
2:ギアスキャンセラーに興味。
※龍騎勢が、それぞれのカードデッキを持っていると確信。
※一部の支給品に制限が掛けられていることに気付きました。
※病院にて情報交換をしました。
※レナと情報交換をしました。
※ルイズの眼球、背骨と発振器@DEATH NOTEの二つは捨てた可能性があります。

柊つかさ@らき☆すた】
[装備]なし
[支給品]支給品一式×2(水のみ三つ)、確認済み支給品(0~2) 、空飛ぶホウキ@ヴィオラートのアトリエ
    レシピ『錬金術メモ』、陵桜学園の制服、かがみの下着、リフュールポット×2
[状態]疲労(小)
[思考・行動]
0:元の民家に戻る。
1:リフュールポットを完成させる。
2:錬金術でみんなに協力したい。
3:もっと錬金術で色々できるようになりたい。
4:みなみに会いたい。
[備考]
※錬金術の基本を習得しました。他にも発想と素材次第で何か作れるかもしれません。
※アイゼルがレシピに何か書き足しました。内容は後続の書き手氏にお任せします。
※会場に連れ去られた際の記憶が戻りました。


【一日目 夜/Gー9 民家】
ジェレミア・ゴットバルト@コードギアス 反逆のルルーシュ】
[装備]無限刃@るろうに剣心
[所持品]支給品一式×2(鉛筆一本と食糧の1/3を消費)、咲世子の煙球×1@コードギアス 反逆のルルーシュ、こなたのスク水@らき☆すた、
    ミニクーパー@ルパン三世ヴァンの蛮刀@ガン×ソード、琥珀湯×1、フラム×1、リフュールポット×2、不明支給品(0~1)
    薬材料(買い物袋一つ分程度)、エンドオブワールドの不発弾(小型ミサイル数個分)、メタルゲラスの装甲板、メタルゲラスの角と爪、
[状態]右半身に小ダメージ、疲労(大)、精神磨耗、両腕の剣が折れたため使用不能
[思考・行動]
0:休憩する。
1:V.V.を殺す。
2:他の参加者に協力する。クーガーとの約束は守る。
3:全て終えてからルルーシュの後を追う。
4:スザクを止めたい。水銀燈を特に警戒。
[備考]
※病院にて情報交換をしました。
※制限により、ギアスキャンセラーを使用すると疲労が増大します。他にも制限があるかも知れません。
※ロロ殺害について、この場にいる三人には伏せています。

※ジェレミアとC.C.以外の参加者は、銀髪の少年のギアスによって会場に集められたようです。他にも例外はあるかも知れません。

竜宮レナ@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】
[装備]:鉈@ひぐらしのなく頃に
[所持品]:支給品一式、インスタントカメラ(数枚消費)@現実、真紅の下半身@ローゼンメイデン、
     Kフロストマント@真・女神転生if…、ブラフマーストラ@真・女神転生if…、庭師の鋏@ローゼンメイデン
[状態]:疲労(中)、悲しみ
[思考・行動]
0:休憩する。
1:C.C.、ヴァンと合流する。
2:翠星石を探す。
3:水銀燈、後藤、シャドームーン、白髪の男(縁)、浅倉、スザク、を警戒。
[備考]
※ギアス、コードについて一定の理解を得ました。
※北岡達と情報交換をしました。


【CONFINE VENTのカード@仮面ライダー龍騎】
アイゼル・ワイマールに支給。
後出しであらゆるアドベントカードの効果を無効にできる。
原作では仮面ライダーガイが二枚使用しているが、強すぎるので一枚だけ支給。

【茶色の小瓶@真・女神転生if...×2】
石川五ェ門に支給。
味方1体のDEAD(死亡)・DYING(瀕死)・PALYZE(マヒ)・STONE(石化)以外の異常状態を回復させる。

【RPG-7@ひぐらしのなく頃に】
蒼星石に支給。
射程は数百メートルにも及び、戦車すらも一撃で葬る強力な武器。
単発式であるため、一度発射するごとに榴弾を装填しなおす必要がある。
元から装填されてる一発の他に、予備の榴弾が一発分だけ支給された。
原作では山狗部隊が用意したものの、葛西&詩音の妨害で発射されることはなかった。


時系列順で読む


投下順で読む


147:FINAL VENT - 戦わなければ生き残れない 浅倉威 GAME OVER
北岡秀一 150:幕間2
竜宮レナ
ジェレミア・ゴットバルト
柊つかさ



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