ルイズに届けこの想い! 才人ザオリクを唱える。の巻

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ルイズに届けこの想い! 才人ザオリクを唱える。の巻  ◆xmy4xBA4UI



 地獄ぐらい、嫌と言うほど見てきた。
 殺し合えと言われずとも、殺し合いに放り込まれたこともあった。
 というより、殺し合いだと知って、自ら進んで京都に入ったのだ。
 20歳になる前のことだった。世が世なら、まだ子供と言われる年齢である。
 一応、田舎士族とは言え元服を済ませた身、上京ぐらい勝手にしろということだったのだろう。

 毎朝どこかで誰かが狙われていた。毎晩どこかで誰かが死んでいた。
 警邏のために組織されたはずの隊は、瞬く間に『人斬り集団』と化し、斎藤は修羅渦巻く京都の中、先陣を切って刀を振るった。
 京都の治安を乱す尊王攘夷論者たち、体内の規律を乱す謀反者たち。全てが粛清の対象だった。
 昨日、蕎麦屋で隣に座っていた男が今日は斬り合いの相手。
 昨日、ともに笑い合った仲間が今日は粛清の対象。
 そんな地獄の中、新撰組副長助勤、最年少の剣士として斎藤は誰よりも人を多く斬っていった。
 だから彼にとって、こんな作り物の殺し合いなど微温湯のようなものだった。

「ふんっ」

 念のため、支給された手甲を装備する。
 煙草を吹かそうと考えて、ポケットから取り出してみるも、火がなかった。
 ちっと、舌打ちし、吸えもしない煙草ならいらんな、と放り投げた。

「ま、人斬りは俺の仕事だからな。言われんでも、殺してやるさ……ただし」

 放り投げた煙草を踏みつけ、すり潰す。

「殺すのは小僧、ぶいつぅとか言ったな。お前だ」

 静かに決意する悪・即・斬。
 武器が手甲では、斬り合いが出来んなと、狼は自嘲ぎみに笑うのだった。


「で、小娘? お前はどうするつもりだ」

 斎藤は振り向きもせず、背後にいる女の気配を感じ取る。
 そこには確かに一人の娘。斎藤から見れば、親子ほども離れた女の子がいた。

「ん、私はね、ぶいつう君を殺さないよ」
「ほう?」
「だってさ、リセットしてもらえないじゃん」
「……」
「リセットしてもらえなかったら、ゆーちゃん生き返らないじゃん」

 リセット?

「ゆーちゃんはね、とーってもちっちゃいんだよ。でも、とっても可愛いんだよ!! 萌え要素満載なんだよ!!!」

 訳が分からん。

「だからオジちゃん……」

 だがしかし、少女の意味不明さには懐かしさも覚える。
 彼女の匂いは、かつて幕末で味わったことがある。

「オジちゃんはモンスターなんだよ、んで、私は勇者!」
「阿呆が」
「モンスターはね、勇者に殺されるんだ!!」

 叫び声とともに、突進する少女。それは風。
 何事かと思う頃には、蒼い風は斎藤の眼前に迫りくる。反射的に西洋刀を受け止め、逆の手で殴り飛ばした。
 手甲を嵌めてなければ、腕を斬られていたかも知れない。斎藤をして、そう思わしめるほどのスピード。
 殴られた少女は、思いのほか軽く、一気に電柱まで弾き飛ばされたが、ヒラリと身を翻して電柱に『着地』。そのまま地面に舞い降りた。

(コイツ……)

 童子のようにしか見えない顔だが、その身体能力は予想以上。むろん、童女にしては、だが。

「どうして……」
「?」
「どうして斬られないんだ!! アンタ雑魚キャラじゃないの!!!」
「ふぅ……雑魚とは言ってくれるな」
「わ、分かった。中ボスだ、ゆーちゃんを殺した奴の仲間だ!!!」

 意味が分からない。正悪すらも決めかねるほどの支離滅裂ぶり。
 事情を問いただしてからでないと、警官が子供を攻撃することは出来ないと考えているが、その説明など望むべくもなさそうだ。

「今度は本気出していくからね」
「ふざけろ」

 青い髪の少女が駆ける。一瞬で眼前に迫り来る勢い、はやての如し。
 速い。抜刀斎よりも遥かに小さい体ながら、そのスピードは幼年の頃の彼を思わせる実力。
 もっとも、斎藤は幼年の抜刀斎など露ほども知らないので、単なる想像だが。

 怒涛の攻撃とはまさにこのこと。
 武器の差があるとはいえ、少女は斎藤相手に少しも遅れをとっていない。
 両の手から放たれる斎藤の攻撃を、ある時は防ぎある時はかわす。そして、それ以上の攻撃を繰り出してくる。
 防御のイロハを知らぬ鳥頭なら、とうの昔に切り刻まれている。

 素早いその動きはまさに戦場の基本。
 速く力強いが、技術は欠片も備わっていない。
 戦場では上手くて遅い剣術よりも、下手でも拙くても、速さだけが求められる。
 町道場で身に着けた段位や技術など微塵も役立たない。
 少女の両腕は肘が伸びきり、柄尻の締めは甘い。履く袴は短く、その足運びを隠さない。
 これでは達人の斎藤に動きを読んでくださいと言ってる様なものだ。
 けれども速い。純粋にそれだけ。だからこそ誰よりも剣術から離れ、だからこそ誰よりも戦場に近い女。
 子供の振るうチャンバラが、大人を倒すことがあるとすれば、まさにこの動きを突き詰めていった時だろう。

(だが、相手が悪かったな)

 跳ね回る少女の髪を掴み取り、一瞬のうちに持ち上げる。
 髪を毟られそうな痛みに動きを止めた少女を、斎藤は地面にたたきつける。
 そして、地面からバウンドした瞬間を狙おうとしたとき……彼は信じられないものを見た。

 地面までの距離、わずか1メートルほど。
 そんなほんの少しの隙間で少女は、回転し華麗に着地を決めたのである。
 これには流石の斎藤も呆気にとられるばかり。そして、その隙を彼女は見逃さなかった。
 持ち前の素早さと、体の小ささを武器に地面すれすれの足払いを仕掛ける。
 瞬間、バランスを崩しながらも斎藤は宙に逃げる。しかし、それだけでは少女から逃げられない。

「うぉぉおおおおおおおおお!」

 西洋刀を両手だけでなく、体ごと大きく振りきった一撃。
 何とか手甲で防ぐも、初回とは逆に斎藤が大きく吹き飛ばされた。


 硬く冷たいアスファルトの上に転がり、斎藤は人生最大の屈辱を味わう。
 相手は12、3歳程度の子供。しかも女。
 これを新撰組の隊規に照らせばどうなるか? 打ち首に決まっている。童女に及ばぬ志士など、志士にあらず。
 許さん。絶対に許さん。

(もう、殺す!!)

 ゆらり立ち上がる。
 元新撰組三番隊組長・斎藤一、童女に舐められて引き下がるほど朽ちていない。
 もう、相手が子供だとか女だとか、言ってられん。やられっぱなしで引き下がっては、自分の名誉に傷がつく。
 斎藤が構えた時、あたりの空気が変わった。


~・~・~・~・~


 泉こなたは、戦いの最初からおかしいと感じていた。

(むうぅう……わ、私……どうなっちゃったんだろう?)

 無骨な鉄塊で、両腕を守る男は、その鉄塊をもって攻撃してくる。
 メリケンサック? いや、そんな生温いものじゃない。両腕の肘から先をしっかり覆い隠すそれは、喧嘩用の武器じゃなくて戦闘用の兵器。
 一撃でもまともに食らえば、唯じゃすまない。それが一目にして分かる代物だ。だが、問題はそんな事じゃなかった。
 その鉄塊は怖いけど、襲い掛かってくる男は怖いけど、それ以上に怖いものがあった。

 自分自身だ。

 いくらこなたが、運動神経抜群で格闘技経験もあるからと言ったって、限度がある。
 彼女は所詮、ただの女子高生。戦場に慣れた男にかかれば、一瞬にして屍と化す自覚があった。
 けれどならない。男の攻撃は決して緩くないのに、どういうわけか攻撃を避ける事ができる、防ぐ事ができる。

(ほ、本当にどうしちゃったんだよ?)

 体育祭で一番になった。アミノ式の体操が全部できる。もともと運動神経には自信がある。
 しかし、それだけでは説明できない現象だ。
 攻撃を防ぐ腕が、剣を振る体が、いつもより圧倒的なスピードで動く。
 剣の使い方なんて全く知らないけど、ただひたすらに振り続ければいずれは勝てる気さえしてきた。

(で、でも……あたしはこんなことなんて、出来やしないよ…………)

 動きとともに研ぎ澄まされていく体に反比例するように、こなたの心は恐怖に満ちていく。
 勝てる、勝ててしまう。明らかに強いと思えるこの男相手に、自分が。

(本当に、ほんとに、どうしちゃったんだよ……)

 全く合点がいかない。勝てることに安心が出来ない。
 不安を振り切るように、こなたは全身のバネを利かせて剣を振り切った。

「うぉぉおおおおおおおおお!」

 互いの均衡を崩す初めての一撃。
 アスファルトに転がる男のダメージは恐らく甚大。

(お、起きないで……もう死んでよ!!!)

 心の中で、それだけを願う。ゆーちゃんの事もあるが、それ以上に強くなった自分が怖くて、もう戦いたくない。
 こなたのそんな願いをよそに、男は何事もなかったかのように立ち上がる。

(う、嘘……)

 アスファルトなんて、どうということはない。そんな感じの顔をしている。呆れたタフさだ。自然、剣を握る腕にも力が入る。
 そんな時だ。あたりの空気が変わった。突然、男が構えたその瞬間に。

(な、何……)

 右手をライフルの照準のように前に構え、左手の肘を大きく引き、左拳は顔の前で強く握りこむ。
 下半身は右足を半身だけ前に出す剣術の構え。上半身は気持ち前に傾きかけている。先ほどまでと明らかに違う。
 素人のこなたにも分かった。来る、っと。

 爆音のような踏み込みとともに、男が駆る。
 それでも人間かと言いたくなるような突進力に、こなたは恐怖しながら、対応できてしまうであろう自分にもっと恐怖した。

  ガッァアアーン!

 手甲と西洋刀がぶつかり合う金属音が、あたり一面に響き渡る。
 両者の正面衝突で、吹き飛んだのは体重の軽いこなただった。
 器械体操の時間で味わったような、くるり宙に舞う感覚をここでも味わう。
 どうということはない。体を反転させて着地するだけ。
 そう思い、クルリと体を入れ替えるとそこには、吹き飛んだ自分に付いてくる男の姿。
 ありえないことに、男は飛ばされた自分に追いつき、そのままつかみ上げる。
 そして、髪を掴んだままぐるぐる回して上空へと放り投げた。

 髪を引きちぎられるような痛みと、回転する酔いに一瞬気を失ってしまうこなた。
 目を覚ますと、目の前には男の拳。

(だ、ダメ。かわせない!!)

 こなたが覚悟を決めた瞬間。
 男とこなたの間に、一本のバズーカーが投げ込まれた。


「いい年したおっさんが、女の子を苛めてんじゃねーよ」

 あらわれたのは一人の少年。バズーカーを投げ込んだあとは走りこみ、男とこなたの間に割り込んでくる。
 気を失っていた時に手放したこなたの剣を拾い上げ、男と対峙する。

「っふ、安心しろ。別に殺す気はない。殺し合いの狂気にあてられ、正気をなくした餓鬼など悪・即・斬に遠く及ばん小物だからな」

 嘘つけ、どう見ても本気だったろうが!!

「殺す気がない? アンタ何様のつもりだ? 殺さなきゃ何したっていいってのかよ?」

 少年も負けじと言い返す。
 自分の味方。明らかなお助けキャラだ。ドラクエで喩えれば、ルイーダの店に登録されている戦士と言ったところだろうか。

「ぶいつぅとやらを捕らえるのに、糞餓鬼に暴れられては厄介なのでな。大人しくさせる必要があったまで」
「だ、だからって……お前みたいな奴がいるから、お前みたいな奴がいるから……アイツは、アイツはなああああ!!!」

 速い。
 先ほどまでのこなたをも上回るスピードで、少年は男に斬りかかる。
 だが男は動じない。冷静に手甲で受け止め、攻撃をやり返す。
 男が殴る、少年が防ぐ。少年が斬り返す、男が受け流す。
 手数が増すにつれ、2人の速度は上がり、いつしか路上に一陣の風が舞い起きる。

(す、すごい……)

 何とか闘っている少年も凄いが、それ以上に男が強い。
 間違いなく劣性の武器を与えられ、それでもなおノーダメージ。
 剣撃はすべて受け流し、必要となれば殴り返してくる。
 疾風のような攻撃の中、明らかに優勢なのは男の方だった。

(わ、私……あんなのと戦ってたんだ……)

 今なら分かる。男は本気を出していなかった。恐らく、自分が子供に見えるから。
 そしてもう一つ分かる。自分を助けてくれた少年は負けるということが。

 襲い掛かる少年の刀は、全て男の両腕に防がれている。
 対して、男の拳は僅かではあっても、少年にヒットし続けている。
 2人が巻き起こす風は既に一陣の疾風となり辺りに立ち込める。
 こなたは、先ほどまで目で捉えられていた動きが微かにしか見えないことに気づく。
 そして、彼らの動きがまた1ランクアップしたかに見えた瞬間、少年が吹き飛ばされた。

(や、やっぱり……アイツ強い……)

 ドラクエで言えば少なくともバラモスクラス。
 対する自分はダーマ神殿についたばかりの勇者といったところか。
 まともに遣り合えば、とても勝ち目などない。それは、自分だけでなく少年も同じこと。

 むくりと起き上がる少年。強かに打ち付けて、あまり無事とはいえないようだ。

「な、なあアンタ。俺たちを殺す気あんのか?」
「無い。今のところは、な」
「そうかい……なら、サイナラ!!」

 少年はそういうと、男に背を向け脱兎のごとく逃げ出した。
 途中でヒョイとこなたを抱え、そのままお姫様抱っこの形で走り抜けてしまった。




~・~・~・~・~


「ふぅ……阿呆どもが」

 走り去った少年たちを追いかけようとは思わなかった。
 正気をなくした童女と少年が一緒になったところで、別段困ることも無い。
 というより、斎藤はあくまで自身の正義『悪・即・斬』のみに生きているわけで、彼らはその粛清対象ではなかったのだ。

 少女は最初から、意味不明だった。何を言っているのかサッパリ斎藤には理解できなかった。
 しかし、彼女の発する匂いは幕末の混乱の最中、京で嗅いだ匂いによく似ていた。

(親しいもの……親族か何か。『とっても可愛い』という言葉から、恐らく妹か。ぶいつうに殺されたのだろう)

 正気をなくし、襲い掛かってくるだけの女など悪・即・斬に遠く及ばぬ。己の正義は、ただ悪を斬る為にある。
 そう思い、斉藤はポケットの中の煙草をまさぐる。しかし、煙草は地面に落ちたばかりだった。

 そういえば、さっき捨てたっけか。
 一服するのはぶいつうを倒した後の楽しみに残しておくか。
 壬生の狼が目指すものは、許せない悪一つ。彼は即座にそれを斬ると心にきめ、闇の中へと消えて行った。


【一日目黎明/F-9 西部】
【斎藤一@るろうに剣心】
[装備]:無敵鉄甲@るろうに剣心
[所持品]:支給品一式、確認済み支給品0~2個
[状態]:健康
[思考・行動]
1.悪・即・斬を貫きぶいつうを殺す。



(な、何、何なのさ?)

 颯爽と助けたかと思えば、一瞬にして逃げる。
 男が追いかけてこなかったから良かったものの、格好悪いったらありゃしない。
 しばらくお姫様抱っこで走った後、すぐに少年は息を切らしこなたを地面に下ろした。

(んむむむむ……)

 こいつは命の恩人と見るべきか。ゲームの中に突然現れたお助けキャラ。
 いやしかしそれにしては、登場シーンこそロマンシング・サガ、アイシャ編のカヤキスみたいに格好よかったものの、その後が良くない。
 大体、お姫様抱っこって何事じゃ。
 こなたも、オタク少女とはいえ人並みに女の子である。
 お姫様抱っこをする男には、それなりのステータスを要求したい。なにせ自分は希少価値あふれる貧乳であるからして……

「な、なあ。どこも怪我は無いか?」
「ふぉ!!」

 男が体をパタパタとはたきながら、こなたに確認する。その表情はやさしく、そして、どこか……

「大きな怪我は……無い…………と思うよ」

 髪の毛が、僅かに乱れている。先ほど男に掴み上げられたからだ。
 しかし、それ以外には全く無事といってよかった。RPGで言えばホイミで回復する程度のダメージだろうか。

「無事か? 本当に無事なんだな?」
「い、一応……」

 真剣な顔で、こなたの体を心配する少年。初対面の癖して、自分の体を心配しすぎるこの男、何者だ。

「よかったぁ……、お前無事だったのかよ」
「ふぉ!!!」

 抱きつかれた。お父さんみたいに。いや、お父さん以上に力強く。

「お前に何かあったら、どうしようかと思ってた……」
(な、何……いったい何?)

 わ、わたしこの人となんかあったの? いや、いくら考えてもそんなロマンとは無縁の人間ですよ私は?
 どこかの誰かさんと勘違いしてるんじゃありませんか? こなたの頭は大パニックだ。

 さっきの細目の男がバラモスなら、コイツはルイーダの店にいる仲間の戦士だろうか?
 自分が勇者だから、コイツはこんなに馴れ馴れしいのだろうか。

「もう二度と俺はお前を離さない」
(な、なんですとーーー!!)
「今だから言えるよ、恥ずかしいけど聞いてくれ」
(な、なな、何を言うつもりですか?)

 こなたの頭は既にゾーマの存在を知ったアリアハン王のように混乱している。
 密着している状態なのだから、剣を奪い取って殺せばいいのだろうが、そんな冷静さも彼女の頭には無い。

「一目お前を見たときから惹かれていた」
「ふ、うぉぅ!!」
「お前の小さな体、それでも強い意思を持ったところ、意地っ張りなところ、全部好きだ」
「は、はいいいい!!」
「一目惚れだった……本気の気持ちだよ」
「いやいやいや、お兄さん、人違い、人違いですよ」

 何事ぞ、この少年は何を言っているんだ?
 これならまだ、バラモスに襲われた方が幾分マシというものだ。

「ハハハハッ、人違い? いや、違うね。人違いじゃない。アンタ、ルイズだよ?」
「ルイズ?」
「そうだよ、ルイズだよ。ルイズに決まってんじゃん。反応したんだからさ、俺のガンダールヴが。
アンタを守る時、いつもみたいに力をくれたんだよ。だからアンタがルイズなんだよ、アイツが死ぬわけねーじゃん!!」

 突然目を血走らせて、ルイズルイズと絶叫する少年にこなたは圧倒されると同時に気づいた。
 この少年は自分をルイズだと思いたがっている。確証はない、というか、あるわけがない。なんせ自分はルイズじゃないんだから。
 だけど、それでもルイズだと信じたがってる。恐らく、そのルイズって子がもう……

「俺の小っちゃなご主人様を守るために、俺のルイズを守るためにガンダールヴが発動したんだよ……
そりゃ、光らなかったぜ? でもさ、体が軽くなって剣が使えるようになるって、どう考えたって俺たちの絆だろう? な、そうだろ、ルイズ?
お前は死んでないよな、生きてるよな?」

 哀れなほど混乱する男は、目の前にいる少女をルイズと言って憚らない。人違いだと言っても聞かない。

「俺はお前の哀れな下僕さ、もう二度と俺を離さないでくれよ、後生だ、お願いだよ」

 これは一体何だと言うのだ。強制的に流れるイベントの荒らし。
 バラモスクラスの敵に襲われたかと思えば、今度はある意味もっと強敵なメダパニ野郎。
 だが、こなたの頭に一つの考えが浮かんでくる。

(も、もしかしてコレって、こんなゲーム? ゆーちゃんを助けるために必要なの?)

「何があっても、お前から離れないよルイズ。俺はもうお前しか見えない……」

 ここがゲームの世界なら、自分が囚われの姫を助ける勇者なら、仲間が必要じゃないか。
 途中で踏み台にして捨てるヨッシーのような、商人の街に捨ててくるだけの商人のような、アイスソードを奪うためだけに殺すガラハドのような、そんな仲間が必要じゃないか。

「わかったよ、私がルイズだよ」

 こなたはたった一言、そう答えた。
 自分一人じゃゆーちゃんは生き返らない。バラモスに勝つためには、仲間の力がいる。
 少年の狂った愛を、それ以上に狂った少女は少しためらった後に受け止めた。


【一日目黎明/F-10 東部】
【泉こなた@らき☆すた】
[装備]:なし
[所持品]:支給品一式、確認済み支給品0~2個
[状態]:健康
[思考・行動]
1.優勝して、白髪の男の子にリセットボタンをもらう。
2.目の前の少年が言うルイズになりきり、ともに戦う。最後は少年も殺す。



 平賀才人が初めて見た人間は、もう人間の姿をしていなかった。
 それは人間と言うより肉塊、肉塊というより肉片、いや肉片すら満足に残っていない残滓。
 所々に散らばっている血液らしき黒点と、初めて嗅いでもそれと分かる人肉の匂い。
 そして、生前その人間が着ていたと思しき服の切れはし。
 それらだけが、そこに人間がいたことを物語っていた。それが無ければ、そこに人間がいたことなど分からなかった。

「ひでーことしやがる……」

 ハルケギニアでは戦争が絶え間なく起こり、人が死ぬことも珍しくない。
 しかし、この死体(死体と呼んでいいのかどうかすら定かではない破片たち)は、そんなものが可愛らしく見えるほどに残酷だった。
 一つ、骨が転がっている。
 理科室で見た模型を記憶の中に呼び戻し、それと照合してみると背骨の一つだろうと分かる。
 遺体と呼べるものの中で、安定した大きさを持つものはその一つだけ。
 才人はそれをポケットの中にいれ、立ち上がる。

「満足に弔うことも出来ないけど、終わったら供養ぐらいしてやるよ」

 今は戦場、優先すべきは小さなご主人さまを探して守ること。
 見ず知らずの赤の他人は、可哀想だが無視するよりほかはない。
 遺骨を持っていくのは、せめてこれだけでも家族に手渡せたらという思いからだった。

「んじゃ、俺はルイズを探しに行くからな」

 土にでも埋めたいところだが、ここは遊園地近くの住宅街。
 その土さえ満足にない状況だったので、諦めて行くしかなかった。

 ふと、立ち上がった才人は懐かしい一本の鉄柱を見つける。

「これは……破壊の杖じゃねぇか」

 別名を携帯式対戦車ロケットランチャー。
 才人がハルケギニアに立ち入ったとき、一番最初に使った自分の世界の武器だ。

(懐かしいな、これを手に入れる任務がルイズと一緒に体験した初めての冒険だったんだ。
手に取るとさ、ガンダールヴのルーンが光って体が軽くなるんだよ。そんでもって、武器の使い方がわかってさ。
あんときゃ、何も知らなかったからびっくりしたもんだ。ま、知らないのは今も同じだけどね)

 手にとってロケットランチャーを見てみる。
 単装型ながら、その威力は計り知れず、持っていると心強い。
 目の前に転がる仏さんに、手を合わせ、才人はランチャーを失敬することにした。
 もちろん、いくら人殺しに巻き込まれたとはいえ、そう簡単に使いたい武器じゃないから、持ってるだけになると思うけど。

(さ、いくぜ……ルイズ、待ってろよ)

 心に強く、ご主人さまを守ると決意する。
 ガンダールヴの力が、サイトの身を軽くする……はずだった。

「あれ? っかしーな、何にも起こらねぇ」

 ガンダールヴの力ってなぁな、使い手の心に反応するんだよ。
 とは、伝説の剣の言い分だ。今の自分は全く心が震えてないとでもいうんだろうか。
 それとも、破壊の杖が武器じゃないとでも言うのだろうか?
 何となく不安になり、才人は支給された武器を一本取り出す。
 これが『武器』なら、自分のガンダールヴが反応するはずだ。

「な、お、おい、どうしたんだよ? チカっとぐらい反応しろよ!!」

 しかし無反応。

「何が起こったってんだよ。おかしいだろ、いつもと違うじゃん」

 ハルケギニアに召喚されて以来、ガンダールヴが才人を裏切ったことなど一度もなかった。
 それに加え、隣に転がる死体と、殺し合いという環境が、才人の頭を混乱させる。
 ま、まさか、どうして?
 そう言えば一度だけ、ガンダールヴの力を失ったこともあったが、あれは……
 いやいや、違う。あのときとは明らかに事情が違うだろ。

「だ、大丈夫だよな……ルイズ……」

 家を買うつもりだった。
 聖戦が終われば、ルイズと二人ですむための城を買うつもりだった。

───なによそれ、あんた、こっちの世界に根を生やすつもりなの?
───いや、まあ、なんつうの? 変える方法はあるんだから、ちゃんと挨拶しに帰ったりはするよ。
   でももう、こっちの世界もひとつの故郷。そんな気持ちがするんだよ。

 本心だった。実家にいる母のことは心配だが、それ以上に小っちゃなルイズが愛おしくてたまらなかった。
 家を買おう。二人で暮らそう。
 家具は綺麗なのがいい。とびきりいい店がトリスタニアにあるんだ。
 庭には池がほしいな、そこには上品な魚が泳いでて毎日餌をあげるんだ。
 馬小屋には何頭か馬がいて、どれも質のいい駿馬ばかり。
 でもさ、どれだけ手間のかかりそうな家でも、メイドも執事も要らない。だって、二人きりで住む家なんだもん。

 結婚しようと言ったわけじゃない。結婚できるとも思ってない。
 だって、自分とルイズは所詮ご主人と使い魔なのだから。だけどさ、2人の間には間違いなく愛があったさ。いやさ、愛があるさ。
 出会い系サイトに登録して、全くモテないまま人生を送り異世界にまで飛ばされた自分だけど、
それでも守りたいと思う女の子がいて、その子がとっても可愛くて。愛おしくて、抱き締めたくて……

「大丈夫だよな? ルイズ……」

 訳もなく不安に駆られる。理由はない、だから大丈夫なはずだ。昔から『便りが無いのは無事の知らせ』って言うじゃないか。
 妙に不安がる必要はない、理屈がないなら信じろよ。アイツだって伝説の担い手なんだぜ……

 そう思った才人の目に、月闇に目が慣れてきた才人の目に、地面に散らばった遺留品の一つが飛び込んでくる。
 それは桃色がかったブロンドの長髪。ご主人さまのトレードマーク。

「嘘だ……なんだよこれ、ありえねーって……」

 そう考えると合点が行く。ガンダールヴの力を失ったことも……
 いや、違う。ガンダールヴの力をなくしたのは初めてじゃないだろ。前だって一度あったはずじゃないか。
 同じ髪の色の女の子ぐらい山ほどいるさ、これはその子のだよ。別人だって、絶対別人だって。

 震えるような手で、髪をつまみ上げる。柔らかい手触りと、懐かしい香りが漂ってくる。

「嘘だろ? 嘘だろ? 嘘だろ? 嘘だって言ってくれよ!」

 あたりに散らばる破片たちをかき集め、才人は無心に考える。これは違う。これはルイズじゃない。絶対に違う。

「あ、あ、あ……あはははっはあああ」

 しかし、そう思った才人の目に飛び込んできたのは無慈悲な一枚。
 紺色をした、一枚のマント。ルイズが学院にいる時、いつも付けていたマント。
 闇夜に紛れて、アスファルトと同じ色のマントには先ほどまで気づかなかった。
 そして、その下に…………ルイズの鳶色の瞳が一個………眼球一個分だけ転がっていた。

「うぁああああああああああああああああー、嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ嘘だ!!!!!」

 ありえない。
 どうして、こんなことが起こるんだよ。
 アイツが何したってんだ? 可愛い俺のご主人さまが何をしたってんだよ。
 ただの女の子だぜ。そりゃ、伝説の虚無だけどさ、それでも女の子だぜ。
 小さくてさ、それでも大きな貴族の誇りを持ってさ。誰よりも強くあろうとして、それでもよわっちくて……女の子だったんだぜ……

 手に取った瞳は冷たく、予想以上に乾いている。

「なぁ、ルイズ約束したよな? 二人で暮らそうって」
「戦いが終わったらさ、俺はお前と一緒に幸せになろうって思ってたんだぜ?」
「っていうか、誓ったじゃねーかよ。覚えてるか? アルビオンに行ったときよ、俺達結婚式挙げたよな?
もちろん、作りものの偽物の結婚式だけどさ、俺の気持ちは本物だったんだぜ? 分かってただろう」

 乾いた眼球は、何の返事も返さない。

「誓いの言葉は結局言えなかったけどさ、それでも……それでも俺は……」

 握りしめた眼球は、全く動かない。

「嘘だろ、お前死んでねえよな? 生きてるよな生きてるに決まってるよ、絶対そうだって。っていうか、死ぬわけねーだろ?」

 サイトはもう何も考えられなくなっていた。
 ただルイズが愛おしい。ルイズだけが欲しい。そう思ったことさえあったというのに、突然すぎる別れ。
 自分はこんな結末を望んでいた訳じゃない。いくら戦場に身を置くことが多いオンディーヌ副隊長とはいえ、ルイズの死なんか望んじゃいない。

「ありえねー、お前は生きてるよ。生きてるって、絶対に……」

 動かなくなったガンダールヴは絶対の証拠。けれど、信じない。

「いや、待てよ? ありえねーって、何がありえないんだよ?」

 唐突に、何かがひらめきそうだ。
 才人の、決して優秀とはいえない頭脳に、一筋の光明が差し始める。
 そうだ。
 ありえないなんて言うけど、そもそも自分がハルケギニアに召喚されたこと自体有り得ない事態じゃないか。
 それが有り得たんだから、何だってあり得るだろう。大体、一度ガンダールヴの力を失っても結局元通りになったじゃねーか。

「そうだよ、何だってあり得るだろ? 今さら、あり得ないなんてねーよ。元々剣と魔法の世界じゃねーか」

 そうだとも、ルイズは自分と違いファンタジー世界の住人だ。
 考えろ。ファンタジー世界の住人なら、絶対にあるはずだ、何かの抜け道が。

 才人の頭に、剣と魔法の世界代表ドラゴンクエストのイメージが湧いてくる。
 『おぉ、ルイズよ死んでしまうとは情けない』そんな言葉がリアルな音声付で、頭の中に再生される。

「そうだよ、死んだら生き返らせりゃ良いじゃん、ザオリクぐらいどっかにあるよ……なきゃ教会に連れてけばいいんだよ」

 才人の思考は、あらゆる意味で正常さを失っていた。



「うぉぉおおおおおおおおお!」

 そんな時だった。女の子の叫び声とともに、激しい金属音が辺りに木霊する。
 才人は反射的に、音の方へと駆け走った。

 たどりつくとそこでは、目付きの悪い男が一人、少女を襲っている。
 青い髪、日本では見慣れたセーラー服。どちらもルイズの面影を感じさせない。
 けれど、小さな体と、年頃の娘には似つかわしくないペッタンコ胸が、何となくルイズを連想させた。

(ルイズ、ルイズ、俺のルイズ。ああぁ、可愛いなぁ、チクショウ……)

 気がつけばサイトは、2人の戦いに割って入っていた。

「いい年したおっさんが、女の子を苛めてんじゃねーよ」

 だってソレ、ルイズかも知れないんだぜ?
 そう思って、才人は少女の持つ剣を手に取り、彼女を守る盾となる事を決意した。
 力は失っても役割は失ってない。自分は虚無の使い魔、ガンダールヴだ。

 戦いが始まって、才人は違和感に気づく。
 男が異常なまでに強いのだ。そして、その強い男に自分が渡り合えている。
 互角とまではいかない、相手は劣る武器をもって自分を押している。実力でいえば敵が上であることは火を見るより明らかだった。
 しかし。
 剣をふるう体が軽い。横薙ぎに払う腕が速い。
 疾走する自分の体は、普段のそれではなく、ガンダールヴの力を得た時のそれ。
 男の拳を剣で受け止める、思わず後ろに飛ばされそうになるが何とか踏ん張れる。剣を握ると、力が湧いてくる。
 なぜ湧いてくる? ガンダールヴの力は失ったんじゃないのか?

(ハハハハハハッ、そうだよ。ルイズがいなきゃこんなこと出来る訳ねーじゃん)

 生きてる生きてる、ルイズは生きてる。
 今も不安そうな顔で自分を見つめている。あの子がルイズだ。見た目は違うけど、絶対そうだよ。
 アイツが死ぬわけねーじゃん。

 一緒に暮らすって約束したんだ。家を買おうって約束したんだ。
 同棲だぜ? 愛がなきゃ出来ないよ? それなのに、自分を残して死ぬわけないだろ?

(アハッハハハッ、ルイズがルイズがルイズがルイズがルイズがルイズがルイズがルイズが、生きてたよ。
ちくしょう、やっぱ可愛いな。顔が変わってもルイズは可愛いな、俺のルイズ、ちっちゃなルイズ。俺の愛しいご主人さま。
あぁ、今すぐ抱きしめたい。こんな闘いどうだっていいじゃねーか。今はアイツが大事なんだよ)

 男の攻撃を受け、アスファルトに強く叩きつけられた才人は痛みも忘れて、ただルイズのことばかり考えている。

「な、なあアンタ。俺たちを殺す気あんのか?」
「無い。今のところは、な」
「そうかい……なら、サイナラ!!」

 戦いなんて、今はどうだっていい。
 ただただ、ルイズを抱きしめたい。そう思って、才人は新しい『ルイズ』を抱えながら、男の元を走り去る。
 男は不思議なことに追いかけてはこなかった。


「な、なあ。どこも怪我は無いか?」

 才人には目の前の少女がルイズに見えなくても、ルイズに見える。
 だって、アイツが死ぬわけないだろ?

「無事か? 本当に無事なんだな?」
「い、一応……」

 だって、ガンダールヴの力が働いたんだぜ。この娘がルイズに決まってんじゃん。

「よかったぁ……、お前無事だったのかよ」
「ふぉ!!!」

 抱きつく。香りは少しルイズじゃない。

「お前に何かあったら、どうしようかと思ってた……」

 死んだかと思った。あの死体がルイズかと思った。
 でも違った。姿かたちは違うけど、きっとここにいるのがルイズだ。
 もう二度と離さない。
 見た目が違うって? そんなの些細な問題だろ……主人と使い魔の絆は、見た目だけじゃ断ち切れないんだよ。

「もう二度と俺はお前を離さない」

 この想い。本気だ。
 姿かたちが変わっても、ルイズには変わりないだろ? だってそうだろ? アイツが死んだなんて悲しすぎるじゃねーか。
 耐えられねーよ俺。嘘だって言ってくれよ、ルイズは生きてるんだよ、なぁ、お前、ルイズだよな? ルイズだって言えよ。

「一目お前を見たときから惹かれていた」

 嘘じゃない。二度目の告白だ。いや、最初から惹かれてたって言うのは無理があるかもしれない。
 犬だのなんだの言うルイズに辟易したことがあるのも事実だ。でも好きだ、お前が好きなんだよ、マジでさ。

「いやいやいや、お兄さん、人違い、人違いですよ」
「ハハハハッ、人違い? いや、違うね。人違いじゃない。アンタ、ルイズだよ?」

 そうだよ。
 違うなんて悲しすぎるじゃねーか。アンタがルイズじゃなかったら、誰がルイズになるんだよ。
 っていうかもう、ルイズでいいよ。死んだなんて信じられないんだよ俺は。

「そうだよ、ルイズだよ。ルイズに決まってんじゃん。反応したんだからさ、俺のガンダールヴが。
アンタを守る時、いつもみたいに力をくれたんだよ。だからアンタがルイズなんだよ、アイツが死ぬわけねーじゃん!!」

 死んでねぇ、死んでねぇ、死んでねぇ、死んでねぇ、死んでねぇ。
 絶対生きてる。目の前にいるアンタがルイズだ。そうだって言え、言わないと殺す。

「俺はお前の哀れな下僕さ、もう二度と俺を離さないでくれよ、後生だ、お願いだよ。
何があっても、お前から離れないよルイズ。俺はもうお前しか見えない……」

 新しい『ルイズ』を抱きしめて才人は思う。
 才人だって、この女がルイズとは似ても似つかない別人だって事ぐらい、心のどこかで気づいていた。
 でも、それが本当だなんて思いたくない。信じたくない。だからいい、これがルイズだっていい。あいつは今ここに生きてるんだって思いたい。

「わかったよ、私がルイズだよ」

 そうして、才人の思いは受け入れられた。
 少女は才人の新しいルイズになったんだ。新しいご主人さま、ガンダールヴを使役できる新しい虚無の担い手……


【一日目黎明/F-10 東部】
【平賀才人@ゼロの使い魔】
[装備]:女神の剣@ヴィオラートのアトリエ
[所持品]:支給品一式、確認済み支給品1~3個(このうち少なくとも一個は武器です)、ルイズの眼球、背骨(一個ずつ)
[状態]:健康
[思考・行動]
1.新しい『ルイズ』と一緒に行動する。

[備考]
1.女神の剣@ヴィオラートのアトリエは元々こなたの支給品でした。



 こうして、愛する人を失った二人の少年少女が巡り合う。
 妹同然にかわいがっていた子が、目の前で死んだ。首だけ弾け飛んで。その瞬間少女の理性も吹き飛んだ。
 殺し合いをゲームと思い、遊園地を飛び出した少女はもういつもの彼女ではなかった。

 恋人のように愛し合った女の子が死んでいた。それは死体とすら言えないほどの残骸。
 乾いた眼球を握りしめ、語り合った日々を思い出す。そして、想い出を一枚一枚めくるほど、少年の心は壊れていった。

 壊れた少年の心を支えたのは、ルイズという一人の少女。そして、ガンダールヴの絆。
 けれど、それは偽りの少女と絆だった。ガンダールヴは偽物で、もう彼になんの力も与えない。
 彼に力を与えたのは全く別のものだったのだ。しかし、少年はそれに気づかず、少女がくれた使い魔の力だと勘違いした。

 少年に力を与えた本当の物。その正体。それは、少年が使った武器である。

 人呼んで女神の剣。
 人跡及ばぬ遺跡の最奥。神に最も近い場所と呼ばれた地に、その剣は眠っていた。屈強なデーモンたちに守られて。
 本来、人目につくはずも無い魔物たちが守る神殿に祭られた神具である。その切れ味、まさに闘神の如し。
 女人でも握れるほど軽く、使い勝手のいいその刀は、神殿に辿り着いた錬金術師たちの用いる最高峰の武器のひとつだった。
 使い手に、女神の祝福を与え、ありえぬほどの身体力強化という恵みを施す。それが、この武器の特性だ。

 そう。そして、それ以外、何の問題も持っていないのも、この武器の特徴のはずだった。
 人跡未踏の地に捧げられた宝刀とはいえ、ただの剣。呪いなどかけられるはずもない、聖剣の一種なのだ。

 しかし、それを使った状況が悪かった。
 少年は剣にかけられた祝福をガンダールヴの力と勘違いしてしまったのだ。
 誰にも等しく力を与えてくれる剣であるにもかかわらず……

 女神の剣は黙して語らない。
 冠された女神の名は、幸運の女神などではない。
 ただただ、力を与えるためだけの戦女神。

 力を与えよう、欲しいなら。だがしかし、我はそれ以上のことをしない。
 我は戦女神、ただひたすらに力だけを望め。

[備考]
2.女神の剣@ヴィオラートの従属効果は『攻撃回数増加+3、攻撃力+3、防御力+3、素早さ+3』です。


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斎藤一 066:お前の姿はあいつに似ている



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