悲劇、決意、そして覚悟 ◆SVPuExFbKQ
「沙都子! どこに行ったんだ……沙都子っ!!」
北条悟史はまるで錯乱したように自分の妹――北条沙都子を呼んだ。
この殺し合いの場において、大声で叫ぶといった行為をしたらどんな参加者でも……それこそ、殺し合いに乗った参加者を呼び寄せてしまうことになる。
そんなことは悟史にも分かっていた。
それでも叫ばなければならなかった。
沙都子を見つけるために。
ようやく、ようやくだ。
沙都子をいじめていた叔母さんをこの手で殺し、自由になったんだ。
これで、自分と沙都子を傷つける人はいない。
警察やご近所のことで、少しゴタゴタするかもしれないが――それが終われば自分達は自由なんだ。
そう、思っていたのに……
この殺し合いの場において、大声で叫ぶといった行為をしたらどんな参加者でも……それこそ、殺し合いに乗った参加者を呼び寄せてしまうことになる。
そんなことは悟史にも分かっていた。
それでも叫ばなければならなかった。
沙都子を見つけるために。
ようやく、ようやくだ。
沙都子をいじめていた叔母さんをこの手で殺し、自由になったんだ。
これで、自分と沙都子を傷つける人はいない。
警察やご近所のことで、少しゴタゴタするかもしれないが――それが終われば自分達は自由なんだ。
そう、思っていたのに……
叔母さんを殺した日の次の日に、おもちゃ屋のクマのぬいぐるみを見に行った。
沙都子へのプレゼントにしようと思ったけど、この時バイトの給料がまだなかった。
給料を受け取る前に誰かに買われないか心配になり、そのおもちゃ屋の前まで来た。
そして、どうしようかと考えている時だった。
この殺し合いの場に呼ばれたのは……。
沙都子へのプレゼントにしようと思ったけど、この時バイトの給料がまだなかった。
給料を受け取る前に誰かに買われないか心配になり、そのおもちゃ屋の前まで来た。
そして、どうしようかと考えている時だった。
この殺し合いの場に呼ばれたのは……。
はじめ、悟史は呆然としているだけだった。
なんでこんな所に呼ばれているのだろう。
なんで目の前で人が殺されているのだろう。
なんで……遠くに沙都子の後ろ姿が見えるのだろう、と。
なんでこんな所に呼ばれているのだろう。
なんで目の前で人が殺されているのだろう。
なんで……遠くに沙都子の後ろ姿が見えるのだろう、と。
それからしばらく経ち、ようやく理不尽な殺し合いの場に自分と、そして沙都子が呼ばれているのだと気づいた時には、もうすでに目の前に沙都子の姿はなかった。
◇ ◇ ◇
(くそ! ここにはいないのか……それとも、もう殺されて――)
そこまで考えて、しかし、その考えを捨てた。
(何馬鹿なことを考えてるんだ。沙都子は生きている。絶対にっ!!)
こんな考えが出てしまった自分を恥つつ、悟史は考えを改めた。
きっと、こんな考えが出てくるのは自分が冷静でないからだと思った。
きっと、こんな考えが出てくるのは自分が冷静でないからだと思った。
(……落ち着け、北条悟史、クールになるんだ。沙都子ならきっと大丈夫だ。何も全員殺し合いに乗っている訳ではないはずだ。乗っていない人もきっと――)
と、そこまで思ったところでふと、他に自分の知っている人がいないのかということを確認していないことに気づいた。
考えてみたら、自分はこの場に来てから沙都子を探してばかりで全然デイバックを見ていなかった。
考えてみたら、自分はこの場に来てから沙都子を探してばかりで全然デイバックを見ていなかった。
「……確認してみよう」
気持ちを落ち着けるためと、もしかしたら知人がいて沙都子を助けてくれるかもしれないという思いと、ひょっとしたら沙都子を探すのに役に立つものがあるかもしれないという思いから、悟史はその場でデイバックの中を漁った。
デイバックからは食料や水、筆記用具のような日用品ばかりが出てきた。
だが、その中で一際目立ったもの……いや、得物を見つけた。
デイバックからは食料や水、筆記用具のような日用品ばかりが出てきた。
だが、その中で一際目立ったもの……いや、得物を見つけた。
「これは……刀、だよね」
そう言って取り出したものは、まさしく刀だった。
部類は大太刀だろうか。
とにかく、一目で凶器だと分かるものだった。
部類は大太刀だろうか。
とにかく、一目で凶器だと分かるものだった。
「……身を守るために、持っていた方がいいかもね」
今のところ殺し合いに乗るつもりはないとは言え、さすがに丸腰という訳にもいかない。
持っていて損はない。
持っていて損はない。
「他には何か……」
そう言ってデイバックの中を探していると、目当ての名簿を見つけた。
早速、確認してみることにした。
早速、確認してみることにした。
◇ ◇ ◇
「レナに魅音まで……」
それが名簿を見終わった時の悟史の感想だった。
名簿を見たところ、自分や沙都子の他に、同級生の竜宮レナ、園崎魅音までがこの殺し合いの場にいることが分かった。
だが、それを確認していて、少し気になることがあった。
それは名簿に書かれている自分と沙都子の間にある名前のことだ。
名簿を見たところ、自分や沙都子の他に、同級生の竜宮レナ、園崎魅音までがこの殺し合いの場にいることが分かった。
だが、それを確認していて、少し気になることがあった。
それは名簿に書かれている自分と沙都子の間にある名前のことだ。
「園崎……しおん、かな?」
たぶん、魅音の家族の誰か(おそらく母親?)なのだろう。よくは分からない。
ただ、その詩音という人物もこの場に呼ばれているのかということだけは読み取れた。
ただ、その詩音という人物もこの場に呼ばれているのかということだけは読み取れた。
「……この人も一応探そう、かな」
何故かそうしなければいけないような気がした。
なんでだろう。
会ったこともない人なのに……。
なんでだろう。
会ったこともない人なのに……。
「……考えるのは後にしよう。まず、これの中身を確認しなきゃ」
そう思って、悟史は再びデイバックを漁り始めたのだった。
◇ ◇ ◇
「これは……ハズレかな」
そう言って取り出したのは、お笑いとかで使われるハリセンだった。
正直に言って、こんなものを殺し合いの場に出して一体何がしたいのかが分からなかった。
捨てようとも思ったが、ひょっとしたら(かなり低確率だが)何かに使えるかもしれなかったので、そのままデイバックに戻すことにした。
正直に言って、こんなものを殺し合いの場に出して一体何がしたいのかが分からなかった。
捨てようとも思ったが、ひょっとしたら(かなり低確率だが)何かに使えるかもしれなかったので、そのままデイバックに戻すことにした。
「後は、この拡声器ぐらいかな……」
と、先に取り出されていた拡声器を手に取った。
実のところ、悟史はこの支給品を使うことを躊躇っていた。
たしかにこれを使えば、より早く他の参加者との連絡が取れるはずだ。
もしかしたら、沙都子や他の知人たちに会えるかもしれない。
しかし、仮に拡声器を使った場合、殺し合いに乗った参加者も引き寄せる可能性がある。
そうなれば、危ないのは自分だ。
それだけじゃない。
もしも、自分の知人――特に沙都子が自分の声を聞いてここに来たとしよう。
そして、その後に、凶悪な殺人鬼が目の前に現れたとき……
実のところ、悟史はこの支給品を使うことを躊躇っていた。
たしかにこれを使えば、より早く他の参加者との連絡が取れるはずだ。
もしかしたら、沙都子や他の知人たちに会えるかもしれない。
しかし、仮に拡声器を使った場合、殺し合いに乗った参加者も引き寄せる可能性がある。
そうなれば、危ないのは自分だ。
それだけじゃない。
もしも、自分の知人――特に沙都子が自分の声を聞いてここに来たとしよう。
そして、その後に、凶悪な殺人鬼が目の前に現れたとき……
自分は沙都子を守れるのだろうか……。
「でも……」
自分は沙都子を、自分の妹を守らなきゃいけない。
それが例えどんな化け物が目の前に現れてたとしても……
それが例えどんな化け物が目の前に現れてたとしても……
「僕は、沙都子を、妹を守らなきゃいけないんだ」
それが、兄の……にーにーの義務なのだ。
他者との接触がなんだ、狂った参加者の相手がなんだ。
北条悟史は兄として、妹の北条沙都子を守らなきゃいけないことに変わりはない。
そして悟史は覚悟を決めて、拡声器のスイッチを押した。
他者との接触がなんだ、狂った参加者の相手がなんだ。
北条悟史は兄として、妹の北条沙都子を守らなきゃいけないことに変わりはない。
そして悟史は覚悟を決めて、拡声器のスイッチを押した。
『――この声が聞こえますか。僕の声が聞こえますか。
僕は……北条、悟史と言います。この声が聞こえている人は聞いてください。
僕は今、妹を探しています。北条沙都子と言います。
沙都子は……妹はこんなところに呼ばれて、酷く怯えていると思うんです。
この声が聞こえた人は、どうか妹を、沙都子を探してください!!
すごく自分勝手なことを言っているのかもしれない……
でも、僕にとっては、大事な、本当に大事な妹なんです……っ!!
どうか、妹を探すのを、手伝ってくださいっ!!
それから、これを聞いているのがレナ、魅音、詩音……さんだったら、
あるいは、沙都子自身が聞いているなら、僕のところに来てくれ!!
僕は今、地図でいうとC-7にいるんだ。
頼む!!必ず来てくれっ!!
……僕は絶対――』
僕は……北条、悟史と言います。この声が聞こえている人は聞いてください。
僕は今、妹を探しています。北条沙都子と言います。
沙都子は……妹はこんなところに呼ばれて、酷く怯えていると思うんです。
この声が聞こえた人は、どうか妹を、沙都子を探してください!!
すごく自分勝手なことを言っているのかもしれない……
でも、僕にとっては、大事な、本当に大事な妹なんです……っ!!
どうか、妹を探すのを、手伝ってくださいっ!!
それから、これを聞いているのがレナ、魅音、詩音……さんだったら、
あるいは、沙都子自身が聞いているなら、僕のところに来てくれ!!
僕は今、地図でいうとC-7にいるんだ。
頼む!!必ず来てくれっ!!
……僕は絶対――』
放送の中でこれだけは言っておきたかった。
なので、今、ここで、言う。
なので、今、ここで、言う。
『僕は絶対――戻るんだ、あの笑顔がある世界に!!』
僕はそう、宣言した。
【一日目黎明/C-7 森】
【北条悟史@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】
[装備]贄殿遮那@灼眼のシャナ 拡声器@現実
[所持品]支給品一式 ハリセン@現実
[状態]健康、やや混乱、雛見沢症候群L3
[思考・行動]
1、どんなことがあっても沙都子を守る
2、この場で放送を聞いた人を待つ
3、2で来る人が沙都子なら、その場で保護する
4、詩音って誰?
[備考]
※参戦時期は目明し編、叔母殺害後の翌日、おもちゃ屋のぬいぐるみを見ている時からです。
※園崎詩音のことを知りません。
※悟史の声はC-7を中心に周囲8エリアまで響きました。
【北条悟史@ひぐらしのなく頃に(ゲーム)】
[装備]贄殿遮那@灼眼のシャナ 拡声器@現実
[所持品]支給品一式 ハリセン@現実
[状態]健康、やや混乱、雛見沢症候群L3
[思考・行動]
1、どんなことがあっても沙都子を守る
2、この場で放送を聞いた人を待つ
3、2で来る人が沙都子なら、その場で保護する
4、詩音って誰?
[備考]
※参戦時期は目明し編、叔母殺害後の翌日、おもちゃ屋のぬいぐるみを見ている時からです。
※園崎詩音のことを知りません。
※悟史の声はC-7を中心に周囲8エリアまで響きました。
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