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同病異治と異病同治

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同病異治


  定義は、『中国漢方医語辞典』(株式会社中国漢方)によると――


  一般には同病同証は同じ治療法を用いる。ただし同じ疾病でも、病人の体の反応の相違により、現れる"証”(証候)も異なるから、治療法も異なる場合がある。たとえば感冒には風寒の感冒と風熱の感冒の相違があり、したがって治療法にも辛温解表と辛涼解表の別がある。


  簡単に言い直しますと、同じ病気でもその人の体の状態や病気の原因に合わせて治療法を変えるということです。『>第一回(4月12日)』のところで言ったように、これは漢方の特徴とでもいうべきものですね。



異病同治


  ここでも定義を、『中国漢方医語辞典』(株式会社中国漢方)に求めますと――


  一般に異病異証には異なる治療法を用いなければならない。ただし、数種の疾病がともに同じ性質の"証”を持っている場合には同一の方法で治療してよろしい。たとえば虚寒のため下痢をする,脱肛,子宮下垂は違う病証であるが、いずれも中気が下に落ち込んだ症状を現す場合には、中気を補い、ふやす処方と薬物で治療することができる、補気、昇提中気の各項を参照のこと。


  つまり、別の名前の病気であっても、その人の体の状態や病気の原因が同じならば、同じ方剤を処方しても構わない、ということです。



同病異治と異病同治から


  漢方では、患者さんの体の状態と病気の原因――この二つが治療法の決定で大きな比重をなすわけです。
  同病異治、異病同治――この二つの言葉は、それを端的に表しています。

  体の状態と病気の原因が異なるなら、同じ名前の病気でも異なる治療法。

  体の状態と病気の原因が同じなら、異なる名前の病気でも同じ治療法。

  ・・・・・・なんだか>第一回(4月12日)の繰り返しになってる気もしますが、それだけ重要なことだとお考え下さい。



西洋医学との比較における異病同治


  漢方と西洋医学の比較で、このように言われることがあります。

  漢方は同病異治、西洋医学は異病同治。

  前者の、「漢方は異病同治」――これは、まあ、すんなり受け容れられるかと思います。

  ですが後者の、「西洋医学は異病同治」――ここまでの説明を読んできた方なら、少々頭にハテナがうかぶかと思います。

  なぜなら、異病同治も漢方の特徴を表す言葉なのですから。

  とはいえ、これは誤用ではありません。異病同治という言葉は、以下の意味で用いられているのです、即ち――

  西洋医学では、患者の体の状態や病気の原因が異なっていても、同じ名前の病気なら同じ治療を行う・・・・・・

  ということなのです。

  ですから、この場合での「異病」というのは「患者の体の状態や病気の原因が異なる」という意味だとお考え下さい。
(先に出てきた「異病同治」においては、「異病」は「異なる名前の病気」の意味で用いられていました。確認してみてください)



執筆担当:北上



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