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「曇りですけど、降水確率40%ですか。これは少しパラつくかもしれませんね」
朝、部屋を出る前に携帯で今日一日の天気予報をチェックする。トレーナーだった頃から身についているこの習慣はウマ娘になったところで変わることはなかった。もちろん理由は大きく分けて2つ。トレーニングの内容を変更する必要があるか否か、それと週末のレースにどう影響するのかのデータを取るためという理由。レースは雨が降ろうが雪が降ろうがよっぽどの荒天にならない限り施行される訳だから、わたしたちもそれに備えたトレーニングも当然行わないといけない。ただそれで体調を崩しては元も子もないから、雨は降るのか、降るとしてどれほど降るのかは常に確認するようにしている。
「折りたたみ傘は……入ってますね。これなら安心です」
備えあれば憂いなし。例え晴れの予報でも降水確率が0%であってもわたしは折りたたみ傘を鞄の中に入れておくようにしている。それは万が一ということもあるけど、晴れていた場合は日傘代わりに使えるからということが大きい。昔と違って今は晴雨兼用の物があるから、わざわざ入れ替える必要がなくて済むのはありがたい。ただ自分自身実用面を重視しているせいか、デザイン面ではあまり可愛いとはいえず、むしろ男物に近いシンプルで落ち着いた装飾の物を使っている。姉さまからもっと可愛い物を選べばいいのになんて言われてしまっているぐらいだけど、それはこの傘が古くなってからでいいと思っている。
「それじゃ行きましょうか……そういえば姉さまは今日は先に行っているんでしたね」
今日は朝の日直があるということで姉さまはいつもより先に寮を出発した。本当であれば朝練のためにわたしも一緒に行っているところなんだけど、今日は夕方だけの軽めのトレーニングにする予定だから2人別々に登校することとなった。いつもなら姉さまの腕に自分のを絡ませぴったりくっついて登校しているからか、今朝の右腕からは寂寥感が少し漂っている。
「それじゃ、行ってきます」
誰もいない部屋に別れを告げ、後ろ向きに扉を閉める。ガチャリと音が鳴ったのを振り返ることなく確認すると、そのまま寮を出て学園へと歩き始めた。
「天気、保ってくれるといいですけど。お願いしますよ、お天道様」
曇天の空を見上げため息を1つ零す。鉛色の雲はわたしの願いに何も答えず、ただただ大空の中を静かに漂っていた。
─────
放課後、学園指定のジャージに着替えコースへと向かう道中、花壇を世話する小さな人影を認めた。ピンクの髪、左右に揺れる綺麗に手入れされている尻尾、そのウマ娘は……
「フーラりんっ!」
「あっ、エスキーちゃん! これからトレーニングですか?」
花を世話する彼女もまた花。その小さな体から発揮されるとは到底思えない強烈な末脚で長距離レースを制した、可憐で凛々しいウマ娘、フラワリングタイム。寮は違えど同じチーム、同じ中等部、そして同じ中長距離を得意とする仲ということで、お話ししたり一緒にトレーニングをしたりすることが自然と多くなっていた。わたしは彼女のことを親友だと思っているけど、彼女がわたしのことをどう思っているのかは聞いたことはない。
「そうですそうです。ただ今日はトレーナーから軽めにという指示なので、数本走って上がろうかなって。そう言うフラりんは?」
「私は今日はお休みなんです……今日というかしばらくですけど」
そう言って彼女は自身の右足に視線を向ける。わたしもそれに釣られて視線を下げると、右足首に包帯が巻かれていることに気づいた。
「怪我、ですか?」
「ちょっと足挫いちゃっただけなんですけどね。私としては走りたいところですけど、トレーナーさんが駄目って」
その言葉でフラりんのトレーナーの顔が頭に浮かぶ。ロ○コンとか小○性○者とか言われているけど、彼のフラりんに対する姿勢は全くもって真摯で紳士だ。何より彼女の長距離適性を見抜いた点について、彼に言ったことはないけどわたしは非常に高く評価している。
「トレーナーさんが言うなら仕方ないですね……じゃあじゃあ、せっかくだからわたしもお花のお世話手伝いますねっ!」
わたしの申し出にフラりんは「エスキーちゃんには悪いです……」って言っていた。ただわたしが「まだ日も長いこの季節だから少し遅くなっても大丈夫」と伝えると、「そういうことなら」と手伝うのを許してくれた。
「──これで今日のお世話は終了ですね。エスキーちゃん、ありがとうございました!」
「いえいえ、これぐらいお安い御用ですっ! 言ってもらえればいつでもお手伝いに来ますよっ!」
ひと通り花壇の手入れが終わると、2人で道具を片付け土で汚れた手を洗う。再び戻ってきた花壇の前で彼女と別れようとしたそんなとき、ポツポツと雨粒がかざした手のひらに落ちてきた。
「雨、降ってきましたね。まあでもこれぐらいなら走れそう……ふ、フラりん?」
コースの方へ駆けていこうとしたところを後ろからフラりんにジャージの裾を掴まれる。走るのをやめ彼女の側へ寄ると、何やら目をぎゅっと閉じ、耳を伏せ、わたしのズボンの裾を掴む逆の手で遠くの空を指差していた。
「あっちに何かあるんですか?」
「か、雷……私、駄目なんです」
彼女の指の先に目線を向けると、ちょうどかなり遠くの方で稲光が落ちたのが視界に入った。空を見上げても徐々に暗く、そして雲が厚くなっていくのを感じる。体にぶつかる雨粒も少しずつ大きくなってきて、このまま立っているとずぶ濡れになることは明白だった。わたしは俯いてその場から動けなさそうなフラりんをおんぶして、走って校舎の中に戻る。
「……ありがとうございます、エスキーちゃん」
「……雷、駄目だったんですね」
更衣室で着替え、自身のトレーナールームに2人で戻る。部屋のソファで横に並んで座っている間、わたしが雨が降りしきり雷もいくつも落ちる外を見つめるのに対し、フラりんはわたしの腕を握り、必死に雷の音に耐えていた。
「ごめんなさい、私のせいで練習も全然できなくて……」
「フラりんが謝ることじゃありません。手伝うって決めたのはわたしですし、雨が降ってきたのもフラりんが悪い訳じゃないです」
そう言って彼女の頭を何度も撫でる。あなたのせいじゃないよと、わたしが側にいるよと。
「……雷が止むまででいいので、ぎゅっとしてもらえませんか?」
「……いいですよ。はい、膝の上に乗ってください」
腕を広げ彼女がわたしの膝に跨がるのを待つ。彼女がおずおずと靴を脱いで自分の太ももの上に乗っかったのを確認すると、彼女の体をぎゅっと抱きしめる。それに合わせて彼女もわたしの体に腕を回した。
「エスキーちゃんの体、あったかいです……」
「よしよし、落ち着くまでずっとこうしていていいですからね」
腕の中の小さな温もりへ愛しい想いがどんどん溢れてくる。庇護欲だけではない想い、それはきっと──
(ううん、わたしには姉さまが……)
頭に浮かびかけた文字を必死に打ち消し、姉さまへの想いを懸命に大きくしようと試みる。ただそんな虚しい努力は膨らむ想いに対抗することができず、否が応にも自分の中の想いに気づかされてしまう。
(好き、好き、好き……わたしは貴方のことが……)
─────
すっかり日も落ち雷の音も聞こえなくなったものの、雨はまだ降り続いていた。天気予報が完全に嘘をつき外は土砂降りだ。
「フラりん、もう雷はどこかに行きましたよ」
「……もう少しこのままでいさせてください。もうちょっと、もうちょっとだけ……」
帰るのが遅くなるのは別に構わない。寮長に怒られたり、姉さまに叱られたりするぐらいどうということはない。ただ、ただ、わたしの気持ちが、想いが、止められなくなる。
「……ねえ、フラりん。少し顔を上げてもらえますか?」
「……どうしたんですか、エスキーちゃん?」
わたしの言葉にわたしの肩へと顔を埋めていたフラりんが顔を上げる。互いが互いに強く抱きしめあっていたせいか、2人の顔の距離はたぶん10cmにも満たなかった。そのことがわたしの頭をより熱く、そして心臓の鼓動をよりうるさくさせる。この胸の高鳴りが目の前の彼女に聞こえてしまうのではないかと思うぐらいに、強く、速く心臓を打ち鳴らす。
「あのですね……わたし、フラりんのことが……」
意を決して言おうとしたその刹那、鞄の中に入れていた携帯の着信音が部屋中に鳴り響く。おそらく姉さまからまだ帰ってこないのかというお叱りの電話だろう。やむなくフラりんに膝から下りてもらい、鞄を開けて携帯を取り出す。
「もしもし、エスキーです……」
『今どこにいるの? というか今何時か知ってる?』
心配とお怒りが入り混じった姉さまの声を聞いて、部屋の時計を見つけて時間を確認する。するとそこに示されていたのは「19:00」という数字の羅列だった。
「今トレーナールームです。早く戻ります……はい、はい……」
そう平謝りして電話を切る。大きく1つため息をつくと、自分の鞄とフラりんの鞄を持って彼女に帰ろうと伝える。
「もう遅いですし帰りましょう。傘は持ってきてます?」
「傘は折りたたみ傘が……あっ、そういえばライジョウドウさんに前に貸したまま返してもらうの忘れてました……」
彼女にしては珍しいイージーミス。同室の彼女も普段から突拍子もないことをやらかしてはいるが、借りた物を返し忘れるというタイプには見えない。おそらくお互いがお互いにうっかりしていたのだろう。ただわたしはそのうっかりに少しばかり感謝をしていた。なぜなら……
「ではわたしが寮までお送りしますね」
相合い傘ができるから。
「そこまでしてもらわなくても……ううん、ここはエスキーちゃんに甘えさせてもらいます! えいっ!」
そう言ってまだ部屋の中なのにわたしの腕に飛びついてくるフラりん。驚くわたしに「えへへ」と笑いかけてくるそんな彼女にわたしはますます想いを募らせていくのだった。
「……それじゃ、帰りましょうか」
「はい!」
2人とも腕を組む逆側の肩に鞄を引っかけ、部屋の電気を消して廊下に出る。鍵をかけるとそれを職員室へと返しにいき、靴箱の前で2人靴に履き替える。そうして傘を広げて校舎の外に出ると、再びフラりんがわたしの右腕に彼女の左腕を絡めてきた。
「エスキーちゃん、明日は晴れると思いますか?」
「……この雨脚だと明日の朝には雨は止んでいるんじゃないでしょうか。花壇のお世話、できそうですね」
校舎の中にいる時は土砂降りだった雨が次第に弱まってくるのを広げた傘を打つ音で感じ取る。夜いっぱいは降り続けるだろうけど、朝にはすっかり止んでいることだろう。ゆっくりと寮へ向かいながら明日の朝のことを、そしてその先のことを2人笑って語り合う。
──ああ、この時間が永遠に続くといいのに。
─────
「では私はこの辺で。エスキーちゃん、今日はありがとうございました!」
そう言って頭を下げるフラりんを手を振って見送る。律儀に何度もお礼を伝える彼女に「早く戻らないと」と促し、寮の中へ入るのを確認したところでわたしも急いで美浦寮へと駆けていった。そうして寮の前に着くとそこには姉さまの姿があった。
「姉、さま……?」
「おかえり、エスキー。話はあとで聞くから、早くお風呂入ってご飯食べてきなさい」
優しい言葉に感謝を伝え、少し冷たい体をお風呂で温め、夕ごはんを急いで掻き込む。歯を磨いて姉さまが待っている部屋へと戻ると、既に姉さまは自身のベッドに腰かけ、わたしに隣に座るように促した。わたしはポンポンと自分の横を叩く姉さまに遠慮しつつも、おずおずと隣に腰かけた。
「それで何があったの? 今日の練習は軽めの予定だったけど」
「あのですね……」
姉さまに何があったのか、事のあらましについて説明する。フラりんのお手伝いをしたこと、雨が突然降って雷が鳴り始めたこと、そしてトレーナールームでずっとフラりんを慰めていたこと、その全てを。
「なるほどね……ちょっとお人好しすぎない?」
「だってあの時フラりんはっ……!」 「冗談だよ。別にそれで責めてる訳じゃない。ただ……何かあったって顔してるけど」
その言葉にはっと頬を手で押さえる。普段はなるべく暗い感情を表に出さないように気をつけているけど、姉さまにはお見通しだったみたいだ。
「あの、ですね……フラりんのことなんですけど……」
言いづらい。だっていつもはわたしの方から姉さまにアタックしているのに、それと真っ向からぶつかる言葉を発しようとしているのだから。でも、それでも言わないと始まらないし、何より2人に対して失礼だ。そう意を決したわたしは姉さまへ自分の想いを、ここにいない彼女への想いを打ち明けた。
「……そっか。ってそれそんなに躊躇うことじゃないんじゃない? 今どきおかしい話じゃないし」
ジェンダーレスなこの時代、男女の境関係なく、男同士、女同士、そしてウマ娘同士で想いあっていることをカミングアウトする人たちが増えてきた。わたしのこの想いもその一種だと姉さまは言う。ただそうなんだけど、そうじゃない。だってわたしは……
「……姉さまのことも好きなんですよ? それなのに……」
「分かってる、分かってるよ。でも好きなんでしょ? だったら伝えなきゃ駄目。勝負できるときに勝負しないなんてアンタらしくない」 「わたし、らしく……」
おそらく姉さまはわたしが「人」だった時の話も含めてしてくれている。今度はあの時とは逆にわたしの背中を押してくれている。好きな人が後押ししてくれているのに躊躇うなんてことは自分でも許されない。伝えるしかない。
「この雨も明日の朝には止んでるでしょ。その時に伝えたら?」
「はい……はいっ!」
姉さまの言葉に深く頷く。その言葉に姉さまも深く頷き返すと、しばらくの間姉さまに頭を撫でられた。夕方の時とは異なり今度はわたしが撫でられるのを甘受する番。そんな姉さまの手の温もりにわたしは次第に舟を漕ぐようになり、いつの間にか自身のベッドで眠ってしまっていた。
「おやすみ、エスキー。いい夢を」
─────
エスキーを彼女のベッドに横たわらせると布団をかけてあげて、眩しくないように部屋の明かりを消す。そろそろ遅い時間だし自分も寝るかと布団に入り目を閉じる。
(なんで後押しなんてしちゃったんだろう……)
彼女がアタシを好きに思ってくれていることはずっと前から分かっていた。むしろあれだけアピールされて分からなかったら鈍感にも程がある。だけど、そもそもは……
(アタシの方が先……なのに)
彼女が「彼」に戻る間は封じようと心に決めたこの想い、それが今になって徐々に、徐々に頭をもたげてきた。
(今のあの子に言っても混乱させるだけ。だったら今は……)
言わない、それが唯一の正解。ただもしあの子の告白が失敗すれば、成功しても「彼」に戻ったらそのときに……
(……なんて醜い。自分がこんな酷い女だったなんて)
布団を頭まで被り、中で膝を抱える。いつか伝えないといけない想いを閉じ込めるように小さく、丸く。
─────
翌朝、いつの間にか自身のベッドで眠っていたことに驚きかけるも、おそらく姉さまが運んでくれたんだと気づき、姉さまへ感謝を伝える。なんだかまだ少し眠そうな姉さまは「気にしないで」と言いつつ、「早く行かないと」とわたしに早く学園へ向かうよう促した。わたしは姉さまのその言葉を追い風にして、急いで朝の準備を済ませて学園へと走り出す。空は予想通り薄い雲に覆われてはいたが、雨粒は全く落ちてこなかった。
「ふ、フラりん。おはようございますっ!」
「あっ、エスキーちゃん! おはようございます。昨日はありがとうございました!」
たづなさんが脇に立っている校門を彼女に挨拶しながら走り抜け花壇へとたどり着く。まだ朝早いからかフラりん以外に人影はなく、そこはわたしと彼女2人だけの空間となっていた。
「いえいえ。傘、返してもらいましたか?」
「はい! ライジョウドウさんもうっかりしていたみたいで、すぐに鞄の中から出して渡してくれました」
そっかとほっとひと息をつく。これでまた雨が降っても大丈夫……ってそんなこと考えている場合じゃない。
「あ、あのっ! フラりんに伝えたいことがありまして……」
「どうしました、エスキーちゃん? そんなに改まって」
明らかに緊張している様子のわたしを見て、フラりんはきょとんとした表情をして首を傾げていた。ただわたしのテンパりつつも真剣な表情に当てられたのか、彼女もキリっとした顔でわたしを見つめる。
「フラりん、いいえ、フラワリングタイムさん」
彼女の瞳をまっすぐ見つめ、想いを伝える。
「貴方のことが好きです、大好きです。付き合ってくれませんか?」
全てを、わたしの想いの全てを彼女に打ち明ける。
「えっと……エスキーちゃんが私を? ええっと……」
尻尾をバタバタと振り、耳もいろんな方向を向いて、その動きは止まりそうにない。口を手で押さえるも、隠しきれない頬が赤く染まっているのがはっきりと見える。
「いきなりでごめんなさい。でもどうしても伝えたくって」
「ううん、嬉しいんです、嬉しいんですけど気持ちの整理が上手くできなくて……」
わたし以上にテンパっている彼女に近づくと両肩をぐっと掴む。彼女は動きを止め、わたしの顔を見上げるように見つめた。
「返事はすぐじゃなくていいです。フラりんの気持ちがまとまったら教えてください」
そう言って肩から手を下ろし、教室へ向かおうと彼女に背を向ける。今混乱している彼女から聞いても仕方ないと、そう思って歩き出そうとしたその時、またもやセーラー服の裾を後ろから掴まれた。
「待って……待ってください!」
「フラりん……別に焦って答えてくれなくても……」
右手でわたしの制服の裾を摘みながら左手を胸に当て、フラりんは何度か深呼吸をする。そこでようやく落ち着いたのか、今度は彼女がわたしの顔をじっと見つめ、その想いを打ち明けた。
「私もエスキーちゃんのことは大好きです。だけどそれが“like”なのか“love”なのかよく分かりません」
「そう、ですか……」
おそらく次に続く言葉は「ごめんなさい」だろう。そう一人合点して彼女から目を逸らし、地面に顔を向ける。
「だから……これから私に教えてください。この気持ちが何なのか。エスキーちゃんに抱く想いがどっちなのか」
「それって……」
雲間から太陽が顔を出し、陽射しが私たち2人を照らし出す。わたしは俯いていた顔を上げ、彼女の顔を再び見つめる。
「だから……これからよろしくお願いしますね、エスキーちゃん!」
彼女の満面の笑みは太陽なんかよりずっと眩しくて、わたしなんかよりずっと大人びて見えて、とっても、とっても輝いて見えた。
「はいっ! 絶対にわたしのこと『好き』になってもらいますからっ!」
わたしと彼女の物語が今、幕を開けた。
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