「もうすぐご飯炊けるから、もうちょっと待ってて」
「オッケー、こっちは飲み物準備しておくな」
「オッケー、こっちは飲み物準備しておくな」
いつもの夕食時。ただいつもと違うのは、
「……クラシックも似合うけど、こういうのも似合ってるな」
「そんなじっと見ないでよ……ご主人様のえっち」
チームのくじ引き大会でもらったミニサイズのメイド服。トレーナーにお願いされて着ることになったんだけど……
「……クラシックも似合うけど、こういうのも似合ってるな」
「そんなじっと見ないでよ……ご主人様のえっち」
チームのくじ引き大会でもらったミニサイズのメイド服。トレーナーにお願いされて着ることになったんだけど……
『食事終わるまででいいからオレのことご主人様って呼んでくれない?』
よく分かんないお願いだけどそれでトレーナーが満足してるならいいっかと呼んであげることにした。
すると、
「スウゥゥゥゥゥ……落ち着けー落ち着けー……相手は担当だぞー……煩悩滅殺煩悩滅殺……」
「えっ、ご主人さまどうしたの。というか担当にメイド服着させてる時点で煩悩滅ぼせてないじゃん」
「ごめん……でもさっきのスカートを手で押さえながら少し顔を紅潮させて上目遣いで『えっち』なんて最高に可愛かったし……」
今のトレーナーちょっと気持ち悪い……でも、
「かわい、かった……? 服じゃなくて……?」
「当たり前だろ。オレが人生で見たメイド服着た女の子で一番可愛いと思ってる」
「そ、そっか……ありがと……」
「スウゥゥゥゥゥ……落ち着けー落ち着けー……相手は担当だぞー……煩悩滅殺煩悩滅殺……」
「えっ、ご主人さまどうしたの。というか担当にメイド服着させてる時点で煩悩滅ぼせてないじゃん」
「ごめん……でもさっきのスカートを手で押さえながら少し顔を紅潮させて上目遣いで『えっち』なんて最高に可愛かったし……」
今のトレーナーちょっと気持ち悪い……でも、
「かわい、かった……? 服じゃなくて……?」
「当たり前だろ。オレが人生で見たメイド服着た女の子で一番可愛いと思ってる」
「そ、そっか……ありがと……」
ピーーーーーッピーーーーーッ
そんな甘い空気を切り裂く炊飯器の炊きあがり音。夕ご飯を作っていたことを思い出し、急いで準備を再開する私たち。
(かわいい、か……着てよかったな……)
そんな甘い空気を切り裂く炊飯器の炊きあがり音。夕ご飯を作っていたことを思い出し、急いで準備を再開する私たち。
(かわいい、か……着てよかったな……)
─────
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
「ごちそうさまでした」
「お粗末さまでした」
お互いお腹が空いていたのかあっという間に食べ終わり、2人で手分けしながら食器の片付けを進める。そんな時、
「なあ、エスキモー」
「ん、どうしたのトレーナー?」
「今日もありがとな。いつもご飯作ってくれて」
「そんな改まって言わなくても大丈夫だよ。私もいつもトレーナーが最後まで綺麗に食べてくれるの本当にあひがとうって思ってるからお互いさま」
「そっか」
「なあ、エスキモー」
「ん、どうしたのトレーナー?」
「今日もありがとな。いつもご飯作ってくれて」
「そんな改まって言わなくても大丈夫だよ。私もいつもトレーナーが最後まで綺麗に食べてくれるの本当にあひがとうって思ってるからお互いさま」
「そっか」
─────
後片付けも終わり、制服に着替え、2人でゆっくりテレビを見ながら過ごしていると、机に置いていた私のスマホが音を立てた。
後片付けも終わり、制服に着替え、2人でゆっくりテレビを見ながら過ごしていると、机に置いていた私のスマホが音を立てた。
「着信? ヒシアマゾンさんから? はいエスキモーですけど、ヒシアマ姐さん何かありました?」
『何かありましたって……今何時だと思ってんだい?』
「何時ってまだそんな時間じゃ……あれ、もう21時前!?」
『アンタのことだから危ないところほっつき回ってるのは思わないけどさ』
「ごめんなさい、そんなに遠くじゃないんで今から急いで帰りますね」
『寮の玄関は閉めてるから、玄関前まで来たら連絡すること。いいかい?』
「はい、ありがとうございますっ!」
『何かありましたって……今何時だと思ってんだい?』
「何時ってまだそんな時間じゃ……あれ、もう21時前!?」
『アンタのことだから危ないところほっつき回ってるのは思わないけどさ』
「ごめんなさい、そんなに遠くじゃないんで今から急いで帰りますね」
『寮の玄関は閉めてるから、玄関前まで来たら連絡すること。いいかい?』
「はい、ありがとうございますっ!」
─────
電話を切り、急いで帰り支度を始める。
「ごめんエスキモー。ちょっといい?」
「えっ、なにトレーナー? 私急いでるんだけど」
「バレンタインのお返し、渡してなかったから。はい」
そっか、今日はホワイトデー。今日一日メイド服に気を取られてたせいですっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
電話を切り、急いで帰り支度を始める。
「ごめんエスキモー。ちょっといい?」
「えっ、なにトレーナー? 私急いでるんだけど」
「バレンタインのお返し、渡してなかったから。はい」
そっか、今日はホワイトデー。今日一日メイド服に気を取られてたせいですっかり頭から抜け落ちてしまっていた。
トレーナーからもらった小包を開けると、
「ネックレス? それでこれは……犬?」
「センスなくてごめんな? お菓子じゃもらったのと比べたら見劣りするし、ハンドクリームとかはメジロ家でいいの買ってるだろうし分からなくなっちゃってな……」
「ううん、嬉しい……せっかくだしトレーナーに着けてほしいな」
「急いでるんじゃなかったのか……分かった、じゃあちょっと髪上げておいてな……」
「ネックレス? それでこれは……犬?」
「センスなくてごめんな? お菓子じゃもらったのと比べたら見劣りするし、ハンドクリームとかはメジロ家でいいの買ってるだろうし分からなくなっちゃってな……」
「ううん、嬉しい……せっかくだしトレーナーに着けてほしいな」
「急いでるんじゃなかったのか……分かった、じゃあちょっと髪上げておいてな……」
2人の距離がぐっと縮まる。顔が近づく。鼓動が早まる。そして……
「よしっ、これで着けられたな……んっ!?」
「んっ……ぷはっ……」
「お、おい!? 何をしてっ……!」
「何って……キス、だけど。ネックレスのお返し。じゃ、私帰るから。トレーナー、おやすみなさい」
「はぁ……まったく……」
「よしっ、これで着けられたな……んっ!?」
「んっ……ぷはっ……」
「お、おい!? 何をしてっ……!」
「何って……キス、だけど。ネックレスのお返し。じゃ、私帰るから。トレーナー、おやすみなさい」
「はぁ……まったく……」
─────
足早に夜道を駆けていく。夜風で顔の熱さを冷ますように速く、速く。
(トレーナーと、しちゃった……)
そっと唇に触れる。感触が忘れられそうにない。
(もっと先へ、もっと側でいられたらいいな……)
足早に夜道を駆けていく。夜風で顔の熱さを冷ますように速く、速く。
(トレーナーと、しちゃった……)
そっと唇に触れる。感触が忘れられそうにない。
(もっと先へ、もっと側でいられたらいいな……)
─────
「あの時は適当な理由をつけてごまかせたけど……」
チョコやマカロンみたいなお菓子でも喜んでくれたと思う。アクセサリーならイヤリングでもブレスレットでも良かった。ただ、ネックレスをあげた本当の意味は、
「あの時は適当な理由をつけてごまかせたけど……」
チョコやマカロンみたいなお菓子でも喜んでくれたと思う。アクセサリーならイヤリングでもブレスレットでも良かった。ただ、ネックレスをあげた本当の意味は、
「キミの側にいさせてほしい……伝わってくれると嬉しいな」