─────
「──というわけで着いたッスね、名古屋」
「東京から新幹線で1時間半。喋ったり硬いアイスに挑戦してたらあっという間だったな」
「結局食べられたのギリギリでしたねえ。じゃあこのまま水族館行くってことでいいッスか?」
「そうだな。名古屋って中京レース場行くのに通過したことあるけど、観光したことないからな。よろしく頼む」
「……大して何もないッスけどね。だから名古屋飛ばしとか言われるンスよ」
「自分の地元になんてことを。とりあえずロッカーにキャリーバッグ預けてくるから待っててくれ」
「はぁい」
「──というわけで着いたッスね、名古屋」
「東京から新幹線で1時間半。喋ったり硬いアイスに挑戦してたらあっという間だったな」
「結局食べられたのギリギリでしたねえ。じゃあこのまま水族館行くってことでいいッスか?」
「そうだな。名古屋って中京レース場行くのに通過したことあるけど、観光したことないからな。よろしく頼む」
「……大して何もないッスけどね。だから名古屋飛ばしとか言われるンスよ」
「自分の地元になんてことを。とりあえずロッカーにキャリーバッグ預けてくるから待っててくれ」
「はぁい」
─────
「……地味に遠くないか?」
「遠いって30分ぐらいじゃないッスか。中央のトレーナーにしては体貧弱じゃないッスか?」
「……鍛えるか。で、さっきあった“@NAGOYA”のオブジェって……」
「最近できたンスよねえ。“BE KOBE”のパクリじゃないンスか、知らないけど」
「おい……んなこと言ってる間に着いたな。すいません、大人1枚と高校生1枚で。はい、はい、ありがとうございます。じゃあ入るぞ」
「……ありがとうございます、トレーナーさん。自分の分ぐらい出したのに」
「せっかくカジツが案内してくれるのに出さない訳にいかないだろ。ほらカジツの分」
「……どうもッス」
「……地味に遠くないか?」
「遠いって30分ぐらいじゃないッスか。中央のトレーナーにしては体貧弱じゃないッスか?」
「……鍛えるか。で、さっきあった“@NAGOYA”のオブジェって……」
「最近できたンスよねえ。“BE KOBE”のパクリじゃないンスか、知らないけど」
「おい……んなこと言ってる間に着いたな。すいません、大人1枚と高校生1枚で。はい、はい、ありがとうございます。じゃあ入るぞ」
「……ありがとうございます、トレーナーさん。自分の分ぐらい出したのに」
「せっかくカジツが案内してくれるのに出さない訳にいかないだろ。ほらカジツの分」
「……どうもッス」
─────
「いきなりイルカとかシャチ見れるのか! あっ、近くにこれは……ベルーガか!」パシャパシャ
「子どもみたいッスよー、トレーナーさん。そんな水族館好きだったッスか?」
「もちろん好きだけど、初めての名古屋観光にカジツと来たんだから記念にたくさん撮っておきたくってな。せっかくだしベルーガ背景にして1枚撮るか?」
「……しょうがないッスねえ」
「はい、チーズ!」パシャ
「あとで送っておいてくださいね」
「オッケー。じゃあ次行こうか……はい」
「ん? トレーナーさん、この手は?」
「GWで人多いからはぐれないようにって思ったんだが。嫌なら袖だけでも掴んでくれると助かる」
「……嫌じゃないッス。手、拝借するッス」
「ありがとう。じゃあ行こうか」
「いきなりイルカとかシャチ見れるのか! あっ、近くにこれは……ベルーガか!」パシャパシャ
「子どもみたいッスよー、トレーナーさん。そんな水族館好きだったッスか?」
「もちろん好きだけど、初めての名古屋観光にカジツと来たんだから記念にたくさん撮っておきたくってな。せっかくだしベルーガ背景にして1枚撮るか?」
「……しょうがないッスねえ」
「はい、チーズ!」パシャ
「あとで送っておいてくださいね」
「オッケー。じゃあ次行こうか……はい」
「ん? トレーナーさん、この手は?」
「GWで人多いからはぐれないようにって思ったんだが。嫌なら袖だけでも掴んでくれると助かる」
「……嫌じゃないッス。手、拝借するッス」
「ありがとう。じゃあ行こうか」
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「──イルカショー楽しかったッスね。トレーナーさんが前で見ようって言った時はどうしようかと思ったッスけど」
「たまたま前空いてたから行ってみたけど水もう少しでかかりそうだったな。濡れたらせっかく綺麗な服着てくれたカジツに申し訳なかったよ」
「き、綺麗? ……気のせいじゃないッスか」
「だっていつもはラフな格好してるって」
「……そんなこと知らないッス。そうだ、お腹空いたんでランチ食べたいッス。水族館の中にレストランあるんで行きましょ行きましょ」
「行くからそんな手引っ張んなって!」
「──イルカショー楽しかったッスね。トレーナーさんが前で見ようって言った時はどうしようかと思ったッスけど」
「たまたま前空いてたから行ってみたけど水もう少しでかかりそうだったな。濡れたらせっかく綺麗な服着てくれたカジツに申し訳なかったよ」
「き、綺麗? ……気のせいじゃないッスか」
「だっていつもはラフな格好してるって」
「……そんなこと知らないッス。そうだ、お腹空いたんでランチ食べたいッス。水族館の中にレストランあるんで行きましょ行きましょ」
「行くからそんな手引っ張んなって!」
─────
「──というわけで半日水族館で過ごした訳ッスけどどうでした?」
「すっごい楽しかった! 流石人気スポットだなって思ったよ、案内してくれてありがとうな」
「いいッスよ、チケット代も出してくれたし、ランチも出してくれたッスし」
「そのランチ、カジツがハンバーガー頼んでこぼしそうになった時はどうしようかと思ったけどな」
「……っ! その話家でしちゃ駄目ッスからね!」
「はいはい。というか本当にいいのか、泊まらせてもらって。お姉さんや妹さんはいいのか?」
「お姉ちy……姉は遠征中ですし、妹は妹で研修仲間と過ごすって言ってて親しかいないから気にしなくていいッスよ」
「本当助かるよ。この恩はちゃんと返すから」
「(もう十分もらってるからいいのに……)期待してるッスよ」
「──というわけで半日水族館で過ごした訳ッスけどどうでした?」
「すっごい楽しかった! 流石人気スポットだなって思ったよ、案内してくれてありがとうな」
「いいッスよ、チケット代も出してくれたし、ランチも出してくれたッスし」
「そのランチ、カジツがハンバーガー頼んでこぼしそうになった時はどうしようかと思ったけどな」
「……っ! その話家でしちゃ駄目ッスからね!」
「はいはい。というか本当にいいのか、泊まらせてもらって。お姉さんや妹さんはいいのか?」
「お姉ちy……姉は遠征中ですし、妹は妹で研修仲間と過ごすって言ってて親しかいないから気にしなくていいッスよ」
「本当助かるよ。この恩はちゃんと返すから」
「(もう十分もらってるからいいのに……)期待してるッスよ」
─────
「ただいまー」
「おかえり……ってあら、カジツちゃんもう帰ってきたの? もっと夜遅くになると思ってたのに、ふふっ」
「何言ってるのお母さん。まだ私学生だから」
「……まあいいけど。で、そちらがトレーナーさん?」
「カジツのトレーナーをしております。数日間だけですがお邪魔させてもらいます。こちらお土産ですので皆さんで食べてください」
「わざわざいいのに……ありがとうございます。ささっ、上がって上がって」
「ただいまー」
「おかえり……ってあら、カジツちゃんもう帰ってきたの? もっと夜遅くになると思ってたのに、ふふっ」
「何言ってるのお母さん。まだ私学生だから」
「……まあいいけど。で、そちらがトレーナーさん?」
「カジツのトレーナーをしております。数日間だけですがお邪魔させてもらいます。こちらお土産ですので皆さんで食べてください」
「わざわざいいのに……ありがとうございます。ささっ、上がって上がって」
─────
「お風呂も入ったし、ご飯も食べたし、あとは寝るだけッスね……って、お母さん!? なんで和室に布団2つ並べてるの!?」
「だってアンタの部屋物置きにされてるから。服は出してあるから大丈夫よ」
「大丈夫って……あの2人の仕業ッスね。あとでメッセ送らないと」
「最初2人とも和室に通されたのはそういうことだったのか……」
「分かってると思うッスけど、ちゃんと布団離すッスよ!?」
「分かってるって!」
「……少し離してっと。じゃあもう遅いですし電気消すッスか?」
「明日もあるしな。おやすみ、カジツ」
「おやすみッス、トレーナーさん」
「お風呂も入ったし、ご飯も食べたし、あとは寝るだけッスね……って、お母さん!? なんで和室に布団2つ並べてるの!?」
「だってアンタの部屋物置きにされてるから。服は出してあるから大丈夫よ」
「大丈夫って……あの2人の仕業ッスね。あとでメッセ送らないと」
「最初2人とも和室に通されたのはそういうことだったのか……」
「分かってると思うッスけど、ちゃんと布団離すッスよ!?」
「分かってるって!」
「……少し離してっと。じゃあもう遅いですし電気消すッスか?」
「明日もあるしな。おやすみ、カジツ」
「おやすみッス、トレーナーさん」
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「……ねぇ、トレーナーさん。まだ起きてるッスか?」
「んんっ……まだ起きてるよ。眠れないのか?」
「そうとも言えるし、そうじゃないとも……とにかくトレーナーさん、いつもこんな自分を引っ張ってくれてありがとうッス。感謝してるッス」
「どうしたんだ急に」
「普段言えてないから、こんな時にしか言えないなと思って」
「そっか……こっちこそこんな自分の担当になってくれてありがとう、カジツ。これからもよろしくな」
「よろしくお願いするッス……じゃあおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
「……ねぇ、トレーナーさん。まだ起きてるッスか?」
「んんっ……まだ起きてるよ。眠れないのか?」
「そうとも言えるし、そうじゃないとも……とにかくトレーナーさん、いつもこんな自分を引っ張ってくれてありがとうッス。感謝してるッス」
「どうしたんだ急に」
「普段言えてないから、こんな時にしか言えないなと思って」
「そっか……こっちこそこんな自分の担当になってくれてありがとう、カジツ。これからもよろしくな」
「よろしくお願いするッス……じゃあおやすみなさい」
「ああ、おやすみ」
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「──で、一晩同じ部屋で寝たのに何もなかったと」
「あっ、当たり前でしょ!?」
「ウマ娘は度胸よ、度胸。レースでも大事でしょ?」
「大事だけどここで発揮することじゃないから!」
「まあこれからよね、これから……頑張るのよ!」
「そんな応援いらないし!」
「──で、一晩同じ部屋で寝たのに何もなかったと」
「あっ、当たり前でしょ!?」
「ウマ娘は度胸よ、度胸。レースでも大事でしょ?」
「大事だけどここで発揮することじゃないから!」
「まあこれからよね、これから……頑張るのよ!」
「そんな応援いらないし!」
─────
「──それでは3日間お世話になりました。しかも駅まで送ってもらって助かります」
「いえいえ、この子の学園のこと聞けて楽しかったわ。また来てくださいね」
「お邪魔でなければ是非。ではこれで失礼します」
「──それでは3日間お世話になりました。しかも駅まで送ってもらって助かります」
「いえいえ、この子の学園のこと聞けて楽しかったわ。また来てくださいね」
「お邪魔でなければ是非。ではこれで失礼します」
「……自分の母とずいぶん仲良くなったンスね」
「トレーニングのためだよ、トレーニングの。やっぱり一番カジツのこと分かってるのってお母さんだし、細かいことでも聞けることは聞いておきたかったから」
「まあいいッスけど……あっ、絶対周りに自分の家泊まったって言わないでくださいね!?」
「……既に担当の帰省に合わせて名古屋行くって言っちゃったんだよなあ……」
「……誰に?」
「カジツと同室のエスキモーのトレーナーに。彼は自分の帰省に担当連れて行くって言ってたな」
「絶対からかわれるじゃないッスか……」
「すまん!」
「……しばらくの間ラーメン食べ歩きに付き合ってくれたらいいッスよ」
「分かった、約束する」
「じゃあ許してあげるッス。あっ、電車来たみたいッスね、乗りましょ乗りましょ」
「それじゃあ帰るとするか!」
「トレーニングのためだよ、トレーニングの。やっぱり一番カジツのこと分かってるのってお母さんだし、細かいことでも聞けることは聞いておきたかったから」
「まあいいッスけど……あっ、絶対周りに自分の家泊まったって言わないでくださいね!?」
「……既に担当の帰省に合わせて名古屋行くって言っちゃったんだよなあ……」
「……誰に?」
「カジツと同室のエスキモーのトレーナーに。彼は自分の帰省に担当連れて行くって言ってたな」
「絶対からかわれるじゃないッスか……」
「すまん!」
「……しばらくの間ラーメン食べ歩きに付き合ってくれたらいいッスよ」
「分かった、約束する」
「じゃあ許してあげるッス。あっ、電車来たみたいッスね、乗りましょ乗りましょ」
「それじゃあ帰るとするか!」
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「──で、トレーナーさんとは何もなかったんですね。服頑張って選んであげたのに」
「ごめんなさいッス、エスキモーちゃん……って、謝ることッスかこれ!?」
「でもトレーナーさん褒めてくれたんですよね? それだけで十分ですよ」
「まあ、そうッスけど……」
「服褒めてくれて手を繋いでデートもできて、実家で同じ部屋で寝て……あともうひと押しですよ!」
「じっ、自分とトレーナーさんはそんな仲じゃないッスよ!!! というかエスキモーちゃんの方はどうだったンスか? トレーナーさんの実家に行ったンスよね」
「ですね。いろいろありましたし、もうこんな時間なんで今度まとめて話しますね」
「楽しみにしてるッス。おやすみなさい、エスキモーちゃん」
「おやすみなさい、カジっちゃん先輩」
「──で、トレーナーさんとは何もなかったんですね。服頑張って選んであげたのに」
「ごめんなさいッス、エスキモーちゃん……って、謝ることッスかこれ!?」
「でもトレーナーさん褒めてくれたんですよね? それだけで十分ですよ」
「まあ、そうッスけど……」
「服褒めてくれて手を繋いでデートもできて、実家で同じ部屋で寝て……あともうひと押しですよ!」
「じっ、自分とトレーナーさんはそんな仲じゃないッスよ!!! というかエスキモーちゃんの方はどうだったンスか? トレーナーさんの実家に行ったンスよね」
「ですね。いろいろありましたし、もうこんな時間なんで今度まとめて話しますね」
「楽しみにしてるッス。おやすみなさい、エスキモーちゃん」
「おやすみなさい、カジっちゃん先輩」