宗孝が不用意にも
島の外と“縁”を結んだ結果、
呆気なく黝ヶ淵の怨霊に呪殺された後……
偶然聞いた彼の妻と珠夜の会話から、珠夜が叔父の宗孝と
肉体関係を持っていたという事を知る啾蔵。
自分でも理解出来ない衝動に突き動かされ、珠夜本人を問い詰めるが――
「話をお聞きになっていたなら、わざわざ言い直す必要もないでしょう……私は、嘘は言いません」
そう言って啾蔵を見返す瞳には、疚しさの欠片もありはしなかった。
それと同時に、ほんの少し前まで呪殺業や軍神への生贄という一族が生き残る為の業を嫌っていた彼女が、
突然積極的に関わり出すことを望み始めた裏には、きっと二ツ栗珠夜が女としての大切なものを既に捧げていたからだったと思い至り。
「売女が……!」
気づけば、啾蔵は怒りのままに吐き捨てていた。
目の前にいる女性の顔が、もうこの世にはいない誰かのそれと重なっていくのを止められない。
師であり、愛した女が無力な子供であった自分を養っていくために行きずりの男たちに春を鬻いでいた過去。
忘れようのない苦渋の過去が、非情の呪術師の心を搔き乱す。
「文鳴、さん……?」
しかし、そんな事情など知る由もない珠夜は豹変した男の様子に困惑し……その美しい瞳に怯えが浮かんだ瞬間。
文鳴啾蔵は力任せに
二ツ栗珠夜の豊満な女体を執務室の机に組敷いていた。
スカートを捲られ下着を乱暴に破られ、秘所まで暴き出された珠夜の貌には、恥じらいと憤りと……
それ以上に戸惑いの感情がより強く浮かんでいた。
どうしてあなたは怒っているの。
相手が私だから。その怒りは私に対して。それとも自分に対して。
冷静に真意を見定めようとする珠夜を前に――襲い掛かった啾蔵は自らが深く動揺している事に気づき、また怒りを募らせる。
「……ここまでされて、怖くねえのか?」
「怖くない……わけではありません……」
その言葉通り、女当主の身体には緊張の震えがあったものの、啾蔵を拒もうとはしていなかった。
「これであなたの気がすむなら……構わないと思っているからです。
どうぞご存分に……私の身体をお使いになってください」
「あなたのことも、私は必要としていますから。手放すわけにはいかないのです」
ただ、珠夜を怯えさせてやろうとしただけのはずが……ここまで言われた今の啾蔵には引き返すことなどできなくなっていた。
「私は……この二ツ栗の家を守りたいだけです……」
その濡れた瞳が。感じながらも紡がれる言葉の一つ一つが。
文鳴啾蔵の心の深い部分にある“何か”を苛立たせ――結局怒りに任せ、令嬢の肉体を貪ることしか彼にはできなかった……
- 文鳴さんオラオラ言ってるが心の方は最後らへんしなしなである・・・(ある意味後の破滅の一歩 -- 名無しさん (2025-03-09 00:48:35)
最終更新:2025年03月09日 00:48