そして雪山とガイストはライトニングを放った
雷の呪文は壁を貫き、壁を破壊する
その先はどうやら地下牢のようだ
「何だ貴様らは!?」
ここから見えるのは布切れ一枚すら身につけていない四人の女性
そして下半身丸出しの肥った男が叫んだ
「く、くせもの!」
そう叫んで男は逃げ出していく
それを二人は逃すまいと追いかけ始めた
「これはこれは・・・どうしますか、雪山さん?」
ガイストは走り去っていく女性の後姿をまじまじと見ながら彼女に聞くが、答えはない
「雪山さん?」
もう一度、今度は振り返って聞き返す
見れば雪のように白く端正なはずの顔が真っ赤に染まっているではないか
「あ、あの〜・・・」
雪山は口を開きかけるが、ガイストは手で制した
「失礼しました」
彼はにやにやしながら前を向いた
「お前たち、何をしている!」
すると何人もの兵士がこちらへ向けて走ってくる
雪山はうつむいたまま呪文を唱え、ガイストもそれに続いた
「せーの!」
ボカーンと小気味の良い音と立てて扉が吹っ飛ぶ
目の前にはまばゆいばかりの高級な家具や絵画が並んでいる
豪華というより成金趣味と言った方が、この場合は正しい
目の前には驚きを隠しきれないといった様子の兵士数人と、その奥になぜか全裸の肥った男が見える
「醜い脂肪の塊が見えますわね・・・」
リードはそう苦々しげに呟く
もくせいは黙って二本の剣を抜き放つと、兵士を斬りつけ始めた
「あれが黒幕に違いないんだろうね。手荒になるけど、実力行使ってやつだよ」
ワッフルも盾と剣を構えて突っ込んでいった
「このロベルト・カーロン。兵士ごときに遅れは取りませぬぞ」
がちゃがちゃとプレートメイルを揺らしたロベルトも、手頃な兵士を吹き飛ばした
「ぎゃあー!」
雷撃が一角から放たれたかと思うと、黒焦げの兵士が地に伏していた
どうやら雪山とガイストが他の兵士を片付けたらしい
そうして数分もすると、残っているのは先ほどの女性たちと肥った男だけとなった
なんでも女性たちは奉公人に雇うと騙され、ずっとこの男にいいようにされていたらしい
六人は屋敷を出て衛兵に事情を話すとキンマン伯爵はすぐさま捕まり、死刑を宣告された
こうして三つの何気ない依頼は一つの大事件を解決し、オッキーナの平和は守られたのだった
ーENDー
最終更新:2008年05月08日 23:38