現代編/PL5人/4サイクル/特殊型
※上級者向け※

突如街中に現れた巨大な扉。その正体は全く不明である。誰が名づけたのか定かではないが、「津尽羽の扉」と呼ばれている。
比良坂機関は3人のシノビに対して、扉を封印する忍務を依頼した。その頃、それとは別に動いているシノビもまた3人。果たしてあの扉は何なのだろうか?

+ シナリオの導入やNPCのステータス(GM情報)

■一般情報

4サイクルのシナリオである。
PCは全員階級が大体揃っていればよいが、後述するバランス調整をしっかり行うこと。
流派については一部変更が難しいものもあるだろうが、上手くハンドアウトを書き換えれば推奨以外の流派でも対応できるはずだ。
NPC1とPC3は同性、それに対してPC5は異性にするのを推奨する。同性愛が発生してもよければ別に気にしなくてもよい。なおNPC1を男性にする場合はPC5の【本当の秘密】を一部書き換えるのを忘れないように。
注意点として、PC4に対しては「【使命】を達成できない」という前代未聞の【秘密】が配られることになる。これについては「【使命】を達成する方法はあるので安心してください」といったように個別で話しておいた方がトラブルが起きにくいだろう。

■特殊ルールについて

この下に折り畳んでいるのはPC、NPCが持つ【本当の秘密】である。詳しくはプライズ1の【秘密】を参照。そのように【秘密】が途中から丸ごと入れ替わるというギミックがこのシナリオの根幹で、それが好みでなければあまりお勧めしない。

以後の記述は全員の【使命】と【秘密】と【本当の秘密】を頭に入れてから読み進めて欲しい。

■導入

各々の【使命】を元にそれっぽく演出すればよい。
PC1、2、3はPC3の上司の設定があればそこから忍務を言い渡すといいだろう。PC4も同様に斜歯の上司から忍務を言い渡されればよい。PC5はもし同じ流派のNPCやPCがいれば、そこから扉に関する噂を聞いた風に演出するのがいいかもしれない。

■マスターシーン

サイクルの最後にNPC1が行動を行う。

まだプライズ2を誰にも渡していなければ、NPC1はまずPC5に対して感情判定を行う。RPを考慮してプラスの感情を取るのが適切そうならプラスの感情を取り、その場でプライズ2を渡そうとすること。受けとってもらえなければ、誰かにプライズ2を渡す、もしくはプライズ2が奪われるまで他のPCにそれを繰り返す。
感情判定の優先順位は5>4>2>1>3である(NPC1は御斎、3は比良坂なのであまり関わりたくない。5がハグレモノの場合仇敵ではあるが、個人的にハグレモノへの偏見がないものと考えて欲しい)。

誰かがプライズ2を手に入れたら、以降はランダムな対象に情報判定を行う(NPC1に感情判定した者が手数的に不利にならないようにするため)。

扉が開いている場合、NPC1の行動の後に対忍者ヘリコプターによるPC2への襲撃がある。この戦闘への乱入には通常通りPC2に感情を持っている必要がある(特殊な戦闘乱入を採用するならばしてもよい)。
攻撃の優先度は以下の通り。
PC2>自分に敵対的な行動をとったキャラクター>私立御斎学園>隠忍の血統>世界忍者連合>その他>比良坂機関
基本ルルブにある通り【ANM】による範囲攻撃を使えるが、世界忍者連合以上の優先度を持つキャラクターしか巻き込まない。逆にこちらに対し友好的な行動を取っているキャラクターがいる場合、優先度が高くても巻き込まないという選択をして問題ない。

また、単なるフレーバーなので必須ではないが、扉が開いていない場合、サイクル終了時にシークレットで1d6を振る。結果が1~5ならその番号のPC、6ならNPC1の【本当の秘密】に関わる描写を「あなた達は夢を見る。これは誰かの記憶」という体で全員に伝える(誰のものなのかは言わない方がきっと楽しい)。以下を参考。

PC1:そこには自分の家族がいた。ふと、自分の手を見ると、ずいぶん小さい。これは幼少の頃の記憶なのだろう。その時突然、あなたの両親が血を噴き出して倒れた。その後ろには黒装束の何者かの姿。それは目に留まらぬ速さで動き、彼らを連れ去っていった。あなたには、どうすることもできなかった。

PC2:あなたはある建物の中に立っている。そこがどこだったか、なぜ立っているのか、それは分からない。後ろにはとても重要なものがある、それだけは分かる。あなたはただ前を見据えて立っていた。しかし不意に眠気が襲う。薄れていく意識の中、何者かが建物に侵入してきた……。

PC3:幸せだった頃の記憶が脳裏をよぎる。あなたはそれを取り戻そうと走っている。彼(彼女)を追って。しかし忽然と彼(彼女)の姿が消えた。もう体力は限界のはずなのに、一体どんな力で?

PC4:いや、これは、記憶ではない。これはあなたの心、今の想い。あなたがいるべきはここではないのだ。もっと辛く、憎しみと悲しみが溢れ、しかしだからこそ、生きる甲斐がある。この「閉ざされた世界」を解放すること、それがあなたの望みである。

PC5:幸せだった頃の記憶が脳裏をよぎる。あなたはそれと決別するため走っている。後ろから追ってくるそれから逃げ切るのは、もはや不可能だろう。体力が限界を迎えたとき、あなたを助けてくれた存在がいた。

NPC1:いや、これは、記憶ではない。これはあなたの心、今の想い。何か大切なことを忘れているのだ。それは自分のそばにあったはず。忘れてはならなかったはず。取り戻したいと願っても、決して思い出せない……。それでも、思い出さなければ。

■バランス調整

基本的に1,2,3 VS 4,5,NPC1の戦いになる。しかしPC1は場合によっては全員を敵に回す選択をする可能性があることを考慮すると、2と3に強めのキャラが来るのが望ましい。ただし3は比良坂であり戦闘は不利なことが多いので、2の鞍馬が強くないと厳しいだろう。1も孤軍奮闘してもどうにかなるよう、やはり強いキャラが望ましい。
それぞれの使うキャラが決まったらNPC1の強さによってバランスを調整することになる。1と2が十分強いのであればNPC1もPC相当の強さにしてよい(中忍頭にしてもよい)が、そうでなければ支援的な忍法ばかりを取るなどして弱めに調整するのが適切だろう。参考程度に3通りのステータスを示しておく。

弱いもの(中忍)

大体中忍PCと似たような戦力だろうもの(中忍)

大体中忍頭PCと似たような戦力だろうもの(中忍頭)

■緊急事態

プライズ1の【秘密】が最後まで公開されないという事態が起きうる。
しかしPC2はプライズ1の【秘密】が得られなければ【使命】が達成できず、PC4は前述の通り元々【使命】を達成できないため色々な【秘密】を抜きに行こうとするはずなので、基本的にはどこかでプライズ1の【秘密】が公開されるはずである(最短1サイクルだが、2~3サイクル目を想定)。
それでももし最後まで公開されないようであれば……その時はGMが臨機応変に対応して欲しい。PC2と4が詰みの状態になるのを利用して、新たな使命表から敵対関係を再構築するようなものを指定して割り当ててもいいだろう。そういった場合、NPC1は無理にクライマックスフェイズに参加させなくてもよい。

■備考

●名前の由来
「津尽羽の扉」:現(うつつ)→つつう
「命遊の鍵」;夢(ゆめ)→めーゆー
案外バレないものだが、メタ推理を気にするなら名前を変えるのもいいだろう。

+ ※特殊ルール(GM情報)
※特殊ルール(GM情報)
【本当の秘密】リスト。詳しくはプライズ1の【秘密】を参照。

■PC1
+ 【本当の秘密】
【本当の秘密】
あなたは思い出した。
あなたは斜歯の忍者に一族を皆殺しにされている。しかしあなたが怨恨を抱くのは斜歯だけではない。忍者という存在そのものだ。すべての忍者を抹殺するため、修練を積んできた……ニンジャスレイヤーなのである。あなたは他のキャラクターに対して獲得している【感情】を、好きなタイミングで「殺意」に変更できる(この【本当の秘密】が失われた場合、元の【感情】に戻る)。
あなたの【本当の使命】は、クライマックスフェイズでただ一人の勝者となることだ。

■PC2
+ 【本当の秘密】
【本当の秘密】
あなたは思い出した。
あなたは「命遊の鍵」が盗まれたとき、その警備を任せられていた本人だ。その責任を問われ、比良坂機関上層部に命を狙われていた。そんな折に「津尽羽の扉」が開き、その不都合な事実がなかったことになったのである。しかし、扉が開かれている今、このままではあなたは比良坂機関の追手に殺されてしまう。
あなたの【本当の使命】は、「津尽羽の扉」を閉ざして封印することだ。

特殊効果:追手が動き出したようだ。各サイクル終了時、あなたはエネミー「対忍者ヘリコプター」から戦闘を仕掛けられる(このエネミーに【秘密】や【居所】はなく、クライマックスフェイズには参加しない。この戦闘はそのサイクルのマスターシーンであるとして扱う)。

■PC3
+ 【本当の秘密】
【本当の秘密】
あなたは思い出した。
PC5と以前交際していたのだ。しかし浮雲紫は浮気をした。許されざる行いに報いを与えるため、あなたは周到に準備していたのだった。
あなたの【本当の使命】は、クライマックスフェイズにPC5を自分の手で倒すことだ(【生命力】を0にしなくてはならない)。

■PC4
+ 【本当の秘密】
【本当の秘密】
あなたは、ぬるま湯の虚構の中で生きることに著しい嫌悪感を覚えている。
あなたの【本当の使命】は、「津尽羽の扉」を開いた状態で破壊することだ。

■PC5
+ 【本当の秘密】
【本当の秘密】
あなたは思い出した。
PC3と以前交際していたのだ。しかしいざ付き合ってみるとPC3は恐ろしい性格であり、命からがら逃げ出したところを他のクノイチ――NPC1に助けられ、恋に落ちたのだった。これを見た時点であなたはPC3に対して好きなマイナスの感情を結び、NPC1に「愛情」の感情を結ぶ。
あなたの【本当の使命】は、クライマックスフェイズにPC3を脱落させることだ。

特殊効果:あなたが一度でもこの【秘密】を見た場合、「津尽羽の扉」が閉じていたら【使命】を達成することはできない。特例として、この効果は「津尽羽の扉」が閉じていても失われない。

■NPC1
+ 【本当の秘密】
【本当の秘密】
あなたは御斎学園上層部に命じられ、比良坂機関が管理していた「命遊の鍵」を盗み出した張本人だ。
しかし何かの拍子に封印が解かれてしまい、「津尽羽の扉」が出現し、記憶を失っていたのである。
が、そんなことはもはやどうでもよく、実はあなたはPC5と愛し合っている。あなたはPC5に「愛情」の感情を結ぶ。
あなたの【本当の使命】は、PC5の【使命】または【本当の使命】を達成させることだ。


■PC1(鞍馬推奨)

【使命】
あなたは鞍馬神流の忍者として、PC2,PC3と共に比良坂機関から合同忍務を受けた。
高い戦闘能力をもつあなたとPC2で、邪魔者を排除するよう命じられている。
あなたの【使命】は、「津尽羽の扉」を封印することだ。
+ 【秘密】
【秘密】(バヨネット推奨)
あなたは鞍馬神流の中でも爪弾き者だ。所属流派内に心を許せる仲間が少ないあなたは、この合同忍務を機に他流派の忍者と親睦を深めたいと思っている。
あなたの【本当の使命】は、シナリオ終了時に3人以上のキャラクターに対してプラスの感情を獲得していることだ(シナリオ終了時にそれらのキャラクターが生存していなければならない)。

■PC2(鞍馬推奨)

【使命】
あなたは、PC1、PC3と共に、比良坂機関から合同忍務を受けた。
高い戦闘能力をもつあなたとPC1で、邪魔者を排除するよう命じられている。
あなたの【使命】は、「津尽羽の扉」を封印することだ。
+ 【秘密】
【秘密】
あなたは「津尽羽の扉」と深く関係する、「命遊の鍵」と呼ばれるプライズをNPC1が持っていることを知っている。しかし、なぜ自分がそれを知っているのかを思い出せない。

■PC3(比良坂推奨)

【使命】
あなたは、PC1,PC2と共に比良坂機関から合同忍務を受けた。
情報収集に秀でたあなたは、今回の任務では他の2人を情報面でサポートするよう命じられている。
あなたの【使命】は、「津尽羽の扉」について情報を集めることだ。
+ 【秘密】
【秘密】
あなたは古くからの友人であるPC5に密かな恋心を寄せている。あなたは好きなタイミングでPC5に 「愛情」の感情を獲得できる(何度でも行える)。
あなたの【本当の使命】は、PC5と互いに「愛情」の感情を結ぶことだ。

■PC4(斜歯推奨)

【使命】
あなたは斜歯忍軍の上層部から、「津尽羽の扉」のデータを取ってくるよう任務を受けた。
あなたの【使命】は、「津尽羽の扉」について情報を集めることだ。
+ 【秘密】
【秘密】
「津尽羽の扉」のデータは、取ることができそうにない。どのように観測しても、なぜか保存したデータがすぐに消えてしまうのだ。
あなたは、【使命】を達成することができない。


■PC5(ハグレまたは隠忍推奨)

【使命】
あなたは自らの持つ情報網から、「津尽羽の扉」についての噂を聞いた。
自分の力にできるものかもしれないが、おそらく比良坂機関も動いているだろう。比良坂機関の流派混合部隊よりも先に、確実な情報を手に入れることが必要だ。
あなたの【使命】は、「津尽羽の扉」について情報を集めることだ。
+ 【秘密】
【秘密】
あなたは古くからの友人であるPC3に密かな恋心を寄せている。あなたは好きなタイミングでPC3への感情を「愛情」に変更できる(何度でも行える)。
あなたの【本当の使命】は、PC3と互いに「愛情」の感情を結ぶことだ。

■NPC1 矢野青葉(御斎)

【使命】
あなたは御斎学園の忍者だ。上層部から、今回の事件について調査を命じられている。
あなたの【使命】は、「津尽羽の扉」について情報を集めることだ。
+ 【秘密】
【秘密】
あなたはいつの間にか、プライズ「命遊の鍵」を持っていた。
気味の悪いこの鍵は、持っていると大変なことになるような気もするし、かといって手放すのも何か危険な気がしている。
あなたは信頼できる人に、このプライズを渡したいと思っている。
あなたは自分がプラスの感情を持っている人に対して、「命遊の鍵」を渡そうとする。

■プライズ1「津尽羽の扉」(ツツウノトビラ)

【概要】
突如、街の中心に出現した謎の扉。現在は各流派が隠蔽工作をすることで一般人の目には触れないようになっている。
プライズ2「命遊の鍵」の所持者がこのプライズに対して情報判定を行うことで、このプライズの【秘密】が公開される。
+ 【秘密】
【秘密】
※拡散情報。誰かがこの【秘密】を獲得した場合、全体に公開される。

扉は開いた。その瞬間、消え失せた。いや、元から扉など存在していなかったのかもしれない。

この扉は、現実のあらゆる不都合をその内部に取り込み、封印するものだ。
扉が閉ざされている間、都合の悪い現実は全て世界から忘れられ、あらゆる人間が無知で幸福な夢の中に生きることができる。

この扉が開いている場合、あるいは開いた状態で破壊された場合、全てのキャラクターの【秘密】はそれぞれに割り当てられた【本当の秘密】に置き換えられる(あるキャラクターの【秘密】を既に知っている者は、そのキャラクターの【本当の秘密】も知ることができる)。

プライズ2「命遊の鍵」をクライマックスフェイズ終了時に所持している者は、開いた状態の扉を再び出現させることができる。そして、それを閉ざして永久に封印するか、鍵ごと扉を破壊するかを選択することができる。

■プライズ2「命遊の鍵」(メイユウノカギ)

【概要】
全てを閉ざすと言われる「津尽羽の扉」を開け閉めできる鍵。
このプライズを手に入れた者は、このプライズの【秘密】を獲得する(情報共有は発生する)。
+ 【秘密】
【秘密】
「津尽羽の扉」の【秘密】が公開されると、扉は開く。
扉が開いたとき、隠されていた真実が明らかとなる。


+ プライズ3

■プライズ3「対忍者砲」

【概要】
このプライズに【秘密】は存在しない。このプライズを所有しているキャラクターは、その間忍法【対忍者砲】を修得する。
【対忍者砲】
攻撃忍法/間合2/コストなし
指定特技:砲術
射撃戦。この忍法は、間合い1以下の忍者のキャラクターを目標に選んだ場合、命中判定が自動的に成功する(スペシャルではない。達成値が必要な場合は10になる)。攻撃が成功すると、目標に射撃戦ダメージを1点与えることができる。


+ エネミー

■エネミー「対忍者ヘリコプター」

基本ルルブ180P準拠。ただし、プライズ3「対忍者砲」を所持している。
最終更新:2017年01月21日 20:54