ジョルジュ・バタイユ(1897年9月10日 - 1962年7月9日)は、フランスの作家・思想家。文学、哲学、人類学、宗教研究、経済思想にまたがる横断的著作によって20世紀思想に特異な位置を占める。理性中心主義や観念的超越を批判し、低俗、エロティシズム、死、犠牲、浪費といった主題を通じて人間存在の極限を探究した。

若年期にカトリック神秘思想へ傾倒したのち、無神論へ転じる。1920年代末には雑誌『ドキュマン』を中心に活動し、当時のシュルレアリスムを主導していたアンドレ・ブルトンと激しく対立した。ブルトンが詩的上昇や精神的統合を志向したのに対し、バタイユは物質的・身体的・腐敗的なものに人間の真実を見る立場をとった。
代表作『眼球譚』は、禁忌と侵犯を描く小説として知られ、エロティシズムと死の結合を象徴的に示す作品である。思想的主著『呪われた部分』では、生産と蓄積を重視する経済観に対抗し、「過剰なエネルギーの浪費」こそが社会の本質であるとする一般経済学を構想した。祭儀、犠牲、祝祭といった非合理的行為を人類学的・哲学的に再解釈し、社会の基底にある暴力と神聖を分析した。
その思想は構造主義以降のフランス思想、とりわけミシェル・フーコーやジャック・デリダに影響を与えた。文学と哲学の境界を横断しながら、理性の外部に位置する経験を理論化しようとした思想家として評価されている。