― 5年前・幻影の巨塔・第100層 ―
エリノラ「―――――………みんな…ついに、ここまで来たね……!(5年前の懐古の記憶が蘇る。まだこの幻影の巨塔が、人の手を加えられていない神秘の領域だった頃の物語。"白い髪"を伸ばした案内人の少女を筆頭に、歴戦の戦士たちが最後の階層へと踏み込んだ。長く険しい戦いを経て、ついに念願の天辺まで到達したのだ――――) 」
十津川「┣¨ ┣¨ ┣¨┣¨ ┣¨ ┣¨ ・・・ 俺は来た、見た、勝った・・・ ! 約束通りこの俺を生き返らせろよォォォォ・・・・(してない) 」
シルダッタ「途方もなく…だけども須臾のように過ぎ去っていったような感覚。この世で一番世界の広さがよく見える場所まで来たんだな、俺たちは 」
覚醒ノア「方舟はついに天界へ… "救済"の日は近いわ。 」
圧倒的問題児男子高校生「(ここまできたら)もう受かる気しかしねええぜえええええええええええええ!!!!!俺は~~~~~~やるぜ~~~~~~~~~~!絶対受かってみせるぞおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!ほわっ!!!!!ほわあああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!! 」
マーク「さぁて…最後のステージだ。強ぇ奴らを退けるのに一苦労したが……ゴールはすぐ目の前だぜ。 」
シーヴァ中将「ヴェアッハッハッハアッ!!!ワシからすればまだまだ物足りんわい!!毎日エントランスで軍艦十隻を鎮めてきたワシには足飯前のことじゃあ!!!(※後の5年後も中将をやっている陸軍老犬) 」
ケビン「大なり小なり、善悪関係なく生き方は自分に帰る。少なくとも、後悔なく追われるよう歩いてきたつもりだ。後は祈ろうぜ、互いの健闘に 」
■■「 ゴホッ ゴホッ……(黒のローブを纏い、ブーニーハットを深く被った大柄の男が咳き込んで片膝を付く) クカカカ……『之』ばかりは案内人の助力合ってもどうにもならんか。残念だ…… だが同時に誇らしい。貴様達のような戦士の歩みを、否さ"飛翔"を見届けられたこと。 惜しむべくは『皆』で凱旋とはゆかなかったことぐらいか 」
霞「……幻には会えた、でもあれは”私の知る幻”ではなかった。だから、今度こそ……本当の、私の知る幻に会うんだ。(己の刃、己の身体、全てに抜かりがないように確認する) 」
隻腕の男「…………………(肩まで機械仕掛の右腕を露わにした大柄の男性は攻略組の最後列にてただ黙して佇んでいた) 」
何度も死線を越えてきた。とはいっても、この巨塔に囚われている限り、私たちの肉体が滅びることはなかったけど。
その理由も割らないまま、ただ与えられた唯一にして無限の挑戦権を持つ私たちは、挑み続けてきた。何度敗れようと。
何度殺されようと。その度に這い上がって、やっと…やっとここまで来たんだって。
最後に目指していた頂上は、とてつもなく強い敵が待ち構えているのかもしれない。
そう身構えていたのだけど―――――
コォ…ン…… コォ……ン……――――――(彼らを待ち受けていたのは、幻影でも、巨塔を守る使者でもない。その奥に鎮座するように浮かんでいた人間サイズのクリスタル体。不思議な音を鳴らすその結晶体が静かに、ゆっくりと回り出す。そして誰もが驚愕する。その結晶に囚われれていた『存在』に。何故ならそれは――――――)
エリノラ?『 ――――――――― (もう一人の、『エリノラ』だったのだから) 』
エリノラ「 ぇ ―――――――――――――― ? 」
それは映し鏡みたいだった。白と黒が反転し合うものじゃない。
白と白をそっくりそのまま写し合っている。
姿形、服装、顔の形から何もかも。
文字通りの『もう一人のエリノラちゃん』が、そこにいたんだ―――――
エリノラ「 ……これ、て……どういう…こt――――――――――は ぐッ…ゥ……!? (写し鏡の様に存在する『もう一人の自分』の姿をその目にした直後、少女の頭蓋を叩き割るような激痛が脳裏に響き渡り、霞の傍で蹲ってしまう) 」
マーク「エリノラが……二人……!?お、おい…何がどうなってやがる……? 」
十津川「・・・・・・・エリノラァ・・・・・まさかよぉ・・・生き別れの姉妹を助けるために俺たちを導いてきたんじゃねえだろうなぁ・・・・・?て、おい・・・・! 」
覚醒ノア「…………(これまで何度か、エリノラの様子がおかしかったことは多々あった。だけど本人はその原因を知る由はなかった…。思い出したくても思い出せないジレンマに苛まれて… まさか……) 」
霞「大丈夫、エリノラ?……あれは、一体……(異様な状況、異様な様子、ピリついた空気に何が起こるか気を配りながらもエリノラの身を案じる)……もう何があっても驚かないつもりだったけど、流石にこれは、どうしたらいいかな。 」
隻腕の男「………―――――――― "ようやく"か (ここまでの同行で寡黙を押し貫いていた謎の男が意味深に口火を切ると共に、最後列から最前列へ、そして歩みを止めることなく、結晶体に囚われた「もう一人の案内人」の眼前まで歩み寄る) 」
エリノラ「ぁ……あ゛…っ……?っ……あ……!(霞に抱えられながら苛まれる頭痛に必死に抗う) 」
シルダッタ「………?(隻腕の男の異様な行動に眉を顰める) 」
隻腕の男「 ここまでよく務めを果たしたものだ ご苦労だったな、『エリノラ』 (踵を返した先に向けられた視線は、蹲っている方のエリノラだった) 」
シルダッタ「……アンタ…いったい何者なんだ。今の発言はどういう意味だ。(立体起動装置に内蔵された超硬質ブレードの柄に手をかける) 」
エリノラ「はぁ…ハァ……ア……!ぁ゛……っはぁ……!(呼吸が、鼓動が、次第に乱れていく――――) 」
ケビン「そういや一度も互いの願いを確認したことがなかった顔が幾つかあったな。あったもその口だったか……(制すようにして槍をエリノラの前に突き出し、隻腕の男と対峙する) 」
隻腕の男「……おめでたい奴らだ。ここまで何も知らず、この『塔』を登ってきたのか。所詮は知性の欠片もない愚民共。やはり俺意外に知る術を持つ者はいなかったか。だが、それもすべて…1000年前から決定づけられていた運命故か。 」
マーク「……何を寝言ほざいてやがる…?まだ日は登ったばかりだぜ。昼寝にしちゃあまだ早すぎだろうよ。 」
■■「いつから、そう問うも今や滑稽か……こういった事柄にはどの世界でも相対するものとは……(よろめきながら立ち上がり、エリノラの異変に動じないどころか、それ自体が必然、望ましい結果であるような口ぶりの男を前に拳を置き、身構える) 」
隻腕の男「……「願い」…?ああ、そうだったな。お前たち誰も彼もが口を揃えて「そんなもの」に縋っていたか。エリノラ、お前にしては粋な計らいだな。"撒き餌"にしては十分な口実だ。………貴様等に真実を告げてやろう。この『塔』に、"願いを叶える術など初めから存在しない"。貴様等はただ、俺の掌の上で踊らされていただけに過ぎない。 」
十津川「おっさんよぉ・・・・・アンタ・・・・・・頭イカレ〇ンポ野郎だったかぁ・・・・・そっかぁ・・・・まー歳食ったらみぃんなイカちまうよなぁ・・・・ 」
エリノラ「はぁ……はぁ……ッ……!ち、が……わた、しは……こんな、の……知らな……あ゛……! 」
霞「……信じてはいたよ、多少はね。事実"幻には再会はできた"ね、そういう意味じゃ強ち間違いじゃなかったみたいだけど。(両手の刃を握る手が強まる)……で、だから何かな。ここまで来た時点で、その目的はただの手段でしかないよ。今更投げ出してさようならって言うほど薄情にはなれない。……でも、何がここまで彼女を苦しめている訳?愚かだって理解している程度にご聡明だというなら、どうせならそこまでちゃんと講釈垂れて欲しいね。 」
ケビン「攻略者である俺達と同行していたのは監視……いや、進捗管理って言ったほうが適切か? あんたのゴールを何処に設定しているかは知らんが、なるほどよく出来た"プロデュース"だ。確かにお陰様で、ここまでは運んでもらえた、あと一歩で100層踏破だもんな?(矛先を明確に隻腕の男へ変える。彼の中で確かなことは二つ、この男が敵ということ。 エリノラと接触させてはならないということ。 この二つを遂行するという点だけでも、再起不能にさせるには充分な理由だった) 処遇は他の連中に任せる、粗方くっちゃべってくれたら後は動けなくする。構わねえか、皆は 」
隻腕の男「貴様等が信頼を置いていたそこの『エリノラ』は―――――"幻影"だ。ここに囚われているのが、『本物』だ。(クリスタルの内部に囚われた少女に視線を促す) 」
隻腕の男「1000年前も昔から…既に始まっていたのだ 『 ロギア 』を巡る俺とエリノラの拮抗が――――― 」
私たちと同行していた得体の知れないその男は、淡々と真相を語り始めた。そして私たちは全てを知った。
エリノラちゃんの正体が、ある時天から舞い降りてきた『ロギア』という災害を鎮めるための巫女だったことを。
件の男が、その力を解放しようとエリノラちゃんに迫ったことを。
そして…エリノラちゃんの中に眠る不思議な多力が男を拒絶し、
防衛機構としてこの幻影の巨塔が誕生したこと―――――
森ノ宮「………結局のとこ、そういう形で繋がりがあったって訳だ、俺たちは…………しかしまあ、大層な計画だ。気が遠くなっちまう 」
隻腕の男「だが俺はエリノラに拒絶される直前、その記憶に干渉することに成功した。幻影の巨塔としての見込まれたエリノラ本人の記憶を外部から操作し、分子体である"幻影"を生み出させた。そうすることでエリノラとのコネクトを創り出し、その力を奪還しようと狙った。だが…エリノラの強い拒否威反応が、"幻影"すらも外部へ出そうとしなかった。以来1000年もの間、幻影の巨塔はこの世界から完全に隔絶した。 」
隻腕の男「しかし諦めはしなかった。1000年以上の長い年月を経て幻影の巨塔を調査・研究した俺は、ある仮説に至った。この世界に生まれ、あるいは導かれし者たちに流れる"混沌"が、幻影の巨塔の拒否反応を脆弱化させられるのではないか、と。『塔』に人が舞いこめば舞い込むほど、"混沌"は飽和し…この堅牢な"幻影"は綻びを見せる。 」
隻腕の男「目論見通り、『塔』に群がる者たちによって、ついに入り口が開かれることとなった。完全な記憶の掌握に至れなかった"幻影体"が、生前のエリノラの善意を取り戻し、外部の人間を巨塔へ招き入れるために『塔』を開いたのだ。 そうして次第に、後に攻略組と呼ばれる連中共がのさばり…幻影の巨塔はあらゆる存在を受け入れるようになってしまった。俺が攻略の最中から貴様等に干渉したのは、その拒絶がはじめて中和された瞬間だ。 」
隻腕の男「以降、自らの身分を偽り俺は攻略組のメンバーの一人として貴様等に同行した。次々と阻んでくる幻影共は、侵入者であるお前たちからエリノラ本人を守るために生み出されたのだ。それはあくまでエリノラの意思が生み出した存在…そこに殺意も敵意もない。だが、俺は例外だった。エリノラから唯一拒絶された存在である俺の体には、貴様等とは違い不死の力を宿す『廻属性クリスタル』の加護を受けられなかった。(全身のいたるところに刻まれた傷は、その由縁なのだろう―――) 」
隻腕の男「だが、そこの"幻影"は徹頭徹尾「案内人」としての役目を全うした。『幻影の巨塔』に唯一拒絶された存在である『この俺』を、天辺まで導くために。道中に現れた巨塔の使者共はエリノラの記憶を呼び覚ませようと説得を試みたが、無駄だ。所詮は"幻影"。俺の操り人形に余計なことをする輩には、直接断罪したこともあったか―――― 」
― 第88層・回想 ―
オーダー「(冒険者たちを見据える)……来たね、招かれざる客たち。(険しい顔を皆に向ける)―――――――やってきて早々だが、みんな聞いてくれ。提案、いや。恥を忍んで頼みがある。 」
オーダー「―――――(ゆっくりと両膝をつき、目を伏せて頭を垂れる)――――――この塔から手を引いてくれ。 」
エリノラ「なっ…何を言って、そんなこと出来るわけないじゃない!エントランスに戻ることもできないし、脱出する方法もないのに!一生この塔に閉じ籠もって過ごせっていうの!!? 」
オーダー「(やっぱり、"全て忘れてしまっている"んだな…エリノラ…)……みんな、言いたいことはわかるよ…だけど仕方ないことなんだ。君たちが歩みを進める度に【ロギア】が迫ってきている。これ以上は本当にまずい……千年前はよかったが、今度こそ終わる。(オーダーの言う『終わり』が何を指すのかは不明だが、頬に汗を垂らし、切羽詰まった表情が緩むことはない) 」
エリノラ「…終わ、る…?ッ、づぁッ……!?(―――キィ イ ィィ ン)(激しい頭痛が走る)…ハァ、ハァッ………無理よ、私しか居ないのなら手を引いていた…けれど、"もう私だけではないもの"。皆をこの塔に閉じ込めておくなんて出来ないわ。…そのアナタは言うロギアがやってきたって、きっと皆なら何とかしてくれる。そう、信じられるの。 」
オーダー「……このわからず屋。わかった、わかったよ。…君たちがそのつもりなら力尽くで止める。さあ、踊ろう―――――――――― よ う こ そ 、 幻 の 舞 踏 場 へ 。(四肢が強力な風に覆われる。その反動でフィールド全体を揺るがす突風を巻き起こし、真白の羽根が幻想的に舞い散る) 」
オーダー「……完敗、だ…畜生……ッ――――。(フードを被っていて素顔が見えない特大剣使いの男の素顔が見え、瞳を縮小させる)…はぁ、ハァッ……ハハッ―――――――くっ…はっはははっ…!アハハハハハハハハハハハハハ!!!終わりだよ!!【ロギア】は必ずやってくるぞ!!もう全部おしまいだッッ!!!俺が最後の秩序(オーダー)だったんだ!!もう何もかも止まらない、その男は―――― 」
特大剣使いの男「――――――――――――ザン ッッ!!!!!(オーダーを両断する) 」
隻腕の男「―――……そして、ようやく、ここまで辿り着いた。我が望みは、それは『 この世のことごとく、一切の浄化 』。その為だけに1000年もの間、その悲願を実現させられる大いなる力に固執し続けてきた。『 ロギア 』が、我が望みを成就させる。 」
隻腕の男「『ロギア』はこの世界を浄化するだけの強大な力を有する。だがその力は1000年前にエリノラの中へ封じられた。俺は…その封を解くための"『鍵』そのもの"だ。俺がエリノラに触れることで、『ロギア』は世に解き放たれる。そして…目覚めるのだ… ロギアの中に眠る古の神竜――――『 バハムート 』が ! 」
隻腕の男「バハムートは世界を焼き滅ぼす。それですべてが終わる。現も幻も悉く業火に呑み込み、この不浄たる穢れた世界は終焉を迎えるのだ。 」
マーク「…………くだらねえ… さっきから黙って聞いていりゃあ、眠くなるような寝言ばかりほざきやがって…! 」
シルダッタ「穏やかな事じゃないな。幼気な少女がその身を張って守ろうとした世界だ。それを、独善的な意思で滅ぼしていいわけがない。 」
覚醒ノア「貴方は、知性なき者たちが蔓延る世に憂いていた… だから世界を浄化する。でもそれは"救済"なんかじゃない。"諦め"よ。世界に対し絶望した由縁は知る由もないけれど、貴方はただすべてを諦めていただけ。彼女を御し、人々を弄び、挙句の果てに他者の言葉に耳を傾けず破滅の道に走る。1000年の孤独に囚われていた亡者よ。 」
圧倒的問題児男子高校生「意味わかんねえええええぜええええええええええええええええええええ!!!大学受かるために勉強おおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおしてた俺の方がすげえええええええええええぜえええええええええええええええ!!!!!!!! 」
森ノ宮「さぞや醜い世の中を見て来たんだろうが、その大層な力と長い時間使って結論が"汚ぇから焼き尽くす"か。つまらねえ考え方だな……先に手前の目玉を浄化した方が良さそうだ 」
霞「千年の孤独。……"千年ぽっち"で、そんな結論に至ったんだ。馬鹿みたい、無理心中なら世界と一緒じゃなくて御一人様でしてほしいかな。(心底、その言葉からはただ呆れが滲む)千年。私はそれと同じ時で、それ以上の時も重ねてより強く"いつかの再会"を夢見た。私は貴方みたいに過去を憂いるのではなく、未来へ夢を見るよ。 」
ケビン「心からの決定はその者の秩序だ、それは俺に課してきたことだし、あんたのそれを否定する気はねえよ。だからシンプルに行こうぜ。 俺が生きるために、お前の夢を砕く。 それだけが、納得できる結論だ 」
■■「―――――総意は出たな。ここに『至れなかった』者もまた、同じ解を得るだろう。俺が物言わぬ剣なれば、刃なき故に倒れたものの意を斬撃とするもまた一興。 」
隻腕の男「…………やはり愚民共との討論は不毛だ。穢れし
ケイオスの民の末路は既に決定づけられている。 どれだけの強い言葉・意思を以てしても俺の野心を止められない。今…終わりにしてやる―――――(そう告げると背後に浮かぶ結晶体へと振り返り、その表面に触れようとする―――――) 」
エリノラ「――――――――――― パ チ (――――しかし 千年の孤独に囚われていた少女が、前触れもなく開眼したのだった) 」
隻腕の男「 ! ! ? 」
エリノラ「 パ リ ィ ィ ィ ―――――――――― ン … ッ … … ! (覚醒と共に結晶が砕け、落ちる残滓と共に床に足を付けた)……………(そして、唖然と立ち尽くす男を悠然とした足取りで横切ると…目の前で蹲る『もう一人の自分』のもとへと歩み寄り、同じ目線になるように自らもその身を屈める) 」
エリノラ「…………ありがとう、『エリノラ』。あなたのお陰で、私は、『あなた』でいられた。ずっと…思い出せなくて、辛かったね。ひとりにさせちゃって、ごめんね。(優しい声音をかけて、"幻影"をそっと抱きしめる) 」
エリノラ"幻影"「――――――― ! (『自分』に抱きしめられた少女の中で、何かが弾けた。それは苦痛であり、責務であり、孤独でもあった)……ぁ………ぁぁ………っ……(そして最後に絞り出されるのは、結晶のように輝く蒼い涙だった――――) 」
エリノラ「ずっと、見ていたよ。あなたのことも、みんなのことも。この塔の天辺から。多くの戦いで、たくさんの願いや覚悟を見てきたんだ。そのどれもがかけがえのない程に輝いていて、いつまでもずっと、ずっと、大切であってほしいと思った。そんなみんなのことを最後まで導いてきたのは…誰かの意思によるものじゃない。あなた《エリノラ》の意思なんだよ?」
エリノラ「みんなが、
「あなた」を愛してくれた。それは私も嬉しい。私の千年の孤独を埋めてくれた大切な人たちとの絆を、代わりに育んでくれた。でも、もう大丈夫だからね。
「あなた」は私で、「私」はあなた。もう、独りじゃない。 」
エリノラ「 これからは一緒だよ 」
エリノラ"幻影"「 う゛ ん゛ っ 」
互いに手を取り合った二人の少女の体が眩い光に包まれて、その影が一つになる―――――――――
エリノラ「――――――――(二人の少女は、正真正銘『エリノラ』となった。だけど何も変わりはしない。何故ならばずっと傍で見守ってきたのだから。この巨塔を登ってきた者たちを、その戦いを、この物語を――――――) 」
エリノラ「――――――― みんな、ごめんね。もう、大丈夫。私は…『わたし《エリノラ》』だから (陰りの無い笑顔が彼・彼女たちを照らす) 」
十津川「・・・・・ああ、見りゃあわかるよ。(フッ、と鼻を鳴らす) 」
シルダッタ「本物だろうと、幻影だろうと、そんなことは関係ないんだ。俺たちがよく知る『エリノラ』は、いつだって傍にいたんだからな。(柔和な笑みを零す) 」
覚醒ノア「私たちは何度もあなたに救われてきた。そして、それはこれからも。(受け入れるような眼差しに口元を綻ばせる) 」
圧倒的問題児男子高校生「エリノラいやっふううううううううううううおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおお!!!!!!!!!!!!!!(喜びのあまりハイテンションでジャンプする) 」
ケビン「終わりから帰路を発つまで見送るのも案内人の努めだ。最後までしっかり頼むぜ、エリノラ 」
森ノ宮「………帰り道の案内までしてもらわなきゃならんし、それに…………ここまで来たんだ、終わりまで付き合ってやらないと、待ってる連中に合わせる顔がねえよ 」
霞「本物だとか、偽物だとか、そんなのはどうだっていい。そこに心があって考えているなら、あなたはあなただよ、エリノラ。(或いはそれは、己にさえ向けた言葉か。真っ直ぐな瞳でエリノラを見つめる) 」
隻腕の男「………そうか…はじめから…いや……1000年前のあの日から、ずっと…目覚めたままだったのか。 」
隻腕の男「…………だがッ!もう遅い。先程も言ったように、俺が触れることによって、エリノラに封じられた『ロギア』が解き放たれると。だがもはや触れる必要などない。こうして手の届く範囲に至った時点で―――― 」
隻腕の男 → 特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「―――― 『鍵』はその役目を発揮するッ!! ( ズ オ ゥ ッ ! ! )(その背に帯びた代名詞の『特大剣』を振り抜き、その切っ先を天高く突き上げた) 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「 はじめよう ―――――――― 終 わ り の 始 ま り を 」
ギ ュ゛ オ゛ ッ゛ ! ! (男が突き上げた剣の先…その遥か天蓋にて、『巨大な影』がその姿を現す。何重もの電脳物質層が重なってできた『 黒い繭 』のような巨大物体が、徐々にその表面温度を活性化させて太陽の如き超高熱を帯びていく―――――)
バ ギ ッ゛ … ビ キ ゙ ン゛ ッ゛ … … ―――――― バ ギ バ ギ ボ ギ ビ ギ バ ギ ボ ギ ャ゛ ァ゛ ア ゛ ア゛ ッ゛ ! ! ! ! (そして、『太陽』が盛大に爆ぜる。溢れ出す外殻の残骸は流星群の如く降り注ぎ…その内部に封じられていた災の祖が、ついに姿を現す――――――)
バハムート「 グ グ グ グ グ グ ッ ―――――――― ┣¨ ギ ュ゛ オ゛ ア゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! (―――――沸々と煮えたぎる超高温度の熱を帯びた漆黒の神竜として) 」
マーク「――――――ッ!?(爆誕する神竜に度肝を抜かれる)……まさか…『こいつ』がその……ッ…! 」
シルダッタ「凄まじい圧倒……カオスディビルドラゴンの何十倍も誇るデカさだ……!(立体起動装置からついにブレードを引き抜いて戦闘態勢へ) 」
十津川「おいおいおいおいおいおいおい~~~~~~~~!デカすぎんだろがよぉぉぉぉぉ~~~~~~~~!!やれんのか!?やれんだろうなあ!?やるしかねえよなあ!?やったれよお、お前らあ!!俺は後ろへ撤退するからよお!! 」
覚醒ノア「世界に終焉の音を鳴らす災害……今こそ、全身全霊を賭けて"救済"に身を捧げるときね 」
圧倒的問題児男子高校生「もうやるしかねええええええぜええええええええええええええええええええええええ!!!!!!!俺はやるぜええええええええええええええええええええ!!!!!!!ほわっ!!!!ほわあああああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」
ケビン「やるさ。元々そのつもりで到達したんだろ、100層……! サクッと三枚おろしにしてサクッと下山、麓でバーベキューと行こうじゃねえか!(半身であってもマイテイの血を引く者。強者、圧倒的劣勢、試練を前に葉を覗かせて口端を上げ、槍を構える) 」
霞「でも、こいつも生き物なんでしょ?なら―――殺せるよ、必ず。生きているなら、何だって。(迷わず、淀みもなく、ただ構える)終わりの始まり、なんて馬鹿げたものを終わらせてあげる。 」
エリノラ「――――――― ! ! (頭上を、幻影の巨塔の天辺を埋め尽くす巨大な竜に驚愕を露わにする)……ついに『ロギア』から目覚めてしまった… 遥か大昔に世界を灼いた神竜『 バハムート 』……ッ…!! 」
■■「俺は見送る側でありたかったがな……門番から出向かれたならば致し方ない。老兵に違いないが硝子の骨でもない。龍絶、その一助となろうぞ(貫手。人外を相手取る際に老兵が取る形、腕を定位置に置き、山であった男が、烈火と相成って侵略せんと身構える) 」
シーヴァ中将「ブワッハッハッハッハッハ!!!!歯応えのありそうなトカゲじゃわいッ!!!こいつぁ・・・・腕が鳴るのォ!!!!!(ポキッッッッ!!!!ポキッッッッッ!!!!) 」
エリノラ「(そうだ、何を恐れることがあるのだろうか。ここまで共に登り詰めてきた『仲間』たちの一人一人を見つめる。みんな、迷いも躊躇いもない。こんなにも頼れる者たちに恵まれていたんだなと改めて実感する)……もう、独りじゃない……――――――― いこう、みんなッ! これが最後の"攻略"だよッ!! 」
そして臨んだ最終決戦。
襲い来るバハムートは、あの時の私たちにとっては史上最強ともいえる強敵だった。
それでも、この階層に辿り着くまで…仲間のみんなは思い思いに自らの弱さと決別してきたんだ。
心の強さはかつてない程に強く。だから負けそうだなんて微塵も思わず、決死に抗った。
その想いが実り、長い時間をかけて私たちは――――――
バハムート「――――― ズ シ ャ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ァ ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ア ン ッ ! ! ! ! (果てが見えそうになかった戦いの末に、神竜が傾倒。打破不可能と思われたその難敵が、ついに打倒されたのだった――――――) 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「………バカな……あのバハムートが敗れるなど……ッ……(地響きと共に倒れ伏した巨竜を目撃し、茫然自失に立ち尽くす) 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「 否…―――――"まだ"だッ! (これで終わるわけにはいかないと待ったをかけるように、倒れ伏した巨竜の頭蓋に自らの特大剣を盛大に突き刺した) ウ゛ ウ゛ ウ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ ッ゛ ! ! ! (バハムートを突きした県から伝道する黒い瘴気が、その身に注ぎ込まれていく) 」
エリノラ「まさか……っ… バハムートの身体を…その力を取り込んで――――――ッ!? 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「 ゥ゛ ゥ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ ォ゛ オ゛ オ゛ オ゛ オ゛ 才゛ 才゛ ッ゛ ! ! ! ! (ついに神竜そのものを取り込んだ男の体より湧き上がるのは、漆黒の瘴気。その背に神竜の両翼を宿し、肢体は獰猛な竜の手足として、その皮膚が漆く浸食されていくのであった――――) 」
マーク「ハァ……ハァ………!あのバケモンを丸ごと取り込みやがった……!?イカれてやがる……ッ……! 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「…ッ……ッ……ッ……!!ク、カカカカ……ッ……!これが…世界を灼く大いなる力…ッ!この身に溢れる力…千年も執着し続けた甲斐があったか…ッ……!(代名詞である特大剣は更なる醜悪さを帯び、その一振りで巨塔はおろか世界そのものを断裂させることも容易いと言わしめるほどの破壊力を物語る――――) 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「 「ルディゴアーノ」最後の使者として、この俺が直接断罪を下すッ!! 」
バハムートの力そのものを取り込んだその男の強さは計り知れないものだった。
千年以上に渡る執念が生み出した勇逸無二の力は、それまで幾度となく対峙してきた幻影体たちを遥かに凌駕していた。
幻影の巨塔も維持できないほどの衝撃が、外の世界に溢れ出そうとしていた。
全ての終わりが、近づいてくるのを感じていた。
だけど、エリノラちゃんは―――――
エリノラ「……終わらない…終わらせない…っ…! ここまでみんなが紡いできた想いを…戦い続けてきた証を…! 貴方の独りよがりの思想なんかに消させはしない……ッ! 」
エリノラ「 『幻影の巨塔』よ…私の声を聞いて…… お願い…みんなに力を貸してあげて…! もうやり直しが効かない命を、世界を守るために…! 」
ピ カ ァ ―――――――― "マーチ・オブ・ファンタズマ" ―――――――― ッ ! ! !
ひとりの少女の祈りが、幻影の巨塔のすべてをその聖なる光で満たす。
悪しき執念が繰り出そうとする黒い斬撃が、突如としてその光に滅される。
鎮まりゆく輝煌の果てに、そこには結晶で形作られたいくつもの人影が溢れていた。
攻略組を守るように現れた、それらは―――――――
夜岸星奈(幻影)「―――――― 大丈夫ですよ!(両手を突き出すように、攻略組を庇う形で出現する) 」
覚醒アテナ(幻影)「我々がそなた達の加護となろう!(聖なる純白の盾「イージス」を構え、黒い瘴気を纏う斬撃から彼らを守り抜く) 」
ブロリー(幻影)「お前たちが戦う意思を見せなければ、俺はこの塔を破壊し尽くすだけだァ…!! 」
杉下右京(幻影)「いいですか?確かに紙一重かもしれません。しかし、その紙一枚を踏み越える人間と越えない人間は……全ッッッッッッく違うんですよ!! 恥を知りなさァいッッッッッッッッ!!!!!!!!!!!!!!!!!!!!! 」
魔王・ヴァンパイアロード(幻影)「クッソーッ!形振り構っていられるくァァァ―ーー!このまま消えてはヴァルキリーの奴にただのかませ犬として笑われるではないかかァァ!(漆黒の破壊剣を取り出し、『攻撃態勢・闇』を発動して斬撃を相殺していた) いっそ我に破れて三下を気取れこの外道がァァァァーーーッッ!! 」
ミシェル(幻影)「愛は不滅なんだ。誰にも奪われはしない。そうだろう? 」
ミリア(幻影)「千年もうじうじしてるような心の弱い男なんかに負けるんじゃないよ…!気張りなさい! 」
列車砲ちぃちゃん(幻影)「(自走不能のためか機関車ちぃちゃんに牽引されて現れる。なお、砲手はドゥームズデイちぃちゃんとジャッジメントデイちぃちゃんが引き受けている) 」
大量のポプ子(幻影)「ポプテピピック!(CVかないみか)」「ポプテピピック!(CV大塚芳忠)」「ポプテピピック!(CV花澤香菜)」「ポプテピピックゥゥゥゥ!(CV杉田智和) 」
大量のピピ美(幻影)「ポプテピピック!(CV沢城みゆき)」「ポプテピピック!(CV沢城大塚明夫)」「ポプテピピック!(CV大谷育江)」「大丈夫、ポプテピピックだから!(CV中村悠一) 」
ヨクバリス(幻影)「(出番くれよ!!) 」
柳生但馬守宗矩(幻影)「主命とあらば、如何様にも斬ってご覧に入れよう。貴殿はただ命じられrばよろしい、エリノラ殿。 では参ろう、我が身はこの塔より不動……しかして、心は自由にあらねばならぬ 」
シーヴァ中将「お前らァ・・・・・来てくれたのかあ・・・・・・!!!!! 」
テオ(幻影)「ディユルボナイカ……グンオコッデドゥドカイ 」
ロバート(幻影)「勹勹勹ッ…貴様ヵゞ俺を怒ら世T=ωT=〃∋〒才、革命σ銃声レ£レヽма⊇⊇レニ 」
シルダッタ「待ってくれやばいの混じってる待ってくれ 」
のん(幻影)「あときみ、今ブンタン投げたでしょ?投げたよね?投げましたよね?投げちゃったよね?ね?ねねね?私見てたんだから、ね?ね?ずっと見てたんだからね?ずっと、ずぅーっと、見てた。見てたよ?ね?ねねねっ?ブンタン、投げたよね?何で投げたのかな?かな?ねねね?投げたの何で?何で?ね?ブンタン投げちゃったけどどうして?ね?あのさ、投げたの私見ちゃったんだよね?ね?ブンタン(ry 運命に文句ばっか言ってたら何も愛しちゃくれないんだよッッッッッ!!!!!!!!! (怒れるレモンタンを地面に投げつける) 」
シルダッタ「~~~~~~~~~!!!!!!!(レモンタンの飛沫が目に入り体力が謎回復するも悶絶する) 」
マーク「どういうことだこいつは……今まで戦ってきた幻影たちが……! 」
霞「これが、エリノラの力……?……一部本当に味方か怪しい感じのもいるような気がするけど。 」
森ノ宮「なあアレ味方来たって喜んでいい奴か?大丈夫なのかあいつら 」
裏ノ宮(幻影)「よお!?俺だが!?久しいな兄貴!!?俺だが!?兄貴の弟だあ!!?(森ノ宮の味方として、緑の
シビックに乗って現れる) 」
森ノ宮「なあ俺に弟居ないんだが、アレ敵でいいよな? 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「(次から次へと現れる幻影の大群に呆気取られ、気が付けば完全に包囲されていた)……そうか、それが……お前の本当の「力」か……! 」
エリノラ「違う、これは…私だけの力じゃない…――――――― みんなで紡いできた「力」だ!! 」
ここまで駆け抜けてきた中で対峙してきた者たちみんなを味方にする。
それは、最初はバラバラだった私たちを繋ぎ合わせてくれたエリノラちゃんだから成せることだと、私はそう感じた。
登り詰めてきた軌跡が辿り着いた"奇跡"を得て、ひとつとなった『私たち』は最後の一撃を一斉に叩き込んだ―――――
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「(あり得ん…ッ……バハムートの力をもってしても抗え切れぬなど… あるいは…そう、か……殻に籠っていた幻影の巨塔を解き放ったことがそうであるように…この世界において最も脅威の力とは……"混沌"――――――――――) 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「―――――― ゥ゛ ゴ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ア゛ ァ゛ ァ゛ ァ゛ ッ゛ ! ! ! ! (有象無象。されど一個人の力など遥かに超える未知数の力が潜むその奇跡の共同戦線の前に……男の体から黒い瘴気が取り除かれていくように斬り払われるのだった――――――) 」
エリノラ「 バ ッ ! (その瞬間を見逃しはしなかった。男の体から一斉に溢れ出す黒い瘴気に向けて小さな掌を突き出した時、全ての瘴気が手中へと吸い込まれていく。最後の人絞りまで完全に吸い上げた時、男が取り込んだ「世界を灼く大いなる力」は少女の体へ帰依するのだった) 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「 シ ュ ゥ ゥ ゥ ゥ ゥ … … ッ … … ―――――(攻略組・幻影体の共同戦線による最後の一撃が齎した綻び。体内に取り込んだバハムートがエリノラというあるべき場所へと還るように取り戻されたことで本来の姿形に戻っていく)……ご…こんな……ことが……ッ……!(機械仕掛けの半身が悲鳴を上げるように軋みや火花を上げる中、一歩ずつ後退っていく) 」
エリノラ「………この千年間、私は独りだった。でも…この『塔』を訪れる外の人たちと出会い、そのあたたかそうな目に惹かれたの。こんな私のことを…みんなは、この世界は、疑うこともなく受け入れてくれた。幻みたいで…でも確かにそこにある現実で… 貴方にとっては知性も品性もない小さな世界かもしれない。だけど小さな私にとってはこの世界はあまりにも大きかったんだ。そんな世界を愛している。みんなのことを、愛しているように。 」
エリノラ「 ありがとう… 私に、素敵な幻想を見せてくれて だから、もう…ゆっくり目を閉ざして。『幻影の巨塔』はすべてを受け入れるから… 」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「………理解できん……この夢幻が在る意味など… 貴様の語る…愛など… (瓦解する半身を片手で押し留めようとするも、その手から零れるように…男の体の崩壊は絶える兆しを見せなかった)……終わるのか……俺は、ここで…… 千年間耐え続けてきた悲願が…… だが……たとえ俺がこの世から消えようとも……『ルディゴアーノの遺志』が潰えることはない……ッ……」
特大剣使いの男《フォガトゥン・コード》「……いつか……いつか、必ず…俺の遺志を継ぐ者が現れる……!その刻(とき)は……近 ――――――(最期の遺言を語り終える間もなく、男の体は完全に瓦解。その頭(こうべ)が地に落ちた時…彼が千年間肌身離さず所有していた「特大剣」のみを残し、この幻想世界から消失した―――――――) 」
エリノラ「(最後まで分かり合えることのなかった男の最期を悲しげな瞳で見届け瞳を閉ざす。それから数分間、黙祷するかのように無言を貫いていたが―――――)――――――― みんな、ありがとう。これで……本当に……すべて、終わったんだ。(振り返った先にいる仲間たちに笑顔を振りまいた) 」
エリノラ「……みんなには、たくさん迷惑を掛けちゃったね。願いを叶える為にここまで戦ってきた人たちが大勢いるのに、結局ここには"幻"しかなくて… 何も贈れなくて、ごめんね…。 」
十津川「・・・・・は~~~~~~あ~~~~~~!シラけるぜぇ~エリノラァ・・・・せっかくシャバへ生き返るかもしれねえから死に物狂いでここまで這い上がってきたのによぉ~・・・・・・ だがまあ・・・・お陰で「生きてる実感」は嫌というほど感じたぜ。不死身の世界でも、何度も殺されちゃあ気が滅入っちまう。夢の中まで殺されておちおち眠れもしない日もあったっけなぁ~・・・・だから、もう十分だ。俺は"生きすぎた"のかもしれねえ。人間、運命が決定づけた寿命に従うもんなんだろうなあ・・・知らんけど。 」
霞「ううん、別にいいよ。願いは叶わなくたって、"幻"は見られた。なら、夢を見続けるのも悪くはない。それに―――案外楽しかったんだ、ただ何にも縛られずに思うままに戦うのが。だから、この思い出だけ貰っていくね。 」
シルダッタ「ここで過ごしたことは、灰色だった俺の人生を照らしてくれたもう一つの輝きだ。その生き甲斐を感じられただけで、俺にとってはありがたいくらいの贈り物だったよ。だから、気にしないでくれ。 」
ケビン「俺には願いがあった。得られなくても、手が届かない星でも……望んで歩みだす理由がった。それを思い出せただけで充分な報酬だ。こっちは借りを返しただけだよ 」
マーク「まあ、そうだな…腹が減った時、お前の作ってくれたチリドッグが絶妙に美味かった。あれ以上のものを求めるつもりはねえよ。 」
覚醒ノア「私の望みは、世界の"救済"。この戦いでまた一つ、その望みが果たせたのなら…私にとっては本望よ。 」
■■「百層踏破。力の証明より予てより望んだ唯一の願望。この拳一つでそれは叶わなんだが……良き日々を共にした、悔はない 」
圧倒的問題児男子高校生「俺は~~~~~~やるぜ~~~~~~~~~~♪絶対受かってみせるぞ~~~~~~~~~~~♪(訳:ここで願いが叶わなくたって大学受験合格は自分で叶えてやるぜ!) 」
森ノ宮「……正直、半信半疑だったからな。勿論、普通じゃかなわない"願い"を期待もしたが……結局の所、周りの人間がマシな生き方出来りゃ、それ以上は贅沢な話って事だろうな………まあ、夢見せて貰ったんだ。最後まで付き合うさ 」
エリノラ「……!みんな……(ともに駆け抜けてきた仲間たちのあたたかな言葉に胸が救われたのだろう。曇った表情から少しずつ安堵の笑みを浮かべるようになった)…………(戦いは、終わった。千年に渡る因縁にも決着はついた。あとは踵を返してこの『塔』を降りるだけだ。しかし……少女はその結末に異を唱えるように唇を噛み締める。何かを言いたげそうに拳を握りしめていたが、ついに意を決し、改まった表情で彼・彼女たちと向き直る―――――) 」
エリノラ「 みんな、聞いてほしいことがあるの。 」
エリノラ「…知っての通り…この『幻影の巨塔』は、『ロギア』が世に解き放たれない為に私が創り出したもの…。それは、1000年前から続く私の天職であり、天命だった。だけど、みんなのお陰で『バハムート』を…再び『ロギア』に封じ込めることができた。もう…この『塔』の存在意義は失った… 」
エリノラ「だから……消えゆくこの幻影の巨塔と一緒に…―――― みんなの記憶から、私のことを忘れ去ってほしい 」
エリノラ「今から私は、この『塔』と共に永遠の眠りに就く。二度と『ロギア』が、悪しき者の手に渡らないように。かつてあの男を退ける為にこの『塔』を世界から隔絶したように。でもそうすれば……みんながここで過ごした日々の記憶だけが、消えてしまうの。ここで"願い"以上の何かを得たみんなにとって、それは残酷な仕打ちかもしれない。最後の最後まで、何一つ恩を返すことができないままで…… 」
幻影と繋いだ絆は、単なる幻に過ぎないのだろうか――――
エリノラ「………急にごめんね 」
燻る霧のような幻に。淡い光飛沫のような幻に―――
十津川「・・・・・エリノラァ (言葉を震わせる彼女にドスの効いた声音で呼応する)・・・・・・俺たちがお前のことを忘れても、お前は俺たちのこと、忘れてくれるんじゃねえぞ。特に!この俺!「
十津川京」のことはなァァァァァ・・・・・!!(┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨┣¨) 」
シルダッタ「………別れはいつだってつらいものさ。そのつらさを忘れたい気持ちも分からなくはない。だけど、忘れないさ。出会えた喜びも、別れるつらさも。たとえこの記憶から消え去ることになろうと…きっと、覚えている。そんな気がするんだ。 」
ケビン「十津川ァの言う通りだ。俺達はいつか全部忘れるのか、それとも記憶を持ってどこかへ行くのか。結末は定かじゃねえが生きてそのままでいられない。 だからこれがいいんだ。あんたがこの先孤独と戦う為に、俺達が何かを残せた。だから、これでいいじゃねえか 」
マーク「いいや「限界」だッ!押すねッ!俺はこの記憶が消えないように"マーク"するぜッ!そしてお前も思い出してくれよ!時々でいいからさ…! 」
シーヴァ中将「ブワッハッハッハッハ!!バカ言えい!!!孫のことを忘れるほど、ワシぁ老いぼれんぞ!!!じいちゃんが天国へ逝くときもなァ!!!忘れず思い出を持っていくからなァ!!!!覚悟しちょれえ!!ブワーーーハハハハハハハハッ!!! 」
覚醒ノア「忘却は"救済"の一つ。それで貴女自身が救われるのなら、何も言わない。だけど、私はこの心に、永遠に留めたい。それが私にとってのかけがえのない"救済"になるから――――― 」
霞「忘れてほしい、か。……ふふ、それ半機械の私に言っちゃう?メモリーの削除でもしない限り、絶対に忘れられなんかしないよ。だから―――思い出したくなったら何度だって、いつだって、私は思い出しちゃうんだから。千年以上の未亡人、なめちゃだめだぞ~? 」
圧倒的問題児男子高校生「もう覚える気しかしねええええええええええぜええええええええええええ!!!!!!!!ほわっ!!!!ほわああああああああああああああああああああああああ!!!!!!!!!!!!!(テストの答案用紙の裏側に鉛筆でガリガリとこれまで過ごしたことを日記の様に書き殴っていく) 」
月島「大丈夫。僕たちの絆は永遠さ。例え記憶が無くなっても、僕たちの心の中には得難いものが残るはず。だからここはあえて笑顔で別れよう、エリノラちゃん(本に栞を挟みながら、柔らかい笑顔を彼女に送る) 」
ヒロ「忘れるわけがない………忘れたくないんだ…記憶がないことの辛さは………もう経験したくないんだ…! 」
ドゥームズデイちぃちゃん「誰もあなたのことを忘れたりなんかしないよ。だって、『そこに存在していたんだから』ね? 」
森ノ宮「……仕事相手の事は忘れないのが、こういう商売やってる人間のマナーってもんだ。だから、まあ……あんたの名前も顔もしっかり覚えておくよ、多分、この先ずっとな 」
李劉冥「泡沫の夢のような体験だった。記憶が忘却に消えようとも、ここで刻まれた痛みが、いつか思い出させてくれるだろう。今は眠れ。そして、また会う日がくれば…酒でも酌み交わそう。もっとも、お前が大人になったらな? 」
テオ(幻影)「握手(シェイクハンド)だ、またな 」
ロバート(幻影)「(グッ)痛い 」
レインコートの人物「………………(攻略組から遠く離れた後方で、その結末を見届けようとしていた。所詮自分はイレギュラーな存在。彼らに混ざる権利はない。それでも…願いとは異なる「何か」を得た快感に、胸が救われるような気分に陥った) 」
魔王・ヴァンパイアロード「最後にお前の血を吸いたかったが、致し方ない。だが忘れてくれるな。いつの世も「魔王」は不滅。また会おう、若き娘よ。 」
デッドプール「生き続けろ、そなたは美しい。 記憶したか? 」
アルヴィス「きっと別れすら記憶しないほうが良いことなんだろうね、気味の言うことが正しい。 でも結局、そのほうが良かったのに忘れたままでいれたことなんてなかったし、良いことのために生きたなんて口が裂けても言えない。きっと性懲りもなく思い出すんだろうね、僕らは 」
ミシェル(幻影)「みんな、君から貰った「愛」をいつまでも大切にするはずさ。なんたって、「愛」は記憶を超越するものだからね…♪ 」
ドロシー「 『忘れてくれますように』 か……。どこかで私も誰かに言った気がする……そっか、後悔するべきだったんだろうな……そうやって傷つけ続けたこと。 」
シルバー「未来までずっと覚えてる!この瞬間が過去になろうとも…ずっとだ! 」
せがた三四郎「セガサターンは不滅だ!!!!!つまり!!!!真面目に遊んだ思い出も不滅ということだ!!!!! 」
ムスカ(幻影)「忘れやしませんよ。幻影の巨塔は滅びぬ!何度でも蘇るさ!!幻影の巨塔こそが人類の夢だからだ!!ハッハッハッハ…!! 」
レオネ「あのさエリノラ………そっちは忘れてくれって言うならこっちは"忘れてくれるな"ってハナシなんよ。 次あった時すっとぼけたら……あー…… 軽く拗ねるから、ヨロシク 」
アドルフ・ヒトラー(幻影)「お前ら大好きだ!!ヴァーカ!! 」
アオ「……エリノラさん(今までの旅路を懐かしむように笑みを浮かべる)みんなも言ってる通り、ここで過ごした日々は本物だよ。記憶が失われてしまってもずっと憶えてる、心で。(じんわりと暖かさを感じるように自身の胸元に手を添える)だから、君はそうやって自分の物語を終えるつもりなんだろうけど、”俺たち”がそうはさせない―――またきっと、どこかで出会って、「はじめまして。あれ、どこかで会ったことある?」なんて言ってさ、物語の続きを書こうよ。(ちょっとおどけて笑いかける) 」
エリノラ「――――――― ! ! ! 」
けれども、僕たちは否定する―――
エリノラ「……ッス……グ、ス…… み…み゛ん゛…な゛……ぁっ゛………(やはり、忘れられるわけがない。口では取り繕っていても、感情は正直にみんなの気持ちを真摯に受け止める。受け止めきれず、それは涙となって少女の瞳から止めどなく溢れ出す―――――) 」
エリノラ「グス…ッ……ズズッ……!…………う゛…ん……っ!(みっともなくぐちゃぐちゃになった顔をぐしぐしと腕で拭い去り、紅潮した顔を曝け出す。涙はなんとか置き去った。伝えるべきことを、最後まで伝えなくちゃと顔を上げる) 」
エリノラ「……私も……忘れない……"忘れたくない"……っ…!たとえ…たとえこの『塔』が、私が…みんなの前から消えていなくなっても… 触れられなくても、見えなくても…… 」
エリノラ「 きっといつまでも側にいるから……! 」
この頂に立っていることが、何よりの"絆"の証明になるから―――
エリノラ「……最後に、お礼を言わないと…… 」
『カオスファンタズマ』の行進は続く―――
「 ありがとう 」
『幻』と共に未来を『創』る為に―――
「 さよなら 」
突如として現れた、何とも形容しがたい天を穿つような巨塔。
それは神々しくも禍々しく、そして美しくとも醜くあった。
ある語り部はこう謡ったそうだ。
「 天国だか地獄だかわかりゃしないが、あの場所には"混沌の幻影"が現れるのさ。 」
語られた伝説はいつしか"幻影"の向こうへと消えた
あれは、本当の"幻"だったのだろうか 今となってはそれを知る人は、もういない
それでもあの日、確かに"混沌とした幻想"がそこにあったことを、思い出す日が来るのかもしれない
いつか、いつか、いつか…
結晶に睡る少女「――――――――――――――――――― 」
このお話が、本当の「めでたし、めでたし」を迎えるまで―――――――
最終更新:2025年07月17日 14:20