「……」
『星の白銀』を得て、優勝を決意してから半時も経たない内に、野崎はとある参加者と市街地にて対峙していた。
「おや?おやおやおやぁ?これは僥倖!こうも早く参加者に出会えるとは、実に勤!勉!なのデス!」
緑髪のおかっぱ頭の怪人は、警戒する野崎に構うこと無く捲し立てる。
「お嬢さん、暫しお聞きしたい事があるのですが…貴女の支給品に『福音』はありますでしょうか?」
「……」
野崎は答えない。『福音』が何なのか知らないし、知っていたとしても答える気は沸かなかった。
ただ、直ぐにでもスタープラチナを出せるように警戒を続ける。
ただ、直ぐにでもスタープラチナを出せるように警戒を続ける。
「お答え頂けないようデスねぇ~」
野崎の沈黙に男は溜め息をつくと、人差し指を口に含み、そのまま力を込めて齧る。血が滲む様子にも構わず、スナックを齧るように。滴る血が指を伝わりポツリ、ポツリと地面を濡らす。
「……ああ!そうデスねぇ!私としたことが挨拶を忘れておりました」
やがて合点がいったとばかりに背中を仰け反らせながら叫ぶと、男は過剰に腰を曲げて礼をする。
「私は魔女教大罪司教『怠惰』担当、ペテルギウス・ロマネコンティ…デス!」
狂信者の鋭い眼が、野崎春花を観察している。
「……ッ」
まともではないペテルギウスの様子に、野崎は少しだけ気圧されていた。
その異様な感情は、一部を除き野崎のクラスメート達が抱いていた物と、どこか共通するものがあった。
それは『狂気』。野崎の目から見ても、この男は完全に、完璧に狂っていた。
その異様な感情は、一部を除き野崎のクラスメート達が抱いていた物と、どこか共通するものがあった。
それは『狂気』。野崎の目から見ても、この男は完全に、完璧に狂っていた。
「……福音、って何?」
一先ず野崎は、この変質者から情報を引き出すことを選択した。スタープラチナの射程は短い。この男は始末するにしろ、不用意に接近するのは躊躇われた。
ようやく会話を行った野崎に、ペテルギウスは機嫌を良くしたのか、にこやかに口を開いた。
ようやく会話を行った野崎に、ペテルギウスは機嫌を良くしたのか、にこやかに口を開いた。
「福音とは、黒い表紙の本なのデス。私の持ち物なのデスが、どうやら主催者に没収されてしまっているようでして……ああぁぁぁぁぁぁぁぁ!!!!」
突然の絶叫。道路に轟く奇声。ペテルギウスは怒りに身を捩らせる。
「理不尽!不条理!不合理!私にとって何よりも、そう!命よりも尊き魔女の愛の道しるべを!奪うことなど何者も許されないし許してはならない行為なのデス!
なのに!事実!今!私の手元に福音は無いのデス!ああ脳が震える震えるッ!!!」
なのに!事実!今!私の手元に福音は無いのデス!ああ脳が震える震えるッ!!!」
「あぁぁぁぁあ~~…そして、そしてそしてそして…福音を奪われるという我が身の怠惰も度しがたい!怠惰怠惰怠惰ァ~~……未熟な怠惰をお許しくださぃぃぃ~
愛に、愛に報いなければぁぁ~~」
愛に、愛に報いなければぁぁ~~」
憤怒から一転、ペテルギウスは大粒の涙を流しながら懺悔を叫ぶ。
両手を顔に添え、悲観するその様はまるでムンクの叫びのようだった。
両手を顔に添え、悲観するその様はまるでムンクの叫びのようだった。
「なので、なのでなのでなので!私は即座に!迅速に!急速に!勤勉に!福音を取り戻さなければならないのデス!」
かと思えば、その表情は瞬時に一転し、決意に漲ったものになる。
両目をカッと見開いたペテルギウスは、再び野崎に視点を戻した。
両目をカッと見開いたペテルギウスは、再び野崎に視点を戻した。
「さしあたって、どうやら主催者は参加者の私物を無差別に支給しているようなのデス。再びお聞きしますが……貴方、福音はお持ちですか?」
「……持ってない」
返答を待つペテルギウスの様子に暫しの沈黙の末、野崎は正直に回答することを選択した。
「……そうですか、残念デス」
野崎の返答を聞き、一呼吸おいて。
ペテルギウスの背中から、複数の黒い腕が出現した。
視認した不可思議な魔手に、野崎は目を見開く。
ペテルギウスの背中から、複数の黒い腕が出現した。
視認した不可思議な魔手に、野崎は目を見開く。
(嘘……あれって……スタンド?)
まさかこの変質者もスタンドDISCを支給されていたのか。
そんな疑問を解消する間もなく、ゆらゆらと揺れる黒い魔手は、野崎に向かって襲いかかる!
そんな疑問を解消する間もなく、ゆらゆらと揺れる黒い魔手は、野崎に向かって襲いかかる!
『オラオラオラオラァ!』
一つ一つが人体など紙のように容易く引き裂く魔手。
しかし、野崎の持つより力強いスタンドの拳が手を打ち砕いた。
しかし、野崎の持つより力強いスタンドの拳が手を打ち砕いた。
「……は?」
信じがたいものを見たと言わんばかりに固まったペテルギウスは、やがてぽつりと呟いた。
「ーーおかしい!間違っている!誤っている!これは、見えざる手は!私の!私だけに与えられた権能!私だけの寵愛の証!それを、福音も持たない小娘ごときが見ることなどあり得ない!あまつさえ抵抗するなどあり得てはならないイイイイ!!!!」
凄まじい剣幕で怒鳴り散らし、両手の指を噛み千切る勢いで自傷行為に走るペテルギウス。その眼は間違いようもない殺意に溢れていた。
「……」
その殺意を、野崎もまた漆黒の意思で受け止める。
相手もスタンドを持っている。それがどうした?
相手もスタンドを持っている。それがどうした?
元々こういう展開になることは確定していた。優勝を目指すのなら、対立は必須。ここで歩みを止める程度の覚悟ならば、そもそも復讐など行わなかった。
野崎もまた、一線を越えた狂人。愛のためにあらゆる犠牲を強要するこの男と、ある意味同類なのだ。
「脳が、脳が震えるぅぅぅ!!!!」
怒りのボルテージを振り切ったペテルギウスから続々と放たれる魔手。
星の白銀を携えた野崎は、漆黒の意思をもってそれを迎え撃つのだった。
星の白銀を携えた野崎は、漆黒の意思をもってそれを迎え撃つのだった。
【8-I パラダイス・パームズ/深夜】
【ペテルギウス・ロマネコンティ@Re:ゼロから始める異世界生活】
[状態]:健康、興奮(大)、盗人(主催者)への怒り(大)、寵愛を汚した野崎への怒り(大)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:脱出優先。必要なら勤勉に優勝を目指す。
1:我が福音書を取り戻すのデス!
2:『見えざる手』を私以外が見ることが叶うなど、あってはならないのデス!
3:あぁ脳が震える震える震えるぅっ!!!
[備考]
野崎春花が『見えざる手』を視認できることを認識しました。
不可視の『見えざる手』は、少なくともスタンド使いなら視認できるようです。
憑依に関する制限は後続の書き手に任せます。
【ペテルギウス・ロマネコンティ@Re:ゼロから始める異世界生活】
[状態]:健康、興奮(大)、盗人(主催者)への怒り(大)、寵愛を汚した野崎への怒り(大)
[装備]:ー
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:脱出優先。必要なら勤勉に優勝を目指す。
1:我が福音書を取り戻すのデス!
2:『見えざる手』を私以外が見ることが叶うなど、あってはならないのデス!
3:あぁ脳が震える震える震えるぅっ!!!
[備考]
野崎春花が『見えざる手』を視認できることを認識しました。
不可視の『見えざる手』は、少なくともスタンド使いなら視認できるようです。
憑依に関する制限は後続の書き手に任せます。
【野崎春花@ミスミソウ】
[状態]:健康
[装備]:スタープラチナのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本行動方針:優勝して、過去を改変する。
1:ペテルギウスを殺す
2:『見えざる手』?スタンドなの?
3:NPCってなんだろう……?
[備考]
参戦時期は死亡後です。
スタープラチナのDISCを装備しています。
スタンド使いになった影響か、ペテルギウスの『見えざる手』を視認できるようです。
[状態]:健康
[装備]:スタープラチナのスタンドDISC@ジョジョの奇妙な冒険
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本行動方針:優勝して、過去を改変する。
1:ペテルギウスを殺す
2:『見えざる手』?スタンドなの?
3:NPCってなんだろう……?
[備考]
参戦時期は死亡後です。
スタープラチナのDISCを装備しています。
スタンド使いになった影響か、ペテルギウスの『見えざる手』を視認できるようです。
003:毎度おさわがせします | 投下順 | 005:うさぎ好きの人はうさぎのぬいぐるみを殴る...? |
ペテ公の奇妙な冒険 | ペテルギウス・ロマネコンティ | 032:掴む者、離す者、離れる者 |
名もない星が空に落ちたら | 野崎春花 |