憎い、憎い、憎い。
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎!
憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い憎い。
憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎憎!
――憎い!!
獣の槍から逃げ出したシャガクシャはE-8の橋を渡り、歩いていた。
彼は歩く。憎しみに心を任せながら。
彼は思う。なぜ自分はあの槍から逃げ出したのか。俺は退くつもりなどなかったのに。
まるで自分の中に自分以外の誰かがいて、その誰かが槍に怯え逃げ出したような気がする。
彼は歩く。憎しみに心を任せながら。
彼は思う。なぜ自分はあの槍から逃げ出したのか。俺は退くつもりなどなかったのに。
まるで自分の中に自分以外の誰かがいて、その誰かが槍に怯え逃げ出したような気がする。
すると目の前に、シャガクシャに一抹も疑問を許さないかの如く一匹のモンスターが現れた。
まるでドロドロの粘液の様な外見。しかしその実は鋼を超えるほどの硬さを誇る怪物だ。
こいつの名ははぐれメタル。
元の世界では高い防御力と逃げ足の速さ、そして倒した時に莫大な量の経験値が入ることが有名で、見つけたら狩りに行くのが定番だ。
そしてこのはぐれメタルも例にもれず、シャガクシャと目が合った瞬間に逃げの一手を打つ。
しかしその前に彼がゴロゴロの実の力で雷を撃ちだし、はぐれメタルに命中させた。
これでどんな生物を真っ黒に焼き焦げ、生命を終えるだろう。
まるでドロドロの粘液の様な外見。しかしその実は鋼を超えるほどの硬さを誇る怪物だ。
こいつの名ははぐれメタル。
元の世界では高い防御力と逃げ足の速さ、そして倒した時に莫大な量の経験値が入ることが有名で、見つけたら狩りに行くのが定番だ。
そしてこのはぐれメタルも例にもれず、シャガクシャと目が合った瞬間に逃げの一手を打つ。
しかしその前に彼がゴロゴロの実の力で雷を撃ちだし、はぐれメタルに命中させた。
これでどんな生物を真っ黒に焼き焦げ、生命を終えるだろう。
だがはぐれメタルは死んでいなかった。
こいつには防御力だけでなく、様々な耐性まで備わっているのだ。
故に雷を無効化。はぐれメタルは見事逃走に成功し、安寧を得たかに見えた。
こいつには防御力だけでなく、様々な耐性まで備わっているのだ。
故に雷を無効化。はぐれメタルは見事逃走に成功し、安寧を得たかに見えた。
なのにシャガクシャは何一つ動揺することなく、デイパックから最後の支給品を取り出す。
取り出したものは槍だった。それもただの槍ではない。
シャガクシャが一度として見たことのないようなレベルの業物だ。
取り出したものは槍だった。それもただの槍ではない。
シャガクシャが一度として見たことのないようなレベルの業物だ。
実は最初支給品を確かめている時、一番最初に見つけたものだったが、ゴロゴロの実とノトーリアスBIGで十分だと判断してしまっていたのだ。
シャガクシャは槍を構え、はぐれメタルを追いかけ始める。
追いかける対象のはぐれメタルは既にかなりの距離を稼いでおり、ここから追いつくのはシャガクシャの身が常ならば追いつくのは不可能だろう。
シャガクシャは槍を構え、はぐれメタルを追いかけ始める。
追いかける対象のはぐれメタルは既にかなりの距離を稼いでおり、ここから追いつくのはシャガクシャの身が常ならば追いつくのは不可能だろう。
されど彼の身は既に尋常に非ず。
ゴロゴロの実の力で自身を雷に変え、雷の速度ではぐれメタルに迫り、一瞬で追いつく。
いくらそいつが素早くとも、雷光に勝る道理はなし。
ゴロゴロの実の力で自身を雷に変え、雷の速度ではぐれメタルに迫り、一瞬で追いつく。
いくらそいつが素早くとも、雷光に勝る道理はなし。
シャガクシャがはぐれメタルに槍で攻撃を放つ。
その一撃が急所に当たり、会心の一撃となって、防御を貫き息の根を止めた。
その一撃が急所に当たり、会心の一撃となって、防御を貫き息の根を止めた。
それが終わったシャガクシャは、もう用はないとばかりに再び進み出す。
あてもなく彷徨い、出会ったNPCを皆殺しにしながら、途中で虚空から流れた放送すら無視して彼はただ進み続ける。
あてもなく彷徨い、出会ったNPCを皆殺しにしながら、途中で虚空から流れた放送すら無視して彼はただ進み続ける。
ちなみに、シャガクシャがもう少しE-8の橋を渡るのが遅ければドラえもん、レミリア、西片と出会う可能性があった。
しかしながらそうはならなかった。これが誰にとっての幸福で、誰にとっての不幸かは誰も知らないが、これは完全な余談である。
しかしながらそうはならなかった。これが誰にとっての幸福で、誰にとっての不幸かは誰も知らないが、これは完全な余談である。
ところで、ここで疑問が生まれる。それははぐれメタルについてだ。
通常、NPCは首輪のある参加者を狙うよう主催者から調整を受けている。
勿論全てがそうではない。アンテン様にぴーたん、ツルギゴイにヨロイゴイ、森近霖之助という参加者を襲わないNPCもいる。
通常、NPCは首輪のある参加者を狙うよう主催者から調整を受けている。
勿論全てがそうではない。アンテン様にぴーたん、ツルギゴイにヨロイゴイ、森近霖之助という参加者を襲わないNPCもいる。
しかしアンテン様は参加者の死体を対価に、捧げた者へ対価を渡す。
ぴーたんは倒されれば主催者が支給した物以外の、空腹を満たす食料を与える。
ツルギゴイとヨロイゴイは食料としてここにいる。
森近霖之助は支給品の物々交換と、鑑定を行う。
彼らにはそれぞれ明確な役割が存在する。
ぴーたんは倒されれば主催者が支給した物以外の、空腹を満たす食料を与える。
ツルギゴイとヨロイゴイは食料としてここにいる。
森近霖之助は支給品の物々交換と、鑑定を行う。
彼らにはそれぞれ明確な役割が存在する。
翻ってはぐれメタルの役割とは何だろう。
こいつの特徴は高い防御力と多くの耐性に早い逃げ足、そして膨大な経験値だ。
だけどこの状況でそんな倒しにくさの極致みたいな敵を倒そうとするか。
シャガクシャは憎しみのあまり殺しにかかったが、そうでもなければ殺し合いに対するスタンスは違えど放置するのが普通だろう。
更に言うなら、膨大な経験値と言っても、世界によっては経験値という概念がなく、知識があっても架空の存在と流し、存在していても明確に認識されていないことがほとんどだ。
こいつの特徴は高い防御力と多くの耐性に早い逃げ足、そして膨大な経験値だ。
だけどこの状況でそんな倒しにくさの極致みたいな敵を倒そうとするか。
シャガクシャは憎しみのあまり殺しにかかったが、そうでもなければ殺し合いに対するスタンスは違えど放置するのが普通だろう。
更に言うなら、膨大な経験値と言っても、世界によっては経験値という概念がなく、知識があっても架空の存在と流し、存在していても明確に認識されていないことがほとんどだ。
この殺し合いの参加者の中で経験値の概念があるのは、
カルデアのサーヴァント、空の上を冒険する騎空団、女神エリスが見守る世界の冒険者
日本帝国の提督、千年に一度目覚めるドラゴンと戦う運命の勇者、二人のロト
二体のモンスター、ネオラント所属のヒーラー、艦娘、刀剣男子、帰宅部、番長の合計18人。
更に言うなら空の世界に転移したときのアイドルなど、違う時間軸や出展を含めれば更に増えるがここでは省略する。
カルデアのサーヴァント、空の上を冒険する騎空団、女神エリスが見守る世界の冒険者
日本帝国の提督、千年に一度目覚めるドラゴンと戦う運命の勇者、二人のロト
二体のモンスター、ネオラント所属のヒーラー、艦娘、刀剣男子、帰宅部、番長の合計18人。
更に言うなら空の世界に転移したときのアイドルなど、違う時間軸や出展を含めれば更に増えるがここでは省略する。
けれどもシャガクシャはこの中に入らない。参加者が112人もいる以上、18人しかメリットにならない存在などあってはならないだろう。
故にこの殺し合いのはぐれメタルの報酬は経験値ではない。代わりの報酬は――
故にこの殺し合いのはぐれメタルの報酬は経験値ではない。代わりの報酬は――
ボン
はぐれメタルが倒されてから十秒ほど後に、死体の近くに間の抜けた音と現れた宝箱だ。
シャガクシャはここにもういない為今は誰も顧みないが、これが報酬。
中身については誰も知らず、箱を開けるに至っての制限は一切ない。
故に他の参加者やNPCに取られるかもしれないが、そこまで主催は考慮しなかった。
シャガクシャはここにもういない為今は誰も顧みないが、これが報酬。
中身については誰も知らず、箱を開けるに至っての制限は一切ない。
故に他の参加者やNPCに取られるかもしれないが、そこまで主催は考慮しなかった。
◆
アリアハン出身の少年、アルスは勇者である。
勇者と呼ばれる程の男を父に持ち、それに相応しくあれと育てられた。
そして仲間と共にバラモス、ゾーマなど数多もの強敵を撃ち滅ぼし、二つの世界を平和にした。
更にその二週間後に殺し合いに呼ばれ、平行世界の女として生まれた自分自身と遭遇してなお己を見失うことなく、殺し合いの打破に向かう彼はまさしく勇者に相応しい男だろう。
勇者と呼ばれる程の男を父に持ち、それに相応しくあれと育てられた。
そして仲間と共にバラモス、ゾーマなど数多もの強敵を撃ち滅ぼし、二つの世界を平和にした。
更にその二週間後に殺し合いに呼ばれ、平行世界の女として生まれた自分自身と遭遇してなお己を見失うことなく、殺し合いの打破に向かう彼はまさしく勇者に相応しい男だろう。
だがしかし彼には――
「……あら? こんばんは」
「う~、頭いてえ……」
「う~、むにゃむにゃ……」
「う~、頭いてえ……」
「う~、むにゃむにゃ……」
殺し合いの中でも酔っぱらっている相手に対処するスキルは持っていなかった。
というか、本来なら勇者にそんなものは必要ない。
というか、本来なら勇者にそんなものは必要ない。
困った彼は隣にいるアリスにチラリと目をやる。
すると彼女はズカズカと眠っている、水色の髪が特徴な女性の元へ向かう。
すると彼女はズカズカと眠っている、水色の髪が特徴な女性の元へ向かう。
「ほら、寝てる場合じゃないでしょ。起きなさいよ」
そう言ってユサユサと眠っている彼女を起こそうとするアリス。
しかし彼女は目覚めない。
しかし彼女は目覚めない。
「なによ~、今日のトイレ掃除はめぐみんでしょ~」
それどころかとても生活感のある寝言まで飛び出す始末。
これにアリスはキレた。
これにアリスはキレた。
「ああもう! 起きなさあああああああああああい!!」
「わひゃぁ!?」
「わひゃぁ!?」
女性の耳元でアリスが大声で叫ぶことで、眠っていた酔っ払いは変な叫び声で目を覚ます。
「ああああああってーなオイ! あんまりギャーギャー騒ぐんじゃねーよ。二日酔いに響くだろーが」
「そもそもなんであなた二日酔いなのよ。状況分かってるの?」
「そもそもなんであなた二日酔いなのよ。状況分かってるの?」
アリスは横入りしてきた天然パーマの銀髪男に食って掛かる。
しかし男も負けていない。
しかし男も負けていない。
「あァ!? こっちは殺し合いの前から二日酔いだっつーの!
そんなに殺し合いしてほしけりゃ事前に『〇日後に行われる殺し合いに召喚しますので、体調を整えておいてください』って一報入れとけ!」
「何その丁寧な殺し合いの主催者」
「そしたらきちんと『その日は近所のクソババアの七回忌なので無理です』って断るから」
「断り方おかしいでしょ!? どれだけ適当!?」
「ほらアリス、落ち着いて」
そんなに殺し合いしてほしけりゃ事前に『〇日後に行われる殺し合いに召喚しますので、体調を整えておいてください』って一報入れとけ!」
「何その丁寧な殺し合いの主催者」
「そしたらきちんと『その日は近所のクソババアの七回忌なので無理です』って断るから」
「断り方おかしいでしょ!? どれだけ適当!?」
「ほらアリス、落ち着いて」
いつの間にか漫才が始まってしまったので、とりあえずアリスを押しとどめるアルス。
そこに頃合いを見計らっていたのか、酒場の椅子に座ってこちらを見ていた女性が話しかけてきた。
そこに頃合いを見計らっていたのか、酒場の椅子に座ってこちらを見ていた女性が話しかけてきた。
「あの、あなた達は……?」
「えっと、僕達は――」
「ちょっと待って」
「えっと、僕達は――」
「ちょっと待って」
自己紹介をしようとしたアルスに対し、水色の女性がまさかのインターセプト。
その理由は――
その理由は――
「カエデ。自己紹介の前に水持ってきて。頭ガンガンしてそれどころじゃないから」
「それなら俺のも頼むわ。それによく見たら、ゴリラが原作の俺と違ってあの二人は作画が鳥山明っぽいから、こっちから自己紹介しときてえ」
「……?」
「それなら俺のも頼むわ。それによく見たら、ゴリラが原作の俺と違ってあの二人は作画が鳥山明っぽいから、こっちから自己紹介しときてえ」
「……?」
男の台詞に疑問を抱きつつも、水を取りに行くカエデ。
お盆に二人の分だけでなく、ついでに自分とアルス達の分の水を持ってきた彼女は全員に水を渡す。
そして水を要求した二人は速攻で水を一気飲み。
お盆に二人の分だけでなく、ついでに自分とアルス達の分の水を持ってきた彼女は全員に水を渡す。
そして水を要求した二人は速攻で水を一気飲み。
「っぷはぁ! 少し楽になったわ!」
「んじゃ自己紹介すっぞ。まずはこっちの酒飲みサイドから」
「何よその区分! ここは女神アクアとかわいい信者達にしましょう!!」
「お前を崇めるくらいならドリィィムキャッチャァァァァ!! のほうがマシだ」
「そんな声だけで夢掴めなさそうな奴よりこっちの方が絶対いいに決まってるわ!!」
「早く自己紹介しなさいよ」
「んじゃ自己紹介すっぞ。まずはこっちの酒飲みサイドから」
「何よその区分! ここは女神アクアとかわいい信者達にしましょう!!」
「お前を崇めるくらいならドリィィムキャッチャァァァァ!! のほうがマシだ」
「そんな声だけで夢掴めなさそうな奴よりこっちの方が絶対いいに決まってるわ!!」
「早く自己紹介しなさいよ」
放っておくといつまでもふざけそうな二人に、アリスは少女とは思えないほどのドスを利かせて二人を睨む。
睨まれた二人は途端におとなしくなり、そそくさと自己紹介を始める。
睨まれた二人は途端におとなしくなり、そそくさと自己紹介を始める。
「俺は坂田銀時。万事屋っつー、まあ何でも屋だ」
「私は高垣楓。アイドルをしています」
「そして私はアクア! アクシズ教の御神体にして水の女神よ!!」
「私は高垣楓。アイドルをしています」
「そして私はアクア! アクシズ教の御神体にして水の女神よ!!」
各々自己紹介する三人だが、アクアの女神という言葉に勇者二人は驚く。
それを見た銀時はアクアを諫めた。
それを見た銀時はアクアを諫めた。
「お前その設定やめろって。見ろよあの鳥山コンビ、頭おかしい奴だと思ってビビってんだろーが」
「鳥山コンビって何!?」
「銀時さん。私が所属する事務所には蘭子ちゃんという、挨拶が『闇に飲まれよ』と言ったりするアイドルがいますから、恐らく――」
「それ単なる中二病!!」
「あぁ、あれか。こ〇ん星か? こり〇星なのか? お前ゆう〇りんがあのキャラ捨てるのどんだけ大変だったと思ってんだ」
「設定じゃないって言ってんでしょうが!!」
「鳥山コンビって何!?」
「銀時さん。私が所属する事務所には蘭子ちゃんという、挨拶が『闇に飲まれよ』と言ったりするアイドルがいますから、恐らく――」
「それ単なる中二病!!」
「あぁ、あれか。こ〇ん星か? こり〇星なのか? お前ゆう〇りんがあのキャラ捨てるのどんだけ大変だったと思ってんだ」
「設定じゃないって言ってんでしょうが!!」
アクアが涙目になりながら銀時に掴みかかるのを、オロオロしながらなんとか止めようとする楓。
その光景を尻目に、勇者二人はアクアを見つめていた。
見つめるのはアクアが女神という大法螺を吹いたと思ったからではない。
女神であるのは事実だと分かるから驚いているのだ。
その光景を尻目に、勇者二人はアクアを見つめていた。
見つめるのはアクアが女神という大法螺を吹いたと思ったからではない。
女神であるのは事実だと分かるから驚いているのだ。
なぜ彼らがアクアを女神と認識しているのか。
それは過去に似たような存在と出会った経験があるからだ。
それは過去に似たような存在と出会った経験があるからだ。
精霊ルビス。
大魔王ゾーマに封印されていた所を勇者たちが助け出した、アレフガルドを創造した精霊である。
そのルビスと似たような神聖さを、彼らはアクアから感じていた。
だからこそ、アクアが女神という言葉を素直に信じたのだ。
そう、信じたのだが――
大魔王ゾーマに封印されていた所を勇者たちが助け出した、アレフガルドを創造した精霊である。
そのルビスと似たような神聖さを、彼らはアクアから感じていた。
だからこそ、アクアが女神という言葉を素直に信じたのだ。
そう、信じたのだが――
「謝って! 設定とか私に失礼なこと言ったの謝って! アクシズ教徒がただじゃおかないわよ!!」
「うるっせえぞこの駄女神! 俺から離れろ! 服がてめえの涙と鼻水でビチャビチャじゃねえかァァァァ!!」
「あああああああああ! 駄女神って言った!! カズマさんと同じこと言った!!」
「うるっせえぞこの駄女神! 俺から離れろ! 服がてめえの涙と鼻水でビチャビチャじゃねえかァァァァ!!」
「あああああああああ! 駄女神って言った!! カズマさんと同じこと言った!!」
泣きながら銀時と本気の取っ組み合いで喧嘩をするアクアに、神らしい神聖さや荘厳さといったものは欠片もなかった。
「あの、アクア様……。とりあえずそのへんで――」
何とか穏便に二人の喧嘩を止めようとするアルス。
すると様付けで呼ばれたアクアは一瞬で泣き止み、アルスの方へ駆け寄った。
すると様付けで呼ばれたアクアは一瞬で泣き止み、アルスの方へ駆け寄った。
「ねえねえ今私のことアクア様って言った?」
「え、ええまあ……女神様ですし……」
「偉い! 偉いわこの子!!」
「え、ええまあ……女神様ですし……」
「偉い! 偉いわこの子!!」
アルスの言葉を聞いたアクアは感激しながら銀時たちへと振り返る。
その時の表情は見事なまでのドヤ顔だった。これほどのドヤ顔を見る機会はそうそうないだろうと思わせるほどの顔だった。
その時の表情は見事なまでのドヤ顔だった。これほどのドヤ顔を見る機会はそうそうないだろうと思わせるほどの顔だった。
「ギントキにカエデ! この子のこれが本来するべき態度よ!!」
「つーか正気か少年よ。いくら見てくれがいいからって話に乗ることはないねえぞ」
「いや、まあ僕、本物の女神様と会ったことありまして。その方と同じような雰囲気を感じるので……」
「つーか正気か少年よ。いくら見てくれがいいからって話に乗ることはないねえぞ」
「いや、まあ僕、本物の女神様と会ったことありまして。その方と同じような雰囲気を感じるので……」
アルスの言葉に銀時はこいつマジか、と言いたげな顔をする。
その横では楓も表情こそ変わらないものの、蘭子ちゃんと似たような子って結構いるのね、と考えていた。
そんなことはつゆ知らず、アクアはアルスに話しかけ続ける。
その横では楓も表情こそ変わらないものの、蘭子ちゃんと似たような子って結構いるのね、と考えていた。
そんなことはつゆ知らず、アクアはアルスに話しかけ続ける。
「その会ったことある女神って誰? 私知ってる?」
「ご存じかは分かりませんけど、名前は精霊ルビスといいます」
「……誰?」
「アレフガルドの創造神なのですが」
「…………どこ!?」
「ご存じかは分かりませんけど、名前は精霊ルビスといいます」
「……誰?」
「アレフガルドの創造神なのですが」
「…………どこ!?」
本気で知らない神や土地の名前を聞かされ、動揺するアクア。
その反応を見て、ここまで黙ってみていたアリスが喋りだす。
その反応を見て、ここまで黙ってみていたアリスが喋りだす。
「まあその話はあとにして、私達もそろそろ自己紹介していい?」
「あ、うん。ごめん忘れてた」
「あ、うん。ごめん忘れてた」
アクアの返答にアリスが若干キレそうになるものの、とにもかくにもアルス達も自己紹介。
「僕はアルス。アリアハン出身の勇者だ」
「私はアリス。私もアリアハン出身の勇者よ」
「双子ですか?」
「いや双子じゃなくて――」
「私はアリス。私もアリアハン出身の勇者よ」
「双子ですか?」
「いや双子じゃなくて――」
そこからアルスが語った内容に、銀時たちは驚愕する。
アルスとアリスは双子ではなく、平行世界の自分自身であること。
更に名簿を見ると、勇者という名前が自分達と別に二つあり、沖田という名前が二つあることから平行世界の同一人物を多く参加させているのではないかと考えていることを告げる。
アルスとアリスは双子ではなく、平行世界の自分自身であること。
更に名簿を見ると、勇者という名前が自分達と別に二つあり、沖田という名前が二つあることから平行世界の同一人物を多く参加させているのではないかと考えていることを告げる。
「えぇ……なんかすっごい大事になってない……?」
「沖田?」
「そういえば私達、まだ名簿を見ていませんでしたね」
「沖田?」
「そういえば私達、まだ名簿を見ていませんでしたね」
話のスケールの大きさに戸惑うアクア。知り合いの名前が出て少し驚く銀時。
そして楓はこの時初めて、自分達三人はまだ名簿を見ていないことに気付いた。
そして楓はこの時初めて、自分達三人はまだ名簿を見ていないことに気付いた。
「名簿って何?」
そしてアクアは名簿の存在そのものすら知らなかった。
「テメーが呑気に寝てるときに主催者の大魔王、えっと……エク〇デスが放送でルールブックに参加している奴らの名簿が浮き出るとかなんとか」
「ミルドラースよ。どこから出てきたのよエク〇デス」
「大魔王ですって!?」
「ミルドラースよ。どこから出てきたのよエク〇デス」
「大魔王ですって!?」
銀時とアリスの言葉にアクアが過剰に反応する。
彼女の瞳には確かな怒りが宿っていた。
彼女の瞳には確かな怒りが宿っていた。
「大魔王が私を殺し合いに呼ぶなんて、これは魔王しばくべしの教義を持つアクシズ教への宣戦布告ね! 間違いないわ!!」
プリプリ怒るアクアを含めた三人は名簿を見て、自分たちの知り合いがいないか確認をする。
その結果、それぞれの反応は大きく異なるものとなった。
その結果、それぞれの反応は大きく異なるものとなった。
「そんな……!」
楓は自身と同じプロダクションのアイドルと事務員が参加していることにショックを受け、
「え、カズマとウィズいるの? ウィズはともかくヒキニートのカズマさんは心配ね~」
アクアは仲間である少年を心配し、
(キュアダイアモンドってプリ〇ュアじゃねえかァァァァ!! 下手したら〇映アニメーションに俺らの映画、BN Pictures諸共潰されるゥゥゥゥゥ!!)
銀時はプリ〇ュアとの共演で、1月4日に公開される映画『銀魂 THE FINAL』が潰されることを懸念していた。
ちなみに仲間と知人の名前も名簿で確認していたが、そっちは実力を知っているので特に心配していなかった。
ちなみに仲間と知人の名前も名簿で確認していたが、そっちは実力を知っているので特に心配していなかった。
「やべえ……サンラ〇ズでもプロデューサー坊主にしたのに……。これはもうBN Picturesの社長に腹切ってもらうしかねえ……」
「あなた、なんか変な心配していない?」
「あなた、なんか変な心配していない?」
銀時が当人以外理解不能な感情を吐き出す中、アリスが疑問を呈する。
その後、とりあえず情報交換をしようとしたものの
その後、とりあえず情報交換をしようとしたものの
「痛っ!」
楓の指が切れてしまった。どうやら名簿の紙で切ってしまったようだ。
彼女はこれくらいならすぐ治る、と放っておこうとしたが
彼女はこれくらいならすぐ治る、と放っておこうとしたが
「ヒール!」
アクアが回復魔法を使い、一瞬で治してしまった。
これには楓のみならず銀時も驚いた。
これには楓のみならず銀時も驚いた。
「お前、ケ〇ルが使えたのか……!?」
「ケ〇ルどころかケア〇ガでもア〇イズでも任せなさい!」
「凄いです。本当に女神様だったんですね」
「もっと凄いのも出来るわよ。ほら、花鳥風月!」
「ケ〇ルどころかケア〇ガでもア〇イズでも任せなさい!」
「凄いです。本当に女神様だったんですね」
「もっと凄いのも出来るわよ。ほら、花鳥風月!」
楓に褒められて調子に乗ったアクアは、デイパックから扇子を二つ取り出して両手に持ち、芸を披露する。
花鳥風月とは、扇子から水が出る水芸だが、特に何かの役に立つわけでもないただの宴会芸である。
花鳥風月とは、扇子から水が出る水芸だが、特に何かの役に立つわけでもないただの宴会芸である。
「どう考えても回復魔法の方が凄いでしょ」
「女神様も芸とかするのか……」
「女神様も芸とかするのか……」
女神の異様な俗っぽさに、改めて勇者二人がそれぞれ呆れと驚きを見せる。
そんな中、やっと本格的に情報交換が始まった。
そんな中、やっと本格的に情報交換が始まった。
まずは楓から、自分と同じプロダクションのアイドルと事務員が参加していることを。
次にアクアが、仲間の少年と知り合いのリッチーがいることを。
ここでアリスと楓が疑問の声を上げる。
次にアクアが、仲間の少年と知り合いのリッチーがいることを。
ここでアリスと楓が疑問の声を上げる。
「リッチーって何?」
「お金持ちですか?」
「それリッチ。ウィズは全然違うから。むしろ超貧乏だから」
「お金持ちですか?」
「それリッチ。ウィズは全然違うから。むしろ超貧乏だから」
楓のボケにアクアがツッコミを入れる。
すると今度は銀時が話に入ってきた。
すると今度は銀時が話に入ってきた。
「あれだろ? 男をとっかえひっかえして遊んでる……」
「それはビッチでしょうが。――って女神に何言わせてんのよ!
そうじゃなくて、リッチーはアンデッドの王!! 強いのよ!!」
「それはビッチでしょうが。――って女神に何言わせてんのよ!
そうじゃなくて、リッチーはアンデッドの王!! 強いのよ!!」
再び喧嘩しそうなアクアと銀時をアルスが宥め、今度は銀時が知り合いの名前を言う。
「名簿に載ってる俺の知り合いは、この志村新八ってダメガネとドSの沖田総悟君だな」
「ひっどい紹介……」
「ひっどい紹介……」
銀時の知り合いに対する扱いにアリスが引く中、アルスは疑問点を問う。
「銀時さん。この沖田総悟って人は、名簿の上の方にある沖田総司と関係があったりしますか?」
「いや……知らねーはずだ。あいつに姉貴がいたのは知ってるけど、総司とかいう名前じゃなかったしな」
「いや……知らねーはずだ。あいつに姉貴がいたのは知ってるけど、総司とかいう名前じゃなかったしな」
アルスが銀時に、この二人の沖田が同一人物ではなく、家族か何かではないことを確認する。
その一方、アクアは沖田総司という名前を聞いて頭をひねっていた。
その一方、アクアは沖田総司という名前を聞いて頭をひねっていた。
「うーん、沖田総司ってどっかで聞いた気がするのよね……」
「新選組ですね」
「あ、それそれ! 漫画とかで見たことあるわ!!」
「新選組ですね」
「あ、それそれ! 漫画とかで見たことあるわ!!」
そこで楓が助け舟を出したことで、アクアの疑問は氷塊した。
だがこの会話に今度は銀時が疑問をぶつける。
だがこの会話に今度は銀時が疑問をぶつける。
「お前らあのチンピラ警察知ってんのか?」
「は? チンピラ?」
「は? チンピラ?」
銀時の疑問に思わず疑問形で返してしまうアクア。
そこで話し合うと、アクア達と銀時の認識の差が浮き彫りとなった。
アクアと楓の知識では新選組は京都で活動していたはずだが、銀時の知る真選組は江戸で活動している。
更に言うなら銀時は宇宙人を天人と呼び、当たり前に交流しているらしいがアクア達の知る地球にそんな事実はない。
そしてアルスが言っていた、アレフガルドという聞いたこともない土地と合わせて考えたうえで出した結論がこれだ。
そこで話し合うと、アクア達と銀時の認識の差が浮き彫りとなった。
アクアと楓の知識では新選組は京都で活動していたはずだが、銀時の知る真選組は江戸で活動している。
更に言うなら銀時は宇宙人を天人と呼び、当たり前に交流しているらしいがアクア達の知る地球にそんな事実はない。
そしてアルスが言っていた、アレフガルドという聞いたこともない土地と合わせて考えたうえで出した結論がこれだ。
「これはアレね。異世界ね! 私はそういうのに詳しいの!!」
「まあそうですよね。僕達も一回移動しましたし、平行世界とかもありますし」
「まあそうですよね。僕達も一回移動しましたし、平行世界とかもありますし」
アクアの出した結論にうんうんと頷くアルス。
後ろでは銀時たちも納得していた。
後ろでは銀時たちも納得していた。
「異世界ねえ……。まあ俺も一回行ったことあるし、逆に向こうから来てもらったこともあるな」
「私も実は二回ほど……。とはいっても夢を見ていたみたいにほとんど覚えていませんが……」
「異世界ってひょっとして普通だったりする? 私が初めて行ったときは結構びっくりしたけど」
「私も実は二回ほど……。とはいっても夢を見ていたみたいにほとんど覚えていませんが……」
「異世界ってひょっとして普通だったりする? 私が初めて行ったときは結構びっくりしたけど」
アクア達三人の呑み込みの早さに、ちょっと驚いてしまうアリス。
こうして話は一段落ついたが、銀時は一人妙な感覚に囚われていた。
こうして話は一段落ついたが、銀時は一人妙な感覚に囚われていた。
(にしてもこの名簿。どうにも知ってる名前が他にもあるような気がすんだよな……。
後放送してたミドルラースって奴も、声はともかく名前は聞いたことあるような……)
後放送してたミドルラースって奴も、声はともかく名前は聞いたことあるような……)
彼が覚えるのは奇妙な違和感。
知らないはずの知識を知っているような気がするような、または知っているはずのことを思い出せないように蓋をされているような感覚。
しかし銀時は、この感覚をどういえばいいのか分からず、結局他の四人には言わないことにした。
知らないはずの知識を知っているような気がするような、または知っているはずのことを思い出せないように蓋をされているような感覚。
しかし銀時は、この感覚をどういえばいいのか分からず、結局他の四人には言わないことにした。
銀時が覚えたこの感覚は、殺し合いにあたって主催者がかけた制限の一つ『メタによる他作品知識の封印』である。
C-3にいるクロちゃんと同じように、銀時は一部の参加者と主催であるミルドラースを漫画、あるいはゲームで知っているのだ。
しかしなぜクロちゃんと違い、銀時には制限が掛かっている。これはなぜだろうか。
答えは『量と質』だ。
C-3にいるクロちゃんと同じように、銀時は一部の参加者と主催であるミルドラースを漫画、あるいはゲームで知っているのだ。
しかしなぜクロちゃんと違い、銀時には制限が掛かっている。これはなぜだろうか。
答えは『量と質』だ。
銀時はクロちゃんが持つジョジョ知識のほかに、参加者の中ではドラえもん、ドラクエ、ワンピースを知っており、更には鬼滅の知識が追加される可能性もある。
決定的なのは主催者のミルドラースに関する知識もあることだ。彼はドラクエはⅤ派で、ビアンカ推しだった。
そのことを問題視した主催陣は、銀時だけでなく銀魂勢の他作品知識を全て封印した。
決定的なのは主催者のミルドラースに関する知識もあることだ。彼はドラクエはⅤ派で、ビアンカ推しだった。
そのことを問題視した主催陣は、銀時だけでなく銀魂勢の他作品知識を全て封印した。
だが現実には、志村新八からプリキュアという限定的かつ、影響がほぼないワードだけであるものの、他作品知識封印の綻びが始まっている。
これがどう影響するのか、現時点では誰も知らない。
これがどう影響するのか、現時点では誰も知らない。
「ギントキ! 聞いてるの!?」
「え、あ? なんだ? 俺ァ朝はいつもケ〇ッグのコーンフレークだけど!?」
「何の話!?」
「え、あ? なんだ? 俺ァ朝はいつもケ〇ッグのコーンフレークだけど!?」
「何の話!?」
銀時が思考の海に沈んでいると、いつの間にか彼以外の四人が何かを話し合い、結論が出たのかアクアが彼に呼びかける。
しかし彼は何一つ聞いていなかったので適当に返答したら、アリスにツッコまれた。
しかし彼は何一つ聞いていなかったので適当に返答したら、アリスにツッコまれた。
「銀時さん。実は名簿に知り合いの名前がある私達の仲間探しの為に、二手に分かれて探そうということになったのですが、チーム分けの話し合いがしたくて……」
「分かれんのはいいけど、話し合いとかめんどくせーしグッパーとかでいいだろ別に」
「……それもそうね」
「そこ納得するところ?」
「分かれんのはいいけど、話し合いとかめんどくせーしグッパーとかでいいだろ別に」
「……それもそうね」
「そこ納得するところ?」
銀時の適当な言い分にアクアが納得しかかり、慌ててアリスが止めに入る。
しかし次の瞬間、いきなりアクアが鼻をひくひくさせ、臭いを嗅ぎ始めた。
しかし次の瞬間、いきなりアクアが鼻をひくひくさせ、臭いを嗅ぎ始めた。
「クンクン、クンクン」
「ど、どうしました?」
「ど、どうしました?」
いきなりの奇行に怯みつつも、アルスはアクアに訳を聞く。
すると彼女はシリアスな顔で返事をした。
すると彼女はシリアスな顔で返事をした。
「悪魔よ。なんかすごい悪魔の臭いがするわ! もう本当に臭いの!! 牛乳こぼしたのを拭いた後の雑巾位臭いわ!!」
それはキツイな、と全員の思いが一致したところでアクアが魔法の詠唱を始めてしまう。
その魔法はセイグリッド・エクシズム。退魔の魔法で、悪魔などに高い効果を誇る上位魔法である。
一方、アルスはアクアが感じた悪魔の気配を警戒し酒場を出ようとしたところで
その魔法はセイグリッド・エクシズム。退魔の魔法で、悪魔などに高い効果を誇る上位魔法である。
一方、アルスはアクアが感じた悪魔の気配を警戒し酒場を出ようとしたところで
「オオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオ!!!」
槍を携えた一人の男が絶叫と共に、酒場の壁を壊して押し入ってきた。
その男を見てアクアは待っていたとばかりに叫ぶ。
その男を見てアクアは待っていたとばかりに叫ぶ。
「出たわね悪魔! セイグリッド――」
そして準備していた魔法を発動しようとしたが
「――え?」
それより速く、男はアクアのすぐそばに近づき、電撃そのものに変わっている右腕を彼女に叩きつけようとする。
その刹那
その刹那
「危ない!!」
咄嗟にアリスがアクアを突き飛ばした。
だがそれが彼女の精一杯。彼女自身は攻撃を躱すことも、防御することもできない。
すなわち――
だがそれが彼女の精一杯。彼女自身は攻撃を躱すことも、防御することもできない。
すなわち――
「あああああああああああああああああああああああああああ!!!」
直撃を意味する。
攻撃を受けたアリスはまるで雷の直撃を受けたが如く黒くなり、肉を焼き焦がした臭いが彼女から漂い始める。
攻撃を受けたアリスはまるで雷の直撃を受けたが如く黒くなり、肉を焼き焦がした臭いが彼女から漂い始める。
「ア、アリスうううううううううううううううううううううう!!!」
庇われたアクアは悲鳴を上げながら我を忘れてアリスを治療しようとするが、そこに男がもう一度攻撃を加えようとする。
だが
だが
「オラァ! テメェの相手は俺らだビリビリ野郎!!」
「アクア様! アリスと楓さんを連れて下がって下さい!!」
「アクア様! アリスと楓さんを連れて下がって下さい!!」
銀時とアルスが持っていた剣で切りかかり、男の攻撃を妨げる。
二人の攻撃自体は避けられたが、とにかく時間は稼げた。
その隙にアクアは言われた通りアリスと楓を抱え、とにかく距離を取った。
それを受けて男もまずは二人を倒してからと認識したのか、槍を構え二人に相対する。
二人の攻撃自体は避けられたが、とにかく時間は稼げた。
その隙にアクアは言われた通りアリスと楓を抱え、とにかく距離を取った。
それを受けて男もまずは二人を倒してからと認識したのか、槍を構え二人に相対する。
こうして、酒場の中で戦いは始まった。
アクアはアリスの治療に専念していた。
しかし進行のほどは芳しくない。
しかし進行のほどは芳しくない。
「ああもう! 何で回復魔法の効きがいつもより悪いのよ!!」
アクアは思わず悪態をつく。
本来なら彼女の回復魔法は死者の蘇生すら可能なほど強力だ。伊達に女神をやっていない。
だがこれも主催陣が施した制限の一つ。
そう簡単に怪我の治療などされて出るペースを下げられたくない。ましてや死者蘇生など論外という主催陣のメッセージ。
それでも彼女は諦めない。
本来なら彼女の回復魔法は死者の蘇生すら可能なほど強力だ。伊達に女神をやっていない。
だがこれも主催陣が施した制限の一つ。
そう簡単に怪我の治療などされて出るペースを下げられたくない。ましてや死者蘇生など論外という主催陣のメッセージ。
それでも彼女は諦めない。
「絶対、絶対死なせないんだから……!!」
その様子をただ見ていた楓は何もできずにいる。
そもそも彼女は殺し合いが始まってからずっと、アクアと一緒にいた。
アクアはとても殺し合いの最中とは思えないくらい明るく適当で、楓もそれに釣られてどこか能天気だった。
そして新しくやってきた銀時やアルス達も殺し合いには乗っておらず、彼女は安心感を覚えていた。
そこにいきなり壁を吹き飛ばして現れた男の極大すぎる憎しみと殺意は、多少非凡な経験があれど基本平和な現代日本で生きてきた彼女には刺激が強すぎた。
故に恐怖と動揺で動けず、彼女はただ震えるばかり。
そもそも彼女は殺し合いが始まってからずっと、アクアと一緒にいた。
アクアはとても殺し合いの最中とは思えないくらい明るく適当で、楓もそれに釣られてどこか能天気だった。
そして新しくやってきた銀時やアルス達も殺し合いには乗っておらず、彼女は安心感を覚えていた。
そこにいきなり壁を吹き飛ばして現れた男の極大すぎる憎しみと殺意は、多少非凡な経験があれど基本平和な現代日本で生きてきた彼女には刺激が強すぎた。
故に恐怖と動揺で動けず、彼女はただ震えるばかり。
シャガクシャはアクアに対し憎しみを燃やす。
元々は人の声が聞こえたから襲撃しただけだったが、彼女のこの発言が彼を憎しみに走らせた。
元々は人の声が聞こえたから襲撃しただけだったが、彼女のこの発言が彼を憎しみに走らせた。
『出たわね悪魔!』
悪魔。この台詞で彼は昔を思い出す。
家に流星が落ち、自分以外の家族が死んだ中生まれたおかげで、呪われた子と揶揄されていたあの頃を。
英雄ともてはやされたことから直接言わなくなっただけで、未だ誰もが腹の底では思っているであろうことを。
故に彼は殺し合いの会場という箱庭の中で、憎しみを叫ぶ。
家に流星が落ち、自分以外の家族が死んだ中生まれたおかげで、呪われた子と揶揄されていたあの頃を。
英雄ともてはやされたことから直接言わなくなっただけで、未だ誰もが腹の底では思っているであろうことを。
故に彼は殺し合いの会場という箱庭の中で、憎しみを叫ぶ。
それがただの思い込みと勘違いであることを知ることがないまま、シャガクシャの肩はまた疼く。
【G-8 酒場/黎明】
【アルス(男勇者)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:健康
[装備]:王者の剣@DQ3
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本行動方針:勇者として、殺し合いを止める
1:目の前の男(シャガクシャ)と戦う
2:アリスが心配
3:仲間を探したい
[備考]
性格は不明ですが少なくともアリスよりは力が下です
名簿上の二人の勇者や沖田などの存在から、同一人物を意図的に集めたのではと考えています
[状態]:健康
[装備]:王者の剣@DQ3
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本行動方針:勇者として、殺し合いを止める
1:目の前の男(シャガクシャ)と戦う
2:アリスが心配
3:仲間を探したい
[備考]
性格は不明ですが少なくともアリスよりは力が下です
名簿上の二人の勇者や沖田などの存在から、同一人物を意図的に集めたのではと考えています
【坂田銀時@銀魂(アニメ版)】
[状態]:二日酔い(ほぼ醒めている)
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:主催者の打倒。殺し合いには乗らない。
1:目の前の男(シャガクシャ)と戦う
2:仲間探しは新八も総悟君も放っておいて大丈夫だろうし、探すのは楓さんの同僚を優先でいいよな
3:アクアが女神ねェ……。全く見えねえ
4:なーんか引っかかるな……この名簿
[備考]
二日酔いによる頭痛に悩まされております。
アクアを女神だと認識しましたが、態度を改める気はありません。
メタ知識を制限されています。何らかのきっかけで解除されるかもしれません。
[状態]:二日酔い(ほぼ醒めている)
[装備]:洞爺湖@銀魂
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2
[思考・状況]基本行動方針:主催者の打倒。殺し合いには乗らない。
1:目の前の男(シャガクシャ)と戦う
2:仲間探しは新八も総悟君も放っておいて大丈夫だろうし、探すのは楓さんの同僚を優先でいいよな
3:アクアが女神ねェ……。全く見えねえ
4:なーんか引っかかるな……この名簿
[備考]
二日酔いによる頭痛に悩まされております。
アクアを女神だと認識しましたが、態度を改める気はありません。
メタ知識を制限されています。何らかのきっかけで解除されるかもしれません。
【アリス(女勇者)@ドラゴンクエスト3】
[状態]:気絶、重傷、火傷(大)、アクアによる治療中
[装備]:ロトの剣@DQ1
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本行動方針:勇者として、殺し合いを止める
1:…………
[備考]
性格は【おとこまさり】です。
名簿上の二人の勇者や沖田などの存在から、同一人物を意図的に集めたのではと考えています。
[状態]:気絶、重傷、火傷(大)、アクアによる治療中
[装備]:ロトの剣@DQ1
[道具]:基本支給品、ランダム支給品0~2
[思考・状況]基本行動方針:勇者として、殺し合いを止める
1:…………
[備考]
性格は【おとこまさり】です。
名簿上の二人の勇者や沖田などの存在から、同一人物を意図的に集めたのではと考えています。
【アクア@この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ版)】
[状態]:酒の飲みすぎによる悪酔い(今はそれどころではない)、アリスを魔法で治療中
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2、扇子×2@この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ版)
[思考・状況]基本行動方針:主催者の大魔王ミルドラースを倒す。殺し合いには乗らない。
1:アリスを助ける。絶対に死なせない
2:何なのあいつ(シャガクシャ)!? 凄く悪魔臭いわ!
3:カズマが心配。ウィズは多分大丈夫でしょ
4:主催者を倒して元の世界に帰る。
5:大魔王が殺し合いを開いて私を呼ぶなんて、これはアクシズ教への宣戦布告ね!
[備考]
施設内にあった大量の酒を飲みまくったせいで悪酔いしています。
回復魔法に制限が掛かっています。度合いは次の書き手氏にお任せします。
[状態]:酒の飲みすぎによる悪酔い(今はそれどころではない)、アリスを魔法で治療中
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×2、扇子×2@この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ版)
[思考・状況]基本行動方針:主催者の大魔王ミルドラースを倒す。殺し合いには乗らない。
1:アリスを助ける。絶対に死なせない
2:何なのあいつ(シャガクシャ)!? 凄く悪魔臭いわ!
3:カズマが心配。ウィズは多分大丈夫でしょ
4:主催者を倒して元の世界に帰る。
5:大魔王が殺し合いを開いて私を呼ぶなんて、これはアクシズ教への宣戦布告ね!
[備考]
施設内にあった大量の酒を飲みまくったせいで悪酔いしています。
回復魔法に制限が掛かっています。度合いは次の書き手氏にお任せします。
【高垣楓@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:恐怖(大)、動揺(大)
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:…………あの人(シャガクシャ)が怖い
2:卯月ちゃんたちが心配。合流したい
3:異世界なんて、凄いスケールです
4:この子(アクア)、本当に女神だったんですね。
[備考]
施設内にあった酒を少し飲んだため若干酔っていましたが、様々なショックで吹き飛びました。
アクアのことを女神だと認識しました。
[状態]:恐怖(大)、動揺(大)
[装備]:―
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:殺し合いには乗らない。死にたくない。
1:…………あの人(シャガクシャ)が怖い
2:卯月ちゃんたちが心配。合流したい
3:異世界なんて、凄いスケールです
4:この子(アクア)、本当に女神だったんですね。
[備考]
施設内にあった酒を少し飲んだため若干酔っていましたが、様々なショックで吹き飛びました。
アクアのことを女神だと認識しました。
【シャガクシャ@うしおととら】
[状態]:肩にダメージ(小)、憎悪
[装備]:ゴロゴロの実@ONE PIECE、ノトーリアスBIGのスタンドDISC、メタルキングのヤリ
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:優勝して願いを叶える
1:憎しみのままに殺し続ける。特にあの女(アクア)
2:そのためにまずは目の前の二人(アルス、銀時)を殺す
3:肩がひどく疼く。
4:―――おぎゃああああ
[備考]
放送を聞いていません。
[状態]:肩にダメージ(小)、憎悪
[装備]:ゴロゴロの実@ONE PIECE、ノトーリアスBIGのスタンドDISC、メタルキングのヤリ
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:優勝して願いを叶える
1:憎しみのままに殺し続ける。特にあの女(アクア)
2:そのためにまずは目の前の二人(アルス、銀時)を殺す
3:肩がひどく疼く。
4:―――おぎゃああああ
[備考]
放送を聞いていません。
※E-8に宝箱が放置されています。
【メタルキングのヤリ@ドラゴンクエスト8】
シャガクシャに支給。
攻撃力120という高いステータスを誇る。
ウィングエッジと錬金することでメタルウィングになる。
なお、メタル系に対し特効などはない。
シャガクシャに支給。
攻撃力120という高いステータスを誇る。
ウィングエッジと錬金することでメタルウィングになる。
なお、メタル系に対し特効などはない。
【扇子×2@この素晴らしい世界に祝福を!(アニメ版)】
アクアに支給。
花鳥風月というアクアの宴会芸によく使われる。
ちなみに花鳥風月は扇子から水を出す水芸だが、攻撃力はない。
アクアに支給。
花鳥風月というアクアの宴会芸によく使われる。
ちなみに花鳥風月は扇子から水を出す水芸だが、攻撃力はない。
【はぐれメタル@ドラゴンクエストシリーズ】
高い防御力と豊富な耐性に素早い逃げ足。そして倒した時の莫大な経験値が特徴のドラクエシリーズお馴染みなモンスター。
本ロワでは経験値の代わりに倒された後、死体の近くに宝箱が現れる。
中身は完全ランダム。数は一つで固定。
また、宝箱を開けるにあたっての制限はないので、他の参加者やNPCに中身を横取りされる可能性もある。
宝箱は中身を取り出すと消滅する。
高い防御力と豊富な耐性に素早い逃げ足。そして倒した時の莫大な経験値が特徴のドラクエシリーズお馴染みなモンスター。
本ロワでは経験値の代わりに倒された後、死体の近くに宝箱が現れる。
中身は完全ランダム。数は一つで固定。
また、宝箱を開けるにあたっての制限はないので、他の参加者やNPCに中身を横取りされる可能性もある。
宝箱は中身を取り出すと消滅する。
034:張りぼての同盟 | 投下順 | 036:無意味かもしれない考察 |
009:いつまでも男の子じゃいられない | アルス(男勇者) | 087:真白に淀んだ迅雷が砕けて |
アリス(女勇者) | ||
坂田銀時 | ||
アクア | ||
高垣楓 | ||
憎悪より来りて/快楽へと至るもの | シャガクシャ |