炎と氷の戦いは、完全に膠着状態に陥っていた。
氷の魔法使い卯月がフリーズロッドを用いて繰り出す吹雪は、辺りの半径数十メートルを白く染め上げ、凍り付かせる。
対し緊縛師平野は支給されたスタンド、マジシャンズ・レッドで自身の周囲数メートルに炎の囲いを作ることで己と仲間を温める。
氷の魔法使い卯月がフリーズロッドを用いて繰り出す吹雪は、辺りの半径数十メートルを白く染め上げ、凍り付かせる。
対し緊縛師平野は支給されたスタンド、マジシャンズ・レッドで自身の周囲数メートルに炎の囲いを作ることで己と仲間を温める。
しかし、この均衡は僅か数分で崩れようとしていた。
「ぐっ……!?」
「だ、大丈夫!?」
「だ、大丈夫!?」
いきなり崩れ落ち、その場に膝をつく平野。
彼の額にはこの寒さにもかかわらず汗が滲み、尋常でないことが一目でわかる。
その様子を心配するのび太だが、平野はすぐに再び立ち上がりながらこう言った。
彼の額にはこの寒さにもかかわらず汗が滲み、尋常でないことが一目でわかる。
その様子を心配するのび太だが、平野はすぐに再び立ち上がりながらこう言った。
「すまぬ。どうやら、今出している炎は私の精神を消耗するようだ。
このままでは、あと数分で消えてしまうじゃろう」
「そんな……!?」
このままでは、あと数分で消えてしまうじゃろう」
「そんな……!?」
平野の語る絶望的な現状に、思わず顔が青褪めるピーチ姫。
しかし彼女はまだ諦めていなかった。
しかし彼女はまだ諦めていなかった。
「そうだわ。のび太、あなたのデイパックに何かないの?
私のには役に立ちそうなアイテムは入っていないのよ」
私のには役に立ちそうなアイテムは入っていないのよ」
縋るような思いでのび太に頼むピーチ姫。
事実、彼女は自分のデイパックに入っている最後のランダム支給品をすでに確認しているが、とてもこの状況を打破できるとは思えないものだった。
事実、彼女は自分のデイパックに入っている最後のランダム支給品をすでに確認しているが、とてもこの状況を打破できるとは思えないものだった。
「ええと、何かないか何かないか……!」
一方、のび太はピーチ姫に頼られた後、必死になってデイパックを漁っていた。
手当たり次第にデイパックの中にあるものを必死に取り出す姿は、彼の相棒たるドラえもんが慌てているときにひみつ道具を取り出そうとしている姿によく似ていた。
のび太のデイパックの中にあるストロングゼロ、参加者名簿、会場の地図が彼の手で地面に散らばっていく。
そして彼がランダム支給品の一つを手に掛け、それを見たとき、彼は動きを止めた。
手当たり次第にデイパックの中にあるものを必死に取り出す姿は、彼の相棒たるドラえもんが慌てているときにひみつ道具を取り出そうとしている姿によく似ていた。
のび太のデイパックの中にあるストロングゼロ、参加者名簿、会場の地図が彼の手で地面に散らばっていく。
そして彼がランダム支給品の一つを手に掛け、それを見たとき、彼は動きを止めた。
それは、一見すればただのうちわだ。
事実、平野とピーチ姫はこの状況では何の役にも立たないと思い、分かりやすく落ち込んでいる。
しかし、のび太だけは違った。
事実、平野とピーチ姫はこの状況では何の役にも立たないと思い、分かりやすく落ち込んでいる。
しかし、のび太だけは違った。
彼はこのうちわが何かを知っている。
このうちわが、ただのうちわでないことを知っている。
このうちわが、ただのうちわでないことを知っている。
「これは、風神じゃないか!!」
「風神?」
「風神?」
思わず叫ぶのび太に対し、ピーチ姫は思わずオウム返しに疑問の声をあげる。
それに対してのび太は手早くこのうちわについて説明を始めた。
それに対してのび太は手早くこのうちわについて説明を始めた。
強力うちわ「風神」
このうちわは、二十二世紀からやってきたドラえもんが持つひみつ道具の一つ。
空気抵抗が大きく、わずかに扇ぐだけで普通のうちわと同じくらいの風が出る。
そして普通のうちわと同じように扇げば、人を容易く吹き飛ばす暴風すら生み出せる代物である。
このうちわは、二十二世紀からやってきたドラえもんが持つひみつ道具の一つ。
空気抵抗が大きく、わずかに扇ぐだけで普通のうちわと同じくらいの風が出る。
そして普通のうちわと同じように扇げば、人を容易く吹き飛ばす暴風すら生み出せる代物である。
「これを使えば吹雪も吹き飛ばせるんじゃ……」
「そうね。あの子に向かって思いっきり振れば持っている杖もどうにかなるかもしれないわ」
「そうね。あの子に向かって思いっきり振れば持っている杖もどうにかなるかもしれないわ」
風神のおかげで希望が生まれ、前向きになるのび太とピーチ姫。
しかし、希望を見つつも平野だけは慎重だった。
しかし、希望を見つつも平野だけは慎重だった。
「うむ。しかし念の為、作戦を立てたほうがよいじゃろう」
平野の提案で作戦を考えることにした三人。
しかし時間はない。平野の精神力の消耗でマジシャンズ・レッドの炎はどんどん小さくなっている。
なので三人は手早く作戦を考えた。それは作戦と言えるほど大した代物ではなかったが、今の三人には十分だ。
タイミングを考え、作戦に必要なアイテムを受け渡し準備完了。
しかし時間はない。平野の精神力の消耗でマジシャンズ・レッドの炎はどんどん小さくなっている。
なので三人は手早く作戦を考えた。それは作戦と言えるほど大した代物ではなかったが、今の三人には十分だ。
タイミングを考え、作戦に必要なアイテムを受け渡し準備完了。
「タイミングが大事じゃぞ」
「ええ。分かってるわ」
「じゃあいくよ。いっせーの――」
「「「せっ!!」」」
「ええ。分かってるわ」
「じゃあいくよ。いっせーの――」
「「「せっ!!」」」
三人が同時に叫ぶ。これが作戦開始の合図だ。
まず平野はマジシャンズ・レッドの炎を自らの意志で消す。
これにより三人は低温に襲われることになるが、そこは覚悟の上だ。
まず平野はマジシャンズ・レッドの炎を自らの意志で消す。
これにより三人は低温に襲われることになるが、そこは覚悟の上だ。
「やああああああああああああ!!」
次にピーチ姫は、のび太から渡された風神を思いっきり振り回した。
風神は普通に扇いだだけでも人を吹き飛ばす暴風を生む。ならば全力で思いっきり振り回せば、それは吹雪すら吹き飛ばす嵐となる。
これで吹雪で覆い隠されていた卯月の居場所が分かるはずだ。
風神は普通に扇いだだけでも人を吹き飛ばす暴風を生む。ならば全力で思いっきり振り回せば、それは吹雪すら吹き飛ばす嵐となる。
これで吹雪で覆い隠されていた卯月の居場所が分かるはずだ。
そんな役どころを姫にやらせるのか、というツッコミも聞こえてきそうだが心配ご無用。
なぜならピーチ姫はそんじょそこらの姫にあらず。
確かに攫われ役をこなすことが多い彼女だが、時にはマリオと共に冒険し戦うことだってあるのだ。
だからこの程度体を張るくらいはなんてことない。
なぜならピーチ姫はそんじょそこらの姫にあらず。
確かに攫われ役をこなすことが多い彼女だが、時にはマリオと共に冒険し戦うことだってあるのだ。
だからこの程度体を張るくらいはなんてことない。
「くっ!?」
そして三人の狙い通り吹雪は止み、苦悶の声をあげながら卯月は姿を見せた。
あまりに突然の強風に、彼女は魔法で吹雪を起こし続けられず、咄嗟に氷の壁を作ってやり過ごすことにしかできなかったのだ。
あまりに突然の強風に、彼女は魔法で吹雪を起こし続けられず、咄嗟に氷の壁を作ってやり過ごすことにしかできなかったのだ。
その隙にのび太は手に持つ不死川玄也の散弾銃を撃つ。狙いは勿論卯月の持つフリーズロッド。
しかし彼女は冷静に、吹雪を起こす前と同じく氷の盾を作り銃弾を防いだ。
しかし彼女は冷静に、吹雪を起こす前と同じく氷の盾を作り銃弾を防いだ。
「隙あり」
だが卯月がのび太の銃弾に意識を割いている間に、平野が紅蓮の糸で彼女を再び束縛する。
「無駄だということが分からないのですか」
卯月は冷静に、冷徹にまたも周囲の温度を下げ、すぐに紅蓮の糸を打ち消す。
しかしそれは一瞬、ほんの刹那とはいえその場所に硬直することを意味する。
しかしそれは一瞬、ほんの刹那とはいえその場所に硬直することを意味する。
「えい!」
その隙を逃すのび太ではない。だてに幾多もの冒険を潜り抜けてはいない。
動きを止めた卯月の手元に向かって、散弾銃とは違う手に持っているレイガンを放つ。
これで杖を落とすはず、と誰もが思った。撃たれた卯月ですら思った。
しかし次の瞬間、信じられないことが起こる。
動きを止めた卯月の手元に向かって、散弾銃とは違う手に持っているレイガンを放つ。
これで杖を落とすはず、と誰もが思った。撃たれた卯月ですら思った。
しかし次の瞬間、信じられないことが起こる。
スッ
なんと、卯月自身も意識していない足運びで僅かに体を回し、手の位置を変えてのび太のレイガインを躱したのだ。
これは彼女の記憶が関わっている。
これは彼女の記憶が関わっている。
そもそも、記憶と一言に言ってもいくつかの種類がある。
そして卯月が失った記憶は自分が誰か、今まで何をしてきたのか、というもの。いわば思い出である。
この思い出を、脳科学ではエピソード記憶という。
そして卯月が失った記憶は自分が誰か、今まで何をしてきたのか、というもの。いわば思い出である。
この思い出を、脳科学ではエピソード記憶という。
一旦卯月の話に戻るが、彼女は元の世界ではアイドルをやっていた。
その事実は彼女が記憶を取り戻すか、彼女を知る他の参加者が彼女を島村卯月と認識しない限り殺し合いの中では露見しないだろうが、ここでは置いておく。
肝心なのは、彼女がアイドルをやっていたということだ。
そしてアイドルといえば、歌とダンスだろう。
それだけではない、と言う人もいるだろうがまずはこの二つが上がると考える。
アイドルが歌とダンスを覚える為にすることは何か、すなわち練習だ。
その事実は彼女が記憶を取り戻すか、彼女を知る他の参加者が彼女を島村卯月と認識しない限り殺し合いの中では露見しないだろうが、ここでは置いておく。
肝心なのは、彼女がアイドルをやっていたということだ。
そしてアイドルといえば、歌とダンスだろう。
それだけではない、と言う人もいるだろうがまずはこの二つが上がると考える。
アイドルが歌とダンスを覚える為にすることは何か、すなわち練習だ。
島村卯月はアイドルだ。それもただのアイドルではない、彼女が所属するプロダクションの中でも看板と言っても差し支えないアイドルだ。
そんな彼女にとって、自らの持ち歌は完璧に歌い、踊ることは最早当たり前。体に染みついていると言ってもいいはずだ。
そんな彼女にとって、自らの持ち歌は完璧に歌い、踊ることは最早当たり前。体に染みついていると言ってもいいはずだ。
再び記憶の話に戻るが、彼女にとってダンスは最早体に染みついている。
別にこの場合に限らず、何度もやって最早頭を使わずに体が覚えている、という経験は誰にでもあるだろう。
これを脳科学では手続き記憶という。
卯月はこの記憶を覚えていたのだ。
別にこの場合に限らず、何度もやって最早頭を使わずに体が覚えている、という経験は誰にでもあるだろう。
これを脳科学では手続き記憶という。
卯月はこの記憶を覚えていたのだ。
そう、彼女が忘れたのはエピソード記憶だけである。それ以外のことは覚えているのだ。
そもそも、本当に全ての記憶を失っていたら、今のように三人を相手にして大立ち回りなどできやしない。
それどころか話すことも、歩くことも、持つこともできなかっただろう。
だからこそ無意識にステップを踏み、体を回転させられたのだ。
そもそも、本当に全ての記憶を失っていたら、今のように三人を相手にして大立ち回りなどできやしない。
それどころか話すことも、歩くことも、持つこともできなかっただろう。
だからこそ無意識にステップを踏み、体を回転させられたのだ。
だがこれはあくまで無意識。卯月自身すら制御できない動き。
故に
故に
「あっ……」
のび太がもう一発レイガンを撃てば、杖を撃ち落とせるのは火を見るよりも明らかだ。
杖を落とした卯月は、気を失ったかのようにドサリと地面にうつ伏せで倒れこむ。
その様はのび太が少し前に見た、人間を操っていたヤドリが倒され、宿主当人が正気を取り戻した時によく似ていた。
杖を落とした卯月は、気を失ったかのようにドサリと地面にうつ伏せで倒れこむ。
その様はのび太が少し前に見た、人間を操っていたヤドリが倒され、宿主当人が正気を取り戻した時によく似ていた。
「大丈夫!?」
倒れこんだ卯月を心配したのび太は慌てて彼女の元へ駆け寄る。
その際、彼は近くに落ちているフリーズロッドを念のため遠くに蹴飛ばしておいた。
その際、彼は近くに落ちているフリーズロッドを念のため遠くに蹴飛ばしておいた。
「あの、私は……」
「もう大丈夫だよ。君は杖に操られていたんだ」
「もう大丈夫だよ。君は杖に操られていたんだ」
少しだけ頭を上げ、何が起こったのか分からないとばかりに不安げな顔を見せる卯月に、のび太は安心させるべく優しい笑顔を向ける。
そんな二人に対し、後ろで控えていたピーチ姫と平野も安心して息をつく。
これでもう大丈夫だと。記憶喪失の少女を助け、この後は彼女の記憶の手がかりを探しながら、ミルドラースを倒すために行動すると。
のび太、ピーチ姫、平野の三人はそう思った。
そんな二人に対し、後ろで控えていたピーチ姫と平野も安心して息をつく。
これでもう大丈夫だと。記憶喪失の少女を助け、この後は彼女の記憶の手がかりを探しながら、ミルドラースを倒すために行動すると。
のび太、ピーチ姫、平野の三人はそう思った。
だがそれは大いなる間違い。
そもそも、卯月が杖に操られていた事実など存在しない。
彼女は自身の意志で杖を振るい、のび太達を殺そうとした。それが真実。
そもそも、卯月が杖に操られていた事実など存在しない。
彼女は自身の意志で杖を振るい、のび太達を殺そうとした。それが真実。
だが今はのび太と戦わず助けられている。これの意味は何か。
心変わり? 情の芽生え?
いいや違う。
心変わり? 情の芽生え?
いいや違う。
氷の魔法使いはとても冷たい。それは魔法だけではなく、心も同じく氷の如く凍てつている。
そのことをのび太達は見切れなかった。
故に
そのことをのび太達は見切れなかった。
故に
「ありがとうございます」
そのツケは、彼らが支払う。
お代はまず一つ。
ピーチ姫と平野はそれを思い知る。
ピーチ姫と平野はそれを思い知る。
「あなたが本当に愚かで」
のび太の体を貫く光の刃が、それを教えてくれる。
「う、嘘じゃ……」
「――のび太さあああああああああああああん!!」
「――のび太さあああああああああああああん!!」
あまりの光景に、平野は思わず現実から目を逸らしたくなるが、ピーチ姫の叫びが彼を現実から逃がさない。
【野比のび太@ドラえもん 死亡】
【残り101名】
【残り101名】
◆
ここで時は遡り、未だ卯月が吹雪を出していたところまで戻る。
彼女はこう考えていた。このまま吹雪を出し続けていれば、いずれ向こうが先に力尽きると。
だが同時にこうも思った。しかし向こうの手札を完全に把握していない以上、何らかの方法で吹雪を無効化されるかもしれない。と。
そこで彼女は自分が持っているデイパックの中を検めた。
だが同時にこうも思った。しかし向こうの手札を完全に把握していない以上、何らかの方法で吹雪を無効化されるかもしれない。と。
そこで彼女は自分が持っているデイパックの中を検めた。
すると中から剣の柄だけが現れる。
卯月は一瞬外れかと思うが、一応説明書きを見るとそこにはこう書いてあった。
卯月は一瞬外れかと思うが、一応説明書きを見るとそこにはこう書いてあった。
『ビームサーベル。
手に持っているとき、持ち手の意志に応じて刃を自在に出せます。切れ味は抜群です。
なお、ス〇ーウォーズのライ〇セイバーではありません』
手に持っているとき、持ち手の意志に応じて刃を自在に出せます。切れ味は抜群です。
なお、ス〇ーウォーズのライ〇セイバーではありません』
一部意味の分からない文章があったが、とりあえず試しに使ってみると、卯月の意志通りに刃が現れる。
これを見た彼女は、ある作戦を思いついた。
これを見た彼女は、ある作戦を思いついた。
卯月は思い返す。
戦い始めたとき、敵の一人である子供がこう言っていたことを。
戦い始めたとき、敵の一人である子供がこう言っていたことを。
『ダメだよ!!あの子、誰かに操られているんだ!!』
そう言った後、彼は杖を壊そうとし、なおかつそれに敵の仲間も異論を挟まなかった。。
つまり、なぜそんな勘違いをしたのか不明だが、彼らは私が持っている杖に操られて殺し合いに乗ったと思い込んでいるのだ。
これは使える。卯月はそう思った。
つまり、なぜそんな勘違いをしたのか不明だが、彼らは私が持っている杖に操られて殺し合いに乗ったと思い込んでいるのだ。
これは使える。卯月はそう思った。
そして立てた作戦はこうだ。
まず、吹雪を無効化する方法があるというのが自分の考えすぎの場合、順当に吹雪を続けて押しつぶす。
念のため移動して、あの銃で撃たれても問題ない位置にいることも忘れずに。
次に、もし吹雪を無効化された場合は、その原因を断つことを優先する。
最後に、それさえもできず杖を落とされた場合は、杖に操られていたふりをしよう。
適当に一度倒れ、何が起きたか分からないふりをすれば向こうは望んだ結末になったと勘違いするだろう。
そこでビームサーベルをあらかじめ懐にしまっておいて、タイミングを見計らって不意打ちすれば一人殺せるはずだ。
まず、吹雪を無効化する方法があるというのが自分の考えすぎの場合、順当に吹雪を続けて押しつぶす。
念のため移動して、あの銃で撃たれても問題ない位置にいることも忘れずに。
次に、もし吹雪を無効化された場合は、その原因を断つことを優先する。
最後に、それさえもできず杖を落とされた場合は、杖に操られていたふりをしよう。
適当に一度倒れ、何が起きたか分からないふりをすれば向こうは望んだ結末になったと勘違いするだろう。
そこでビームサーベルをあらかじめ懐にしまっておいて、タイミングを見計らって不意打ちすれば一人殺せるはずだ。
結果は御覧の通り。
途中、卯月の無意識で体が動くという予想外はあったものの、彼女の杖は弾き飛ばされた。
そのまま敗北したフリをして、近寄ってきたのび太に対し懐のビームサーベルを突き刺し殺害。
卯月の作戦は成功したと言ってもいいだろう。
途中、卯月の無意識で体が動くという予想外はあったものの、彼女の杖は弾き飛ばされた。
そのまま敗北したフリをして、近寄ってきたのび太に対し懐のビームサーベルを突き刺し殺害。
卯月の作戦は成功したと言ってもいいだろう。
そして残り二人はいきなり仲間が死ぬという状況に動揺している。
この機を逃す手はない。
この機を逃す手はない。
卯月はフリーズロッドを落とした。そして拾いに行くには少々時間がかかる。
それは彼女の氷魔法が威力を減らすことを意味する。
だが魔法が使えなくなるわけでは無い。彼女自身の魔力を用いれば、威力が落ちたとしても残り二人位は殺せる。
それは彼女の氷魔法が威力を減らすことを意味する。
だが魔法が使えなくなるわけでは無い。彼女自身の魔力を用いれば、威力が落ちたとしても残り二人位は殺せる。
「死になさい」
卯月の魔力で再び氷柱が空から、まるで嵐のように降って来る。
しかしピーチ姫がこの状況になって己を取り戻し、持っている風神を振るって雹を吹き飛ばそうとした。
だが卯月もそんなことは百も承知。
のび太が死してなお手に持っているレイガンを奪い取り、ピーチ姫に向かって発射。
しかしピーチ姫がこの状況になって己を取り戻し、持っている風神を振るって雹を吹き飛ばそうとした。
だが卯月もそんなことは百も承知。
のび太が死してなお手に持っているレイガンを奪い取り、ピーチ姫に向かって発射。
「難しいですね。銃というものは」
しかし最初の一発は当たらず、その後何発か続けて撃つことでやっと命中。
ピーチ姫の風神を弾き飛ばした。
そのまま卯月は魔法でピーチ姫を凍らせにかかる。
ピーチ姫の風神を弾き飛ばした。
そのまま卯月は魔法でピーチ姫を凍らせにかかる。
「イキマッシュ」
だがここで平野も正気にもどり、マジシャンズ・レッドでピーチ姫の氷を溶かした。
「消えなさい」
そんな平野に卯月がレイガンを乱射しながら突撃する。
だがレイガンの弾は平野に向かい、マジシャンズ・レッドで防がなければ直撃するような軌道の時もあれば、あらぬ方向に向かうこともあった。
走りながら銃を撃ってまともに標的へ命中させるなど、のび太レベルの技量が無ければまず不可能だ。
本来なら隙だらけの行いだが、ピーチ姫を庇わなければならない平野からすれば最悪だ。何せいつ攻撃が味方に飛んでくるのかも分からないのだから。
おまけに霰は未だ止んでいない。
だがレイガンの弾は平野に向かい、マジシャンズ・レッドで防がなければ直撃するような軌道の時もあれば、あらぬ方向に向かうこともあった。
走りながら銃を撃ってまともに標的へ命中させるなど、のび太レベルの技量が無ければまず不可能だ。
本来なら隙だらけの行いだが、ピーチ姫を庇わなければならない平野からすれば最悪だ。何せいつ攻撃が味方に飛んでくるのかも分からないのだから。
おまけに霰は未だ止んでいない。
故に――
「がっ!?」
霰の一つが平野の頭に直撃し、彼は気を失った。
これでもう、攻撃を防ぐことも氷を解かすこともできない。
これでもう、攻撃を防ぐことも氷を解かすこともできない。
「悪あがきもここまでですね」
卯月の冷たい笑みがピーチ姫の心を凍り付かせる。
だが彼女は未だ諦めていなかった。
彼女はデイパックに残っている最後の取り出す。
出てきたのは一枚のカード。それを彼女は迷うことなく使用した。
だが彼女は未だ諦めていなかった。
彼女はデイパックに残っている最後の取り出す。
出てきたのは一枚のカード。それを彼女は迷うことなく使用した。
「対象、平野さん!」
ピーチ姫は必死に叫ぶが、卯月は意にも介さない。
何せ今まで取り出さなかったのだ。もし切り札ならもっと早く使う筈だと、卯月は考える。
そして彼女の考えは正しい。何せこれは戦うためのものではない。
何せ今まで取り出さなかったのだ。もし切り札ならもっと早く使う筈だと、卯月は考える。
そして彼女の考えは正しい。何せこれは戦うためのものではない。
「ぶっとばしなさい!!」
ピーチ姫が叫んだ途端に、何と平野の体が宙に浮き、そのまま虚空へと飛び去って行ってしまった。
これには卯月も思わず目をむいた。
これには卯月も思わず目をむいた。
ピーチ姫の最後の支給品。それは『ぶっとばしカード』だ。
桃太郎電鉄シリーズに登場するカードで、自分以外の対象一人を選んで発動。
効果は相手をランダムな場所飛ばすというものだ。
ピーチ姫は逃げるなら全員で、と決めていたのでこれを使えないものと判断していた。
桃太郎電鉄シリーズに登場するカードで、自分以外の対象一人を選んで発動。
効果は相手をランダムな場所飛ばすというものだ。
ピーチ姫は逃げるなら全員で、と決めていたのでこれを使えないものと判断していた。
ならば卯月をどこかにやればよかったのでは、という言い分もあるだろう。
だがこの殺し合いではこの支給品にも制限がかかり、対象が近くにいないと効果が使えないようになっていたのだ。
だがこの殺し合いではこの支給品にも制限がかかり、対象が近くにいないと効果が使えないようになっていたのだ。
「やってくれますね……」
平野を逃がされ、記憶取り戻すべく優勝するという道のりが遠ざかったことを理解した卯月は苛立ちを見せる。
しかしこれでピーチ姫にはもうなすすべもないことを理解している卯月は、ゆっくりと彼女に近づき少しづつ体を凍らせていく。
しかしこれでピーチ姫にはもうなすすべもないことを理解している卯月は、ゆっくりと彼女に近づき少しづつ体を凍らせていく。
(ごめんなさい、キノコ王国の皆)
ピーチ姫がどんどん自身が凍っていく状況で思うのは、彼女の故郷キノコ王国。
そして――
そして――
(マリオ、ヨッシー、クッパ。どうか、この殺し合いを……)
そして参加者の中で彼女が知る者たちに、どうか殺し合いを止めてくれと願いを込める。
しかしその願いは途中で打ち切られ、美しい姫の氷像は完成。
最後に
しかしその願いは途中で打ち切られ、美しい姫の氷像は完成。
最後に
「ふん」
卯月がビームサーベルでバラバラに引き裂けば、二度と姫の姿は誰の視界にも入らない。
これにて炎と氷の戦い、決着。
これにて炎と氷の戦い、決着。
【ピーチ姫@スーパーマリオくん(コロコロ版) 死亡】
【残り100名】
【残り100名】
【H-7砂浜/黎明】
【島村卯月@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:『禁断の薬』による記憶喪失および性格・容姿の変化、魔力消費(中)、苛立ち(小)
[装備]:ビームサーベル@銀魂、レイガン@大乱闘スマッシュブラザーズX (エネルギー1/5)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:自分の記憶を取り戻すべく、優勝する。
1:全員殺して、記憶を取り戻す。
[備考]
『禁断の薬』を飲んだことにより記憶喪失となっています。またそれに伴い冷酷な性格に変化しています。
そして薬の効果により全身が"氷の魔法使い"として作り替えられたため傷が完治しております。
アイドル時代に培ったステップを無意識に使いこなしています。アイドル関連の記憶を取り戻せば能動的に使えるかもしれません。
[状態]:『禁断の薬』による記憶喪失および性格・容姿の変化、魔力消費(中)、苛立ち(小)
[装備]:ビームサーベル@銀魂、レイガン@大乱闘スマッシュブラザーズX (エネルギー1/5)
[道具]:基本支給品
[思考・状況]基本行動方針:自分の記憶を取り戻すべく、優勝する。
1:全員殺して、記憶を取り戻す。
[備考]
『禁断の薬』を飲んだことにより記憶喪失となっています。またそれに伴い冷酷な性格に変化しています。
そして薬の効果により全身が"氷の魔法使い"として作り替えられたため傷が完治しております。
アイドル時代に培ったステップを無意識に使いこなしています。アイドル関連の記憶を取り戻せば能動的に使えるかもしれません。
◆
そして殺し合いの会場のどこかで、平野は未だ気絶しづけている。
いずれ目覚め、状況を理解した時、彼が何を思うのか。
いずれ目覚め、状況を理解した時、彼が何を思うのか。
それを知る者は、未だ誰もいない。
【???/黎明】
【平野源五郎@真夏の夜の淫夢シリーズ】
[状態]:気絶、頭に傷(小)
[装備]: 鋼の剣@ドラゴンクエストシリーズ マジシャンズ・レッドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険シリーズ
[道具]:基本支給品、台車@現実
[思考・状況]基本行動方針:主催者には正義の鉄槌で、その腐った心を矯正してやろう。
1:…………
[状態]:気絶、頭に傷(小)
[装備]: 鋼の剣@ドラゴンクエストシリーズ マジシャンズ・レッドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険シリーズ
[道具]:基本支給品、台車@現実
[思考・状況]基本行動方針:主催者には正義の鉄槌で、その腐った心を矯正してやろう。
1:…………
[備考]
参戦時期は、悶絶少年 其の伍で「今日は逆さ吊り、鞭責めをしよう(提案)」と言った辺り
頭を打ちましたが、命に別状はありません。
ぶっとばしカード@桃太郎電鉄シリーズ の効果で飛ばされました。どこに飛ばされたかは次の書き手氏にお任せします。
参戦時期は、悶絶少年 其の伍で「今日は逆さ吊り、鞭責めをしよう(提案)」と言った辺り
頭を打ちましたが、命に別状はありません。
ぶっとばしカード@桃太郎電鉄シリーズ の効果で飛ばされました。どこに飛ばされたかは次の書き手氏にお任せします。
※H-7 砂浜にて、以下のものが放置されています。
のび太の死体、バラバラになったピーチ姫の死体。
フリーズロッド@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド、不死川玄也の散弾銃@鬼滅の刃(弾数9/20)、サバイバルナイフ@バトルロワイヤル、強力うちわ「風神」@ドラえもん
のび太のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0~1)、ピーチ姫のデイパック(基本支給品)
のび太の死体、バラバラになったピーチ姫の死体。
フリーズロッド@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルド、不死川玄也の散弾銃@鬼滅の刃(弾数9/20)、サバイバルナイフ@バトルロワイヤル、強力うちわ「風神」@ドラえもん
のび太のデイパック(基本支給品、ランダム支給品0~1)、ピーチ姫のデイパック(基本支給品)
【支給品紹介】
【強力うちわ「風神」@ドラえもん】
野比のび太に支給。
空気抵抗が大きく、軽く扇ぐだけで普通のうちわと同じ風が浴びられるひみつ道具。
普通のうちわと同じように扇ぐと人を吹き飛ばすほどの暴風が出る。
のび太はこのうちわを二つ使い、一つずつ両手に持って、鳥の羽みたいに持って使うことで空を飛ぶアイデアを考えたことがあるが、このロワに支給されたうちわは一つ。
野比のび太に支給。
空気抵抗が大きく、軽く扇ぐだけで普通のうちわと同じ風が浴びられるひみつ道具。
普通のうちわと同じように扇ぐと人を吹き飛ばすほどの暴風が出る。
のび太はこのうちわを二つ使い、一つずつ両手に持って、鳥の羽みたいに持って使うことで空を飛ぶアイデアを考えたことがあるが、このロワに支給されたうちわは一つ。
【ビームサーベル@銀魂】
島村卯月に支給。
ビームサーベ流篇に登場した、辺境の惑星に伝わる剣術に用いられる剣。
普段は柄のみだが、持ち手の意志に応じて光線の刀身が出る仕組み。
というか、名前こそビームサーベルだが実際の所はスター〇ォーズのラ〇トセイバーそのもの。
島村卯月に支給。
ビームサーベ流篇に登場した、辺境の惑星に伝わる剣術に用いられる剣。
普段は柄のみだが、持ち手の意志に応じて光線の刀身が出る仕組み。
というか、名前こそビームサーベルだが実際の所はスター〇ォーズのラ〇トセイバーそのもの。
【ぶっとばしカード@桃太郎電鉄シリーズ】
ピーチ姫に支給。
自分以外の対象一人を選んで使用可能なカード。これを使うと、対象はランダムな場所にぶっ飛ばされる。
使い捨てなので、一度使用するとこのカードは消滅する。
さらにこのロワでは、対象が近くに居なければならないという制限も追加されている。
ピーチ姫に支給。
自分以外の対象一人を選んで使用可能なカード。これを使うと、対象はランダムな場所にぶっ飛ばされる。
使い捨てなので、一度使用するとこのカードは消滅する。
さらにこのロワでは、対象が近くに居なければならないという制限も追加されている。
052:廻廻奇譚───闇を祓って | 投下順 | 054:考察するM/違うものは見える景色 |
025:炎と氷 | 島村卯月 | 059:喪失の果てに |
野比のび太 | GAME OVER | |
ピーチ姫 | ||
平野源五郎 | 059:喪失の果てに |