既に数多もの参加者が脱落し、彼らが遂には拝む事の無かった朝。
その到来を示す太陽が上り始める。死者達を置き去りにして、長い長い夜が明けてゆく。
それに伴い、うっすらと光さす町中。
荒れ果てた荒野の中央に位置する町、パラダイス・パームズ。
今や人気のない閑静な町並み--
その一角もまた、殺し合いにて招かれた参加者による戦場であった。
爆ぜる獄炎と発砲音。返す刀で魔手が這い寄る。
それを尻目に観客は嗤う。
その笑みに醜悪なる悪意を滲ませながら。
その到来を示す太陽が上り始める。死者達を置き去りにして、長い長い夜が明けてゆく。
それに伴い、うっすらと光さす町中。
荒れ果てた荒野の中央に位置する町、パラダイス・パームズ。
今や人気のない閑静な町並み--
その一角もまた、殺し合いにて招かれた参加者による戦場であった。
爆ぜる獄炎と発砲音。返す刀で魔手が這い寄る。
それを尻目に観客は嗤う。
その笑みに醜悪なる悪意を滲ませながら。
◆◆◆
--『馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なァ!? わ、私は、私は何を、何をしているのデスか? 何をしてしまったのデスか? なぜ、なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜェ!? ならば私は何のために、こんな……あぁ! ああ!? あああっぁあああ!!』
--『馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿な馬鹿なァ!? わ、私は、私は何を、何をしているのデスか? 何をしてしまったのデスか? なぜ、なぜなぜなぜなぜなぜなぜなぜェ!? ならば私は何のために、こんな……あぁ! ああ!? あああっぁあああ!!』
敬虔なる教徒は己が正気を失った。守るべき者の殺害を以て。
◆◆◆
◆◆◆
「お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しをぉぉぉぉ-------」
おぞましき狂信者にして殺人者--ペテルギウス・ロマネ・コンティはただ悔いる。
自らが信仰せし魔女、その寵愛をあろうことか汚した罪人--野崎春花をみすみす取り逃がした
ことを。
しかもその理由が魔女教徒にとっての経典--魔女の福音書を見間違えたことである。
それが魔女教徒の中でも突出した信仰心を持つペテルギウスに深い悔恨を苛んだ。そうして生まれた悔恨は、烈火の如き怒りへと変貌した。
魔女からの多大なる寵愛、それを身に受けながらも何も為せずにいた自らへの怒りを今もぶつけ続けていた。
日が上り、夜の帳も薄れ始めた今なお、自らの怠惰に怒り狂う。
何度も何度も何度も、ペテルギウスは壁に頭をぶつけていた。
自らが信仰せし魔女、その寵愛をあろうことか汚した罪人--野崎春花をみすみす取り逃がした
ことを。
しかもその理由が魔女教徒にとっての経典--魔女の福音書を見間違えたことである。
それが魔女教徒の中でも突出した信仰心を持つペテルギウスに深い悔恨を苛んだ。そうして生まれた悔恨は、烈火の如き怒りへと変貌した。
魔女からの多大なる寵愛、それを身に受けながらも何も為せずにいた自らへの怒りを今もぶつけ続けていた。
日が上り、夜の帳も薄れ始めた今なお、自らの怠惰に怒り狂う。
何度も何度も何度も、ペテルギウスは壁に頭をぶつけていた。
◆◆◆
--『あ、頭が割れるように痛い!………わたしは……わたしはだれなんですか!?』
--『あ、頭が割れるように痛い!………わたしは……わたしはだれなんですか!?』
シンデレラは自分の記憶を失った。この殺し合いに招かれた不運によって。
◆◆◆
◆◆◆
「......してやられましたね。」
冷徹なる雪の女王にして殺人者--島村卯月はただ悔いる。
先程の戦いにおいて生き残った男、平野源五郎を逃がしたことは失敗だった。
自らが所有するフリーズロッド--それと相反する炎を操る能力。
あの三人組の中でも最も厄介だったと言って差し支えないだろう。
幸い飛んでいった方向は把握している。このまま追い詰め、早急に始末すべきと卯月は判断を下す。その為にも今しがた殺した二人の参加者の支給品。これを回収しておく。まだまだ目標の優勝までの道のりは険しい。先程の相手とは違い自らを殺しにかかってくる相手も居るだろう。このバトル・ロワイアルに招かれし有象無象を一人で相手取るには厳しいものがある。故にこそ戦いにおいての手段を多く取れるようにと支給品を回収した。あの三人組に勝つことができたのは紛れもなく自らの支給品の存在が大きい。ならばこれを回収しない手はないだろう。
先程の戦いにおいて生き残った男、平野源五郎を逃がしたことは失敗だった。
自らが所有するフリーズロッド--それと相反する炎を操る能力。
あの三人組の中でも最も厄介だったと言って差し支えないだろう。
幸い飛んでいった方向は把握している。このまま追い詰め、早急に始末すべきと卯月は判断を下す。その為にも今しがた殺した二人の参加者の支給品。これを回収しておく。まだまだ目標の優勝までの道のりは険しい。先程の相手とは違い自らを殺しにかかってくる相手も居るだろう。このバトル・ロワイアルに招かれし有象無象を一人で相手取るには厳しいものがある。故にこそ戦いにおいての手段を多く取れるようにと支給品を回収した。あの三人組に勝つことができたのは紛れもなく自らの支給品の存在が大きい。ならばこれを回収しない手はないだろう。
(飛んで行ったあの男......一体何処に?)
支給品を回収し終え、平野を追い詰める為に地図を開く。
平野が飛ばされた方向はl-8。
そこには会場の南東に広がる広大な荒野。その中心部にある町を通る。
この場に集った参加者は111人。その中には目立つ位置に陣取って他の参加者とのコンタクトを取ろうとする者も居るだろう。
その仮説から、町には平野以外の参加者もいるのではないか、と予測する。
平野が飛ばされた方向はl-8。
そこには会場の南東に広がる広大な荒野。その中心部にある町を通る。
この場に集った参加者は111人。その中には目立つ位置に陣取って他の参加者とのコンタクトを取ろうとする者も居るだろう。
その仮説から、町には平野以外の参加者もいるのではないか、と予測する。
(まぁ、例えどれ程数が居ようと同じ事です。)
ならば仕留めきれなかった平野ごと町に居る参加者全てを殺す。
全ては記憶を取り戻す為に。
フリーズロッドを片手に、のび太が使っていた散弾銃--不死川玄也の散弾銃をもしもの為の保険として懐に忍び込ませる。
まだ姿も、数すらもわからぬ敵に殺意を固め、黎明の荒野をただ進む。
全ては記憶を取り戻す為に。
フリーズロッドを片手に、のび太が使っていた散弾銃--不死川玄也の散弾銃をもしもの為の保険として懐に忍び込ませる。
まだ姿も、数すらもわからぬ敵に殺意を固め、黎明の荒野をただ進む。
そうして日が上り--雪の女王は早朝の町へと、狂信者の潜む魔境へと足を踏み入れた。
朧気に光が差し込み始めるパラダイス・パームズ。
町を突っ切る道路上を冷徹なる女王が闊歩する。町に集いし者共を等しく氷塊にせんとする為に。
そうして見つけたのは壁の壊れた家屋。そこから覗いているモノは二つ。
本がぎっしりと敷き詰められた本棚。
もう一つは。
町を突っ切る道路上を冷徹なる女王が闊歩する。町に集いし者共を等しく氷塊にせんとする為に。
そうして見つけたのは壁の壊れた家屋。そこから覗いているモノは二つ。
本がぎっしりと敷き詰められた本棚。
もう一つは。
「お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!お許しを!!」
愛を捧げし魔女への懺悔を続ける壊れてしまった狂信者。『怠惰』の名を冠した大罪司教、ペテルギウス・ロマネコンティ。
その頭に流れる滂沱の血液。
それにペテルギウスは構うことなく許しを乞い続ける。
卯月も彼の凶行を見てもさして気にも留めずに声をかける。
その頭に流れる滂沱の血液。
それにペテルギウスは構うことなく許しを乞い続ける。
卯月も彼の凶行を見てもさして気にも留めずに声をかける。
「ねぇ、そこのあなた。あなたも参加者かしら?」
「おや?おやおやおや?そう言うアナタも......参加者の様デスね?」
「おや?おやおやおや?そう言うアナタも......参加者の様デスね?」
ペテルギウスは卯月の声を聞き、夜通し行われた懺悔をついに止めた。
その顔には涙が、血がぐちゃぐちゃに混じり合っている。
元々怪人めいた容貌をしていたペテルギウスは更にその異質さを増していた。
その様はかつて卯月が遭遇したゴブリンにすら勝るおぞましさである。
その顔には涙が、血がぐちゃぐちゃに混じり合っている。
元々怪人めいた容貌をしていたペテルギウスは更にその異質さを増していた。
その様はかつて卯月が遭遇したゴブリンにすら勝るおぞましさである。
(こんな汚らわしい生物まで集めているとは....この殺し合いの主催者も物好きですね。)
しかしそんな異質な人物にさえ動じずに言葉を交わす辺り、卯月もやはり常軌を逸している存在であることは間違いないであろう。
どうやらその見た目の割に話が通じる男の様だ。
とりあえず自らの望む情報--すなわちかつての島村卯月について知っていればそれでいい。
どうやらその見た目の割に話が通じる男の様だ。
とりあえず自らの望む情報--すなわちかつての島村卯月について知っていればそれでいい。
(もしもわたしがこんな汚らわしいモノと知り合いなんてことは考えたくはないけれどね。)
そう内心一人ごちながら卯月は自らの名前すら名乗らず質問を始めた。
冷徹なる雪の女王と愛に狂いし狂信者の情報交換は所々騒がしくあれど、淡々と進んでいった。
冷徹なる雪の女王と愛に狂いし狂信者の情報交換は所々騒がしくあれど、淡々と進んでいった。
「どうやら、あなたもわたしの記憶については心当たりがないみたいね。」
「貴方こそ.....私の福音書についても知らない様デスね。」
「貴方こそ.....私の福音書についても知らない様デスね。」
運も悪くお互いに望みの情報は持っていなかった。ならばもう互いに語る言葉は不要である。
本来ならばこの先の方針、目的地や同行の可不可を問うのが定石だ。しかし彼らは殺人者。他の命を奪う事を是とする者達。故にこそ。
本来ならばこの先の方針、目的地や同行の可不可を問うのが定石だ。しかし彼らは殺人者。他の命を奪う事を是とする者達。故にこそ。
「まぁ、いいわ。例え情報が無くとも他の参加者に会えてわたしとしては僥倖よ。」
「--えぇ。ワタシからしても、とても僥倖、デス!」
「--えぇ。ワタシからしても、とても僥倖、デス!」
--ならば彼女を贄とし怠惰なる骸を晒すことで、魔女への愛に、猛烈に、鮮烈に、凄烈に、勤勉に報いるのデス!!
--ならもう用済みね。あなたはもう死になさい。
互いが相手に求めるモノは一つ。
愛が為の贄を。
願いの為の犠牲を。
二人はこれ以上交わす言葉も無く。
ただただ互いの死を求める。
愛が為の贄を。
願いの為の犠牲を。
二人はこれ以上交わす言葉も無く。
ただただ互いの死を求める。
ひゅう、と一筋の風が二人の頬を撫でる。
それを合図に居合わせた殺人者達の戦端は開かれた。
夜が明けても何ら変わらず殺し合いは続いてゆく--それを知らしめるかの様に。
それを合図に居合わせた殺人者達の戦端は開かれた。
夜が明けても何ら変わらず殺し合いは続いてゆく--それを知らしめるかの様に。
◆◆◆
--『う、嘘じゃ……』
--『う、嘘じゃ……』
束縛師は共に戦う仲間を失った。
その光景が朧気にも甦る。
まだまだ垢抜けない、それでいて芯に確かな強さを内包した少年。
例え敵であってもその甘さを、優しさを捨てなかった少年。
目を逸らす寸前。
束縛師は確かに目の当たりにした。
その背に走る光刃を。
溢れる血潮を。
少年の死に様を。
その光景が朧気にも甦る。
まだまだ垢抜けない、それでいて芯に確かな強さを内包した少年。
例え敵であってもその甘さを、優しさを捨てなかった少年。
目を逸らす寸前。
束縛師は確かに目の当たりにした。
その背に走る光刃を。
溢れる血潮を。
少年の死に様を。
--『――のび太さあああああああああああああん!!』
もう一人の仲間の叫びが男の意識を現実に引き戻す。
そうだ。まだ仲間は残っている。
せめて彼女は--
そうして魔術師を従えるSMバーの束縛師は遂に目覚めた。
◆◆◆
そうだ。まだ仲間は残っている。
せめて彼女は--
そうして魔術師を従えるSMバーの束縛師は遂に目覚めた。
◆◆◆
(のび太君!!!)
平野源五郎は町の一角にて目を覚ました。瞬間、脳裏によぎるのは
野比のび太の死。少年の背中から生える光の刃を鮮明に写し出した。
野比のび太の死。少年の背中から生える光の刃を鮮明に写し出した。
「くそっ!ここは一体何処なんじゃ!?ピーチ姫は!?」
一も二もなく飛び上がり、町の様相を探る。もう一人の仲間、ピーチ姫。もしかしたら彼女がまだ戦っているのかもしれない--その不安から急いで町を駆け抜ける。
これ以上仲間を失う訳にもいかない。
何処なんだ。
何処にいる。
必死に仲間の在処を探す平野。
黎明となった空もうっすらと明け始めている。
もしかしたらピーチ姫も死んでしまったのか--
溢れ出る不安に蓋をして、捜索を続ける平野。
がむしゃらに走り回って平野が辿り着いたのは、町に広がる唯一の道路。
ひゅう、と一筋の風が鳴き、それと同時に平野が飛び出す。
そこで男が見たモノは。
これ以上仲間を失う訳にもいかない。
何処なんだ。
何処にいる。
必死に仲間の在処を探す平野。
黎明となった空もうっすらと明け始めている。
もしかしたらピーチ姫も死んでしまったのか--
溢れ出る不安に蓋をして、捜索を続ける平野。
がむしゃらに走り回って平野が辿り着いたのは、町に広がる唯一の道路。
ひゅう、と一筋の風が鳴き、それと同時に平野が飛び出す。
そこで男が見たモノは。
のび太を殺した女、吹雪を放つ氷の魔法使いとその眼前に迫る黒き手であった。
島村卯月とペテルギウス・ロマネコンティの戦いは、平野が辿り着いた時には既に勝敗は決していた。実に彼女達が殺し合いを始めて1分もしないうちに、いとも呆気なく。
卯月の操る絶対零度の吹雪。それを以てしてもペテルギウスには勝てはしない。
狂信者の操る権能。
それは魔女からの寵愛の証。
何人もその「手」の姿を認める事すら叶わぬだろう。
攻撃されたという事実すら認識を許さぬ不可視の魔手。
それはこのバトル・ロワイアルにおいても機能していた。
故に卯月は自分が何をされたかすら解らずに、雪の女王たる力を披露するまでもなく魔女への贄と化すのだろう。
そこに一人の参入者が来なければ。
狂信者の操る権能。
それは魔女からの寵愛の証。
何人もその「手」の姿を認める事すら叶わぬだろう。
攻撃されたという事実すら認識を許さぬ不可視の魔手。
それはこのバトル・ロワイアルにおいても機能していた。
故に卯月は自分が何をされたかすら解らずに、雪の女王たる力を披露するまでもなく魔女への贄と化すのだろう。
そこに一人の参入者が来なければ。
「危ない!!」
平野のタックルが卯月を押し退け、二人纏めて地に伏せる。
そのタイミングにより、卯月の武器やデイパックが飛んで行く。
卯月は避けきれなかったのか顔に一本の赤い筋が入る。
そのタイミングにより、卯月の武器やデイパックが飛んで行く。
卯月は避けきれなかったのか顔に一本の赤い筋が入る。
「な--」
何が起こったのか、と卯月は思う。顔にできた傷は何に依るものか、未だに解らずにいる。
「お主はそこでおとなしくしていろ。そして男。お前は殺し合いに乗っているのか?」
平野の中にあるのは心優しい少年の。今しがた助けた少女に殺された仲間の。野比のび太の遺志だ。
彼は最期まで卯月の身を案じていた。だとするならば。例え彼女がのび太を殺していたとしても。これ以上誰の犠牲も出しはしない。そう決意を固め、狂信者へと向き合う。
彼は最期まで卯月の身を案じていた。だとするならば。例え彼女がのび太を殺していたとしても。これ以上誰の犠牲も出しはしない。そう決意を固め、狂信者へと向き合う。
「--貴方は......あなたは見えていないはずです......見えざる手がみえ、見える?私以外にもふた......二人も!?!?おのれ、おのれぇ!!!」
平野の問いなど耳に入らず、ペテルギウスは怒り狂う。自らの寵愛たる権能の姿を認め、汚したのだ。到底許せるものではない。故に、その狂気は言わずもがな平野に向けられる。
「--お前は人殺しとは言え、記憶を失った少女を殺そうとした。」
「けしからん 私が喝を 入れてやる」
「おのれおのれおのれおのれおのれぇ!!あってはならないのデス!!そのようなことがあっていいはずがないのデス!!!」
「けしからん 私が喝を 入れてやる」
「おのれおのれおのれおのれおのれぇ!!あってはならないのデス!!そのようなことがあっていいはずがないのデス!!!」
激昂した司教の権能を『魔術師の赤』によって弾く。肉弾戦こそかつてペテルギウスと交戦したスタンド、『星の白銀』には劣れど、敵からの攻撃を防ぐ分には申し分ない。しかし、さしもの『魔術師の赤』も止めどなく遅い来る魔の手に防戦一方を強いられる。
そんな最中、戦火より幾分か離れた位置で卯月は現状の打破の為に思案を巡らせていた。
卯月は冷静に考える。
これはチャンスだ--と。
どうやら平野は眼前の男の攻撃が読める、と。
事実、自分では視認すら叶わぬ不可視の攻撃に対処してのけている。
しかし、どうも平野が圧され気味だ。
ならば今、殺すべきは--
そんな最中、戦火より幾分か離れた位置で卯月は現状の打破の為に思案を巡らせていた。
卯月は冷静に考える。
これはチャンスだ--と。
どうやら平野は眼前の男の攻撃が読める、と。
事実、自分では視認すら叶わぬ不可視の攻撃に対処してのけている。
しかし、どうも平野が圧され気味だ。
ならば今、殺すべきは--
「死になさい。」
雪の女王の牙は、容赦なく狂信者へと剥いた。
「--な!?」
放つは支給品、かつての鬼狩りが、自らが殺した少年が使っていた散弾銃。それを放った。
しかし、それも『見えざる手』により弾かれる。
これで不可視の手の存在を把握した。
しかし、それも『見えざる手』により弾かれる。
これで不可視の手の存在を把握した。
「その様な手立てで!小細工で!私の忠誠を!信仰を!勤勉を!打ち倒せるものか--あぁ、怠惰!怠惰!怠惰!怠惰!怠惰--」
「そうみたいね。」
「おい、これはどういう--」
「まずはあの男に対処しなさい。まず私はあの男の攻撃は見えません。なのであなたが攻撃を防ぎなさい。」
「そうみたいね。」
「おい、これはどういう--」
「まずはあの男に対処しなさい。まず私はあの男の攻撃は見えません。なのであなたが攻撃を防ぎなさい。」
女王はどこまでも冷静に、冷徹に判断を下した。
優勝という目的の為に平野を利用し厄介な参加者達を殺す。
そも一人で参加者を全て殺すなどどだい無理な話だ。
実際、卯月は平野達三人相手にかなり追い詰められ、ペテルギウスには殺されかけたのだ。
ならばこちらも味方を作り、利用しつくした方が利口だ。
内心ほくそ笑みながら卯月はペテルギウスへと散弾銃を構える。
平野が何か卯月に言い返すより先に、ペテルギウスの『見えざる手』が迫って来た。
優勝という目的の為に平野を利用し厄介な参加者達を殺す。
そも一人で参加者を全て殺すなどどだい無理な話だ。
実際、卯月は平野達三人相手にかなり追い詰められ、ペテルギウスには殺されかけたのだ。
ならばこちらも味方を作り、利用しつくした方が利口だ。
内心ほくそ笑みながら卯月はペテルギウスへと散弾銃を構える。
平野が何か卯月に言い返すより先に、ペテルギウスの『見えざる手』が迫って来た。
少年の遺志を継いだ束縛師。その想いに応える為に赤き魔術師は並び立つ。
冷徹なる雪の女王。凍りついた心は未だ溶けず、静かに殺意を研ぎ澄ます。そうして望むは在りし日のシンデレラただ一人。
愛に狂いし狂信者。その狂気は衰えを知らず、ただ勤勉に魔女への供物を捧げ続ける。
冷徹なる雪の女王。凍りついた心は未だ溶けず、静かに殺意を研ぎ澄ます。そうして望むは在りし日のシンデレラただ一人。
愛に狂いし狂信者。その狂気は衰えを知らず、ただ勤勉に魔女への供物を捧げ続ける。
◆◆◆
--『ブッ殺してやる』
--『ブッ殺してやる』
それは正に惨劇。幼い命のおぞましき散り様。それを目の当たりにして憎悪に狂った父親。情の熱さは、家族への愛情は本物とは変わらない。そんな偽りの父親は愛する息子を失った。その下手人は。相も変わらず悲劇を求めて動き出す。
◆◆◆
暗闇に包まれた下水道。
日が上り、暗闇に一筋の光が差し込む。
開けられたマンホールから解き放たれた悪意は戦場を眺めていた。
◆◆◆
暗闇に包まれた下水道。
日が上り、暗闇に一筋の光が差し込む。
開けられたマンホールから解き放たれた悪意は戦場を眺めていた。
--面白い。
それが観客、真人が戦っている三人に抱いた感想だ。彼らの特殊な力も目を引くが、何より面白いのは彼らの魂だ。
それが観客、真人が戦っている三人に抱いた感想だ。彼らの特殊な力も目を引くが、何より面白いのは彼らの魂だ。
正気を失った信徒。この男の魂は揺れに揺れている。魔女への信仰心。既に壊れた男が唯一すがれる最後の砦。そこから彷彿とするのは今しがた戦った鉄人、ロボひろし。もしも彼が息子への生き返りに執着した時にはあのように変貌を遂げるのか--その様を想像し溢した笑みを深くする。
記憶を失ったシンデレラ。彼女の魂は揺れていない。人と人とが殺し合う、その現状を知って尚揺らいでいない。不思議な人間もいるもんだなぁ。そう感慨を抱き視線を移す。
仲間を失った束縛師。男の魂もまた揺らぎがない。野比のび太の死を乗り越え、その心に強固なる意志が芽生えている。
もしもロボひろしが息子の死を乗り越えたら、あの様に強い在り方になるのだろう。そうなったらつまんないなぁ、と想像して少し顔をしかめる。
もしもロボひろしが息子の死を乗り越えたら、あの様に強い在り方になるのだろう。そうなったらつまんないなぁ、と想像して少し顔をしかめる。
だが彼らに如何程の意志が、決意があったとしても、悪意はそれら
を悲劇へと引きずり込む物だ。
を悲劇へと引きずり込む物だ。
(もしももう少し呪力が回復したら、僕も混ざってみようかなぁ。)
底なしの悪意は下水道の暗闇の中、醜悪な笑みをひとつ浮かべた。
【I-8 パラダイス・パームズ/早朝】
【ペテルギウス・ロマネコンティ@Re:ゼロから始める異世界生活】
[状態]:健康、興奮(大)、盗人(主催者)への怒り(大)、寵愛を汚した平野への怒り(極大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:脱出優先。必要なら勤勉に優勝を目指す。
1:寵愛を汚した平野を殺す。卯月はその次。
2:我が福音書を取り戻すのデス!
3:『見えざる手』を私以外が見ることが叶うなど、あってはならないのデス!
[備考]
野崎春花、平野源五郎が『見えざる手』を視認できることを認識しました。
不可視の『見えざる手』は、少なくともスタンド使いなら視認できるようです。
憑依に関する制限は後続の書き手に任せます。
[状態]:健康、興奮(大)、盗人(主催者)への怒り(大)、寵愛を汚した平野への怒り(極大)
[装備]:
[道具]:基本支給品、ランダム支給品×3
[思考・状況]基本行動方針:脱出優先。必要なら勤勉に優勝を目指す。
1:寵愛を汚した平野を殺す。卯月はその次。
2:我が福音書を取り戻すのデス!
3:『見えざる手』を私以外が見ることが叶うなど、あってはならないのデス!
[備考]
野崎春花、平野源五郎が『見えざる手』を視認できることを認識しました。
不可視の『見えざる手』は、少なくともスタンド使いなら視認できるようです。
憑依に関する制限は後続の書き手に任せます。
【島村卯月@アイドルマスター シンデレラガールズ】
[状態]:『禁断の薬』による記憶喪失および性格・容姿の変化、魔力消費(中)
[装備]:不死川玄也の散弾銃@鬼滅の刃(弾数8/20)
[道具]:
[思考・状況]基本行動方針:自分の記憶を取り戻すべく、優勝する。
1:全員殺して、記憶を取り戻す。
2 : 平野を利用し、ペテルギウスを殺す。
[状態]:『禁断の薬』による記憶喪失および性格・容姿の変化、魔力消費(中)
[装備]:不死川玄也の散弾銃@鬼滅の刃(弾数8/20)
[道具]:
[思考・状況]基本行動方針:自分の記憶を取り戻すべく、優勝する。
1:全員殺して、記憶を取り戻す。
2 : 平野を利用し、ペテルギウスを殺す。
[備考]
『禁断の薬』を飲んだことにより記憶喪失となっています。またそれに伴い冷酷な性格に変化しています。
そして薬の効果により全身が"氷の魔法使い"として作り替えられたため傷が完治しております。
アイドル時代に培ったステップを無意識に使いこなしています。アイドル関連の記憶を取り戻せば能動的に使えるかもしれません
『禁断の薬』を飲んだことにより記憶喪失となっています。またそれに伴い冷酷な性格に変化しています。
そして薬の効果により全身が"氷の魔法使い"として作り替えられたため傷が完治しております。
アイドル時代に培ったステップを無意識に使いこなしています。アイドル関連の記憶を取り戻せば能動的に使えるかもしれません
【平野源五郎@真夏の夜の淫夢シリーズ】
[状態]:頭に傷(小)、固い決意
[装備]: 鋼の剣@ドラゴンクエストシリーズ マジシャンズ・レッドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険シリーズ
[道具]:基本支給品、台車@現実
[思考・状況]基本行動方針:主催者には正義の鉄槌で、その腐った心を矯正してやろう。
1: 卯月と共にペテルギウスを止める。殺しはしない。
2:闘いが終わったら卯月にピーチ姫の安否を確かめる。
[状態]:頭に傷(小)、固い決意
[装備]: 鋼の剣@ドラゴンクエストシリーズ マジシャンズ・レッドのDISC@ジョジョの奇妙な冒険シリーズ
[道具]:基本支給品、台車@現実
[思考・状況]基本行動方針:主催者には正義の鉄槌で、その腐った心を矯正してやろう。
1: 卯月と共にペテルギウスを止める。殺しはしない。
2:闘いが終わったら卯月にピーチ姫の安否を確かめる。
[備考]
参戦時期は、悶絶少年 其の伍で「今日は逆さ吊り、鞭責めをしよう(提案)」と言った辺り
頭を打ちましたが、命に別状はありません。
参戦時期は、悶絶少年 其の伍で「今日は逆さ吊り、鞭責めをしよう(提案)」と言った辺り
頭を打ちましたが、命に別状はありません。
【真人@呪術廻戦】
[状態]:呪力消耗(大)、喜び
[装備]:大量の改造人間(ゴブリン数体を含む)@呪術廻戦+他、変身の指輪@Fate/Grand Order
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:呪霊として殺し合いに参加する。
1:皆殺し。
2:宿儺の器を探す。
3:領域展開の兆しは見えた。後は試す相手か。
4:改造人間に渡した指、どうにか回収できないかな。
[備考]
※原作16話より参戦です。
※領域展開をなんとなく感じましたが、
似たような状態にならないとできないかもしれません。
※F2000Rを模して改造人間を弾丸にすることを覚えました。
やってることはぶっちゃけ原作のサイコガンもどきのあれです。
※数体ゴブリンを改造人間としてストックしています。
[状態]:呪力消耗(大)、喜び
[装備]:大量の改造人間(ゴブリン数体を含む)@呪術廻戦+他、変身の指輪@Fate/Grand Order
[道具]:なし
[思考・状況]
基本行動方針:呪霊として殺し合いに参加する。
1:皆殺し。
2:宿儺の器を探す。
3:領域展開の兆しは見えた。後は試す相手か。
4:改造人間に渡した指、どうにか回収できないかな。
[備考]
※原作16話より参戦です。
※領域展開をなんとなく感じましたが、
似たような状態にならないとできないかもしれません。
※F2000Rを模して改造人間を弾丸にすることを覚えました。
やってることはぶっちゃけ原作のサイコガンもどきのあれです。
※数体ゴブリンを改造人間としてストックしています。
フリーズロッド@ゼルダの伝説 ブレスオブザワイルドとデイパックが地面に落ちています。
デイパックの中身はサバイバルナイフ@バトルロワイヤル、強力うちわ「風神」@ドラえもんビームサーベル@銀魂、レイガン@大乱闘スマッシュブラザーズX (エネルギー1/5)
のび太の支給品(基本支給品、ランダム支給品0~1)、ピーチ姫の基本支給品です。
デイパックの中身はサバイバルナイフ@バトルロワイヤル、強力うちわ「風神」@ドラえもんビームサーベル@銀魂、レイガン@大乱闘スマッシュブラザーズX (エネルギー1/5)
のび太の支給品(基本支給品、ランダム支給品0~1)、ピーチ姫の基本支給品です。
058:消えない 消えない 炎の影 | 投下順 | 060:苦いものはまだ嫌いなの |
053:とけないこおり | 島村卯月 | 078:コスモダンサー(前編) |
平野源五郎 | ||
032:掴む者、離す者、離れる者 | ペテルギウス・ロマネコンティ | |
052:廻廻奇譚───闇を祓って | 真人 |