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  • 幼魚と逆罰

コンペ・ロワイアル@ウィキ

幼魚と逆罰

最終更新:2025年07月02日 22:30

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最早異形となり果てた元人間の怪物たちに、一人の少女が運ばれていく。
気を失い、未だ目を覚まさぬ少女。
自力での脱出は不可能だ。
そして、囚われの少女を助けに来るものもいない。
彼女の仲間だった父たる鉄人は、憎悪に身を焦がし、己の息子の仇と死闘を繰り広げていた。
そして、彼女の同胞であり家族である、星光の殲滅者も、
闇統べる王も、砕けえぬ闇も、この地にはいない。
都合よく、見ず知らずの少女を助けようとする正義の徒も通りかからなかった。
だから、彼女を誰も助けないのは当然の帰結だった。
そして、それ故に。


「ん……」


気を失った彼女の口に、指をねじ込む異形の怪物の手を阻むものはなく。
ごくりと。
五本の指全てを、レヴィ・ザ・スラッシャーは嚥下した。
異形の人間達の体が弾けたのは、その数秒後の事だった


◆


「……お、よしよし。あったあった」


特級呪霊と父なる鉄人の死闘の後。
最後の役者であった盗作者、佐々木哲平は辺りに散らばった支給品を回収していた。
漫画さながらに半壊した店内におっかなびっくり足を踏み入れ、突き立っていた刀を回収する。
その次に打ち捨てられたバズーカと、二人分のデイパックを回収した。
当然、刀もバズーカも哲平には扱えるはずもない。
だが放置しておいて、もし危険な人物の手に渡ったら…
そう考えると、回収しないわけにはいかなかった。
この地には危険な人間が少なくとも一人はいるのだ。
ここで武器を回収しておけば、藍野伊月を守る際に役に立つかもしれない。


「あ…」


そんな時に目に入る、無理やり人間を引き延ばしたらこうなるだろうかという印象を抱く怪物の遺体。
この子が、あのロボットの。
思わず、息をのむ。
いったいどうすれば、人間をこんな風に変えてしまえるのだろうか。
腐っても哲平だって漫画家だ。
少年誌のみならず、青年誌だって一通り目を通している。
その中には目を覆いたくなるような惨たらしい描写のものもあった。
だが、だがこれは。


「悪趣味が過ぎるだろ…」


吐き捨てるようにつぶやきを漏らす。
少なくとも、自分は岸部露伴とは違う。
この死体を見ても、沸いてくるのは下手人への怒りと悲しみだけで。
目の前にあるクリーチャーの死体を、漫画に活かそうとは思えなかった。
それは盗作者である彼が、それでもまだ人として失ってはいけない物を持っていた証拠だった。
哲平は静かに手を合わせて、目の前の少年の冥福を祈った。


「ん…?」


そんな時だった。
怪物から少し離れた場所に、気になるものを見つけたのは。


「こ、これは……」


見つけたのは、薄く青がかった人の指だった。
呪術師ではない哲平にもわかる。
これはいわくつきの代物だと。
そんな指が十本も揃って放置されていた。
どうするか、と思案を巡らせる。
刀やバズーカと違って、目に見えて凶器になるとは考えにくい。
不気味だし、置いていきたいというのが正直なところだった。


(……い、いやいやいや!明らかにやばそうだし、これも持っていこう!!)


此処は怪物やロボットが跋扈する戦場だ。
それなら幽霊だっているかもしれない。
もし悪意を持った霊的存在が、このいわくありげな指を手に入れればどうなるか。
それを想像しただけで、血の気がさぁっと引いていく。
漫画家の哲平らしい発想だった。
そして、そんな彼の予想は的を射ていた。

指の正体は特級呪物、両面宿儺の指の死蝋。
人でいう赤子に相当する呪胎と呼ばれる呪霊を、特級まで引き上げる最上級の忌み物だ。
もし仮にNPCのゴブリンがこの指を手に入れていた場合、
即座にチャンピオンクラスまで危険度は跳ね上がっていただろう。
だから、とりあえずデイパックに回収しようとした彼の判断は間違っていない。
間違ってはいないがーーーー


「……へ?」


彼は、どうしようもなく間が悪かった。 
まず聞こえたのは「キンッ」という、甲高い音。
なんだろう、そう思えたのは一瞬だった。
それに続くように、右手が燃えるような熱を帯びたから。
といっても正確には、二の腕の先だ。
だってーーー彼の右手は、二の腕から先が消失していたから。


―――え?


分からない。
思考が追い付かない。
だってこれじゃあ、もう利き手でペンが握れない。
これじゃあ、もう、漫画が描けないじゃないか。
これじゃあ、もう―――――、


「ぎ、ぃ…?いいいいいいあああああああッッ!?!?!?!?」


頭の中で疑問の残響が木霊した直後の事だった。
彼に、灼熱の痛みが殺到したのは。
蛇口の壊れたホースのように、面白いように噴出する鮮血。
まともに立っていることなんて、できるはずもない。
よろよろとできそこないのダンスを踊って。
周囲に赤い花を咲かせながら、地面に倒れこむ。


「ケヒッ!ケヒッ!ヒヒッ」


壮絶な痛苦の中、耳朶がとらえるのは少女の笑い声。
必死に右手を残った手で押さえて、涙で歪む視界で声の主を見る。
そこに立っていたのは、声色と同じ幼い少女だった。
青いツインテールの髪に、快活そうな顔立ち。小学生程の背丈。
ロボひろしに聞かされた、レヴィという少女の特徴と一致していた。
だが、これは違う。
“これ”があのロボットと行動を共にしていたなど、哲平には信じられなかった。
少女の顔に奔る黒の紋様。
暴力的なまでの存在感。
さっき出会った体を自由自在に変化させる怪物をはるかに超える、圧倒的邪悪!


「あッがッ…あぁ……き、君は…」


此処までの行動に、佐々木哲平に落ち度はほとんどなかった。
殺し合いを是としない者として支給品の回収を行うのは当然の行いだ。
そのあと、怪物へと変貌させられた少年の冥福を祈り手を合わせたことも。
明らかに曰くつきの指を回収しようとしたことも、それ単体では全くミスはない。
だがミスがない、だけでは不足な場面が人生には得てしてあるものだ。
この状況を回避するには、一にも二にも、直ぐにこの場所を離れるべきだった。
支給品を回収するという一見合理的な選択が、彼にとっての最悪を招いたのだ。


「これは俺のものだ、汚い手で触れようとしたのが間違いだったな」


地に這いつくばる哲平を嘲笑しながら少女は悠々と脇を通り抜け、十本の指を拾う。
そして―――十本まとめて飲み込み、嚥下した。
その様を見て、哲平は直感する。
これはさっきのあの男と同じ存在だ。
この少女は―――呪いだ。それも、さっきの男よりもずっと強い。
それを確信すると同時に、自身の末路をも、悟ってしまう。
戦う?無理だ。右手を失った状態で逆立ちしても勝てる相手ではない。
逃げるのも無理だ。大量に出血した状態で逃げれる相手でもない。
支給品のタマーニラッキーもこの少女には通用しないだろう。
終わった、今自分の命運は完全に万策尽きたのだ。



「久々に目覚めてみればこんな場所で少々面食らったが……
いい地だな此処は。呪いが渦巻いている」


怖い。怖い。怖い。怖い!
少女を前にして、哲平は息をすることすらおぼつかなかった。
息をした次の瞬間、殺されるのではないかという恐怖が心胆を凍らせる。


「おい、だんまりでは困るぞ。何のために喋れるようにしてやったと思ってる?
すべて話せ、いま行われているこの状況が何なのかをな」


そう言って、少女がゆっくりとこちらへと歩み寄ってくる。
一歩近づくごとに、狂いそうになるほどの恐怖が哲平を包み込む。
このままでは、死因は出血多量ではなく窒息になるだろう。


「おい、そう怯えるな。久々の自由で今は気分がいいんだ。
だからさっさと話せ。ケヒッ、ヒヒッ」


そう言って少女は笑う。
芋虫の様に地面に這いつくばる哲平を見下ろして。
最初は鼻で笑うように、少し後にゲラゲラゲラゲラゲラ、と。
哲平にはその笑い声すら物理的な圧力があるように感じられた。
そして、この笑い声がやむと同時に、自分は死ぬのだろう。
それを確信してしまった。
そんな哲平の様子など気にも留めず、少女は千年ぶりの自由に酔いしれ笑う。
笑う、嗤う、ワラウ―――彼こそは全ての命を嘲笑う呪いの王。


両面宿儺―――ここに顕現。


◆


しんのすけの遺品となったデイパックだけを受け取り、俺はレヴィちゃんの元へと急いでいた。
元、と言っても完全にあてずっぽうの勘でしかない。
何故かって?
レヴィちゃんが連れていかれたとき、俺はあの男を殺すことで頭がいっぱいだったからだ。
だからこうして、しらみつぶしに辺りを探し回っている。
もし、あの時俺が冷静だったら、直ぐにレヴィちゃんを助け出せたかもしれないのに。


「くそ……生きててくれ、レヴィちゃん」


もう、子供が死ぬのは見たくない。
しんのすけが死んだ今、レヴィちゃんとしんのすけの友達のマサオ君が一番守るべき対象だった。
絶対に見つけ出す。絶対に守る。
だから頼む、生きていてくれ……!
今の俺の中にあったのは、ただひたすらにそれだけだった。
だが、そんな俺の意思とは裏腹に、鉄の体の動きはあまり良くない。
あの呪いとの戦いでプロペラを損傷したから自由に飛ぶのは無理だ。
他にもあちこち壊れてる。
もし人間の体ならそもそも動けていない傷だろう。それは分かってる。
分かってはいるが今の俺にはその事実は焦りを募らせるばかりだった。


―――アンタはつまり、自分のガキより見ず知らずの他人を選んだってことだろ?


「違うッ!違うッ!違うッ!そんなんじゃねぇ!!」


俺がレヴィちゃんをしんのすけの替わりに何かしようとしてるはずねぇだろうが!!
俺の頭にある野原ひろしの年収数十年分であろうお高い思考回路はこんなにもガラクタだったのか?
今はそんな事、考えてる暇でもないし、考える必要も無いだろうが…!
そう思った矢先の事だった。


ゲラゲラゲラゲラゲラゲラ、と。


聞き覚えのある声で女の子が笑っているのに気づいたのは。
俺に搭載された超高性能の収音マイクが速攻でそれが誰のものかを導き出す。


「この声は……レヴィちゃん……!」


よかった。
生きていてくれて本当に良かった。
俺は回路の底から安心して、音の場所を探る。
そう遠くない、というより、向こうもこっちに気づいてるのかどんどん近づいてる。


「レヴィちゃ―――」


そして遂に彼女を見つけた。
どうやら彼女は俺に気づいていないようで、すぐさま建物や木を飛び越えて行ってしまったが。
でも、今はとにかく生きていてくれただけでうれしい。
俺はすぐにレヴィちゃんの後を追いかける。
鉄の体の動きは悪くなっているが、十分ほどで追いつけるはずだ。
……この時、もしも。もう少し冷静だったなら。
俺に気づかないほどの上機嫌のレヴィちゃんへの違和感。
一度のジャンプで十メートル以上ジャンプしてる事への違和感に気づけたかもしれない。
……いや、気づいていたとしても。
命からがら逃げだして興奮していたとか、魔法少女の体だから特別なんだ、とか。
そんな都合のいい考えで疑問に蓋をしてたかもしれないけど。
まぁ、一言で言うなら。とどのつまり、俺はそんな違和感に気づけなかった。
気づかないままに、追ってしまった。


◆


「おい、いつまで呆けている。喋れない様なら殺すが」

「ヒッ!ハァ…ハァ…ハァ…は、話す…話します、から…ッ!」


ひとしきり笑った後、宿儺は再び詰問の態勢に映っていた。
彼の瞳に温度というものはなく。
氷点下を優に下回る、極寒の瞳だった。
人を殺そうという目ではない。
邪魔な虫けらを踏みさんとしている者の目だった。
生殺与奪を握られている相手にそんな瞳を向けて、哲平が沈黙を保っていられるはずもなく。
たどたどしく、飛びそうになる意識を必死に保ってこの殺し合いの説明を行う。
たとえそれが、処刑される時間を僅かに引き延ばすだけの行為だと理解していても。


(あぁ……もう、無理だ…いっそ一思いに……)


閾値を超えた恐怖は、哲平に狂うことすら許さない。
出血多量で頭の中はぼうっとしてきているのに、口だけは別の生物になったかのように多弁だった。
哲平の口上を聞く宿儺の様子を見ればそれが何の救いにもなっていないのは明らかだが。
明らかに、話が進むごとに不機嫌になっていく。
天上天下唯我独尊。
己の快・不快のみが生きる指針の宿儺にとって、この状況は屈辱的だった。
故に。


「もういい、分かった。不愉快だ」


死刑宣告を容赦なく宣告する。


(あぁ……よかった…これで、もう……)


今から死のうとしているのに、状況に反して哲平の心は安堵していた。
これでもう、痛い思いも怖い思いも終わる。
盗作という十字架を背負い、後ろめたい思いもせずに済むのだ。


(でも、藍野さんには……謝りたかったな……)


自分よりずっと漫画が好きで、真摯に漫画に打ち込んでいて。
自分より、ずっと才能があった。まさしく天才と呼べる少女。
せめて、最後に彼女には心からの謝罪をしたかったと、そう思わずにはいられなかった。
彼女は無事だろうか。
今の自分の様に怖い思いをしていないだろうか。
自分は咎人だ。これはある意味天罰なのだろう。
だが、彼女に罪はない。
だから、無事であってくれればいいと思う。
彼女が無事でいてくれたなら、今はもう、それだけで。


(―――あ、あれは)


その瞬間だった。
少女の背後に人影を捉えたのは。
あの姿は、間違いない。
先ほど自分が助けた、ロボひろしと名乗ったロボットだ。
もしかしたら、助かるかもしれない。
一縷の希望が哲平の中で萌芽する。
そうだ、助けを乞おう。
彼は強い。さっきの呪いだって圧倒していたじゃないか。
彼が戦ってる間に、自分は逃げられるかもしれない。
あの岸部露伴ならともかく、ただの漫画家それもただの盗作作家の自分に何ができるというのか。
だから、助けを乞うのは何らおかしな話じゃない。
むしろ、さっきは自分が助けたのだから当然だ。
だから言え。助けてって言うんだ。
そうすればきっと、彼は漫画のロボットヒーローの様に―――


「―――ひ、ひろしさん!!」


そうだ。
だから、俺は。
俺がいうべきことを、叫ぶ。


「―――逃げろッ!!!」


―――キンッ


…以上を以て佐々木哲平の物語は閉幕だ。
何のことはない、ただ単に弱肉強食の世界で弱者が順当に排除されただけの事。
知己と再会することすらできず、背負った十字架の清算もできず。
成しえたことはなく彼は死んでいく。
けれど、それでも。
最後に放ったその言葉だけは。
千年前、あらゆる呪術師を下した両面宿儺。
かの呪いの王に、そして、彼自身の恐怖心に。
彼は最後のその時だけは、屈しなかったのだといえるのかもしれない。

【佐々木哲平@タイムパラドクスゴーストライター 死亡】


◆


今来た道を、必死に引き返して。
ようやく、俺はレヴィちゃんの背中を捉えた。
良かった!見間違えじゃないし、ケガもなさそうだ。
さっき俺を助けてくれた佐々木さんもいる。
これからどうなるかは分からない。
もしかしたら、俺は殺し合いに乗ってしまうのかもしれない。
だけど、二人が生きているのを見たとき。
少なくともその時だけは、そんな考えは吹っ飛んでいた。
今はとにかく、レヴィちゃんと話したかった。
そして、謝りたかった。
男を殺すのに夢中で彼女が危ないことになってるのを気づかなかった事を。
謝って、佐々木さんと話をして、レヴィちゃんを預けて―――
そして、あの男を追おう。そうしよう。
そんな、都合のいい事を考えていた俺の前で。


「―――ひ、ひろしさん」


佐々木さんが叫ぶ。
な…何だよ。そんな切羽詰まった声をして、如何したんだ?
確かに頼りない人だったけど、女の子に涙目にされるのは度が過ぎてるだろ?
やめてくれよ。こんな時に。こっちまで不安になってくるじゃないか。
そんな顔するなよ、俺の高センサーアイは見えすぎるんだ。
夜でも、あんたがそんな切羽詰まってる顔してるのは見えちまうんだ。
右手が真っ赤に染まってるのも、分かっちまうんだ。
だから頼む。そんな顔しないでくれ。


「―――逃げろッ!!」


やめろ。止めろよ。そんな声上げないでくれよ。
悪い冗談でも、許すから。今なら許すから。
だから―――


―――キンッ


そして、佐々木さんは。
俺の見てる目の前で、バラバラに解体された。
崩れた積み木みたいに、バラバラに。


「……何だ、ここはお前の様な肉もないガラクタも参加しているのか」


振り返って、レヴィちゃんは俺に尋ねてくる。
けど、もう、レヴィちゃんは前のレヴィちゃんではなかった。
俺を心底見下して、馬鹿にしている目だ。
つい一時間前まで見ていたはずの、あの子の明るい笑顔が今はどうしようもない位遠い。
あぁそう言えば。
あの子の笑顔を見て、しんのすけの友達になってくれるかもな。
なんて、考えたっけ。


「う、うおおおおおおおッッ!!!」


エラー。エラー。エラー。
頭の出来のよろしい回路がそんな文字を嫌になるくらい吐き出す。
これじゃあ本当にガラクタだな。
でも、それを止める方法は俺は知らなかったし、知っていたとしてもやらかっただろう。
喉部分に仕込まれたスピーカーからうるさいと思うくらいの声を上げて。
俺はレヴィちゃんの姿をした何かに呪具を振り上げて殴り掛かった。
だけど。


「弱いな。お前」


あの呪いにだって通じた棒の一撃は、泣けてくるくらい通用しなかった。
手加減したわけじゃない。全力でやったさ。
その証拠に、受け止められた衝撃で地面にはクレーターができてる。
それでもレヴィちゃんの姿をした―――呪いはびくともしやがらねぇ。


「ほら、どうした。頑張れ頑張れ?」


黙れ。
レヴィちゃんと同じ声で喋るんじゃねぇ。
受け止められた呪具を手放して、殴り掛かる。
でも、死に物狂いで打ったパンチは、一発として入ることはなかった。


「もっと呪いを籠めてみろ!」


呪いがそういうのと同時に――トラックに正面衝突したみたいな衝撃が腹をぶち抜く。
ボディが凹んで、軋むのを感じながら俺は吹っ飛ばされていく。
どっかの家の壁を六枚くらい突き破って、ようやく止まった。
ダメだ、勝てねぇ。
今の俺がどうこうできる相手じゃねぇ。
あの呪いに比べれば、しんのすけを殺したあいつがかわいく思えてくる。


「この儀式では―――我々は同じ蟲毒の蟲というわけらしいな。
俺と、お前たちのような下奴がだぞ?」


悠々と奴が近づいてくる。
しんのすけ、悪い。
俺ももうすぐ壊れることになりそうだ。
仇、取れなくてごめんな。
あの呪い野郎のいうことには、俺に魂はないらしいけど―――
でも、できることなら…お前と一緒の所に行きてぇなぁ……
そう思っている間にも、奴が腕を振り上げる。
振り下ろされれば、俺は壊されるだろう。
佐々木さんみたいに。
だけどもう、じたばたするつもりはなかった。
機械の体なのに、ひどく疲れた気がする。
ビールを浴びるほど飲んで、昼までぐっすり眠りたかった。
だから俺は静かに、その時を待った。


「―――何?」


だけど、待っていてもその時はやってこなかった。
振り下ろす前に呪いの足が止まる。


「―――ひろしッ!逃げろッ!!ボクがこいつを抑えてる間に、早く……!」


その声を発したのは呪いではなく。
間違いなく、ついさっきまで俺と一緒にいた女の子の…レヴィちゃんのモノだった。
あの子の顔は苦しげで、顔の変な模様が浮き出たり消えたりを繰り返している。
俺は立ち上がる。
見捨ててなんて、行けるわけない。
そのまま駆け寄ろうとして―――肩に衝撃が走った。


「虚しい抵抗だな小娘。貴様程度がこの俺を抑え込めると思うの―――
……ひろし!何してる!!早く…行って!ボクも…あんまり保たない!」


様子を見れば、レヴィちゃんと呪いが綱引きをしていて、呪いが優勢なのは俺にもわかった。
そして、呪いが勝てば俺は今度こそ壊されるだろう。
しんのすけの時と同じだ。
助ける方法なんて、思いつくはずもなかった。



「……畜生ッ!」



気づけば、俺は走り出していた。
レヴィちゃんとは―――逆の方向に。


「よ、かった…ひろし、それで、いいんだ、よ……
……しんのすけ、に…会わないと、いけ、ないもんね……」


俺の収音センサーは嫌になるほど高性能で、普通の人間なら聞こえない声も拾ってしまう。
俺が逃げて安心した声を上げるレヴィちゃんの声を聴いて、全身が軋んだ。
そうだ、これでいいんだ。
俺にあの子を助けるための力はない。
あのまま残っていても、壊されるだけだった。
だから、後で助けるために背を向けることは何らおかしくない。
これでいい。
これでいい。
これでいいんだ。
俺は暫く脇目も降らず走りぬいて―――そして、地面に突っ伏して叫んだ。


「良い訳……無いだろうがッ!!!」


本当は、分かってた。
俺がしんのすけを殺したあの男を殺すよりも、レヴィちゃんを優先していれば。
あの子が、体に何かされることもなかっただろう。
佐々木さんだって、死なずに済んだ。
レヴィちゃんが人殺しにならずに済んだ。
俺が呪いを捨てることができなかったから、佐々木さんは死んだ。


「人を呪わば……穴二つってか……」


そう、もし。
ロボひろしが、レヴィ・ザ・スラッシャーの救助を優先していれば。
術式の効かない面倒な相手であるロボひろしを、真人は見逃していたかもしれない。
そうでなくとも、交戦中に助けに行く好機は確かにあったのだ。
もし遅くてもその時に救助に向かっていれば。
少女が宿儺に乗っ取られることもなかったかもしれない。

呪いは廻る。
ロボひろしが真人を呪う心を捨てられなかったから、佐々木哲平は死んだ。
全て、真人という特級呪霊の思惑通りになった。



―――ロボひろしの、真人に向けた『呪い』が佐々木哲平を殺した。


【H-7/朝】
【ロボひろし@クレヨンしんちゃん嵐を呼ぶガチンコ逆襲のロボとーちゃん】
[状態]:顔面破損、精神疲労(極大)、真人に対するの憎悪と殺意(極大)、真人の返り血、脚部故障(プロペラ回転での飛行に支障あり)、左手複数貫通穴(ロケットパンチ等には支障なし)、迷い、腹部損傷、燃料満タン
[装備]:なし
[道具]:基本支給品、灯油入りポリタンク(電動ポンプ付き)×2@現実、ランダム支給品×0~2、しんのすけのデイバック(基本支給品、ランダム支給品×1~3)
[思考・状況]:基本行動方針:あの男(真人)を殺す。その後は───
1:あの男(真人)を殺す。
2:しんのすけを生き返らせるかの迷い。
3:レヴィちゃんを助ける……助けるのか? 本当に……?
4:藍野伊月って子を見かけたら、どうする?
[備考]
※レヴィが魔法少女だということを知りました。
※真人の無為転変を大体把握しました。
※戦闘により損傷が激しいです。
 脚部のプロペラ以外も故障してるかもしれません。



レヴィ・ザ・スラッシャーにとっての幸運。
それは彼女に宿儺の器としての適性があったこと。
かつて闇の書と呼ばれたロストロギア(発展しすぎた文明の遺産)
それは何度破壊されても他世界で復活する自己修復機能を備えた魔導記録媒体。
その構築体の一片が彼女である。
そして、かつての自己修復能力と魔導記録媒体としての性質が宿儺の器として合致。
常人なら即死する最強の毒性である宿儺の指の毒にも見事に耐えて見せたのだ。


「……フン、ようやく収まったか。小娘が」
(おさまってなんかいないぞー!!ボクの体さっさと返せー!!)
「あーもう五月蠅い」


そして、彼女の不幸は。
彼女には、本来の器である虎杖悠二ほどの強度はなかった事だ。
肉体の中、彼女の意識そのものは大健在である。
しかし、表層に出るには完全に宿儺に抑え込まれていた。
短時間ならば今しがた見せたように肉体の主導権を奪取することも可能だが…
基本的な肉体の主導権は宿儺優位にあることに変わりはない。


「目覚めた先が蟲毒の中とは業腹だが…千年ぶりの自由の身だ。もっと愉しまねばな」


宿儺にとって今の首輪を嵌められて剣奴にされている状況は非常に不愉快だった。
だが、鏖殺そのものに抵抗感はなく。
手始めにこの場にいる全員を皆殺しにした後、ミルドラースとやらを誅滅しに赴こう。
そう結論付けて歩き始める。


(どうしよう。王様、シュテルん……)


呪いの王の中で、雷刃の襲撃者は不安げな声を上げた。
現状は完全に此方が閉じ込められている状態だ。
ひろしは逃がせたが、ひろしの知り合いだったかもしれない男は自分が殺してしまった。


(もし、王様やシュテルんが知ったら…怒るかな……)


多くの魔導士が関わり、そして死んでいった呪われた魔本と呼ばれた闇の書。
その構築体であるレヴィは自分が人を殺した事へのショックはあったが、消沈まではしなかった。
重要なのはこれからなのだから。


(……落ち込むのは後回しだ。今はとにかく、こいつから体を取り返す……!)


ここで自分が消沈し、すべてを投げ出してしまえば自分に巣食った呪いは死を振りまき続けるだろう。
それは、彼女の姿の元となったフェイト・テスタロッサの構成データも、良しとするわけにはいかないと叫んでいた。
故に、彼女は勝負の舞台から降りはしない。
この怪物の殺戮を止められる可能性があるのは、雷刃の襲撃者だけなのだから。
紫電の瞳に、意志の炎を燃やして。
己の生得領域で、少女の孤独な暗闘が始まろうとしていた。


【H-6/朝】
【レヴィ・ザ・スラッシャー@魔法少女リリカルなのはPORTABLE-THE GEARS OF DESTINY-マテリアル娘。】
[状態]:宿儺の器
[装備]:宿儺の指(15本分)
[道具]:無し
[思考・状況]:基本行動方針:しんのすけという子を探す
1:...出会う参加者を鏖殺する。
2:王様やシュテルんは今どうしてるのかな...
3:宿儺から肉体を取り戻す。
[備考]
ロボひろしのことについて色々知りました
宿儺の器となりました。十五本分の魂が入っています。
肉体の意識は宿儺優位ですが、頑張ればレヴィも表層に出てくることができます。


078:コスモダンサー(前編) 投下順 080もう戻れないよ、昔のようには
052:廻廻奇譚───闇を祓って ロボひろし
佐々木哲平 GAME OVER
037:殺し抗え、人であるがために レヴィ・ザ・スラッシャー 108:■・■・決・壊
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